説明

画像形成装置

【課題】トナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐ画像形成装置を提供する。
【解決手段】潜像をトナー現像する現像装置14を備え、ポンプ86を用いてトナー及びエアー吸引を行い、吸引されたトナーを貯留可能な回収ボトル74内で上昇した圧力を減圧させ得る圧抜きフィルタ100を備えるトナー飛散防止装置70を用い、トナー及びエアーの吸引量が可変である画像形成装置において、印刷開始後の印刷枚数に基づいて、前記エアーの吸引量を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、潜像をトナー現像する現像装置を備える、複写機、レーザプリンタ等の電子写真式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真式画像形成装置の現像装置において、エアー吸引装置を用いて現像装置内の浮遊トナーを回収する機構を備えることが、従来から、種々提案されている(例えば、特許文献1から3参照)。
【0003】
特許文献1では、エアー吸引装置を用いた飛散トナー回収部に、エアフィルタを備えたドラムカートリッジが提案されている。これでは、エアフィルタの目詰まりに対する余裕度を向上させる機構について触れられておらず、エアフィルタはドラムカートリッジ交換時まで使用する構成である。
【0004】
特許文献2では、エアー吸引装置を用いて現像装置内の浮遊トナーを回収する機構を備える画像形成装置において、小粒径トナーを現像装置に適用した場合に、重量平均粒径が65μm以下という小粒径のキャリアを用いることで、トナー回収容器の交換サイクルの比較的長い画像形成装置が提案されている。
【0005】
特許文献3では、エアー吸引装置を用いて現像装置内の浮遊トナーを回収する機構を備える画像形成装置において、現像剤の使用期間に基づいてエアー吸引量を可変とすることで、トナー回収容器の交換サイクルを延長することが可能である画像形成装置が提案されている。この画像形成装置では、キャリアの帯電能力の劣化による浮遊トナー量の変動に対応することは可能である。しかし、現像装置の駆動時間によって現像装置内の気圧が変化することに対応できないため、エアー吸引装置の吸引量を多めに設定することで不具合を抑えなければならず、間欠印刷ジョブが多用された場合、結果としてトナー回収容器の交換サイクルを短くすることで対応せざるを得ない。
【特許文献1】特開2001−5365号公報
【特許文献2】特開2002−365906号公報
【特許文献3】特開2003−215918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、ドラムカートリッジを長寿命化する場合に、エアフィルタ目詰まり時にエアフィルタのみの交換が困難である。また、特許文献2に開示の構成では、現像装置の使用状況よって現像装置内の浮遊トナー量が変動することに関しては触れておらず、現像装置の使用状況によっては過剰にトナーを回収してしまう可能性がある。
【0007】
特許文献3に開示の画像形成装置では、キャリアの帯電能力の劣化による浮遊トナー量の変動に対応することは可能である。しかし、現像装置の駆動時間によって現像装置内の気圧が変化することに対応できないため、エアー吸引装置の吸引量を多めに設定することで不具合を抑えなければならず、間欠印刷ジョブが多用された場合、結果としてトナー回収容器の交換サイクルを短くすることで対応せざるを得ない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、トナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐ画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、潜像をトナー現像する現像装置を備え、ポンプを用いてトナー及びエアー吸引を行い、吸引されたトナーを貯留可能な回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させ得る圧抜きフィルタを備えるトナー飛散防止装置を用い、トナー及びエアーの吸引量が可変である画像形成装置において、印刷開始後の印刷枚数に基づいて、前記エアーの吸引量を変化させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、潜像をトナー現像する現像装置を備え、ポンプを用いてトナー及びエアー吸引を行い、吸引されたトナーを貯留可能な回