説明

画像形成装置

【課題】駆動部材の軸受け部にすべり軸受けを使用しても、各感光体ドラムの速度変動によって発生するトナー像の周期的な位置ずれを駆動モータの制御により低減させるとき、経時で制御効果が少なくなることを最小限にとどめ、色ずれの少ない高画質なカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム2に駆動伝達するギヤ31がすべり軸受け33で支持され、周期的な位置変動情報を、予め定められた動作条件毎に再取得して更新し、駆動モータ制御手段が更新された周期的な位置変動情報に基づき感光体ドラム2を回転制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタなどの複数の像担持体を使用する機器における色ずれを補正するプリンタ、複写機、ファクシミリ及びこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、デジカメ等のイメージング機器の普及に伴い、出力の高速化だけでなく、画像のカラー化及び高画質化のニーズが高まっている。このような要求を満たすためカラー画像形成装置では、例えば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色毎に画像形成ユニットを持ち、一度の画像形成工程で各色画像を順次、転写材もしくは中間転写体上に多重転写することでカラー画像の形成を行うタンデム型の画像形成装置が提案されている。
【0003】
しかし、複数の像担持体である感光体ドラムをもつカラー画像形成装置では、複数の感光体ドラムを備えることで部品点数が多くなり、コストが上がってしまうという問題があることに加えて、駆動部材である感光体駆動ギヤ等の歯形精度誤差や回転軸の偏芯などによる各色感光体ドラムの速度変動が、感光体ドラム毎に異なることに伴い、各色トナー像の転写材もしくは中間転写体上への転写位置が一致せず、位置ずれ及び色ずれとなって画像に現れるという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1ないし3には各色画像形成ユニット毎に各色トナー像が転写材もしくは中間転写体上に描いた位置ずれ補正パターンをパターン検出装置で読み取り、各感光体ドラムの速度変動周期および周期ずれ量を割り出すことで、色ずれ量が最小となるような各感光体ドラム間の位相関係を求め、この情報をプロファイルとして揮発性メモリ等に記憶させ、画像形成前に各感光体ドラムの位相関係をプロファイルに倣わせることで色ずれの少ない画像を提供する、感光体ドラムの位相合わせ制御が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−146329号公報
【特許文献2】特開2001−134039号公報
【特許文献3】特開2001−305820号公報
【特許文献4】特許3186610号公報
【特許文献5】特開2006―47920号公報
【0006】
また、他の手段として特許文献4,5には、各色画像形成ユニット毎に各色トナー像が転写材もしくは中間転写体上に描いた位置ずれ補正パターンをパターン検出装置で読み取り、パターン検出装置からの検出信号に基づいて得られる各感光体ドラムの速度変動周期の情報から、その周期的な速度変動を打ち消すように各感光体ドラム駆動モータの回転速度を個別に微調整する制御を行うことで、各感光体ドラムの周期的な速度変動を無くし、位相差だけでなく振幅の相対差による色ずれ量を最小とする、感光体ドラムの振幅制御が提案されている。
【0007】
いずれの場合も、画像形成動作を行う前に予め各色画像形成ユニット毎に発生する位置ずれ成分を導出し、その影響を最小限に抑えるよう感光体ドラムの駆動制御目標を決めておく必要がある。例えば位相合わせ制御では、目標となる色との感光体ドラム間の位相差であり、振幅制御では各色画像形成ユニットで発生する変動周期と同振幅かつ逆位相の値となる。
【0008】
ここで、前述したように、感光体ドラムでの速度変動は駆動部材である感光体駆動ギヤ等の歯形精度誤差や回転軸の偏芯、及び駆動部材と感光体ドラムを連結するジョイント等の連結部材の嵌合状態などによって定められると考えられる。そのため、駆動部材と感光体ドラムのジョイント嵌合状態が一定(不変)である限り、感光体ドラムの変動周期も変化することなく、感光体ドラムの寿命等で部品の交換が行われ、部品特性及び嵌合状態が変化するようなとき以外は、感光体ドラムによる位置ずれ変動成分の認識を行わなくても済んだ。
