説明

画像形成装置

【課題】給紙カセットに記録紙を補給する作業を容易にする画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙部12と、給紙カセット30へ記録紙を補給する補給紙手段11と、制御手段15とを備える画像形成装置10であって、補給紙手段は、装置本体の外壁に付設され、記録紙束Pを起立状態に保持する記録紙束収容部40と、記録紙束収容部に設けられ、記録紙束から記録紙を順次繰出す記録紙補給ローラ41と、記録紙補給ローラから繰出された記録紙を給紙カセットに給送する記録紙給送部49とを備えており、給紙カセットは、収容積載する記録紙量を検知する記録紙量検知手段31を備えており、制御手段は、補給紙手段を作動して、給紙カセットへの記録紙の補給を開始した後、給紙カセットに収容積載されている記録紙量が所定量以上になったことを記録紙量検知手段が検知すると、補給紙手段の作動を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置、複写機あるいはプリンタ(これらの複合機も含む)等の画像形成装置に関し、詳しくは、給紙カセットを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、複数枚の複写やプリント等が可能なように通常100枚〜500枚程度の記録紙を収容積載する給紙カセットを備えており、給紙カセットは装置本体から着脱可能に構成され、給紙カセット内に記録紙を補給するには、給紙カセットを装置本体から引き出し、記録紙を補給する構成となっている。
ところで、給紙カセットは、装置本体の中で、下方に配置されることが多く、また、前記のように給紙カセットを引き出して記録紙を補給することは力の要する作業であり、高齢者などには負担が掛かる作業であった。
【0003】
特に、大型の画像形成装置などでは、操作部や表示部などは比較的高い位置、すなわち、使用者が成人であれば腰より高い位置に配置され、操作する場合にその作業は容易であるが、給紙カセットは、比較的低い位置、すなわち、膝元付近に配置され、給紙カセットへ記録紙を補給する際に、腰を屈して作業をする必要があり、負担が掛かる作業である。
このような問題は、給紙カセットが複数の場合、すなわち、マルチカセットの場合は、更に、給紙カセットが低い位置に配置されることとなり、給紙カセットへの記録紙の補給は負担が掛かる作業となる。
【0004】
また、複数の給紙カセットを備える場合、記録紙を給紙カセットに補給する際に、どの給紙カセットが、補給しようとするサイズの記録紙を積載している給紙カセットかを直ちに判断することが困難であり、目的の給紙カセットを引き出す前に他の給紙カセットを引き出してしまう事もあり、作業効率向上が阻害されることがあった。
【0005】
さらに、給紙カセット内の記録紙の積載量には限りがあるため、大量の複写をしている途中で記録紙切れとなった場合は、前述のように給紙カセットを引き出し、記録紙を補給する必要があり、使用者が記録紙切れに気付いて補給するまで複写作業が中断され作業効率向上の阻害となる。
【0006】
特許文献1には、図7に示すように、給紙カセット2内に積載シートSを立てた状態でセットし、その積載方向片側から順にシートSを一枚ずつ送り出す給紙装置1において、積載シートSの減少とともに重力により移動して残りの積載シートSの座屈を防止する平板3を給紙カセット2内に備える構成とし、立てた状態に積載したシートの座屈を防止する給紙装置が提案されている。
【特許文献1】特開平7−33262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1で提案されている給紙装置では、記録紙を給紙カセットに補給する際に、平板を重力に逆らって押し上げて補給する必要があり、記録紙の補給作業が面倒である。
