説明

画像形成装置

【課題】張力付与部材に押圧される部分の無端ベルトの外周面に対向して検知部材が配置される構成であっても、トナー像の検知精度を維持することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】湿度、室温等の環境の変化や印刷モードの変化(カラー印刷とモノクロ印刷)により張力付与ロール40が移動する。張力付与ロール40の移動に伴い回転軸40Aも移動する。回転軸40Aが矢印D方向に円弧状に移動することで、回転軸40Aに溝部82が嵌められた支持部材72は、圧縮コイルばね86の付勢力に対抗して長孔84Cに沿って移動及び回転しながら下方へ移動する。これにより、検知部材70と中間転写ベルト32の外周面との距離が予め定められた距離になり、検知部材70によるトナー像の検知精度が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置には、中間転写ベルトに転写されたトナー像を検知するレジセンサユニット(検知部材)と、レジセンサユニットの検知情報により一の感光ドラムに形成される画像とその他の感光ドラムに形成される画像とを制御する制御手段と、が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−29525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、張力付与部材に押圧される部分の無端ベルトの外周面に対向して検知部材が配置される構成であっても、検知部材と無端ベルトの外周面との距離を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、駆動手段により周回し、外周面にトナー像が形成される無端ベルトと、前記無端ベルトが巻き掛けられ、前記無端ベルトの内周面を押圧して前記無端ベルトに張力を付与する張力付与部材と、前記無端ベルトの外周面に形成されたトナー像を検知する検知部材と、前記検知部材が取り付けられ、装置本体に対して移動可能に前記検知部材を支持する支持部材と、前記張力付与部材に押圧される部分の前記無端ベルトの外周面に対して前記検知部材を位置決めする位置決め手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載において、前記無端ベルトと前記張力付与部材とを含んで構成されると共に、装置本体に着脱可能とされるベルトユニットが設けられ、前記位置決め手段は、前記支持部材に形成され、前記張力付与部材の軸が嵌ると共に、前記ベルトユニットの着脱方向に開口した溝部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項2に記載において、位置決め手段は、前記支持部材に形成された前記溝部に前記張力付与部材の前記軸が嵌るように前記支持部材を付勢する第1付勢部材を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1〜3の何れか1項に記載において、前記張力付与部材は、保持部材に設けられた軸部に対して回転可能とされ、前記軸部を中心に回転することで前記無端ベルトの内周面を押圧し、前記支持部材は、前記張力付与部材の移動に追従して回転可能とされたことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、請求項4に記載において、前記保持部材の前記軸部を挟んで、前記保持部材の一方に前記張力付与部材が設けられるとともに、他方は第2付勢部材により付勢され、前記軸部から前記一方までの距離よりも、前記軸部から前記他方までの距離のほうが長いことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、請求項2〜5の何れか1項に記載において、前記ベルトユニットを装置本体に対して着脱する際に、前記支持部材に形成された前記溝部の開口が前記ベルトユニットの着脱方向を向くように前記支持部材を維持する維持部材が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の画像形成装置によれば、張力付与部材に押圧される部分の無端ベルトの外周面に対向して検知部材が配置される構成であっても、検知部材と無端ベルトの外周面との距離を維持することができる。
【0012】
本発明の請求項2の画像形成装置によれば、支持部材に形成された溝部がベルトユニットの着脱方向に開口していない場合と比して、ベルトユニットを装置本体から容易に離脱させることができる。
【0013】
本発明の請求項3の画像形成装置によれば、支持部材に形成された溝部に張力付与部材の回転軸が嵌るように支持部材を付勢する付勢部材が設けられない場合と比して、簡易な構成で、無端ベルトの外周面に対して検知部材を位置決めすることができる。
【0014】
本発明の請求項4の画像形成装置によれば、張力付与部材は安定してで無端ベルトの内周面を押圧することができるとともに、検知部材と無端ベルトの外周面との距離を維持することができる。
【0015】
本発明の請求項5の画像形成装置によれば、軸部から一方までの距離よりも、軸部から他方までの距離のほうが短い場合と比して、小さな付勢力で必要な張力を得ることができる。
【0016】
