画像形成装置
【課題】黒画像形成時からカラー画像形成時への切替え時間を最小限にすることで、ユーザーの待ち時間の少ない画像形成装置を提供する。
【解決手段】黒色作像手段3で形成された黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部8を、カラー作像手段4,5,6で形成されて中間転写体上に転写された複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部9よりも記録材移動方向の下流に配置し、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部9までの中間転写体の長さをL1、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL2、カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置したレジストローラ12からカラー転写部9までの記録材搬送距離をL3、記録材の移動方向への長さをL4としたとき、L1>L2+L3+L4・・・式1を満たす。
【解決手段】黒色作像手段3で形成された黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部8を、カラー作像手段4,5,6で形成されて中間転写体上に転写された複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部9よりも記録材移動方向の下流に配置し、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部9までの中間転写体の長さをL1、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL2、カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置したレジストローラ12からカラー転写部9までの記録材搬送距離をL3、記録材の移動方向への長さをL4としたとき、L1>L2+L3+L4・・・式1を満たす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー作像手段と黒色作像手段とが離間して配置された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写する転写部間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、黒色作像手段で作像された黒色のトナー像と中間転写体に転写された複数色のトナー像を転写材に転写する転写手段とを備え、カラー画像を形成可能な電子写真方式の画像形成装置が記載されている。
【0003】
この画像形成装置では、カラー画像を形成する場合には、各作像手段で形成された画像を転写する中間転写体を各作像手段と接触させる位置におき、黒色を画像形成するモード(以降「黒モード」と呼ぶ)場合には、黒以外の作像手段は黒モードで必要ないため、中間転写体を記録材搬送手段から離間させて停止状態としている。このような状態において、黒モードの後に、装置を停止させずに続けてカラー画像を形成するモード(以降カラーモードと呼ぶ)となると、停止中のイエロ、マゼンタ、シアンの3色のカラーの作像手段と中間転写体を接離動作する手段を起動させて、前の黒モードでの記録材が記録材に転写されてから中間転写体を記録材搬送手段に当接させる。そして、中間転写体の当接動作が終了し、この当接に伴う振動が充分減衰してからイエロ、マゼンタ、シアンの作像手段で作像動作を開始し、中間転写体上に各色のトナー像を形成させて記録材および黒色作像手段と同期させて画像を形成させていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置の構成では、中間転写体の当接の際に発生する装置の振動が充分に減衰する前に作像動作を開始させてしまうと、この振動によって画像上に横の縞模様(以降バンディングと呼ぶ)が発生してしまう。このため、バンディングを発生させないために、黒モードからカラーモードに切り替える際に所定の時間、例えば2〜3秒の時間を要して切り替え動作を行っており、生産性を向上させる上でのネックとなっている。この黒モードからカラーモードに切り替える際に素早く切り替えられないのは、黒色作像手段から記録材への転写部が、中間転写体から記録材への転写部よりも転写材搬送方向の上流に配置されているためである。更に、黒色およびカラーの作像手段と中転転写体が無駄に作動するために、これらの寿命を短くしてしまう。
【0005】
画像形成装置を使用するユーザー側からすると、黒モードからカラーモードに変わるモードで画像形成する度に、無駄な時間と作像手段の寿命を早めてしまうため、無駄なコストを使うことになる。また、記録材をレジストローラから搬送開始した後に、記録材搬送手段と中間転写体とを当接させると、当接した衝撃で記録材搬送手段によって搬送される記録材が記録材搬送手段から剥がれてしまい、記録材が正しく搬送されないことが発生することが懸念される。このような現象が発生すると、記録材の紙つまりや異常画像の発生要因となる。
【0006】
本発明では、黒画像形成時からカラー画像形成時への切替え時間を最小限にすることで、作像手段や中転転写体あるいは中間転写体と接離する記録材搬送手段の耐久性の向上を図って、ユーザーの無駄な時間とコストを抑制可能な画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる画像形成装置は、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され給紙部から給紙された記録材をカラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、黒色転写部がカラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、黒色作像手段による黒画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態であり、カラー作像手段によるカラー画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが当接するものであって、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部までの中間転写体の長さをL1、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL2、レジストローラからカラー転写部までの記録材搬送距離をL3、記録材の移動方向への長さをL4としたとき、L1>L2+L3+L4・・・式1を満たすことを特徴としている。
【0008】
本発明にかかる画像形成装置において、L1からL4の関係が、L2+L4<L1<L2+L3+L4・・・式2を満たすとともに、黒画像形成後にカラー画像形成に切り替えるときに、この切り替え動作が終了する前に、レジストローラを作動して記録材を送り出すことを特徴としている。
【0009】
本発明にかかる画像形成装置において、黒画像形成時のレジストローラからカラー転写部までの距離をL3'としたとき、L3'=L3であることを特徴としている。
【0010】
本発明にかかる画像形成装置において、中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴としている。
【0011】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、緩衝手段は、複数のローラのうち、中間転写体と対向する位置に配置されたローラに設けたダンパーであることを特徴としている。
【0012】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて前記中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、緩衝手段は、複数のローラのうち、中間転写体と対向する位置に配置され、弾性変形可能なローラで構成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明にかかる画像形成装置は、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部から給紙された記録材をカラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、黒色転写部がカラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、黒色作像手段による黒画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態であり、カラー作像手段によるカラー画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが当接するものであって、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部までの中間転写体の長さをL1、記録材の移動方向への長さをL2、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL3、レジストローラからカラー転写部までの記録材搬送距離をL4としたとき、L3+L4<L1<L2+L3+L4・・・式3を満たし、かつ、中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、この切替動作が終了する前にレジストローラを駆動して記録材を送り始めるとともに、中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴としている。
【0014】
本発明にかかる画像形成装置において、中間転写体を支持し、記録材搬送手段と対向するローラを有し、緩衝手段は、このローラに設けたダンパーであることを特徴としている。
【0015】
本発明にかかる画像形成装置において、緩衝手段は、中間転写体を支持し、記録材搬送手段と対向するローラで構成されていることを特徴としている。
【0016】
本発明にかかる画像形成装置において、緩衝手段を構成するローラは、その表層が弾性層からなり、当該弾性層で衝撃を吸収することを特徴としている。
【0017】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、記録材搬送手段が接触位置を占めたときの搬送ベルトとレジストローラからカラー転写部へ向かう記録材搬送経路とが成す角度が鋭角に設定されていることを特徴としている。