【0008】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、給紙カセットに記録紙を補給する作業を容易にする画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置は、記録紙を収容積載する給紙カセットを有し、画像形成部に該記録紙を給送する給紙部と、該給紙カセットへ該記録紙を補給する補給紙手段と、該補給紙手段に収容された記録紙を前記給紙カセットに補給制御する制御手段とを備える画像形成装置であって、前記補給紙手段は、装置本体の外壁に付設され、記録紙束を起立状態に保持する記録紙束収容部と、該記録紙束収容部に設けられ、該記録紙束から前記記録紙を順次繰出す記録紙補給ローラと、該記録紙補給ローラから繰出された該記録紙を該給紙カセットに給送する記録紙給送部とを備えており、前記給紙カセットは、収容積載する記録紙量を検知する記録紙量検知手段を備えており、前記制御手段は、前記補給紙手段を作動して、前記給紙カセットへの前記記録紙の補給を開始した後、該給紙カセットに収容積載されている記録紙量が所定量以上になったことを前記記録紙量検知手段が検知すると、該補給紙手段の作動を停止させることを特徴とする。
【0010】
ここで、「記録紙量が所定量以上」とは、給紙カセットに積載可能な記録紙量に応じて適宜選択可能であり、例えば、給紙カセットの積載可能な記録紙量が500枚であれば、それ以下に設定すればよい。
【0011】
請求項2では、請求項1において、前記記録紙束収容部は、前記記録紙束の収容の有無を検知する記録紙束検知手段を備えており、前記制御手段は、前記記録紙束収容部に前記記録紙束が収容されていることを前記記録紙束検知手段が検知し、かつ、前記給紙カセットの収容積載する前記記録紙量が所定量以下になったことを前記記録紙量検知手段が検知すると、前記補給紙手段を作動して、前記給紙カセットへの前記記録紙の補給を開始することを特徴とする。
【0012】
ここで、「記録紙量が所定量以下」とは、0枚も含み、任意の枚数、例えば、数十枚から100枚程度など適宜選択可能である。
【0013】
請求項3では、請求項1または2において、前記給紙カセットは、それぞれが、異なるサイズの記録紙を収容積載する複数のものが並設されており、前記補給紙手段は、前記複数の給紙カセットに対応した複数の前記記録紙給送部と、前記記録紙束収容部を上下動させる昇降手段とを更に備え、前記記録紙束収容部は、収容された前記記録紙束の記録紙サイズを検知する記録紙サイズ検知手段を更に備えており、前記制御手段は、前記記録紙サイズ検知手段が検知した記録紙サイズに基づいて、前記昇降手段を作動して、そのサイズの記録紙を収容積載している前記給紙カセットの位置に前記記録紙束収容部を昇降させることを特徴とする。
【0014】
請求項4では、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記補給紙手段は、収容された前記記録紙束の記録紙量を検知する記録紙束量検知手段と、記録紙の給送方向に沿って前記記録紙補給ローラと共に前後に移動する記録紙束押え壁と、該記録紙束押え壁を移動させる駆動手段とを備えており、前記制御手段は、前記記録紙束の記録紙量の減少を前記記録紙束量検知手段が検知すると、前記駆動手段を作動して、前記記録紙束押え壁を前記記録紙束の押圧される方向に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1乃至4に記載の画像形成装置によれば、給紙カセットへ記録紙を補給する補給紙手段を備え、装置本体の外壁に付設され、記録紙束を起立状態に保持する記録紙束収容部を備えているため、給紙カセットを引き出すことなく記録紙の補給が可能となり、給紙カセットへの記録紙の補給作業が容易となる。
【0016】
また、給紙カセットは、収容積載する記録紙量を検知する記録紙量検知手段を備え、補給紙手段からの記録紙が補給され、給紙カセットに収容積載されている記録紙量が所定量以上になったことを検知すると、補給が停止されるため、補給する記録紙の量を設定する必要がなく、操作が容易である。
【0017】