本発明の請求項6の画像形成装置によれば、ベルトユニットを装置本体に対して着脱する際に、支持部材に形成された溝部の開口がベルトユニットの着脱方向を向くように支持しない場合と比して、容易にベルトユニットを装置本体に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットを示した側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットを示した側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットを示した側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した斜視図である。
【図11】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットを示した側面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る画像形成装置に採用された一次転写ユニットの張力付与ロールの近傍を示した斜視図である。
【図14】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を図1〜図14に従って説明する。なお図中に示す矢印UPは鉛直方向上方を示す。
【0019】
(全体構成)
図14に示されるように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行なう画像処理部12が設けられている。
【0020】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっており、この処理された階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う露光装置14が装置本体10A内の中央に設けられている。
【0021】
また、露光装置14の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、水平方向に間隔をおいて配置されている。なお、Y,M,C,Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0022】
これらの4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、すべて同様に構成されており、予め決められた速度で回転駆動される円柱状の像保持体18と、この像保持体18の外周面を帯電する一次帯電用の帯電部材20と、前述した露光装置14の画像露光によって帯電した像保持体18の外周面に形成された静電潜像を、予め決められた色のトナーで現像してトナー像として可視化する現像部材22と、像保持体18の外周面を清掃する清掃ブレード24とを含んで構成されている。また、帯電部材20の下側には、円柱状の帯電部材20と接して帯電部材20の外周面を清掃する清掃部材64が設けられている。
【0023】
また、露光装置14には、4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kに共通に構成された、図示しない4つの半導体レーザが設けられており、これらの半導体レーザからレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kが階調データに応じて出射されるようになっている。
【0024】
なお、半導体レーザから出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しないf−θレンズを介して回転多面鏡であるポリゴンミラー26に照射され、このポリゴンミラー26によって偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー26によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、図示しない結像レンズ及び複数枚のミラーを介して、像保持体18上の露光ポイントに、斜め下方から走査露光されるようになっている。
【0025】
また、この露光装置14は、下方から像保持体18上に画像を走査露光するものであるため、この露光装置14には、上方に位置する4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの現像部材22等からトナー等が落下する虞が有る。そのため、露光装置14は、その周囲が直方体状のフレーム28によって密閉されている。そして、フレーム28の上部には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に向けて透過させる透明なガラス製のウインドウ30Y、30M、30C、30Kが設けられている。
【0026】
一方、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方には、ベルトユニットの一例としての一次転写ユニット21が設けられている。そして、この一次転写ユニット21は、無端状の無端ベルトの一例としての中間転写ベルト32と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ回転駆動して中間転写ベルト32を矢印方向に周回させる駆動ロール36と、中間転写ベルト32が巻き掛けられ中間転写ベルト32に張力を付与する張力付与部材の一例としての張力付与ロール40と、張力付与ロール40の上方に設けられて中間転写ベルト32と従動回転する従動ロール66と、中間転写ベルト32を挟んで像保持体18Y、18M、18C、18Kの反対側に配置される一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kと、を含んで構成されている。
【0027】
