説明

画像形成装置

【課題】ステータス検知センサを含む本体部分への電源供給を停止する省電力状態で、ネットワーク接続部が外部装置からステータス要求を受けたときに、本体を復帰させることなくネットワーク接続部だけで応答するのか、若しくは本体を復帰させて応答するのか、を振り分けることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部(CPU45で例示)は、画像形成装置(印刷機器4で例示)が省電力状態のときに外部装置からのステータス要求があった場合に、設定部にて設定された条件に基づいて、(a)印刷機器4本体へ電源供給を行ってステータス情報を取得し、ネットワーク部41を介して送信するか、若しくは、(b)印刷機器4本体へ電源供給を行うことなく、ステータス要求以前にステータス情報記憶部に記憶されたステータス情報をネットワーク部41を介して送信するか、を決定して、その決定に従って制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、通常の電力供給状態から省電力状態に遷移させることが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複合機などの画像形成装置は、省エネモードと呼ばれる、通常の待機状態よりも消費電力の少ない状態に遷移するモードを有している。一般的に、省エネモードは、機器全体のうちのある一部にだけ電力を供給することで実現される。
【0003】
このような画像形成装置は、コンピュータを含む多数の情報機器が接続されたネットワーク環境に設置され、省エネモード時においても、情報機器から印刷などの要求を受けた場合には、本体へ電源を供給することで省エネモードから復帰することが求められる。
【0004】
本体の動作が必要な要求には、前述の印刷要求以外にも画像形成装置のステータス要求(ステータス問い合わせ要求)がある。近年、ネットワーク環境に接続されたコンピュータはそのような要求を行うステータスモニタと呼ばれるようなアプリケーションを利用し、画像形成装置の状態を監視している場合がある。このようなアプリケーションは、何時でもユーザに対し画像形成装置の状態を提示できるよう、定期的に画像形成装置へステータス情報を通知するよう要求することが多い。
【0005】
通常、画像形成装置本体が待機状態であれば、画像形成装置のネットワーク部は、画像形成装置本体に対して問い合わせることで、要求されたステータス情報を取得して応答する。
【0006】
また、本体への電源供給を行っていない省エネモード時にそのようなステータス要求を受けた場合、ネットワーク部は何らかの手段を持っていなければ、ステータス要求(つまりステータスの問い合わせ)の度に本体に電源を供給し復帰させてステータス情報を取得し、応答しなければならない。ネットワーク環境にこのようなステータス要求を行うアプリケーションを導入した外部装置が多数ある場合、画像形成装置はそれらの全ての要求に対して、本体に電源を供給して復帰させることとなり、省エネモードを継続することが非常に困難となる。
【0007】
これらの画像形成装置に関するステータス情報としては、システムとしてのオンライン/オフラインの動作状態をはじめ、カバーの開閉状態、トレイ内の用紙残量や用紙サイズなど多岐にわたる。それらの中には、省エネモード時に変化する可能性があるものが含まれているのは言うまでもない。
【0008】
このような省エネモード(省電力状態)の継続の困難性を解決するための技術として、特許文献1には、コンピュータ側から画像形成装置へステータスを問い合わせるのではなく、定期的に画像形成装置から送信されてくるステータス情報を受信する形式のステータスモニタをコンピュータに搭載することが開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、コンピュータ側のアプリケーションプログラムではなく、画像形成装置本体で、省電力状態の継続の困難性を解決するための技術が開示されている。この画像形成装置では、省電力状態では通常動作時とは異なるサブCPU(Central Processing Unit)を用いて、本体(メインチップ)を起動させることなく、ステータス要求に対応している。ここで、省電力状態でも、スキャナ部分・プリント部分のコントローラのうちステータス検知センサの一部を有効にしておき、サブCPUが省電力状態でもステータスの変化を把握できるようにすることで、省電力状態のままステータス情報をコンピュータに送信可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−113947号公報
【特許文献2】特開2004−34488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ネットワーク環境における一部のコンピュータが、共通のステータスモニタではない独自のアプリケーションプログラムを組み込み、そのアプリケーションプログラムが画像形成装置へと高頻度でステータス要求を行う場合、画像形成装置が省電力状態を継続するのは困難である。