【0009】
しかし、コストダウン等により駆動部材の軸受け部に摺動材を用いたすべり軸受けを使用する場合、軸の回転により、経時で軸もしくは軸受けの摩耗が進み、摺動部のガタが大きくなる可能性がある。このとき、初期と経時で前記駆動部材の保持姿勢が変化することで、駆動部材と感光体ドラムの嵌合状態が一定であるにもかかわらず、速度変動成分が変化してしまうという問題がある。このような場合、例えば感光体ドラムの位相合わせ制御では、経時で最適制御位相がずれることとなり、色ずれの補正効果が低くなってしまう。また感光体ドラムの振幅制御では、振幅や位相が初期状態から変化することで、速度変動を打ち消す最適値がずれ、位置ずれ及び色ずれが悪化するということになる。
【0010】
以上から、感光体ドラムの駆動部材における軸受け部の摩耗が大きく、駆動部材の保持姿勢が経時で変化する場合、予め求めていた目標値が駆動制御の最適値ではなくなってしまい、十分な制御効果が得られないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した従来の問題点を解決するため、駆動部材の軸受け部にすべり軸受けを使用しても、各感光体ドラムの速度変動によって発生するトナー像の周期的な位置ずれを駆動モータの制御により低減させるとき、経時で制御効果が少なくなることを最小限にとどめ、色ずれの少ない高画質なカラー画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明は、像担持体、該像担持体上に静電潜像を形成する露光装置、前記像担持体上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置等を有する電子写真プロセス部が無担状担持体に沿って複数個配置され、該電子写真プロセス部によって形成されたトナー像を前記無端状担持体の表面または無端状担持体に担持される転写材の表面に順次重ね合わせて転写することにより画像を得る画像形成装置であって、前記無端状担持体の表面に形成する位置ずれ検出用パターンを検出するパターン検出手段と、前記パターン検出情報からパターンの周期的な位置変動を割り出す演算手段と、前記周期的な位置変動情報に基づき前記像担持体を回転制御する駆動制御手段とを備え、前記駆動手段は前記像担持体を駆動させる駆動部材に設けられた前記駆動部材のポジション検出手段から検出される情報に基づき、前記像担持体の回転を制御する画像形成装置において、前記像担持体に駆動伝達する駆動部材が少なくとも一つ以上のすべり軸受けで支持され、前記周期的な位置変動情報を、予め定められた動作条件毎に再取得して更新し、前記駆動制御手段が更新された周期的な位置変動情報に基づき前記像担持体を回転制御することを特徴とする画像形成装置を提案する。
【0013】
なお、本発明は、前記周期的な位置変動情報の再取得のための動作条件が、通紙枚数であると、効果的である。
さらに、本発明は、前記周期的な位置変動情報の再取得のための動作条件が、前記駆動部材に取り付けられた位置検出手段の検出回数であると、効果的である。
【0014】
さらにまた、本発明は、前記周期的な位置変動情報の再取得のための動作条件が、その他の色ずれ補正手段の補正回数であると、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記像担持体を駆動させる駆動部材は、前記駆動手段と係合する係合部と前記像担持体と係合する係合部とが一体化されていると、効果的である。
【0015】
さらにまた、本発明は、前記像担持体の交換により前記動作条件のカウント値を初期値に戻すと、効果的である。
さらにまた、本発明は、前記電子写真プロセス部が、共通の支持体に支持されて一つのユニットを構成したカートリッジ化されていると、効果的である。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記駆動手段による像担持体の回転制御が、前記複数の像担持体による相対的な位置ずれ量が最も少なくなるよう、前記像担持体の回転位相を制御すると、効果的である。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記駆動手段による像担持体の回転制御が、前記複数の像担持体による絶対的な位置ずれ量が最も少なくなるよう、前記像担持体がもつ周期的な速度変動を打ち消す回転駆動を行うと、効果的である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の構成によれば、経時による最適制御値のずれによる位置ずれの悪化を防ぎ、安定して高画質な画像形成装置を提供することができる。
