説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の様々な異常に効率的に対処することを可能にするために、異常の対処に必要な情報を的確に表示することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部55は、異常が発生したときに、異常に関連する全ての情報を収集する。そして、制御部55は、収集した全ての情報をQRコードに変換し、QRコードを表示装置62の画面に表示する。画面においては、中央に画像形成装置の模式図71が表示され、右側に3つの操作キー72が表示され、左側に4つのQRコード73a〜73dが表示されている。QRコード73aは異常に関連する入力指示の内容を示すものであり、QRコード73bは異常に関連するオプションユニットの接続状態を示すものであり、QRコード73cは異常に関連するセンサの検出出力を示すものであり、QRコード73dは異常に関連する通信プロトコルの制御信号を示すものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常の発生に際し、この発生した異常を判定して報知する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、基本的な複写処理に必要なスキャナー、印刷部、及び用紙供給部等を備えるだけではなく、ファクシミリ通信ユニットや、印刷済みの記録用紙の仕分けやステープル等を行う後処理ユニット等のオプションユニットが追加されることが多い。
【0003】
ところが、このような画像形成装置の多機能化に伴い、様々な障害(異常)が発生するようになっており、多様な異常に効率的に対処することが重要な課題となっている。
【0004】
従来の画像形成装置では、異常が発生する度に、異常を識別するためのトラブルコードを表示画面に表示することが多かったが、このトラブルコードだけでは、異常の発生原因や異常発生までの経緯(入力操作や割り込み処理)を特定することができず、異常に対する効率的な対処が困難であった。
【0005】
また、ファクシミリ通信だけに限れば、シミュレーションの設定によりプロトコルデータの印刷確認が可能であるが、それでも印刷部が故障したときには確認が不可能となる。
【0006】
このため、例えば特許文献1では、複写機の異常発生時に、複写モードや、機械の状態を異常項目と共に不揮発性メモリに記憶し、その記憶内容を出力することにより異常原因の推定を容易にし、迅速な修理を実現可能にしている。
【0007】
また、特許文献2では、イニシャル時及び定常稼動時における通電履歴、日付時刻、ユーザ操作履歴をメモリに記憶したり、異常発生時における露光異常、電源異常、制御異常、駆動系異常、定着異常、紙送り異常をメモリに記憶し、メモリ内の記憶情報を画像処理装置の故障等の判定に用いている。
【0008】
更に、特許文献3では、異常が発生したときに、異常を示すQRコード(登録商標)を記録用紙に印刷したり表示画面に表示し、このQRコードを携帯電話機で読取ってサーバに送信している。
【0009】
また、特許文献4では、ファクシミリデータに関する通信情報を2次元コードに変換して印刷出力している。
【特許文献1】特開平10−177325号公報
【特許文献2】特開平7−175373号公報
【特許文献3】特開2007−41840号公報
【特許文献4】特開2006−80811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2においては、異常発生時の様々な情報をメモリに記憶しているが、このメモリ内の記憶情報を利用するには、メモリからの情報の読み出しや解析が必要になり、サービスエンジニア等が出向かなければ、メモリ内の情報を利用することができない。
【0011】
また、特許文献3では、QRコードを表示画面に表示し、このQRコードを携帯電話機で読取ってサーバに送信しているが、このQRコードは、用紙切れや用紙サイズの誤り等を示すものであって、先に述べたトラブルコードと同程度の役目を果たすものなので、異常の発生原因や異常発生までの経緯を特定することができず、多様な異常に対する効率的な対処を可能にするものではない。
【0012】
更に、特許文献4でも、QRコードと同様の2次元コードを用いているものの、この2次元コードは、通信情報を示すだけであるから、多様な異常に対する効率的な対処を可能にするものではない。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の様々な異常に効率的に対処することを可能にするために、異常の対処に必要な情報を的確に表示することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、発生した異常を判定して報知する画像形成装置において、異常の発生に際し、各種の異常を解析するのに有用でありかつ画像形成装置で収集可能な複数の情報のうちから前記発生した異常に関連する情報を判定する判定手段と、前記判定手段により異常に関連すると判定された情報を2次元コードに変換して表示画面に表示している。
