説明

画像形成装置

【課題】両面印刷や面付け印刷等の編集が加えられて用紙に印刷された原稿の画像を、不慣れな者でも容易に所望の体裁に編集し直して用紙に印刷させることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】クライアント端末14から制御ユニット10に入力されたデータ原稿の画像に関する印刷ジョブに含まれる、その画像の印刷設定(紙節約設定、標準文書設定)の内容を示すデータが、外部記憶装置93に記憶される。外部記憶装置93に記憶された印刷設定のデータは、その印刷設定を含む印刷ジョブの実行によってデータ原稿の画像が印刷された記録紙を、ADFユニットの原稿セットトレーや原稿載置ガラス台に紙原稿として載せて、他の記録紙に画像をコピー印刷する際の、紙原稿上における画像のレイアウト状態を示すデータとして利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナにセットした紙原稿から読み取った画像や外部から入力されたデータ原稿の画像を用紙に印刷するジョブを実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやプリンタ機能を有する複合機等の画像形成装置にて印刷物の印刷出力を行う場合は、用紙の節約を考えて、あるいは、印刷後に綴じや製本等の加工を行うために、両面印刷したり、複数頁を1枚に集約する面付け印刷を行うことがある(例えば、特許文献1,2)。
【0003】
このような両面印刷や面付け印刷した印刷物を複写して正式文書を作成する場合、正式文書の両面印刷や面付け印刷が社内規定で禁止されていれば、1枚の用紙に1頁ずつの片面印刷となるような設定で、印刷物の複写作業を行う必要がある。
【0004】
また、両面印刷した印刷物の画像を片面スキャン機能しかないファクシミリ機で遠隔地に送信する場合には、印刷物の両面の画像を漏れなく相手方に送信するために、印刷物の両面の画像を別々の用紙に片面印刷で複写し直さなければならない。
【0005】
さらに、面付け印刷の原稿をファクシミリで送信する場合、送信側又は受信側のファクシミリ機の解像度が低い場合には、面付けにより縮小された画像を元の大きさに拡大して、1枚の用紙に1つずつ画像を複写し直す必要が生じる。
【特許文献1】特開2002−103758号公報
【特許文献2】特開2006−302001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような事情に応じて両面印刷や面付け印刷した印刷物を複写する場合、所望の体裁の複写原稿を得るためには、印刷物の両面印刷や面付け印刷に関する具体的な内容を正確に把握し、かつ、その内容に応じて、適切な編集内容(画像分割数、面付け印刷における頁配列、用紙選択、用紙向き、倍率選択等)を設定しなければならない。
【0007】
このような編集内容の設定は、慣れた者でないと手間がかかり、その上、設定内容に一つでも誤りがあると所望の体裁の複写原稿を得ることができない。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、両面印刷や面付け印刷等の編集が加えられて用紙に印刷された原稿の画像を、不慣れな者でも容易に所望の体裁に編集し直すことができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した本発明の画像形成装置は、スキャナにセットした紙原稿から読み取った画像や外部から入力されたデータ原稿の画像を用紙に印刷する印刷ジョブを実行すると共に、前記データ原稿の画像を用紙に印刷する際の用紙上における画像のレイアウト設定を前記印刷ジョブが含んでいる場合に、該レイアウト設定の内容に応じて前記データ原稿の画像を編集して用紙に印刷する画像形成装置において、前記データ原稿の前記印刷ジョブに含まれる前記レイアウト設定の内容を示すデータを、原稿設定のデータとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記原稿設定のデータから、前記スキャナにセットした前記紙原稿における画像のレイアウト状態に対応する特定の原稿設定のデータを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記特定の原稿設定のデータが示す前記紙原稿における画像の前記レイアウト状態に基づいて、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像の編集内容を決定する決定手段と、前記選択手段により前記特定の原稿設定のデータが選択された場合に、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像を、前記決定手段により決定した前記編集内容で編集した編集画像を出力する編集画像出力手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載した本発明の画像形成装置によれば、外部から入力されたデータ原稿の印刷ジョブに含まれるレイアウト設定の内容に応じて、そのデータ原稿の画像が編集されて印刷実行手段により用紙に印刷されると、そのレイアウト設定によって指定された、画像の用紙上における印刷面や集約又は分割などのレイアウトの指定内容を示すデータが、原稿設定のデータとして記憶手段に記憶される。
【0011】
そして、記憶手段に記憶された用紙における画像のレイアウト設定のデータは、そのレイアウト設定によってデータ原稿の画像が印刷された用紙を紙原稿としてスキャナにセットしコピー印刷を行う際には、紙原稿上における画像のレイアウト状態を示すデータでもあることになる。
【0012】