請求項2の構成によれば、実動作に則したものとなり、必要のない前記周期的な速度変動の再取得回数を減らすことができるので、画像形成動作以外のユーザを待たせる時間を減らすことができる。
【0019】
請求項3の構成によれば、通紙時以外の前記像担持体の動きを考慮することができるため、より精度の高い実動作を測定することができるので、必要のない前記周期的な速度変動の再取得回数を減らすことができるので、画像形成動作以外のユーザを待たせる時間を減らすことができる。
【0020】
請求項4の構成によれば、前記周期的な速度変動の再取得のための条件のカウントに使用するメモリの容量を減らすことができ、コストダウンにつながる。
請求項5の構成によれば、コストを削減しつつも前記各像担持体の速度変動トナーずれが少なくなり、高品質の印刷画像を提供できる。
【0021】
請求項6の構成によれば、画像形成動作以外のユーザを待たせる時間を減らすことができる。
請求項7の構成によれば、着脱容易かつ色ずれの少ない高品位の画像を提供できる。
【0022】
請求項8及び9の構成によれば、低コストでかつ高画質な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は、フルカラー画像を形成するタンデム型カラー画像形成装置の一例を示す垂直断面図であり、ここに示した画像形成装置は、画像形成装置本体1内に配置された像担持体としての第1ないし第4の感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kと、同じく画像形成装置本体1内に配置された無端状の中間転写ベルト3を有している。中間転写ベルト3は少なくとも支持ローラ4,5に巻き掛けられて矢印A方向に回転駆動される。
【0024】
上記中間転写ベルト3は、各感光体ドラム2Yないし2Kの上方に位置し、該中間転写ベルト3の下側の走行辺が各感光体ドラム2Yないし2Kの周面に当接している。中間転写ベルト3は、各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成された互いに異なる色のトナー像が重ねて転写される転写材の一例を構成するものである。
【0025】
第1ないし第4の各感光体ドラム2Y,2M,2C,2K上にトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成は、そのトナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるため、第1の感光体ドラム2Yにトナー像を形成し、そのトナー像を中間転写ベルト3に転写する構成だけを説明する。
【0026】
感光体ドラム2Yは、時計方向に回転駆動され、このとき帯電電圧を印加された帯電ローラ6Yより成る帯電装置によって感光体ドラム2Yが所定の極性に帯電される。帯電後の感光体ドラム2Yには、図1に示した光書き込み装置7から出射する光変調されたレーザビームLが照射され、これによって感光体ドラム2Yに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置10Yによってイエロートナー像として可視像化される。
【0027】
中間転写ベルト3を挟んで、感光体ドラム2Yと反対側に一次転写ローラ8Yが配置され、この一次転写ローラ8Yに転写電圧が印加されることにより、感光体ドラム2Y上のトナー像が転写ベルト3上に一次転写される。トナー像転写後の感光体ドラム2Y上に付着する転写残トナーはクリーニング装置9Yによって除去される。クリーニング装置9Yを通過した感光体ドラム2Yが帯電ローラ6Yを通るとき、除電と同時に帯電され、次の作像に備える。
【0028】
上述したところと全く同様にして、図1に示した第2ないし第4の感光体ドラム2M,2C,2K上にシアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト3上に順次重ねて一次転写され、中間転写ベルト3上に合成トナー像が形成される。トナー像転写後の各感光体ドラム2M,2C,2K上の転写残トナーがクリーニング装置9M,9C,9Kにより除去されることも第1の感光体ドラム2Yの場合と変わりはない。
【0029】
