説明

画像形成装置

【課題】中間転写体とそれに沿って順次配置された複数の画像形成部とを用いて画像形成することができる画像形成装置において、色ずれの抑制された画像を形成する。
【解決手段】中間転写体8と、それに沿って順次配置された複数の画像形成部Y、M、C、Kとを備えており、最下流側画像形成部Kより上流側において各隣り合う画像形成部間では下流側画像形成部の感光体の動摩擦係数が上流側画像形成部の感光体の動摩擦係数以上であり、最下流側画像形成部Kとその一つ上流側の画像形成部C間では、最下流側画像形成部Kの感光体1の動摩擦係数μ(K) が上流側画像形成部Cの感光体の動摩擦係数μ(C) より大きい〔μ(Y) ≦μ(M) ≦μ(C) <μ(K) 〕画像形成装置PR。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置は種々のタイプのものが知られているが、その中に、中間転写体と、それぞれが担当色トナーでトナー像を形成できる複数の画像形成部を有する画像形成装置が知られている。
【0003】
さらに言えば、回転駆動される中間転写体と、該中間転写体に沿って中間転写体表面走行方向において上流側から下流側へ順次配置された複数の画像形成部とを備えており、該各画像形成部は該中間転写体に臨んで回転駆動される感光体を含んでおり、該感光体に担当色に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を担当色トナーを用いて現像してトナー像を形成し、該トナー像を該中間転写体を間にして該感光体に対向する1次転写手段にて該中間転写体上に1次転写することができ、該1次転写トナー像は2次転写手段にて記録媒体へ2次転写できる画像形成装置である。
【0004】
この種の画像形成装置では、感光体間の中間転写体部分に弛みが生じるなどして感光体間で中間転写体がばたついたり、中間転写体が感光体に対してスリップしたりして、中間転写体上に1次転写される各色トナー像間で色ずれが生じ、画像品質が低下することがある。
【0005】
色ずれ対策については、例えば特開2005−196007号公報に、(1) 感光体の回転起動時に複数の感光体間の位相を合わせを短時間で行い、それにより、ひきつづく画像形成における感光体間の位相ずれ(速度差)による色ずれの発生を防止したり、(2) 感光体停止にあたり複数の感光体間の位相合わせを行うことで、次の感光体回転起動時における感光体間の位相合わせによる速度変動を少なくして、感光体と中間転写体間の速度差を減らして色ずれを一層防止したり、(3) 感光体の起動時や停止時に、中間転写ベルト駆動モータ及び各感光体駆動モータの順番を適宜する変更制御することでことで、中間転写ベルトと感光体間の速度差や感光体同士の速度差を減らして色ずれを防止することが記載されている。
【0006】
また、特開2006−171334号公報には、中間転写体上のトナー像の色ずれ量を検出し、その検出結果に基づいて下流側の感光体の回転速度を他の感光体の回転速度より大きくすることが記載されている。
【0007】
特開2006−259551号公報には、上記で説明してきた中間転写体を記録媒体担持体として用い、それに記録媒体を担持させて、該記録媒体に直接各色トナー像を転写できる画像形成装置において、記録媒体担持体の張り具合に影響をおよぼす画像形成装置内の湿度に基づいて、各感光体の駆動手段と該記録媒体担持体の駆動手段との動作を制御して、例えば各隣り合う感光体間において下流側感光体の回転速度を上流側感光体の回転速度より大きくして、記録媒体担持体の弛みを防止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−196007号公報
【特許文献2】特開2006−171334号公報
【特許文献3】特開2006−259551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開2005−196007号公報、特開2006−171334号公報、特開2006−259551号公報に記載されているように、感光体の回転速度を制御するだけでは、中間転写体と感光体とがスリップしてしまって、また、そのために中間転写体がばたつくような場合には、中間転写体上のトナー像の色ずれを抑制できない。
【0010】
そこで本発明は、回転駆動される中間転写体と、該中間転写体に沿って中間転写体表面走行方向において上流側から下流側へ順次配置された複数の画像形成部とを備えており、該各画像形成部は該中間転写体に臨んで回転駆動される感光体を含んでおり、該感光体に担当色に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を担当色トナーを用いて現像してトナー像を形成し、該トナー像を該中間転写体を間にして該感光体に対向する1次転写手段にて該中間転写体上に1次転写することができ、該1次転写トナー像は2次転写手段にて記録媒体へ2次転写できる画像形成装置であって、感光体間の中間転写体部分に大きい弛みが生じるなどして感光体間で中間転写体がばたついたり、中間転写体と感光体との間に大きいスリップが生じたりして、これらにより中間転写体上に1次転写される各色トナー像間で色ずれが生じ、画像品質が低下してしまうことを抑制できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記課題を解決するため、
