説明

画像形成装置

【課題】像担持体と現像剤担持体との間に所定の間隔を形成する行為を直感的に理解できるとともに、当該所定の間隔を形成するための機構が現像装置の取り出しを妨げない画像形成装置を提供することを目的としている。
【解決手段】間隔形成機構101は、解除レバー101Aを操作することにより、押圧バネ103Aの付勢に逆らって現像装置4を移動させて感光ドラム1と現像スリーブ4aとの間に所定の間隔を形成する。押圧アーム101Cは、筐体20から取り出す際の現像装置4の移動に伴って当該移動を妨げない位置へ退去し、筐体20に取り付ける際の現像装置4の移動に伴って所定の間隔を形成可能な状態に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体から現像剤担持体を退去させる方向に現像装置を移動させて筐体から取り出し可能な画像形成装置、詳しくは手動操作部材の操作によって現像装置を取り出し方向に所定距離移動させる機構に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成した静電像を現像剤担持体に担持させた現像剤でトナー像に現像する現像装置を備えた画像形成装置が広く用いられている。現像装置は、像担持体と現像剤担持体とが所定の隙間(〜300μm)を隔てて対向するように、画像形成装置の筐体に取り付けられている。
【0003】
像担持体と現像装置とが画像形成装置の筐体に別々に取り付けられている場合、手動操作部材の操作によって現像装置を少し移動させて、現像剤担持体と像担持体との間に所定の間隔を確保させる間隔形成機構が付設される。像担持体の取り付け、取り出し、現像装置のメンテナンス等に際して、現像装置の現像剤担持体と像担持体とが不必要な接触や現像を起こさないためである。
【0004】
特許文献1、2には、現像装置を水平方向に移動可能な画像形成装置が示され、手動操作部材の操作によって現像装置を水平方向に少し移動させて、現像剤担持体と像担持体との間に所定の間隔を確保させている。
【0005】
特許文献3には、現像装置を水平方向に回転移動させて筐体から取り出し可能にした画像形成装置が示され、手動操作部材が現像装置の固定を解除することによって、現像装置が像担持体から離間する方向へ回転移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−133730号公報
【特許文献2】特開平7−92801号公報
【特許文献3】特開平11−327296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の画像形成装置は、現像装置を像担持体の長手方向へ移動させて、画像形成装置の正面側から現像装置の取り出し、取り付けを行う構造が一般的である。この場合、特許文献1、2に示されるように、現像装置を正面側へ引き出す際に用いる像担持体の長手方向の案内部とは別に、現像剤担持体と像担持体との間に所定の間隔を形成する際に用いる案内部が必要となる。
【0008】
これに対して、像担持体から現像剤担持体を離間させる方向に現像装置を移動して画像形成装置の側面側から取り出す構造の場合、現像装置を取り出す際に用いる案内部を利用して現像剤担持体と像担持体との間に所定の間隔を形成できる。なお、特許文献3における現像装置の取り出し構造には、そのような所定の間隔を形成するための機構は付加されていない。
【0009】
しかし、この場合、特許文献1、2に示されるように、所定の間隔を形成するための現像装置の移動機構が現像装置の引き出しの経路に位置して、現像装置の引き出し移動の邪魔になってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、像担持体と現像剤担持体との間に所定の間隔を形成する機構の少なくとも一部が現像装置の取り出し経路内に設けられる構成であっても、当該所定の間隔を形成するための機構が現像装置の取り出しを妨げないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、現像剤担持体に現像剤を担持させて前記像担持体にトナー像を現像する現像装置と、前記像担持体及び前記現像装置が取り付けられる筐体とを備えたものである。