一方、図1に示すように、画像形成装置本体1内の下部には給紙装置12が配置され、該給紙装置12から給紙ローラ13によって送り出された記録媒体Pはレジストローラ対14によって、所定のタイミングで支持ローラ5に巻き掛けられた中間転写ベルト3の部分と、これに対置された二次転写ローラ11との間に給送される。このとき、二次転写ローラ11には所定の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト3上の合成トナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0030】
合成トナー像を二次転写された記録媒体Pは、さらに上方に搬送されて定着装置15を通り、このとき記録媒体P上のトナー像が熱と圧力の作用により定着される。定着装置15を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ16によって、画像形成装置本体1の上部の排紙部17に排出される。また、トナー像転写後の中間転写ベルト3上に付着する転写残トナーは図示していないベルトクリーニング装置18によって除去される。
【0031】
上記したタンデム型カラー画像形成装置は、図2に示すように、複数の感光体ドラム2Y,2M,2C,2Kに駆動部材であるドラムギヤ20Y,20M,20C,20Kを係合させて回転駆動する感光体ドラム駆動モータ21Y,21M,21C,21Kによって駆動される。そして、この駆動モータ21Yないし21Kの動きで感光体ドラム2Yないし2Kの回転速度の制御を行う制御手段をもち、さらに感光体ドラム2Yないし2Kに当接する中間転写ベルト3と、該中間転写ベルト3上にトナーで描いた位置ずれ検出パターンを検出するパターン検知手段19と、該手段によって検出されたパターンの周期的な位置変動情報を割り出して感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動を求める演算手段(図示せず)と、各感光体ドラム2Yないし2Kの速度位置変動情報から高品位な画像を得るために必要な補正値を求め、各感光体ドラム2Yないし2Kを駆動する駆動モータ21Yないし21Kの駆動制御目標値を求める演算手段(図示せず)をもつ。なお、以後、中間転写ベルト3上にトナー像を描き、各感光体ドラム2Yないし2Kを駆動する駆動モータ21Yないし21Kの駆動制御目標値を求める工程を、感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動測定と言う。そして、感光体ドラム2Yないし2Kの駆動モータ21Yないし21Kを制御目標値に基づいて駆動制御することで、各感光体ドラム2Yないし2Kが持つ速度変動の差、つまり中間転写ベルト3上におけるトナー像位置のずれにより発生する色ずれを低減させるよう、感光体ドラム2Yないし2Kを駆動制御する。
【0032】
ここで、感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動であるが、感光体ドラム駆動ギヤ20Yないし20Kの歯形精度誤差や回転軸の偏芯があると、駆動モータ21Yないし21Kとの噛み合い位置がギヤ一回転のうちに変化するため、駆動モータ21Yないし21Kは一定速度で回転しているにもかかわらず、感光体ドラムギヤ20Yないし20Kが速度変動を発生する。
【0033】
また、感光体ドラム2Yないし2Kの耐久性は製品寿命のそれより低く、一般的にはサービスパーツとして劣化状況に応じて市場で交換されるため、交換作業を容易とするよう、本体側ドラム駆動ギヤ20Yないし20Kと感光体ドラム2Yないし2Kは後述するジョイントにより嵌合するようにしている。このとき、ジョイントにおいても感光体ドラム駆動ギヤ20Yないし20Kと同様に、歯形精度誤差や回転軸の偏芯による速度変動が発生するので、最終的に、感光体ドラム駆動ギヤ20Yないし20Kの速度変動とジョイントの速度変動を合成したものが、感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動としてあらわれる。
【0034】
以上の理由から、感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動は感光体ドラムギヤ20Yないし20Kとカップリングを介して嵌合された感光体ドラム2Yないし2Kの嵌合状態が変わらなければ、合成される感光体ドラムの速度変動も変わることはない。
【0035】