【0018】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、記録材転写手段の当接動作時のローラの移動速度を、当接開始と終了近傍時はほぼ0であり、当接開始から滑らかに速度を増し終了時に向けて滑らかに減速するように制御する制御部を有することを特徴としている。
【0019】
本発明にかかる画像形成装置において、ローラを接離動作するカム部材を有し、制御部は、カム部材の形状で制御されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部までの中間転写体の長さをL1、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL2、レジストローラからカラー転写部までの記録材搬送距離をL3、記録材の移動方向への長さをL4としたとき、L1>L2+L3+L4・・・式1を満たすように設定することで、記録材搬送手段と中間転写体とが接触して振動が発生している時点では、イエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像の中間転写体への転写は終了しているので、バンディングは発生しない。また、黒トナーが記録材に転写され、記録材搬送手段と中間転写体とが接触されてからカラー画像を作像させるよりも切替え時間が短くて済む。このため、カラー作像手段や中間転写体の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写体の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一構成例と、記録材搬送手段と中間転写体の接触状態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置において、記録材搬送手段と中間転写体との離間状態を示す概略図である。
【図3】記録材搬送手段と中間転写体との問題点を説明するための概念図である。
【図4】記録材搬送手段と中間転写体とが接離する際の問題点を説明するための概念図である。
【図5】記録材搬送手段に緩衝手段を設けた構成を示す拡大図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の別な構成例と、記録材搬送手段と中間転写体の接触状態を示す概略図である。
【図7】中間転写体を支持するローラを緩衝手段とした構成を示す拡大図である。
【図8】緩衝手段として弾性層を備えたローラの構成を示す拡大図である。
【図9】搬送ベルトとレジストローラからカラー転写部へ向かう記録材搬送経路とが成す角度が鋭角に設定された構成を示す拡大図である。
【図10】記録材搬送手段の接触方向への移動速度を制御する形態を示す拡大図である。
【図11】記録材搬送手段の接離動作における移動速度の特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明にかかる画像形成装置としてのフルカラー印刷と単色印刷可能な複写機1である。画像形成装置としては、複写機に限定されるものではなく、カラーファクシミリ、カラープリンター、あるいはこれらの複合機であっても良い。
【0023】
複写機1は、画像形成装置本体2内に、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段3と、黒色作像手段3で作像される色以外の複数色となるイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段4,5,6と、カラー作像手段4,5,6で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体となる中間転写ベルト7、黒色作像手段3上の黒色のトナー像を転写材Pに転写する黒色転写部8と中間転写ベルト7体上の複数色のトナー像を転写材Pに一括転写するカラー転写部9の間にわたって転写材Pを静電的に吸着して搬送する転写材搬送手段10と、カラー転写部9よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部11から給紙された記録材Pをカラー転写部9に向かって送り出すレジストローラ12を備えている。黒色作像手段3の上方には定着装置15が配置され、定着装置15の上方には排紙部16が配置されている。排紙部16の上方には原稿読取部17が配設されている。
【0024】
中間転写ベルト7は、複数のローラ13,14に巻き掛けられていて、何れかのローラが図示しない駆動モータによって回転駆動されることで、図1において反時計周りに回転移動する。
【0025】
カラー作像手段4,5,6は、中間転写ベルト7の上方に、ベルト回転方向の上流側からカラー作像手段4,5,6の順番で並設されている。このため、本形態では、カラー作像手段6が最下流のカラー作像手段となる。カラー作像手段4よりもベルト回転方向の上流側には、ベルトクリーニング手段18が配置されている。カラー作像手段4,5,6は上方には、光書き込み部20が配置されている。
【0026】
カラー作像手段4,5,6は、像担持体となるドラム状の感光体と、これら感光体の外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットと、各感光体に形成された画像を1次転写部材4a,5a,6aで中間転写する中間転写ベルト7が配置されている。1次転写部材4a,5a,6aは、一時転写ローラであって中間転写ベルト7を介して各感光体の表面に接触していて、中間転写ベルト7と各感光体との間に転写ニップN1,N2,N3を形成している。カラー作像手段4,5,6の感光体は図1において、時計回りに回転する。
【0027】
黒色作像手段3もカラー作像手段4,5,6同様、ドラム状の感光体と、感光体の外周に沿って帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットが配設されている。黒色作像手段3の感光体は図1において、反時計回りに回転する。これら各作像手段の感光体の表面には、光書き込み部20から各感光体に対応する色毎の画像を書き込むレーザー光がそれぞれ照射される。
【0028】
記録材搬送手段10は、複数のローラ21〜25と、これらローラ21〜25に巻き掛けられた搬送ベルト26を備えていて、何れかのローラが図示しない駆動モータによって回転駆動されることで、搬送ベルト26が図1において時計周りに回転移動する。記録材搬送手段10は、黒色作像手段3と中間転写ベルト7と対向するように搬送ベルト26が配置されている。ローラ21〜25のうち、ローラ22は、黒色作像手段3の感光体と対向する位置に配置され、この位置で搬送ベルト26を介して黒色作像手段3の感光体に当接して黒色転写部8を形成している。ローラ22の下方に位置するローラ23は、中間転写ベルト7を介してローラ14と対向配置されていて、中間転写ベルト7を介してローラ14に当接することで、カラー転写部9を成形している。つまり、本形態では、黒色転写部8がカラー転写部9よりも記録材移動方向の下流に配置されている。ローラ23の下方に位置するローラ24には、中間転写ベルト7を介してコロ27が当接していて搬送手段を構成している。搬送ベルト26には、記録材Pを静電的にベルト表面に吸着するバイアスが印加されている。
【0029】
ローラ21〜25とコロ27は、図1に示すように、搬送ベルト26が中間転写ベルト7にローラ14の部分で当接する位置と、図2に示すように搬送ベルト26が中間転写ベルト7にローラ14の部分で離間する位置とへ接離可能な方向に揺動自在に支持されている。
【0030】
本形態において、黒色作像手段3による黒画像形成時は、中間転写ベルト7と記録材搬送手、すなわち搬送ベルト26とが離間状態であり、カラー作像手段4,5,6によるカラー画像形成時は、中間転写ベルト7と搬送ベルト26とが当接するように、揺動動作が行われる。
【0031】
このような構成の画像形成装置では、カラー画像形成時には各作像手段の感光体上に潜像が形成され、この潜像が現像ユニットから供給されるトナーによって現像されて各色のトナー画像が形成される。イエロ、マゼンタ、シアンのトナー画像が、1次転写部材4a,5a,6aによって中間転写ベルト7上に1次転写される。中間転写ベルト7上の3色のトナー画像は、搬送ベルト26が中間転写ベルト14と接触することで形成される2次転写部となるカラー転写部8において、レジストローラ12でタイミングを計られて送り出される転写材P上に一括転写される。このとは、搬送ベルト26は図1において時計周りに回転移動しているので、トナー画像が転写された転写材P1は、黒色のトナー画像の一次転写部となる黒色転写部8へと搬送ベルト26に吸着されて搬送される。そして黒色転写部8において黒色のトナー画像が転写されて定着装置15で圧熱定着により記録材に定着され、排紙部16へと排出される。
【0032】
中間転写ベルト7は、ベルトクリーニング手段18で2次転写しきれなかったトナーがクリーニングされる。記録材搬送手段10においても、記録材Pに転写しきれずに、搬送ベルト26に付着した黒色トナーをクリーニング手段28でクリーニングし表面をトナーが付着していない状態を維持する。これらの一連の動作を繰り返してカラー画像を形成する。
【0033】
一方、黒色画像形成時には、イエロ、マゼンタ、シアンの画像形成を行わないので、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7の動作は停止状態となるとともに、記録材搬送手段10は搬送ベルト26を中間転写ベルト14から離間した状態となり、黒色作像手段3が作動して、黒色トナー画像が搬送ベルト26によって搬送されてくる記録材P上に転写され、定着装置15で圧熱定着により記録材Pに定着され、排紙部16へと排出される。記録材搬送手段10では、記録材Pに転写しきれずに、搬送ベルト26に付着した黒色トナーをクリーニング手段28でクリーニングし表面をトナーが付着していない状態を維持する。これらの一連の動作を繰り返して黒色画像(モノクロ画像)を形成する。
(第1の実施形態)
次に、黒色画像形成からカラー画像形成に印刷モードが切り替わる動作に関して図1から図3を用いて説明する説明する。黒色画像を形成する黒モードで作像している状態で、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7を起動させる。起動させるタイミングは、少なくともカラー作像手段4,5,6の起動時間に加えて黒モードの記録材Pの後端が記録材搬送手段10を通過するより(L2+L3+L4)/感光体線速早いタイミングとする。L1>L2−L3+L4とすることで黒の作像動作と並行してイエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像を中間転写ベルト7上に転写する。カラー作像手段4,5,6の最終作像手段となるシアンのカラー作像手段6で作像が終了した時点で、搬送ベルト26の中間転写ベルト7への当接を開始する。当接に必要な時間L2/感光体線速後にレジストローラ12で待機していた記録材Pを、カラー転写部9に送り始める。そして、カラー転写部9でトナー画像と記録材Pとが同期して記録材P上にイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像が転写され、更に下流の黒色作像手段3で黒トナーが、既に3色のトナー画像が転写された記録材Pに転写さて4色のトナー像が完成する。
