説明

画像形成装置

【課題】走査光学装置の光偏向器の箇所で発生する熱に起因する、ハウジング全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を回避することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】光ビームを照射する光源22と、光ビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラー41と、ポリゴンミラー41からの光ビームを被走査面上に導く光学部材群50と、光ビームを被走査面上に照射するこれらの光学機器を内部に備えるハウジング21とが設けられた走査光学装置20を搭載した画像形成装置1は、ポリゴンミラー41が、その回転動作を制御する制御基板42上に配置され、制御基板42が、ハウジング21を介さず、直接画像形成装置1のフレーム15に締結、支持されている。これにより、ポリゴンミラー41の箇所で発生する熱に起因する変形が最も大きいと懸念される箇所をフレーム15に固定でき、ハウジング21全体の変形を抑制することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリといった画像形成装置、特に像担持体の表面を光ビーム(例えばレーザ光)で露光走査するための走査光学装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等に用いられる走査光学装置は、一般的に、感光体ドラムに代表される像担持体の表面、すなわち被走査面上を走査しながら露光し、感光体ドラム表面に所定の静電潜像を形成するものである。走査光学装置において、光源から照射される、例えばレーザ光のような光ビームは、光偏向器の回転多面鏡であるポリゴンミラーによって主走査方向に偏向され、レンズやミラーなどを擁する光学部材群により被走査面に向けて出射される。
【0003】
ここで、近年では、高速印刷が可能な画像形成装置が著しく普及している。そして、走査光学装置もそれに対応した動作が必要となり、ポリゴンミラーを高速で回転させる必要がある。このため、走査光学装置では、光偏向器の箇所における発熱量が多大になり、ハウジング全体の温度分布に大きな偏りが生じることがある。
【0004】
これに関して、図13に、従来の走査光学装置のハウジングに生じる温度分布の一例を示す。図13は、ハウジングに生じる温度分布を示す走査光学装置の上面図である。走査光学装置20は、ハウジング21の内側に、光源22、光偏向器40、及び光学部材群50を備えている。光源22から照射されたレーザ光LBは、光偏向器40のポリゴンミラー41周囲の反射面で反射され、光学部材群50のfθレンズ51で主走査方向において等速度に偏向される。その後、レーザ光LBは、反射ミラー52にて反射され、被走査面である図示しない感光体ドラム表面に到達、結像される。光偏向器40の、高速回転するポリゴンミラー41やその軸受部(図示せず)は、ポリゴンミラー41の動作を制御する制御基板42上に配置されている。
【0005】
上記構成の走査光学装置20において、ハウジング21に生じる温度分布は、光偏向器40の周囲が最も高温の45〜50°Cであり、ここからレーザ光LBの進行方向に向かって徐々に温度が低下し、ハウジング21の、光偏向器40が設けられた側面の反対側の側面に近い領域であって、反射ミラー52の一端周辺の箇所が最も低温の30〜35°Cになっている。すなわち、高温部と低温部との間には、平均して約15°Cの温度差が発生している。
【0006】
走査光学装置のハウジングは、一般的に合成樹脂で形成されているので、このような温度分布の大きな偏りが、合成樹脂の膨張具合が大きい箇所と小さい箇所とを発生させる。その結果、ハウジングに装着されているレンズやミラーなどが、所定の位置や角度を保持できなくなる可能性が高くなる。
【0007】
また、走査光学装置のハウジングに生じる温度分布の大きな偏りは、ハウジングに装着されているレンズやミラー自体に、膨張具合の偏りを発生させる可能性もある。このように、レンズやミラーが所定の位置や角度を保持できなくなったり、それらの部材自体に膨張具合の偏りが生じたりすると、走査線が湾曲したり、傾いたり、主走査方向において倍率が不一致となる片倍率差が発生したりする恐れがある。その結果、感光体ドラム表面に形成される静電潜像に悪影響を及ぼし、画像品質の低下を招くといった問題が発生する。
【0008】
このような問題を解決すべく、走査光学装置の光偏向器の箇所で生じる熱の影響がもたらすハウジングの変形に対応した画像形成装置の例を、特許文献1及び2に見ることができる。特許文献1に記載された画像形成装置は、2対以上の走査光学手段を1つの光学箱(ハウジング)に内包し、光学箱の略中央部において、蓋と光学箱、または光学箱と画像形成装置筐体、または蓋と光学箱と画像形成装置筐体とを締結、固定している。特許文献2に記載された画像形成装置は、走査光学装置のハウジングを、ポリゴンスキャナの回転中心を通る箇所でフレームなどの固定対象物に固定し、端部で固定対象物に対して摺動自在に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−156781号公報(第5−6頁、図2)
【特許文献2】特開2007−65003号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された画像形成装置は、走査光学装置において、2対以上の走査光学手段を1つの光学箱(ハウジング)に内包し、光学箱の略中央部で光学箱とその蓋、或いは画像形成装置筐体とを締結、固定することにより、熱の影響で光学箱の中央固定部と4つの角部とを節として光学箱がアーチ状に反るのを防止して、走査線の湾曲や傾きの発生を回避している。しかしながら、モノクロ印刷用の画像形成装置のように、対をなす走査光学手段が備えられていない構成の場合、すなわち光偏向器の配置箇所が走査光学装置のハウジングの端部に近い箇所である場合、その端部の箇所が局部的に高温になる可能性が高い。
【0011】
