説明

画像形成装置

【課題】構成要素の部品精度に影響されずに高画質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、画像情報に基づいて、トナー像が形成される像担持体121,125を有する画像形成部12と、像担持体121,125上の残留トナーを除去し、回収するクリーニング部127,140と、回収した廃トナーを集積する廃トナー回収部118と、廃トナー回収部118へ廃トナーを搬送する廃トナー搬送系統40と、用紙を、像担持体121,125を経由して搬送する用紙搬送系統15と、用紙搬送系統15と廃トナー搬送系統40とを駆動する共通の第1駆動源30と、第1駆動源30とは異なる駆動源であり、画像形成部12を駆動する第2駆動源21〜27とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、基本構成要素として、例えば、トナー像を形成し、該トナー像を用紙上に転写する画像形成部、転写されたトナー像を用紙上に定着させる定着部、トナー像の形成およびトナー像の転写に伴って発生した廃トナーを回収する回収部、回収部へ廃トナーを搬送する搬送部、用紙を用紙貯留部から画像形成部に給送する給送部、定着処理された用紙を排出する排出部等の多数の処理ユニットを含む。
【0003】
近年の画像形成装置では、省エネの観点から消費電力を抑えて上記の基本構成要素を効率よく駆動することが求められているため、かつ、高画質化や高速化に伴い画像形成装置が大型化することを抑制するため、各基本構成要素を専用の駆動源で駆動するのではなく、それらの基本構成要素のうちの2つまたはそれ以上の基本構成要素を共通の駆動源で駆動している。例えば、特許文献1の画像形成装置では、画像形成部と搬送部とを共通の駆動源で駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2001−312149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、高画質の画像を形成することは難しい。具体的には、画像形成部は、例えばトナー像が形成される感光体ドラムやトナー像を用紙上に転写する転写ベルトを有する、画像形成装置の根幹部であるため、画像形成部の各構成要素は、高い部品精度、ひいては高精度の駆動が要求される。
【0006】
一方、搬送部は、トナー像の形成およびトナー像の転写に伴って発生した廃トナーを回収部へ搬送できればよいのであって、高い部品精度、ひいては高精度の駆動を必要とするものではない。
【0007】
高い部品精度を有する画像形成部と、比較的高い部品精度を有しない回収部とを共通の駆動源で駆動すると、回収部の低い部品精度に起因して回収部の動作が画像形成部の動作に影響する。その結果、高画質の画像を形成することが困難となる。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、構成要素の部品精度に影響されずに高画質な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、画像情報に基づいて、トナー像が形成される像担持体を有する画像形成部と、前記像担持体上の残留トナーを除去し、回収するクリーニング部と、回収した廃トナーを集積する廃トナー回収部と、前記廃トナー回収部へ前記廃トナーを搬送する廃トナー搬送系統と、前記用紙を、前記像担持体を経由して搬送する用紙搬送系統と、前記用紙搬送系統と前記廃トナー搬送系統とを駆動する共通の第1駆動源と、前記第1駆動源とは異なる駆動源であり、前記画像形成部を駆動する第2駆動源とを含む。
【0010】
本発明に係る画像形成装置によれば、画像形成部と廃トナー搬送系統とは互いに異なる駆動源で駆動されるので、高精度の駆動を必要とする画像形成部の動作が、比較的高精度の駆動を必要としない廃トナー搬送系統の動作の影響を受けることを防止できる。その結果、画像形成部の動作が安定するので高画質の画像を形成することが可能となる。また、用紙搬送系統も比較的高精度の駆動を必要としないものであり、廃トナー搬送系統の駆動源を用紙搬送系統の駆動源と同一することで、電力の消費を抑えることができると共に、部品点数の削減で製品コストを下げることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、画像形成装置は、さらに、前記像担持体から前記トナー像が転写された用紙を定着処理する定着部と、定着処理された前記用紙を外部へ排出する用紙排出部とを含み、前記第1駆動源は、前記用紙排出部を駆動する用紙排出搬送用モータである。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、画像形成装置は、さらに、前記トナー像が転写された用紙を定着処理する定着部を含み、前記像担持体は、前記トナー像を用紙上に転写する転写ベルトを含み、前記第1駆動源は、前記用紙を前記転写ベルトおよび前記定着部へ搬送する用紙搬送用モータである。
