説明

画像形成装置

【課題】装置の動作中でも、その後に行う動作の設定ができ、割込みモード時では、無駄な作業時間が生じない、ユーザの使い勝手が良く、作業時間を短縮できる自動原稿給紙装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数枚の原稿を載置し、原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイと、前記複数段の原稿トレイの搬送を制御する搬送手段を備えた自動原稿給紙手段を備え、利用者の操作を受ける操作手段により、前記原稿トレイの選択と画像形成装置の動作に関する設定が行え、さらに動作中に、他の原稿トレイを用いた画像形成装置の動作に関する設定が行え、動作に使用中の原稿トレイの原稿検知手段および用紙検知手段で原稿が無くなったと判断すると、自動的に使用する原稿トレイと、先に設定した画像形成装置の動作に関する設定を切替えて動作させるので、設定が待つことなく行えるとともに、異なる設定の動作を連続的に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿から画像データを読み込み利用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置には、実行中の処理を停止して別の処理を行う割込みモードと呼ばれる機能が備えられているものがある。また画像形成装置には、複数枚の原稿を載置し、この原稿を1枚ずつ搬送して画像データを読込む自動原稿給紙装置(ADF)が備えられているものが多い。割込みモードにより別の処理を実行する際、例えば自動原稿給紙装置に読み込み前の原稿が残っている場合、割込みモードで自動原稿給紙装置を使用すると、先に実行している処理である被割込み動作の原稿と、割込みモードで実行される割込み動作の原稿が混在ししてしまう。
【0003】
このため、従来は割込みモードで被割込み動作と競合が起こる可能性があるモードの設定を選択できないようにしていた。また、特許文献1では、割込みモードで実行できる動作モードを増やすことを可能とするため、ユーザにより操作手段が操作されて割込み要求を受けると、制御手段は被割込み動作(実行中の複写動作)で搬送される原稿および用紙がどのユニットに位置するかを原稿検知手段および用紙検知手段で検知し、制御手段は被割込み動作で未使用のユニットを使用する動作モードは選択できるが、被割込み動作で使用中のユニットを使用する動作モードは選択できないように操作手段に操作画面を出力して、割込み動作で実行可能な動作モードをユーザが選択できるようにしていた。
【0004】
このように、従来は割込みモードの実行の要求があった場合に、原稿や用紙の状態を確認し、その結果より割込みモードで使用可能な動作モードが制限されるので、競合の可能性のある割込みモードについては予め排除したり、ADFではなく、原稿ガラス上に原稿を載置して、この原稿を用いて割込み動作をしたりしていたため、ADFの上部を上げたり、複数の原稿を使用する場合には、一枚一枚原稿ガラス上に原稿を載置しなければならず、ユーザの使い勝手が悪く、全体的に無駄な作業時間が生じていた。
【0005】
さらに、割込みモード以外の場合にも、ADFの原稿トレイが一段であるために、使用中のADFに原稿を追加すると同じ設定で装置が動いてしまい、別の設定を行う場合には、一連の動作が終了するまで待って設定をするか、割込みモードを使用して、現在の動作の終了を後回しにし、原稿が複数枚の場合には、載置されている原稿と割込ませる原稿を入れかえる必要があり、割込み動作終了後に割込み前の原稿を再度載置する必要があり、ユーザの手間は大変であり、時間も多く費やされていた。
【0006】
また、設定などを紙に印刷したものを設定の異なる原稿間に入れることにより、その設定を読込むことにより、異なる設定を行うこともされているが、設定するための紙が必要となることで、資源の無駄が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、装置の動作中でも、その後に行う動作の設定ができ、割込みモード時では、無駄な作業時間を無くすことができる自動原稿給紙装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、装置を動作させる動作指示を設定するために装置が動作中である場合でも利用者の操作を受け付ける操作手段と、操作手段で受け付けられた装置の動作指示を記憶する記憶手段と、装置の動作指示と装置の動作状態を表示する表示手段と、複数枚の原稿を載置して原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイを備えた自動原稿給紙手段と、自動原稿給紙手段の複数段の原稿トレイに原稿が有るか否かを検知する原稿検知手段と、用紙を搬送する搬送手段と、原稿トレイから搬送される用紙を検知する用紙検知手段と、自動原稿給紙手段によって複数段の原稿トレイに載置された原稿の搬送を制御する搬送制御手段と、原稿を読み取って画像データを取得する原稿読取り手段と、原稿読取り手段によって取得した画像データを用紙に印刷する印刷手段と、記憶手段に記憶された動作指示に基づいて装置の動作を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、動作中の自動原稿給紙手段に原稿が有るか否かを原稿検知手段と用紙検知手段とによって判断し、原稿が無くなった場合に使用する原稿トレイと記憶手段に記憶された動作指示に切り替えて装置を動作させることを特徴とする。
【0009】
また本発明に係る画像形成方法は、装置を動作させる動作指示を設定するために装置が動作中である場合でも利用者の操作を受け付ける操作工程と、操作工程で受け付けられた装置の動作指示を記憶する記憶工程と、装置の動作指示と装置の動作状態を表示する表示工程と、複数枚の原稿を載置して原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイを備えた自動原稿給紙工程と、自動原稿給紙工程の複数段の原稿トレイに原稿が有るか否かを検知する原稿検知工程と、用紙を搬送する搬送工程と、原稿トレイから搬送される用紙を検知する用紙検知工程と、自動原稿給紙工程によって複数段の原稿トレイに載置された原稿の搬送を制御する搬送制御工程と、原稿を読み取って画像データを取得する原稿読取り工程と、原稿読取り工程によって取得した画像データを用紙に印刷する印刷工程と、記憶工程に記憶された動作指示に基づいて装置の動作を制御する制御工程と、を備え、制御工程は、動作中の自動原稿給紙工程に原稿が有るか否かを原稿検知工程と用紙検知工程とによって判断し、原稿が無くなった場合に使用する原稿トレイと記憶工程に記憶された動作指示に切り替えて装置を動作させることを特徴とする。
【0010】
また本発明に係るプログラムは、装置を動作させる動作指示を設定するために装置が動作中である場合でも利用者の操作を受け付ける操作処理と、操作処理で受け付けられた装置の動作指示を記憶する記憶処理と、装置の動作指示と装置の動作状態を表示する表示処理と、複数枚の原稿を載置して原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイを備えた自動原稿給紙処理と、自動原稿給紙処理の複数段の原稿トレイに原稿が有るか否かを検知する原稿検知処理と、用紙を搬送する搬送処理と、原稿トレイから搬送される用紙を検知する用紙検知処理と、自動原稿給紙処理によって複数段の原稿トレイに載置された原稿の搬送を制御する搬送制御処理と、原稿を読み取って画像データを取得する原稿読取り処理と、原稿読取り処理によって取得した画像データを用紙に印刷する印刷処理と、動作中の自動原稿給紙処理に原稿が有るか否かを原稿検知処理と用紙検知処理とによって判断し、原稿が無くなった場合に使用する原稿トレイと記憶処理に記憶された動作指示に切り替えて装置を動作させる制御処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、装置の動作中でも動作終了後まで次の動作設定を待たなくてよく、動作に使用していない原稿トレイによる動作の設定を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る操作部30を示した図である。
【図3】操作部30の液晶タッチパネル31の表示の一例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る動作の流れを示したフローチャート図である。
【図5】本実施形態の割込みモード動作の流れを示したフローチャート図である。
【図6】本実施形態の割込みモード動作の流れを示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る、画像形成装置の構成図である。まず各部の動作について説明する。
【0014】
自動原稿搬送手段である自動原稿送り装置1にある、原稿トレイ2a、2bに原稿の画像面を上にして置かれた原稿束は、操作部30上のスタートキー34が押下されると、原稿トレイ2aか原稿トレイ2bの指定されている原稿トレイの一番上の原稿から原稿トレイに対応するピックアップローラ19aまたは、ピックアップローラ19bにより搬送され、給送ローラ3、給送ベルト4によってコンタクトガラス6上の所定の位置に給送される。