また、特許文献1に記載された構成であっても、光偏向器の箇所で発生する熱が、直接ハウジングを伝達して光学部材群が設けられたその周縁部に向かって徐々に広がるので、光偏向器の箇所が高温に、ハウジング周縁部が低温になることには変わりがない。したがって、特許文献1に記載された画像形成装置では、走査光学装置のハウジングに生じる温度分布の大きな偏りを解消できない恐れがあり、光偏向器の箇所では熱膨張が大きく、ハウジング周縁部では熱膨張が小さくなる可能性がある。その結果、ハウジングの熱膨張の差異に起因して、走査線の湾曲や傾き、片倍率差といった不具合が発生し、画像品質の低下を招くことが懸念される。
【0012】
特許文献2に記載された画像形成装置は、走査光学装置のハウジングを、ポリゴンスキャナの回転中心を通る箇所でフレームなどの固定対象物に固定し、端部で固定対象物に対して摺動自在に保持することで、ハウジングの変形を防止しようとしている。しかしながら、この構成では、特許文献1同様、光偏向器の箇所で発生する熱が直接ハウジングを伝達して周縁部に向かって広がるので、光偏向器の箇所が高温に、ハウジング周縁部が低温になる可能性が高い。したがって、特許文献2に記載された画像形成装置でも、走査光学装置のハウジングに生じる温度分布の大きな偏りを解消できない恐れがあり、光偏向器の箇所では熱膨張が大きく、ハウジング周縁部では熱膨張が小さくなる可能性がある。その結果、ハウジングの熱膨張の差異に起因して、走査線の湾曲や傾き、片倍率差といった不具合が発生し、画像品質の低下を招くことが懸念される。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、走査光学装置の光偏向器の箇所で発生する熱に起因する、ハウジング全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を回避することができ、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明は、光ビームを照射する光源と、この光源からの光ビームを主走査方向に偏向する回転多面鏡と、この回転多面鏡からの光ビームを被走査面上に導く光学部材群と、光ビームを被走査面上に照射するこれらの光学機器を内部に備えるハウジングとが設けられた走査光学装置を搭載した画像形成装置において、前記回転多面鏡は、その回転動作を制御する制御基板上に配置され、この制御基板が、前記ハウジングを介さず、直接画像形成装置のフレームに締結、支持されていることとした。
【0015】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御基板は、前記ハウジングより熱伝導率が高い締結部材により、画像形成装置のフレームに締結されていることとした。
【0016】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御基板は、制御基板の周縁部で前記ハウジングに接続され、ハウジングが、ハウジングの周縁部において画像形成装置のフレームに対して変位自在にして支持されていることとした。
【0017】
また、上記構成の画像形成装置において、前記ハウジングは、弾性部材を介して画像形成装置のフレームに支持されていることとした。
【0018】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御基板と前記ハウジングとの接続箇所に、断熱部材を備えることとした。
【0019】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御基板は、制御基板の周縁部において前記ハウジングに対して変位自在にして接続され、ハウジングが、画像形成装置のフレームに締結、支持されていることとした。
【0020】
また、前記制御基板を、その周縁部において前記ハウジングに対して変位自在に接続した上記構成の画像形成装置において、制御基板とハウジングとの接続箇所に、弾性部材を備えることとした。
【発明の効果】
【0021】
本発明の構成によれば、光ビームを照射する光源と、この光源からの光ビームを主走査方向に偏向する回転多面鏡と、この回転多面鏡からの光ビームを被走査面上に導く光学部材群と、光ビームを被走査面上に照射するこれらの光学機器を内部に備えるハウジングとが設けられた走査光学装置を搭載した画像形成装置において、前記回転多面鏡は、その回転動作を制御する制御基板上に配置され、この制御基板が、前記ハウジングを介さず、直接画像形成装置のフレームに締結、支持されていることとしたので、回転多面鏡の箇所で発生する熱に起因する変形が最も大きいと懸念される箇所を画像形成装置のフレームに固定することができる。これにより、熱に起因する、走査光学装置のハウジング全体の変形を抑制することが可能である。また、熱を、制御基板から画像形成装置のフレームに直接伝達することができ、回転多面鏡の箇所の冷却作用を高めることが可能である。さらに、回転多面鏡の振動も抑制できるので、反射ミラーなどといった光学部材群の振動も抑制することが可能である。このようにして、走査光学装置の回転多面鏡の箇所で発生する熱に起因する、ハウジング全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を回避することができる。その結果、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
また、前記制御基板は、前記ハウジングより熱伝導率が高い締結部材により、画像形成装置のフレームに締結されていることとしたので、回転多面鏡の箇所で発生する熱が、走査光学装置のハウジング側よりも画像形成装置のフレーム側に伝導し易くすることができる。これにより、回転多面鏡の箇所の冷却作用を一層高めることが可能である。したがって、熱に起因する、ハウジング全体の変形を効果的に抑制することができる。
【0023】
また、前記制御基板は、制御基板の周縁部で前記ハウジングに接続され、ハウジングが、ハウジングの周縁部において画像形成装置のフレームに対して変位自在にして支持されていることとしたので、走査光学装置のハウジング周縁部の変位を拘束することに起因するハウジング全体の反りや歪みを防止することが可能である。したがって、熱に起因する、ハウジング全体の変形をさらに効果的に抑制することができる。
【0024】
また、前記ハウジングは、弾性部材を介して画像形成装置のフレームに支持されていることとしたので、走査光学装置のハウジング周縁部の変位を拘束する作用をさらに緩和することが可能である。これにより、ハウジング全体の反りや歪みの防止効果をさらに向上させることができる。