【0015】
また、本発明の画像形成装置は、発生した異常を判定して報知する画像形成装置において、異常の発生に際し、画像形成装置に対する入力操作情報、画像形成装置に対するオプションユニットの接続情報、画像形成装置における各センサの検出情報、及び画像形成装置によるファクシミリ通信の通信情報のうちから前記異常に関連する情報を判定する判定手段と、前記判定手段により異常に関連すると判定された情報を2次元コードに変換して表示画面に表示する2次元コード表示手段とを備えている。
【0016】
更に、前記2次元コード表示手段は、画像形成装置の模式図を表示画面に表示し、この表示画面の模式図上での異常発生箇所を求め、前記判定手段により異常に関連すると判定された情報を2次元コードに変換して、この2次元コードを該表示画面の模式図の異常発生箇所に表示している。
【0017】
また、前記表示画面に対する入力操作位置を検出する入力操作位置検出手段を備え、前記2次元コード表示手段は、前記入力操作位置検出手段により検出された入力操作位置が表示画面上の2次元コードの領域にあると、2次元コードを拡大表示している。
【0018】
更に、画像形成装置に対する入力操作情報の履歴を蓄積する入力操作情報履歴蓄積手段を備え、前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により入力操作情報が異常に関連すると判定されると、前記入力操作情報履歴蓄積手段内の入力操作情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示している。
【0019】
また、画像形成装置に対するオプションユニットの接続情報の履歴を蓄積する接続情報履歴蓄積手段を備え、前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により接続情報が異常に関連すると判定されると、前記接続情報履歴蓄積手段内の接続情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示している。
【0020】
更に、画像形成装置における各センサの検出情報の履歴を蓄積する検出情報履歴蓄積手段を備え、前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により検出情報が異常に関連すると判定されると、前記検出情報履歴蓄積手段内の検出情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示している。
【0021】
また、画像形成装置によるファクシミリ通信の通信情報の履歴を蓄積する通信情報履歴蓄積手段を備え、前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により通信情報が異常に関連すると判定されると、前記通信情報履歴蓄積手段内の通信情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示している。
【発明の効果】
【0022】
本発明の画像形成装置では、異常の発生に際し、各種の異常を解析するのに有用でありかつ画像形成装置で収集可能な複数の情報のうちから異常に関連する情報を判定している。例えば、入力操作情報、オプションユニットの接続情報、各センサの検出情報、及びファクシミリ通信の通信情報のうちから異常に関連する情報を判定している。そして、この異常に関連すると判定された情報を2次元コードに変換して表示画面に表示している。従って、異常に関連する複数の情報があれば、これらの情報全てを示すそれぞれの2次元コードが表示画面に表示されることになる。これらの2次元コードを携帯電話機等で読取って送信することができ、受信側では、それらの2次元コードによって示される情報全てを解析して、画像形成装置の様々な異常を正確に特定し、効率的な対処を迅速に実施することができる。
【0023】
また、画像形成装置の模式図を表示画面に表示し、この表示画面の模式図上での異常発生箇所を求め、異常に関連する2次元コードを該表示画面の模式図の異常発生箇所に表示している。この場合は、異常発生箇所を容易に特定することができ、効率的な対処をより迅速に実施することが可能になる。
【0024】
また、表示画面に対する入力操作位置を検出し、この検出された入力操作位置が表示画面上の2次元コードの領域にあると、2次元コードを拡大表示している。表示画面上の2次元コードが小さい場合は、2次元コードの情報量が少なくなってしまうが、2次元コードを拡大表示することができれば、2次元コードの情報量を多くすることができ、1つの2次元コードにより異常に関連するより多くの情報を表示することができる。