そのため、これまでは、感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動量及び変動位相を測定する感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動測定工程は、製品の工場出荷時以外では、感光体ドラム2Yないし2Kが交換された際、もしくはユーザにより任意で選択された際に行うとしておけば十分であり、ユーザが本画像形成装置を使用する際に余計な待ち時間を与えなくて済むようにしている。
【0036】
しかし、最近のコストダウンの流れにより、高精度・高耐久な部品は必要最低限に抑えられてきている。画像形成装置においても同様で、感光体駆動ギヤの軸受け部は、玉軸受けではなくすべり軸受けが採用されている。
【0037】
ここで、感光体ドラム2Yないし2Kの駆動部材である感光体ドラムギヤ20Yないし20Kについて説明する。
図3は、軸受け部にすべり軸受けを使用した感光体ドラムギヤ20の構成図である。このギヤアセンブリは図4に示すように、駆動モータ21Yないし21Kと噛み合うギヤ部31と、このギヤ部31と平行ピンによって駆動連結し、ギヤ部31の回転と共に一体に回転する回転軸32と、回転軸32を前後で支持する軸受け33と、回転軸32の先端に同軸芯で取り付けられ、感光体ドラムギヤの駆動を感光体ドラムに駆動伝達するためのジョイント34によって構成されている。また、図5に示すように、ギヤ部31の側面には位相差検出センサ36によって検出されるの位置検出フィラー35が設けられ、位置検出フィラー35と位相差検出センサ36よりなるポジション検出手段を用いることで、モータの駆動制御を行うために必要な感光体ドラムのフィード方向(回転方向)の位置を検出することができる。
【0038】
軸受けに玉軸受けを使用していた画像形成装置の場合、感光体ドラムを着脱しない限り、感光体ドラムの速度変動の状態が変化することは無かった。しかし、すべり軸受けを用いた場合においては摺動時間が長くなると軸受け部の摩耗が進み、駆動モータとドラムギヤもしくは駆動側カップリングと感光体ドラム側カップリングの噛み合い状態が変化してしまうため、ジョイント部の嵌合状態は変わっていない、すなわち感光体ドラムの抜き差しは行っていないにもかかわらず、感光体ドラムの速度変動が軸受け部の摩耗前後で変わってしまうという問題があることは先に説明した。
【0039】
図6は、摩耗量の変化による感光体ドラム2Kの速度変動の変化を示す正弦曲線を示す図である。図6から明らかなように、経時使用するとすべり軸受け33が磨耗し、振幅が大きくなることが分かる。
【0040】
そこで、感光体ドラムギヤ20Yないし20Kにすべり軸受け33を使用する場合は、軸受け部の摩耗を考慮し、感光体ドラム2Yないし2Kが寿命で交換されるまでの間に、例えば電源が入ってからの総時間など、装置の動作条件から軸受け部の摩耗を予測して、再度、感光体ドラム2Yないし2Kの速度変動測定を行うことにより、経時による最適制御値のずれによる位置ずれの悪化を防ぎ、安定して高画質な画像を提供することができる。
【0041】
ここで、周期的な位置変動情報を取得する装置の動作条件を通紙枚数とし、通紙枚が規定枚数に達したときに行うものとしておけば、実稼働状態が分かるので、より正確にすべり軸受け33の摩耗量を判断することができるようになる。つまり、不必要に感光体ドラムの速度変動測定を行うことがなく、ユーザが本画像形成装置を使用する際に余計な待ち時間を与えなくて済むようになる。なお、具体的な通紙枚数は機械よって異なり、例えば負荷の大きい機械であると1000枚通紙するごとに周期的な位置変動情報を取得しなければならないが、負荷の小さい機械であると2000枚以上の通紙でもよい。
【0042】
また、周期的な位置変動情報を取得する装置の動作条件としてポジション検出手段を用い、ギヤ部31に取り付けられた位置検出フィラー35が位相差検出センサ36を通過した回数が規定回数に達したときに行うようにしてもよい。かかる構成であると、画像形成動作以外での感光体ドラム2の動きも考慮でき、より正確にすべり軸受け33の摩耗量を判断することができるようになる。
【0043】
一般的に図1に示すような画像形成装置では、トナー書き出し位置の補正やトナー濃度の補正など、他にも様々な補正動作が通紙枚数等を判断基準として行われる。
【0044】
そこで、周期的な位置変動情報を取得する装置の動作条件としてその他の色ずれ補正手段の補正回数が規定回数に達したときに行うものとすることで、回数カウント用の専用のメモリ領域を必要とせず、また他の補正と同時に行うことで、画像形成装置が補正のために止まる回数を少なくすることができるようになる。
