説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の総電流と、定着器の定着電流とを検出するカレントトランスの出力を選択的に抽出する制御を行い、電流算出部を共用可能としてコストダウンを実現する画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置401の総電流値を検出する第1の電流検出手段512と、定着器431の定着電流値を検出する第2の電流検出手段601との出力に基づき各出力の平均値または実効値を算出する電流算出部514と、第1の電流検出手段の出力または第2の電流検出手段の出力を選択し電流算出部へ入力する入力選択手段と、電流算出部の出力に基づき画像形成装置を制御する制御部201とを有し、前記制御部は、画像形成装置の総電流値を検出する場合は、第1の電流検出手段の出力を電流算出部へ入力する制御を行い、定着器の定着電流値を検出する場合は、第2の電流検出手段の出力を電流算出部へ入力する制御を行うことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に流れる総電流と、熱定着装置に流れる電流を検出し制御する制御装置を具備した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真プロセスを用いた画像形成装置が知られており、この画像形成装置においては電子写真プロセスなどの画像形成手段により転写紙上に形成された未定着画像(トナー像)が、熱定着装置により転写紙上に定着される。熱定着装置としては、例えば特許文献1または2に開示されたハロゲンヒータを熱源とする熱ローラ式の熱定着装置やセラミック面発ヒータを熱源とするフィルム加熱式の熱定着装置が知られている。
【0003】
上述した熱定着装置を用いた画像形成装置においては、近年、画像形成装置または熱定着装置へ入力される各々の電流値を検出し、検出した結果を用いて画像形成装置の熱定着装置への電力投入量を制御することが行われている。「画像形成装置への入力電流」、「熱定着装置への入力電流」の2つの電流の検出について説明する。
【0004】
<画像形成装置への入力電流>
本体電源投入後にプリント可能状態へ速やかに移行するためには定着装置の温度を急速に上昇させなければならず、そのためには定着装置への供給電流量を可能な限り多くする必要性がある。しかしながら商用交流電源においてはコンセントの電流定格による電気用品安全法の規制があり定格電流以下の電流しか使用することができない。そのため、例えば特許文献3で開示されているように画像形成装置への入力電流を検出する手段を設け、定格電流値以下でより多くの電流を定着装置に供給する制御が行われている。
【0005】
<熱定着装置への入力電流>
また、画像形成装置は、各国の商用電源の電圧値および多様化する紙種に対し安定した定着性を得ることが求められている。そこで、例えば特許文献4に開示されているように熱定着装置への入力電流と、熱定着装置に配された温度検出素子からの出力に基づいて熱定着装置への電力投入量を制御する手法が使われている。
【特許文献1】特開昭63−313182号公報
【特許文献2】特開平04−204984号公報
【特許文献3】特開平10−274901号公報
【特許文献4】特開平06−202512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した交流電源の電流を検出し制御に使用する場合、例えば特許文献4に開示されているように各部の電流検出素子としてカレントトランスを用いる方法がある。特許文献4によれば、カレントトランスの2次側出力から交流半波毎の平均値もしくは実効値を求める電流算出回部の出力を用いて制御する手法が示されている。
【0007】
つまり、「画像形成装置への入力電流」と「熱定着装置への入力電流」の2つの電流を検出し制御を行う場合には、カレントトランスからの出力を用いて平均値もしくは実効値を求める電流算出部を個別に設ける回路構成となっている。
【0008】
しかし、「画像形成装置への入力電流」と「熱定着装置への入力電流」を検出する各々のカレントトランスに対応して個別に電流算出部を設ける必要があるため、コストアップを伴っていた。
【0009】
本発明は以上の点に着目し成されたもので、画像形成装置と定着装置の電流値を検出する各々のカレントトランスの2次側出力を、入力選択手段で切り替えることにより電流算出部を共用可能とし、コストダウンが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の目的を達成するため、以下(1)〜(6)の構成を備えるものである。
【0011】
(1)電力が供給されると発熱する発熱体を有する加熱手段を具備した画像形成装置において、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出し電圧値を出力する第1の電流検出手段と、前記加熱手段に供給される電流値を検出し電圧値を出力する第2の電流検出手段と、前記第1の電流検出手段または前記第2の電流検出手段の出力に基づいて各出力の平均値もしくは実効値を算出する電流算出部と、前記第1の電流検出手段からの出力もしくは前記第2の電流検出手段からの出力のどちらか一方を選択し前記電流算出部へ入力する入力選択手段と、前記電流算出部からの出力に基づいて前記画像形成装置を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記入力選択手段により前記第1の電流検出手段の出力のみが前記電流算出部へ入力されるよう制御し、また、前記加熱手段に供給される電流値を検出する場合には、前記入力選択手段により前記第2の電流検出手段の出力のみが前記電流算出部へ入力されるよう制御することを特徴とする画像形成装置。
【0012】
(2)前記第1の電流検出手段の出力と前記第2の電流検出手段の出力を直列に接続して得られる出力を前記電流算出部へ入力し、前記入力選択手段は、前記第1の電流検出手段からの出力を短絡するよう配された第1の半導体スイッチと、前記第2の電流検出手段からの出力を短絡するよう配された第2の半導体スイッチを具備し、前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記第2の電流検出手段の出力を第2の半導体スイッチで短絡するよう制御し、また、前記加熱手段に供給される電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力を第1の半導体スイッチで短絡するよう制御することを特徴とする前記(1)記載の画像形成装置。