【0012】
また、特許文献2に記載の技術では、省電力状態でもステータス検知センサを定期的に動作させるための待機電力は必要であり、もし省電力状態において完全にステータス検知センサをOFFにした場合には、メインチップが復帰するまで(つまり画像形成装置本体が復帰するまで)ステータス情報が更新されなくなってしまう。
【0013】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステータス検知センサを含む本体部分への電源供給を停止する省電力状態で、ネットワーク接続部が外部装置からステータス要求を受けたときに、本体を復帰させることなくネットワーク接続部だけで応答するのか、若しくは本体を復帰させて応答するのか、を振り分けることが可能な画像形成装置を、提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、高頻度でステータス要求を行う外部装置が存在する環境においても、省電力状態を継続しつつ、ステータス要求に対してできるだけ新しいステータス情報で応答することが可能な画像形成装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、ネットワーク接続部を有し、該ネットワーク接続部を介して外部装置と通信可能な画像形成装置であって、該外部装置からのステータス要求に対して、前記画像形成装置本体への電源供給を制御する制御部と、該制御部による前記画像形成装置本体への電源供給を行うか否かを決定するための条件を設定する設定部と、前記画像形成装置本体への電源供給が行われた状態で前記画像形成装置本体のステータス情報を取得するステータス情報取得部と、該ステータス情報取得部によって取得したステータス情報を記憶するステータス情報記憶部と、を有し、前記制御部は、前記画像形成装置が省電力状態のときに前記外部装置からの前記ステータス要求があった場合に、前記設定部にて設定された条件に基づいて、(a)前記画像形成装置本体へ電源供給を行って前記ステータス情報を取得し、前記ネットワーク接続部を介して送信するか、若しくは、(b)前記画像形成装置本体へ電源供給を行うことなく、前記ステータス要求以前に前記ステータス情報記憶部に記憶された前記ステータス情報を前記ネットワーク接続部を介して送信するか、を決定し、該決定に従って制御することを特徴としたものである。
【0016】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記設定部にて設定される条件は、前記ステータス情報記憶部に記憶されている、前記画像形成装置が前記省電力状態に遷移する以前のステータス情報についての有効期限を含むことを特徴としたものである。
【0017】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記設定部にて設定される条件は、前記外部装置毎のステータス要求回数の閾値を含むことを特徴としたものである。
【0018】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれかの技術手段において、前記設定部にて設定される条件は、同一の前記外部装置からのステータス要求間隔の閾値を含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、ステータス検知センサを含む本体部分への電源供給を停止する省電力状態で、ネットワーク接続部が外部装置からステータス要求を受けたときに、本体を復帰させることなくネットワーク接続部だけで応答するのか、若しくは本体を復帰させて応答するのか、を振り分けることが可能になる。
【0020】
また、本発明の他の形態に係る画像形成装置によれば、高頻度でステータス要求を行う外部装置が存在する環境においても、省電力状態を継続しつつ、ステータス要求に対してできるだけ新しいステータス情報で応答することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例としての印刷機器と、それに接続される外部装置の一例としてのコンピュータとを含むネットワーク環境の一例を示す図である。
【図2】図1のネットワーク環境における印刷機器の詳細な構成例を示す図である。
【図3】図2の印刷機器における応答シーケンスの一例を説明するためのフロー図である。
【図4】図2の印刷機器においてステータス有効期限を設定するための画面例を示す図である。
【図5】図2の印刷機器における応答シーケンスの他の例を説明するためのフロー図である。
【図6】図2の印刷機器においてステータス要求回数の閾値を設定するための画面例を示す図である。
【図7】図2の印刷機器における応答シーケンスの他の例を説明するためのフロー図である。
【図8】図2の印刷機器における応答シーケンスの他の例を説明するためのフロー図である。