【0013】
これらの構成によれば、用紙排出搬送用モータおよび用紙搬送用モータのうちの一方を第1駆動源として用いることで、画像形成部の動作を安定させることができる。
【0014】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記廃トナー搬送系統は、前記クリーニング部と前記廃トナー回収部とを連結し、廃トナーが回収される回収パイプと、前記回収パイプ内に配置され、回転しつつ該回収パイプ内の廃トナーを前記廃トナー回収部へ搬送する搬送部材とを含み、前記搬送部材は前記第1駆動源によって駆動される。
【0015】
搬送部材は、回転しつつ回収パイプ内の廃トナーを搬送するものであるが、例えば廃トナーの量や凝固状態に起因してその回転周期が狂う場合がある。このような不都合が生じても、搬送部材は第2駆動源とは異なる第1駆動源によって駆動されるので、搬送部材の動作が画像形成部の動作に影響を及ぼすことを防止できる。したがって、高画質の画像形成を維持することが可能である。
【0016】
本発明の他の好ましい実施形態では、画像形成部は、前記トナー像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに前記トナー像を形成する現像装置と、前記感光体ドラムから前記トナー像が転写される転写ベルトと、前記トナー像が前記転写ベルト上に転写された後に前記感光体ドラム上に残留するトナーを除去して回収するクリーニング装置と、前記転写ベルトとの間で搬送されてくる用紙を挟み込んで、前記転写ベルト上の前記トナー像を前記用紙上に転写させる転写ローラとを有しており、前記回収パイプは、前記トナー像が前記転写ベルト上に転写された後に前記感光体ドラム上に残留した残留トナーが回収される第1回収パイプと、前記トナー像が前記用紙上に転写された後に前記転写ベルト上に残留した残留トナーが回収される第2回収パイプとを含み、前記搬送部材は、前記第1回収パイプ内に配置され、回転しつつ該第1回収パイプ内の廃トナーを搬送する第1搬送部材と、前記第2回収パイプ内に配置され、回転しつつ該第2回収パイプ内の廃トナーを搬送する第2搬送部材とを含み、前記第1搬送部材および第2搬送部材は前記第1駆動源によって駆動され、前記第2駆動源は、前記感光体ドラムを駆動するドラムモータと、前記現像装置を駆動する現像モータと、前記転写ベルトを駆動するベルトモータとを含む。
【0017】
画像形成部は、主要な構成要素として、感光体ドラム、現像装置、転写ベルト、クリーニング装置および転写ローラを有するタンデム式である。感光体ドラム、現像装置および転写ベルトは、高い部品精度、ひいては高精度の駆動を必要とする構成要素であるが、比較的高い部品精度を必要としない第1搬送部材および第2搬送部材を駆動する第1駆動源とは異なるモータ(ドラムモータ、現像モータおよびベルトモータ)によって駆動されるので、感光体ドラム、現像装置および転写ベルトの動作が第1搬送部材および第2搬送部材の動作の影響を受けることはない。
【0018】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記廃トナー回収部は、前記第1回収パイプおよび第2回収パイプからの前記廃トナーが回収される回収タンクを含み、前記回収タンクは、回転しつつ前記廃トナーを攪拌する攪拌部材を含み、前記攪拌部材は前記第1駆動源によって駆動される。
【0019】
回収タンク、特にその構成要素である攪拌部材は、高い部品精度、ひいては高い精度の駆動を必要としない部材なので、回収タンクと同様に高い精度の駆動を必要としない搬送部および排出部を駆動する第1駆動源を、その駆動源とすることで、電力の消費を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る画像形成装置によれば、構成要素の部品精度に影響されずに高画質な画像を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図である。
【図2】画像形成装置の装置本体の外観図であり、画像形成装置の基本構成要素である画像形成部等の駆動系統を示している。
【図3】画像形成装置の画像形成部、搬送部および排出部を示す斜視図である。
【図4】図3の搬送部の斜視図であり、画像形成部近傍における搬送部の第1回収パイプおよび第2回収パイプの一部を拡大して示している。
【図5】図3の搬送部の斜視図であり、トナー回収タンク近傍における第1回収パイプおよび第2回収パイプの一部を拡大して示している。