さらに、記録紙束収容部は、記録紙束を起立状態に保持する構成としているため、従来の手差しトレイのように記録紙を寝かせた状態で保持する構成よりも装置本体の幅方向への省スペース化が可能となる。
【0018】
請求項2では、記録紙束収容部に記録紙束の収容の有無を検知し、給紙カセットの収容積載する記録紙量が所定量以下になったことを検知すると、補給を開始する構成としているため、記録紙束収容部に記録紙束をセットした後は、給紙カセット内の記録紙量に応じて、自動的に記録紙が給紙カセットへ補給されるため、非常に便利である。
また、大量の複写作業の際にも、記録紙束収容部に記録紙束をセットしておけば、給紙カセット内に積載可能な記録紙量以上の枚数の複写が可能となり、記録紙切れとなった場合に、作業を中断し給紙カセットを引き出して記録紙を補給する必要がなく、作業効率を向上させることができる。
【0019】
請求項3では、それぞれが、異なるサイズの記録紙を収容積載する複数の給紙カセットが並設されている場合に、記録紙束収容部に収容された記録紙束のサイズを検知し、記録紙束収容部を、検知されたサイズに基づいて、そのサイズの記録紙を収容積載している給紙カセットの位置に昇降させる構成としているため、記録紙束を収容した後は、自動的に適切な記録紙サイズを収容積載している給紙カセットに記録紙束収容部が配置され、非常に便利である。
また、記録紙を給紙カセットに補給する際に、どの給紙カセットが、補給しようとするサイズの記録紙を積載している給紙カセットかを迷うことなく、自動的に記録紙束収容部が配置され、補給されるため、非常に便利である。
【0020】
請求項4では、記録紙束の減少を検知し、記録紙束押え壁を記録紙束の押圧される方向に移動させるため、記録紙束が座屈することなく、記録紙を給紙カセットにスムーズに補給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
図1乃至図3は、本実施例に係る画像形成装置を示し、図1は、本実施例の画像形成装置を示す概略縦断面図、図2は、本実施例の画像形成装置が備える補給紙手段を示す概略斜視図、図3は、本実施例の画像形成装置が備える昇降手段、記録紙給送部を示す概略斜視図である。
【0023】
図1に示す画像形成装置10は、ファクシミリ機能、複写機能及びプリンタ機能を備えた所謂、複合機であるが、本発明の画像形成装置は、給紙カセットを備えたファクシミリ装置、複写機、プリンタ及びこれらが組み合わさった装置にも適用可能である。
図例の画像形成装置10は、上部より画像読取部(スキャナ)22、排出部14、画像形成部13及び給紙部12が積層状態で構成されている。
【0024】
詳しくは、給紙部12では、それぞれが、異なるサイズの記録紙を収容積載する複数の給紙カセット30a〜30d、すなわち、本実施例では、B5サイズの記録紙を収容積載する30aとA4サイズの記録紙を収容積載する30bとB4サイズの記録紙を収容積載する30cとA3サイズの記録紙を収容積載する30dが並設されており、各給紙カセット30から給紙ローラの駆動により記録紙が一枚ずつ搬送路に繰出され、レジストローラ対により画像形成部13に記録紙が給紙される。
また、給紙カセット30a〜30dは、収容積載された記録紙の給紙方向前端部を給紙ローラに当接させるように圧縮ばね(不図示)により上向きに付勢されたフラッパー32、収容積載する記録紙量を検知する記録紙量検知手段(重さセンサ)31a〜31d、記録紙の給紙方向後端部を規制する規制板33、給紙カセット30の給紙方向後端部から規制板33に至るまで、後述する記録紙束収容部40から補給される記録紙を各給紙カセット30内の所定の位置に給送する記録紙給送板49bを備えている。
尚、本実施例において画像形成装置10は、複数の給紙カセットを備える所謂マルチカセットタイプを例示しているが、これに限られず、給紙カセットが一段のものにも適用可能である。
【0025】
画像形成部13では、感光体ドラム、帯電器、露光器、現像器、転写ローラ、残留トナー除去装置及び定着器などを備え、レジストローラ対から給紙された記録紙に画像を形成する構成としている。