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させ得る圧抜きフィルタを備えるトナー飛散防止装置を用い、トナー及びエアーの吸引量が可変である画像形成装置において、印刷開始後の動作時間に基づいて、前記エアーの吸引量を変化させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、潜像をトナー現像する現像装置を備え、ポンプを用いてトナー及びエアー吸引を行い、吸引されたトナーを貯留可能な回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させ得る圧抜きフィルタを備えるトナー飛散防止装置を用い、トナー及びエアーの吸引量が可変である乾式2成分現像を用いる画像形成装置において、前記現像装置内のトナーとキャリアの混合比率を検知する透磁率センサを備え、印刷開始後の前記透磁率センサの出力値変動幅に基づいて、前記エアーの吸引量を変化させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、現像剤として、重量平均粒径が5〜10μmで、5μm以下が60〜80個で数%含まれているトナーと重量平均粒径65μm以下のキャリアとを混合した2成分系現像剤を用いることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記現像装置の現像スリーブの線速を700mm/秒以上に設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防止することが可能な画像形成装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るトナー飛散防止装置を備える画像形成装置としてレーザ複写機の全体構成を示す概略図である。図2は、図1におけるレーザ複写機の要部の部分を拡大して示す概略構成図である。
【0016】
図1及び図2を参照して、画像形成装置本体10内には、ドラム状の像担持体12を設けている。この像担持体12のまわりには、帯電装置13、現像装置14、転写・搬送装置15、クリーニング装置16、除電装置17等を配置している。
【0017】
それらの上部には、レーザ書き込み装置18を設けている。このレーザ書き込み装置18には、レーザダイオード等の光源20、走査用の回転多面鏡21、ポリゴンモータ22、fθレンズ等の走査光学系23等を備えてなる。クリーニング装置16の図中左側には、定着装置25を配置している。
【0018】
定着装置25には、ヒータを内蔵する定着ローラ26と、この定着ローラ26に下方から押し当てる加圧ローラ27を設けている。また、画像形成装置本体10内の上部には、原稿読み取り装置30を備えている。原稿読み取り装置30には、光源31、複数のミラー32、結像レンズ33、CCD等のイメージセンサ34等を設けている。
【0019】
上述した現像装置14は、図2からもわかるとおり、現像タンク50と現像ホッパ60とからなっている。現像タンク50では、現像ケース59内に、第1現像ローラ51、第2現像ローラ52、パドルホイール53、攪拌ローラ54、搬送スクリュ55、セパレータ56、ドクタブレード57、トナー濃度センサ58等を設けている。
【0020】
また、現像ケース59内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を収納する。現像ホッパ60内には、歯車状のトナー補給部材61、補給規制板62、アジテータ63等を設けている。この現像ホッパ60内には、トナーを収納している。
【0021】
そして、現像装置14では、現像ケース59内の2成分現像剤を、攪拌ローラ54の回転により攪拌して摩擦帯電し、パドルホイール53の回転によって跳ね上げ、第1現像ローラ51及び第2現像ローラ52内の磁石によってそれらの第1現像ローラ51及び第2現像ローラ52に吸着する。
【0022】
第1現像ローラ51及び第2現像ローラ52に吸着した現像剤は、それらの第1現像ローラ51及び第2現像ローラ52外周の現像スリーブにより搬送してドクタブレード57により余剰分を掻き落とした後、現像バイアスにより像担持体12に付着してその像担持体12上の静電潜像を現像する。
【0023】
本実施の形態では、現像スリーブの線速は700mm/秒である。この現像装置14では、像担持体12に付着してトナーを消費すると、その割り合い(トナー濃度)が減少する。そこで、現像剤中のトナー濃度がトナー濃度の目標値に対して所定値以下になると、アジテータ63を回転してトナーを攪拌するとともにトナー補給部材61へと搬送する。
【0024】