【図6】第1回収パイプおよび中継パイプの一部拡大図である。
【図7】排出部の排出モータおよびその周辺のギア列を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要について図1を基に説明する。図1は、画像形成装置の内部構造の一実施形態を説明するための正面断面視の説明図である。画像形成装置10は、カラー印刷用の複写機として使用されるものであり、基本構成として、箱形を呈した装置本体11と、この装置本体11の上部に設けられた、原稿画像を読み取る画像読取部16とを含む。
【0023】
装置本体11には、画像読取部16によって読み取られた原稿の画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、画像形成部12によって形成され、用紙Pに転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙Pを貯留する用紙貯留部14と、定着処理が施された用紙Pを外部に排出する用紙排出部15とが内装されている。
【0024】
画像読取部16は、装置本体11の上面に開閉可能に設けられた原稿押え161と、装置本体11の上部内でコンタクトガラス163を介して原稿押え161と対向配置された光学系ユニット162とを含む。コンタクトガラス163は、載置された原稿の原稿面を読み取るために原稿押え161より若干小さい平面形状に寸法設定されている。原稿押え161は、装置本体11の上面の一側辺において所定の軸回りに正逆回動することで開閉する。
【0025】
光学系ユニット162は、図略の光源、複数のミラー、レンズユニット、CCD(charge coupled device)等を有している。光源からの光が原稿面で反射され、この反射光がこれらミラーおよびレンズユニットを介して原稿情報としてCCDに入力される。CCDに入力されたアナログ量としての原稿情報は、デジタル信号に変換されて所定の記憶装置に記憶される。
【0026】
画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙Pにトナー画像を形成させるものであり、上流側(図1の紙面の左側)から下流側へ向けて順次配設されたマゼンタ用ユニット12Mと、シアン用ユニット12Cと、イエロー用ユニット12Yと、ブラック用ユニット12Bkとを含む。各ユニット12M,12C,12Y,12Bkには、感光体ドラム121および現像装置122が設けられている。各感光体ドラム121は、図1において反時計方向に回転しつつ対応する現像装置122からトナーの供給を受ける。
【0027】
ユニット12M,12C,12Y,12Bkの各現像装置122は、画像形成部12の上方に装置本体11に対して着脱可能に配設されたトナーコンテナ20からトナーの補給を受ける。具体的には、マゼンタ〜ブラックユニット12M,12C,12Y,12Bkの現像装置122はそれぞれ、マゼンタトナー用コンテナ20M、シアントナー用コンテナ20C、イエロートナー用コンテナ20Yおよびブラックトナー用コンテナ20Kからトナー補給を受ける。
【0028】
各感光体ドラム121の直上位置には、帯電器123が設けられている。また、現像装置122および帯電器123の上方位置には、露光装置124が設けられている。各感光体ドラム121は、帯電器123によって周面が一様に帯電される。帯電後の感光体ドラム121の周面には、画像読取部16で入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が露光装置124から照射され、これにより、静電潜像が形成される。静電潜像に対応する現像装置122から各色のトナーが供給されることにより、感光体ドラム121の周面にトナー像が形成される。
【0029】
画像形成部12は、さらに、感光体ドラム121の下方位置に設けられた転写ベルト125を含む。転写ベルト125は、各感光体ドラム121の周面に当接するように駆動ローラ125a、従動ローラ125bおよび2次転写対向ローラ125c並びにその他の必要なローラ間に張設されている。転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた1次転写ローラ126によって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で、各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を時計回りに周回する。
【0030】