尚、本実施例の画像形成装置の現像方式は、乾式の電子写真方式を例示しているが、これに限られず、公知の現像方式が適用可能である。
前記のように画像が形成された記録紙は、排出部14において、排出ローラ対を介して排紙トレイに排出される構成となっている。
【0026】
本実施例の画像形成装置10では、給紙カセット30へ記録紙を補給する補給紙手段11と、補給紙手段11を制御する後述する制御手段15を備えており、本実施例では、補給紙手段11は、記録紙束収容部40、記録紙補給ローラ41、昇降手段45、記録紙束押え壁47、駆動手段48、記録紙給送部49から構成されている。
【0027】
詳しくは、図1乃至図3に示すように、記録紙束収容部40は、装置本体の外壁に昇降可能に付設される側壁40a、記録紙束Pを保持する底壁40c、背面壁40bから構成され、側壁40aには、後述する記録紙束押え壁47を保持すると共に前後移動を可能にする押え壁駆動ラック48bが設けられ、背面壁40bには、記録紙束Pの幅方向を規制し、記録紙束Pのサイズを検知する記録紙束サイドガイド(記録紙サイズ検知手段)43、43及び定型サイズの記録紙束Pの幅方向のサイズに合わせて形成され、記録紙束サイドガイド43の位置決めの目安となる定型サイズ用位置合わせスリット44が複数組、すなわち、本実施例では、定型サイズのB5、A4、B4、A3に対応するように4組設けられている。
また、側壁40aには後述する記録紙束収容部昇降ローラ45aにより昇降案内される昇降案内部45bが形成されている。
記録紙束Pを記録紙束収容部40にセットする場合は、背面壁40bに沿って、背面壁40bと記録紙束押え壁47の間に収容し、記録紙束サイドガイド43、43を記録紙束Pのサイズに合わせて移動させる構成となる。
【0028】
さらに、本実施例では、記録紙束Pとして特殊包装された記録紙束Pを適用している。すなわち、記録紙束Pは、開封テープなどにより、記録紙長手方向の略三分の一の箇所から下方までを容易に露出可能となるように包装されている。
これにより、記録紙束押え壁47と記録紙束Pの包装紙が大部分で当接し、記録紙束押え壁47と記録紙の当接する面積が少なくなり、記録紙束押え壁47と記録紙との間に発生する摩擦力による記録紙の不送りなどを防止することが可能となる。
尚、記録紙束Pの包装紙を全て剥離したものを適用してもよい。
【0029】
記録紙束サイドガイド43、43は、その左右が連動して横方向に移動可能となるよう内部にラック(不図示)とギア(不図示)が設けられ、ギアの回転角により、収容された記録紙束Pのサイズを検知する構成としている。
このような記録紙束のサイズの検知方法としては、公知の手段が適用可能であり、例えば、背面壁43に複数個の反射センサを配置し、記録紙束Pを記録紙束収容部40にセットした時点で、各反射センサの検出結果により、記録紙束のサイズを検知する構成としてもよい。
【0030】
また、背面壁40bの下方と底壁40cの記録紙給送方向後方が交わる箇所は、テーパ状に斜めに形成されている。
これにより、収容された記録紙束Pの下方端部が斜めに規制され、後述する記録紙補給ローラ41により、記録紙をスムーズに繰出すことが可能となる。
尚、記録紙束収容部40の構成は、これに限られず、例えば、側壁40aを手前側、すなわち、装置本体前面側にも設けてもよく、また、底壁40cを給送方向に対して平行ではなく、装置本体に向かって下方に傾斜させる構成としてもよく、さらに、背面壁40bの上方を装置本体から離れる方向に傾斜させる構成としてもよい。
さらにまた、背面壁40bと記録紙束押え壁47の高さは、本実施例では、記録紙束Pの座屈を防止するため、少なくともA3サイズの記録紙の長手方向の長さの略半分以上としているが、これに限られず、より高く形成してもよく、あるいは、記録紙サイズの大きさにより上方に引き出せる補助板を設けてもよい。
【0031】