【図9】図2の印刷機器においてステータス要求間隔の閾値を設定するための画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る画像形成装置として、印刷機器(プリンタ)を挙げて説明するが、コピー機能、電子メール送信機能、ファイリング機能など、プリント機能以外の機能も兼ね備えた複合機などであってもよい。また、本発明に係る画像形成装置に接続される外部装置として、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等のコンピュータを挙げて説明するが、プリントサーバなどであってよい。また、ネットワーク上に接続されている画像形成装置や外部装置の数も、以下の例に限ったものではない。
【0023】
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例としての印刷機器と、それに接続される外部装置の一例としてのコンピュータとを含むネットワーク環境の一例を示す図である。また、図2は、図1のネットワーク環境における印刷機器の詳細な構成例を示す図である。
【0024】
図1に例示するネットワーク環境は、複数の印刷機器4〜6とコンピュータ2,3とがネットワーク1で相互に有線又は無線で接続されたものであり、印刷機器とコンピュータとはネットワーク1を介して互いにデータの送受信が可能となっている。
【0025】
コンピュータ2の内部には、プリンタドライバ21、ステータスモニタ22、アプリケーション23がある。例えば、アプリケーション23により作成した文書を印刷機器4で印刷しようとした場合、プリンタドライバ21が印刷機器4のステータスを取得しようとする。また、ステータスモニタ22が例えば印刷機器4〜6全てのステータスを定期的に取得することで、どの印刷機器で印刷するのかを選択するための情報をユーザに提示することができる。
【0026】
なお、コンピュータ3は、基本的にコンピュータ2と同様の構成とするが、ステータスモニタ22とは異なるステータスモニタを搭載していても、印刷機器4等のステータスを取得可能となっていればよい。つまり、ネットワーク1上のコンピュータは、共通のステータスモニタをもつ必要はない。
【0027】
次に、印刷機器4の構成について説明する。なお、印刷機器5,6も本発明に係る画像形成装置の一例であり、その構成は印刷機器4と基本的に同様とする。印刷機器4は、ネットワーク部(ネットワーク接続部)41、システムコントローラ42、エンジンコントローラ43、及びエンジン44を有する。
【0028】
印刷機器4は、ネットワーク部41を介してネットワーク1上のコンピュータ2,3と通信可能となっている。印刷機器4は、コンピュータ2,3からの要求もネットワーク部41を介して受け取る。システムコントローラ42は印刷機器4のシステム全体を制御する。エンジンコントローラ43はエンジン44を制御する。エンジン44は、印刷を実行する部位であり、トレイの状態、カバーの状態などのステータスを検知するセンサ(ステータス検知センサ)も含む。
【0029】
さらに、印刷機器4は、図2で例示するように、ネットワーク部41の内部にシステムコントローラ42とは独立したCPU45を有し、システム全体として利用可能なROM(Read Only Memory)46及びRAM(Random Access Memory)47を有する。システムコントローラ42、ネットワーク部41(CPU45を含む)でそれぞれ例示したように、印刷機器4は、印刷機器4本体と一体の通常動作のためのNIC(Network Interface Card)と、本体とは独立し少ない電力で動作する省エネNICとを有するとも言える。
【0030】
通常待機時には、システムコントローラ42及びエンジンコントローラ43にも電源が供給されており、コンピュータ2等からステータス要求を受信した場合、システムコントローラ42は、エンジンコントローラ43からエンジン情報を取得したり、ROM46やRAM47に予め取得して保存したシステム情報などを取得する。そして、システムコントローラ42は、取得したエンジン情報やシステム情報に基づいて生成したステータス情報を、ステータス要求への応答として要求元に返信する。
【0031】
印刷機器4は、通常待機状態が一定時間経過したことなどをきっかけに省エネモードに遷移する。このとき、システムコントローラ42はエンジンコントローラ43へとエンジン44の電源をOFFするよう制御命令を送り、その後、ネットワーク部41を残して、システムコントローラ42も電源をOFFする。このように、省エネモードに遷移したとき、印刷機器4では、システムコントローラ42及びエンジンコントローラ43への電源供給を停止し、これらとは独立してCPU45を含むネットワーク部41のみに通電し、動作させる。
【0032】