回転駆動される中間転写体と、該中間転写体に沿って中間転写体表面走行方向において上流側から下流側へ順次配置された複数の画像形成部とを備えており、該各画像形成部は該中間転写体に臨んで回転駆動される感光体を含んでおり、該感光体に担当色に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を担当色トナーを用いて現像してトナー像を形成し、該トナー像を該中間転写体を間にして該感光体に対向する1次転写手段にて該中間転写体上に1次転写することができ、該1次転写トナー像は2次転写手段にて記録媒体へ2次転写できる画像形成装置であって、前記複数の画像形成部のうち最下流側の画像形成部より上流側において各隣り合う画像形成部間では下流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数が上流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数以上であり、最下流側画像形成部とその一つ上流側の画像形成部間では、最下流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数は上流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数より大きい画像形成装置を提供する。
【0012】
本発明に係る画像形成装置では、複数の画像形成部のうち最下流側の画像形成部より上流側における各隣り合う画像形成部間では下流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数が上流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数以上に設定されており、さらに、最下流側画像形成部とその一つ上流側の画像形成部間では、最下流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数が上流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数より大きく設定されている。
【0013】
従って、各隣り合う感光体間の中間転写体部分は下流側へ引っ張られるようにして弛みの発生、ひいては弛みによるばたつき発生が抑制された状態となり、且つ、各感光体と中間転写体との接触部ニップ部での中間転写体の感光体に対するスリップが抑制され、それだけ中間転写体上の各トナー像間の色ずれが抑制され、画像品質がそれだけ向上する。
【0014】
本発明に係る画像形成装置においては、さらに、前記複数の画像形成部の各隣り合う画像形成部間において下流側画像形成部の感光体の回転速度は上流側画像形成部の感光体の回転速度以上としてもよい。
このように感光体の回転速度を規制することで、中間転写体の周長についての部品公差、経時変化による中間転写体の伸び、中間転写体を支持している部材の寸法公差(例えばベルト形態の中間転写体を支持するローラの外径公差)、中間転写体と該支持部材間のスリップ等に起因するすることがある感光体間の中間転写体部分の弛みを一層抑制することができ、全体として一層色ずれ発生を抑制することができる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置としては、代表例としてタンデム型カラー画像形成装置を挙げることができる。
また、いずれにしても中間転写体は、代表例として中間転写ベルトを挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によると、回転駆動される中間転写体と、該中間転写体に沿って中間転写体表面走行方向において上流側から下流側へ順次配置された複数の画像形成部とを備えており、該各画像形成部は該中間転写体に臨んで回転駆動される感光体を含んでおり、該感光体に担当色に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を担当色トナーを用いて現像してトナー像を形成し、該トナー像を該中間転写体を間にして該感光体に対向する1次転写手段にて該中間転写体上に1次転写することができ、該1次転写トナー像は2次転写手段にて記録媒体へ2次転写できる画像形成装置であって、感光体間の中間転写体部分に大きいたるみが生じるなどして感光体間で中間転写体がばたついたり、中間転写体と感光体との間に大きいスリップが生じたりして、これらにより中間転写体上に1次転写される各色トナー像間で色ずれが生じ、画像品質が低下してしまうことを抑制できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の1例の構成の概略を示す図である。
【図2】実施例1において色ずれが抑制されている状態を示す図である。
【図3】実施例2において色ずれが抑制されている状態を示す図である。
【図4】実施例3において色ずれが抑制されている状態を示す図である。
【図5】実施例4において色ずれが抑制されている状態を示す図である。
【図6】比較例1において許容し難い色ずれが発生している状態を示す図である。
【図7】比較例2において許容し難い色ずれが発生している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る画像形成装置の例について説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置の1例PRの構成の概略を示している。画像形成装置PRはタンデム型のフルカラープリンタである。