【0025】
更に、入力操作情報の履歴、オプションユニットの接続情報の履歴、各センサの検出情報の履歴、及びファクシミリ通信の通信情報の履歴を蓄積しておき、これらの履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示しているので、2次元コードによって示される情報を解析して、異常の発生に至るまでの経緯を詳細に知ることができ、画像形成装置の様々な異常をより正確に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置1は、原稿読取りユニット2、印刷部3、給紙部4、及び後処理ユニット5等を備えている。
【0028】
原稿読取りユニット2は、印刷部3の上方に配置されており、原稿搬送部6及びスキャナー7を備えている。原稿搬送部6では、原稿セットトレイ11に原稿がセットされると、ピックアップローラ12がトレイ11上の原稿に押し付けられ回転されて、原稿が引き出され、原稿がプラテンガラス13まで搬送されて、原稿がプラテンガラス13上を通過して排出トレイ14へと排出される。
【0029】
このとき、スキャナー7では、第1及び第2走査部15、16が位置決めされており、第1走査部15によってプラテンガラス13上を通過する原稿表面が露光され、第1及び第2走査部15、16によって原稿表面からの反射光が結像レンズ17へと導かれ、結像レンズ17によって原稿の画像がCCD18上に結像される。CCD18は、原稿の画像を読取り、原稿の画像を示す画像データを出力する。
【0030】
また、原稿搬送部6は、スキャナー7の背面側で開閉可能に枢支されており、この原稿搬送部6を開いて、プラテンガラス13上に原稿を載置し、この状態でスキャナー7により原稿画像読取ることも可能である。
【0031】
スキャナー7では、第1及び第2走査部15、16が副走査方向に移動されつつ、第1走査部15によってプラテンガラス13上の原稿表面が露光走査され、第1及び第2走査部15、16によって原稿表面からの反射光が結像レンズ17へと導かれ、結像レンズ17によって原稿の画像がCCD18上に結像され、CCD18によって原稿の画像が読取られる。
【0032】
こうして読取られた原稿の画像全体は、画像データとして画像形成装置1の印刷部3へと送受され、印刷部3において画像が記録用紙に記録される。
【0033】
印刷部3の略中央には、感光体ドラム21が配置され、その周囲に帯電装置22、光走査装置23、現像装置24、転写装置25、及びクリーニング装置26が配置されている。
【0034】
帯電装置22は、感光体ドラム21表面を均一に帯電させる。光走査装置23は、画像データを入力し、画像データに応じて光ビームの強度を変調しつつ、均一に帯電された感光体ドラム21上に光ビームを走査して静電潜像を書き込む。現像装置24は、感光体ドラム21上の静電潜像を現像剤により顕像化して、感光体ドラム21上に現像剤像を形成する。転写装置25は、感光体ドラム21との間に記録用紙を挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21上の現像剤像を記録用紙上に転写する。クリーニング装置26は、感光体ドラム21上に残留した現像剤を除去して、感光体ドラム21上に新たな現像剤像を形成することができるようにする。
【0035】
印刷部3の上部には、定着装置27が配置されている。定着装置27は、画像が転写された記録用紙を順次受け入れて加熱ローラと加圧ローラ間に挟み込み、記録用紙上に転写された現像画像を定着させる。
【0036】
この記録用紙は、搬送方向分岐爪31によりその向きを右方に変更されて、幾つかの搬送ローラにより後処理ユニット5へと搬送される。
【0037】
また、記録用紙の両面に画像を形成する場合は、記録用紙が搬送方向分岐爪32により逆転ローラ33へと導かれ、この逆転ローラ33の停止及び逆回転により記録用紙が表裏反転ユニット34へと逆方向に搬送される。記録用紙は、表裏反転ユニット34の搬送路を通過することによりその表裏を反転されてから印刷部3へと再度導かれ、その裏面に画像が印刷される。そして、記録用紙は、搬送方向分岐爪31を経由して、幾つかの搬送ローラにより後処理ユニット5へと搬送される。
【0038】
後処理ユニット5では、記録用紙にステープル処理やパンチ処理等が施されて、記録用紙が排紙トレイ35、36に振り分けられて排出される。
【0039】
また、給紙部4は、複数の給紙トレイ41〜44を備えており、これらの給紙トレイ41〜44に各定型サイズの記録用紙が分別され積載収容されている。
【0040】