【0013】
(3)前記制御部は、前記第1の電流検出手段または前記第2の電流検出手段を短絡または開放するよう制御した場合には、所定時間経過した後の前記電流算出部の出力に基づいて前記画像形成装置の制御を行うことを特徴とする前記(1)または(2)記載の画像形成装置。
【0014】
(4)電力が供給されると発熱する発熱体を有する加熱手段を具備した画像形成装置において、前記画像形成装置の電源部に供給される電流値を検出し電圧値を出力する第1の電流検出手段と前記加熱手段に供給される電流値を検出し電圧を出力する第2の電流検出手段と、前記第1の電流検出手段または前記第2の電流検出手段の出力に基づいて各出力の平均値もしくは実効値を算出する電流算出部と、前記第1の電流検出手段の出力と第2の電流検出手段の出力を足し合わせた出力、もしくは前記第2の電流検出手段からの出力のみを選択し前記電流算出部へ入力する入力選択手段と、前記電流算出部からの出力に基づいて前記画像形成装置を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力と第2の電流検出手段の出力を足し合わせて前記電流算出部へ入力するよう前記入力選択手段を制御し、また、前記加熱手段に供給される電流値を検出する場合には、前記入力選択手段により前記第2の電流検出手段の出力のみが前記電流算出部へ入力されるよう制御することを特徴とする画像形成装置。
【0015】
(5)前記第1の電流検出手段の出力と前記第2の電流検出手段の出力を直列に接続して得られる出力を前記電流算出部へ入力し、前記入力選択手段は、前記第1の電流検出手段からの出力を短絡するよう配された半導体スイッチを具備しており、前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力と前記第2の電流検出手段の出力を足し合わせるため、前記半導体スイッチを開放するよう制御し、また、前記加熱手段に供給している電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力を前記半導体スイッチで短絡するよう制御することを特徴とする前記(4)記載の画像形成装置。
【0016】
(6)前記制御部は、前記第1の電流検出手段を短絡または開放するよう制御した場合には、所定時間経過した後の前記電流算出部の出力に基づいて前記画像形成装置の制御を行うことを特徴とする前記(4)または(5)記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0017】
前記(1)または(4)記載の画像形成装置によれば、画像形成装置または定着器に供給される電流値を検出する電流検出素子の各々の出力を、制御部が入力選択手段を制御することで電流算出部に選択的に入力を切り替えることが可能となる。その結果、画像形成装置の総電流値を算出する電流算出部と定着電流を算出する電流算出部とを共用可能としてコストダウンを実現するものである。
【0018】
前記(2)または(5)記載の画像形成装置は、画像形成装置または定着器に供給される電流値を検出する電流検出素子の出力を、制御部により制御される半導体スイッチを短絡または開放する回路構成を備えた入力選択手段を有している。その結果、画像形成装置の総電流値を算出する電流算出部と定着電流を算出する電流算出部とを共用可能としてコストダウンを実現するものである。
【0019】
前記(3)または(6)記載の画像形成装置の制御部によれば、画像形成装置または定着器に供給される電流値を検出する電流検出素子の出力を半導体スイッチで短絡または開放した時は、所定時間が経過した後の電流算出部の出力を用いる制御を行う。その結果、半導体スイッチのON/OFF直後に発生する電流検出素子の出力の不安定状態を回避し、安定した電流検出素子の出力に基づいて画像形成装置を制御可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0021】
<画像形成装置の概略>
図1は本実施例の画像形成装置(本体)であるオプション装置付きのカラーレーザプリンタの構成図で、画像形成動作を説明する。
【0022】
まず、外部装置であるパーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ441から、各種入出力制御回路(不図示)を備えたビデオコントローラ440に画像データが送信される。ビデオコントローラ440は、カラーレーザプリンタ401の制御部であるエンジン制御基板201上のマイクロコンピュータ207に画像形成の開始を指示するPRINT信号を送信する。そして、受信した画像データをビットマップデータに変換し画像形成用の画像信号を生成する。
【0023】
PRINT信号を受信したエンジン制御基板201は、所定のタイミングで後述する各DCブラシレスモータの駆動を開始する。駆動されるDCブラシレスモータは、スキャナモータ423、及びプロセスカートリッジ410を駆動するメインモータ451、静電吸着搬送転写ベルト(以下ETBと記す)409を駆動するETBモータ452、定着器を駆動する定着モータ453等である。そして、ピックアップローラ404、給紙ローラ405、重送防止用のリタードローラ406を駆動して給紙カセット402から記録紙32を繰り出す。その後、坪量判別手段で記録紙の厚みを判別し、記録紙に応じた画像形成速度及び画像形成条件を選択し、記録紙の判別結果により画像形成速度の変更が必要な場合は、メインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453の回転速度を変更する。また、温度検知センサで画像形成装置の周囲温度を検知し、検知結果に応じて選択した画像形成条件の補正を行う。記録紙は、レジストローラ対407まで搬送して一旦停止する。
【0024】
次に、スキャナユニット420ではビットマップデータに依存した画像信号に基づいてレーザユニット421をON/OFF制御し、ポリゴンミラー422、結像レンズ群424を介して感光ドラム305上に静電潜像を形成する。
【0025】