そして、前記像担持体から前記現像剤担持体を離間させる方向へ前記現像装置を前記筐体から取り出し可能に案内する案内部と、前記案内部によって案内された前記現像装置を前記像担持体に向かって付勢する付勢手段と、前記付勢手段の付勢に逆らって前記現像装置を移動させて前記像担持体と前記現像剤担持体との間に所定の間隔を形成する間隔形成機構とを備え、前記間隔形成機構の少なくとも一部は、前記現像装置が装着される際に前記現像装置が移動する移動経路内を移動することで、前記像担持体と前記現像剤担持体との間に所定の間隔を形成し、前記筐体から取り出す際の前記現像装置の移動に伴って前記移動経路外へ退避可能に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置では、現像装置を少し移動させて像担持体と現像剤担持体との間に所定の間隔を形成するための間隔形成機構の少なくとも一部が、現像装置の取り出し移動に伴って現像装置の移動を妨げない位置へ自律的に退去する。そのため、ユーザーは、間隔形成機構の存在を意識することなく、現像装置を案内部に案内させて像担持体から現像剤担持体を離間させる方向へ取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】現像装置の構成の説明図である。
【図3】現像装置の着脱及び当接解除のための機構の説明図である。
【図4】現像装置の当接解除動作の説明図である。
【図5】現像装置の着脱動作の説明図である。
【図6】実施例2における現像装置の当接解除動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、像担持体から現像剤担持体を離間させる方向へ現像装置を取り出し可能である限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0015】
従って、現像方式、帯電方式、静電像形成方式の区別無く、また、中間転写方式、記録材搬送方式、転写ベルト方式、枚葉プリント方式の区別無く現像装置を搭載した画像形成装置で実施できる。
【0016】
本実施形態では、トナー像の形成に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0017】
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0018】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、感光ドラム1に形成したトナー像を転写ベルト14に担持した記録材Pに転写するモノクロ高速プリンタである。筐体20には、感光ドラム1及び現像装置4が着脱可能に取り付けられている。
【0019】
像担持体の一例である感光ドラム1の周囲に、コロナ帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6が配置される。感光ドラム1は、アルミニウムシリンダの外周面に感光層が形成され、700mm/secのプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
【0020】
コロナ帯電器2は、コロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム1の表面を一様な負極性の電位に帯電させる。露光装置3は、入力画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1の表面に画像の静電像を書き込む。現像装置3は、感光ドラム1に形成された静電像を一成分現像剤を用いてトナー像に現像する。
【0021】
転写ローラ5は、転写ベルト14の内側面を押圧して、感光ドラム1と転写ベルト14との間に転写部T1を形成する。記録材カセット11aに格納された記録材Pは、分離ローラ12aで1枚ずつに分離してレジストローラ13へ送り出される。レジストローラ13は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、感光ドラム1のトナー像にタイミングを合わせて転写部T1へ記録材Pを送り込む。
【0022】
転写ローラ5へ正極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム1に担持されたトナー像が、転写ベルト14に担持されて転写部T1を通過する記録材へ転写される。ドラムクリーニング装置6は、感光ドラム1にクリーニングブレードを摺擦させて、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1に残った転写残トナーを回収する。
【0023】
トナー像を転写された記録材Pは、転写ベルト14から曲率分離して定着装置7へ送り込まれ、定着装置7で加熱加圧を受けて表面にトナー像を熱定着された後に排出ローラ15を通じて排出トレイ16へ排出される。
【0024】
<現像装置>