そのトナー補給部材61を回転して補給規制板62を揺動し、現像ホッパ60から現像タンク50内へとトナーを補給して現像剤中のトナー濃度を維持する。現像剤中のトナー濃度は、現像ケース59の下部に取り付けてあるトナー濃度センサ58により測定する。
【0025】
本実施形態では、所定の印刷枚数ごとに、基準濃度パッチ潜像がレーザ光によって書き込まれ、パッチの現像バイアスが印加され、所定の現像ポテンシャル(本実施形態では280V)で基準濃度トナー像(以下、濃度パッチという)が現像される。
【0026】
濃度パッチの反射濃度を反射濃度センサによって検知し、その反射濃度が一定範囲になるようにトナーホッパ60中のトナーが補給される。濃度パッチは、反射濃度センサによってその反射濃度(Vsp)を検知する。地肌濃度(Vsg0)は1ジョブ間の像担持体起動時(現像起動前)の、像担持体上にトナーが全く付着していない状態で検知する。
【0027】
濃度パッチの反射濃度のセンサ出力(Vsp)と地肌の反射濃度(Vsg0)の比から、透磁率センサ(トナー濃度センサ58)の目標値Vrefが決定される。透磁率センサは現像剤の透磁率を検知する(Vt:現像剤のトナー濃度が低いほどVtは大きくなる)。
【0028】
Vref−Vt≦0の時トナー補給を行い、Vref−Vtの絶対値が大きいほどトナー補給量も大きくする。Vref−Vt>0のときには(トナー濃度は十分高いと考え)トナー補給は行わない。
【0029】
現像装置14では、重量平均粒径が5〜10μmで、5μm以下が60〜80個数%含まれているトナーと、重量平均粒径65ミクロンm以下のキャリアとを含む2成分系現像剤が用いられる。トナーの構成として樹脂成分、着色剤からなり、さらに、ワックス成分や無機微粒子を添加した構成を採用する場合もある。
【0030】
製造方法は、特に限定されるものではなく、粉砕方式、重合方式いずれを用いることも可能である。樹脂成分としては、従来公知の樹脂全てを用いることができ、例えば以下のものが挙げられる。
【0031】
すなわち、それらは、スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体等である。
【0032】
また、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂等が挙げられる。
【0033】
さらに、単独使用も可能であるが、2種類併用してもよい。着色剤として公知のものとしては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、オイルブラック、アゾオイルブラック等があるが、特に限定はされない。
【0034】
ワックス成分として公知のものとしては、カルナウバワックス、ライスワックス、合成エステルワックス等があるけれども、特に限定されるものではない。無機微粒子として公知のものとしては、シリカ、酸化チタン微粉末等が用いられる。
【0035】
ところで、上述したとおり、像担持体12に付着したトナーは、転写・搬送装置15によってシートに静電転写する。ところが、約10%のトナーは、未転写となって像担持体12上に残る。
【0036】
未転写となって像担持体12上に残った残留トナーは、クリーニング装置16に設けているクリーニングブレード65及びブラシローラ66によって像担持体12上から掻き落とされる。
【0037】
クリーニング装置16によって像担持体12上から掻き落とされたトナーは、クリーニング装置16の回収タンク67内に入る。そして、そのトナーは、回収スクリュ68によってクリーニング装置16の片側に搬送され、図示してない排出口から排出してトナーリサイクル装置へと導かれる。
【0038】
本実施形態では、図1に示すように、現像装置14に接続してトナー飛散を防止するトナー飛散防止装置70を備えている。このトナー飛散防止装置70には、現像装置14と吸気チューブ71で接続して、画像形成装置本体10内に排気手段72を備え、また、その排気手段72と排気チューブ73で接続して、給紙テーブル43内にトナー貯留手段74を備えている。
【0039】
トナー回収装置であるトナー飛散防止装置70は、図示してないファンまたはポンプ(後述)を用いてトナー吸引または吸引上流部の減圧を可能にしたトナー及びエアー吸引装置、チューブ等のトナー及びエアー吸引経路、トナー貯留可能な回収ボトル、及びこの回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させることが可能な圧抜きフィルタを備え、トナー及びエアー吸引装置の吸引量が可変である。
【0040】