これらの給紙トレイ41〜44のうちから1つのトレイが選択され、この選択されたトレイから記録用紙が1枚ずつ分離供給され、記録用紙が印刷部3の感光体ドラム21と転写装置25間に供給され、この記録用紙に感光体ドラム21上の現像剤像が転写される。
【0041】
このような画像形成装置1においては、原稿読取りユニット2、後処理ユニット5、表裏反転ユニット34がオプションで着脱自在に取り付けられており、この他にも、ファクシミリ通信ユニット(図示せず)がオプションで取り付けられ、更に大容量給紙装置等のオプションユニットの組み合わせが可能である。
【0042】
図2は、本実施形態の画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。図2に示すように画像形成装置1は、画像形成装置1に対する指示等を操作入力するための入力操作部51と、各ユニット2、5、34との間で制御信号等を送受するユニット入出力部52と、画像形成装置1における各センサ53と、ファクシミリ通信ユニット56との間で画像データや制御信号等を送受するファクシミリ入出力部54と、画像形成装置1を統括的に制御する制御部55とを備えている。
【0043】
入力操作部51は、例えば図3に示すように複数の操作キー61及び表示装置62からなり、表示装置62の画面に操作ガイダンスや画像形成装置の模式図等を表示し、各操作キー61の操作に基づく指示を入力して、この入力指示を制御部55に通知する。
【0044】
また、表示装置62の画面には透明なタッチパネルが重ねられており、利用者の指が画面上に触れると、タッチパネルにより画面上の指示位置が検出され、この指示位置が制御部55に入力される。例えば、利用者の指が画面に表示されている操作キーに触れると、タッチパネルにより操作キーの位置が検出されて、操作キーの位置が制御部55に入力され、制御部55により該位置の操作キーが操作されたものとみなされる。
【0045】
ユニット入出力部52は、制御部55とオプションユニット間で送受されるコマンド等の制御信号等を中継し、この制御信号に基づきオプションユニットの接続状態を検出して、これらのユニットの接続状態を制御部55に通知する。
【0046】
各センサ53は、画像形成装置1やオプションユニットの種々の動作状況を検出するために設けられたものであり、種々の動作状況を示すそれぞれの検出出力が制御部55に入力される。例えば、原稿搬送部6における原稿の搬送位置、給紙カセットから排紙トレイまでの記録用紙の搬送路における記録用紙の搬送位置、定着装置27の加熱ローラの温度等がそれぞれのセンサにより検出され、これらのセンサの検出出力が制御部55に入力される。
【0047】
ファクシミリ入出力部54は、ファクシミリ通信ユニット56により送受される通信プロトコルの制御信号等を制御部55に出力する。制御部55は、ファクシミリ入出力部54を通じて、通信プロトコルの制御信号等を取得する。
【0048】
ところで、このような画像形成装置においては、多機能であるが故に、様々な障害(異常)が発生する可能性があり、このような様々な異常に効率的に対処する必要がある。
【0049】
そこで、本実施形態の画像形成装置では、何等かの異常が発生したときに、その異常に関連する情報を収集して、この情報をQRコードに変換し、このQRコードを表示装置62の画面に表示するようにしている。
【0050】
例えば、制御部55は、各センサ53の検出出力に基づいて原稿や記録用紙のジャム等の異常を判定したり、定着装置27の加熱ローラの温度異常を判定することができる。
【0051】
制御部55は、何等かの異常が発生すると、入力操作部51からの入力指示、ユニット入出力部52により検出されたオプションユニットの接続状態、各センサ53の検出出力、ファクシミリ入出力部54に検出されたファクシミリ通信の通信情報を収集し、これらの情報のうちから異常に関連する情報を判定する。
【0052】
入力操作部51からの入力指示については、異常が発生した処理の期間に入力指示がなされたのであれば、この入力指示が異常に関連するとみなされる。例えば、複写処理に異常が発生し、複写処理の期間に記録用紙の枚数やサイズを指示するための入力指示がなされたのであれば、この入力指示が異常に関連するとみなされる。
【0053】
また、ユニット入出力部52により検出されたオプションユニットの接続状態については、異常が発生した処理の期間に制御部55とオプションユニット間でコマンドが送受されたのであれば、このオプションユニットが接続状態であって異常に関連するとみなされる。例えば、複写処理に異常が発生し、複写処理の期間に制御部55と後処理ユニット5間でコマンドが送受されたのであれば、後処理ユニット5の接続状態が異常に関連するとみなされる。
【0054】
更に、各センサ53の検出出力については、異常が発生した処理期間にセンサの検出出力が変化したのであれば、このセンサの検出出力が異常に関連するとみなされる。例えば、複写処理に異常が発生し、複写処理の期間にセンサの検出出力が変化したのであれば、このセンサの検出出力が異常に関連するとみなされる。