【0025】
また、前記制御基板と前記ハウジングとの接続箇所に、断熱部材を備えることとしたので、回転多面鏡の箇所で発生する熱を、ハウジング側にさらに伝導し難くすることができる。したがって、熱に起因する、ハウジング全体の変形を一層効果的に抑制することができる。
【0026】
また、前記制御基板は、制御基板の周縁部において前記ハウジングに対して変位自在にして接続され、ハウジングが、画像形成装置のフレームに締結、支持されていることとしたので、走査光学装置のハウジングの、画像形成装置のフレームに対する変位を防止することができる。さらに、熱に起因する、ハウジング全体の変形を抑制することが可能である。これらの理由により、ハウジング全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を回避することが可能である。その結果、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0027】
また、前記制御基板を、その周縁部において前記ハウジングに対して変位自在に接続した上記構成の画像形成装置において、制御基板とハウジングとの接続箇所に、弾性部材を備えることとしたので、制御基板の周縁部とハウジングとの互いの変形の影響が相手側に伝わるのを防止することができる。これにより、ハウジング全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を一層効果的に回避することができ、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る走査光学装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面右側面図である。
【図2】図1に示す走査光学装置の上面図である。
【図3】図2に示す走査光学装置の垂直断面右側面図である。
【図4】図2に示す走査光学装置の垂直断面正面図である。
【図5】図4の走査光学装置のハウジングと制御基板との接続箇所を示す部分拡大垂直断面正面図である。
【図6】図2に示す走査光学装置の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る走査光学装置の上面図である。
【図8】図7に示す走査光学装置の垂直断面右側面図である。
【図9】図7に示す走査光学装置の垂直断面正面図である。
【図10】図7に示す走査光学装置の斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る走査光学装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図12】図11に示す走査光学装置の垂直断面正面図である。
【図13】従来の走査光学装置の上面図にして、ハウジングに生じる温度分布を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図1〜図13に基づき説明する。
【0030】
最初に、本発明の第1の実施形態に係る走査光学装置を搭載した画像形成装置について、図1を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は、画像形成装置の概略構造を示す模型的垂直断面右側面図である。図1において左方が画像形成装置の正面側、右方が背面側である。この画像形成装置は、ブラック1色に対応した1個の感光体ドラムが備えられたモノクロ印刷タイプのものである。
【0031】
図1に示すように、画像形成装置1の内部下方には、給紙カセット2が備えられている。給紙カセット2の内部には、用紙Pが積まれて収容されている。給紙カセット2の用紙搬送方向下流部上方には、給紙カセット2用の給紙装置3が配置されている。この給紙装置3により、用紙Pは図1において給紙カセット2の左上方に向けて送り出される。なお、給紙カセット2は、画像形成装置1の正面側、すなわち図1において左方に、水平にスライド移動させて引き出し/収納が自在である。
【0032】
画像形成装置1の正面中央部には、手差し給紙トレイ4が備えられている。手差し給紙トレイ4は、下端に設けられた、横方向に略水平に延びる支軸を中心として、垂直面内で回転可能になっている。手差し給紙トレイ4は、その支軸を中心として上端を画像形成装置1の手前側、すなわち図1において左方に開閉自在であり、開放し、展開することにより、その上面に用紙Pなどを載置することが可能な形態になる。
【0033】
手差し給紙トレイ4は、給紙カセット2に入っていないサイズの用紙や、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ手で載置して、装置内に送り込みたいものを取り扱いことができる。手差し給紙トレイ4に載置された用紙は、図1において手差し給紙トレイ4の右方に配置された手差し給紙トレイ4用の給紙装置5により、右方に向けて送り出される。手差し給紙トレイ4は、使用しないとき、図1に示すように閉鎖状態にされる。
【0034】
給紙カセット2及び手差し給紙トレイ4の用紙搬送方向下流には、給紙用用紙搬送路6、レジストローラ7、画像形成部8、及び転写ローラ9が配置されている。給紙カセット2または手差し給紙トレイ4から送り出された用紙Pは、給紙用用紙搬送路6を通りレジストローラ7の箇所に到達する。レジストローラ7は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、画像形成部8で形成されるトナー像とのタイミングを計り、用紙Pを転写ローラ9の箇所へと送り出す。
【0035】
外部コンピュータ(図示せず)からの文字や図形、模様などの画像データ信号が画像形成装置1に送信され、この画像データに基づき、画像形成部8上方に備えられた走査光学装置20にて制御されるレーザ光L(図中二点鎖線)が照射される。これにより、画像形成部8においては、像担持体である感光体ドラム10上に原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は、前記レジストローラ7によって同期をとって送られてきた用紙Pに、感光体ドラム10と転写ローラ9とが圧接して形成される転写ニップ部にて転写される。