このため、紙原稿としてスキャナにセットした用紙にデータ原稿の画像を印刷した際に記憶手段に記憶されたレイアウト設定のデータを、特定の原稿設定のデータとして選択手段により選択することで、スキャナにセットした紙原稿における画像の印刷面や集約又は分割等のレイアウト状態をユーザが自ら正確に把握して指定しなくても、用紙への印刷のためやペーパレスファクシミリ送信のための、紙原稿の画像をユーザの所望の体裁に編集し直した体裁の原稿データを、容易に得ることができる。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像を用紙に印刷する際の該用紙上における画像の前記レイアウト設定の内容を指定する指定手段をさらに備えており、前記決定手段がさらに、前記指定手段により指定された前記レイアウト設定の内容に基づいて、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像の編集内容を決定し、前記編集画像出力手段が、前記指定手段により前記レイアウト設定の内容が指定され、かつ、前記選択手段により前記特定の原稿設定のデータが選択された場合に、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像を、前記決定手段により決定した前記編集内容で編集した前記編集画像を用紙に印刷することを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1に記載した本発明の画像形成装置において、スキャナにセットした紙原稿の画像を用紙に印刷する際の用紙上における画像のレイアウト設定の内容を指定手段により指定すると、紙原稿の画像のレイアウト状態と印刷後の用紙上における画像のレイアウト設定とが定まることになる。
【0015】
したがって、決定手段が決定する紙原稿の画像の編集内容が、紙原稿の画像のレイアウト状態と印刷後の用紙上における画像のレイアウト設定とのそれぞれの内容によって、一義的に定まることになる。
【0016】
よって、ユーザが所望する印刷後の用紙上における画像のレイアウト設定を指定手段によりユーザが指定するだけで、ユーザの所望する体裁に編集し直したレイアウトで、紙原稿の画像を用紙上に容易に印刷させることができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載した本発明の画像形成装置は、請求項1又は2に記載した本発明の画像形成装置において、前記レイアウト設定を含む前記データ原稿の前記印刷ジョブが、該レイアウト設定の内容を示すデータを前記原稿設定のデータとして前記記憶手段に記憶させる必要があるか否かを指定する記憶要否設定をさらに含んでおり、前記データ原稿の前記印刷ジョブが、前記レイアウト設定の内容を示すデータを前記原稿設定のデータとして前記記憶手段に記憶させることが必要であると指定する前記記憶要否設定を含んでいる場合に、前記記憶手段が、前記データ原稿の前記印刷ジョブに含まれる前記レイアウト設定の内容を示すデータを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載した本発明の画像形成装置によれば、請求項1又は2に記載した本発明の画像形成装置において、データ原稿の印刷ジョブに含まれるレイアウト設定の内容を示すデータを原稿設定のデータとして記憶手段に記憶させることが不要であると指定する記憶要否設定を、その印刷ジョブが含んでいる場合には、その印刷ジョブに含まれるレイアウト設定の内容を示すデータは記憶手段に記憶されない。
【0019】
そのため、印刷面や集約又は分割等のレイアウト設定を指定してデータ原稿の画像を用紙上に印刷する場合であっても、同様の内容のレイアウト設定の内容を示す原稿設定のデータが既に記憶手段に記憶されている等の理由で、その印刷ジョブに含まれるレイアウト設定の内容を示すデータを記憶手段に記憶させる必要がない場合は、その旨を指定する記憶要否設定を印刷ジョブに含ませておくことにより、記憶手段の記憶領域が無駄に消費されてしまうのを防止できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スキャナにセットした紙原稿における画像の印刷面や集約又は分割等のレイアウト設定をユーザが自ら正確に把握して指定しなくても、用紙への印刷のためやペーパレスファクシミリ送信のための、紙原稿の画像をユーザの所望の体裁に編集し直した体裁の原稿データを、容易に得ることができる。これにより、両面印刷や面付け印刷等の編集が加えられて用紙に印刷された原稿の画像を、不慣れな者でも容易に所望の体裁に編集し直すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明による画像形成装置の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す説明図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、紙原稿M上の画像を読み取って画像信号を出力するスキャナ部101(請求項中のスキャナに相当)と、スキャナ部101から出力された画像信号に基づいて記録紙S(片面又は両面、請求項中の用紙に相当)に画像を印刷(記録)するプリンタ部102とを備えている。
【0024】
スキャナ部101は、紙原稿M上の画像を光電的に読み取り、原稿画像を構成する各画素のデジタル信号を出力するものである。このスキャナ部101は、原稿読取部101aと自動原稿供給装置(以下ADFまたはADFユニットとする)101bとを有している。
【0025】
原稿読取部101aでは、ADFユニット101bの原稿セットトレーにセットされた1又は複数枚の紙原稿Mや、原稿載置ガラス台(図示せず)に載せた紙原稿Mからの、画像の光学的な読み取りを行うことができる。スキャナ部101において紙原稿Mから読み取った画像は、プリンタ部102の後述するインクジェットヘッドユニット104によって、記録紙Sに印刷することができる。
【0026】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1は、後述する制御ユニット10(図3参照)を内蔵している。この制御ユニット10は、後述するクライアント端末14(図3参照)からのデータによる原稿(以下、「データ原稿」と称する。)の画像の印刷ジョブを受け取る。プリンタ部102は、制御ユニット10が受け取った印刷ジョブに基づいて、データ原稿の画像を記録紙S(片面又は両面)に印刷(記録)する動作も行う。
【0027】