記録紙束押え壁47の側面には、押え壁駆動ラック48bの対応する位置に、内部に駆動用モータを有する押え壁駆動ギア48aが設けられており、押え壁駆動ラック48bと押え壁駆動ギア48aにより本実施例の押え壁駆動手段48が構成され、記録紙の給送方向に沿って記録紙補給ローラ41と共に前後に移動可能となっている。
尚、記録紙束押え壁47を移動させる駆動手段は、これに限られず、例えば、本体装置の駆動手段からベルトを介してプーリーにより移動させる構成など、公知のものが適用可能である。
【0032】
また、記録紙束押え壁47の記録紙束Pに当接する側の面、すなわち、記録紙束収容部40の背面壁40bと対向する側の面には、記録紙束Pの収容の有無を検知する赤外線センサ(記録紙束検知手段)42及び収容された記録紙束Pの記録紙量を検知する圧力センサ(記録紙束量検知手段)46が設けられており、記録紙束押え壁47の下方端部には、記録紙束押え壁47に内蔵された駆動用モータにより駆動される記録紙補給ローラ41が設けられている。
前記構成により、記録紙束Pの減少を検知し、記録紙束押え壁47を記録紙束の押圧される方向に移動させるため、記録紙束Pが座屈することなく、記録紙を給紙カセット30にスムーズに補給できる。
記録紙束押え壁47の下方は、前述の背面壁40bと底壁40cのテーパ状に斜めに形成された形状に対応するように先細の形状とされている。
尚、前記各センサに限られず、記録紙束Pの収容の有無の検知が可能で、また記録紙束Pの記録紙量の検知が可能なセンサであれば公知のものが適用可能である。
【0033】
記録紙給送部49は、本実施例では、装置本体外壁の給紙カセット30a〜30dに対応した位置に開口を設け、該開口に形設された給送対ローラ49aと前述の記録紙給送板49bから構成されており、記録紙補給ローラ41から繰出された記録紙を給送対ローラ49a、記録紙給送板49bを介して給紙カセット30a〜30dに給送する構成となっている。
【0034】
次に、本実施例の記録紙束収容部40の昇降手段45について図3に基づいて説明する。
図3は、図1における装置本体の左側面と背面の一部を概略的に示しており、記録紙束収容部40が取付けられていない状態を示している。
装置本体背面には、前述の昇降案内部45bが挿入され上下動可能な溝部が形成され、溝部の両壁には記録紙束収容部案内ローラ45aが複数個設けられており、記録紙束収容部案内ローラ45aと昇降案内部45bにより昇降手段45が構成され、記録紙束収容部案内ローラ45aを駆動させ、各給紙カセット30a〜30dに記録紙を給送する給送対ローラ49aの位置に記録紙束収容部40の底壁40cが対応するように、後述するRAM20に記憶されている給紙カセット30a〜30dに収容積載されている記録紙サイズに基づいて記録紙束収容部40を昇降させる構成となっている。
尚、記録紙束収容部40を昇降させる昇降手段は、これに限られず、ギアとラックによる昇降やベルトとプーリーによる昇降など公知のものが適用可能である。
【0035】
次に、本実施例に係る画像形成装置10の要部構成を図4に基づいて説明する。
画像形成装置10は、図4に示すように、給紙カセット30a〜30dへ記録紙を補給する補給紙手段11と、給紙カセット30a〜30dを有し画像形成部13に記録紙を給送する給紙部12と、記録紙に画像を形成する画像形成部13と、画像が形成された記録紙を排出する排出部14と、制御手段を構成するCPU15と、各種入力操作などを行うための操作キーから構成される操作部16と、液晶画面などで構成され各種の設定画面や画像形成装置10の動作状態などを表示する表示部17と、画像データを符号化・複合化するコーデック18と、制御プログラムなどを記憶するROM19と、設定データ、給紙カセット30a〜30dのそれぞれに収容積載されている記録紙のサイズなどを記憶するRAM20と、画像データを記憶する画像メモリ21と、原稿を読み取り画像データを生成するスキャナ22と、PCなどの外部端末とデータの送受信を行うためのLANI/F23と、通信回線へのネットワーク制御を行うNCU24と、ファクシミリ通信に必要な各種信号を変調・復調するモデム25とを備えている。