図2は現像装置の構成の説明図である。図2に示すように、現像装置4は、現像剤担持体の一例である現像スリーブ4aに現像剤を担持させて感光ドラム1にトナー像を現像する。現像装置4は、固定マグネット4bの周囲で回転する現像スリーブ4aに、磁性トナー(一成分現像剤)を薄層状態で担持させて感光ドラム1との対向部へ搬送する。
【0025】
層厚規制ブレード4cは、現像スリーブ4aに担持される磁性トナーの層厚を規制するとともに、磁性トナーを摺擦して帯電させる。電源D4は、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブ4aに印加することにより、帯電して現像スリーブ4aに担持された磁性トナーを感光ドラム1へ転移させて、静電像を反転現像してトナー像を形成する。
【0026】
現像剤補給装置8は、磁性トナーを貯留しており、供給マグネット8aを回転させることにより、画像形成で消費された量に見合っただけの磁性トナーを切り出して現像装置4へ補給する。
【0027】
ところで、画像形成装置は、感光ドラムのメンテナンス時等に、現像装置を着脱することなく押圧を解除して、感光ドラムと現像スリーブとの当接を解除する機構を備えている。この機構は、現像装置を着脱することなく当接解除するだけの簡単な操作で、現像スリーブが当接している感光ドラムのメンテナンス作業が可能となるために、メンテナンス時間の短縮という観点で非常に有効である。
【0028】
従来の当接解除のための機構としては、特許文献1、2に記載されたものがあった。しかしながら、特許文献1に示される機構では、現像装置の着脱方向(正面方向)と現像スリーブの当接解除方向(側面方向)とが異なるため、現像装置の着脱のためのスペースとは別に、現像装置の押圧をしながら当接解除を実現するためのスペースが必要である。このため、結果として画像形成装置のサイズが大きくなるという問題があった。
【0029】
また、特許文献1、2に示される現像装置の移動機構を、現像装置の取り出し前に、筐体から取り外し可能、あるいは扉と一体に回転して現像装置の取り出し経路から退去させる構成が考えられる。しかし、現像装置の引き出し作業と直感的な関連性に乏しい取り外しや退去の操作を加えることは、引き出し作業の操作手順を複雑にして好ましくないと考えられる。取り外し側あるいは扉側の構造が複雑になると、現像装置の位置決め精度や製造コストの点でも難点がある。
【0030】
また、画像形成装置においては、現像装置を移動させる行為をより直感的に理解できるように、特許文献1、2に示されるよりも現像装置の近くに手動操作部材を配置することが望ましい。そして、手動操作部材を回転させる行為が特許文献1、2に示されるよりも現像装置の移動と直感的に結びつくように手動操作部材の操作を設定しておくことが好ましい。像担持体と現像剤担持体との間に所定の間隔を形成する行為を直感的に理解できる操作内容とすることで、操作手順を覚え易くし操作ミスを防止できるからである。
【0031】
以下の実施例では、このような現状を改善するために、現像装置の着脱時には、現像スリーブの当接解除のための機構を着脱のためのスペースから待避させる構成を採用している。これにより、現像装置の着脱方向と現像スリーブの当接解除方向とを略同一方向とすることを可能にしている。筐体に取り付けられた着脱可能な現像装置を感光ドラムのメンテナンス時に着脱することなく現像装置の押圧を解除して現像スリーブの当接を解除させている。
【0032】
<実施例1>
図3は現像装置の着脱及び当接解除のための機構の説明図である。図4は現像装置の当接解除動作の説明図である。図5は現像装置の着脱動作の説明図である。
【0033】
図3の(a)に示すように、現像装置4は、感光ドラム1に対して着脱可能な押圧機構103により押圧されて現像スリーブ4aを感光ドラム1に当接させている。現像装置4はレール102に案内されて水平方向に移動可能に支持されている。現像剤補給装置8は、レール202に案内されて水平方向へ移動可能に支持されている。
【0034】
図3の(c)に示すように、現像装置4は、現像装置4のメンテナンス時には、筐体20の外カバー21を後方へ向かって開いて、押圧機構103を側面側へ倒した後に、矢印R4方向に引き出して筐体20から取り外す構成となっている。押圧機構103は、固定フック103Bを解除することで側面側へ倒すことが可能になる。押圧機構103は、固定フック103Bを係合させて起立させた状態では、押圧バネ103Aが現像装置4を感光ドラム1へ向かって押圧している。
【0035】
図3の(b)に示すように、現像装置4には、感光ドラム1と現像スリーブ4aとの当接(現像圧)を解除するための間隔形成機構(101:図4)が装備されている。間隔形成機構(101:図4)を用いた現像圧解除方向は、現像装置4の取り外し方向と同一方向になっている。