プロセスカートリッジ410では、感光ドラム305上に形成された静電潜像を現像ローラ302でトナー像に現像する。プロセスカートリッジの構成は、感光ドラム305、感光ドラム305上のトナーを除去するクリーニング手段306、帯電ローラ303と現像ローラ302、トナー格納容器411を備えており、カラーレーザプリンタ401に対し着脱可能となっている。
【0026】
上述したトナー像形成動作は所定のタイミングで、プロセスカートリッジ410とスキャナユニット420の各々4色(イエローY、マゼンタM、シアンC,ブラックK)に対して行われる。
【0027】
一方、レジストローラ対407で一旦停止していた記録紙32を、上記トナー像形成動作に応じた所定のタイミングでETB409に再給紙し、転写ローラ430で感光ドラム305上のトナー像を順次記録紙32上に転写してカラー像を形成する。記録紙32上に形成されたカラートナー像は、熱定着装置である定着器431に搬送され、加熱ヒータ432で所定温度に加熱された定着ローラ433と加圧ローラ434によって加熱、及び加圧され記録紙に定着される。画像が定着された記録紙は、定着排紙ローラ対435により画像形成装置の外に排出される。
【0028】
排出された記録紙32は、搬送ローラ対703、704を駆動するモータ702を有するオプション搬送ユニット701を経由してオプション排紙ユニット801に搬送される。オプション排紙ユニット801は、搬送ローラ対804、805を駆動するモータ802と、排紙トレイ806を昇降動作させるモータ803とを有し、所定枚数毎に記録紙32がソートされ排紙トレイ806に排出される。
【0029】
次にオプションイメージスキャナの動作について説明する。原稿搬送部930に原稿932をセット後、コピーモードか、読み取りデータを電子ファイル化するだけのスキャナモードかを不図示のパネルより選択する。
【0030】
コピーモードを選択した場合、原稿搬送モータ902により所定のタイミングで原稿932を原稿読み込み部931に搬送する。そして、スキャナ駆動モータ903により露光ユニット904を水平移動させ露光手段905の光を原稿932に照射する。原稿からの反射光はミラー906、及び反射手段907内のミラー908、909を経由して受光装置910で受光され、受光した受光信号はイメージスキャナコントローラユニット940に送信される。イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を画像データ化し、ビデオコントローラ440に送信する。その後は、ホストコンピュータ441からの画像データに基づく画像形成と同様の動作で画像形成を行う。
【0031】
一方、スキャナモードを選択した場合、イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を所定のファイル形式で電子ファイル化し、ビデオコントローラ440経由でホストコンピュータ441に送信する。
【0032】
なお、通常、オプションイメージスキャナの動作はイメージスキャナコントローラユニット940により制御され、カラーレーザプリンタ401の画像形成動作とは独立に動作する。
【0033】
オプション給紙ユニット651は異なる記録紙に対応するためのオプション給紙ユニットであり、記録紙32を収納する給紙カセット652、給紙カセット652から記録紙32を繰り出すピックアップローラ654とを有する。
【0034】
電源部である低圧電源202は、商用交流電圧を降圧して直流電圧に変換し、各DCブラシレスモータや、エンジン制御基板201などに電力を供給している。
【0035】
図2は本実施例における画像形成装置をより詳しく説明するための回路図であり、この回路図に基づいて画像形成装置の動作を説明する。
【0036】
<低圧電源回路の動作>
電力供給手段を構成するメインスイッチ503がONされると、低圧電源202にACインレット501及び商用交流電源のノイズを除去するACフィルタ502を介して電力が供給され、商用交流電流が流れるとダイオードブリッジ504で全波整流される。そして、コンバータ制御回路506によりコンバータ505がスイッチングされ、コンバータ505の2次側に脈流電流が励起される。前記脈流電流はダイオード507及び平滑コンデンサ508により整流される。
【0037】
整流後の電圧を定電圧制御手段509が検知し、一定電圧(本実施例では24V)になるようにフォトカプラ510を介してコンバータ制御回路506を制御する。整流された24V電圧は、メインモータ451等の各DCブラシレスモータに供給されるとともに、DC/DCコンバータ511に供給され3Vが生成される。生成された3Vはエンジン制御基板201に供給され、画像形成装置の制御に使用される。
【0038】
<定着器の温度制御動作>
次に、定着器の温度制御動作について説明する。
【0039】
エンジン制御基板201はサーミスタ530と抵抗531の分圧電圧をA/D1ポート(図中ではAD1と記載)を介して定着ローラ433の温度を検知する。サーミスタ530は温度の上昇とともに抵抗値が低下する特性をもっており、エンジン制御基板201はA/D1ポートの分圧電圧より定着ローラ433の温度を検出する。定着器431に含まれる発熱体としての加熱ヒータ432には、リレー522、トライアック523及びサーモスイッチ529を介して商用交流電源から電力が供給される。
【0040】
エンジン制御基板201は、ゼロクロス検知回路515を介して、商用交流電源の正負が切り替わるタイミング、いわゆるゼロクロスを検知し、内部ゼロクロス信号を生成する。そして、ゼロクロスを検知してから所定時間経過した後(以降TOFFと記す)にON/OFF1ポートよりトライアックON信号を出力し、トランジスタ528をONする。トランジスタ528がONすると、抵抗527を介してフォトトライアックカプラ526に電流が流れフォトトライアックカプラ526がONする。フォトトライアックカプラ526がONすると抵抗524、525を介してトライアック523にゲート電流が流れ、トライアック523がONし、加熱ヒータ432に電流が流れ発熱する。そして、トライアック523はゲート電流がゼロ、すなわち次のゼロクロスのタイミングでOFFする。
【0041】
エンジン制御基板201はTOFFを制御することで、定着ローラ433が所定温度になるように制御する。また、画像形成装置のドアと連動して開閉するインタロックスイッチ521により、画像形成装置のドアを開けると加熱ヒータに供給される電流を遮断する保護回路522を備えている。
【0042】
<電流検出回路の概略>