【0036】
画像形成部8及び転写ローラ9の用紙搬送方向下流には、定着装置11が備えられている。転写ニップ部にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着装置11へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0037】
定着装置11の下流には、排出用用紙搬送路12、用紙排出口13、及び用紙排出部14が配置されている。定着装置11から排出された用紙Pは、排出用用紙搬送路12を通って上方へ送られ、用紙排出口13から、画像形成装置1の上面に設けられた用紙排出部14に排出される。
【0038】
続いて、画像形成装置1の走査光学装置20について、図2〜図6を用いてその構造を説明する。図2は走査光学装置の上面図、図3は走査光学装置の垂直断面右側面図、図4は走査光学装置の垂直断面正面図、図5は走査光学装置のハウジングと制御基板との接続箇所を示す部分拡大垂直断面正面図、図6は走査光学装置の斜視図である。なお、図2及び図6では、走査光学装置の上面に配置される蓋部材の描画を省略している。
【0039】
また、この走査光学装置の実施形態の基本的な構成は、図13を用いて説明した従来の走査光学装置の構成と同じであるので、従来構成と共通する構成要素には前と同じ符号を付す。
【0040】
走査光学装置20は、図2〜図6に示すように、ハウジング21の内側と周囲に、光源22、光偏向器40、及び光学部材群50を備えている。
【0041】
ハウジング21は、上面が開放部として形成された箱形状をなしている。ハウジング21の、この上面の箇所には、蓋部材23(図3参照)が装着され、開放部を塞ぐようになっている。これらのハウジング21及び蓋部材23は、ABS樹脂などといった合成樹脂で構成されている。
【0042】
光源22は、図2及び図6に示すように、ハウジング21の側面の箇所に備えられている。走査光学装置20は、ブラック1色に対応したものであるので、光源22も1個が設けられている。光源22は、可視領域の光ビーム、例えば670nm程度のレーザ光を照射する仕様のレーザダイオードで構成されている。
【0043】
光偏向器40は、ハウジング21の一方の端部側、すなわち図2及び図3において右方の端部側に備えられている。光偏向器40は、回転多面鏡であるポリゴンミラー41と、制御基板42とを備えている。ポリゴンミラー41は、正多角形の平面形状をなし、垂直をなす軸線を中心として、図2において反時計方向に回転動作するものである。その軸線中心に回転するポリゴンミラー41の周囲には、光を反射する反射面が設けられている。制御基板42は、その上方に、軸受(図示せず)を介してポリゴンミラー41を備え、ポリゴンミラー41の動作を制御するものである。
【0044】
光源22から照射されたレーザ光LBは、ポリゴンミラー41周囲の反射面に入射する。ポリゴンミラー41は、回転しながら、その反射面でレーザ光LBを反射し、主走査方向(図2の上下方向)に偏向しつつ、ハウジング21内の他端に向けて導く。
【0045】
光学部材群50は、ハウジング21内の、光偏向器40にて反射されたレーザ光LBの進行先の領域に設けられている。光学部材群50は、fθレンズ51、及び反射ミラー52を備えている。
【0046】
fθレンズ51は、光偏向器40にて反射されたレーザ光LBが進行する、そのすぐ先の箇所に配置されている。このfθレンズ51では、レーザ光LBが主走査方向において等速度に偏向される。さらにfθレンズ51は、ポリゴンミラー41へのレーザ光LBの入射角や、ポリゴンミラー41の面倒れなどといった走査上の悪影響を補正する。
【0047】
反射ミラー52は、ハウジング21の、光偏向器40が配置された一方の端部側に対する他方の端部側、すなわち図2及び図3において左方の端部側に備えられている。fθレンズ51を通過したレーザ光LBは、反射ミラー52にて、下方に向かって反射される。反射ミラー52にて反射されたレーザ光LBは、ハウジング21の底部に設けられた窓部24(図3及び図6参照)を通って、被走査面である感光体ドラム10(図1参照)の表面に到達、結像される。
【0048】
上記構成の走査光学装置20は、図3及び図4に示すように、画像形成装置1内部のフレーム15に支持されている。この支持形態について詳細に説明すると、光偏向器40の制御基板42が、ハウジング21を介さず、直接フレーム15に締結、支持されている。制御基板42は、アルミニウム合金などといった金属材料で構成された締結部材であるネジ25を用いて締結されている。ネジ25は4本設けられている。
【0049】
制御基板42とハウジング21とは、制御基板42の周縁部で、ネジ26を用いて接続されている。ハウジング21は、制御基板42に対応する箇所に、制御基板42の周囲より小さい大きさの開口部27を備えている。制御基板42は、この開口部27に対して下方からハウジング21内にポリゴンミラー41を挿入しながら、開口部27を塞ぐようにハウジング21の外底面に密着させて配置されている。
【0050】
この制御基板42とハウジング21と接続箇所には、図5に示すように、断熱部材であるスペーサー28、及びスリーブ29が設けられている。スペーサー28は、制御基板42の周縁部をぐるりと囲む環状形をなし、制御基板42とハウジング21との間に挟まれるように配置されている。このスペーサー28によって、制御基板42とハウジング21とが直接接触するのを防止している。スリーブ29は、制御基板42に設けられた穴32aの内部に嵌合している。スリーブ29の内側にはめねじが刻まれ、ここにハウジング21に設けられた穴21bを貫通させたネジ26を挿入、締結することによって制御基板42とハウジング21とを接続することができる。ネジ26は4本設けられている。
【0051】
一方、ハウジング21は、図2〜図4、及び図6に示すように、その周縁部に複数の支持片30を備え、この箇所でフレーム15に支持されている。支持片30は、ハウジング21の外底面の箇所からフレーム15表面に向かって延び、フレーム15表面に接触して折れ曲がり、外側に突出している。この支持片30に対応する箇所の、フレーム15には保持部材16が設けられている。保持部材16は、板ばねなどで構成された弾性部材であって、支持片30がフレーム15表面に沿って変位できるようにして押圧しながら保持している。このようにして、ハウジング21は、ハウジング21の周縁部においてフレーム15に対して変位自在にして支持されている。