【0015】
読取りユニット50によってコンタクトガラス6上の原稿の画像データを読取り後、読取りが終了した原稿は、給送ベルト4及び排送ローラ5によって排出される。さらに、各原稿トレイに設置された原稿セット検知7a、7bにて、指定された原稿トレイに次の原稿が有ることを検知した場合、前原稿と同様にコンタクトガラス6上に給送される。
【0016】
給送ローラ3、給送ベルト4、排送ローラ5、ピックアップローラ19a、ピックアップローラ19bはモータによって駆動される。原稿セット検知7a、7bにより原稿がなくなるまでの原稿給送回数により原稿の枚数を計数することができる。
【0017】
第1トレイ8、第2トレイ9、第3トレイ10に積載された転写紙は、各々第1給紙装置11、第2給紙装置12、第3給紙装置13によって給紙され、縦搬送ユニット14によって感光体15に当接する位置まで搬送される。読取りユニット50にて読み込まれた画像データは、書き込みユニット57からのレーザによって感光体15に書き込まれ、現像ユニット27を通過することによってトナー像が形成される。
【0018】
そして、転写紙は感光体15の回転と等速で搬送ベルト16によって搬送されながら、感光体15上のトナー像が転写される。その後、定着ユニット17にて画像を定着させ、排紙ユニット18によって後処理装置のフィニシャ100に排出される。
【0019】
後処理装置のフィニシャ100は、本体の排紙ローラ19によって搬送された転写紙を、通常排紙ローラ102方向と、ステープル処理部方向とに導く事ができる。切り替え板101を上に切り替える事により、搬送ローラ103を経由して通常排紙トレイ104側に排紙する事ができる。また、切り替え板101を下方向に切り替える事で、搬送ローラ105、107を経由して、ステープル台108に搬送する事ができる。
【0020】
ステープル台108に積載された転写紙は、一枚排紙されるごとに紙揃え用のジョガー109によって、紙端面が揃えられ、一部のコピー完了と共にステープラ106によって綴じられる。ステープラ106で綴じられた転写紙群は自重によって、ステープル完了排紙トレイ110に収納される。
【0021】
一方、通常の排紙トレイ104は前後に移動可能な排紙トレイである。前後に移動可能な排紙トレイ部104は、原稿毎、あるいは、画像メモリによってソーティングされたコピー部毎に、前後に移動し、簡易的に排出されてくるコピー紙を仕分けるものである。
【0022】
転写紙の両面に画像を作像する場合は、各給紙トレイ8〜10から給紙され作像された転写紙を排紙トレイ104側に導かないで、経路切り替えの為の分岐爪112を上側にセットする事で、一旦両面給紙ユニット111にストックする。
【0023】
その後、両面給紙ユニット111にストックされた転写紙は再び感光体15に作像されたトナー画像を転写するために、両面給紙ユニット111から再給紙され、経路切り替えの為の分岐爪112を下側にセットし、排紙トレイ104に導く。この様に転写紙の両面に画像を作成する場合に両面給紙ユニット111は使用される。
【0024】
感光体15、搬送ベルト16、定着ユニット17、排紙ユニット18、現像ユニット27はメインモータ25によって駆動され、各給紙装置11〜13はメインモータ25の駆動を各々給紙クラッチ22〜24によって伝達駆動される。縦搬送ユニット14はメインモータ25の駆動を中間クラッチ21によって伝達駆動される。
【0025】
画像読取り手段、および画像を記録面上に潜像形成するまでの動作を説明する。潜像とは感光体面上に画像を光情報に変換して照射することにより生じる電位分布である。
【0026】
読取りユニット50は、原稿を載置するコンタクトガラス6と光学走査系で構成されており、光学走査系には、露光ランプ51、第1ミラー52、レンズ53、CCDイメージセンサ54等々で構成されている。露光ランプ51及び第1ミラー52は図示しない第1キャリッジ上に固定され、第2ミラー55及び第3ミラー56は図示しない第1キャリッジ上に固定されている。原稿像を読み取るときには、光路長が変わらないように、第1キャリッジと第2キャリッジと、が2対1の相対速度で機械的に走査される。
【0027】
この光学走査系は、図示しないスキャナ駆動モータにて駆動される。原稿画像は、CCDイメージセンサ54によって読み取られ、電気信号に変換されて処理される。レンズ53及びCCDイメージセンサ54を図1において左右方向に移動させることにより、画像倍率が変わる。すなわち、指定された倍率に対応してレンズ53及びCCDイメージセンサ54の左右方向に位置が設定される。
【0028】