省エネモード(省電力状態)に遷移する前に、システムコントローラ42は、ステータス検知センサからの情報を含むエンジン情報をエンジンコントローラ43から取得し、自身のシステム情報などと共に、ステータス要求応答用としてROM46へと保存する。なお、ROM46がEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などの書き換え可能なROMであることを前提として説明している。このように、印刷機器4は、印刷機器4本体への電源供給が行われた状態で印刷機器4本体のステータス情報を取得するステータス情報取得部と、ステータス情報取得部によって取得したステータス情報を記憶するステータス情報記憶部とを有する。
【0033】
また、省エネモード時にネットワーク部41がプリンタドライバ21からの印刷要求を受け取った場合、ネットワーク部41のCPU45は、システムコントローラ42の電源を投入し、復帰したシステムコントローラ42はさらにエンジンコントローラ43へ復帰命令を送って復帰させ、ジョブ処理を実行する。印刷要求に限らず本体の電源復帰が必要な要求をコンピュータ2等から受け取った場合には、CPU45が同様にして本体を復帰させる。
【0034】
さらに、印刷機器4は、コンピュータ2からのステータス要求(ステータスの問い合わせ)に対して、印刷機器4本体への電源供給を制御する制御部と、制御部による印刷機器4本体への電源供給を行うか否かを決定するための条件を設定する設定部とを有する。制御部、設定部は、それぞれ例えばCPU45、ROM46で構成できる。
【0035】
CPU45は、印刷機器4が省電力状態のときにコンピュータ2からのステータス要求があった場合に、ROM46に(上記設定部で)設定された条件に基づいて、次の処理(a)、処理(b)のうちいずれを実行するかを決定し、その決定に従って制御を行う。ここで、処理(a)は、印刷機器4本体へ電源供給を行ってステータス情報を取得し、ネットワーク部41を介して送信する処理とする。処理(b)は、印刷機器4本体へ電源供給を行うことなく、ステータス要求以前にステータス情報記憶部に記憶されたステータス情報をネットワーク部41を介して送信する処理とする。
【0036】
このように、CPU45は、ステータス検知センサを含む本体部分に対する電源遮断された省エネモード時にコンピュータ2等からステータス要求を受信した場合、予め設定された所定基準(上記条件)に基づいて、印刷要求時と同様に本体を省エネモードから通常待機モードへ復帰させて情報を取得してから応答するか、本体を起動させることなく省エネモード(スリープ)遷移前に保存したステータス要求応答用の情報を用いて応答するかを決定する。つまり、CPU45は、本体を復帰させることなくネットワーク部41だけで応答するのか、若しくは本体を復帰させて応答するのか、を上記条件に基づき振り分ける。
【0037】
これにより、ステータス要求の度に、省エネモードからの復帰を行う必要が無くなり、より長い時間省エネ状態を継続させることができる。
【0038】
図3は、図2の印刷機器における応答シーケンスの一例を説明するためのフロー図である。設定部にて設定される条件は、ステータス情報の有効期限を含むことが好ましい。ここでのステータス情報は、ROM46で例示したステータス情報記憶部に記憶されている情報であり、印刷機器4が省エネモードに遷移する以前の情報である。図3で例示する応答シーケンスは、上記条件としてこの有効期限を採用した場合のシーケンスである。
【0039】
まず、ステップS1で、ネットワーク部41のCPU45は、コンピュータ2等からのステータス要求(ステータス問い合わせ)を受信する。続くステップS2で、CPU45は、システムが省エネモード中か否かを判断する。もし、省エネモード中ではなく、システム全体に通電された待機状態である場合(ステップS2でNOの場合)にはステップS6に進む。一方、省エネモード中の場合(ステップS2でYESの場合)にはステップS3に進む。
【0040】
ステップS6では、エンジンコントローラ43から現在のエンジンステータス情報を取得する。続くステップS7では、エンジン情報以外の設定値などのステータス情報を取得する。ステップS8では、取得した情報をステータス要求元に送信する。ステップS3では、エンジンコントローラ43から情報を取得せずに、予め保存したステータス情報を用いて、本体を復帰させずに応答するか否かを判断する。
【0041】
前述の通り、省エネモード中であっても、電源OFFされたステータス検知センサが検知していないだけで、ステータスは変わる可能性がある。すなわち、省エネモードへの遷移によりスリープしてから時間が経過すればするほど、スリープ前に保存したステータス情報が実際のステータスを乖離していく可能性が高くなる。従って、印刷機器4は省エネモードに遷移するときに、ステータス情報を保存するとともに、保存した時刻を記憶しておく。そして、ステップS3では、CPU45が、省エネモードに遷移してからの経過時間が予め設定された有効期限切れか否かを判断する。
【0042】
省エネモードに遷移してからの経過時間が予め設定された有効期限内であれば(ステップS3でNOの場合)、ステップS5に進み、ネットワーク部41が本体を復帰させることなく保存したステータスを用いて応答する。