【0036】
前記のような構成により、詳しい説明は割愛するが、画像形成装置10は、ファクシミリ機能、複写機能及びプリンタ機能を有する複合機としての基本動作を行うと共に、次に説明する制御動作を行う。
【0037】
図5のフローチャートは、本実施例に係る画像形成装置10の制御動作、すなわち、ROM19に記憶されている制御プログラムに基づいて制御手段15が補給紙手段11を制御する動作を示す。
記録紙束収容部40に記録紙束Pがある場合は、駆動手段48を駆動させ、記録紙束押え壁47を記録紙束Pに当接させるまで移動させ、収容された記録紙束Pのサイズを検知し、検知したサイズに基づき記録紙束収容部40を昇降手段45の駆動により、そのサイズの記録紙を収容積載する給紙カセット30の位置に、記録紙束収容部40を昇降させる(ステップ100〜103)。
例えば、図1に示すように、B5サイズの記録紙束Pが収容されると、B5サイズの記録紙を積載する給紙カセット30aの位置、すなわち、給紙カセット30aに記録紙を給送する給送対ローラ49aの位置に記録紙束収容部40の底壁40cが対応するように昇降させる。
一方、記録紙束収容部40に記録紙束Pが収容されていない場合は、前記処理を行わず、記録紙束Pの収容を検知するまで待機状態となる(ステップ100:NO)。
【0038】
次に、記録紙束収容部40が配置された給紙カセット30の収容積載する記録紙量が所定量以下になったことを検知すると、配置された給紙カセット30のフラッパー32を下げて、記録紙補給ローラ41を駆動させ、記録紙束Pから記録紙を順次繰出し、補給を開始する(ステップ104〜106)。
例えば、給紙カセット30a内の記録紙量が100枚以下であると検知すると、複写作業中であれば、一旦、複写作業を停止し、補給を開始する構成としてもよい。
一方、記録紙束収容部40が配置された給紙カセット30の収容積載する記録紙量が所定量以下でない場合は、前記処理を行わず、所定量以下となるまで、その位置で待機状態となる(ステップ104:NO)。
【0039】
次いで、記録紙の補給に伴い、記録紙束収容部40内の記録紙束Pの記録紙量の減少を検知すると、駆動手段48を駆動させ、記録紙束押え壁47を減少量に応じて、記録紙束Pに向かって移動させる(ステップ107、108)。
一方、記録紙量の減少がない場合は、待機状態となる(ステップ107:NO)。
【0040】
さらに、記録紙束収容部40が配置され、給紙カセット30への記録紙の補給を開始した後、給紙カセット30に収容積載されている記録紙量が所定量以上になったことを検知すると、記録紙補給ローラ41を停止させ、配置された給紙カセット30のフラッパーを上げて、記録紙の補給を停止する(ステップ109〜111)。
例えば、給紙カセット30a内の記録紙量が500枚以上になったことを検知すると、記録紙の補給を停止し、複写作業が中断されていた場合には、自動的に複写作業を再開させる構成としてもよい。
一方、記録紙束収容部40が配置された給紙カセット30に収容積載されている記録紙量が所定量以上でない場合は、前記処理を行わず、所定量以上となるまで、記録紙の補給を継続させる(ステップ109:NO)。
【0041】
尚、前記のような制御動作に加えて、記録紙束収容部40の記録紙が補給によりなくなったことを検知すると、記録紙束押え壁47を記録紙束Pの収容が可能となる以上に移動、すなわち、図1においては右方向に移動させる構成としてもよい。これにより、新たな記録紙束Pを記録紙束収容部40へ容易に収容させることができる。
また、記録紙束収容部40の記録紙が補給によりなくなったことを検知すると、記録紙束収容部40を所定の位置、例えば、図1に示すような比較的高い位置に昇降させる構成としてもよい。これにより、次に記録紙束Pを収容する場合に高い位置で収容可能となり、記録紙束Pの記録紙束収容部40への収容が容易となる。
【0042】
前記のような構成により、給紙カセット30を引き出すことなく記録紙の補給が可能となり、記録紙の補給作業が容易となる。