図3は、トナー飛散防止装置の排気手段近傍の構成を示す分解斜視図である。図4は、トナー飛散防止装置のトナー貯留手段近傍の構成を示す斜視図である。図3に示すように、吸気チューブ71の先端には、吸引ダクト75(図2)を取り付けている。
【0041】
トナー及びエアーを吸引する吸引ダクト75は、細長矩形状で、上面中央に吸気チューブ71の一端を接続する接続口(図示せず)を有している。そして、この吸引ダクト75は、図2に示すように、両端を、現像ケース59の両側に対向して設けるガイド溝82内に矢印方向に挿入して現像ケース59の開口83に取り付け、その後現像タンク50に現像ホッパ60を取り付けることにより抜け止めする。
【0042】
次に、図1に示す排気手段72は、図3に示すように、ポンプ86の吸気口87に吸気チューブ71の他端を取り付け、排気口88に排気チューブ73の一端を取り付ける。また、モータ89の駆動軸90に取り付けた偏心ピン91をゴム部材92の一部93に嵌め付ける。
【0043】
そして、図示してない現像モータと連動してモータ89を駆動し、このモータ89の駆動によりゴム部材92の中央を図中矢印方向に往復動し、図示しない吸気弁を開いて同じく図示しない排気弁を閉じる。
【0044】
現像装置14内の空気を上述した吸引ダクト75の吸込み口から吸い込み、吸気チューブ71内の排気路を通して吸気口87からポンプ86内に入れ、吸気弁を閉じて排気弁を開き、ポンプ86内の空気を排気チューブ73の排気路を通してトナー貯留手段74へと送り込む。
【0045】
このようにして、現像装置14が動作しているときは、常に排気手段72を駆動してトナー飛散防止装置70により現像装置14内の空気を吸い込むことによって、現像装置14内の浮遊トナーを吸引するとともに、図2に示す現像ケース59の現像開口95に吸込み気流を発生し、周辺の空気を吸い込むことで、現像装置14からのトナー飛散を防止することができる。
【0046】
図4に示すように、トナー貯留手段74は幅と高さがあり、かつ、奥行きの小さな回収ボトル97で、図1に示すように給紙テーブル43内において搬送路46に沿ってその外側に配置している。
【0047】
その上面片側に排気チューブ73の他端を接続する入口98を有し、外面には少し高い位置に開口を有している。そして、回収ボトル97に大きなフィルタ状のトナー捕集手段100を取り付け、このトナー捕集手段100で開口を塞いでいる。
【0048】
トナー捕集手段100は、フッ素樹脂の中でも最も化学的安定性の高いPTFE(ポリテトラフロロエチレン)を特殊技術で延伸加工し、微細な連続多孔質構造を持たせたものであり、空気は通すけれども、トナーは捕集して回収ボトル97内に貯める。
【0049】
なお、このようにトナー捕集手段100として延伸多孔質PTFEを使用すると、圧力を加えながら空気を通しても、静電フィルタ等の他のフィルタと違ってトナー漏れがなく、トナーを確実に捕集することができる。
【0050】
これにより、排気手段72から排気チューブ73を通して送られてきた空気をトナー貯留手段74に入れ、トナー捕集手段100でトナーを捕集する。捕集したトナーは回収ボトル97内に貯め、トナー捕集後の空気は排気グリルを通して画像形成装置本体10の外部に排出する。また、回収ボトル97の開口とその開口を塞ぐトナー捕集手段100は、目詰まりが生じないようにできるだけ大きい方がよい。
【0051】
本実施形態では、図3に示すように、トナー及びエアー吸引装置の駆動源としてモータ89を用いている。したがって、トナー及びエアー吸引装置の吸引量の制御は、モータの回転数を変化させることで実現させている。
【0052】
図5は、回収装置のモータ回転数と現像装置内の気圧の関係をグラフで示す図である。図5には、モータ回転数と現像装置内の気圧(以下、内圧という)の関係を示している。このとき現像装置は動作させていない。現像装置内の内圧は、バリダイン社製圧力トランスデューサ/クローネ社製プレッシャアンプMS1001にて測定した。
【0053】
図6は、現像装置の駆動時間と現像装置の内圧の関係をグラフで示す図である。図2を参照して、現像ローラ50及び51の回転により、現像開口95から周辺の空気を現像装置14内に吸い込む気流が発生することにより、現像装置14の内圧が上昇する。トナー飛散を防ぐためには、現像装置14の内圧が負圧になるように、吸引装置の回転数を決定すればよい。
【0054】
図6を見ると、駆動開始後から内圧が飽和するまで10秒程度要していることがわかる。このことから、現像装置14の駆動時間が10秒以下である間欠印刷ジョブを多用する場合、現像装置14の内圧が飽和する前に印刷ジョブが終了してしまう。
【0055】