【0036】
手動操作部材の一例である解除レバー101Aを図3の(a)の状態から矢印R101方向へ90度回転させることにより、現像装置4が矢印R4方向へ移動して現像スリーブ4aと感光ドラム1との間に所定の間隔を形成する。解除レバー101Aは、現像装置4の近くに配置され、回転させる行為が現像装置4の移動と直感的に結びつくように操作を設定してある。感光ドラム1と現像スリーブ4aとの間に所定の間隔を形成する行為を直感的に理解できる操作内容とすることで、現像圧解除の操作手順を覚え易くし操作ミスを防止できる。
【0037】
図4の(a)に示すように、案内部の一例であるレール102は、感光ドラム1から現像スリーブ4aを離間させる方向へ現像装置4を筐体20から取り出し可能に案内する。
【0038】
付勢手段の一例である押圧バネ103Aは、レール102によって案内された現像装置4を感光ドラム1に向かって付勢する。
【0039】
間隔形成機構101は、手動操作部材の一例である解除レバー101Aを操作することにより、押圧バネ103Aの付勢に逆らって現像装置4を移動させて、図4の(b)に示すように、感光ドラム1と現像スリーブ4aとの間に所定の間隔を形成する。
【0040】
間隔形成機構101は、筐体20から取り出す際の現像装置4の移動に伴って当該移動を妨げない位置へ退去し、筐体20に取り付ける際の現像装置4の移動に伴って所定の間隔を形成可能な状態に復帰する。
【0041】
間隔形成機構101は、解除レバー101A、根本側アーム101B、押圧アーム101C、先端側アーム101D、引張りばね101E、回転軸101Fからなっている。
【0042】
押圧部材の一例である押圧アーム101Cは、解除レバー101Aの回転面と平行な面内で移動して所定の間隔を形成するように現像装置4を押圧する。押圧アーム101Cは、現像装置4へ向かって突き出すように付勢され、図5の(a)に示すように、筐体20から取り出される現像装置4に押圧されることにより当該付勢に逆らって現像装置4の移動を妨げない位置へ退去する。押圧アーム101Cは、現像装置4が装着される際に現像装置4が移動する移動経路内を移動することで、感光ドラム1と現像スリーブ4aとの間に所定の間隔を形成する。そして、筐体20から取り出す際の現像装置4の移動に伴って移動経路外へ退避可能に設けられている。
【0043】
第1のアーム部材の一例である根本側アーム101Bは、解除レバー101Aと一体に回転するとともに押圧アーム101Cを解除レバー101Aの回転面と平行な面内で回動可能に取り付けてある。
【0044】
第2のアーム部材の一例である先端側アーム101Dは、押圧アーム101Cの先端側に解除レバー101Aの回転面と平行な面内で回動可能に取り付けられる。押圧アーム101Cの先端側とは、根本側アーム101Bの反対側に位置する先端側アーム101Dとの接続側端部である。先端側アーム101Dは、現像装置4の移動経路内から移動経路外へ退避可能に設けられている。
【0045】
引張りバネ101Eは、押圧アーム101Cの回動側が現像装置4へ向かって突き出すように、押圧アーム101Cと先端側アーム101Dとを両者の交差角度を小さくする方向に付勢する。
【0046】
案内面の一例であるレール104は、先端側アーム101Dの先端側を支持して現像装置4の移動方向に案内する。先端側アーム101Dの先端側とは、先端側アーム101Dの回動端である。
【0047】
突き出し量規制手段の一例である回転止め101Gは、引張りバネ101Eに付勢されて現像装置へ向かう押圧アーム101Cの突き出し量を限界付ける。回転止め101Gは、引張りバネ101Eに付勢された押圧アーム101Cと先端側アーム101Dの最小交差角度を設定する手段である。
【0048】
すなわち、回転軸101Fは、筐体20に回転可能に軸支持されており、回転軸101Fに対して解除レバー101A及び根本側アーム101Bが取り付けられている。そのため、ユーザー(サービスマン)が解除レバー101Aを回動させるのに連動して、根本側アーム101Bが回転する。
【0049】
押圧アーム101Cの回転軸101Fに近い側は根本側アーム101Bに軸支持され、押圧アーム101Cの回転軸101Fから遠い側は先端側アーム101Dに軸支持されている。引張りばね101Eは、押圧アーム101Cと先端側アーム101Dの交差角度(開き角)を小さくする方向にセットされ、特に他の力がなければ回転止め101Gに先端側アームが突き当たるまで開き角を小さくする方向に両者が回転する。先端側アーム101Dの軸支持されているのと反対側の先端は、レール104に沿って案内されて摺動する構成となっている。