【0034】
ここで、従来では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7との離間状態から当接状態となったときに発生する振動が問題になっていたが、本形態では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触して振動が発生している時点では、イエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像の中間転写ベルト7への転写は終了しているので、バンディングは発生しない。記録材Pは定着装置15で圧熱定着により画像定着され、ハードプリントとなって排紙部16へと排出される。このため、従来のように、黒トナーが記録材Pに転写され、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触されてからカラー画像を作像させるよりも切替え時間が短くて済む。このため、カラー作像手段4,5,6や中間転写ベルト7の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写ベルト7の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、
プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
【0035】
このような効果を達成するには、カラー作像手段4,5,6のうち最下流位置のカラー作像手段6から中間転写ベルト7へ画像が転写される転写ニップN3の中心からカラー転写部9の中心までの中間転写ベルト7の長さをL1、記録材搬送手段10が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写ベルトが移動する距離をL2、レジストローラ12からカラー転写部9までの記録材搬送距離をL3、記録材Pの移動方向への長さをL4としたとき、
L1>L2+L3+L4・・・式1 を満たすことが前提となる。
(第2の実施形態)
本形態では、上記式1を満たすことを前提として、さらに上記L1〜L4の関係が、L2+L4<L1<L2+L3+L4・・・式2を満たすとともに、黒画像形成後にカラー画像形成に切り替えるときに、この切り替え動作が終了する前に、レジストローラ12を作動して記録材Pを送り出す。
【0036】
つまり、黒モードで作像している状態で、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7を起動させる。起動させるタイミングは、少なくともカラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7の起動時間に加えて、黒モードの記録材Pの後端が記録材搬送手段10を通過するより(L2+L4)/感光体線速早いタイミングとする。つまり、L2+L4<L1<L2+L3+L4とすることで黒色作像動作と並行してイエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像を中間転写ベルト7上に転写する作像する。カラー作像手段4,5,6の最終作像手段となるシアンのカラー作像手段6で作像が終了した時点で、レジストローラ12から中間転写ベルト7上のトナー像の位置と同期させて記録材Pの搬送を開始し、同時に中間転写ベル7に記録材搬送手段10を当接させる動作を開始する。これによりイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像がカラー転写部9で記録材Pに転写され、更に下流の黒色作像手段3で作像された黒トナーが、黒色転写部8で記録材Pに転写さて4色のトナー像が完成する。
【0037】
このような本形態では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触して振動が発生している時点では、カラーの作像が終了しているのでバンディングは発生しない。更に記録材Pを先に搬送開始するので切替え時間が短くて済む。4色のトナー画像が転写された記録材Pは定着装置15に搬送されて定着されてハードプリントとなって排出部16へと搬出される。この動作によって、従来のように黒トナーが記録材Pに転写され、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触してからカラー画像を作像するよりも、切替え時間が短くて済むのでユーザーの待ち時間が少なくなる。このため、カラー作像手段4,5,6や中間転写ベルト7の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写ベルト7の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
(第3の実施形態)
本形態では、第2の実施形態の条件(式2)を満たすことを前提として、黒画像形成時のレジストローラ12からカラー転写部9までの距離をL3'としたとき、L3'=L3としたことを特徴としている。
【0038】
このように、L3'=L3と設定しておくことで、カラー画像形成時でも黒画像形成状態で切り替え動作をしながら搬送ベルト26と中間転写ベルト7とを接触させても、レジストローラ12から記録材Pを送り始めるタイミングが同じで良いので画像の位置ずれが発生しなくなる。
(第4の実施形態)
本形態は、図5に示すように、中間転写ベルト7と記録材搬送手段10(搬送ベルト26)とが実線で示す離間状態から破線で示す当接状態に切り替わるときに、中間転写ベルト7と搬送ベルト26との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段30を有することを特徴としている。
【0039】
記録材Pが記録材搬送手段10を構成する搬送ベルト26に吸着された状態で、カラー転写部9に向けて搬送されている最中に、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触すると、その瞬間、搬送ベルト26に吸着していた記録材Pはその衝撃で図4に示すように、搬送ベルト26から剥がれてしまう。しかし、中間転写ベルト7と当接する際の衝撃を緩和させる緩衝手段30を備えていることで、当接する際の衝撃が緩和されるので記録材Pは搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pのずれ、つまり画像ずれなどの異常画像を抑制することができる。
【0040】
緩衝手段30の形態としては、搬送ベルト26を巻き掛けていて、中間転写ベルト14と対向する位置に配置されたローラ23に設けたダンパー31であっても良いし、このローラ23を弾性変形可能なローラで構成することで達成できる。
【0041】
緩衝手段30をローラ23に設けたダンパー31とすると、ダンパー31を装着するための余分なローラや機構を追加しなくてよいので、装置の小型化が可能となる。
【0042】
緩衝手段30を、ローラ23を弾性変形可能なローラとして構成すると、ローラ自体がカラー転写部9の転写部材と緩衝機能を兼ね備えることになるので、余分なローラやダンパー31を追加しなくて済むため、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
(第5の実施形態)
本形態は、図6に示す画像形成装置としての複写機1Aを用いて説明する。この複写機1Aの基本構成は、複写機1と同様であるので、同一機能を有する構成部材には、複写機1の説明で用いた符号を付し、詳細な説明は省略し、複写機1との相違点について説明する。
【0043】
図6に示す複写機1Aでは、カラー作像手段4,5,6のうち最下流位置のカラー作像手段6から中間転写ベルトへ画像が転写される転写ニップN3からカラー転写部9までの中間転写体の長さをL1、記録材Pの移動方向への長さをL2、記録材搬送手段10の搬送ベルト26が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写ベルト7が移動する距離をL3、レジストローラ12からカラー転写部9までの記録材搬送距離をL4としたとき、L3+L4<L1<L2+L3+L4・・・式3を満たすとともに、中間転写ベルト7と記録材搬送手段10の搬送ベルト26が離間状態から当接状態に切り替わるときに、この切替動作が終了する前にレジストローラ12を駆動して記録材Pを送り始めるとともに、中間転写ベルト7と記録材搬送手10の搬送ベルト26との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段40を備えている。
【0044】
図6において、黒モードで作像している状態で、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7を起動させる。起動させるタイミングは、少なくともカラー作像手段4,5,6の起動時間に加えて黒モードによるトナー画像が転写された記録材Pの後端が記録材搬送手段10を通過するより[(L3+L4)/中間転写ベルト線速]早いタイミングとする。そして、L3+L4<L1<L2+L3+L4とすることで、黒の作像動作と並行してイエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像を中間転写ベルト7上に転写して作像する。カラー作像手段4,5,6の最終作像手段となるシアンのカラー作像手段6で作像が終了した時点で、レジストローラ12から中間転写ベルト7上のトナー像の位置と同期させて記録材Pの搬送を開始し、同時に中間転写ベル7に記録材搬送手段10を当接させる動作を開始する。これによりイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像がカラー転写部9で記録材Pに転写され、更に下流の黒色作像手段3で作像された黒トナーが、黒色転写部8で記録材Pに転写さて4色のトナー像が完成する。
【0045】