吸引装置(モータ)89(図3)が発生する負圧は、現像装置14の駆動による正圧と比較して、吸引装置89の駆動後急速に立ち上がる。このため、現像装置14が発生する負圧の飽和値に合わせて吸引装置89の回転数を決定した場合、間欠印刷ジョブを多用すると、必要以上にトナーを吸引することになり、トナー回収装置(トナー回収タンク)67(図2)の回収トナー量が増え、結果としてトナー回収装置67の交換サイクルが短くなってしまう。
【0056】
図7は、本実施形態における制御を反映した画像形成装置において、5,000枚印刷実験を行ったときのトナー回収量をグラフで示す図である。本実施形態では、印刷開始後から15枚目までは吸引装置の回転数を1,700rpmとし、それ以降を2,300rpmとした。図7にはこの制御を反映した画像形成装置において、5,000枚印刷実験を行った際のトナー回収量を示している。
【0057】
印刷モードは、1,000枚連続ジョブを5回、100枚連続ジョブを50回、5枚連続ジョブを1,000回、の3種類とした。この結果から、吸引装置の回転数を固定にしたままでは、印刷ジョブの回数が増えるにつれて、回収トナー量が増えていくが、印刷開始後の印刷枚数に基づいて吸引装置の回転数変更の制御を行うことで、トナー飛散を抑制しつつ、過剰にトナーを回収することを防げることがわかる。
【0058】
このように、印刷開始後の印刷枚数に基づいてエアー吸引量を可変とすることで、トナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナーを過剰に回収することを防ぎ、トナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐことができる。
【0059】
図8は、本実施形態における制御を反映した画像形成装置において、5,000枚印刷実験を行ったときのトナー回収量をグラフで示す図である。また、印刷開始後の駆動時間に基づいて吸引装置の回転数を設定することで、より確実に効果を発揮することができる。
【0060】
本実施形態では、印刷開始後から15秒までは吸引装置の回転数を1,700rpmとし、それ以降を2,300rpmとした。図8には、この制御を反映した画像形成装置において、5,000枚印刷実験を行った時のトナー回収量を示している。この結果から、印刷開始後の駆動時間に基づいて吸引装置の回転数を設定することで、トナー飛散を抑制しつつ過剰にトナーを回収することを防げることがわかる。
【0061】
このように、印刷開始後の動作時間に基づいて、エアー吸引量を可変とすることで、より確実にトナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナーを過剰に回収することを防ぎ、トナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐことができる。
【0062】
図9は現像装置駆動後の、現像剤の透磁率を検知する透磁率センサの出力値の変動をグラフで示す図である。図9には、現像装置駆動後の、現像剤の透磁率を検知する透磁率センサの出力値(Vt)の変動を示している。現像剤重量に対するトナーの重量は4wt%である。
【0063】
この結果から、Vt値が駆動開始後から上昇していき、10秒程で一定の値を示すことがわかる。これは、静止状態の現像剤と攪拌状態の現像剤の嵩密度が異なることに起因している。嵩密度が異なる要因として、キャリアが保持する電荷の変動によるキャリア同士の斥力の変化等が考えられる。
【0064】
このことから、Vt値の出力が安定推移するまでの吸引装置の回転数と、Vt値が安定推移するときの吸引装置の回転数とを個別に設定することで、間欠印刷ジョブが多用された場合であっても、トナー飛散を抑制しつつ、過剰にトナーを回収することを防ぐことができる。
【0065】
図10は、5,000枚印刷実験を行ったときのトナー回収量をグラフで示す図である。本実施形態では、1枚印刷ごとにVt値を更新し、現像装置駆動後、Vt値が3枚連続で0.02V以内の幅で収まるまでの間について、吸引装置の回転数を1,700rpmとし、それ以後の回転数を2,300rpmとした。
【0066】
この結果から、現像装置駆動後のVt値の推移に基づいて吸引装置の回転数を設定することで、間欠印刷ジョブが多用された場合であっても、トナー飛散を抑制しつつ、過剰にトナーを回収することを防げることがわかる。
【0067】