【0052】
上記のように、光ビームを照射する光源22と、この光源22からの光ビームを主走査方向に偏向する回転多面鏡であるポリゴンミラー41と、このポリゴンミラー41からの光ビームを被走査面上に導く光学部材群50と、光ビームを被走査面上に照射するこれらの光学機器を内部に備えるハウジング21とが設けられた走査光学装置20を搭載した画像形成装置1において、ポリゴンミラー41は、その回転動作を制御する制御基板42上に配置され、この制御基板42が、ハウジング21を介さず、直接画像形成装置1のフレーム15に締結、支持されているので、ポリゴンミラー41の箇所で発生する熱に起因する変形が最も大きいと懸念される箇所を画像形成装置1のフレーム15に固定することができる。これにより、熱に起因する、走査光学装置20のハウジング21全体の変形を抑制することが可能である。また、熱を、制御基板42からフレーム15に直接伝達することができ、ポリゴンミラー41の箇所の冷却作用を高めることが可能である。さらに、ポリゴンミラー41の振動も抑制できるので、反射ミラー52などといった光学部材群50の振動も抑制することが可能である。このようにして、走査光学装置20のポリゴンミラー41の箇所で発生する熱に起因する、ハウジング21全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を回避することができる。その結果、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置1を提供することができる。
【0053】
また、制御基板42は、ハウジング21より熱伝導率が高い締結部材であるネジ25により、画像形成装置1のフレーム15に締結されているので、ポリゴンミラー41の箇所で発生する熱が、走査光学装置20のハウジング21側よりも画像形成装置1のフレーム15側に伝導し易くすることができる。これにより、ポリゴンミラー41の箇所の冷却作用を一層高めることが可能である。したがって、熱に起因する、ハウジング21全体の変形を効果的に抑制することができる。
【0054】
そして、制御基板42は、制御基板42の周縁部でハウジング21に接続され、ハウジング21が、ハウジング21の周縁部において画像形成装置1のフレーム15に対して変位自在にして支持されているので、ハウジング21周縁部の変位を拘束することに起因するハウジング21全体の反りや歪みを防止することが可能である。したがって、熱に起因する、ハウジング21全体の変形をさらに効果的に抑制することができる。
【0055】
さらに、ハウジング21は、弾性部材である保持部材16を介して画像形成装置1のフレーム15に支持されているので、ハウジング21周縁部の変位を拘束する作用をさらに緩和することが可能である。これにより、ハウジング21全体の反りや歪みの防止効果をさらに向上させることができる。
【0056】
また、制御基板42とハウジング21との接続箇所に、断熱部材であるスペーサー28及びスリーブ29を備えているので、ポリゴンミラー41の箇所で発生する熱を、ハウジング21側にさらに伝導し難くすることができる。したがって、熱に起因する、ハウジング21全体の変形を一層効果的に抑制することができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施形態に係る走査光学装置の詳細な構成について、図7〜図10を用いて説明する。図7は走査光学装置の上面図、図8は走査光学装置の垂直断面右側面図、図9は走査光学装置の垂直断面正面図、図10は走査光学装置の斜視図である。なお、この実施形態の基本的な構成は、図1〜図6を用いて説明した前記第1の実施形態と同じであるので、第1の実施形態と共通する構成要素には前と同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
【0058】
第2の実施形態に係る走査光学装置1において、制御基板42とハウジング21とは、図7〜図9に示すように、制御基板42の周縁部で、緩衝部材31を用いて接続されている。緩衝部材31は、ゴムなどといった弾性部材であって、制御基板42の周縁部をぐるりと囲む環状形をなし、制御基板42とハウジング21との間に挟まれるように配置されている。これにより、制御基板42は、制御基板42の周縁部においてハウジング21に対して変位自在に接続されている。
【0059】
一方、ハウジング21は、図7〜図10に示すように、その周縁部に複数の支持片30を備え、この箇所でフレーム15に支持されている。この支持片30に対応する箇所には、締結部材であるネジ17が取り付けられている。すなわち、ハウジング21は、ネジ17によってフレーム15にしっかりと締結、支持されている。
【0060】
上記のように、制御基板42は、制御基板42の周縁部においてハウジング21に対して変位自在にして接続され、ハウジング21が、画像形成装置1のフレーム15に締結、支持されているので、走査光学装置20のハウジング21の、画像形成装置1のフレーム15に対する変位を防止することができる。さらに、熱に起因する、ハウジング21全体の変形を抑制することが可能である。これらの理由により、ハウジング21全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を回避することが可能である。その結果、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置1を提供することができる。
【0061】
また、制御基板42とハウジング21との接続箇所に、弾性部材である緩衝部材31を備えているので、制御基板42の周縁部とハウジング21との互いの変形の影響が相手側に伝わるのを防止することができる。これにより、ハウジング21全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を一層効果的に回避することができ、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置1を提供することができる。
【0062】
次に、本発明の第3の実施形態に係る走査光学装置について、図11及び図12に基づき説明する。