次に本実施例における電流を検出する回路構成について説明する。
【0043】
まず、第1の電流検出手段であるカレントトランス512及び抵抗513によってカラーレーザプリンタ401の本体に流れる総電流値を電流−電圧変換する。次に、定着電流をモニタする第2の電流検出手段であるカレントトランス601及び抵抗602によって加熱ヒータ432に流れる定着電流値を電流−電圧変換する。電流検出手段のカレントトランス512とカレントトランス601は、各々の2次側出力は直列に接続されており、直列に接続された2次側出力を用いて、電流算出部である電流検知回路514では実効値演算が行われる。電流検知回路514の出力はエンジン制御基板201のA/D2ポート(図中ではA/D2と記載)に入力され、A/D2ポートの電圧値に基づいて電流値を検知する。
【0044】
本実施例においては、エンジン制御基板201のOUT1ポート、OUT2ポート(図中ではOUT1、OUT2と記載)の制御信号によりカレントトランスの2次側出力をMOSFET603,604により選択して短絡することができる。MOSFET603,604を短絡することでカレントトランス512もしくはカレントトランス601の2次側出力を選択して電流検知回路514へ入力選択することができるため、電流検知回路514が共用可能となりコストダウンを実現することができる。
【0045】
<電流検出手段の制御動作>
エンジン制御基板201によるカレントトランス512もしくはカレントトランス601の出力を選択する制御について説明する。
【0046】
エンジン制御基板201は、画像形成装置401に流れる総電流値を検出する場合、エンジン制御基板201のOUT1ポートをHighに設定する。OUT1ポートに接続された入力選択手段を構成するトランジスタ605、トランジスタ607はONとなり、MOSFET603のゲート端子が約24Vに引き上がりMOSFET603をONとすることで、カレントトランス601の2次側出力を短絡する。MOSFET603が定着電流を検出するカレントトランス601の2次側出力を短絡する第2の半導体スイッチとして機能する。
【0047】
一方、エンジン制御基板201のOUT2ポートをLowに設定しておくことで、同じく入力選択手段を構成するトランジスタ608およびトランジスタ610、MOSFET604はOFFとなる。カレントトランス512の2次側出力は、画像形成装置401の総電流値に比例した電圧値が出力される。その結果、電流検知回路514にはカレントトランス512の2次側出力電圧のみが選択的に入力され、エンジン制御基板201は電流検知回路514の出力を画像形成装置401に流れる総電流値と判断し、後述する加熱ヒータ432の電流抑制制御に使用する。
【0048】
また、エンジン制御基板201は、加熱ヒータ432への定着電流値を検出する場合、エンジン制御基板201のOUT2ポートをHighに設定する。OUT2ポートに接続されたトランジスタ608、トランジスタ610はONとなり、MOSFET604のゲート端子が約24Vに引き上がりMOSFET604をONとすることで、カレントトランス512の2次側出力を短絡する。MOSFET604が画像形成装置401の総電流を検出するカレントトランス512の2次側出力を短絡する第1の半導体スイッチとして機能する。
【0049】
一方、エンジン制御基板201のOUT1ポートをLowに設定しておくことで、トランジスタ605およびトランジスタ607、MOSFET603はOFFとなり、カレントトランス601の2次側出力は定着電流値に比例した電圧値が出力される。その結果、電流検知回路514にはカレントトランス601の2次側出力電圧のみが選択的に入力され、エンジン制御基板201は電流検知回路514の出力を加熱ヒータ432への定着電流値と判断し、後述する加熱ヒータ432の電流抑制制御に使用する。A/D2ポートを使用して定着電流に比例した電圧が入力された場合、カレントトランス601の出力が安定するまで所定の時間(実施例では200msec)待機した後に定着電流を検知する制御を行う。
【0050】
<画像形成時の電流抑制動作>
次に図3、図4は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。本実施例においては連続画像形成中に画像形成装置の消費電流が増加した場合において、所望の定着性を確保すると共に、画像形成装置の総電流値がコンセントの定格電流値を超えないように制御する。また、本体の総電流値だけでなく定着器に流れる電流も検知し、総電流が増加した理由が、定着器に流れる電流の増加によるもか否かを判断し、判断結果に応じて電流抑制手段を選択して制御を行う。
【0051】
<通常の連続画像形成中の制御>
まず、図3を用いて通常の連続画像形成中の制御について、ステップS100〜S109に沿って説明する。
【0052】
<S100>
「スタート」
ステップS100で画像形成を開始する。
【0053】
<S101>
「OUT1をHigh、OUT2をLow」
ステップS101でエンジン制御基板201のOUT1ポートをHigh、OUT2ポートをLowに設定し、カレントトランス601の出力を短絡し電流検知回路514にカレントトランス512のみを入力する。その結果、電流検知回路514はカレントトランス512の出力に基づき実効値演算され、エンジン制御基板201は、画像形成装置の総電流の実効値が検知可能となる。
【0054】
<S102>
「定着器の加熱開始」
ステップS102で上述の方法により定着ローラ433の加熱を開始する。
【0055】
<S103>
「モータ駆動開始」
ステップS103でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等の各DCブラシレスモータの駆動を開始する。
【0056】
<S104>
「定着器は温度Taに到達?」
ステップS104で定着器温度が設定温度Taに到達したかを判断する、YESならステップS107へ、NOならステップS105へ進む。
【0057】
<S107>
「画像形成」
ステップS107で定着器温度が設定温度Taに到達したら画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。画像形成中においてエンジン制御基板201は電流検知回路514からの出力をA/D2ポートを使用して検知している。
【0058】
<S108>
「総電流値は規定値以内?」