【0045】
図7は、ギヤ部31と回転軸32とジョイント34を一体成形化した、ジョイント一体型ドラムギヤ20を示す。
このギヤ20は部品点数が減るため大幅なコストダウンとなるが、回転軸32がモールド化されることにより、すべり軸受け33での摩耗がさらに大きくなる可能性がある。
【0046】
しかしながら、本画像形成装置ではすべり軸受け部の摩耗があっても高品質の画像が安定して得られるため、ジョイント一体型ドラムギヤ20を装備させることで、高画質な画像形成装置を安価にて提供することができる。
【0047】
上記画像形成装置においては、感光体ドラム2が交換された際、ジョイント34の歯形精度誤差や噛み合い位置が変化するため、新たに感光体ドラム2の速度変動測定を行うことになる。このとき感光体ドラム2の寿命時間による交換と、経時によるすべり軸受け部の摩耗を見越した感光体ドラム速度変動の再測定間隔の違いにより、感光体ドラム2を交換して間もないのに、ドラム速度変動の再測定を行うことになってしまう場合がでてくる可能性がある。そのようなときは、経時による摩耗が進んでいないため、ドラム速度変動の再測定によるメリットは低く、無駄にユーザを待たせてしまうことになりかねない。
【0048】
そこで、感光体ドラム2の交換したとき、上記した周期的な位置変動情報を取得する装置の動作条件である通紙枚数、位置検出フィラー35が位相差検出センサ36を通過した回数あるいは位置検出フィラー35が位相差検出センサ36を通過した回数のカウント値を初期値に戻すようにしておくことで、画像形成装置が周期的な位置変動情報を取得するために止まる回数を少なくすることができる。具体的には、図8に示すように、電源ONして感光体ドラムが交換されたかを判断し(ステップ1)、交換されるとドラムの速度変動測定を行った後(ステップ2)、カウンタをリセットする(ステップ3)。その後、プリントスタート(ステップ4)してからプリントエンド後に(ステップ5)、カウンタをカウントし(ステップ6)、ステップ7でカウント値が所定値以上に達したかを判断し、達していれば、ドラムの速度変動測定を行った後(ステップ8)、カウンタをリセットする(ステップ9)。なお、ステップ1の判断で感光体ドラムが交換されていない場合はステップ4になり、ステップ7の判断でカウント値が所定値以上に達しいない場合は待機状態になる。
【0049】
ところで、各感光体ドラム2Yないし2Kは共通の支持体(図示せず)に支持される一つのユニットに構成されたプロセスカートリッジ化することができ、図1で見れば、感光体ドラム2、帯電ローラ6、現像装置10及びクリーニング装置9を含んだプロセスカートリッジまたはこれから現像装置10を外したプロセスカートリッジで構成することができる。このような感光体ドラム2を含んだプロセスカートリッジ化をすることで、感光体ドラム2の交換が容易にでき、かつ、安価で高品位な画像形成装置を提供できる。
【0050】
また、感光体ドラムの駆動を、黒用の感光体ドラム2Kとカラー用の感光体ドラム2Y,2C,2Mの2個の駆動モータで行う画像形成装置は知られており、かかる装置ではカラー用の感光体ドラム2Y,2C,2Mがアイドラギヤを経由して1つのモータで駆動される。このように構成された画像形成装置の場合、中間転写ベルト上のトナー位置変動が一致するよう、各感光体ドラムの回転位相を駆動制御することで各色間の色ずれを低減することができる。このような色ずれ低減のための駆動制御を行う画像形成装置が上記のように軸受けにすべり軸受けを問題なく使用することが可能になり、安価で高品位な画像形成装置を提供できるようになる。
【0051】
感光体ドラムの速度変動を打ち消すよう駆動モータを回転駆動するような画像形成装置の場合、中間転写ベルト上のトナー位置変動をなくすことができるため、各色トナーの位置ずれ及び色ずれを低減することがでる。このような色ずれ低減のための駆動制御を行う画像形成装置が上記のように軸受けにすべり軸受けを問題なく使用することが可能になり、安価で高品位な画像形成装置を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のカラー画像形成装置の全体構成を示す概略説明図である。
【図2】感光体ドラムの駆動系の概略を示す説明図である。
【図3】すべり軸受けを使用した感光体ドラムギヤの斜視図である。
【図4】その感光体ドラムギヤの構成を示す分解斜視図である。