書き込みユニット57はレーザ出力ユニット58、結像レンズ59、ミラー60で構成され、レーザ出力ユニット58の内部には、レーザ光源であるレーザダイオード及びモータによって高速で定速回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)が備わっている。
【0029】
レーザ出力ユニット58より照射されるレーザ光は、定速回転するポリゴンミラーで偏光され、結像レンズ59を通り、ミラー60で折り返され、感光体面上に集光結像する。偏光されたレーザ光は感光体が回転する方向と直行する方向(主走査方向)に露光走査され、後述する画像処理部のセレクタ64より出力された画像信号のライン単位の記録を行う。感光体の回転速度と記録密度に対応した所定の周期で主走査を繰り返すことによって、感光体面上に画像(静電潜像)が形成される。
【0030】
上述のように、書き込みユニット57から出力されるレーザ光が、画像作像系の感光体15に照射される。図示しないが感光体15の一端近傍のレーザビームを照射される位置に、主走査同期信号を発生するビームセンサが配置されている。この主走査同期信号をもとに主走査方向の画像記録開始タイミングの制御、および後述する画像信号の入出力を行うための制御信号の生成を行う。
【0031】
図2は、操作部30を示した図である。
【0032】
操作部30は、液晶タッチパネル31、テンキー32、クリア/ストップキー33、プリントキー34、モードクリアキー35、割込みモードキー39、初期設定キー38を備える。液晶タッチパネル31は、機能キー37を備え、部数、及び画像形成装置の状態を示すメッセージなどが表示される。
【0033】
図3は、操作部30の液晶タッチパネル31の表示の一例を示した図である。
【0034】
オペレータが液晶タッチパネル31に表示されたキーにタッチする事で、選択された機能を示すキーが黒く反転する。また、機能の詳細を指定しなければならない場合(例えば変倍であれは変倍値等)は、キーにタッチする事で、詳細機能の設定画面が表示される。このように、液晶タッチパネルは、ドット表示器を使用している為、その時の最適な表示をグラフィカルに行う事が可能である。
【0035】
図3において左上は、「コピーできます」、「お待ちください」等のメッセージを表示するメッセージエリア310、その右は、セットした枚数を表示するコピー枚数表示部311、その下の画像濃度を自動的に調整する自動濃度キー312、原稿トレイを選択するトレイ選択キー313、転写紙を自動的に選択する自動用紙選択キー314、コピーを一部ずつページ順にそろえる処理を指定するソートキー315、コピーをページ毎に仕分けする処理を指定するスタックキー316、ソート処理されたものを一部ずつ綴じる処理を指定するステープルキー317、倍率を等倍にセットする等倍キー318、拡大/縮小倍率をセットする変倍キー319、両面モードを設定する両面キー320、コピーの集約を選択する集約キー321、デジタル複写機のネットワークを介して多量のプリント動作を複数に分けてプリントアウトする連結モードキー322である。図3に示す表示では選択されているモードはキーが網掛け表示されている。
【0036】
図4は、本実施形態の動作の流れを示したフローチャート図である。
【0037】
画像形成装置の電源を立ち上げた状態では、原稿トレイ2a、2bのいずれかが、選択された状態である。原稿トレイの選択は、液晶タッチパネル31のトレイ選択キーを用いて行うことができる。ここでは原稿トレイ2aが選択された(ステップS401)とすると、操作部30のキーを用いて動作条件の設定を行い(ステップS402)、プリントキー34を押す(ステップS403)ことで、原稿トレイ2aに原稿検知手段および用紙検知手段である原稿セット検知7aで原稿の有無を検知し(ステップS404)、原稿が無いと判断した(ステップS404、NO)場合には、液晶タッチパネル31の左上に、原稿が無いことを知らせるメッセージを表示(ステップS405)し、再度プリントキー34が押されるまで動作しない。
【0038】
原稿が有ると判断した場合(ステップS404、YES)には、ピックアップローラ19aにより原稿トレイ2a上の原稿が搬送され動作が開始される(ステップS406)。この動作中には原稿トレイ2bでの動作条件の設定を行うことができる。原稿トレイ2bに原稿が有るかを判断(ステップS407)し、原稿がない場合(ステップS407、NO)は、判断を繰り返す。原稿トレイ2bに原稿を載置すると(ステップS407、YES)、液晶タッチパネル31の左上に、「印刷中」と原稿トレイ2bの設定可能な旨の表示がされる。
【0039】