ステップS108でエンジン制御基板201において画像形成中の画像形成装置の総電流値が規定値以内であるか否かを判断する。YESであればステップS109へ、NOであれば、本体の総電流値が規定値を超えていると判断し、後述する記号A以下のステップS110(図4記載)の電流抑制動作の制御へと移行する。
【0059】
<S109>
「印刷終了?」
ステップS109でプリントジョブが終了したかを判断する、印刷終了でないと判断した場合、ステップS107に戻り画像形成処理を継続する。YESであればステップS124で画像形成を終了する。
【0060】
次に、ステップS104において定着器の温度が規定時間経過しても設定温度Taに到達しない場合の動作は下記の通り。
【0061】
<S105>
「異常低温」
ステップS105で定着器の異常であると判断して、S106へ進む。
【0062】
<S106>
「印刷中止」
ステップS106で画像形成制御を停止させ、ステップS124で画像形成を終了する。
【0063】
<電流抑制動作の制御>
次に図4を用いて、ステップS108において画像形成装置の総電流値が規定値を超えた場合の記号A以下の電流抑制動作の制御について説明する。
【0064】
ステップS108で総電流が規定値を超えて流れていると判断した場合、エンジン制御基板201は、電流抑制動作の制御を行うためステップS110〜S123を実施する。
【0065】
<S110>
「OUT1をLow、OUT2をHigh」
ステップS110でOUT1ポートをLow、OUT2ポートをHighに出力変更し定着電流を検出するカレントトランス601の出力のみが電流検知回路514へ入力されるよう制御する。
【0066】
<S111>
「200msec後の電流算出部の出力を読みとる」
ステップS111で、カレントトランス601の出力が安定するまで200msec待機した後、A/D2ポートを使用して定着電流を検知する。所定時間待機させることでMOSFET604のON/OFFによるカレントトランスの出力の不安定状態を回避し、安定した出力に基づいて制御することができる。
【0067】
<S112>
「定着電流は規定値以内か?」
ステップS112で定着電流が規定値以内か否かを判断する、YESならステップS113へ進み、NOなら定着電流が規定値を超えた単位体積当りの熱容量(以降 坪量と記載)の大きい記録紙だと判断し、ステップS121へ進む。
【0068】
定着電流が規定値以内にある場合について、定着電流以外の総電流増加の原因を判別する動作を下記のステップで説明する。
【0069】
<S113>
「イメージスキャナは動作しているか?」
ステップS113でイメージスキャナ901が動作しているかどうかを判断する。YESならステップS115へ進み、NOならステップS114へ進む。
【0070】
<S115>
「イメージスキャナ停止」
ステップS115でイメージスキャナ901が動作している場合、イメージスキャナ901の動作を停止させる。この制御を行うことで画像形成処理とイメージスキャナ動作を同時に行うことを回避し、消費電力の削減を実現する。
【0071】
<S116>
「画像形成」
ステップS116で画像形成を行う。
【0072】
<S117>
「画像形成は終了したか?」
ステップS117で画像形成が終了したかどうかを判断し、NOであれば画像形成を繰り返す。YESであればステップS118へ進む。
【0073】
<S118>
「イメージスキャナ動作」
ステップS118でイメージスキャナ901の動作を再開させる。
【0074】
<S119>
「画像形成」
ステップS119で再開したイメージスキャナ動作によって読み取った画像をもとに、画像形成処理を行う。
【0075】
<S120>
「印刷終了?」
ステップS120で印刷が終了したかどうかを判断し、終了していない場合はステップS115まで戻り画像形成処理等を続ける。印刷終了の場合は、ステップS124で動作終了となる。
【0076】
次に、ステップS112で定着電流が規定値を超えている場合、すなわち定着電流が規定値超えた単位体積当りの熱容量(以降 坪量)の大きい記録紙の画像形成処理だと判断した場合の動作をステップS121〜S123にて説明する。
【0077】
<S121>
「1/2速に変更」
ステップS121で定着速度を1/2速に変更する。一般的に同じ坪量の記録紙に定着する場合、定着速度が遅いほど定着電流は低くなる。しかし本実施例の場合、定着速度のみを変更することが出来ないため、画像形成速度もあわせて1/2速に変更することで消費電力を削減する。
【0078】
<S122>
「画像形成」
ステップS122で画像形成処理を行う。
【0079】
<S123>
「印刷終了?」
ステップS123で印刷ジョブが終了したかを判断する。ステップS123で印刷終了でないと判断した場合、ステップS122で1/2速モードで画像形成を続ける。YESの場合は、ステップS124で動作終了となる。
【0080】
次に、ステップS113において、定着電流が規定値以内でイメージスキャナ901も動作していないと判断した場合の処理を下記のステップで説明する。
【0081】
<S114>
「画像形成装置の異常処理」
S114で画像形成装置に異常な電流が流れていると判断して画像形成処理を中止し、ステップS124で動作終了となる。
【0082】
<S124>
「終了」
ステップS124では、図3記載のステップS106、S109、及び図4記載のステップS114、S120、S123の処理後、画像形成の動作終了となる。
【0083】
以上、本実施例では画像形成装置に流れる総電流値を検出するカレントトランス512の2次側出力と、定着器に流れる定着電流値を検出するカレントトランス601の2次側出力とを直列に接続する回路構成となっている。直列に接続された各カレントトランスの2次側出力を、制御部の制御によって電流検知回路514へ選択的に入力する回路構成について説明した。本回路構成により電流検知回路514を共用して使用することが可能となり、コストダウンを実現する画像形成装置を提供することができる。
【0084】
なお、本実施例で示したMOSFETのON/OFFによるカレントトランスの出力が安定するまで待機する所定時間の値は、カレントトランスの性能により異なるため上述した値に限るものではない。
【実施例2】
【0085】
<電流検出回路の概略>