このような本形態では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触して振動が発生している時点では、カラーの作像が終了しているのでバンディングは発生しない。更に記録材Pを先に搬送開始するので切替え時間が短くて済む。4色のトナー画像が転写された記録材Pは定着装置15に搬送されて定着されてハードプリントとなって排出部16へと搬出される。この動作によって、従来のように黒トナーが記録材Pに転写され、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触してからカラー画像を作像するよりも、切替え時間が短くて済むのでユーザーの待ち時間が少なくなる。このため、カラー作像手段4,5,6や中間転写ベルト7の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写ベルト7の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
【0046】
記録材Pが記録材搬送手段10を構成する搬送ベルト26に吸着された状態で、カラー転写部9に向けて搬送されている最中に、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触すると、その瞬間、搬送ベルト26に吸着していた記録材Pはその衝撃で(図4)に示すように、搬送ベルト26から剥がれてしまう。
【0047】
しかし、中間転写ベルト7と当接する際の衝撃を緩和させる緩衝手段40を備えていることで、当接する際の衝撃が緩和されるので記録材Pは搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pのずれ、つまり画像ずれなどの異常画像を抑制することができる。
【0048】
緩衝手段40の形態としては、図7に示すように、中間転写ベルト7を巻き掛けていて、搬送ベルト26と対向する位置に配置されたローラ14に設けたダンパー41であっても良いし、図8に示すように、ローラ14の表層を弾性層141で構成して弾性変形可能なローラとすることで達成できる。
【0049】
緩衝手段40をローラ14に設けたダンパー41とすると、ダンパー41を装着するための余分なローラや機構を追加しなくてよいので、装置の小型化が可能となる。
【0050】
緩衝手段40を、ローラ14を弾性変形可能なローラとして構成すると、ローラ自体がカラー転写部9の転写部材と緩衝機能を兼ね備えることになるので、余分なローラやダンパー41を追加しなくて済むため、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
(第6の実施形態)
本形態は、図9に示すように、記録材搬送手段10が、搬送ベルト26と中間転写ベルト7と接触する接触位置を占めたときの搬送ベルト26と、レジストローラ12からカラー転写部9に向かう記録材搬送経路50とで成す角度θが鋭角に設定されていることを特徴としている。
【0051】
このように、接触位置を占めたときの搬送ベルト26とレジストローラ12からカラー転写部9向かう記録材搬送経路50とで成す角度θが鋭角であると、記録材Pは記録材搬送手段10に記録材Pのコシで押し付けられるので、記録材搬送手段10の搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pつまりや画像ずれなどの異常画像を抑制できる。角度θが鈍角だと記録材Pがカラー転写部9と逆の方向に搬送されてしまい記録材Pつまりや画像ずれなどの異常画像を発生させてしまうため、このような角度設定は搬送ベルト26と記録材Pとの密着度を高められるため有効である。
(第7の実施形態)
本形態は、図10に示すように、記録材転写手10の当接動作での中間転写ベルト7と対向するローラ23の移動速度が、図11に示すように、当接開始と終了近傍時はほぼ0であり、当接開始から滑らかに速度を増し終了時に向けて滑らかに減速させる速度制御を行うように制御する制御部60を有することを特徴としている。
【0052】
このように中間転写ベルト7と当接する際のローラ23の移動速度を制御部60で制御すると、中間転写ベルト7と搬送ベルト26との衝撃が緩和される。このため、記録材Pが記録材搬送手段10の搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pつまりや画像ずれなどの異常画像を抑制できる。さらに緩衝に用いる余分なローラを追加したりダンパー40を追加しなくて済むので装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0053】
記録材搬送手段10の接離動作は、図10に示すように、ローラ23,24,25を回転自在に支持し、搬送ベルト26をローラ14と対向する部位において中間転写ベルト7に接触する方向と離間する方向に移動可能な可動部材61と、可動部材61に接触するカム部材62と、カム部材62を回転する駆動手段63と、可動部材61を搬送ベルト26が中間搬送ベルト7から離間する方向に付勢する付勢手段となる引っ張りばね64を備えた接離機能65によって達成される。
【0054】
そして、ローラ23の移動速度を制御する制御部60としては、カム部材62のカム形状で行うことにより、余分なローラを追加したりダンパー40を追加しなくて済むので装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A 画像形成装置
3 黒色作像手段
4,5,6 カラー作像手段
7 中間転写体
8 黒色転写部
9 カラー転写部
P 転写材
10 転写材搬送手段
11 給紙部
12 レジストローラ
13,14 中間転写体を支持するローラ
21〜25 記録材搬送手段のローラ
14,23 弾性変形可能なローラ
26 ベルト部材
30,40 緩衝手段
31,41 ダンパー
50 記録材搬送経路
60 制御部
62 カム部材
θ 搬送ベルトと記録材搬送経路とが成す角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開平10−055094号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー作像手段と黒色作像手段とが離間して配置された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写する転写部間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、黒色作像手段で作像された黒色のトナー像と中間転写体に転写された複数色のトナー像を転写材に転写する転写手段とを備え、カラー画像を形成可能な電子写真方式の画像形成装置が記載されている。
【0003】
この画像形成装置では、カラー画像を形成する場合には、各作像手段で形成された画像を転写する中間転写体を各作像手段と接触させる位置におき、黒色を画像形成するモード(以降「黒モード」と呼ぶ)場合には、黒以外の作像手段は黒モードで必要ないため、中間転写体を記録材搬送手段から離間させて停止状態としている。このような状態において、黒モードの後に、装置を停止させずに続けてカラー画像を形成するモード(以降カラーモードと呼ぶ)となると、停止中のイエロ、マゼンタ、シアンの3色のカラーの作像手段と中間転写体を接離動作する手段を起動させて、前の黒モードでの記録材が記録材に転写されてから中間転写体を記録材搬送手段に当接させる。そして、中間転写体の当接動作が終了し、この当接に伴う振動が充分減衰してからイエロ、マゼンタ、シアンの作像手段で作像動作を開始し、中間転写体上に各色のトナー像を形成させて記録材および黒色作像手段と同期させて画像を形成させていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置の構成では、中間転写体の当接の際に発生する装置の振動が充分に減衰する前に作像動作を開始させてしまうと、この振動によって画像上に横の縞模様(以降バンディングと呼ぶ)が発生してしまう。このため、バンディングを発生させないために、黒モードからカラーモードに切り替える際に所定の時間、例えば2〜3秒の時間を要して切り替え動作を行っており、生産性を向上させる上でのネックとなっている。この黒モードからカラーモードに切り替える際に素早く切り替えられないのは、黒色作像手段から記録材への転写部が、中間転写体から記録材への転写部よりも転写材搬送方向の上流に配置されているためである。更に、黒色およびカラーの作像手段と中転転写体が無駄に作動するために、これらの寿命を短くしてしまう。
【0005】
画像形成装置を使用するユーザー側からすると、黒モードからカラーモードに変わるモードで画像形成する度に、無駄な時間と作像手段の寿命を早めてしまうため、無駄なコストを使うことになる。また、記録材をレジストローラから搬送開始した後に、記録材搬送手段と中間転写体とを当接させると、当接した衝撃で記録材搬送手段によって搬送される記録材が記録材搬送手段から剥がれてしまい、記録材が正しく搬送されないことが発生することが懸念される。このような現象が発生すると、記録材の紙つまりや異常画像の発生要因となる。
【0006】
本発明では、黒画像形成時からカラー画像形成時への切替え時間を最小限にすることで、作像手段や中転転写体あるいは中間転写体と接離する記録材搬送手段の耐久性の向上を図って、ユーザーの無駄な時間とコストを抑制可能な画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる画像形成装置は、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され給紙部から給紙された記録材をカラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、黒色転写部がカラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、黒色作像手段による黒画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態であり、カラー作像手段によるカラー画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが当接するものであって、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部までの中間転写体の長さをL1、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL2、レジストローラからカラー転写部までの記録材搬送距離をL3、記録材の移動方向への長さをL4としたとき、L1>L2+L3+L4・・・式1を満たすことを特徴としている。
【0008】
本発明にかかる画像形成装置において、L1からL4の関係が、L2+L4<L1<L2+L3+L4・・・式2を満たすとともに、黒画像形成後にカラー画像形成に切り替えるときに、この切り替え動作が終了する前に、レジストローラを作動して記録材を送り出すことを特徴としている。
【0009】