そして、この4つの一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kによって、画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの像保持体18上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が、中間転写ベルト32上に、多重に転写される構成となっている。
【0028】
さらに、中間転写ベルト32の外周面を清掃する清掃ブレード38が、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール36と対向するように設けられている。また、中間転写ベルト32を挟んで張力付与ロール40と対向する位置には、中間転写ベルト32に転写されたトナー像を検知する検知部材70(図2参照)が取り付けられた支持部材72が設けられている。なお、一次転写ユニット21及び検知部材70等については、詳細を後述する。
【0029】
また、中間転写ベルト32を挟んで従動ロール66の反対側には、二次転写ロール42が設けられている。中間転写ベルト32上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、中間転写ベルト32により搬送され、従動ロール66と二次転写ロール42に挟まれ、用紙搬送経路56に沿って搬送される記録媒体としてのシート部材Pに二次転写されるようになっている。
【0030】
さらに、二次転写ロール42に対してシート部材Pの搬送方向下流側(以下単に下流側と言う)には、シート部材Pに転写されたトナー像を熱及び圧力によりシート部材Pに定着する定着装置44が設けられている。
【0031】
また、定着装置44の下流側には、トナー像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出する排出ロール46が設けられている。
【0032】
一方、画像形成装置10の装置本体10A内の下側には、シート部材Pが積載される給紙部材50が設けられている。さらに、この給紙部材50に積載されたシート部材Pを用紙搬送経路56へ送り出す給紙ロール52が設けられ、給紙ロール52の下流側には、シート部材Pを1枚ずつ分離して搬送る分離ロール54が設けられている。また、分離ロール54の下流側には、搬送タイミングを合わせる位置合せロール58が設けられている。これにより、給紙部材50から供給されたシート部材Pは、予め決められたタイミングで回転する位置合せロール58によって中間転写ベルト32と二次転写ロール42とが接する位置(二次転写位置)へ送り出される構成となっている。
【0033】
さらに、排出ロール46の隣りには、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、両面用搬送経路62に搬送する搬送ロール60が設けられている。これにより、両面用搬送経路62に沿って搬送されるシート部材Pは、表裏が反転された状態で、位置合せロール58へと再度搬送され、今度は、シート部材Pの裏面にトナー像が転写・定着されて排出部48上に排出されるようになっている。
【0034】
この構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
【0035】
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力され、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材20によって帯電した像保持体18の外周面に走査露光され、像保持体18の外周面に静電潜像が形成される。像保持体18上に形成された静電潜像は、現像部材22Y、22M、22C、22Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として可視化される。
【0036】
さらに、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの上方に渡って配置された一次転写ユニット21の一次転写ロール34によって、像保持体18上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写される。
【0037】
また、周回する中間転写ベルト32上に多重に転写された各色のトナー像は、二次転写ロール42により、給紙部材50から給紙ロール52、分離ロール54、位置合せロール58によって用紙搬送経路56に予め決められたタイミングで搬送されたシート部材Pに二次転写される。
【0038】
さらに、トナー像が転写されたシート部材Pは、定着装置44へと搬送される。シート部材Pに転写されたトナー像は、定着装置44によってシート部材Pに定着され、定着された後、画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部48に排出ロール46によって排出される。
【0039】
さらに、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置44によって片面に画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール46によって排出部48上にそのまま排出せずに、搬送方向を切り替え、搬送ロール60を介して両面用搬送経路62へと搬送する。そして、両面用搬送経路62に沿ってシート部材Pを搬送することで、シート部材Pの表裏が反転され、シート部材Pが再度位置合せロール58へと搬送される。今度は、シート部材Pの裏面にトナー像が転写・定着され、転写・定着された後、排出部48上に排出ロール46によって排出される。