操作部30のキーを用いて動作条件の設定を行い(ステップS408)、プリントキー34を押す(ステップS409)と、設定した動作条件が記憶され(ステップS410)、原稿トレイ2aに原稿が有るかを判断(ステップS411)し、原稿が有る場合(ステップS411、YES)は判断を繰り返す。原稿トレイ2aの原稿が無くなったことを原稿セット検知7aで検知すると(ステップS411、NO)、記憶された原稿トレイ2bの動作条件に設定が切替り、ピックアップローラ19bにより原稿トレイ2b上の原稿が搬送され動作が開始される(ステップS412)。
【0040】
このように複数段の原稿トレイを有するADF(自動原稿送り装置)を備えることと、動作していない原稿トレイの設定を行え、設定や動作、搬送する原稿トレイを自動的に切替えることで、従来の動作終了後まで次の設定を待たなければならなかった無駄な時間を削減することができた。
【0041】
図5は、本実施形態の割込みモード動作の流れを示したフローチャート図である。図1〜3も参照して複数段の原稿トレイを有する画像形成装置における割込みモードに関する第1の実施形態を説明する。
【0042】
本実施形態における図1の画像形成装置において、原稿トレイ2aが選択され搬送・動作中である場合(ステップS501)に、原稿トレイ2bに原稿があるかを判断(ステップS502)し、原稿がない場合(ステップS502、NO)は、判断を繰り返す。原稿トレイ2bに原稿を載置すると(ステップS502、YES)、液晶タッチパネル31の左上に、「印刷中」と原稿トレイ2bの設定可能な旨の表示がされるので、操作部30のキーを用いて動作条件の設定を行い(ステップS503)、プリントキー34を押す(ステップS504)と、設定した動作条件が記憶される(ステップS505)。
【0043】
ここで図2に示す、割込みモードキー39を押すと(ステップS506)、割込みモードとなり、記憶された原稿トレイ2bの動作条件に設定が切替り、ピックアップローラ19bにより原稿トレイ2b上の原稿が搬送され動作が開始され、液晶タッチパネル31の左上に、「割込み印刷中」との表示(ステップS507)がされる。その後、原稿トレイ2bの原稿が無くなったかを判断(ステップS508)し、原稿がある場合(ステップS508、YES)は、判断を繰り返す。原稿トレイ2bの原稿が無くなったことを原稿セット検知7bで検知し(ステップS508、NO)、一連の動作が終了すると、割込み前の原稿トレイ2aの動作条件及び状態に設定が切替り(ステップS509)、プリントキー34が押されるのを待つ状態になる。プリントキーが押されたかを判断(ステップS510)し、押されていない場合は(ステップS510、NO)、判断を繰り返す。
【0044】
その後、プリントキー34が押されると(ステップS510、YES)、ピックアップローラ19aにより原稿トレイ2a上の原稿が搬送され割込みにより残っている動作が開始される(ステップS511)。以上のように、割込みモードに複数段の原稿トレイを有するADF(自動原稿送り装置)を用いることにより、割込みに関する設定時に現在の動作を止める必要がなくなることで、動作を止めてから設定をする時間を削減することができた。さらに、複数枚の割込みでも原稿をとりかえる必要がなくなり、これによりユーザの手間を省くことができ、使い勝手を向上することが可能となる。
【0045】
図6は、本実施形態の割込みモード動作の流れを示したフローチャート図である。次に、図1〜3も参照して複数段の原稿トレイを有する画像形成装置における割込みモードに関する第2の実施形態を説明する。
【0046】
本実施形態における図1の画像形成装置において、原稿トレイ2aが選択され搬送・動作中である場合(ステップS601)に、原稿トレイに2bに原稿があるかを判断(ステップS602)し、原稿がない場合(ステップS602、NO)は、判断を繰り返す。原稿トレイ2bに載置すると(ステップS602、YES)、液晶タッチパネル31の左上に、「印刷中」と原稿トレイ2bの設定可能な旨の表示がされるので、操作部30のキーを用いて動作条件の設定を行い(ステップS603)、プリントキー34を押す(ステップS604)と、設定した動作条件が記憶される(ステップS605)。
【0047】
ここで図2の割込みモードキー39を押す(ステップS606)と、割込みモードとなり、記憶された原稿トレイ2bの動作条件に設定が切替り、ピックアップローラ19bにより原稿トレイ2b上の原稿が搬送され動作が開始され、液晶タッチパネル31の左上に、「割込み印刷中」との表示がされる(ステップS607)。その後、原稿トレイ2bに原稿があるかを判断(ステップS608)し、原稿が有る場合(ステップS608、YES)は、判断を繰り返す。原稿トレイ2bの原稿が無くなったことを原稿セット検知7bで検知し(ステップS608、NO)、一連の動作が終了すると、割込み前の原稿トレイ2aの動作条件及び状態に設定が切替り、ピックアップローラ19aにより原稿トレイ2a上の原稿が搬送され割込みにより残っている動作が開始される(ステップS609)。