本発明にかかる画像形成装置において、黒画像形成時のレジストローラからカラー転写部までの距離をL3'としたとき、L3'=L3であることを特徴としている。
【0010】
本発明にかかる画像形成装置において、中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴としている。
【0011】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、緩衝手段は、複数のローラのうち、中間転写体と対向する位置に配置されたローラに設けたダンパーであることを特徴としている。
【0012】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて前記中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、緩衝手段は、複数のローラのうち、中間転写体と対向する位置に配置され、弾性変形可能なローラで構成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明にかかる画像形成装置は、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部から給紙された記録材をカラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、黒色転写部がカラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、黒色作像手段による黒画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態であり、カラー作像手段によるカラー画像形成時は中間転写体と記録材搬送手段とが当接するものであって、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部までの中間転写体の長さをL1、記録材の移動方向への長さをL2、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL3、レジストローラからカラー転写部までの記録材搬送距離をL4としたとき、L3+L4<L1<L2+L3+L4・・・式3を満たし、かつ、中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、この切替動作が終了する前にレジストローラを駆動して記録材を送り始めるとともに、中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴としている。
【0014】
本発明にかかる画像形成装置において、中間転写体を支持し、記録材搬送手段と対向するローラを有し、緩衝手段は、このローラに設けたダンパーであることを特徴としている。
【0015】
本発明にかかる画像形成装置において、緩衝手段は、中間転写体を支持し、記録材搬送手段と対向するローラで構成されていることを特徴としている。
【0016】
本発明にかかる画像形成装置において、緩衝手段を構成するローラは、その表層が弾性層からなり、当該弾性層で衝撃を吸収することを特徴としている。
【0017】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、記録材搬送手段が接触位置を占めたときの搬送ベルトとレジストローラからカラー転写部へ向かう記録材搬送経路とが成す角度が鋭角に設定されていることを特徴としている。
【0018】
本発明にかかる画像形成装置において、記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、記録材転写手段の当接動作時のローラの移動速度を、当接開始と終了近傍時はほぼ0であり、当接開始から滑らかに速度を増し終了時に向けて滑らかに減速するように制御する制御部を有することを特徴としている。
【0019】
本発明にかかる画像形成装置において、ローラを接離動作するカム部材を有し、制御部は、カム部材の形状で制御されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から中間転写体へ画像が転写される転写ニップからカラー転写部までの中間転写体の長さをL1、記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写体が移動する距離をL2、レジストローラからカラー転写部までの記録材搬送距離をL3、記録材の移動方向への長さをL4としたとき、L1>L2+L3+L4・・・式1を満たすように設定することで、記録材搬送手段と中間転写体とが接触して振動が発生している時点では、イエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像の中間転写体への転写は終了しているので、バンディングは発生しない。また、黒トナーが記録材に転写され、記録材搬送手段と中間転写体とが接触されてからカラー画像を作像させるよりも切替え時間が短くて済む。このため、カラー作像手段や中間転写体の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写体の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一構成例と、記録材搬送手段と中間転写体の接触状態を示す概略図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置において、記録材搬送手段と中間転写体との離間状態を示す概略図である。
【図3】記録材搬送手段と中間転写体との問題点を説明するための概念図である。
【図4】記録材搬送手段と中間転写体とが接離する際の問題点を説明するための概念図である。
【図5】記録材搬送手段に緩衝手段を設けた構成を示す拡大図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の別な構成例と、記録材搬送手段と中間転写体の接触状態を示す概略図である。
【図7】中間転写体を支持するローラを緩衝手段とした構成を示す拡大図である。
【図8】緩衝手段として弾性層を備えたローラの構成を示す拡大図である。
【図9】搬送ベルトとレジストローラからカラー転写部へ向かう記録材搬送経路とが成す角度が鋭角に設定された構成を示す拡大図である。
【図10】記録材搬送手段の接触方向への移動速度を制御する形態を示す拡大図である。
【図11】記録材搬送手段の接離動作における移動速度の特性線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明にかかる画像形成装置としてのフルカラー印刷と単色印刷可能な複写機1である。画像形成装置としては、複写機に限定されるものではなく、カラーファクシミリ、カラープリンター、あるいはこれらの複合機であっても良い。
【0023】
複写機1は、画像形成装置本体2内に、黒色のトナー像を作像する黒色作像手段3と、黒色作像手段3で作像される色以外の複数色となるイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段4,5,6と、カラー作像手段4,5,6で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体となる中間転写ベルト7、黒色作像手段3上の黒色のトナー像を転写材Pに転写する黒色転写部8と中間転写ベルト7体上の複数色のトナー像を転写材Pに一括転写するカラー転写部9の間にわたって転写材Pを静電的に吸着して搬送する転写材搬送手段10と、カラー転写部9よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部11から給紙された記録材Pをカラー転写部9に向かって送り出すレジストローラ12を備えている。黒色作像手段3の上方には定着装置15が配置され、定着装置15の上方には排紙部16が配置されている。排紙部16の上方には原稿読取部17が配設されている。
【0024】
中間転写ベルト7は、複数のローラ13,14に巻き掛けられていて、何れかのローラが図示しない駆動モータによって回転駆動されることで、図1において反時計周りに回転移動する。
【0025】
カラー作像手段4,5,6は、中間転写ベルト7の上方に、ベルト回転方向の上流側からカラー作像手段4,5,6の順番で並設されている。このため、本形態では、カラー作像手段6が最下流のカラー作像手段となる。カラー作像手段4よりもベルト回転方向の上流側には、ベルトクリーニング手段18が配置されている。カラー作像手段4,5,6は上方には、光書き込み部20が配置されている。
【0026】
カラー作像手段4,5,6は、像担持体となるドラム状の感光体と、これら感光体の外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットと、各感光体に形成された画像を1次転写部材4a,5a,6aで中間転写する中間転写ベルト7が配置されている。1次転写部材4a,5a,6aは、一時転写ローラであって中間転写ベルト7を介して各感光体の表面に接触していて、中間転写ベルト7と各感光体との間に転写ニップN1,N2,N3を形成している。カラー作像手段4,5,6の感光体は図1において、時計回りに回転する。
【0027】
黒色作像手段3もカラー作像手段4,5,6同様、ドラム状の感光体と、感光体の外周に沿って帯電ユニット、現像ユニット、1次転写ユニット、クリーニングユニット、及び除電ユニットが配設されている。黒色作像手段3の感光体は図1において、反時計回りに回転する。これら各作像手段の感光体の表面には、光書き込み部20から各感光体に対応する色毎の画像を書き込むレーザー光がそれぞれ照射される。
【0028】
記録材搬送手段10は、複数のローラ21〜25と、これらローラ21〜25に巻き掛けられた搬送ベルト26を備えていて、何れかのローラが図示しない駆動モータによって回転駆動されることで、搬送ベルト26が図1において時計周りに回転移動する。記録材搬送手段10は、黒色作像手段3と中間転写ベルト7と対向するように搬送ベルト26が配置されている。ローラ21〜25のうち、ローラ22は、黒色作像手段3の感光体と対向する位置に配置され、この位置で搬送ベルト26を介して黒色作像手段3の感光体に当接して黒色転写部8を形成している。ローラ22の下方に位置するローラ23は、中間転写ベルト7を介してローラ14と対向配置されていて、中間転写ベルト7を介してローラ14に当接することで、カラー転写部9を成形している。つまり、本形態では、黒色転写部8がカラー転写部9よりも記録材移動方向の下流に配置されている。ローラ23の下方に位置するローラ24には、中間転写ベルト7を介してコロ27が当接していて搬送手段を構成している。搬送ベルト26には、記録材Pを静電的にベルト表面に吸着するバイアスが印加されている。
【0029】