【0063】
まず、本発明の第3の実施形態に係る光走査装置を搭載した画像形成装置について、図11を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図11は、画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。この画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色各々に対応した4個の感光体ドラムが備えられ、中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷タイプのものである。
【0064】
図11に示すように、画像形成装置101の本体102の内部下方には、給紙カセット103が配置されている。給紙カセット103は、その内部に、印刷前のカットペーパー等の用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは、図11において給紙カセット103の左上方に向けて、1枚ずつ分離されて送り出される。なお、給紙カセット103は、本体102の前面側から水平に引き出すことが可能である。
【0065】
本体102の内部であって、給紙カセット103の左方には、第1用紙搬送部104が備えられている。第1用紙搬送部104は、本体102の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部104は、給紙カセット103から送り出された用紙Pを受け取り、本体102の左側面に沿って垂直上方に二次転写部110まで搬送する。
【0066】
給紙カセット103の上方であって、第1用紙搬送部104が形設された本体102の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には、手差し給紙部105が備えられている。手差し給紙部105には、給紙カセット103に入っていないサイズの用紙や、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ手で送り込みたいものが載置される。
【0067】
手差し給紙部105の左方には、第2用紙搬送部106が備えられている。第2用紙搬送部106は、給紙カセット103のすぐ上方にあって、手差し給紙部105から第1用紙搬送部104まで略水平に延び、第1用紙搬送部104に合流している。そして、第2用紙搬送部106は、手差し給紙部105から送り出された用紙P等を受け取り、略水平に第1用紙搬送部104まで搬送する。
【0068】
一方、画像形成装置101は、外部コンピュータ(図示せず)から原稿画像データを受信する。この画像データの情報は、第2用紙搬送部106の上方に配置された露光手段である光走査装置120に送られる。光走査装置120により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、画像形成部107に向かって照射される。
【0069】
光走査装置120の上方には計4台の画像形成部107が、さらにそれら各画像形成部107の上方には中間転写体を無端ベルトの形で用いた中間転写ベルト108が備えられている。中間転写ベルト108は、複数のローラに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図11において時計方向に回転する。
【0070】
4台の画像形成部107は、図11に示すように、中間転写ベルト108の回転方向に沿って、回転方向上流側から下流側に向けて一列にして配置された所謂タンデム方式である。4台の画像形成部107とは、上流側から順に、イエロー用の画像形成部107Y、マゼンタ用の画像形成部107M、シアン用の画像形成部107C、及びブラック用の画像形成部107Bである。これらの画像形成部107には、各色に対応する現像剤供給容器及び搬送手段(図示せず)により、現像剤(トナー)が補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「Y」「M」「C」「B」の識別記号は省略するものとする。
【0071】
各画像形成部107では、露光手段である光走査装置120によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は、各画像形成部107の上方に備えられた一次転写部109で、中間転写ベルト108表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト108の回転とともに、所定のタイミングで各画像形成部107のトナー像が中間転写ベルト108に転写されることにより、中間転写ベルト108表面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0072】
中間転写ベルト108が用紙搬送路に懸かる箇所には、二次転写部110が配置されている。中間転写ベルト108表面のカラートナー像は、第1用紙搬送部104によって同期をとって送られてきた用紙Pに、二次転写部110に形成される二次転写ニップ部で転写される。
【0073】
二次転写後、中間転写ベルト108表面に残留するトナーなどの付着物は、中間転写ベルト108に対してイエロー用の画像形成部107Yの回転方向上流側に設けられた中間転写ベルト108用のクリーニング装置111によってクリーニング、回収される。
【0074】
二次転写部110の上方には、定着装置112が備えられている。二次転写部110にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着装置112へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0075】
定着装置112の上方には、分岐部113が備えられている。定着装置112から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合、分岐部113から画像形成装置101の上部に設けられた用紙排出部114に排出される。
【0076】