【0048】
割込みモードの動作終了時に、割込み動作前の設定に自動的に切替わって動作することにより、割込みモードから割込み前の動作への復帰に人が介在せずに済むことから、動作時間の短縮と、ユーザの手間を省き、使い勝手が向上することが可能となる。
【0049】
また本発明の画像形成装置は、装置の動作中に操作手段からの割込み指示に基づいて割込み動作を行う割込み手段を、有し、割込み手段は、割込み動作指示があった場合に原稿検知手段と用紙検知手段とで検知した原稿トレイごとの原稿と用紙の搬送状態とに基づいて、自動原稿給紙手段で使用していない原稿トレイを指定して、割込み動作開始を指示し、原稿の給紙を指定された原稿トレイに切り替えて設定された動作指示に従った割込み動作を行い、割込み動作が終了した場合に、割込み動作前の原稿トレイと動作指示による設定に復帰して動作するようにしても良い。
【0050】
また本発明の画像形成方法は、装置の動作中に操作工程からの割込み指示に基づいて割込み動作を行う割込み工程を、有し、割込み工程は、割込み動作指示があった場合に原稿検知工程と用紙検知工程とで検知した原稿トレイごとの原稿と用紙の搬送状態とに基づいて、自動原稿給紙工程で使用していない原稿トレイを指定して、割込み動作開始を指示し、原稿の給紙を指定された原稿トレイに切り替えて設定された動作指示に従った割込み動作を行い、割込み動作が終了した場合に、割込み動作前の原稿トレイと動作指示による設定に復帰して動作する工程を有するようにしても良い。
【0051】
また本発明のプログラムは、装置の動作中に操作処理からの割込み指示に基づいて割込み動作を行う割込み処理を、有し、割込み処理は、割込み動作指示があった場合に原稿検知処理と用紙検知処理とで検知した原稿トレイごとの原稿と用紙の搬送状態とに基づいて、自動原稿給紙処理で使用していない原稿トレイを指定して、割込み動作開始を指示し、原稿の給紙を指定された原稿トレイに切り替えて設定された動作指示に従った割込み動作を行い、割込み動作が終了した場合に、割込み動作前の原稿トレイと動作指示による設定に復帰して動作する処理をコンピュータに実行させるようにしても良い。
【0052】
また本発明の自動原稿給紙手段を備えた画像形成装置においては、複数枚の原稿を載置し、原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイと、前記複数段の原稿トレイの搬送を制御する搬送手段を備えた自動原稿給紙手段を備え、利用者の操作を受ける操作手段により、前記原稿トレイの選択と画像形成装置の動作に関する設定が行え、さらに動作中に、他の原稿トレイを用いた画像形成装置の動作に関する設定が行え、動作に使用中の原稿トレイの原稿検知手段および用紙検知手段で原稿が無くなったと判断すると、自動的に使用する原稿トレイと、先に設定した画像形成装置の動作に関する設定を切替えて動作させるので、設定が待つことなく行えるとともに、異なる設定の動作を連続的に行うことができるようにしても良い。
【0053】
また本発明は、操作手段から、利用者の操作により指示される割込みモードにおいては、原稿検知手段および用紙検知手段で検知した原稿トレイごとの原稿および用紙の搬送状態に応じて、自動原稿給紙手段の搬送中以外の原稿トレイを操作手段により、あるいは自動的に指定し、操作手段により設定を行い割込み動作開始を指示することにより、設定と原稿トレイが搬送中の原稿トレイから割込みの指定をした原稿トレイに切替ることで、割込み動作を行うので、割込み動作開始を指示するまで、割込みモードの設定時に現在搬送中の原稿トレイの動作を止める必要がなく、割込みに関する設定と原稿の原稿トレイへ載置することができ、割込みモード開始までの無駄な時間を削減することができるとともに、割込みモードで実行できる動作モードの制限を大幅に減らすことができるようにしても良い。
【0054】
また本発明の自動原稿給紙手段を備えた画像形成装置においては、割込み動作を行っている原稿トレイに、原稿検知手段および用紙検知手段により原稿が無いと判断されると、自動的に割込み動作前の原稿トレイと動作に関する設定に切替えて動作するので、割込みモード終了から割込み前の動作へ戻るための操作を不要とすることができるようにしても良い。
【0055】