【0055】
また、ファクシミリ入出力部54に検出されたファクシミリ通信の通信情報については、ファクシミリの通信期間に異常が発生すると、この通信期間に制御部55とファクシミリ通信ユニット56間で送受された通信プロトコルの制御信号が異常に関連するとみなされる。
【0056】
こうして制御部55は、異常が発生したときに、異常に関連する情報を収集する。そして、制御部55は、収集した情報をQRコードに変換し、図4に示すようにQRコードを表示装置62の画面に表示する。図4の画面においては、中央に画像形成装置の模式図71が表示され、右側に3つの操作キー72が表示され、左側に4つのQRコード73a〜73dが表示されている。QRコード73aは異常に関連する入力指示の内容を示すものであり、QRコード73bは異常に関連するオプションユニットの接続状態を示すものであり、QRコード73cは異常に関連するセンサの検出出力を示すものであり、QRコード73dは異常に関連する通信プロトコルの制御信号を示すものである。
【0057】
これらのQRコードは、利用者が直接読取ることができないが、携帯電話機等で読取って送信することができる。例えば、ネットワーク通信網を通じて、サービスエンジニア等のパーソナルコンピュータに送信することができる。サービスエンジニアは、パーソナルコンピュータを用いて、それらのQRコードによって示される情報全てを解析し、画像形成装置1の様々な異常を正確に特定し、効率的な対処を迅速に実施することができる。
【0058】
また、異常が発生した処理期間における入力操作部51からの入力指示、オプションユニットの接続状態、センサ53の検出出力、ファクシミリ通信の通信情報だけではなく、この処理期間を含む以前の履歴情報を求めて、この履歴情報をQRコードに変換して表示してもよい。この履歴情報を参照すれば、異常の発生に至るまでの経緯を詳細に知ることができ、画像形成装置1の様々な異常をより正確に特定することができる。
【0059】
例えば、異常が発生した処理期間における入力操作部51からの入力指示及び該入力指示より過去に遡った一定数の入力指示からなる入力指示履歴情報を作成し、この入力指示履歴情報をQRコードに変換して表示する。この場合は、異常が発生した処理期間における入力指示により画像形成装置1の印刷動作が停止してしまっても、それまでの入力指示の経過を知って、異常の原因を調べることができる。
【0060】
また、異常が発生した処理期間におけるオプションユニットの接続状態及び該処理期間より過去に遡った一定期間の該オプションユニットの接続状態からなる接続状態履歴情報を作成し、この接続状態履歴情報をQRコードに変換して表示する。この場合は、異常が発生するまでのオプションユニットの接続状態の経過を知って、異常の原因を調べることができる。
【0061】
更に、異常が発生した処理期間におけるセンサの検出出力及び該処理期間より過去に遡った一定期間の該センサの検出出力からなる検出状態履歴情報を作成し、この検出状態履歴情報をQRコードに変換して出力する。この場合は、異常が発生したときのセンサの検出出力変化を知って、このときに如何なる割り込みが発生したかを調べることができる。
【0062】
あるいは、異常が発生した処理期間における通信プロトコルの制御信号及び該処理期間より過去に遡った一定期間の制御信号からなる通信履歴情報を作成し、この通信履歴情報をQRコードに変換して表示する。この場合は、異常が発生するまでに送受された通信プロトコルの制御信号を知って、異常の原因を調べることができる。
【0063】
また、図5に示すように表示装置62の画面に画像形成装置の模式図71を表示し、QRコードを該QRコードによって示される異常の発生箇所に表示してもよい。例えば、QRコード73aを画像形成装置の模式図71における入力操作部51の位置に表示し、またQRコード73bを画像形成装置の模式図71における異常に関連するオプションユニットの位置に表示し、QRコード73cを画像形成装置の模式図71における異常に関連するセンサの位置に表示し、QRコード73dを画像形成装置の模式図71におけるファクシミリ通信ユニット56の位置に表示する。サービスエンジニア等が現場に居合わせたならば、画面の表示により異常発生箇所を容易に特定することができ、効率的な対処をより迅速に実施することが可能になる。
【0064】