【0043】
一方、有効期限を過ぎている場合(ステップS3でYESの場合)、ステップS4に進む。ステップS4では、ネットワーク部41が、本体復帰を実行した後、省エネモードか否かの判定ステップ(ステップS2)に戻る。ステップS2では、ステップS4での本体復帰実行により、ステップS6へと遷移し、エンジンコントローラ43からステータスを取得する。省エネモードからの本体復帰により、保存ステータスと省エネモード経過時間はリセットされ、これらの情報は次に省エネモードに遷移するときに改めて設定される。
【0044】
図3の処理では、ステータス情報の有効期限の経過/未経過に基づき処理(a)、処理(b)を振り分けており、これにより、省エネモードに遷移してから時間が経過するにつれてステータスの変化が生じる可能性が高くなること、すなわち遷移前に保存したステータス情報の信頼性を考慮しながら、できる限り省エネ状態を継続させることができる。このように、上記条件としてステータス情報の有効期限を採用することで、高頻度でステータス要求を行うコンピュータ2が存在する環境においても、省電力状態を継続しつつ、ステータス要求に対してできるだけ新しいステータス情報で応答することが可能になる。
【0045】
また、ステータス情報の有効期限は、印刷機器4で予めデフォルト設定されたものを用いてもよいが、ユーザ設定可能にしておくことが好ましく、その設定画面例を図4を参照して説明する。図4は、図2の印刷機器においてステータス有効期限を設定するための画面例を示す図である。
【0046】
図4に例示する省エネモード促進設定画面7は、印刷機器4の本体パネル(図示せず)やその他webページなどから表示可能となっている。省エネモード促進設定画面7では、ステータス有効期限に基づく省エネモード促進機能を有効にするか否かの設定項目71と、有効にした場合の有効期限72と、がユーザ入力可能に表示されている。ユーザの入力操作を受け付けたとき、印刷機器4は、その入力操作に応じた設定情報をROM46に記憶する。これにより、設定情報を事前に登録することができる。この設定情報(つまり上記条件)を読み出す必要があるときには、ROM46を参照すればよい。
【0047】
図5は、図2の印刷機器における応答シーケンスの他の例を説明するためのフロー図である。設定部にて設定される条件は、コンピュータ毎のステータス要求回数(問い合わせ回数)の閾値を含むことが好ましい。コンピュータ毎にこの閾値で印刷機器4の本体を復帰させるか否かを決定することになる。図5で例示する応答シーケンスは、上記条件としてこのステータス要求回数の閾値を採用した場合のシーケンスである。図3で説明した応答シーケンスとの違いは、本体を復帰させるか否かの判断基準として、ステータス要求をしてきたコンピュータ毎に要求を認可するか無視するかの閾値を用いることである。
【0048】
まず、ステップS11で、ネットワーク部41のCPU45は、コンピュータ2等からのステータス要求を受信する。続くステップS12で、CPU45は、システムが省エネモード中か否かを判断する。もし、省エネモード中ではなく、システム全体に通電された待機状態である場合(ステップS12でNOの場合)にはステップS16に進む。一方、省エネモード中の場合(ステップS12でYESの場合)にはステップS13に進む。
【0049】
ステップS16では、エンジンコントローラ43から現在のエンジンステータス情報を取得する。続くステップS17では、エンジン情報以外の設定値などのステータス情報を取得する。ステップS18では、取得した情報をステータス要求元に送信する。ステップS13では、エンジンコントローラ43から情報を取得せずに、予め保存したステータス情報を用いて、本体を復帰させずに応答するか否かを判断する。
【0050】
前述の通り、省エネモード中であっても、電源OFFされたステータスセンサが検知していないだけで、ステータスは変わる可能性がある。すなわち、省エネモードへの遷移によりスリープしてから時間が経過すればするほど、スリープ前に保存したステータス情報が実際のステータスを乖離していく可能性が高くなる。従って、可能な限り本体から最新のステータスを取得して応答することが望まれるが、省電力の目的とは相反する。さらに、コンピュータ2からのステータス要求の頻度はコンピュータ毎に異なる。あるコンピュータ2は印刷要求を行う直前だけにステータス要求を発するのかもしれないし、ステータス管理アプリケーションをある管理装置には非常に高い頻度で問い合わせをしてくるかもしれない。
【0051】
従って、図5の例では、ステータス要求回数(問い合わせ回数)の閾値の調整により、上述のような高頻度で問い合わせをしてくるコンピュータ(例えばコンピュータ2)による省エネ状態解除を抑止しつつ、その他のコンピュータ(例えばコンピュータ3)に対しては最新のステータス情報を応答することを可能にする。
【0052】