制御ユニット10がクライアント端末14から受け取る印刷ジョブは、ポストスクリプトデータと印刷環境データとを含んでいる。制御ユニット10は、受け取った印刷ジョブのポストスクリプトデータによりデータ原稿の画像のラスタデータを生成し、プリンタ部102に設けた後述の制御基板103に出力する。
【0028】
さらに、本実施形態のインクジェット記録装置1は、図2に示すように、給紙部105からプリンタ部102を介して排紙部109に記録紙Sを搬送するためのベルト搬送部106、両面用ベルト搬送部107、両面用スタックトレー108、及び、搬送路112と、各種の入力設定及び情報表示を行うディスプレイ110とを備えている。
【0029】
図2に示すように、プリンタ部102は、制御基板103とインクジェットヘッドユニット104とを備えている。このプリンタ部102では、コントローラとしてインクジェット記録装置1に内蔵した制御ユニット10(図3参照)からデータ原稿の画像のラスタデータが入力されると、画像の印刷動作が行われる。また、プリンタ部102では、スキャナ部101において紙原稿Mから読み取った画像のラスタデータが入力された場合にも、画像の印刷動作が行われる。
【0030】
スキャナ部101において紙原稿Mから読み取った画像のラスタデータは、図3に示すように、制御ユニット10からプリンタ部102に入力される。また、データ原稿の画像のラスタデータは、例えば、制御ユニット10に接続された外部インターフェイス部11を介してクライアント端末14からの印刷ジョブを制御ユニット10が受け取ると、制御ユニット10からプリンタ部102に入力される。
【0031】
クライアント端末14は、PC(パーソナルコンピュータ)等によって構成されるものであり、外部インターフェイス部15を介して制御ユニット10の外部インターフェイス部11に接続されている。そして、クライアント端末14は、ROM17に格納された制御プログラムに基づいて各種の処理を実行するCPU16と、CPU16のワーキングエリアとして機能するRAM18と、キーボードやマウス等から構成される入力部19と、液晶ディスプレイ等から構成される出力部20とを備えている。
【0032】
CPU16には、上述した外部インターフェイス部15の他に、外部記憶装置21が接続されている。外部記憶装置21には、データ原稿の画像のデータを生成するためのアプリケーションプログラムの格納領域や、インクジェット記録装置1のプリンタドライバプログラムの格納領域等のデータベース領域が確保されている。
【0033】
CPU16は、アプリケーションプログラムの起動中にアプリケーションプログラム上で生成した画像の印刷要求が入力部19から入力されると、プリンタドライバプログラムを起動して、印刷対象の画像をデータ原稿とする印刷ジョブを生成する。そして、生成した印刷ジョブを外部インターフェイス部15から制御ユニット10の外部インターフェイス部11に出力する。制御ユニット10に出力する印刷ジョブは、ポストスクリプトデータと印刷環境データとを含んでいる。
【0034】
ポストスクリプトデータは、記録紙Sに印刷するデータ原稿の画像を構成する写真、図形や文字(記号を含む、以下同じ)のデータと、その属性のデータと、ページ内でのレイアウトのデータとを含んでいる。ポストスクリプトデータ中において、図形及び文字は、ベジェ曲線を利用したベクターデータ形式で表現される。属性データは、写真の解像度を示すモード(高精細モード、標準モード)のデータや、文字の印刷に用いるフォント、文字の大きさ、文字飾り等の設定内容を示すデータを含む。
【0035】
印刷環境データは、原稿画像の印刷環境に関する設定内容のデータを含む。この印刷環境データには、例えば、原稿画像の原稿サイズ、印刷サイズ(印刷倍率)、ページ数、印刷に使用する記録紙Sの種類、印刷する際の解像度を示すモード(高品質モード、通常品質モード)、及び、記録紙Sにおけるデータ原稿の画像のレイアウト設定の各内容を示すデータが含まれる。レイアウト設定においては、データ原稿の画像を印刷する記録紙Sの印刷面(両面印刷又は片面印刷)や、画像の集約又は分割(面付け印刷)の有無及びその内容等が指定される。
【0036】
図13は、プリンタドライバプログラムの起動中にクライアント端末14の出力部20に表示されるデータ原稿の印刷設定のプロパティ画面の一例を示す説明図である。このプロパティ画面には、CPU16が制御ユニット10に出力するデータ原稿の画像の印刷ジョブにデータが含まれている印刷設定の設定状態が表示される。表示される印刷設定の設定状態には、ポストスクリプトデータにおける属性データの設定状態や印刷環境データの設定状態が含まれる。
【0037】
まず、図13に示すプロパティ画面の上側の部分は、紙節約設定の領域である。ここでは、データ原稿の画像を紙節約形式で記録紙Sに印刷する際の、画像を印刷する記録紙Sの印刷面(片面又は両面)や面付け数、面付け数に応じた画像のページ順や変倍率を、紙節約設定の内容として設定する。本実施形態では、紙節約設定における面付け数を「4面」、ページ順を「左→右」、変倍率を「71%」、印刷面を「片面」とそれぞれ設定した場合について説明する。
【0038】
また、図13のプロパティ画面の上側の部分では、「簡単プリント設定」のオンオフの設定(請求項中の記憶要否設定に相当)も行う。「簡単プリント設定」をオンにすると、データ原稿の画像を記録紙Sに印刷させるための印刷ジョブをインクジェット記録装置1の制御ユニット10に出力した際に、その印刷ジョブに含まれる上記の紙節約設定(印刷面、面付け数、画像のページ順、変倍率)や、後述する標準文書設定(印刷面、面付け数)の各内容を示すデータが、制御ユニット10側で保存される。その詳細は後述する。
【0039】
図13に示すプロパティ画面の下側の部分は、標準文書設定の領域である。ここでは、データ原稿の画像を標準文書形式で記録紙Sに印刷する際の面付け数や印刷面を、標準文書設定の内容として設定する。本実施形態では、標準文書設定における面付け数を「1面」、印刷面を「片面」とそれぞれ設定した場合について説明する。
【0040】
上述した図13のプロパティ画面で設定した紙節約設定や標準文書設定、及び、「簡単プリント設定」のオンオフの各内容を示すデータは、データ原稿の画像に関する印刷ジョブの一部として、クライアント端末14からインクジェット記録装置1に出力される。