本実施例においては定着器に流れる定着電流を検出するカレントトランスと、低圧電源に流れる電源電流を検出するカレントトランスとを配し、さらに各々のカレントトランスの2次側出力を直列に接続し、電流検知回路に入力する構成を有している。本実施例で説明する回路構成は、実施例1で示したカレントトランスの2次側出力を短絡する制御回路を更に簡略化して電流検知回路に入力する回路構成となっている。なお、本実施例におけるカラーレーザプリンタの要部構成は実施例1と同じであるため説明は省略する。
【0086】
図5は本実施例における回路構成を示した回路図である。実施例1と異なり画像形成装置の総電流値を検出する場合は、低圧電源202に流れる電源電流を検出するカレントトランス615と定着電流を検出するカレントトランス601の2次側出力を直列に接続して得られた電圧値をもとに行う。また、定着電流値を検出する場合は、電源電流を検出するカレントトランス615の2次側出力を入力選択手段を構成する半導体スイッチのMOSFET617で短絡するよう制御を行う。
【0087】
具体的な構成としては第1の電流検出手段のカレントトランス615及び抵抗616で低圧電源202に流れる電源電流値を電流−電圧変換する。次に、定着電流を検出する第2の電流検出手段のカレントトランス601、抵抗602によって、加熱ヒータ432に流れる定着電流を電流−電圧変換する。カレントトランス615とカレントトランス601の各々の2次側出力は直列に接続されており、直列に接続された出力を、入力選択手段を用いて選択的に電流算出部の電流検知回路514に入力して実効値演算される。電流検知回路514の出力は、制御部であるエンジン制御基板201のA/D2ポートに入力され、入力された電圧値に基づいて総電流値、または定着電流値を検知する。
【0088】
本実施例では、カレントトランス615の2次側出力をMOSFET617で短絡または開放することで、総電流と定着電流の実効値を算出する電流検知回路514の共用が可能となり、入力選択手段の部品点数を削減したことで更にコストダウンを実現している。
【0089】
<電流検出手段の制御動作>
具体的なエンジン制御基板201による制御を以下に述べる。
【0090】
エンジン制御基板201により画像形成装置401に流れる総電流値を検出する場合、エンジン制御基板201のOUT1ポートをLowに設定する。するとトランジスタ619、トランジスタ621はOFFしMOSFET617もOFFする。その結果、電流検知回路514にはカレントトランス601の2次側出力電圧とカレントトランス615の2次側出力電圧とを足した電圧値が入力される。つまりは定着電流と電源電流を足した電流値に比例した電圧値を電流検知回路514に入力することで、画像形成装置の総電流値を算出することができる。
【0091】
一方、エンジン制御基板201のOUT1ポートをHighに設定しておくことで、トランジスタ619およびトランジスタ621、MOSFET617はONとなり、電源電流を検知するカレントトランス615の2次側出力は短絡される。その結果、電流検知回路514にはカレントトランス601の2次側出力電圧のみが選択的に入力され、エンジン制御基板201はA/D2ポートの電圧値に基づいて定着電流を検知することが可能となる。また、定着電流に比例した電圧が入力された場合、カレントトランス601の出力が安定するまでの所定の時間(実施例では200msec)待機した後に定着電流を検知する制御を行う。
【0092】
<画像形成時の電流抑制動作>
図6、図7は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。本実施例においては連続画像形成中に画像形成装置の消費電流が増加した場合において、所望の定着性を確保するとともに、画像形成装置の総電流値が、コンセントの定格電流値を超えないように制御する。また、総電流だけでなく定着器に流れる電流も検知し、本体の総電流が増加した理由が、定着器に流れる電流の増加か否かを判断し、判断結果に応じて電流抑制手段を選択して制御することができる。
【0093】
<通常の連続画像形成中の制御>
まず、図6を用いて通常の連続画像形成中の制御について、ステップS200〜S224に沿って説明する。
【0094】
<S200>
「スタート」
ステップS200で画像形成が開始される。
【0095】
<S201>
「OUT1をLow」
ステップS201でエンジン制御基板201のOUT1ポートをLowに設定し、MOSFET617をOFFとして、電流検知回路514には、カレントトランス601とカレントトランス615の2次側出力を直列に接続した電圧値を入力する。その結果、エンジン制御基板201は、画像形成装置に流れる総電流の実効値が検知可能となる。
【0096】
<S202>
「定着器の加熱開始」
ステップS202で上述の方法により定着ローラ433の加熱を開始する。
【0097】
<S203>
「モータ駆動開始」
ステップS203でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等の各DCブラシレスモータの駆動を開始する。
【0098】
<S204>
「定着器は温度Taに到達?」
ステップS204で定着器の温度が設定温度Taに到達したか否かをA/D1ポートの入力を使って判断し、NOであればステップS205へ、YESであればステップS207へ移動する。
【0099】
<S205>
「異常低温」
ステップS205では、ステップS204において定着器の温度が規定時間経過しても設定温度Taに到達しない場合には、定着器の異常であると判断してステップS206へ進む。
【0100】
<S206>
「印刷中止」
ステップS206で画像形成を中止し、ステップS224で画像形成を終了する。
【0101】
ステップS204で定着器の温度がTaに到達した場合は、下記のステップS207以降を実施する。
【0102】
<S207>
「画像形成」
ステップS207は、画像形成を開始して所定のタイミングで給紙カセット402から記録紙32を給紙する。
【0103】
<S208>
「総電流値は規定値以内?」
ステップS208は、エンジン制御基板201が画像形成中において電流検知回路514からの出力をA/D2ポートを使用して検出しており、画像形成装置の総電流値が規定値以内であるか否かを判断する。総電流値が規定値以内であればステップS209へ、また、総電流値が規定値を超えている場合は、後述する記号B以下のステップS210〜S224(図7記載)の電流抑制の動作へ移行する。
【0104】