【0040】
(要部構成)
次ぎに、一次転写ユニット21及び検知部材70等について説明する。
【0041】
図1に示されるように、中間転写ベルト32に各色を多重に転写される場合(カラー印刷時)には、一次転写ユニット21に設けられた各色の一次転写ロール34は、中間転写ベルト32を像保持体18に押し当てるように図示せぬ支持部材に支持されている。これにより、各色の像保持体18に形成されたトナー像が中間転写ベルト32に転写されるようになっている。
【0042】
また、張力付与ロール40の回転軸40A(回転する軸を支持する支軸を含む)の両端は、回転軸40Aの方向(以下単に軸方向という)から見てL字状に形成された保持部材80の一端に回転可能に支持されている。さらに、保持部材80の角部には、一端部に対して反対側に突出した突出部80Aが設けられ、突出部80Aは軸部74により図示せぬフレーム部材に回転可能に支持されている。つまり、保持部材80は軸部74を中心に回転移動し、張力付与ロール40は軸部74を中心に円弧状に移動可能となっている。
【0043】
さらに、保持部材80の他端部(上方に延びた端部)には、付勢部材の一例としての圧縮コイルばね76の先端部が固定されており、この圧縮コイルばね76の基端部は、フレーム部材78に固定されている。そして、保持部材80が軸部74を中心に回転移動し、張力付与ロール40が中間転写ベルト32の内周面を押圧するように、圧縮コイルばね76が保持部材80の他端を付勢するようになっている。これにより、中間転写ベルト32には、予め定められた範囲の張力が付与される。
【0044】
図2、図3に示されるように、中間転写ベルト32を挟んで張力付与ロール40と対向する位置には、中間転写ベルト32に転写されたトナー像を検知する検知部材70が設けられ、この検知部材70は、支持部材72に取り付けられている。
【0045】
詳細には、支持部材72は、張力付与ロール40の回転軸40Aが嵌る溝部82が先端部に形成されると共に張力付与ロール40を軸方向から見て挟むように配置された一対の支持部72Aと、一対の支持部72Aの基端部に掛け渡された底部72Bと、を備えている。そして、底部72Bには、中間転写ベルト32に転写された各色のトナー像の色ずれ及び濃度を検出する第1検出部材70Aと、色ずれだけを検出する第2検出部材70Bとが中間転写ベルト32に対向するように軸方向に並んで固定されている。
【0046】
さらに、底部72Bの両端には、軸方向に突出する円柱部72Cが設けられている。そして、円柱部72Cは、支持部材72を保持する保持部材84に形成され、軸方向から見て回転軸40Aに向って延びる長孔84Cに挿入されている。
【0047】
詳細には、この保持部材84は、一対の支持部72Aを外側から挟むように設けられた一対の立板部84Aと、一対の立板部84Aの基端部に掛け渡された底部84Bと、を含んで構成されており、この底部84Bは、図示せぬ固定部材で、装置本体10Aに固定されている。そして、前述した長孔84Cは、各立板部84Aに形成されており、立板部84Aに形成された長孔84Cに挿通された円柱部72Cは、長孔84C内で、移動及び回転可能とされている。つまり、支持部材72は、長孔84Cに移動及び回転可能に支持されている。
【0048】
また、支持部材72の底部72Bと、保持部材84の底部84Bとの間には、支持部72Aに形成された溝部82に回転軸40Aが嵌るように支持部材72を付勢する付勢部材の一例としての圧縮コイルばね86が、軸方向に並んで2個設けられている。
【0049】
この構成によって、中間転写ベルト32に張力を付与するため(移動に追従させるため)、張力付与ロール40が軸部74を中心に回転移動すると、円柱部72Cが長孔84Cを移動及び回転することで、張力付与ロール40の回転軸40Aに溝部82が嵌められたまま支持部材72は移動するようになっている。
【0050】
このように、支持部材72が移動することで、支持部材72は、回転軸40Aに位置決めされ、第1検出部材70A及び第2検出部材70Bと中間転写ベルト32との距離が予め定められた値になるように、第1検出部材70は張力付与ロール40の回転中心を向くようになっている。つまり、張力付与ロール40に押圧される部分の中間無端ベルト32の外周面に対して検知部材70を位置決めする位置決め手段90は、長孔84C、長孔84Cに挿入された円柱部72C、回転軸40Aに嵌める溝部82と、圧縮コイルばね86とを含んで構成されている。
【0051】
また、図7、図8に示されるように、全ての一次転写ロール34を像保持体18から離間させ、装置本体10Aに設けられた図示せぬカバーを開放して、一次転写ユニット21を装置本体10Aから離脱させる際には、一次転写ユニット21の着脱方向(図8に示す矢印C方向)に開口するように溝部82の形状が決められている。
【0052】
さらに、図13に示されるように、装置本体10Aから一次転写ユニット21を離脱させると、図示せぬ制御手段の指示により収納位置から移動して支持部材72と当り支持部材72をその位置に維持する維持部材の一例としてのストッパー88が設けられている。また、一次転写ユニット21を装置本体10Aへ装着すると、図示せぬ制御手段の指示でストッパー88は、支持部材72から離れる収納位置へ移動するようになっている。
【0053】
(作用)
次ぎに、カラー印刷時、モノクロ印刷時、及び一次転写ユニット21の着脱時の張力付与ロール40の動き等について説明する。
【0054】