【0041】
図3のクライアント端末14では、出力部20に表示される不図示の印刷実行画面においてデータ原稿の画像の印刷を実行するボタンを操作すると、上述した図13のプロパティ画面で設定した紙節約設定や標準文書設定を含むデータ原稿の画像に関する印刷ジョブが生成されて、インクジェット記録装置1に出力される。この印刷ジョブには、上述した不図示の印刷実行画面において選択指定されたデータ原稿の画像の印刷形式(紙節約形式、又は、標準文書形式)の内容を示すデータも含まれる。
【0042】
以上の設定内容を印刷設定のデータとして含むデータ原稿の画像の印刷ジョブが、外部インターフェイス部11を介してクライアント端末14から入力される図3の制御ユニット10は、入力された印刷ジョブによるデータ原稿の画像をプリンタ部102において印刷する。
【0043】
すなわち、プリンタ部102は、図2に示すように、制御ユニット10に入力された印刷ジョブのポストスクリプトデータにしたがって制御基板103で生成したデータ原稿の画像のデジタル画像信号を用いて、給紙部105からベルト搬送部106により矢印b方向に搬送された記録紙Sに対して、インクジェットヘッドユニット104によってデータ原稿の画像を印刷する。
【0044】
このとき、印刷ジョブに含まれる印刷設定のデータが、データ原稿の画像の印刷形式を紙節約形式とする内容である場合は、印刷ジョブ中の紙節約設定の内容にしたがってデータ原稿の画像が記録紙Sに印刷される。また、印刷ジョブに含まれる印刷形式のデータが、データ原稿の画像の印刷形式を標準文書形式とする内容である場合は、印刷ジョブ中の標準文書設定の内容にしたがってデータ原稿の画像が記録紙Sに印刷される。
【0045】
また、プリンタ部102では、スキャナ部101において紙原稿Mから画像が読み取られた場合に、その読み取った画像のラスタデータにしたがって、紙原稿Mの画像の記録紙Sに対するコピー印刷が行われる。
【0046】
なお、データ原稿や紙原稿Mの画像を記録紙Sに片面印刷する場合は、記録紙Sがベルト搬送部106により排紙部109に搬送されて排紙される。一方、データ原稿や紙原稿Mの画像を記録紙Sに両面印刷する場合は、ベルト搬送部106と搬送路112と両面用ベルト搬送部107との連係によって、片面(例えば、おもて面)への印刷済みの記録紙Sが反転状態で矢印b方向から矢印c方向に連続して搬送され、両面用スタックトレー108に一旦排紙される。そして、再びベルト搬送部106によりインクジェットヘッドユニット104に記録紙Sが搬送されて、残る片面(例えば、うら面)にも画像が印刷される。両面印刷済みの記録紙Sは、片面印刷の場合と同様に、ベルト搬送部106により排紙部109に搬送されて排紙される。
【0047】
制御基板103においては、制御ユニット10から入力されたデータ原稿や紙原稿Mの画像の1枚分のラスタデータがデジタル画像信号の形で記憶され、そのデジタル画像信号に、RGB→CMYKへの変換等の所定の画像処理が施される。処理済デジタル画像信号は、インクジェットヘッドユニット104に対して出力される。
【0048】
上記のような処理が、先に説明した、給紙部105からインクジェットヘッドユニット104への記録紙Sの搬送に同期して行われる。これにより、各成分毎の処理済デジタル画像信号に基づいて、インクジェットヘッドユニット104の各色(CMYK)の記録ヘッドから、記録紙Sの搬送速度に同期させた所定のタイミングで各色のインクが吐出されて、記録紙Sに転写される。このようにして、データ原稿や紙原稿Mの画像が記録紙Sに印刷される。
【0049】
ディスプレイ110は、スキャナ部101と共にプリンタ部102の上部に配置されている。ディスプレイ110の画面にはタッチセンサ(図示せず)が貼着されている。このタッチセンサにより、ディスプレイ110に表示される各ボタンの押圧操作を検出することができる。
【0050】
上述したプリンタ部102に印刷動作を行わせるインクジェット記録装置1の制御ユニット10は、図3に示すように、CPU90を備える。このCPU90は、ROM91に格納されているプログラム及び設定情報に基づいて、ディスプレイ110から入力設定される内容に応じたスキャナ部101やプリンタ部102の動作を制御する。
【0051】
なお、制御ユニット10にはRAM92が設けられている。このRAM92には、プリンタ部102に行わせる印刷動作における印刷枚数や各種の設定内容が随時記憶される。例えば、クライアント端末14から印刷ジョブが入力された場合には、入力された印刷ジョブ中の印刷設定のデータがRAM92に記憶される。また、ディスプレイ110の後述する基本入力画面(図10参照)からコピー印刷の開始が入力された場合には、その基本入力画面において指定入力された(又はデフォルトの)印刷設定の内容を示すデータがRAM92に記憶される。
【0052】
また、RAM92にはフレームメモリ領域が設けられている。このフレームメモリ領域には、クライアント端末14から制御ユニット10に入力された印刷ジョブのポストスクリプトデータからCPU90が生成する、原稿画像のラスタデータが、プリンタ部102に出力されるまでの間、一時的に記憶される。
【0053】
さらに、CPU90には外部記憶装置93が接続されている。この外部記憶装置93には、クライアント端末14から入力された印刷ジョブ中に含まれる、データ原稿の画像に関する印刷設定(紙節約設定、標準文書設定)の内容を示すデータが記憶される。記憶された印刷設定のデータは、記録紙Sにコピー印刷する画像の紙原稿M上におけるレイアウト状態の選択候補として利用される。また、紙原稿Mの画像を記録紙Sにコピー印刷する際の記録紙S上におけるレイアウト設定の選択候補としても利用される。
【0054】
なお、印刷設定の内容を示すデータを外部記憶装置93に記憶する対象の印刷ジョブは、図13に示すクライアント端末14のプロパティ画面において「簡単プリント設定」をオンに設定したデータ原稿の画像に関する印刷ジョブに限られる。
【0055】