分岐部113から用紙排出部114に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部115としての機能を果たす。両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部115において、定着装置112から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、分岐部113、定着装置112の左方、及び二次転写部110の左方を通って下方に送られ、再度第1用紙搬送部104を経て二次転写部110へと送られる。
【0077】
続いて、画像形成装置101の光走査装置120について、図12を用いてその構造を説明する。図12は、光走査装置の模型的垂直断面正面図である。なお、図12では、走査光学装置の上面に配置される蓋部材の描画を省略している。
【0078】
なお、この光走査装置120は、前述のように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色各々に対応した4個の感光体ドラムが備えられたタンデム型の画像形成装置101に搭載するべく設計されたものである。画像形成部107同様、光走査装置120のいくつかの構成要素にも、4色各々に対応した「Y」「M」「C」「B」の識別記号が付くが、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、それらの識別記号を省略することがある。
【0079】
走査光学装置120は、図12に示すように、ハウジング121の内側と周囲に、光源(図示せず)、光偏向器140、及び光学部材群150を備えている。
【0080】
ハウジング121は、上面が開放部として形成された箱形状をなしている。ハウジング121の、この上面の箇所には、図示しない蓋部材が装着され、開放部を塞ぐようになっている。これらのハウジング121及び蓋部材は、合成樹脂で構成されている。
【0081】
光源は、ハウジング121の一方の端部側、すなわち図12において右方の端部側に備えられている。走査光学装置120は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応したものであって、光源も独立した4個が設けられている。光源は、可視領域の光ビーム、例えば670nm程度のレーザ光を照射する仕様のレーザダイオードで構成されている。
【0082】
光偏向器140は、光源の近傍であって、ハウジング121の一方の端部側、すなわち図12において右方の端部側に備えられている。光偏向器140は、回転多面鏡であるポリゴンミラー141と、制御基板142とを備えている。ポリゴンミラー141は、正多角形の平面形状をなし、垂直をなす軸線を中心として回転動作するものである。その軸線中心に回転するポリゴンミラー141の周囲には、光を反射する反射面が設けられている。制御基板142は、その上方に、軸受(図示せず)を介してポリゴンミラー141を備え、ポリゴンミラー141の動作を制御するものである。
【0083】
4個の光源から照射されたレーザ光LY、LM、LC、LBは、各々、副走査方向(図12の上下方向)に微小角度ずつずれた状態でポリゴンミラー141周囲の反射面に入射する。ポリゴンミラー141は、回転しながら、その反射面で各レーザ光を反射し、主走査方向(図12の紙面に対して奥行方向)に偏向しつつ、ハウジング121内の他端に向けて導く。
【0084】
光学部材群150は、ハウジング121内の、光偏向器140にて反射されたレーザ光の進行先の領域に備えられている。光学部材群150は、第1fθレンズ151、第2fθレンズ152、及び反射ミラー153を備えている。
【0085】
第1fθレンズ151は、光偏向器140にて反射されたレーザ光LY、LM、LC、LBが進行する、そのすぐ先の箇所に配置されている。第1fθレンズ151は、レーザ光LY、LM、LC、LBに対して共用ものであって、1個備えられている。この第1fθレンズ151では、各レーザ光LY、LM、LC、LBが主走査方向において等速度に偏向される。さらに第1fθレンズ151は、ポリゴンミラー141へのレーザ光LY、LM、LC、LBの入射角や、ポリゴンミラー141の面倒れなどといった走査上の悪影響を補正しながら、各レーザ光LY、LM、LC、LBの副走査方向の角度を若干広げる。
【0086】
第1fθレンズ151を通過したイエロー用のレーザ光LYは、ハウジング121の内底面近傍の反射ミラー153Yaで反射し、第1fθレンズ151の方向に折り返される。その後、レーザ光LYは、第2fθレンズ152Yを通過し、ハウジング121の上端近傍の反射ミラー153Ybにて反射され、被走査面であるイエロー用の画像形成部107Yの感光体ドラム表面に到達、結像される。
【0087】
第1fθレンズ151を通過したマゼンタ用のレーザ光LMも、イエロー用のレーザ光LYと同様に、ハウジング121の内底面近傍の反射ミラー153Maで反射し、第1fθレンズ151の方向に折り返される。その後、レーザ光LMは、第2fθレンズ152Mを通過し、ハウジング121の上端近傍の反射ミラー153Mbにて反射され、被走査面であるマゼンタ用の画像形成部107Mの感光体ドラム表面に到達、結像される。
【0088】
第1fθレンズ151を通過したシアン用のレーザ光LCは、ハウジング121の内底面近傍の反射ミラー153Caで略垂直上方に向かって反射され、続いてハウジング121の上端近傍の反射ミラー153Cbで略水平方向に、第1fθレンズ151の方向に折り返される。その後、レーザ光LCは、第2fθレンズ152Cを通過し、反射ミラー153Ccにて反射され、被走査面であるシアン用の画像形成部107Cの感光体ドラム表面に到達、結像される。
【0089】
第1fθレンズ151を通過したブラック用のレーザ光LBは、反射ミラーを介すことなく直接第2fθレンズ152Bを通過する。その後、レーザ光LBは、反射ミラー153Bにて反射され、被走査面であるブラック用の画像形成部107Bの感光体ドラム表面に到達、結像される。
【0090】
上記構成の走査光学装置120は、画像形成装置101内部のフレーム116に支持されている。この支持形態について詳細に説明すると、光偏向器140の制御基板142が、ハウジング121を介さず、直接フレーム116に締結、支持されている。制御基板142は、アルミニウム合金などといった金属材料で構成された、複数の締結部材であるネジ122を用いて締結されている。