より具体的には、まず印刷機器4は、省エネモードに遷移したタイミングで、コンピュータからのステータス要求回数の情報をコンピュータ毎に1からカウントする。そして、ステップS13において、予め設定された該当コンピュータのステータス要求回数(問い合わせ回数)の閾値と、現在の問い合わせが何回目であるか(すなわちカウント値)とを比較する。
【0053】
ステータス要求回数が予め定められた閾値よりも少ないうちは(ステップS13でNOの場合)、本体を復帰させるのは早いと判断し、ステップS15に進み、本体を復帰させることなく保存したステータス情報を用いて応答する。
【0054】
一方、ステータス要求回数が予め設定された閾値以上になった場合(ステップS13でYESの場合)、ステップS14に進む。ステップS14では、ネットワーク部41は本体復帰を実行した後、省エネモードか否かの判定ステップ(ステップS12)に戻る。ステップS12では、ステップS14での本体復帰実行により、ステップS16へと遷移し、エンジンコントローラ43からステータスを取得する。省エネモードからの本体復帰により、各コンピュータからのステータス要求回数情報はリセットされ、この情報は次に省エネモードに遷移するときに改めてカウントが開始される。
【0055】
なお、コンピュータの特定は、ログインユーザ名やコンピュータ名などの識別情報に基づき行えばよい。また、識別情報とステータス要求回数とを関連付けたテーブルをROM46に保持しておけばよい。
【0056】
図5の処理では、コンピュータ毎のステータス要求回数が閾値未満か否かにより、処理(a)、処理(b)を振り分けており、処理(b)により高頻度で問い合わせをしてくるコンピュータ(例えばコンピュータ2)に対しては省エネ状態解除を抑止しつつ、処理(a)によりその他のコンピュータ(例えばコンピュータ3)に対しては最新のステータス情報を応答することができる。つまり、ある特定のコンピュータからのステータス要求が非常に高頻度である場合などであっても、印刷機器4は省エネモードのままとすることができる。
【0057】
また、ステータス要求回数の閾値は、印刷機器4で予めデフォルト設定されたものを用いてもよいが、ユーザ設定可能にしておくことが好ましく、その設定画面例を図6を参照して説明する。図6は、図2の印刷機器においてステータス要求回数の閾値を設定するための画面例を示す図である。
【0058】
図6に例示する省エネモード促進設定画面8は、印刷機器4の本体パネル(図示せず)やその他webページなどから表示可能となっている。省エネモード促進設定画面8では、省エネモード促進機能を有効にするか否かの設定項目81と、本体復帰実行までの問い合わせ回数(ステータス要求回数)のリスト82と、デフォルト値83と、がユーザ入力可能に表示されている。問い合わせ回数リスト82は、IP(Internet Protocol)アドレスなどの個々のコンピュータを特定するための情報と、そのコンピュータが何回問い合わせを行ったときに本体復帰を実行するかの回数とを含む。デフォルト値83は、問い合わせ回数リストには含まれていないコンピュータから要求があった場合に使われる。ユーザの入力操作を受け付けたとき、印刷機器4は、その入力操作に応じた設定情報をROM46に記憶する。これにより、設定情報を事前に登録することができる。この設定情報(つまり上記条件)を読み出す必要があるときには、ROM46を参照すればよい。
【0059】
図7は、図2の印刷機器における応答シーケンスの他の例を説明するためのフロー図である。図7で例示する応答シーケンスは、上記条件としてステータス情報の有効期限とステータス要求回数の閾値との両方を採用した場合のシーケンスである。つまり、図3、図5でそれぞれ説明した応答シーケンスとの違いは、本体を復帰させるかの判断基準として、省エネモード遷移前の保存ステータスの有効期限とステータス要求をしてきたコンピュータ毎に要求を認可するか無視するかの閾値とを併用していることである。
【0060】
まず、ステップS21で、ネットワーク部41のCPU45は、コンピュータ2等からのステータス要求を受信する。続くステップS22で、CPU45は、システムが省エネモード中か否かを判断する。もし、省エネモード中ではなく、システム全体に通電された待機状態である場合(ステップS22でNOの場合)にはステップS27に進む。一方、省エネモード中の場合(ステップS22でYESの場合)にはステップS23に進む。
【0061】
ステップS27では、エンジンコントローラ43から現在のエンジンステータス情報を取得する。続くステップS28では、エンジン情報以外の設定値などのステータス情報を取得する。ステップS29では、取得した情報をステータス要求元に送信する。印刷機器4は省エネモードに遷移するときに、コンピュータ2からのステータス要求回数情報を初期化し、省エネモード遷移中はコンピュータ毎のステータス要求回数をカウントする。加えて、ステータス情報を保存するとともに、保存した時刻を記憶しておく。そして、ステップS23において、予め設定された該当コンピュータ2のステータス要求回数の閾値と、現在のステータス要求が何回目であるか(すなわちカウント値)を比較する。