図10は、インクジェット記録装置1のディスプレイ110において表示される基本入力画面を示す説明図である。この基本入力画面には、「メイン」、「レイアウト」、「画像処理」、「登録設定/呼び出し」の各画面が存在する。上述した外部記憶装置93に紙原稿Mにおける画像のレイアウト状態が記憶されている場合には、基本入力画面の「登録設定/呼び出し」のタブをタッチ操作して「登録設定/呼び出し」画面をディスプレイ110に表示させると、「簡単プリント」のボタンが表示される。
【0056】
この「簡単プリント」のボタンをタッチ操作すると、図11に示すように、外部記憶装置93に記憶されている紙原稿Mのレイアウト設定のリストが、「登録設定/呼び出し」画面にオーバーラップしてディスプレイ110に表示される。このリストには、紙原稿Mのレイアウト状態の選択候補としてデータを記憶した印刷ジョブの印刷設定の内容が、印刷ジョブ名別に列挙されている。列挙された各印刷設定は、紙節約設定と標準文書設定との各内容を含んでいる。
【0057】
紙節約設定は、図13に示すクライアント端末14のプロパティ画面において、データ原稿の画像を紙節約形式で記録紙Sに印刷する際の印刷設定として設定した内容、つまり、面付け数、ページ順、変倍率、印刷面の各設定内容を含んでいる。また、標準文書設定は、クライアント端末14のプロパティ画面において、データ原稿の画像を標準文書形式で記録紙Sに印刷する際の印刷設定として設定した内容、つまり、面付け数や印刷面の各設定内容を含んでいる。
【0058】
図11のリストからは、画面上のスクロールボタンとカーソルキーのタッチ操作によって印刷ジョブ名を指定することで、紙原稿Mのレイアウト状態を示すデータとして利用するいずれか1つの印刷設定を選択することができる。1つの印刷設定を選択して画面上の確認ボタンをタッチ操作すると、図11のリストのオーバーラップ表示が終了し、図12に示すように、「登録設定/呼び出し」画面に「紙節約設定」ボタンと「標準文書設定」ボタンが表示される。
【0059】
「紙節約設定」ボタンをタッチ操作すると、図11のリストにおいて指定した印刷ジョブ名の印刷設定のうち、紙節約設定として記憶されている印刷設定の内容(印刷面、面付け数、画像のページ順や変倍率)が、これから記録紙Sにコピー印刷する画面の紙原稿M上におけるレイアウト状態(印刷面、面付け数、画像のページ順や変倍率)として利用される。「標準文書設定」ボタンをタッチ操作すると、図11のリストにおいて指定した印刷ジョブ名の印刷設定のうち、標準文書設定として記憶されている標準文書形式による印刷設定の内容(印刷面、面付け数)が、コピー印刷する画面の紙原稿Mにおけるレイアウト状態(印刷面、面付け数)として利用される。
【0060】
また、「紙節約設定」ボタンと「標準文書設定」ボタンのどちらがタッチ操作された場合にも、図11のリストにおいて指定した印刷ジョブ名の印刷設定のうち、標準文書設定として記憶されている標準文書形式による印刷設定の内容(印刷面、面付け数)は、紙原稿Mから記録紙Sにコピー印刷する画像の記録紙Sにおけるレイアウト設定(印刷面、面付け数)としても利用される。
【0061】
紙原稿M上における画像のレイアウト状態や記録紙Sにコピー印刷する画像のレイアウト設定として利用される、外部記憶装置93に記憶された印刷設定のデータは、紙原稿Mのコピー印刷が終了するまでの間、制御ユニット10のRAM92に記憶される。
【0062】
本実施形態のインクジェット記録装置1における以上のような動作は、制御ユニット10のCPU90がROM91に格納された制御プログラムを実行することで実現される。この制御プログラムを実行することでCPU90が行う処理の手順を、図4乃至図9のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
まず、インクジェット記録装置1の電源が投入された後、CPU90は、インクジェット記録装置1の電源が切断されるまでの間、印刷ジョブ割込要求確認処理、レイアウト設定割込要求確認処理、及び、コピー割込要求確認処理を、それぞれに個別に設定された適当な周期毎に、繰り返し実行する。
【0064】
このうち、印刷ジョブ割込要求確認処理では、図4に示すように、印刷ジョブが入力されたか否かを確認し(ステップS1a)、入力されていない場合は(ステップS1aでNO)、CPU90は、印刷ジョブ割込要求確認処理を終了する。一方、印刷ジョブが入力された場合は(ステップS1aでYES)、CPU90は、図7を参照して後述する印刷ジョブ実行処理を行った後(ステップS1b)、印刷ジョブ割込要求確認処理を終了する。
【0065】
また、レイアウト設定割込要求確認処理では、図5に示すように、図10に示すディスプレイ110の「登録設定/呼び出し」画面中の「簡単プリント」のボタンがタッチ操作されたか否かを確認し(ステップS3a)、タッチ操作されていない場合は(ステップS3aでNO)、CPU90は、レイアウト設定割込要求確認処理を終了する。一方、「簡単プリント」のボタンがタッチ操作された場合は(ステップS3aでYES)、CPU90は、図8を参照して後述するレイアウト設定処理を行った後(ステップS3b)、レイアウト設定割込要求確認処理を終了する。
【0066】
さらに、コピー割込要求確認処理では、図6に示すように、ディスプレイ110の基本入力画面中の不図示のコピーボタンがタッチ操作されたか否かを確認し(ステップS5a)、タッチ操作されていない場合は(ステップS5aでNO)、CPU90は、コピー割込要求確認処理を終了する。一方、コピーボタンがタッチ操作された場合は(ステップS5aでYES)、CPU90は、図9を参照して後述するコピー処理を行った後(ステップS5b)、コピー割込要求確認処理を終了する。
【0067】
そして、図4のステップS1bにおける印刷ジョブ実行処理で、CPU90は、図7に示すように、RAM92に記憶されたデータ原稿の画像のレイアウト設定にしたがって、データ原稿の画像の編集内容を決定する(ステップS11)。
【0068】
例えば、データ原稿の画像のレイアウト設定が紙節約設定(面付け数「4面」、ページ順「左→右」、変倍率「71%」、印刷面「片面」)である場合は、連続する4枚のデータ原稿の画像を1枚の記録紙Sの片面に縮小集約して印刷するための設定が、紙原稿Mの画像の編集内容として決定される。
【0069】