<S209>
「印刷終了?」
S209でプリントジョブが終了したかを判断する。印刷終了でないと判断した場合、ステップS207に戻り画像形成処理を継続する、印刷終了した場合は、ステップS224で画像形成を終了する。
【0105】
<電流抑制動作の制御>
次に図7を用いて、画像形成装置の総電流値が規定値を超えた場合の記号B以下の電流抑制動作について説明する。
【0106】
ステップS208で、画像形成装置の総電流が規定値以上流れていると判断した場合、エンジン制御基板201は、下記の電流抑制動作のステップS210〜S223を実施する。
【0107】
<S210>
「OUT1をHight」
ステップS210でOUT1ポートをHighに出力変更してカレントトランス615の2次側出力をMOSFET617で短絡し、定着電流を検出するカレントトランス601の2次側出力のみが電流検知回路514へ入力されるよう制御する。
【0108】
<S211>
「200msec後の電流算出部の出力を読み取る」
ステップS211でカレントトランス601の出力が安定するまで200msec待機した後、A/D2ポートを使用して定着電流を検知する。所定時間待機させることでMOSFET617のON/OFFによるカレントトランス601の出力の不安定状態を回避し、安定した出力に基づいて制御することができる。
【0109】
<S212>
「定着電流は規定値以内か?」
ステップS212で定着電流が規定値以内か否かを判断する。YESの場合はステップS213へ移動し、NOの場合はステップS221へ移動する。
【0110】
<S213>
「イメージスキャナは動作しているか?」
ステップS213で定着電流が規定値以内である場合は、総電流値増加の原因を判別するためイメージスキャナ901が動作しているか否かを判断する。YESの場合はステップS215へ移動し、NOの場合はステップS214へ移動する。
【0111】
<S215>
「イメージスキャナ停止」
ステップS215で動作しているイメージスキャナ901を停止させる。
【0112】
<S216>
「画像形成」
ステップS216で画像形成を行う。この制御を行うことで画像形成処理とイメージスキャナ動作を同時に行うことを回避し、画像形成装置の消費電力の削減を実現する。
【0113】
<S217>
「画像形成は終了したか?」
ステップS217で画像形成が終了したかどうかを判断し、終了していない場合は画像形成を繰り返す、画像形成処理が終了した時点でステップS218へ移動する。
【0114】
<S218>
「イメージスキャナ動作」
ステップS218で停止していたイメージスキャナ901の動作を再開させる。
【0115】
<S219>
「画像形成」
ステップS219で再開したイメージスキャナ動作によって読み取った画像をもとに、画像形成処理を行う。
【0116】
<S220>
「印刷終了?」
ステップS220で印刷が終了したかどうかを判断し、終了していない場合はステップS215まで戻り画像形成処理等を続ける。
【0117】
次に、ステップS213でイメージスキャナ901が動作していないと判断した場合について説明する。
【0118】
<S214>
「画像形成装置の異常処理」
ステップS214で画像形成装置に異常な電流が流れていると判断し、ステップS224で画像形成の動作を終了させる。
【0119】
また、ステップS212で定着電流が規定値を越えていると判断した場合のステップS221〜S223について説明する。
【0120】
<S221>
「1/2速に変更」
ステップS221では、定着電流の増加の原因が単位体積当りの熱容量(以降、坪量と記載)の大きい記録紙の画像形成処理によるものと判断し、定着速度を1/2速に変更する。一般的に同じ坪量の記録紙に定着する場合には、定着速度が遅いほど定着電流は低くなる。本実施例の場合、定着速度のみを変更することが出来ないため、画像形成速度もあわせて1/2速に変更することで消費電力を削減する。
【0121】
<S222>
「画像形成」
ステップS222で1/2速モードでの画像形成処理を行う。
【0122】
<S223>
「印刷終了?」
ステップS223で印刷ジョブが終了したかどうかを判断する。S223で印刷終了していないと判断した場合、ステップS222の1/2速モードで画像形成を繰り返す。印刷終了の場合は、ステップS224で画像形成の動作終了となる。
【0123】
<S224>
「終了」
図6記載のステップS206、S209、および図7記載のステップS214、S220、S223の処理後、画像形成の動作終了となる。
【0124】
以上、本実施例では、低圧電源電流を検出するカレントトランス615と定着電流を検出するカレントトランス601の2次側出力を直列に接続し、発生する電圧値をもとに画像形成装置に流れる総電流値を検出することができる。その結果、実施例1と同じ効果を、少ないMOSFETとCPUポートを使用して達成することが可能であり、入力選択手段の部品点数を削減したことで、更にコストダウンを実現する画像形成装置を提供することができる。
【0125】
なお、本実施例で示したMOSFETのON/OFFによるカレントトランスの出力が安定するまで待機する所定時間の値は、カレントトランスの性能により異なるため上述した値に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】画像形成装置の構成図
【図2】実施例1における画像形成装置の電流制御回路の構成図
【図3】実施例1における画像形成制御のフローチャート図
【図4】実施例1における電流抑制制御のフローチャート図
【図5】実施例2における画像形成装置の電流制御回路の構成図
【図6】実施例2における画像形成制御のフローチャート図
【図7】実施例2における電流抑制制御のフローチャート図
【符号の説明】
【0127】
201 エンジン制御基板(制御部に対応)
202 低圧電源(電源部に対応)
207 マイクロコンピュータ
304 現像ローラ
305 感光ドラム
401 カラーレーザプリンタ(画像形成装置に対応)
409 静電吸着搬送転写ベルト
410Y、401M、401C、401K プロセスカートリッジ
420Y、420M、420C、420K スキャナユニット
421Y、421M、421C、421K レーザユニット
431 定着器(加熱手段に対応)
432 加熱用のヒータ(発熱体に対応)
433 定着ローラ
434 加圧ローラ
440 ビデオコントローラ