【0050】
解除レバー101Aにクリック感を持たせて起立状態を設定するために、解除レバー101Aを起立位置で回動保持するための回転止め105Aが設けられている。解除レバー101Aにクリック感を持たせて水平状態を設定するために、解除レバー101Aを寝かせた状態で回動保持するための回転止め105Bが設けられている。
【0051】
(1)通常状態
図4の(a)に示すように、通常状態では、ユーザーにより解除レバー101Aは起立位置にセットされて回転止め105Aにより回動保持される。その結果、解除レバー101Aと連動する根本側アーム101Bは、押圧アーム101Cを感光ドラム1側へ引き込んで、現像装置4の突き当たり面4Eから離間させる。
【0052】
この時、押圧アーム101Cと先端側アーム101Dは、根本側アーム101Bの位置に連動して移動するとともに、引張りばね101Eによって互いの開き角が小さくなる方向に付勢されている。また、先端側アーム101Dの先端は、レール104によって支持されている。
【0053】
この状態では、間隔形成機構101は、現像装置4に対して水平方向の付勢力を及ぼさないため、現像装置4は押圧機構103によって感光ドラム1に向かって押圧されて通常の現像動作が可能となる。この時、引張りばね101Eによって押圧アーム101Cと先端側アーム101Dは、開き角が小さくなる方向に付勢されるため、押圧アーム101Cが現像装置4を下方向から押圧する力が発生する。しかし、引張りばね101Eの力は、押圧機構103の力に比べて十分に小さいため、現像装置4の押圧に影響を及ぼすことはない。
【0054】
(2)現像圧解除時
図4の(b)に示すように、現像圧解除時には、ユーザーにより解除レバー101Aは、水平位置にセットされて回転止め105Bにより回動保持される。その結果、解除レバー101Aと連動した根本側アーム101Bは、押圧アーム101Cを感光ドラム1と反対側へ移動させて現像装置4の突き当たり面4Eに押圧させる。この時、押圧アーム101C及び先端側アーム101Dは、根本側アーム101Bに連動して移動し、引張りばね101Eにより互いの開き角が小さくなる方向に付勢され、先端側アーム101Dの先端はレール104に支持されている。
【0055】
その結果、押圧アーム101Cは、押圧バネ103Aの押圧力に逆らって現像装置4を感光ドラム1から遠ざかる方向へ少し移動させて、その状態を保持する。現像装置4は、押圧機構103の押圧に打ち勝って押圧アーム101Cにより押し戻されて感光ドラム1から離間し、現像装置4を取り外すことなく、感光ドラム1等の取り外し、取り付け、メンテナンス等が可能となる。
【0056】
(3)現像装置取り外し時
図5の(a)に示すように、現像装置4自身のメンテナンス等の目的で現像装置4を筐体20から取り出す際には、現像装置4は、着脱経路106を通じて筐体20から取り出される。この時、押圧アーム101C及び先端側アーム101Dが現像装置4の取り出しの障害となる。しかし、押圧アーム101C及び先端側アーム101Dは、下方へ退去可能な構成となっているため、移動する現像装置4の底面によって下方向に押されて着脱経路106から待避する。押圧アーム101C及び先端側アーム101Dが着脱経路106から待避することにより、現像装置4の筐体20からの取り外しが可能となる。
【0057】
図5の(b)に示すように、現像装置4が筐体20から取り出された後、押圧アーム101C及び先端側アーム101Dは引張りばね101Eに付勢されてて、開き角が小さくなる方向へ回転して図4の(a)に示す状態に戻る。このため、再び間隔形成機構101が着脱経路106に突き出して、今度は現像装置4の取り付け移動の邪魔になる。
【0058】
しかし、現像装置4を取り付ける際には、押圧アーム101Cと先端側アーム101Dは、現像装置4の傾斜面4Gに案内されて下方向に押されることにより、着脱経路106から待避する。押圧アーム101Cと先端側アーム101Dが着脱経路106から待避することにより、現像装置4の筐体20への取り付けが可能となる。
【0059】
傾斜面4Gは、レール102に案内されて感光ドラム1へ向かって移動する現像装置4の先頭側に形成され、現像装置4の移動に伴って押圧アーム101Cを現像装置4の移動を妨げない位置へ退去させる。
【0060】
その後、現像装置4が図4の(a)に示す所定状態に戻ると、押圧アーム101Cと先端側アーム101Dは、引張りばね101Eにより開き角が小さくなる方向に付勢されて立ち上がり、突き当たり面4Eから離間する。そして、図4の(b)に示すように、解除レバー101Aを操作により間隔形成機構101を作動させて圧解除することが可能になる。