【0019】
このプリンタPRは、駆動ローラ81とこれに対向するローラ82、さらにローラ83、84に巻き掛けられた無端の中間転写ベルト8を有している。転写ベルト8は、図示省略のベルト駆動部により駆動される駆動ローラ81により図中反時計方向(図中矢印方向)CCWに回される。
【0020】
ローラ82には転写ベルト8上の2次転写残トナーや記録媒体粉等を清掃するクリーニング装置85が臨んでいる。駆動ローラ81にはベルト8を間にして2次転写ローラ9が臨んでいる。クリーニング装置85に回収されるトナー等は図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0021】
2次転写ローラ9は、図示省略の押圧手段にて駆動ローラ81に支持された中間転写ベルト8の部分に押圧され、中間転写ベルト8との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト8の回転に従動して、或いは、後述するように該ニップ部に送り込まれる記録媒体Sの移動に従動して、或いは図示省略の駆動部に駆動されて回転することができる。
【0022】
2次転写ローラ9には、図示省略の電源から2次転写バイアスを印加することができる。本例では、これら2次転写ローラ9、2次転写バイアス電源等から2次転写手段が構成されている。
【0023】
中間転写ベルト8及び2次転写ローラ9の上方には定着装置FXが配置されており、下方にはタイミングローラ対TRが配置されており、さらにその下方に、記録紙等の記録媒体Sを収容した記録媒体収容カセット10が配置されている。
【0024】
定着装置FXはハロゲンランプヒータ等の熱源を内蔵した定着加熱部材(それには限定されないが、ここではローラ型部材)とこれに圧接される加圧部材(それには限定されないが、ここではローラ型部材)とを含むものである。
【0025】
記録媒体収容カセット10に収容された記録媒体Sは、媒体供給ローラ101にて1枚ずつ引き出してタイミングローラ対TRへ供給することができる。
【0026】
中間転写ベルト8を巻き掛けたローラ83、84の間には、対向ローラ82に近い方の案内ローラ83から駆動ローラ81に近い方の案内ローラ84に向けて転写ベルト8に沿ってイエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kがこの順序で配置されている。
【0027】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、静電潜像担持体としてドラム型の感光体1を備えており、該感光体の周囲に帯電器2、露光装置3、現像装置4及びクリーニング装置5がこの順序で配置されている。
【0028】
また、Y、M、C、Kの各画像形成部の感光体1に対してベルト8を間にして1次転写部材6が対向している。本例では1次転写部材は1次転写ローラであり、ベルト8に従動回転できるものである。
【0029】
1次転写ローラ6には、感光体1上に形成されるトナー像をベルト8へ1次転写するための1次転写バイアスを図示省略の電源から印加できる。本例では、これら1次転写ローラ6、1次転写バイアス電源等が1次転写手段を構成している。
【0030】
露光装置3は、図示省略のパーソナルコンピュータ、画像読取装置、フアクシミリ機等から提供される画像情報に応じて、レーザービームの点滅により感光体1にドット(点)露光で画像露光を施せるものである。
【0031】
各画像形成部における感光体1は、図示省略の感光体駆動モータにて図中時計方向回りに回転駆動できる。
各画像形成部における帯電器2は、本例ではスコロトロン帯電器であり、所定のタイミングで図示省略の電源から帯電用の電圧が印加される。なお、帯電器2は帯電ローラを用いるもの等であってもよい。
【0032】
各画像形成部における現像装置4は、磁性キャリアとトナーを主成分とする所謂2成分現像剤を用いて、感光体1上に形成される静電潜像を反転現像することができる。さらに言えば、現像装置4は、磁石体を内蔵し、図示省略の電源から現像バイアスが印加されるローラ形態の現像スリーブ(換言すれば、現像ローラ)41で潜像を現像することができる。
【0033】
このプリンタによると、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを転写ベルト8に1次転写する。
【0034】
すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体1が図中時計方向に回転駆動され、帯電器2にて表面が一様に所定電位に帯電され、該帯電域に露光装置3からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体1上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像装置4の現像バイアスが印加された現像スリーブ41にて現像されて可視イエロートナー像となる。該イエロートナー像は1次転写ローラ6にて転写ベルト8上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ6には図示省略の電源から1次転写バイアスが印加される。また、このとき、1次転写ローラ6は図示省略のローラ押圧部材でベルト8に押圧されてベルト8に従動回転し、ベルト8と感光体1とは相互に接触している。