ローラ21〜25とコロ27は、図1に示すように、搬送ベルト26が中間転写ベルト7にローラ14の部分で当接する位置と、図2に示すように搬送ベルト26が中間転写ベルト7にローラ14の部分で離間する位置とへ接離可能な方向に揺動自在に支持されている。
【0030】
本形態において、黒色作像手段3による黒画像形成時は、中間転写ベルト7と記録材搬送手、すなわち搬送ベルト26とが離間状態であり、カラー作像手段4,5,6によるカラー画像形成時は、中間転写ベルト7と搬送ベルト26とが当接するように、揺動動作が行われる。
【0031】
このような構成の画像形成装置では、カラー画像形成時には各作像手段の感光体上に潜像が形成され、この潜像が現像ユニットから供給されるトナーによって現像されて各色のトナー画像が形成される。イエロ、マゼンタ、シアンのトナー画像が、1次転写部材4a,5a,6aによって中間転写ベルト7上に1次転写される。中間転写ベルト7上の3色のトナー画像は、搬送ベルト26が中間転写ベルト14と接触することで形成される2次転写部となるカラー転写部8において、レジストローラ12でタイミングを計られて送り出される転写材P上に一括転写される。このとは、搬送ベルト26は図1において時計周りに回転移動しているので、トナー画像が転写された転写材P1は、黒色のトナー画像の一次転写部となる黒色転写部8へと搬送ベルト26に吸着されて搬送される。そして黒色転写部8において黒色のトナー画像が転写されて定着装置15で圧熱定着により記録材に定着され、排紙部16へと排出される。
【0032】
中間転写ベルト7は、ベルトクリーニング手段18で2次転写しきれなかったトナーがクリーニングされる。記録材搬送手段10においても、記録材Pに転写しきれずに、搬送ベルト26に付着した黒色トナーをクリーニング手段28でクリーニングし表面をトナーが付着していない状態を維持する。これらの一連の動作を繰り返してカラー画像を形成する。
【0033】
一方、黒色画像形成時には、イエロ、マゼンタ、シアンの画像形成を行わないので、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7の動作は停止状態となるとともに、記録材搬送手段10は搬送ベルト26を中間転写ベルト14から離間した状態となり、黒色作像手段3が作動して、黒色トナー画像が搬送ベルト26によって搬送されてくる記録材P上に転写され、定着装置15で圧熱定着により記録材Pに定着され、排紙部16へと排出される。記録材搬送手段10では、記録材Pに転写しきれずに、搬送ベルト26に付着した黒色トナーをクリーニング手段28でクリーニングし表面をトナーが付着していない状態を維持する。これらの一連の動作を繰り返して黒色画像(モノクロ画像)を形成する。
(第1の実施形態)
次に、黒色画像形成からカラー画像形成に印刷モードが切り替わる動作に関して図1から図3を用いて説明する説明する。黒色画像を形成する黒モードで作像している状態で、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7を起動させる。起動させるタイミングは、少なくともカラー作像手段4,5,6の起動時間に加えて黒モードの記録材Pの後端が記録材搬送手段10を通過するより(L2+L3+L4)/感光体線速早いタイミングとする。L1>L2−L3+L4とすることで黒の作像動作と並行してイエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像を中間転写ベルト7上に転写する。カラー作像手段4,5,6の最終作像手段となるシアンのカラー作像手段6で作像が終了した時点で、搬送ベルト26の中間転写ベルト7への当接を開始する。当接に必要な時間L2/感光体線速後にレジストローラ12で待機していた記録材Pを、カラー転写部9に送り始める。そして、カラー転写部9でトナー画像と記録材Pとが同期して記録材P上にイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像が転写され、更に下流の黒色作像手段3で黒トナーが、既に3色のトナー画像が転写された記録材Pに転写さて4色のトナー像が完成する。
【0034】
ここで、従来では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7との離間状態から当接状態となったときに発生する振動が問題になっていたが、本形態では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触して振動が発生している時点では、イエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像の中間転写ベルト7への転写は終了しているので、バンディングは発生しない。記録材Pは定着装置15で圧熱定着により画像定着され、ハードプリントとなって排紙部16へと排出される。このため、従来のように、黒トナーが記録材Pに転写され、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触されてからカラー画像を作像させるよりも切替え時間が短くて済む。このため、カラー作像手段4,5,6や中間転写ベルト7の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写ベルト7の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、
プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
【0035】
このような効果を達成するには、カラー作像手段4,5,6のうち最下流位置のカラー作像手段6から中間転写ベルト7へ画像が転写される転写ニップN3の中心からカラー転写部9の中心までの中間転写ベルト7の長さをL1、記録材搬送手段10が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写ベルトが移動する距離をL2、レジストローラ12からカラー転写部9までの記録材搬送距離をL3、記録材Pの移動方向への長さをL4としたとき、
L1>L2+L3+L4・・・式1 を満たすことが前提となる。
(第2の実施形態)
本形態では、上記式1を満たすことを前提として、さらに上記L1〜L4の関係が、L2+L4<L1<L2+L3+L4・・・式2を満たすとともに、黒画像形成後にカラー画像形成に切り替えるときに、この切り替え動作が終了する前に、レジストローラ12を作動して記録材Pを送り出す。
【0036】
つまり、黒モードで作像している状態で、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7を起動させる。起動させるタイミングは、少なくともカラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7の起動時間に加えて、黒モードの記録材Pの後端が記録材搬送手段10を通過するより(L2+L4)/感光体線速早いタイミングとする。つまり、L2+L4<L1<L2+L3+L4とすることで黒色作像動作と並行してイエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像を中間転写ベルト7上に転写する作像する。カラー作像手段4,5,6の最終作像手段となるシアンのカラー作像手段6で作像が終了した時点で、レジストローラ12から中間転写ベルト7上のトナー像の位置と同期させて記録材Pの搬送を開始し、同時に中間転写ベル7に記録材搬送手段10を当接させる動作を開始する。これによりイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像がカラー転写部9で記録材Pに転写され、更に下流の黒色作像手段3で作像された黒トナーが、黒色転写部8で記録材Pに転写さて4色のトナー像が完成する。
【0037】
このような本形態では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触して振動が発生している時点では、カラーの作像が終了しているのでバンディングは発生しない。更に記録材Pを先に搬送開始するので切替え時間が短くて済む。4色のトナー画像が転写された記録材Pは定着装置15に搬送されて定着されてハードプリントとなって排出部16へと搬出される。この動作によって、従来のように黒トナーが記録材Pに転写され、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触してからカラー画像を作像するよりも、切替え時間が短くて済むのでユーザーの待ち時間が少なくなる。このため、カラー作像手段4,5,6や中間転写ベルト7の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写ベルト7の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
(第3の実施形態)
本形態では、第2の実施形態の条件(式2)を満たすことを前提として、黒画像形成時のレジストローラ12からカラー転写部9までの距離をL3'としたとき、L3'=L3としたことを特徴としている。
【0038】
このように、L3'=L3と設定しておくことで、カラー画像形成時でも黒画像形成状態で切り替え動作をしながら搬送ベルト26と中間転写ベルト7とを接触させても、レジストローラ12から記録材Pを送り始めるタイミングが同じで良いので画像の位置ずれが発生しなくなる。
(第4の実施形態)
本形態は、図5に示すように、中間転写ベルト7と記録材搬送手段10(搬送ベルト26)とが実線で示す離間状態から破線で示す当接状態に切り替わるときに、中間転写ベルト7と搬送ベルト26との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段30を有することを特徴としている。
【0039】
記録材Pが記録材搬送手段10を構成する搬送ベルト26に吸着された状態で、カラー転写部9に向けて搬送されている最中に、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触すると、その瞬間、搬送ベルト26に吸着していた記録材Pはその衝撃で図4に示すように、搬送ベルト26から剥がれてしまう。しかし、中間転写ベルト7と当接する際の衝撃を緩和させる緩衝手段30を備えていることで、当接する際の衝撃が緩和されるので記録材Pは搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pのずれ、つまり画像ずれなどの異常画像を抑制することができる。
【0040】
緩衝手段30の形態としては、搬送ベルト26を巻き掛けていて、中間転写ベルト14と対向する位置に配置されたローラ23に設けたダンパー31であっても良いし、このローラ23を弾性変形可能なローラで構成することで達成できる。