次に、CPU90は、記録紙Sに対するデータ原稿の画像の印刷を実行する(ステップS13)。この印刷では、クライアント端末14から入力された印刷ジョブによるデータ原稿の画像を、ステップS11で決定した編集内容にしたがって編集し、記録紙Sに対して印刷する。その後、CPU90は、ステップS15に処理を移行する。
【0070】
ステップS15では、CPU90は、クライアント端末14から入力された印刷ジョブ中の、「簡単プリント設定」のオンオフの内容を示すデータが、「簡単プリント設定」のオンを示すデータであるか否かを確認する。「簡単プリント設定」がオンでない場合は(ステップS15でNO)、CPU90は、印刷ジョブ実行処理を終了する。
【0071】
一方、「簡単プリント設定」がオンである場合は(ステップS15でYES)、クライアント端末14から入力された印刷ジョブ中に含まれる、データ原稿の画像の印刷設定(紙節約設定、標準文書設定)のデータを、紙原稿M上における画像のレイアウト状態や記録紙Sにコピー印刷する画像のレイアウト設定の選択候補として外部記憶装置93に記憶する(ステップS17)。その後、CPU90は、印刷ジョブ実行処理を終了する。
【0072】
次に、図5のステップS3bにおけるレイアウト設定処理で、CPU90は、図8に示すように、ディスプレイ110の「登録設定/呼び出し」画面において「簡単プリント」のボタン(図10参照)がタッチ操作されたか否かを確認する(ステップS31)。タッチ操作されていない場合は(ステップS31でNO)、CPU90は、レイアウト設定処理を終了する。
【0073】
一方、「簡単プリント」のボタンがタッチ操作された場合は(ステップS31でYES)、CPU90は、図11のリストの画面上において、紙原稿M上における画像のレイアウト状態として利用する印刷設定(の印刷ジョブ名)が選択されたか否かを確認する(ステップS33)。選択されていない場合は(ステップS33でNO)、CPU90は、選択されるまでステップS33をリピートする。選択された場合は(ステップS33でYES)、CPU90は、ディスプレイ110の「登録設定/呼び出し」画面において「紙節約設定」ボタン(図12参照)がタッチ操作されたか否かを確認する(ステップS35)。
【0074】
「紙節約設定」ボタンがタッチ操作された場合は(ステップS35でYES)、CPU90は、続くステップS37において、ステップS33で選択された印刷ジョブ名の印刷設定(請求項中の特定の原稿設定のデータに相当)のデータのうち、紙節約設定として記憶されている印刷設定の内容(印刷面、面付け数、画像のページ順や変倍率)を示すデータを、これから記録紙Sにコピー印刷する画像の紙原稿M上におけるレイアウト状態(印刷面、面付け数、画像のページ順や変倍率)のデータとして、RAM92に記憶させる。
【0075】
また、CPU90は、ステップS37において、ステップS33で選択された印刷ジョブ名の印刷設定のデータのうち、標準文書設定として記憶されている印刷設定の内容(印刷面、面付け数)を示すデータを、紙原稿Mからコピー印刷する画像の記録紙Sにおけるレイアウト設定(印刷面、面付け数)のデータとして、RAM92に記憶させる。その後、CPU90は、レイアウト設定処理を終了する。
【0076】
「紙節約設定」ボタンがタッチ操作されていない場合は(ステップS35でNO)、CPU90は、ディスプレイ110の「登録設定/呼び出し」画面において「標準文書設定」ボタン(図12参照)がタッチ操作されたか否かを確認する(ステップS39)。
【0077】
「標準文書設定」ボタンがタッチ操作された場合は(ステップS39でYES)、CPU90は、ステップS41において、ステップS33で選択された印刷ジョブ名の印刷設定のデータのうち、標準文書設定として記憶されている印刷設定の内容(印刷面、面付け数)を示すデータを、これから記録紙Sにコピー印刷する画像の紙原稿M上におけるレイアウト状態(印刷面、面付け数)、及び、紙原稿Mからコピー印刷する画像の記録紙Sにおけるレイアウト設定(印刷面、面付け数)のデータとして、RAM92に記憶させる。その後、CPU90は、レイアウト設定処理を終了する。
【0078】
「標準文書設定」ボタンがタッチ操作されていない場合は(ステップS39でNO)、CPU90は、ステップS35に処理を移行する。
【0079】
続いて、図6のステップS5bにおけるコピー処理で、CPU90は、図9に示すように、RAM92に記憶された、紙原稿M上における画像のレイアウト状態や記録紙Sにコピー印刷する画像のレイアウト設定にしたがって、紙原稿Mの画像の編集内容を決定する(ステップS51)。
【0080】
例えば、紙原稿M上における画像のレイアウト状態が、紙節約設定(面付け数「4面」、ページ順「左→右」、変倍率「71%」、印刷面「片面」)に対応するレイアウト状態であり、記録紙Sにおける画像のレイアウト設定が、標準文書設定(面付け数「1面」、印刷面「片面」)である場合は、1枚の紙原稿Mの片面に縮小集約印刷されている4つの画像を、4枚の記録紙Sの片面に拡大分割して印刷するための設定が、紙原稿Mの画像の編集内容として決定される。
【0081】
次に、CPU90は、記録紙Sに対する紙原稿Mの画像のコピー印刷を実行する(ステップS53)。このコピー印刷では、ADFユニット101bの原稿セットトレーにセットされた紙原稿M、又は、不図示の原稿載置ガラス台に載せた紙原稿Mから原稿読取部101aによって光学的に読み取った画像を、ステップS51で決定した編集内容にしたがって編集し、記録紙Sに対してコピー印刷する。なお、ADFユニット101bに複数枚の紙原稿Mがセットされている場合は、CPU90は、ADFユニット101bの紙原稿MがなくなるまでステップS53のコピー印刷を繰り返し実行する。その後、CPU90は、コピー処理を終了する。
【0082】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、図5のフローチャートにおけるステップS3b(図8のフローチャートにおけるステップS31乃至ステップS37)の処理を実行するCPU90と、図10乃至図12の画面を表示するディスプレイ110とによって、請求項中の選択手段が構成されている。