【0062】
ステータス要求回数が予め定められた閾値よりも少ないうちは(ステップS23でNOの場合)、本体を復帰させるのは早いと判断し、ステップS26に進み、本体を復帰させることなく保存したステータスを用いて応答する。
【0063】
一方、ステータス要求回数が予め設定された閾値を超えた場合(ステップS23でYESの場合)、ステップS24に進む。ステップS24では、ステータス要求回数は越えているが、保存ステータスの信頼性が低く本体を復帰させる必要があるのか、若しくはまだ保存ステータスの信頼性がまだ高く本体を復帰させる必要がないかを判断する。
【0064】
省エネモードに遷移してからの経過時間が予め設定された有効期限内であれば(ステップS24でNOの場合)、ステップS26に進み、本体を復帰させることなく保存したステータスを用いて応答する。
【0065】
一方、有効期限を過ぎている場合(ステップS24でYESの場合)、ステップS25に進む。ステップS25では、ネットワーク部は本体復帰を実行した後、省エネモードか否かの判定ステップ(ステップS22)に戻る。ステップS22では、ステップS25での本体復帰実行により、ステップS27へと遷移し、エンジンコントローラ43からステータスを取得する。省エネモードからの本体復帰により、各コンピュータからのステータス要求回数情報はリセットされ、この情報は次に省エネモードに遷移するときに改めてカウントが開始される。保存ステータスと省エネモード経過時間もまた、リセットされ、これらの情報は、次に省エネモードに遷移するときに改めて設定される。
【0066】
図7の処理では、ステータス情報の有効期限とコンピュータ毎のステータス要求回数の閾値とにより、処理(a)、処理(b)を振り分けており、ある特定のコンピュータからのステータス要求が非常に高頻度である場合でも印刷機器4が省エネモードへ遷移したままにすることができるとともに、それ以外のコンピュータからのステータス要求があった場合にも、遷移前に保存したステータス情報の信頼性を考慮しながら本体を復帰させるかの判断をすることで、より省電力状態を継続させることができる。
【0067】
図8は、図2の印刷機器における応答シーケンスの他の例を説明するためのフロー図である。設定部にて設定される条件は、同一のコンピュータからのステータス要求の時間間隔(ステータス要求間隔)の閾値を含むことが好ましい。図8で例示する応答シーケンスは、上記条件としてこのステータス要求間隔の閾値を採用した場合のシーケンスである。つまり、図3、図5、図7でそれぞれ説明した応答シーケンスとの違いは、本体を復帰させるかの判断基準として、ステータス要求をしてきたコンピュータのステータス要求間隔を用いることである。
【0068】
まず、ステップS31で、ネットワーク部41のCPU45は、コンピュータ2等からのステータス要求を受信する。続くステップS32で、CPU45は、システムが省エネモード中か否かを判断する。もし、省エネモード中ではなく、システム全体に通電された待機状態である場合(ステップS32でNOの場合)にはステップS37に進む。一方、省エネモード中の場合(ステップS32でYESの場合)にはステップS33に進む。
【0069】
ステップS37では、エンジンコントローラ43から現在のエンジンステータス情報を取得する。続くステップS38では、エンジン情報以外の設定値などのステータス情報を取得する。ステップS39では、取得した情報をステータス要求元に送信する。
【0070】
ステップS33及びステップS34では、予め保存したステータス情報を用いて、本体を復帰させずに応答するかを判断する。まず、印刷機器4は、省エネモードに遷移したタイミングで、コンピュータからの問い合わせの時間間隔(ステータス要求間隔)をコンピュータ毎に記憶する。そして、ステップS33では、該当機器のステータス要求間隔情報があるか否かを判断する。なお、ステータス要求を行ったコンピュータの特定は、ログインユーザ名やコンピュータ名などの識別情報に基づき行えばよく、閾値が過ぎるまでROM46又はRAM47にその識別情報を保持しておけばよい。
【0071】
ステータス要求間隔は、機器からの問い合わせが2回以上あった場合に算出できるものであるため、省エネモードに遷移してから、該当機器からの問い合わせが初めての場合(ステップS33でNOの場合)は、ステータス要求間隔情報はないため、ステップS36に進み、本体を復帰させることなく保存したステータスを用いて応答する。
【0072】
一方、ステータス要求間隔情報を有する場合(ステップS33でYESの場合)、ステップS34に進む。ステップS34では、予め設定されたステータス要求間隔の閾値と、該当機器からのステータス要求間隔とを比較する。
【0073】
現在のステータス要求間隔が予め定められた閾値よりも短い場合は(ステップS34でNOの場合)、ステップS36に進み、本体を復帰させることなく保存したステータスを用いて応答する。
【0074】