更に、表示装置62の画面上で任意のQRコードが指示され、タッチパネルによりその指示位置が検出されると、これに応答して制御部55がその指示位置のQRコードを拡大表示しても構わない。例えば、図6に示すように表示装置62の画面上でQRコード73cを拡大表示する。ここで、QRコードは、情報量が多くなるほど、そのセル数が多くなる。例えば、先に述べたように履歴情報をQRコードに変換する場合は、履歴情報の情報量が多いので、QRコードのセル数が多くなる。このようなセル数の多いQRコードの表示サイズが小さいと、QRコードの読取りエラーが生じるので、QRコードを拡大表示して、読取りエラーの減少を図る。換言すれば、QRコードを拡大表示すれば、QRコードにより表示可能な情報量を多くすることができる。
【0065】
次に、図7のフローチャートを参照しつつ、異常に関連する情報を収集して、この収集した情報全てをQRコードに変換し、このQRコードを表示装置62の画面に表示するまでの処理過程を整理して説明する。
【0066】
まず、制御部55は、処理期間中に、各センサ53の検出出力に基づいて何等かの異常を判定すると、入力操作部51からの入力指示があったか否かを判定する(ステップS101、S102)。そして、入力操作部51からの入力指示があったならば(ステップS102で「No」)、制御部55は、この入力指示が異常に関連すると判定し、この入力指示の内容もしくは入力指示履歴情報を示すQRコードを作成し、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS103)。この後、ステップS104、S105に進む。
【0067】
また、入力操作部51からの入力指示がなかったならば(ステップS102で「Yes」)、ステップS103を経由せずに、ステップS104、S105に進む。
【0068】
ステップS104、S105において、制御部55は、ユニット入出力部52によりオプションユニットの接続状態が検出されたか否かを判定する。そして、オプションユニットの接続状態が検出されたのであれば(ステップS105で「No」)、制御部55は、このオプションユニットの接続状態が異常に関連すると判定し、このオプションユニットの接続状態もしくは接続状態履歴情報を示すQRコードを作成し、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS106)。この後、ステップS107、S108に進む。
【0069】
また、オプションユニットの接続状態が検出されなかったのであれば(ステップS105で「Yes」)、ステップS106を経由せずに、ステップS107、S108に進む。
【0070】
ステップS107、S108において、制御部55は、変化したセンサの検出出力があったか否かを判定する。そして、制御部55は、変化したセンサの検出出力があったのであれば(ステップS108で「No」)、制御部55は、このセンサの検出出力が異常に関連すると判定し、このセンサの検出出力もしくは検出状態履歴情報を示すQRコードを作成し、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS109)。この後、ステップS110、S111に進む。
【0071】
また、変化したセンサの検出出力がなかったのであれば(ステップS108で「Yes」)、ステップS109を経由せずに、ステップS110、S111に進む。
【0072】
ステップS110、S111において、制御部55は、ファクシミリ入出力部54により通信プロトコルの制御信号が検出されたか否かを判定する。そして、通信プロトコルの制御信号が検出されたのであれば(ステップS111で「No」)、制御部55は、この通信プロトコルの制御信号が異常に関連すると判定し、この通信プロトコルの制御信号もしくは通信履歴情報を示すQRコードを作成し、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS112)。
【0073】
また、通信プロトコルの制御信号が検出されなかたのであれば(ステップS111で「Yes」)、ステップS112を経由せずに、図7の処理を終了する。
【0074】
このような処理により、何等かの異常が発生したときに、この異常に関連する全ての情報もしくは履歴情報がQRコードに変換されて画面に表示される。
【0075】
次に、図8のフローチャートを参照しつつ、入力操作部51からの入力指示及び該入力指示より過去に遡った一定数の入力指示からなる入力指示履歴情報を作成し、この入力指示履歴情報をQRコードに変換するための処理を説明する。
【0076】
まず、制御部55は、入力操作部51からの入力指示、つまりキー入力を待機しており(ステップS211、S212で「No」)、キー入力があったならば(ステップS212で「Yes」)、入力キーの種類及び入力時刻を入力指示の内容として求める(ステップS213)。
【0077】
制御部55は、一定数の入力指示の内容を読み書き可能なリストをメモリ内に保有しており、このリストに一定数の入力指示の内容が既に格納されているか否か、つまりリストが満杯であるか否かを確認する(ステップS214、S215)。
【0078】