転写ベルト125の周回と共に、転写ベルト125の表面に対して、まず、マゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の転写が行なわれる。ついで、転写ベルト125におけるマゼンタトナー像の転写位置に、シアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。以下同様にして、イエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121によるイエローのトナー像の転写、およびブラック用ユニット12Bkの感光体ドラム121によるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。これにより、転写ベルト125の表面にカラーのトナー像が形成される。転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像は、用紙貯留部14から搬送されてきた用紙Pに転写される。
【0031】
各感光体ドラム121の図1における右方位置には、感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去して清浄化するクリーニング装置(クリーニング部)127が設けられている。クリーニング装置127によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電器123へ向かう。クリーニング装置127で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、後述する第1回収パイプ41(図3)を通って廃トナー回収タンク(廃トナー回収部)118に回収される。
【0032】
用紙貯留部14の用紙Pは、用紙搬送路(用紙搬送系統)111を通って転写ベルト125に向けて搬送される。用紙搬送路111は、用紙貯留部14の右方位置から画像形成部12の下方位置にかけて延びる搬送路であり、適所に搬送ローラ対112が設けられている。用紙貯留部14からの用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で転写ベルト125の下方位置へ向けて搬送される。用紙搬送路111には、転写ベルト125側の2次転写ローラ125cと対向した位置に転写ベルト125の表面と当接する2次転写ローラ113が設けられている。用紙Pは転写ベルト125と2次転写ローラ113とに押圧挟持され、これにより転写ベルト125上のトナー像が用紙Pに転写される。
【0033】
定着部13は、用紙P上のトナー像に対して定着処理を施すものである。定着部13は、加熱源であるハロゲンランプ等の通電発熱体を内部に有する加熱ローラ131と、加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、定着ローラ132および加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、定着ベルト133を介して定着ローラ132と対向配置された加圧ローラ134とを含む。
【0034】
定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pは、用紙排出部(用紙搬送系統)15によって外部に排出される。用紙排出部15は、定着部13から装置本体11の左側壁にかけて延びる排紙搬送路114を有している。排紙搬送路114には、適所に排出ローラ対116が設けられている。定着処理された用紙Pは、排出ローラ対116の駆動によって排紙搬送路114を通って前記左側壁に設けられた排紙トレイ115へ排出される。
【0035】
2次転写ローラ113と従動ローラ125bとの間には、クリーニング装置(クリーニング部)140が転写ベルト125に沿って配置されている。クリーニング装置140は、転写ベルト125上のトナー像が2次転写ローラ113によって用紙Pに転写された後に転写ベルト125上に残留するトナーを回収(除去)する。清浄化された転写ベルト125は、感光体ドラム121と1次転写ローラ126との間でトナー像が再び1次転写される。クリーニング装置140によって回収された廃トナーは、後述する第2回収パイプ44(図3)を通ってトナー回収タンク118に回収される。
【0036】
用紙貯留部14は、挿脱自在に装着可能な、用紙Pの束を貯留するための用紙トレイ141を有している。図1に示す例では、用紙トレイ141が2段で設けられているが、3段以上であってもよいし、1段であってもよい。
【0037】
用紙Pは、用紙トレイ141からピックアップローラ142の駆動で1枚ずつ繰り出される。繰り出された用紙Pは、用紙搬送路111を通って画像形成部12の2次転写ローラ113と転写ベルト125との間のニップ部へ搬送され、転写ベルト125の表面に形成されているカラーのトナー画像が転写される。転写処理後の用紙Pの搬送は、前述のとおりである。