一方、現在のステータス要求間隔が予め設定された閾値以上である場合(ステップS34でYESの場合)、ステップS35に進む。ステップS35では、ネットワーク部41は本体復帰を実行した後、省エネモードか否かの判定ステップ(ステップS32)に戻る。ステップS32では、ステップS35での本体復帰実行により、ステップS37へと遷移し、エンジンコントローラ43からステータスを取得する。省エネモードからの本体復帰により、各コンピュータからのステータス要求間隔情報はリセットされ、この情報は次に省エネモードに遷移するときに改めて記録される。
【0075】
図8の処理では、同一のコンピュータからのステータス要求間隔が閾値以上であるか否かにより、処理(a)、処理(b)を振り分けており、省エネモードの継続を妨害するような短い時間間隔でステータス要求が行われるような場合には、処理(b)を行うことで省エネモードを継続させたまま応答することができる。また、ステータス要求の要求元の異常や悪意をもった者によるアクセスである可能性もあり、そうようなステータス要求に対して有効である。
【0076】
また、ステータス要求間隔の閾値は、印刷機器4で予めデフォルト設定されたものを用いてもよいが、ユーザ設定可能にしておくことが好ましく、その設定画面例を図9を参照して説明する。図9は、図2の印刷機器においてステータス要求間隔の閾値を設定するための画面例を示す図である。
【0077】
図9に例示する省エネモード促進設定画面9は、印刷機器4の本体パネル(図示せず)やその他webページなどから表示可能となっている。省エネモード促進設定画面9では、省エネモード促進機能を有効にするか否かの設定項目91と、本体復帰実行までの問い合わせ間隔(ステータス要求間隔)92と、がユーザ入力可能に表示されている。ユーザの入力操作を受け付けたとき、印刷機器4は、その入力操作に応じた設定情報をROM46に記憶する。これにより、設定情報を事前に登録することができる。この設定情報(つまり上記条件)を読み出す必要があるときには、ROM46を参照すればよい。
【0078】
また、図8及び図9を参照して説明したステータス要求間隔に基づく制御及びステータス要求間隔の閾値の設定については、図3〜図7を参照して説明した例と同時に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…ネットワーク、2,3…コンピュータ、4,5,6…印刷機器、21…プリンタドライバ、22…ステータスモニタ、23…アプリケーション、41…ネットワーク部、42…システムコントローラ、43…エンジンコントローラ、44…エンジン、45…CPU、46…ROM、47…RAM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続部を有し、該ネットワーク接続部を介して外部装置と通信可能な画像形成装置であって、
該外部装置からのステータス要求に対して、前記画像形成装置本体への電源供給を制御する制御部と、該制御部による前記画像形成装置本体への電源供給を行うか否かを決定するための条件を設定する設定部と、前記画像形成装置本体への電源供給が行われた状態で前記画像形成装置本体のステータス情報を取得するステータス情報取得部と、該ステータス情報取得部によって取得したステータス情報を記憶するステータス情報記憶部と、を有し、
前記制御部は、前記画像形成装置が省電力状態のときに前記外部装置からの前記ステータス要求があった場合に、前記設定部にて設定された条件に基づいて、(a)前記画像形成装置本体へ電源供給を行って前記ステータス情報を取得し、前記ネットワーク接続部を介して送信するか、若しくは、(b)前記画像形成装置本体へ電源供給を行うことなく、前記ステータス要求以前に前記ステータス情報記憶部に記憶された前記ステータス情報を前記ネットワーク接続部を介して送信するか、を決定し、該決定に従って制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定部にて設定される条件は、前記ステータス情報記憶部に記憶されている、前記画像形成装置が前記省電力状態に遷移する以前のステータス情報についての有効期限を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定部にて設定される条件は、前記外部装置毎のステータス要求回数の閾値を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定部にて設定される条件は、同一の前記外部装置からのステータス要求間隔の閾値を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−201770(P2010−201770A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49325(P2009−49325)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】