このリストは、QRコードにより表示可能な入力指示の内容を一定数に制限するためのものである。すなわち、QRコードにより表示可能な最大の情報量が決まっていることから、一定数の入力指示の内容を格納可能なリストを予め作成しておき、このリストの容量により入力指示の内容の数を一定数に制限する。
【0079】
制御部55は、リストが満杯でなければ(ステップS215で「No」)、このリストにステップS213で求めた入力指示の内容を書き込んで、このリストの入力指示履歴情報を更新し、この入力指示履歴情報を示すQRコードを作成して、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS216)。
【0080】
また、制御部55は、リストが満杯であれば(ステップS215で「Yes」)、このリストのうちから最も旧い入力時刻の入力指示の内容を選択して削除した後(ステップS217)、このリストにステップS213で求めた入力指示の内容を書き込んで(ステップS218)、このリストの入力指示履歴情報を更新し、この入力指示履歴情報を示すQRコードを作成して、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS216)。
【0081】
このような処理により、入力指示履歴情報が作成され、この入力指示履歴情報がQRコードに変換されて画面に表示される。
【0082】
次に、図9のフローチャートを参照しつつ、異常が発生した処理期間におけるオプションユニットの接続状態及び該処理期間より過去に遡った一定期間の該オプションユニットの接続状態からなる接続状態履歴情報を作成し、この接続状態履歴情報をQRコードに変換するための処理を説明する。
【0083】
まず、制御部55は、内蔵のタイマーにより一定のサンプリング周期を繰り返し計時して、サンプリング周期毎のサンプリングタイミングを待機しており(ステップS311、S312で「No」)、サンプリングタイミングとなったならば(ステップS312で「Yes」)、
ユニット入出力部52により検出されたオプションユニットのコマンド及びサンプリング時刻をオプションユニットの接続状態として求める(ステップS313)。
【0084】
制御部55は、一定数の接続状態を読み書き可能なリストをメモリ内に保有しており、このリストに一定数の接続状態が既に格納されているか否か、つまりリストが満杯であるか否かを確認する(ステップS314、S315)。
【0085】
このリストは、QRコードにより表示可能な入力指示の内容を一定数に制限するためのものである。
【0086】
制御部55は、リストが満杯でなければ(ステップS315で「No」)、このリストにステップS313で求めたオプションユニットの接続状態を書き込んで、このリストの接続状態履歴情報を更新し、この接続状態履歴情報を示すQRコードを作成して、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS316)。
【0087】
また、制御部55は、リストが満杯であれば(ステップS315で「Yes」)、このリストのうちから最も旧いサンプリング時刻のオプションユニットの接続状態を選択して削除した後(ステップS317)、このリストにステップS313で求めたオプションユニットの接続状態を書き込んで(ステップS318)、このリストの接続状態履歴情報を更新し、この接続状態履歴情報を示すQRコードを作成して、このQRコードを表示装置62の画面に表示する(ステップS316)。
【0088】
このような処理により、接続状態履歴情報が作成され、この接続状態履歴情報がQRコードに変換されて画面に表示される。
【0089】
尚、センサの検出状態履歴情報及び通信プロトコルの通信履歴情報についても、オプションユニットの接続状態履歴情報と同様に、図9のフローチャートの処理により作成され、QRコードに変換されて画面に表示される。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【0091】
例えば、上記実施形態では、QRコードを例示しているが、他の種類の2次元コードを適用しても構わない。また、異常に関連する情報として、入力指示の内容、オプションユニットの接続状態、センサの検出出力、及び通信プロトコルの制御信号を例示しているが、他の種類の情報を組み合わせてもよい。更に、複数の情報を纏めて1つのQRコードに変換しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置における入力操作部を示す平面図である。
【図4】本実施形態の画像形成装置における表示画面上でQRコードを並べて表示した例を示す図である。
【図5】本実施形態の画像形成装置における表示画面上でQRコードを画像形成装置の模式図における異常発生箇所に表示した例を示す図である。