【0038】
以上の説明から明らかなとおり、画像形成装置10は、画像形成部12が感光体ドラム121、現像装置122、クリーニング装置127、中間転写ベルト125、2次転写ローラ125c等から構成されるタンデムカラー機である。
【0039】
図2は、画像形成装置10の装置本体11の外観図であり、画像形成部12の駆動系統や用紙排出部15の駆動系統を示している。なお、図2は、装置本体11を背面側(図1の紙面の裏側)から見た図である。装置本体11の背壁には、画像形成装置10の各種構成要素を駆動するための複数のモータが設けられている。
【0040】
具体的には、上流側(図2では右側)から下流側へ向けて配設されたマゼンタ用ユニット12M、シアン用ユニット12C、イエロー用ユニット12Yおよびブラック用ユニット12Bkの各感光体ドラム121を回転駆動する4つのモータ21,22,23,24が並設されている。シアン用ユニット12Cの感光体ドラム121を駆動するモータ22とイエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121を駆動するモータ23との間、かつそれらのモータ22,23の上方位置には、ユニット12M,12C,12Yの各現像装置122を駆動する共通のモータ25が設けられている。ブラック用ユニット12Bkの感光体ドラム121を駆動するモータ24とモータ23との間、かつそれらのモータ23,24の上方位置には、ブラック用ユニット12Bkの現像装置122およびクリーニング装置127を駆動するモータ26が設けられている。マゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121を駆動するモータ21とモータ22との間、かつそれらのモータ21,22の上方位置には、マゼンタ用ユニット12M、シアン用ユニット12Cおよびイエロー用ユニット12Yの各クリーニング装置127を駆動する共通のモータ27が設けられている。本実施形態では、モータ21〜27は第2駆動源を構成する。
【0041】
また、モータ23の下方位置、かつ転写ベルト125上の残留トナーを回収するクリーニング装置140(図1)に対応する位置には、該クリーニング装置140、特に後述する搬送パイプ50内に配置された図略の攪拌部材を駆動するモータ28が設けられている。モータ28は、用紙搬送路111に設けられた、搬送ローラ対112を含む搬送ローラを駆動する。さらに、モータ24の下方位置には、駆動ローラ125a(図1)を駆動する、つまり転写ベルト125を周回させるモータ29が設けられている。モータ21〜29は、例えばDCブラシレスモータである。
【0042】
さらに、用紙排出部15(図1)に対応する位置、かつ装置本体11の背壁および右側壁(図1では左側壁)間の角部の近傍位置には、用紙排出部15の排出ローラ対116を駆動する排出モータ30が設けられている。本実施形態では、排出モータ30は、第1駆動源を構成しており、ユニット12M,12C,12Y,12Bkの各クリーニング装置127が回収した廃トナーと、転写ベルト125のクリーニング装置140が回収した廃トナーとをトナー回収タンク118に搬送する搬送部(廃トナー搬送系統)40を駆動するモータとしても用いられている。以下、搬送部40および排出モータ30について図3〜図7を参照しながら説明する。
【0043】
図3は、搬送部40および排出モータ30の斜視図であり、説明の容易化のために、モータ21〜29を省略し、画像形成部12および用紙排出部15を露出させている。排出モータ30によって駆動される搬送部40は、ユニット12M,12C,12Y,12Bkの各クリーニング装置127からの廃トナーが回収される第1回収パイプ41と、転写ベルト125のクリーニング装置140からの廃トナーが回収される第2回収パイプ44とを含む。第1回収パイプ41および第2回収パイプ44は共に装置本体11の背壁に設けられている。
【0044】
第1回収パイプ41は、装置本体11の長手方向(つまり、ユニット12M,12C,12Y,12Bkの長手方向と略直交する方向)かつ略水平に延びて、ユニット12M,12C,12Y,12Bkの各一端部に沿って位置する第1水平パイプ部分42と、第1水平パイプ部分42に連通され、略垂直方向に延びる第1垂直パイプ部分43とを含む。
【0045】