図1に示されるように、カラー印刷時には、各色の一次転写ロール34は、中間転写ベルト32を像保持体18に押し当てるように図示せぬ支持部材に支持さる。これにより、駆動ロール36と黒色の一次転写ロール34Kとの間の中間転写ベルト32は、軸方向から見て外側に凸となるように大きく湾曲している。
【0055】
そして、図2、図3に示されるように、圧縮コイルばね76が、保持部材80の他端を付勢することで、保持部材80が軸部74を中心に矢印D方向に回転しようとする(回転モーメントが作用する)。保持部材80が矢印D方向に回転しようとすることで、保持部材80の一端に回転可能に支持された張力付与ロール40は、中間転写ベルト32の内周面を押圧して張力付与ロール40に張力を付与する。
【0056】
さらに、圧縮コイルばね86は、長孔84Cに移動及び回転可能に支持された支持部材72の溝部82が張力付与ロール40の回転軸40Aに嵌るように、支持部材72に矢印D方向と反対の方向に回転力が作用するよう、円柱部72Cに対して右下から支持部材72を付勢する。
【0057】
これにより、湿度、室温等の環境が変わって中間転写ベルト32の長さが変わって張力付与ロール40が移動した場合でも、この移動に伴って支持部材72が移動することで、張力付与ロール40に押圧される部分の中間転写ベルト32の外周面に対向して配置された検知部材70と中間転写ベルト32の外周面との距離が予め定められた距離になる。
【0058】
この状態で、検知部材70が、中間転写ベルト32に転写された各色のトナー像の色ずれ及び濃度を検知して、この検知結果に基づいて、図示せぬ制御部が各色の画像形成ユニット16(図14参照)を制御してトナー像の色ずれ及び濃度むらを補正する。
【0059】
一方、図4に示されるように、モノクロ印刷時には、一次転写ロール34Y、34M、34Cは、中間転写ベルト32から離れるように移動する。これにより、駆動ロール36と黒色の一次転写ロール34Kとの間の中間転写ベルト32は、軸方向から見て直線となり、カラー印刷時と比して、中間転写ベルト32に付与される張力が低下する。
【0060】
図5、図6に示されるように、中間転写ベルト32に付与される張力が低下すると、圧縮コイルばね76が、保持部材80の他端を付勢することで、保持部材80が軸部74を中心に矢印D方向に回転移動する。保持部材80が矢印D方向に回転することで、保持部材80の一端に回転可能に支持された張力付与ロール40は、中間転写ベルト32の内周面を押圧して張力付与ロール40に張力を付与する。これにより、予め決められた張力が中間転写ベルト32に付与される。
【0061】
さらに、張力付与ロール40の移動に伴い回転軸40Aも移動する。回転軸40Aが矢印D方向に円弧状に移動することで、回転軸40Aに溝部82が嵌められた支持部材72は、圧縮コイルばね86の付勢力に対抗して長孔84Cに沿って移動及び回転しながら下方へ移動する。
【0062】
これにより、モノクロ印刷時の場合でも、張力付与ロール40に押圧される部分の中間転写ベルト32の外周面に対向して配置された検知部材70と中間転写ベルト32の外周面との距離は、カラー印刷時と同等の予め定められた距離になる。
【0063】
この状態で、検知部材70が、中間転写ベルト32に転写された黒色のトナー像の色ずれ(位置ずれ)及び濃度を検知して、この検知結果に基づいて、図示せぬ制御部が画像形成ユニット16Kを制御してトナー像の色ずれ及び濃度むらを補正する。
【0064】
一方、図7に示されるように、一次転写ユニット21の着脱時には、一次転写ロール34Y、34M、34C、34Kは、中間転写ベルト32から離れるように移動する。これにより、駆動ロール36と張力付与ロール40との間の中間転写ベルト32は、軸方向から見て直線となり、モノクロ印刷時と比して、中間転写ベルト32に付与される張力が低下する。
【0065】
図8、図9に示されるように、中間転写ベルト32に付与される張力が低下すると、圧縮コイルばね76が、保持部材80の他端を付勢することで、保持部材80が軸部74を中心に矢印D方向に回転移動する。保持部材80が矢印D方向に回転することで、保持部材80の一端に回転可能に支持された張力付与ロール40は、中間転写ベルト32の内周面を押圧する。これにより、予め決められた張力が中間転写ベルト32に付与される。ここで、軸部74から一端までの距離よりも、軸部から他端までの距離のほうが長くなるように、保持部材80は構成されている。したがって、軸部74を支点とする梃子の原理により、張力と同等な付勢力を有する圧縮コイルばねを用いずに、中間転写ベルト32に対して必要な張力を付与している。つまり、張力付与ロール40を直接的に付勢する場合に比して、ばね定数が小さな圧縮コイルばねを用いることが可能となっている。 この状態で、溝部82は、一次転写ユニット21の着脱方向(図8に示す矢印C方向)に開口している。
【0066】
さらに、この状態から一次転写ユニット21を装置本体10Aから離脱させようとすると、図10に示されるように、図示せぬ制御部の指示により、ストッパー88が、収納位置から移動して支持部材72の底部72Bと当り支持部材72をその位置に保持する。
【0067】
図11、図12、図13に示されるように、図示せぬ装置本体10Aのカバーを外し、一次転写ユニット21を矢印C方向に移動させることで、張力付与ロール40の回転軸40Aが溝部82から離れ、一次転写ユニット21が装置本体10Aから離脱する。
【0068】
一次転写ユニット21が装置本体10Aから離脱しても、ストッパー88が支持部材72の底部72Bと当っているため、溝部82が一次転写ユニット21の着脱方向に開口した状態で支持部材72が保持される。