【0083】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、図9のフローチャートにおけるステップS51が、請求項中の決定手段に相当する処理となっており、図9中のステップS53が、請求項中の印刷実行手段に相当する処理となっている。
【0084】
さらに、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、図6のフローチャートにおけるステップS17の処理を実行するCPU90と、図8中のステップS35及びステップS37の処理を実行するCPU90と、制御ユニット10の外部記憶装置93とによって、請求項中の記憶手段が構成されている。また、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、図10乃至図12の画面を表示するディスプレイ110とによって、請求項中の指定手段が構成されている。
【0085】
上述した手順による処理をCPU90が実行する本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、クライアント端末14から制御ユニット10に入力されたデータ原稿の画像に関する印刷ジョブに含まれる、その画像の印刷設定(紙節約設定、標準文書設定)の内容を示すデータが、外部記憶装置93に記憶される。
【0086】
したがって、外部記憶装置93に記憶された印刷設定のデータは、その印刷設定を含む印刷ジョブの実行によってデータ原稿の画像が印刷された記録紙Sを、ADFユニット101bの原稿セットトレーや不図示の原稿載置ガラス台に紙原稿Mとして載せて、他の記録紙Sに画像をコピー印刷する際の、紙原稿M上における画像のレイアウト状態を示すデータとして利用できることになる。
【0087】
このため、紙原稿MとしてADFユニット101bの原稿セットトレーや不図示の原稿載置ガラス台に載せた記録紙Sにデータ原稿の画像を印刷した際に、外部記憶装置93に記憶された印刷設定のデータを、紙原稿M上における画像のレイアウト状態を示すデータとして選択することで、紙原稿Mにおける画像の印刷面や集約又は分割等のレイアウト状態をユーザが自ら正確に把握して指定しなくても、紙原稿Mの画像をユーザの所望の体裁に編集し直して記録紙Sに容易に印刷させることができる。
【0088】
ちなみに、例えば別々のユーザが、同じデータ原稿の画像を同じ印刷設定(紙節約設定、標準文書設定)で、別々のインクジェット記録装置1により印刷する場合、それぞれのインクジェット記録装置1の外部記憶装置93に、それぞれのクライアント端末14からそれぞれの制御ユニット10に入力された印刷ジョブ中の印刷設定の内容を示すデータが、同じ印刷ジョブ名で記憶されるように構成することもできる。
【0089】
そのように構成すれば、あるユーザが、普段使用しているインクジェット記録装置1とは異なる別のインクジェット記録装置1を用いて、紙原稿Mの画像を記録紙Sにコピー印刷する場合にも、普段使用しているインクジェット記録装置1と同じ操作感覚でコピー印刷することができる。見方を変えると、複数のインクジェット記録装置1において印刷設定を実質的に共有して利用することができることになる。
【0090】
なお、本実施形態では、紙原稿M上の画像を拡大分割して記録紙Sに片面印刷する場合について説明した。しかし、紙原稿M上の画像を拡大分割して記録紙Sに両面印刷する場合にも本発明は適用可能である。
【0091】
そして、紙原稿M上の画像を拡大分割して記録紙Sに両面印刷する場合には、これから記録紙Sにコピー印刷する画像の紙原稿M上におけるレイアウト状態として、紙節約設定については印刷面、面付け数、画像のページ順、及び、変倍率の4つに加えて、また、標準文書設定に両面印刷する場合には、印刷面及び面付け数の2つに加えて、それぞれ綴じ「左右開き」を、外部記憶装置93に記憶しておく内容とすればよい。
【0092】
さらに、本実施形態では、外部記憶装置93に記憶された印刷設定(標準文書設定)のデータを、紙原稿Mの画像を記録紙Sにコピー印刷する際の記録紙S上におけるレイアウト設定の選択候補として利用する構成を、例に取って説明した。
【0093】
そのような構成は省略することもできるが、本実施形態のようにこの構成を設ければ、紙原稿Mの画像をどのように編集して記録紙Sにコピー印刷するかを決定する際に、記録紙Sにおける画像のレイアウト設定をユーザが入力する必要がなくなる。そのため、所望の体裁で紙原稿Mの画像を記録紙Sに容易にコピー印刷することができる。
【0094】
また、本実施形態では、図13に示すクライアント端末14のプロパティ画面において「簡単プリント設定」をオンに設定したデータ原稿の画像に関する印刷ジョブが、制御ユニット10に入力された場合に限って、その印刷ジョブに含まれる印刷設定の内容を示すデータを外部記憶装置93に記憶する構成とした。
【0095】
そのような構成は、記憶させる印刷設定のデータで占有される外部記憶装置93の記憶領域を少なくする上で有効である。しかし、そのような構成を省略して、制御ユニット10に入力された全ての印刷ジョブについて、その印刷ジョブに含まれる印刷設定の内容を示すデータを外部記憶装置93に記憶する構成としてもよい。
【0096】
さらに、本実施形態では、ADFユニット101bの原稿セットトレーや不図示の原稿載置ガラス台に載せた紙原稿Mを新たな記録紙Sにコピー印刷する場合について説明した。しかし、ADFユニット101bの原稿セットトレーや不図示の原稿載置ガラス台に載せた紙原稿Mの画像をスキャナ部101で読み取って、拡大分割してファクシミリ送信する場合等にも、本発明は適用可能である。
【0097】