このように、乾式2成分現像を用いた場合に、現像装置内のトナーとキャリアの混合比率を検知する透磁率センサを備え、印刷開始後の透磁率センサの出力値の変動幅に基づいて、エアー吸引量を可変とすることで、トナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナーを過剰に回収することを防ぎ、トナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐことができる。
【0068】
図11は、トナー及びキャリアの粒径とこれらに対するトナーの回収量との関係をグラフで示す図である。上述した構成において捕集されるトナーの量は、小粒径のキャリアと組み合わせて用いることにより、従来の比較的大径であるキャリアを用いた場合と比較して少なくすることが可能であり、これによってトナー捕集手段100(図4)の目詰まりを遅らせることができる。
【0069】
つまり、小粒径のキャリアを用いて小粒径のトナーと合わせて2成分現像剤とすることにより、従来のキャリアに比べてキャリア重量当たりの表面積が増加し、トナーによるキャリアへの被覆率が低下する。
【0070】
このため、トナーのキャリアに対する接触確立が向上し、トナーの帯電不良を防止することができる。このため、キャリアへのトナー付着率が高まることで浮遊トナーが低減される。
【0071】
図11に示す結果から明らかなように、小粒径トナーを適用する場合には小粒径のキャリアを用いることで、画質の向上と回収トナー量の低減を両立することができる。
【0072】
具体的には、現像剤として、重量平均粒径が5〜10μmで、5μm以下が60〜80個、数%含まれているトナーと重量平均粒径65μm以下のキャリアとを混合した2成分系現像剤を用いることで、トナー飛散の余裕度と画像品質を向上させつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナーを過剰に回収することを防ぎ、トナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐことができる。
【0073】
図12は、現像装置の現像スリーブ線速に対する現像装置の内圧をグラフで示す図である。図12に示す結果から、現像スリーブ線速を上げていくと、現像装置の内圧も上昇していく。
【0074】
再度、図2を参照して、現像開口95から現像装置14内へ吸い込む気流は、現像ローラ50及び51の回転により発生すると考えられるので、現像ローラ50及び51の回転数上昇に伴い、単位時間当たりに現像装置14内に流入する空気も増加し、現像装置14内の内圧も上昇すると推測できる。
【0075】
スリーブ線速が低いものでは、現像装置14の静止時と駆動時での内圧差が比較的小さく、5秒程度で現像装置14の内圧が飽和する。したがって、間欠印刷ジョブが増えたとしても、回収トナー量の増加は比較的少ない。
【0076】
しかしながら、スリーブ線速が700mm/秒以上の高速域では、現像装置14の静止時と駆動時の内圧差が大きく、内圧が飽和するまでの時間も長い。したがって、スリーブ線速が700mm/秒以上の現像装置において、現像装置の内圧変化に対応して吸引装置の回転数を切り換えることで、間欠印刷ジョブが多用された場合であっても、トナー飛散を抑制しつつ、過剰にトナーを回収することを防ぐことができる。
【0077】
このように、現像装置14のスリーブ線速を700mm/秒以上に設定することで、効果的にトナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナーを過剰に回収することを防ぎ、トナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐことができる。
【0078】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0079】
上記の実施形態によれば、ポンプを用いトナー吸引または吸引上流部の減圧を可能にしたトナー及びエアー吸引装置、チューブ等のトナー及びエアー吸引経路、トナー貯留可能な回収ボトル、及びこの回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させることが可能な圧抜きフィルタを備えたトナー回収装置を用い、トナー及びエアー吸引装置の吸引量が可変である画像形成装置において、印刷開始後の印刷枚数、印刷開始後の動作時間、印刷開始後の透磁率センサの出力値変動幅等に基づいて、エアー吸引量を変化させることで、トナー飛散を抑制しつつ、間欠ジョブが多用されていた場合でもトナーを過剰に回収することを防ぎ、トナー回収容器の交換サイクルが短くなるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部の部分を拡大して示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態におけるトナー飛散防止装置の排気手段近傍の構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態におけるトナー飛散防止装置のトナー貯留手段近傍の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における、回収装置のモータ回転数と現像装置内の気圧の関係をグラフで示す図である。