第1水平パイプ部分42は、4つの中継パイプ48によってユニット12M,12C,12Y,12Bkの各クリーニング装置127と連通している。各中継パイプ48の一端部は、図4に示すように、ユニット12M,12C,12Y,12Bkの対応するクリーニング装置127の直下方位置に配設されてクリーニング装置127に連通されている。一方、各中継パイプ48の他端部は、第1水平パイプ部分42の直上方位置に配設されて第1水平パイプ部分42に連通されている。これにより、クリーニング装置127によって感光体ドラム121の表面から回収された廃トナーは、中継パイプ48を通って第1水平パイプ部分42に搬送される。
【0046】
第2回収パイプ44は、クリーニング装置140から下方にかつ略垂直方向に延びる第2垂直パイプ部分45と、第2垂直パイプ部分45に連通され、トナー回収タンク118に向かって略水平に延びる第2水平パイプ部分46とを含む。
【0047】
クリーニング装置140は、転写ベルト125から回収した廃トナーを第2垂直パイプ部分45に搬送することが可能に構成された搬送パイプ50(図4)を有している。第2垂直パイプ部分45の上端部は、搬送パイプ50の一端部に連通されており、下端部は第2水平パイプ部分46の一端部(図3では左端部)に連通されている。したがって、搬送パイプ50から第2垂直パイプ部分45に搬送された廃トナーは、自由落下により第2水平パイプ部分46に搬送される。
【0048】
第2水平パイプ部分46の他端部(図5では右端部)は、下方に開口するトナー排出口51が設けられている。トナー回収タンク118の上面には、トナー排出口51と連通するトナー受入口52が形成されている。
【0049】
第1回収パイプ41の第1垂直パイプ部分43は、上端部が図4に示すように第1水平パイプ部分42の一端部(図3,4では右端部)に連通され、下端部が図5に示すように第2回収パイプ44の第2水平パイプ部分46の右端部に連通されている。
【0050】
搬送部40は、さらに、上述のように構成された第1回収パイプ41および第2回収パイプ44内に回収された廃トナーをトナー回収タンク118へ搬送するための搬送部材を含む。具体的には、搬送部40は、第1水平パイプ部分42内に回転可能に配置され、回転しつつ(つまり、攪拌しつつ)廃トナーを搬送する第1搬送部材53と、第2水平パイプ部分46内に回転可能に配置され、回転しつつ廃トナーを搬送する第2搬送部材54とを含む。
【0051】
第1搬送部材53は、図6に示すように、例えば、軸部55と、該軸部55の周面に一体に形成された図略のらせん状の羽根56とを有するスクリューフィーダである。第1搬送部材53の軸部55は、第1水平パイプ部分42の長さよりも大きく設定された長さを有している。したがって、図4に示すように、軸部55の一端部(図4では右端部)が第1水平パイプ部分42の右端部の端面から突出している。そして、軸部55の突出した部分には、図6に示すようにギア70が固定されている。
【0052】
第2搬送部材54も例えばスクリューフィーダであり、第2搬送部材54の軸部57(図3)も第2水平パイプ部分46の長さよりも大きく設定された長さを有している。したがって、図5に示すように、軸部57の右端部が第2水平パイプ部分46の右端部の端面から突出している。そして、軸部57の突出した部分には、ギア71が固定されている。
【0053】
搬送部40は、第1搬送部材53および第2搬送部材54に加え、各中継パイプ48内に回転可能に配置され、回転しつつ廃トナーを搬送する第3搬送部材60を含む。第3搬送部材60も例えばスクリューフィーダであり、第3搬送部材60の軸部61も中継パイプ48の長さよりも大きく設定された長さを有している。したがって、図4に示すように、軸部61の一端部が中継パイプ48の前記他端部の端面から突出している。そして、軸部61の突出した部分には、図6に示すようにギア72が固定されている。
【0054】
第3搬送部材60は、図6に示すように連結部74によって第1搬送部材53に連結されている。連結部74は、第1水平パイプ部分42に平行に延びる軸部75と、第1水平パイプ部分42のギア70と噛み合うように軸部75の一端部(図6では右端部)に固定されたギア76と、軸部75における4つの第3搬送部材60の各ギア72に対応する位置に固定されたギア(例えば、ハスバギア)77とを含む。したがって、第1搬送部材53が後述する排出モータ30によって駆動されると、排出モータ30の駆動力は、第1搬送部材53のギアを介して第3搬送部材60のギア76に伝達され、次にハスバギア77を介して中継パイプ48の各ギア72に伝達される。
【0055】
排出モータ30は、上述のように、元来用紙排出部15の排出ローラ対116を駆動するために設けられているものであるが、図7に示すように、スパーギア(平歯車)やハスバギア等を含むギア列78によって搬送部40の第1搬送部材53のギア70に連結されており、したがって、第1搬送部材53を回転させる駆動力を伝達することができる。
【0056】