また、給紙カセット30に収容積載されている記録紙量が所定量以上になったことを検知すると、補給を停止するため、補給する記録紙の量を設定する必要がなく、操作が容易である。
さらに、記録紙束収容部40は、記録紙束を起立状態に保持する構成としているため、従来の手差しトレイのように記録紙を寝かせた状態で保持する構成よりも幅方向への省スペース化が可能となる。
【0043】
また、記録紙束収容部40の記録紙束Pの収容の有無及び給紙カセット30の収容積載する記録紙量が所定量以下になったことを検知すると、補給を開始する構成としているため、記録紙束収容部40に記録紙束Pをセットした後は、給紙カセット30内の記録紙量に応じて、自動的に記録紙が補給されるため、非常に便利である。
さらに、大量の複写作業の際にも、記録紙束収容部40に記録紙束Pをセットしておけば、給紙カセット30内に積載可能な記録紙量以上の枚数の複写が可能となり、記録紙切れとなった場合に、作業を中断し給紙カセット30を引き出して記録紙を補給する必要がなく、作業効率を向上させることができる。
【0044】
さらにまた、本実施例のように、それぞれが、異なるサイズの記録紙を収容積載する複数の給紙カセット30a〜30dが並設されている場合では、記録紙束収容部40に収容された記録紙束Pのサイズを検知し、記録紙束収容部40を、検知されたサイズに基づいて、そのサイズの記録紙を収容積載する給紙カセット30の位置に昇降させる構成としているため、記録紙束Pを収容した後は、自動的に適切な記録紙サイズを積載する給紙カセット30に記録紙束収容部40が配置され、非常に便利である。
また、記録紙を給紙カセット30に補給する際に、どの給紙カセット30が、補給しようとするサイズの記録紙を収容積載している給紙カセット30かを迷うことなく、自動的に記録紙束収容部40が配置され、補給されるため、非常に便利である。
【実施例2】
【0045】
図6は、本実施例に係る画像形成装置10を示し、実施例1との相違点は、記録紙束押え壁47と、記録紙給送部49の構成及び記録紙束Pは包装紙を全て剥離したものにしている点であり、他の構成は実施例1と同様であるため、同一の符号を付し説明を省略する。
【0046】
本実施例では、記録紙束押え壁47の記録紙束Pに当接する側の面、すなわち、記録紙束収容部40の背面壁40bと対向する側の面に、複数の記録紙送りローラ51を形設している。記録紙送りローラ51は、駆動源を有さず、記録紙補給ローラ41の駆動による記録紙の繰出しに応じて記録紙の給送方向に沿って回転される構成となっている。
これにより、記録紙束押え壁47と記録紙との間に発生する摩擦力を減少させ、記録紙の不送りなどを防止することが可能となる。
【0047】
また、本実施例では、記録紙給送部49は、それぞれの給紙カセット30に対して、給送対ローラ49aを、装置本体外壁と、規制板33の略上方の2箇所に形設しており、更に、それら給送対ローラ49aの間、すなわち、装置本体外壁から規制板33に至るまで、記録紙が給送される記録紙給送路49cを形成している。
これにより、記録紙束収容部40から給送された記録紙を確実に、各給紙カセット30内の所定の位置に給送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を示す概略縦断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置が備える補給紙手段の一例を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の画像形成装置が備える昇降手段、記録紙給送部の構成の一例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の画像形成装置の他の実施例を示す概略縦断面図である。
【図7】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10 画像形成装置
11 補給紙手段
12 給紙部
13 画像形成部
14 排出部