【図5】ポジション検出手段を備えた感光体ドラムギヤを示す斜視図である。
【図6】摩耗量の変化による感光体ドラムの速度変動の変化を示す正弦曲線を示す図である。
【図7】(a),(b)はジョイント一体型ドラムギヤの前側と後側を示す斜視図である。
【図8】感光体ドラム交換時の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
2Y,2M,2C,2K 像担持体
3 中間転写ベルト
20Y,20M,20C,20K 感光体ドラムギヤ
21Y,21M,21C,21K 感光体ドラム駆動モータ
31 ギヤ部
32 回転軸
33 すべり軸受け
34 ジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体、該像担持体上に静電潜像を形成する露光装置、前記像担持体上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置等を有する電子写真プロセス部が無担状担持体に沿って複数個配置され、
該電子写真プロセス部によって形成されたトナー像を前記無端状担持体の表面または無端状担持体に担持される転写材の表面に順次重ね合わせて転写することにより画像を得る画像形成装置であって、
前記無端状担持体の表面に形成する位置ずれ検出用パターンを検出するパターン検出手段と、
前記パターン検出情報からパターンの周期的な位置変動を割り出す演算手段と、
前記周期的な位置変動情報に基づき前記像担持体を回転制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動手段は前記像担持体を駆動させる駆動部材に設けられた前記駆動部材のポジション検出手段から検出される情報に基づき、前記像担持体の回転を制御する画像形成装置において、
前記像担持体に駆動伝達する駆動部材が少なくとも一つ以上のすべり軸受けで支持され、前記周期的な位置変動情報を、予め定められた動作条件毎に再取得して更新し、前記駆動制御手段が更新された周期的な位置変動情報に基づき前記像担持体を回転制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記周期的な位置変動情報の再取得のための動作条件が、通紙枚数であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記周期的な位置変動情報の再取得のための動作条件が、前記駆動部材に取り付けられた位置検出手段の検出回数であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記周期的な位置変動情報の再取得のための動作条件が、その他の色ずれ補正手段の補正回数であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかに記載の画像形成装置において、前記像担持体を駆動させる駆動部材は、前記駆動手段と係合する係合部と前記像担持体と係合する係合部とが一体化されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の画像形成装置において、前記像担持体の交換により前記動作条件のカウント値を初期値に戻すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記電子写真プロセス部が、共通の支持体に支持されて一つのユニットを構成したカートリッジ化されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記駆動手段による像担持体の回転制御が、前記複数の像担持体による相対的な位置ずれ量が最も少なくなるよう、前記像担持体の回転位相を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記駆動手段による像担持体の回転制御が、前記複数の像担持体による絶対的な位置ずれ量が最も少なくなるよう、前記像担持体がもつ周期的な速度変動を打ち消す回転駆動を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−69645(P2009−69645A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239718(P2007−239718)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】