【図6】本発明の実施形態における、現像装置の駆動時間と現像装置の内圧の関係をグラフで示す図である。
【図7】本発明の実施形態における制御下で5,000枚印刷実験を行ったときのトナー回収量をグラフで示す図である。
【図8】本発明の実施形態における制御下で5,000枚印刷実験を行ったときのトナー回収量をグラフで示す図である。
【図9】本発明の実施形態における、現像装置駆動後の、現像剤の透磁率を検知する透磁率センサの出力値の変動をグラフで示す図である。
【図10】本発明の実施形態における制御下で5,000枚印刷実験を行ったときのトナー回収量をグラフで示す図である。
【図11】本発明の実施形態における、トナー及びキャリアの粒径とこれらに対するトナーの回収量との関係をグラフで示す図である。
【図12】本発明の実施形態における、現像装置の現像スリーブ線速に対する現像装置の内圧をグラフで示す図である。
【符号の説明】
【0081】
10 画像形成装置本体
14 現像装置
16 クリーニング装置
50 現像タンク
58 透磁率センサ(トナー濃度センサ)
59 現像ケース
60 現像ホッパ
67 回収ボトル(クリーニング装置の)
70 トナー飛散防止装置(トナー回収装置)
71 吸気チューブ
72 排気手段
73 排気チューブ
74 トナー貯留手段
75 吸引ダクト
86 ポンプ(トナー及びエアー吸引装置の駆動源)
97 回収ボトル(トナー貯留手段の)
100 圧抜きフィルタ(トナー捕集手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像をトナー現像する現像装置を備え、ポンプを用いてトナー及びエアー吸引を行い、吸引されたトナーを貯留可能な回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させ得る圧抜きフィルタを備えるトナー飛散防止装置を用い、トナー及びエアーの吸引量が可変である画像形成装置において、印刷開始後の印刷枚数に基づいて、前記エアーの吸引量を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
潜像をトナー現像する現像装置を備え、ポンプを用いてトナー及びエアー吸引を行い、吸引されたトナーを貯留可能な回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させ得る圧抜きフィルタを備えるトナー飛散防止装置を用い、トナー及びエアーの吸引量が可変である画像形成装置において、印刷開始後の動作時間に基づいて、前記エアーの吸引量を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
潜像をトナー現像する現像装置を備え、ポンプを用いてトナー及びエアー吸引を行い、吸引されたトナーを貯留可能な回収ボトル内で上昇した圧力を減圧させ得る圧抜きフィルタを備えるトナー飛散防止装置を用い、トナー及びエアーの吸引量が可変である乾式2成分現像を用いる画像形成装置において、前記現像装置内のトナーとキャリアの混合比率を検知する透磁率センサを備え、印刷開始後の前記透磁率センサの出力値変動幅に基づいて、前記エアーの吸引量を変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
現像剤として、重量平均粒径が5〜10μmで、5μm以下が60〜80個で数%含まれているトナーと重量平均粒径65μm以下のキャリアとを混合した2成分系現像剤を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置の現像スリーブの線速を700mm/秒以上に設定したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−102359(P2008−102359A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285431(P2006−285431)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】