441 ホストコンピュータ(外部装置に対応)
451、452、453 DCブラシレスモータ
501 ACインレット
502 ACフィルタ
503 メインスイッチ
504 ダイオードブリッジ
505 24Vコンバータ
506 コンバータ制御回路
507 ダイオード
508 コンデンサ
509 定電圧制御回路
510 フォトカプラ
511 3V DC/DCコンバータ
512 カレントトランス(第1の電流検出手段に対応)
513、602 抵抗
514 電流検知回路(電流算出部に対応)
515 ゼロクロス検知回路
521 インタロックスイッチ
522 リレー(保護回路に対応)
523 トライアック
526 フォトトライアックカプラ
528 トランジスタ
529 サーモスイッチ
530 サーミスタ
531、602 抵抗
601 カレントトランス(第2の電流検出手段に対応)
603 MOSFET(第1の半導体スイッチに対応)
604 MOSFET(第2の半導体スイッチに対応)
605、607、608、610 トランジスタ(入力選択手段に対応)
615 カレントトランス(第1の電流検出手段に対応)
617 MOSFET(半導体スイッチに対応)
619、621 トランジスタ(入力選択手段に対応)
901 オプションイメージスキャナ
904 露光ユニット
930 原稿搬送部
931 原稿読み込み部
940 イメージスキャナコントローラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が供給されると発熱する発熱体を有する加熱手段を具備した画像形成装置において、
前記画像形成装置が消費する総電流値を検出し電圧値を出力する第1の電流検出手段と、
前記加熱手段に供給される電流値を検出し電圧値を出力する第2の電流検出手段と、
前記第1の電流検出手段または前記第2の電流検出手段の出力に基づいて各出力の平均値もしくは実効値を算出する電流算出部と、
前記第1の電流検出手段からの出力もしくは前記第2の電流検出手段からの出力のどちらか一方を選択し前記電流算出部へ入力する入力選択手段と、
前記電流算出部からの出力に基づいて前記画像形成装置を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記入力選択手段により前記第1の電流検出手段の出力のみが前記電流算出部へ入力されるよう制御し、
また、前記加熱手段に供給される電流値を検出する場合には、前記入力選択手段により前記第2の電流検出手段の出力のみが前記電流算出部へ入力されるよう制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の電流検出手段の出力と前記第2の電流検出手段の出力を直列に接続して得られる出力を前記電流算出部へ入力し、
前記入力選択手段は、前記第1の電流検出手段からの出力を短絡するよう配された第1の半導体スイッチと、前記第2の電流検出手段からの出力を短絡するよう配された第2の半導体スイッチを具備し、
前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記第2の電流検出手段の出力を第2の半導体スイッチで短絡するよう制御し、
また、前記加熱手段に供給される電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力を第1の半導体スイッチで短絡するよう制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の電流検出手段または前記第2の電流検出手段を短絡または開放するよう制御した場合には、所定時間経過した後の前記電流算出部の出力に基づいて前記画像形成装置の制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
電力が供給されると発熱する発熱体を有する加熱手段を具備した画像形成装置において、
前記画像形成装置の電源部に供給される電流値を検出し電圧値を出力する第1の電流検出手段と
前記加熱手段に供給される電流値を検出し電圧を出力する第2の電流検出手段と、
前記第1の電流検出手段または前記第2の電流検出手段の出力に基づいて各出力の平均値もしくは実効値を算出する電流算出部と、
前記第1の電流検出手段の出力と第2の電流検出手段の出力を足し合わせた出力、もしくは前記第2の電流検出手段からの出力のみを選択し前記電流算出部へ入力する入力選択手段と、
前記電流算出部からの出力に基づいて前記画像形成装置を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力と第2の電流検出手段の出力を足し合わせて前記電流算出部へ入力するよう前記入力選択手段を制御し、
また、前記加熱手段に供給される電流値を検出する場合には、前記入力選択手段により前記第2の電流検出手段の出力のみが前記電流算出部へ入力されるよう制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の電流検出手段の出力と前記第2の電流検出手段の出力を直列に接続して得られる出力を前記電流算出部へ入力し、
前記入力選択手段は、前記第1の電流検出手段からの出力を短絡するよう配された半導体スイッチを具備しており、
前記制御部は、前記画像形成装置が消費する総電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力と前記第2の電流検出手段の出力を足し合わせるため、前記半導体スイッチを開放するよう制御し、
また、前記加熱手段に供給している電流値を検出する場合には、前記第1の電流検出手段の出力を前記半導体スイッチで短絡するよう制御することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の電流検出手段を短絡または開放するよう制御した場合には、所定時間経過した後の前記電流算出部の出力に基づいて前記画像形成装置の制御を行うことを特徴とする請求項4または5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−300943(P2009−300943A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158108(P2008−158108)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】