また、上述した実施形態やその変形例では、インクジェットヘッドユニット104によるインクジェット方式で原稿画像の印刷を行う画像形成装置(インクジェット記録装置1)を例に取って説明した。しかし、本発明は、データ原稿や紙原稿Mの画像の印刷を、電子写真方式等のインクジェット方式以外の方式によって印刷する画像形成装置についても、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による画像形成装置の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置のうちプリンタ部の概略構成を示す説明図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】図3のインクジェット記録装置に内蔵した制御ユニットのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図3のインクジェット記録装置に内蔵した制御ユニットのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図3のインクジェット記録装置に内蔵した制御ユニットのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図3のインクジェット記録装置に内蔵した制御ユニットのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図3のインクジェット記録装置に内蔵した制御ユニットのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図3のインクジェット記録装置に内蔵した制御ユニットのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図1のインクジェット記録装置のディスプレイにおいて表示される基本入力画面を示す説明図である。
【図11】図1のインクジェット記録装置のディスプレイにおいて表示されるレイアウト設定のリストを示す説明図である。
【図12】図1のインクジェット記録装置のディスプレイにおいて表示される基本入力画面を示す説明図である。
【図13】図3のクライアント端末の出力部において表示されるデータ原稿の画像のプロパティ画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 インクジェット記録装置(画像形成装置)
10 制御ユニット
11 外部インターフェイス部
14 クライアント端末
15 外部インターフェイス部
16 CPU
17 ROM
18 RAM
19 入力部
20 出力部
21 外部記憶装置
90 CPU(選択手段、決定手段、印刷実行手段、記憶手段、指定手段)
91 ROM
92 RAM
93 外部記憶装置(記憶手段)
101 スキャナ部
101a 原稿読取部
101b 自動原稿供給装置(ADFユニット)
102 プリンタ部
103 制御基板
104 インクジェットヘッドユニット
105 給紙部
106 ベルト搬送部
107 両面用ベルト搬送部
108 両面用スタックトレー
109 排紙部
110 ディスプレイ(選択手段、指定手段)
112 搬送路
M 紙原稿
S 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナにセットした紙原稿から読み取った画像や外部から入力されたデータ原稿の画像を用紙に印刷する印刷ジョブを実行すると共に、前記データ原稿の画像を用紙に印刷する際の用紙上における画像のレイアウト設定を前記印刷ジョブが含んでいる場合に、該レイアウト設定の内容に応じて前記データ原稿の画像を編集して用紙に印刷する画像形成装置において、
前記データ原稿の前記印刷ジョブに含まれる前記レイアウト設定の内容を示すデータを、原稿設定のデータとして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記原稿設定のデータから、前記スキャナにセットした前記紙原稿における画像のレイアウト状態に対応する特定の原稿設定のデータを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記特定の原稿設定のデータが示す前記紙原稿における画像の前記レイアウト状態に基づいて、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像の編集内容を決定する決定手段と、
前記選択手段により前記特定の原稿設定のデータが選択された場合に、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像を、前記決定手段により決定した前記編集内容で編集した編集画像を出力する編集画像出力手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像を用紙に印刷する際の該用紙上における画像の前記レイアウト設定の内容を指定する指定手段をさらに備えており、前記決定手段はさらに、前記指定手段により指定された前記レイアウト設定の内容に基づいて、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像の編集内容を決定し、前記編集画像出力手段は、前記指定手段により前記レイアウト設定の内容が指定され、かつ、前記選択手段により前記特定の原稿設定のデータが選択された場合に、前記スキャナにセットした前記紙原稿の画像を、前記決定手段により決定した前記編集内容で編集した前記編集画像を用紙に印刷することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記レイアウト設定を含む前記データ原稿の前記印刷ジョブは、該レイアウト設定の内容を示すデータを前記原稿設定のデータとして前記記憶手段に記憶させる必要があるか否かを指定する記憶要否設定をさらに含んでおり、前記データ原稿の前記印刷ジョブが、前記レイアウト設定の内容を示すデータを前記原稿設定のデータとして前記記憶手段に記憶させることが必要であると指定する前記記憶要否設定を含んでいる場合に、前記記憶手段は、前記データ原稿の前記印刷ジョブに含まれる前記レイアウト設定の内容を示すデータを前記記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−68243(P2010−68243A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232595(P2008−232595)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】