【0069】
これに対し、一次転写ユニット21を装置本体10Aに装着する際には、一次転写ユニット21を支持部材72に近づけるように、矢印C方向へ移動させる。図8、図9に示されるように、一次転写ユニット21を矢印C方向へ移動させると、張力付与ロール40の回転軸40Aが一次転写ユニット21の着脱方向に開口した溝部82に嵌り、一次転写ユニット21は装置本体10Aに装着される。
【0070】
一次転写ユニット21が装置本体10Aに装着されると、図示せぬ制御手段の指示でストッパー88は、支持部材72から離れる収納位置へ移動する。これにより、張力付与ロール40の移動に伴って支持部材72が移動する構成となる。
【0071】
以上説明したように、湿度、室温等の環境の変化や印刷モードの変化(カラー印刷とモノクロ印刷)により張力付与ロール40が移動した場合でも、検知部材70が取り付けられた支持部材72は、張力付与ロール40の移動に伴って移動するため、検知部材70と中間転写ベルト32の外周面との距離が予め定められた距離になり、検知部材70によるトナー像の検知精度が維持される。
【0072】
また、一次転写ユニット21を装置本体10Aから離脱させる際には、一次転写ユニット21の着脱方向(図8に示す矢印C方向)に開口するように溝部82の形状が決められているため、一次転写ユニット21が装置本体10Aから容易に離脱される。
【0073】
また、張力付与ロール40は、軸部74を中心に円弧状に移動して中間転写ベルト32の内周面を押圧するため、張力付与ロール40が直線状に移動する場合と比して、張力付与ロール40の動きは傾いたりすることなく安定する。このため、張力付与ロール40は安定した力で中間転写ベルト32の内周面を押圧する。この構成において、支持部材72が張力付与ロール40の移動に追従して移動及び回転することで、検知部材70が常に張力付与ロール40の回転中心を向くことで、検知部材70と中間転写ベルト32の外周面との距離が予め定められた距離となる。
【0074】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト32に形成されたトナー像を検知する場合を例にとって説明したが、これに限定されることなく、用紙搬送ベルトに形成されるトナー像を検知する場合にこの構造を用いてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 画像形成装置
10A 装置本体
21 一次転写ユニット(ベルトユニット)
32 中間転写ベルト(無端ベルト)
40 張力付与ロール(張力付与部材)
40A 回転軸
70 検知部材
72 支持部材
74 軸部
76 圧縮コイルばね(第2付勢部材)
80 保持部材
82 溝部
86 圧縮コイルばね(第1付勢部材)
88 ストッパー(維持部材)
90 位置決め手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段により周回し、外周面にトナー像が形成される無端ベルトと、
前記無端ベルトが巻き掛けられ、前記無端ベルトの内周面を押圧して前記無端ベルトに張力を付与する張力付与部材と、
前記無端ベルトの外周面に形成されたトナー像を検知する検知部材と、
前記検知部材が取り付けられ、装置本体に対して移動可能に前記検知部材を支持する支持部材と、
前記張力付与部材に押圧される部分の前記無端ベルトの外周面に対して前記検知部材を位置決めする位置決め手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記無端ベルトと前記張力付与部材とを含んで構成されると共に、装置本体に着脱可能とされるベルトユニットが設けられ、
前記位置決め手段は、前記支持部材に形成され、前記張力付与部材の軸が嵌ると共に、前記ベルトユニットの着脱方向に開口した溝部を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
位置決め手段は、前記支持部材に形成された前記溝部に前記張力付与部材の前記軸が嵌るように前記支持部材を付勢する第1付勢部材を備える請求2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記張力付与部材は、保持部材に設けられた軸部に対して回転可能とされ、前記軸部を中心に回転することで前記無端ベルトの内周面を押圧し、
前記支持部材は、前記張力付与部材の移動に追従して回転可能とされた請求項1〜3の何れか1項に記載された画像形成装置。
【請求項5】
前記保持部材の前記軸部を挟んで、前記保持部材の一方に前記張力付与部材が設けられるとともに、他方は第2付勢部材により付勢され、
前記軸部から前記一方までの距離よりも、前記軸部から前記他方までの距離のほうが長い請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルトユニットを装置本体に対して着脱する際に、前記支持部材に形成された前記溝部の開口が前記ベルトユニットの着脱方向を向くように前記支持部材を維持する維持部材が設けられる請求項2〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−191679(P2011−191679A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59740(P2010−59740)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】