【0035】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいてマゼンタトナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、シアン画像形成部Cにおいてシアントナー像が形成されて転写ベルト8に転写され、ブラック画像形成部Kにおいてブラックトナー像が形成されて転写ベルト8に転写される。
【0036】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像はこれらが中間転写ベルト8上に重ねて転写されるタイミングで形成される。
かくして転写ベルト8上に形成された多重トナー像は転写ベルト8の回動により2次転写ローラ9へ向け移動する。
【0037】
一方、記録媒体Sが記録媒体収容カセット10から媒体供給ローラ101にて引き出され、タイミングローラ対TRへ供給され、待機している。
【0038】
このようにタイミングローラ対TRのところで待機する記録媒体Sは、中間転写ベルト8にて送られてくる多重トナー像に合わせて、転写ベルト8と2次転写ローラ9とのニップ部に供給される。該多重トナー像は図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ9にて記録媒体S上に2次転写される。
【0039】
その後記録媒体Sは定着装置FXに通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録媒体Sに定着される。記録媒体Sはひき続き、排出ローラ対DRにて排出トレイDTに排出される。
【0040】
トナー像のベルト8への1次転写において感光体1上に残留する転写残トナー等はクリーニング装置5で清掃され、2次転写によりベルト8上に残留する2次転写残トナー等はクリーニング装置85で清掃される。これら清掃除去されたトナーはそれぞれ図示省略の搬送手段にて廃棄容器へ送られる。
【0041】
以上説明したように画像形成されるのであるが、プリンタPRでは各感光体1の中間転写ベルト8に対する動摩擦係数及び各感光体の回転速度は以下の表1に示す実施例1〜4のいずれかに設定され、それにより、転写ベルト8上に転写される各色トナー像間での色ずれが抑制される。
【0042】
以下の実施例説明等において、
μ(Y) はイエロー画像形成部Yの感光体の動摩擦係数、
μ(M) はマゼンタ画像形成部Mの感光体の動摩擦係数、
μ(C) はシアン画像形成部Cの感光体の動摩擦係数、
μ(K) はブラック画像形成部Kの感光体の動摩擦係数である。
【0043】
V(Y) はイエロー画像形成部Yの感光体の回転速度(換言すれば周速度)
V(M) はマゼンタ画像形成部Mの感光体の回転速度(換言すれば周速度)
V(C) はシアン画像形成部Cの感光体の回転速度(換言すれば周速度)
V(K) はブラック画像形成部Kの感光体の回転速度(換言すれば周速度)である。
【0044】
(表 1)
感光体動摩擦係数 感光体回転速度
実施例1 μ(Y) <μ(M) <μ(C) <μ(K) V(Y) <V(M) <V(C) <V(K)
実施例2 μ(Y) <μ(M) <μ(C) <μ(K) V(Y) =V(M) =V(C) =V(K)
実施例3 μ(Y) =μ(M) =μ(C) <μ(K) V(Y) <V(M) <V(C) <V(K)
実施例4 μ(Y) =μ(M) =μ(C) <μ(K) V(Y) =V(M) =V(C) =V(K)
実施例1〜4の感光体動摩擦係数をまとめて示すと、
μ(Y) ≦μ(M) ≦μ(C) <μ(K) であり、
感光体回転速度をまとめて示すと、
V(Y) ≦V(M) ≦V(C) ≦V(K) である。
【0045】
次表2は表1に示す感光体の動摩擦係数及び回転速度の具体例を示している。
(表 2)
μ(Y) μ(M) μ(C) μ(K) V(Y) V(M) V(C) V(K)
実施例1 0.6 0.8 1.0 1.4 216 232 248 264
実施例2 0.6 0.8 1.0 1.0 216 216 216 216
実施例3 0.8 0.8 0.8 1.0 216 232 248 264
実施例4 0.8 0.8 0.8 1.0 216 216 216 216
感光体回転速度:mm/秒
【0046】
図1に示すタイプのプリンタPRにおいて、表2に示すように感光体の動摩擦係数及び感光体の回転速度を設定し、他は同じ画像形成条件で 中間転写ベルト8上に各色の色ずれ検出用のライン画像を形成し、ブラック画像形成部Kにより形成された画像位置を基準として、その基準位置からのイエロー画像のずれ量、マゼンタ画像のずれ量及びシアン画像のずれ量をそれぞれ測定してみた。
【0047】
測定結果を図2から図5に示す。図2は実施例1の結果、図3は実施例2の結果、図4は実施例3の結果、図5は実施例4の結果をそれぞれ示している。
図2〜図5において縦軸は色ずれ量〔μm〕を、横軸は測定位置〔mm〕を示している。
【0048】
比較のため、各感光体1の中間転写ベルト8に対する動摩擦係数及び各感光体の回転速度を本発明を適用しない以下の表3、表4に示す比較例1、2のように設定して、実施例1〜4と同様に画像形成し、色ずれ量を測定してみた。測定結果を図6、図7に示す。図6は比較例1の結果、図7は比較例2の結果をそれぞれ示している。