排出モータ30の駆動力がギア列78を介して第1搬送部材53のギア70に伝達されると、第1搬送部材53の軸部55が回転し、これに伴って羽根56も回転するので、第1水平パイプ部分42内に回収された廃トナーは攪拌されつつ第1垂直パイプ部分43に搬送される。第1垂直パイプ部分43に搬送された廃トナーは、自由落下によって第2回収パイプ44の第2水平パイプ部分46に到達する。
【0057】
また、排出モータ30の駆動力が第1搬送部材53のギア70を介して連結部74のギア76に伝達されると、連結部74の軸部75が回転し、これに伴ってハスバギア77も回転するので、第3搬送部材60の軸部61がギア72を介して回転する。これにより、各中継パイプ48内の廃トナーが羽根62により攪拌されつつ第1水平パイプ部分42に搬送される。
【0058】
排出モータ30は、ギア列やベルトを介してその駆動力を第2搬送部材54に伝達することもできる。具体的には、排出モータ30の直下方位置には、図7に示すように、排出モータ30の駆動力を伝達可能に配列されたギア列79が設けられている。また、第2搬送部材54のギア71には、図5に示すように、該ギア71に噛み合うように構成された、例えばハスバギアからなるギア列80が設けられている。そして、ギア列79とギア列80とは、例えばタイミングベルト81によって連結されている。なお、図5では、ギア列79は図示していない。
【0059】
したがって、排出モータ30の駆動力が、ギア列79、タイミングベルト81、ギア列80の順に伝達されると、第2搬送部材54の軸部57はギア71を介して回転し、これに伴って羽根58も回転するので、第2水平パイプ部分46に回収された廃トナー(第1回収パイプ41からの廃トナーを含む)は、羽根58により攪拌されつつ、第2水平パイプ部分46の右端部に形成されたトナー排出口51に向けて搬送される。廃トナーは、トナー排出口51からトナー受入口52を介してトナー回収タンク118内に回収される。
【0060】
トナー回収タンク118は、第2水平パイプ部分46から搬送された廃トナーを貯留するタンク本体82と、タンク本体82内にタンク本体82の長手方向に延びる攪拌部材83とを含む。攪拌部材83は、例えばスクリューフィーダであり、回転しつつ廃トナーを攪拌することにより、廃トナーをトナー回収タンク118内で均一に分布させる。
【0061】
本実施形態では、攪拌部材83も排出モータ30によって駆動される。攪拌部材83のタンク本体82から外部に突出した軸部には、図3に示すようにギア84が固定されている。そして、ギア84と、図5に示すギア列80のうちの1つのギアとはタイミングベルト85によって連結されている。したがって、ギア列80に伝達された排出モータ30の駆動力は、タイミングベルト85を介してギア84に伝達される。これにより、攪拌部材83は回転しつつ廃トナーを攪拌する。
【0062】
上記構成の画像形成装置では、画像形成部12、その基本構成要素である例えば感光体ドラム121や現像装置122は、高い部品精度、ひいては高精度の駆動を必要とする要素であり、これに対し、用紙排出部15および搬送部40は、高い部品精度、ひいては高精度の駆動を必要としない要素である。搬送部40の第1搬送部材53、第2搬送部材54および第3搬送部材60は、それぞれ第1回収パイプ41、第2回収パイプ44および中継パイプ48内の廃トナーを搬送するものであるが、例えば、廃トナーの量や凝固状態に起因して回転周期が狂うといった不都合が生じる場合がある。本実施形態では、画像形成部12はモータ21〜27(第2駆動源)によって駆動され、用紙排出部15および搬送部40は、第2駆動源とは異なる排出モータ30(第1駆動源)によって駆動されるので、前述のような不都合が生じても、画像形成部12の動作が搬送部40の動作の影響を受けることを防止できる。その結果、感光体ドラム121上でのトナー像の形成、トナー像の転写ベルト125上への転写等が安定するので、高画質の画像を形成することが可能となる。
【0063】
また、用紙排出部15も比較的高精度の駆動を必要としないため、搬送部40の駆動源を、用紙排出部15の駆動源である排出モータ30とすることで、電力の消費を抑えることができる。
【0064】
さらに、トナー回収タンク118、特にその構成要素である攪拌部材83は、高い部品精度、ひいては高い精度の駆動を必要としない部材なので、トナー回収タンク118と同様に高い精度の駆動を必要としない搬送部40および用紙排出部15を駆動する排出モータ30(第1駆動源)を、その駆動源とすることで、電力の消費を抑えることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 画像形成装置
11 装置本体
12 画像形成部
15 排出部
21〜27 モータ(第2駆動源)
28,29 モータ