【0041】
緩衝手段30をローラ23に設けたダンパー31とすると、ダンパー31を装着するための余分なローラや機構を追加しなくてよいので、装置の小型化が可能となる。
【0042】
緩衝手段30を、ローラ23を弾性変形可能なローラとして構成すると、ローラ自体がカラー転写部9の転写部材と緩衝機能を兼ね備えることになるので、余分なローラやダンパー31を追加しなくて済むため、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
(第5の実施形態)
本形態は、図6に示す画像形成装置としての複写機1Aを用いて説明する。この複写機1Aの基本構成は、複写機1と同様であるので、同一機能を有する構成部材には、複写機1の説明で用いた符号を付し、詳細な説明は省略し、複写機1との相違点について説明する。
【0043】
図6に示す複写機1Aでは、カラー作像手段4,5,6のうち最下流位置のカラー作像手段6から中間転写ベルトへ画像が転写される転写ニップN3からカラー転写部9までの中間転写体の長さをL1、記録材Pの移動方向への長さをL2、記録材搬送手段10の搬送ベルト26が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、中間転写ベルト7が移動する距離をL3、レジストローラ12からカラー転写部9までの記録材搬送距離をL4としたとき、L3+L4<L1<L2+L3+L4・・・式3を満たすとともに、中間転写ベルト7と記録材搬送手段10の搬送ベルト26が離間状態から当接状態に切り替わるときに、この切替動作が終了する前にレジストローラ12を駆動して記録材Pを送り始めるとともに、中間転写ベルト7と記録材搬送手10の搬送ベルト26との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段40を備えている。
【0044】
図6において、黒モードで作像している状態で、カラー作像手段4,5,6と中間転写ベルト7を起動させる。起動させるタイミングは、少なくともカラー作像手段4,5,6の起動時間に加えて黒モードによるトナー画像が転写された記録材Pの後端が記録材搬送手段10を通過するより[(L3+L4)/中間転写ベルト線速]早いタイミングとする。そして、L3+L4<L1<L2+L3+L4とすることで、黒の作像動作と並行してイエロ、マゼンタ、シアンの3色のトナー像を中間転写ベルト7上に転写して作像する。カラー作像手段4,5,6の最終作像手段となるシアンのカラー作像手段6で作像が終了した時点で、レジストローラ12から中間転写ベルト7上のトナー像の位置と同期させて記録材Pの搬送を開始し、同時に中間転写ベル7に記録材搬送手段10を当接させる動作を開始する。これによりイエロ、マゼンタ、シアンのトナー像がカラー転写部9で記録材Pに転写され、更に下流の黒色作像手段3で作像された黒トナーが、黒色転写部8で記録材Pに転写さて4色のトナー像が完成する。
【0045】
このような本形態では、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触して振動が発生している時点では、カラーの作像が終了しているのでバンディングは発生しない。更に記録材Pを先に搬送開始するので切替え時間が短くて済む。4色のトナー画像が転写された記録材Pは定着装置15に搬送されて定着されてハードプリントとなって排出部16へと搬出される。この動作によって、従来のように黒トナーが記録材Pに転写され、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触してからカラー画像を作像するよりも、切替え時間が短くて済むのでユーザーの待ち時間が少なくなる。このため、カラー作像手段4,5,6や中間転写ベルト7の無駄な回転が抑制されるので、各作像手段や中間転写ベルト7の寿命が長くなり無駄な時間とコストを抑制できるとともに、プリトンの生産性が向上し、ユーザーの待ち時間が短くなる。
【0046】
記録材Pが記録材搬送手段10を構成する搬送ベルト26に吸着された状態で、カラー転写部9に向けて搬送されている最中に、搬送ベルト26と中間転写ベルト7とが接触すると、その瞬間、搬送ベルト26に吸着していた記録材Pはその衝撃で(図4)に示すように、搬送ベルト26から剥がれてしまう。
【0047】
しかし、中間転写ベルト7と当接する際の衝撃を緩和させる緩衝手段40を備えていることで、当接する際の衝撃が緩和されるので記録材Pは搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pのずれ、つまり画像ずれなどの異常画像を抑制することができる。
【0048】
緩衝手段40の形態としては、図7に示すように、中間転写ベルト7を巻き掛けていて、搬送ベルト26と対向する位置に配置されたローラ14に設けたダンパー41であっても良いし、図8に示すように、ローラ14の表層を弾性層141で構成して弾性変形可能なローラとすることで達成できる。
【0049】
緩衝手段40をローラ14に設けたダンパー41とすると、ダンパー41を装着するための余分なローラや機構を追加しなくてよいので、装置の小型化が可能となる。
【0050】
緩衝手段40を、ローラ14を弾性変形可能なローラとして構成すると、ローラ自体がカラー転写部9の転写部材と緩衝機能を兼ね備えることになるので、余分なローラやダンパー41を追加しなくて済むため、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
(第6の実施形態)
本形態は、図9に示すように、記録材搬送手段10が、搬送ベルト26と中間転写ベルト7と接触する接触位置を占めたときの搬送ベルト26と、レジストローラ12からカラー転写部9に向かう記録材搬送経路50とで成す角度θが鋭角に設定されていることを特徴としている。
【0051】
このように、接触位置を占めたときの搬送ベルト26とレジストローラ12からカラー転写部9向かう記録材搬送経路50とで成す角度θが鋭角であると、記録材Pは記録材搬送手段10に記録材Pのコシで押し付けられるので、記録材搬送手段10の搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pつまりや画像ずれなどの異常画像を抑制できる。角度θが鈍角だと記録材Pがカラー転写部9と逆の方向に搬送されてしまい記録材Pつまりや画像ずれなどの異常画像を発生させてしまうため、このような角度設定は搬送ベルト26と記録材Pとの密着度を高められるため有効である。
(第7の実施形態)
本形態は、図10に示すように、記録材転写手10の当接動作での中間転写ベルト7と対向するローラ23の移動速度が、図11に示すように、当接開始と終了近傍時はほぼ0であり、当接開始から滑らかに速度を増し終了時に向けて滑らかに減速させる速度制御を行うように制御する制御部60を有することを特徴としている。
【0052】
このように中間転写ベルト7と当接する際のローラ23の移動速度を制御部60で制御すると、中間転写ベルト7と搬送ベルト26との衝撃が緩和される。このため、記録材Pが記録材搬送手段10の搬送ベルト26から剥がれ難くなり、記録材Pつまりや画像ずれなどの異常画像を抑制できる。さらに緩衝に用いる余分なローラを追加したりダンパー40を追加しなくて済むので装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0053】
記録材搬送手段10の接離動作は、図10に示すように、ローラ23,24,25を回転自在に支持し、搬送ベルト26をローラ14と対向する部位において中間転写ベルト7に接触する方向と離間する方向に移動可能な可動部材61と、可動部材61に接触するカム部材62と、カム部材62を回転する駆動手段63と、可動部材61を搬送ベルト26が中間搬送ベルト7から離間する方向に付勢する付勢手段となる引っ張りばね64を備えた接離機能65によって達成される。
【0054】
そして、ローラ23の移動速度を制御する制御部60としては、カム部材62のカム形状で行うことにより、余分なローラを追加したりダンパー40を追加しなくて済むので装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A 画像形成装置
3 黒色作像手段
4,5,6 カラー作像手段
7 中間転写体
8 黒色転写部
9 カラー転写部
P 転写材
10 転写材搬送手段
11 給紙部
12 レジストローラ
13,14 中間転写体を支持するローラ
21〜25 記録材搬送手段のローラ
14,23 弾性変形可能なローラ
26 ベルト部材
30,40 緩衝手段
31,41 ダンパー
50 記録材搬送経路
60 制御部
62 カム部材
θ 搬送ベルトと記録材搬送経路とが成す角度
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開平10−055094号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、前記カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部から給紙された記録材を前記カラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、前記黒色転写部が前記カラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、前記黒色作像手段による黒画像形成時は、前記中間転写体と前記記録材搬送手段とが離間状態であり、前記カラー作像手段によるカラー画像形成時は、前記中間転写体と記録材搬送手段とが当接する画像形成装置であって、
前記カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から前記中間転写体へ画像が転写される転写ニップから前記カラー転写部までの中間転写体の長さをL1、
前記記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、前記中間転写体が移動する距離をL2、
前記レジストローラから前記カラー転写部までの記録材搬送距離をL3、
前記記録材の移動方向への長さをL4としたとき、
L1>L2+L3+L4・・・式1
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記L1からL4の関係が、
L2+L4<L1<L2+L3+L4・・・式2
を満たすとともに、