15 CPU(制御手段)
30a〜30d 給紙カセット
31a〜31d 重さセンサ(記録紙量検知手段)
32 フラッパー
40 記録紙束収容部
41 記録紙補給ローラ
42 赤外線センサ(記録紙束検知手段)
43a、b 記録紙束サイドガイド(記録紙サイズ検知手段)
44 定型サイズ用位置合わせスリット
45a 記録紙束収容部昇降ローラ(昇降手段)
45b 昇降案内部(昇降手段)
46 圧力センサ(記録紙束量検知手段)
47 記録紙束押え壁
48a 押え壁駆動ギア(駆動手段)
48b 押え壁駆動ラック(駆動手段)
49a 給送対ローラ(記録紙給送部)
49b 記録紙給送板(記録紙給送部)
49c 記録紙給送路(記録紙給送部)
51 記録紙送りローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を収容積載する給紙カセットを有し、画像形成部に該記録紙を給送する給紙部と、該給紙カセットへ該記録紙を補給する補給紙手段と、該補給紙手段に収容された記録紙を前記給紙カセットに補給制御する制御手段とを備える画像形成装置であって、
前記補給紙手段は、装置本体の外壁に付設され、記録紙束を起立状態に保持する記録紙束収容部と、該記録紙束収容部に設けられ、該記録紙束から前記記録紙を順次繰出す記録紙補給ローラと、該記録紙補給ローラから繰出された該記録紙を該給紙カセットに給送する記録紙給送部とを備えており、
前記給紙カセットは、収容積載する記録紙量を検知する記録紙量検知手段を備えており、
前記制御手段は、前記補給紙手段を作動して、前記給紙カセットへの前記記録紙の補給を開始した後、該給紙カセットに収容積載されている記録紙量が所定量以上になったことを前記記録紙量検知手段が検知すると、該補給紙手段の作動を停止させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記記録紙束収容部は、前記記録紙束の収容の有無を検知する記録紙束検知手段を備えており、
前記制御手段は、前記記録紙束収容部に前記記録紙束が収容されていることを前記記録紙束検知手段が検知し、かつ、前記給紙カセットの収容積載する前記記録紙量が所定量以下になったことを前記記録紙量検知手段が検知すると、前記補給紙手段を作動して、前記給紙カセットへの前記記録紙の補給を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記給紙カセットは、それぞれが、異なるサイズの記録紙を収容積載する複数のものが並設されており、
前記補給紙手段は、前記複数の給紙カセットに対応した複数の前記記録紙給送部と、前記記録紙束収容部を上下動させる昇降手段とを更に備え、前記記録紙束収容部は、収容された前記記録紙束の記録紙サイズを検知する記録紙サイズ検知手段を更に備えており、
前記制御手段は、前記記録紙サイズ検知手段が検知した記録紙サイズに基づいて、前記昇降手段を作動して、そのサイズの記録紙を収容積載している前記給紙カセットの位置に前記記録紙束収容部を昇降させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記補給紙手段は、収容された前記記録紙束の記録紙量を検知する記録紙束量検知手段と、記録紙の給送方向に沿って前記記録紙補給ローラと共に前後に移動する記録紙束押え壁と、該記録紙束押え壁を移動させる駆動手段とを備えており、
前記制御手段は、前記記録紙束の記録紙量の減少を前記記録紙束量検知手段が検知すると、前記駆動手段を作動して、前記記録紙束押え壁を前記記録紙束の押圧される方向に移動させることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−308275(P2007−308275A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140276(P2006−140276)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】