【図6】本実施形態の画像形成装置における表示画面上でQRコードを拡大表示した例を示す図である。
【図7】異常に関連する情報を収集して、この情報をQRコードに変換して表示するまでの処理を示すフローチャートである。
【図8】入力指示履歴情報を作成し、この入力指示履歴情報をQRコードに変換するための処理を示すフローチャートである。
【図9】オプションユニットの接続状態履歴情報を作成し、この接続状態履歴情報をQRコードに変換するための処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置
2 原稿読取りユニット
3 印刷部
4 給紙部
5 後処理ユニット
34 表裏反転ユニット
51 入力操作部
52 ユニット入出力部
53 センサ
54 ファクシミリ入出力部
55 制御部
56 ファクシミリ通信ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生した異常を判定して報知する画像形成装置において、
異常の発生に際し、各種の異常を解析するのに有用でありかつ画像形成装置で収集可能な複数の情報のうちから前記発生した異常に関連する情報を判定する判定手段と、
前記判定手段により異常に関連すると判定された情報を2次元コードに変換して表示画面に表示する2次元コード表示手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
発生した異常を判定して報知する画像形成装置において、
異常の発生に際し、画像形成装置に対する入力操作情報、画像形成装置に対するオプションユニットの接続情報、画像形成装置における各センサの検出情報、及び画像形成装置によるファクシミリ通信の通信情報のうちから前記異常に関連する情報を判定する判定手段と、
前記判定手段により異常に関連すると判定された情報を2次元コードに変換して表示画面に表示する2次元コード表示手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記2次元コード表示手段は、画像形成装置の模式図を表示画面に表示し、この表示画面の模式図上での異常発生箇所を求め、前記判定手段により異常に関連すると判定された情報を2次元コードに変換して、この2次元コードを該表示画面の模式図の異常発生箇所に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記表示画面に対する入力操作位置を検出する入力操作位置検出手段を備え、
前記2次元コード表示手段は、前記入力操作位置検出手段により検出された入力操作位置が表示画面上の2次元コードの領域にあると、2次元コードを拡大表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置に対する入力操作情報の履歴を蓄積する入力操作情報履歴蓄積手段を備え、
前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により入力操作情報が異常に関連すると判定されると、前記入力操作情報履歴蓄積手段内の入力操作情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置に対するオプションユニットの接続情報の履歴を蓄積する接続情報履歴蓄積手段を備え、
前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により接続情報が異常に関連すると判定されると、前記接続情報履歴蓄積手段内の接続情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置における各センサの検出情報の履歴を蓄積する検出情報履歴蓄積手段を備え、
前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により検出情報が異常に関連すると判定されると、前記検出情報履歴蓄積手段内の検出情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置によるファクシミリ通信の通信情報の履歴を蓄積する通信情報履歴蓄積手段を備え、
前記2次元コード表示手段は、前記判定手段により通信情報が異常に関連すると判定されると、前記通信情報履歴蓄積手段内の通信情報の履歴を2次元コードに変換して表示画面に表示することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−107571(P2010−107571A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276878(P2008−276878)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】