黒画像形成後にカラー画像形成に切り替えるときに、この切り替え動作が終了する前に、前記レジストローラを作動して前記記録材を送り出すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記黒画像形成時の前記レジストローラから前記カラー転写部までの距離をL3'としたとき、L3'=L3であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、前記中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて、前記中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、
前記緩衝手段は、前記複数のローラのうち、前記中間転写体と対向する位置に配置されたローラに設けたダンパーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて前記中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、
前記緩衝手段は、前記複数のローラのうち、前記中間転写体と対向する位置に配置され、弾性変形可能なローラで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、前記カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部から給紙された記録材を前記カラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、前記黒色転写部が前記カラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、前記黒色作像手段による黒画像形成時は、前記中間転写体と前記記録材搬送手段とが離間状態であり、前記カラー作像手段によるカラー画像形成時は、前記中間転写体と記録材搬送手段とが当接する画像形成装置であって、
前記カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から前記中間転写体へ画像が転写される転写ニップから前記カラー転写部までの中間転写体の長さをL1、
前記記録材の移動方向への長さをL2、
前記記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、前記中間転写体が移動する距離をL3、
前記レジストローラから前記カラー転写部までの記録材搬送距離をL4としたとき、 L3+L4<L1<L2+L3+L4・・・式3
を満たし、かつ、
前記中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、この切替動作が終了する前に前記レジストローラを駆動して記録材を送り始めるとともに、前記中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記中間転写体を支持し、前記記録材搬送手段と対向するローラを有し、
前記緩衝手段は、前記ローラに設けたダンパーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記緩衝手段は、前記中間転写体を支持し、前記記録材搬送手段と対向するローラで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成装置において、
前記緩衝手段を構成するローラは、その表層が弾性層からなり、当該弾性層で衝撃を吸収することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、
前記記録材搬送手段が前記接触位置を占めたときの搬送ベルトと前記レジストローラから前記カラー転写部へ向かう記録材搬送経路とが成す角度が鋭角に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、
前記記録材転写手段の当接動作時の前記ローラの移動速度を、当接開始と終了近傍時はほぼ0であり、当接開始から滑らかに速度を増し終了時に向けて滑らかに減速するように制御する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
前記ローラを接離動作するカム部材を有し、
前記制御部は、前記カム部材の形状で制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、前記カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部から給紙された記録材を前記カラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、前記黒色転写部が前記カラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、前記黒色作像手段による黒画像形成時は、前記中間転写体と前記記録材搬送手段とが離間状態であり、前記カラー作像手段によるカラー画像形成時は、前記中間転写体と記録材搬送手段とが当接する画像形成装置であって、
前記カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から前記中間転写体へ画像が転写される転写ニップから前記カラー転写部までの中間転写体の長さをL1、
前記記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、前記中間転写体が移動する距離をL2、
前記レジストローラから前記カラー転写部までの記録材搬送距離をL3、
前記記録材の移動方向への長さをL4としたとき、
L1>L2+L3+L4・・・式1
を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記L1からL4の関係が、
L2+L4<L1<L2+L3+L4・・・式2
を満たすとともに、
黒画像形成後にカラー画像形成に切り替えるときに、この切り替え動作が終了する前に、前記レジストローラを作動して前記記録材を送り出すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記黒画像形成時の前記レジストローラから前記カラー転写部までの距離をL3'としたとき、L3'=L3であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、前記中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて、前記中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、
前記緩衝手段は、前記複数のローラのうち、前記中間転写体と対向する位置に配置されたローラに設けたダンパーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられて前記中間転写体と対向配置されたベルト部材を有し、
前記緩衝手段は、前記複数のローラのうち、前記中間転写体と対向する位置に配置され、弾性変形可能なローラで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
黒色のトナー像を作像する黒色作像手段と、黒色作像手段で作像される色以外の複数色のトナー像をそれぞれ作像する複数のカラー作像手段と、カラー作像手段で作像した複数色のトナー像を順次重ねて転写される中間転写体と、黒色作像手段上の黒色のトナー像を転写材に転写する黒色転写部と中間転写体上の複数色のトナー像を転写材に転写するカラー転写部の間にわたって転写材を搬送する転写材搬送手段と、前記カラー転写部よりも記録材移動方向の上流に配置され、給紙部から給紙された記録材を前記カラー転写部に向かって送り出すレジストローラを備え、前記黒色転写部が前記カラー転写部よりも記録材移動方向の下流に配置され、前記黒色作像手段による黒画像形成時は、前記中間転写体と前記記録材搬送手段とが離間状態であり、前記カラー作像手段によるカラー画像形成時は、前記中間転写体と記録材搬送手段とが当接する画像形成装置であって、
前記カラー作像手段のうち最下流位置のカラー作像手段から前記中間転写体へ画像が転写される転写ニップから前記カラー転写部までの中間転写体の長さをL1、
前記記録材の移動方向への長さをL2、
前記記録材搬送手段が離間状態から接触状態に切り替わるのに要する時間の間、前記中間転写体が移動する距離をL3、
前記レジストローラから前記カラー転写部までの記録材搬送距離をL4としたとき、 L3+L4<L1<L2+L3+L4・・・式3
を満たし、かつ、
前記中間転写体と記録材搬送手段とが離間状態から当接状態に切り替わるときに、この切替動作が終了する前に前記レジストローラを駆動して記録材を送り始めるとともに、前記中間転写体と記録材搬送手段との当接時に発生する衝撃を緩和する緩衝手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記中間転写体を支持し、前記記録材搬送手段と対向するローラを有し、
前記緩衝手段は、前記ローラに設けたダンパーであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記緩衝手段は、前記中間転写体を支持し、前記記録材搬送手段と対向するローラで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成装置において、
前記緩衝手段を構成するローラは、その表層が弾性層からなり、当該弾性層で衝撃を吸収することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、
前記記録材搬送手段が前記接触位置を占めたときの搬送ベルトと前記レジストローラから前記カラー転写部へ向かう記録材搬送経路とが成す角度が鋭角に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記記録材搬送手段は、複数のローラと、これらローラに巻き掛けられた搬送ベルトとを備え、
前記記録材転写手段の当接動作時の前記ローラの移動速度を、当接開始と終了近傍時はほぼ0であり、当接開始から滑らかに速度を増し終了時に向けて滑らかに減速するように制御する制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12記載の画像形成装置において、
前記ローラを接離動作するカム部材を有し、
前記制御部は、前記カム部材の形状で制御されることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−102927(P2011−102927A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258296(P2009−258296)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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