図6、図7においても、縦軸は色ずれ量〔μm〕を、横軸は測定位置〔mm〕を示している。
【0049】
(表 3)
感光体動摩擦係数 感光体回転速度
比較例1 μ(Y) =μ(M) =μ(C) =μ(K) V(Y) =V(M) =V(C) =V(K)
比較例2 μ(Y) >μ(M) =μ(C) >μ(K) V(Y) =V(M) =V(C) =V(K)
【0050】
(表 4)
μ(Y) μ(M) μ(C) μ(K) V(Y) V(M) V(C) V(K)
比較例1 1.0 1.0 1.0 1.0 216 216 216 216
比較例2 1.4 1.0 1.0 0.8 216 216 216 216
感光体回転速度:mm/秒
【0051】
なお、各実施例、各比較例におけるこのような動摩擦係数は、感光体1の表面エネルギ、表面粗さ、表面硬度等のうち1又は2以上を調整することで設定できる。ここでは表面エネルギを調整することで各動摩擦係数を設定した。
実施例、比較例ともに、色ずれ量の測定は、新東科学(株)社製の測定器(ヘイドン・トライボギア type94)で行った。
また、中間転写ベルト8には樹脂ベルト(ここではポリイミド製ベルト)を用い、ベルト走行速度は216mm/秒に設定した。
【0052】
これらの測定結果から、本発明のように感光体の動摩擦係数を設定し、或いはさらに感光体の回転速度を設定することで、ベルト8上に転写される各色トナー像間での色ずれを抑制できることがわかる。
【0053】
図2〜図5を比較してみると分かるように、実施例1のように、下流側の画像形成部ほど感光体の動摩擦係数と回転速度を順次大きくすれば、色ずれを最も抑制できることがわかる。
【0054】
また、コストを考慮すれば、実施例4のように、最下流側の画像形成部(ここではブラック画像形成部K)の感光体の動摩擦係数だけを他の画像形成部の感光体の動摩擦係数より大きく設定するだけでも色ずれを抑制できることかわかる。
【0055】
以上説明した図1の画像形成装置はプリンタであったが、本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらのうち2以上を組み合わせた複合機等のいずれの画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、中間転写体とそれに沿って順次配置された複数の画像形成部とを用いて画像形成することができる画像形成装置であって、色ずれの抑制された画像を形成できる画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0057】
PR プリンタ
Y イエロー画像形成部
M マゼンタ画像形成部
C シアン画像形成部
K ブラック画像形成部
1 感光体
2 帯電器
3 画像露光装置
4 現像装置
41 現像スリーブ
5 クリーニング装置
6 1次転写ローラ
8 中間転写ベルト
81 駆動ローラ
82 対向ローラ
83、84 案内ローラ
83 クリーニング装置
9 2次転写ローラ
10 記録媒体供給カセット
101 記録媒体供給ローラ
TR タイミングローラ対
FX 定着装置
DR 記録媒体排出ローラ対
DT 記録媒体排出トレイ
S 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される中間転写体と、該中間転写体に沿って中間転写体表面走行方向において上流側から下流側へ順次配置された複数の画像形成部とを備えており、該各画像形成部は該中間転写体に臨んで回転駆動される感光体を含んでおり、該感光体に担当色に応じた静電潜像を形成し、該静電潜像を担当色トナーを用いて現像してトナー像を形成し、該トナー像を該中間転写体を間にして該感光体に対向する1次転写手段にて該中間転写体上に1次転写することができ、該1次転写トナー像は2次転写手段にて記録媒体へ2次転写できる画像形成装置であって、前記複数の画像形成部のうち最下流側の画像形成部より上流側において各隣り合う画像形成部間では下流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数が上流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数以上であり、最下流側画像形成部とその一つ上流側の画像形成部間では、最下流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数は上流側画像形成部の感光体の中間転写体に対する動摩擦係数より大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の画像形成部の各隣り合う画像形成部間において下流側画像形成部の感光体の回転速度は上流側画像形成部の感光体の回転速度以上である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
タンデム型カラー画像形成装置である請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−164797(P2010−164797A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7328(P2009−7328)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】