【0061】
実施例1の構成によれば、現像装置4の着脱の方向と現像装置4の当接解除の方向を略同一方向とし、着脱のためのスペースと現像装置4の押圧をしながら当接解除するスペースを共有できる。これにより、感光ドラムと現像装置を収納する筐体が小型化され、画像形成装置の省スペース化を計り、小型化を実現することが可能となる。圧解除を行うための解除レバーを直感的に操作して、取り出しの着脱経路で現像装置を移動させて、現像スリーブと感光ドラムとの間に所定の間隔を設定できる。
【0062】
そして、像担持体と現像剤担持体との間に所定の間隔を形成する行為を直感的に理解できるとともに、当該所定の間隔を形成するための機構が、現像装置の取り出しを物理的にも精神的にも妨げない。
【0063】
<実施例2>
図6は実施例2における現像装置の当接解除動作の説明図である。
【0064】
図6の(a)に示すように、実施例2では、実施例1に対して、押圧アーム101Cに上方向移動規制部材101Hが付いており、レール107によって押圧アーム101Cの現像装置4側への突き出し量が規制される。上方向移動規制部材101Hは、レール107に沿って移動し、押圧アーム101Cが一定以上、上方向に移動するのを規制する構成となっている。
【0065】
別の案内面の一例であるレール107は、押圧アーム101Cに回転軸を取り付けたコロ部材の一例である上方向移動規制部材101Hを、突き出し量を限界付けるように現像装置4の移動方向に案内する。
【0066】
(1)通常状態
図6の(a)に示すように、通常状態では、ユーザーにより解除レバー101Aが起立状態にセットされて回転止め105Aにより回動保持される。その結果、解除レバー101Aと連動する根本側アーム101Bは、押圧アーム101Cを感光ドラム1側へ引き込んで、現像装置4の突き当たり面4Eから離間させる。この時、押圧アーム101C及び先端側アーム101Dは、根本側アーム101Bに連動して移動し、引張りばね101Eにより互いの開き角が小さくなる方向に付勢され、先端側アーム101Dの先端はレール104に支持されている。
【0067】
この状態では、間隔形成機構101は、現像装置4に対して水平方向の付勢力を及ぼさないため、現像装置4は、押圧機構103によって感光ドラム1に向かって押圧されて通常の現像動作が可能となる。また、この時、引張りばね101Eにより押圧アーム101Cと先端側アーム101Dは開き角が小さくなる方向に付勢されるため、押圧アーム101Cが上方向に移動する力が発生する。しかし、上方向移動規制部材101Hがレール107に押さえられるため、押圧アーム101Cは、現像装置4を押し上げることがなく、接触して余分な力をかけることがない。
【0068】
(2)現像圧解除時
図4の(b)に示すように、現像圧解除時には、ユーザーにより解除レバー101Aは、水平位置にセットされて回転止め105Bにより回動保持される。その結果、解除レバー101Aと連動した根本側アーム101Bは、押圧アーム101Cを感光ドラム1と反対側へ移動させて現像装置4の突き当たり面4Eに押圧させる。この時、押圧アーム101C及び先端側アーム101Dは、根本側アーム101Bに連動して移動し、引張りばね101Eにより互いの開き角が小さくなる方向に付勢される。さらに、押圧アーム101Cは現像装置4から反力を受け、上方向移動規制部材101Hはレール107に沿って、先端側アーム101Dの先端はレール104に沿って保持される。
【0069】
その結果、押圧アーム101Cは、押圧バネ103Aの押圧力に逆らって現像装置4を感光ドラム1から遠ざかる方向へ少し移動させた状態を保持する。現像装置4は、押圧機構103の押圧に打ち勝って押圧アーム101Cにより押し戻されて感光ドラム1から離間し、現像装置4を取り外すことなく、感光ドラム1等の取り外し、取り付け、メンテナンス等が可能となる。
【0070】
また、押圧アーム101Cは、現像装置4より反力を受けることにより、押圧アーム101Cが上方向に移動する力が発生する。しかし、上方向移動規制部材101Hが力を受け止めるため、押圧アーム101Cが現像装置4に上方向の力をかけることなく現像圧解除を実現できる。
【0071】
本発明は、筐体に対して着脱可能な現像装置に対して、感光ドラムに対して着脱することなく離間することが可能な間隔形成機構を設けている。そして、現像装置の着脱方向と圧解除方向を略同一方向とすることで現像装置の着脱と圧解除に使用する空間の省スペース化を実現している。
【0072】