また本発明に係る画像形成装置は、複数枚の原稿を載置し、原稿を1枚ずつ給紙する原稿トレイを複数段有した自動原稿給紙手段を備えることと、動作に使用していない原稿トレイによる動作の設定を動作中にも行うことを可能にすることで、動作中の設定に囚われずに設定を行うことができるようにしても良い。
【0056】
また本発明は動作終了後まで次の動作設定を待たなくてよい、無駄な待ち時間や作業時間のない画像形成装置であっても良い。
【0057】
また本発明は割込みモードにおける画像形成装置の動作設定を容易にし、無駄な待ち時間や作業時間のない画像形成装置であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、スキャナ、ファクシミリ、複写機及び複合機などの画像形成装置の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 自動原稿搬送装置(ADF)
2 原稿トレイ
3 給送ローラ
4 給送ベルト
5 搬送ローラ
6 コンタクトガラス
7 原稿セット検知
8 第1トレイ
9 第2トレイ
10 第3トレイ
11 第1給紙ユニット
12 第2給紙ユニット
13 第3給紙ユニット
14 縦搬送ユニット
15 感光体
16 搬送ベルト
17 定着ユニット
18 排紙ユニット
19 ピックアップローラ
30 操作部
31 液晶タッチパネル
32 テンキー
33 クリア/ストップキー
34 プリントキー
35 モードクリアキー
37 機能キー
38 初期設定キー
39 割込みモードキー
50 読取りユニット
51 露光ランプ
52 第1ミラー
53 レンズ
54 CCDイメージセンサ
55 第2ミラー
56 第3ミラー
57 書込みユニット
58 レーザ出力ユニット
59 結像レンズ
60 ミラー
100 フィニシャ
101 分岐偏向板
102 スタッカ搬送ローラ
103 スタッカ排紙ローラ
104 スタッカ・トレイ
105 ステープラ搬送ローラ
106 ステープラ
107 ステープラ排紙ローラ
108 ステープル・トレイ
109 落下ストッパ
110 落下トレイ
111 両面給紙ユニット
112 分岐爪
310 メッセージエリア
311 コピー枚数表示部
312 自動濃度キー
313 トレイ選択キー
314 自動用紙選択キー
315 ソートキー
316 スタックキー
317 ステープルキー
318 等倍キー
319 変倍キー
320 両面キー
321 集約キー
322 連結モードキー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第3956921号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を動作させる動作指示を設定するために前記装置が動作中である場合でも利用者の操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段で受け付けられた前記装置の動作指示を記憶する記憶手段と、
前記装置の動作指示と前記装置の動作状態を表示する表示手段と、
複数枚の原稿を載置して前記原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイを備えた自動原稿給紙手段と、
前記自動原稿給紙手段の前記複数段の原稿トレイに前記原稿が有るか否かを検知する原稿検知手段と、
用紙を搬送する搬送手段と、
前記原稿トレイから搬送される前記用紙を検知する用紙検知手段と、
前記自動原稿給紙手段によって前記複数段の原稿トレイに載置された原稿の搬送を制御する搬送制御手段と、
前記原稿を読み取って画像データを取得する原稿読取り手段と、
前記原稿読取り手段によって取得した前記画像データを用紙に印刷する印刷手段と、
前記記憶手段に記憶された動作指示に基づいて前記装置の動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、動作中の前記自動原稿給紙手段に原稿が有るか否かを前記原稿検知手段と前記用紙検知手段とによって判断し、前記原稿が無くなった場合に使用する原稿トレイと前記記憶手段に記憶された動作指示に切り替えて前記装置を動作させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装置の動作中に操作手段からの割込み指示に基づいて割込み動作を行う割込み手段を、有し、
前記割込み手段は、割込み動作指示があった場合に前記原稿検知手段と前記用紙検知手段とで検知した原稿トレイごとの原稿と用紙の搬送状態とに基づいて、前記自動原稿給紙手段で使用していない原稿トレイを指定して、割込み動作開始を指示し、原稿の給紙を前記指定された原稿トレイに切り替えて設定された動作指示に従った割込み動作を行い、前記割込み動作が終了した場合に、前記割込み動作前の原稿トレイと動作指示による設定に復帰して動作することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置を動作させる動作指示を設定するために前記装置が動作中である場合でも利用者の操作を受け付ける操作工程と、