30 排出モータ(第1駆動源)
40 搬送部
41 第1回収パイプ
42 第1水平パイプ部分
43 第1垂直パイプ部分
44 第2回収パイプ
45 第2垂直パイプ部分
46 第2水平パイプ部分
48 中継パイプ
53 第1搬送部材
54 第2搬送部材
60 第3搬送部材
70〜72 ギア
74 連結部
76,77 ギア
78〜80 ギア列
81 タイミングベルト
82 タンク本体
83 攪拌部材
84 ギア
85 タイミングベルト
118 廃トナー回収タンク(廃トナー回収部)
127 クリーニング装置(クリーニング部)
140 クリーニング装置(クリーニング部)
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づいて、トナー像が形成される像担持体を有する画像形成部と、
前記像担持体上の残留トナーを除去し、回収するクリーニング部と、
回収した廃トナーを集積する廃トナー回収部と、
前記廃トナー回収部へ前記廃トナーを搬送する廃トナー搬送系統と、
前記用紙を、前記像担持体を経由して搬送する用紙搬送系統と、
前記用紙搬送系統と前記廃トナー搬送系統とを駆動する共通の第1駆動源と、
前記第1駆動源とは異なる駆動源であり、前記画像形成部を駆動する第2駆動源と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、さらに、前記像担持体から前記トナー像が転写された用紙を定着処理する定着部と、定着処理された前記用紙を外部へ排出する用紙排出部とを含み、
前記第1駆動源は、前記用紙排出部を駆動する用紙排出搬送用モータである画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、さらに、前記トナー像が転写された用紙を定着処理する定着部を含み、
前記画像形成部は、前記像担持体として、前記トナー像を用紙上に転写する転写ベルトを含み、
前記第1駆動源は、前記用紙を前記転写ベルトおよび前記定着部へ搬送する用紙搬送用モータである画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記廃トナー搬送系統は、前記クリーニング部と前記廃トナー回収部とを連結し、廃トナーが回収される回収パイプと、前記回収パイプ内に配置され、回転しつつ該回収パイプ内の廃トナーを前記廃トナー回収部へ搬送する搬送部材とを含み、
前記搬送部材は前記第1駆動源によって駆動される画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、前記画像形成部は、前記トナー像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムに前記トナー像を形成する現像装置と、前記感光体ドラムから前記トナー像が転写される転写ベルトと、前記トナー像が前記転写ベルト上に転写された後に前記感光体ドラム上に残留するトナーを除去して回収するクリーニング装置と、前記転写ベルトとの間で搬送されてくる用紙を挟み込んで、前記転写ベルト上の前記トナー像を前記用紙上に転写させる転写ローラとを有し、
前記回収パイプは、前記トナー像が前記転写ベルト上に転写された後に前記感光体ドラム上に残留した残留トナーが回収される第1回収パイプと、前記トナー像が前記用紙上に転写された後に前記転写ベルト上に残留した残留トナーが回収される第2回収パイプとを含み、
前記搬送部材は、前記第1回収パイプ内に配置され、回転しつつ該第1回収パイプ内の廃トナーを搬送する第1搬送部材と、前記第2回収パイプ内に配置され、回転しつつ該第2回収パイプ内の廃トナーを搬送する第2搬送部材とを含み、
前記第1搬送部材および第2搬送部材は前記第1駆動源によって駆動され、
前記第2駆動源は、前記感光体ドラムを駆動するドラムモータと、前記現像装置を駆動する現像モータと、前記転写ベルトを駆動するベルトモータとを含む画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、前記廃トナー回収部は、前記第1回収パイプおよび第2回収パイプからの前記廃トナーが回収される回収タンクを含み、
前記回収タンクは、回転しつつ前記廃トナーを攪拌する攪拌部材を含み、
前記攪拌部材は前記第1駆動源によって駆動される画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−176005(P2010−176005A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20441(P2009−20441)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】