そして、現像圧解除を解除アームとの組み合わせで行うことにより、現像着脱方向と現像圧解除方向を同一方向とした系において、間隔形成機構を現像装置の着脱空間から待避可能としてさらなる省スペース化を実現している。
【符号の説明】
【0073】
1 感光ドラム(像担持体)、2 コロナ帯電器、3 露光装置
4 現像装置、4a 現像スリーブ(現像剤担持体)、4b 固定マグネット
5 転写ローラ、6 ドラムクリーニング装置、8 現像剤補給装置
20 筐体、21 外カバー
103 押圧機構、103a 押圧バネ、103b 固定フック
101 間隔形成機構、101A 解除レバー、101B 根本側アーム
101C 押圧アーム、101D 先端側アーム、101E 引張りばね
101F 回転軸、101H 上方向移動規制部材
102 レール(案内部)、104、107 レール、106 着脱経路
105A、105B 回転止め



【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、現像剤担持体に現像剤を担持させて前記像担持体にトナー像を現像する現像装置と、前記像担持体及び前記現像装置が取り付けられる筐体とを備えた画像形成装置において、
前記像担持体から前記現像剤担持体を離間させる方向へ前記現像装置を前記筐体から取り出し可能に案内する案内部と、
前記案内部によって案内された前記現像装置を前記像担持体に向かって付勢する付勢手段と、
前記付勢手段の付勢に逆らって前記現像装置を移動させて前記像担持体と前記現像剤担持体との間に所定の間隔を形成する間隔形成機構と、を備え、
前記間隔形成機構の少なくとも一部は、前記現像装置が装着される際に前記現像装置が移動する移動経路内を移動することで、前記像担持体と前記現像剤担持体との間に所定の間隔を形成し、前記筐体から取り出す際の前記現像装置の移動に伴って前記移動経路外へ退避可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記間隔形成機構は、手動で回転される手動操作部材と、前記手動操作部材の回転に伴って前記手動操作部材の回転面と平行な面内で移動して前記所定の間隔を形成するように前記現像装置を押圧する押圧部材とを有し、
前記押圧部材は、前記現像装置へ向かって突き出すように付勢され、前記筐体から取り出される前記現像装置に押圧されることにより当該付勢に逆らって前記現像装置の移動を妨げない位置へ退去し、かつ、前記筐体に取り付ける際の前記現像装置の移動に伴って前記所定の間隔を形成可能な状態に復帰することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内部に案内されて前記像担持体へ向かって移動する前記現像装置の先頭側に、前記現像装置の移動に伴って前記押圧部材を前記現像装置の移動を妨げない位置へ退去させる傾斜面を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記手動操作部材と一体に回転するとともに前記押圧部材を前記手動操作部材の回転面と平行な面内で回動可能に取り付けた第1のアーム部材と、
前記押圧部材の回動側に前記手動操作部材の回転面と平行な面内で回動可能に取り付けられた第2のアーム部材と、
前記押圧部材の回動側が前記現像装置へ向かって突き出すように、前記押圧部材と前記第2のアーム部材とを両者の交差角度を小さくする方向に付勢する引張りバネと、
前記第2のアーム部材の回動側を前記現像装置の移動方向に案内する案内面と、
前記引張りバネに付勢されて前記現像装置へ向かう前記押圧部材の突き出し量を限界付ける突き出し量規制手段と、を有することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記突き出し量規制手段は、前記引張りバネに付勢された前記押圧部材と前記第2のアーム部材の最小交差角度を設定する手段であることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記突き出し量規制手段は、前記押圧部材に回転軸を取り付けたコロ部材を、前記突き出し量を限界付けるように前記現像装置の移動方向に案内する別の案内面であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−145383(P2011−145383A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4888(P2010−4888)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】