前記操作工程で受け付けられた前記装置の動作指示を記憶する記憶工程と、
前記装置の動作指示と前記装置の動作状態を表示する表示工程と、
複数枚の原稿を載置して前記原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイを備えた自動原稿給紙工程と、
前記自動原稿給紙工程の前記複数段の原稿トレイに前記原稿が有るか否かを検知する原稿検知工程と、
用紙を搬送する搬送工程と、
前記原稿トレイから搬送される前記用紙を検知する用紙検知工程と、
前記自動原稿給紙工程によって前記複数段の原稿トレイに載置された原稿の搬送を制御する搬送制御工程と、
前記原稿を読み取って画像データを取得する原稿読取り工程と、
前記原稿読取り工程によって取得した前記画像データを用紙に印刷する印刷工程と、
前記記憶工程に記憶された動作指示に基づいて前記装置の動作を制御する制御工程と、
を備え、
前記制御工程は、動作中の前記自動原稿給紙工程に原稿が有るか否かを前記原稿検知工程と前記用紙検知工程とによって判断し、前記原稿が無くなった場合に使用する原稿トレイと前記記憶工程に記憶された動作指示に切り替えて前記装置を動作させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】
前記装置の動作中に操作工程からの割込み指示に基づいて割込み動作を行う割込み工程を、有し、
前記割込み工程は、割込み動作指示があった場合に前記原稿検知工程と前記用紙検知工程とで検知した原稿トレイごとの原稿と用紙の搬送状態とに基づいて、前記自動原稿給紙工程で使用していない原稿トレイを指定して、割込み動作開始を指示し、原稿の給紙を前記指定された原稿トレイに切り替えて設定された動作指示に従った割込み動作を行い、前記割込み動作が終了した場合に、前記割込み動作前の原稿トレイと動作指示による設定に復帰して動作する工程を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
【請求項5】
装置を動作させる動作指示を設定するために前記装置が動作中である場合でも利用者の操作を受け付ける操作処理と、
前記操作処理で受け付けられた前記装置の動作指示を記憶する記憶処理と、
前記装置の動作指示と前記装置の動作状態を表示する表示処理と、
複数枚の原稿を載置して前記原稿を1枚ずつ給紙する複数段の原稿トレイを備えた自動原稿給紙処理と、
前記自動原稿給紙処理の前記複数段の原稿トレイに前記原稿が有るか否かを検知する原稿検知処理と、
用紙を搬送する搬送処理と、
前記原稿トレイから搬送される前記用紙を検知する用紙検知処理と、
前記自動原稿給紙処理によって前記複数段の原稿トレイに載置された原稿の搬送を制御する搬送制御処理と、
前記原稿を読み取って画像データを取得する原稿読取り処理と、
前記原稿読取り処理によって取得した前記画像データを用紙に印刷する印刷処理と、
動作中の前記自動原稿給紙処理に原稿が有るか否かを前記原稿検知処理と前記用紙検知処理とによって判断し、前記原稿が無くなった場合に使用する原稿トレイと前記記憶処理に記憶された動作指示に切り替えて前記装置を動作させる制御処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
前記装置の動作中に操作処理からの割込み指示に基づいて割込み動作を行う割込み処理を、有し、
前記割込み処理は、割込み動作指示があった場合に前記原稿検知処理と前記用紙検知処理とで検知した原稿トレイごとの原稿と用紙の搬送状態とに基づいて、前記自動原稿給紙処理で使用していない原稿トレイを指定して、割込み動作開始を指示し、原稿の給紙を前記指定された原稿トレイに切り替えて設定された動作指示に従った割込み動作を行い、前記割込み動作が終了した場合に、前記割込み動作前の原稿トレイと動作指示による設定に復帰して動作する処理をコンピュータに実行させるための請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−202343(P2010−202343A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49801(P2009−49801)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】