【0091】
制御基板142とハウジング121とは、制御基板142の周縁部で、複数のネジ123を用いて接続されている。ハウジング121は、制御基板142に対応する箇所に、制御基板142の周囲より小さい大きさの開口部124を備えている。制御基板142は、この開口部124に対して下方からハウジング121内にポリゴンミラー141を挿入しながら、開口部124を塞ぐようにハウジング121の外底面に密着させて配置されている。
【0092】
一方、ハウジング121は、その周縁部に複数の支持片125を備え、この箇所でフレーム116に支持されている。支持片125は、ハウジング121の外底面の箇所からフレーム116表面に向かって延び、フレーム116表面に接触して折れ曲がり、外側に突出している。この支持片125に対応する箇所の、フレーム116には保持部材117が設けられている。保持部材117は、板ばねなどで構成された弾性部材であって、支持片125がフレーム116表面に沿って変位できるようにして押圧しながら保持している。このようにして、ハウジング121は、ハウジング121の周縁部においてフレーム116に対して変位自在にして支持されている。
【0093】
なお、第1の実施形態同様、制御基板142とハウジング121との接続箇所に、断熱部材を設けても構わない。また、フレーム116に対するハウジング121の支持形態を、第2の実施形態に倣って構成しても構わない。
【0094】
上記のように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色各々に対応した4個の感光体ドラムが備えられたタンデム型の画像形成装置101であっても、上面にポリゴンミラー141が配置され、その回転動作を制御する制御基板142が、ハウジング121を介さず、直接画像形成装置101のフレーム116に締結、支持されているので、ポリゴンミラー141の箇所で発生する熱に起因する変形が最も大きいと懸念される箇所を画像形成装置101のフレーム116に固定することができる。これにより、熱に起因する、走査光学装置120のハウジング121全体の変形を抑制することが可能である。また、熱を、制御基板142からフレーム116に直接伝達することができ、ポリゴンミラー141の箇所の冷却作用を高めることが可能である。さらに、ポリゴンミラー141の振動も抑制できるので、反射ミラー153などといった光学部材群150の振動も抑制することが可能である。このようにして、走査光学装置120のポリゴンミラー141の箇所で発生する熱に起因する、ハウジング121全体に生じる熱膨張の差異による悪影響を回避することができる。その結果、高品質の画像を形成することが可能な画像形成装置101を提供することができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0096】
例えば、制御基板、ハウジング、フレームの接続、締結に使用されるネジや支持片は、その配置箇所や数量が、上記実施形態にて説明した構成に限定されるわけではなく、他の配置箇所、数量を適用しても構わない。また、ネジや弾性部材の材料も、上記実施形態にて説明した材料に限定されるわけではなく、他の材料を使用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、走査光学装置を搭載した画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1、101 画像形成装置
15、116 フレーム
16、117 保持部材(弾性部材)
20、120 走査光学装置
21、121 ハウジング
22 光源
25、122 ネジ(締結部材)
28 スペーサー(断熱部材)
29 スリーブ(断熱部材)
30、125 支持片
31 緩衝部材(弾性部材)
40、140 光偏向器
41、141 ポリゴンミラー(回転多面鏡)
42、142 制御基板
50、150 光学部材群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを照射する光源と、この光源からの光ビームを主走査方向に偏向する回転多面鏡と、この回転多面鏡からの光ビームを被走査面上に導く光学部材群と、光ビームを被走査面上に照射するこれらの光学機器を内部に備えるハウジングとが設けられた走査光学装置を搭載した画像形成装置において、
前記回転多面鏡は、その回転動作を制御する制御基板上に配置され、この制御基板が、前記ハウジングを介さず、直接画像形成装置のフレームに締結、支持されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御基板は、前記ハウジングより熱伝導率が高い締結部材により、画像形成装置のフレームに締結されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御基板は、制御基板の周縁部で前記ハウジングに接続され、ハウジングが、ハウジングの周縁部において画像形成装置のフレームに対して変位自在にして支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、弾性部材を介して画像形成装置のフレームに支持されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御基板と前記ハウジングとの接続箇所に、断熱部材を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御基板は、制御基板の周縁部において前記ハウジングに対して変位自在にして接続され、ハウジングが、画像形成装置のフレームに締結、支持されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御基板と前記ハウジングとの接続箇所に、弾性部材を備えることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−191344(P2010−191344A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37643(P2009−37643)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】