説明

画像形成装置

【課題】当接する部材が駆動されることで、停止中の感光体ドラムの表面が摩擦され、当該感光体ドラムがダメージを受けることを防止する。
【解決手段】除電部139は、発光部材139aと受光部139bとを備え、感光体ドラム131の周面の端部131bの一部には、発光部材139aが発した除電光Leの反射光Lrの反射率が、端部131bよりも低いパッチ131cが設けられている。ドラム回転検知部401は、予め定められた単位時間内に、受光部139bにおける反射光Lrの受光レベルが、端部131bからの反射光Lrを受光することで得られる第1の受光レベルと、パッチ131cからの反射光Lrを受光することで得られる第2の受光レベルとの、いずれか一方のまま変化しない場合に感光体ドラム131が停止していると判別し、この場合に、制御部400は、画像形成動作を行わせない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置が備える感光体ドラムを保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機やプリンタ等の静電写真プロセスを利用した画像形成装置では、静電潜像が形成された感光体ドラムにトナー像が形成され、当該トナー像が最終的に用紙に定着されることで、画像形成がなされる。前記感光体ドラムは、例えばステッピングモータであるドラムモータによって速度制御可能に回転駆動される(例えば特許文献1段落0018参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−202224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
静電気や落雷等に由来する外来ノイズや、電圧値変化に由来する負荷変動等によって、前記ドラムモータが駆動不能になり、一方、前記感光体ドラムに当接する中間転写ベルトや現像ローラ等は、駆動可能である場合がある。なぜならば、前記中間転写ベルトや前記現像ローラ等は、前記ドラムモータとは異なるモータにより駆動されているからである。
【0005】
前記感光体ドラムの駆動が停止した状態で、当該感光体ドラムに当接する前記中間転写ベルトや前記現像ローラ等が駆動されると、前記中間転写ベルトや前記現像ローラ等によって摩擦されて、当該感光体ドラムがダメージを受けるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、前記感光体ドラムの駆動が停止した状態であっても、前記中間転写ベルトや前記現像ローラ等に摩擦されて、当該感光体ドラムがダメージを受けるおそれのない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、周面の回転軸方向端部を残して感光材料が塗布された感光領域を有する感光体ドラムと、前記感光領域を帯電させる帯電部と、前記帯電部によって帯電された前記感光領域に静電潜像を形成させる露光部と、前記静電潜像が形成された前記感光領域にトナーを供給してトナー像を形成させる現像部と、前記感光体ドラムを除電する除電光を発する発光部材が、前記感光体ドラムの周面に対向し、かつ、前記感光領域の前記回転軸方向に設けられた除電部と、前記感光体ドラム周面の前記端部から反射された前記除電光の反射光を受光する受光部と、前記感光体ドラムの前記周面の前記端部の一部に形成され、前記周面の前記端部よりも前記反射光の反射率が低いパッチと、前記感光体ドラムの回転を検知するドラム回転検知部と、前記感光体ドラムと、前記帯電部と、前記露光部と、前記現像部と、前記除電部とを動作させて記録シート上に前記トナー像を転写する画像形成動作を行わせる制御部と、を備え、前記ドラム回転検知部は、予め定められた単位時間内に前記受光部における前記反射光の受光レベルが、前記端部からの反射光を受光することで得られる第1の受光レベルから、第1の受光レベルよりも低い前記パッチからの反射光を受光することで得られる第2の受光レベルへと変化する場合、または、前記第2の受光レベルから前記第1の受光レベルへと変化する場合に、前記感光体ドラムが回転していると判別し、前記第1の受光レベルまたは前記第2の受光レベルのまま変化しない場合に前記感光体ドラムが停止していると判別し、前記制御部は、前記ドラム回転検知部が、前記感光体ドラムが停止していると判別したときには、前記画像形成動作を行わせない。
【0008】
この構成によれば、画像形成動作を制御する制御部は、前記感光体ドラムが停止している場合には前記画像形成動作を行わせないので、当該感光体ドラムと当接する部材の駆動も停止される。そのため、前記感光体ドラムが停止している場合に、前記感光体ドラムと当接する部材が駆動することで当該感光体ドラムが摩擦されて、当該感光体ドラムがダメージを受けることを防止できる。
【0009】
さらにこの構成によれば、除電光によって前記感光体ドラムを除電する除電部を備えた画像形成装置に、前記感光体ドラムの前記周面の前記端部の一部に形成されたパッチと、前記受光部とを設けるという簡便な構成で、前記ドラム回転検知部による前記感光体ドラムの回転の検知が可能となる。
【0010】
上記構成において、前記除電部は、前記パッチに対向する位置に前記受光部を備えることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、前記受光部は前記除電部に設けられるので、当該受光部を設けるための余分なスペースが不要となる。さらに、前記受光部は前記パッチに対向して位置するので、当該受光部は、前記受光レベルが前記第2の受光レベルにあることを確実に検知することができる。
【0012】
上記構成において、前記制御部は、前記ドラム回転検知部が画像形成動作中に前記感光体ドラムの停止を検知した場合には、当該画像形成動作を停止させることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、画像形成動作中に感光体ドラムが停止した場合に、前記感光体ドラムと当接する部材が駆動を続けて、当該感光体ドラムとの間に摩擦力が発生することを防止でき、当該摩擦力により当該感光体ドラムがダメージを受けることを防止できる。
【0014】
さらに上記構成において、複数のローラ間に無端走行可能に張架され、その表面又は該表面に載置された記録シートに前記トナー像が転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを駆動する駆動ローラと、をさらに備える場合は、前記制御部は、前記駆動ローラの駆動をさらに制御し、前記ドラム回転検出部が前記感光体ドラムの停止を検知した場合に、前記駆動ローラを停止させることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、画像形成動作中に感光体ドラムが停止した場合に、前記感光体ドラムと当接する前記中間転写ベルトが駆動を続けて、当該感光体ドラムとの間に摩擦力が発生することを防止でき、当該摩擦力により当該感光体ドラムがダメージを受けることを防止できる。
【0016】
さらに上記構成において、前記現像部が、前記感光体ドラムと平行に延び、当該感光体ドラムに当接して前記感光領域にトナーを供給する現像ローラを備えるものであれば、前記制御部は、前記ドラム回転検出部が前記感光体ドラムの停止を検知した場合に、前記現像ローラを停止させることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、画像形成動作中に感光体ドラムが停止した場合に、前記感光体ドラムと当接する前記現像ローラが駆動を続けて、当該感光体ドラムとの間に摩擦力が発生することを防止でき、当該摩擦力により当該感光体ドラムがダメージを受けることを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、前記感光体ドラムが停止している場合に、前記感光体ドラムと当接する部材が駆動することで当該感光体ドラムが摩擦され、当該感光体ドラムがダメージを受けることを防止できる。したがって、感光体ドラムが長寿命化され、コスト削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を説明するための断面図である。
【図2】図1における駆動ローラと駆動ローラ近傍の感光体ドラムの1つとを含む部分を拡大して示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置が備える除電部と感光体ドラムの回転検知機構とを模式的に示す図である。
【図5】受光部における受光レベルの変化と、感光体ドラムの回転との関係を模式的に示す波形図である。(A)は、感光体ドラムが回転している場合を示し、(B)は、感光体ドラムの回転が停止した場合を示す。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作時の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を説明するための断面図である。本実施形態においては、画像形成装置としてプリンタ10が採用されている。プリンタ10は、用紙P(記録シート)の束を貯留する給紙部12と、この給紙部12から搬送されてきた用紙Pに画像情報に応じたトナー像を転写する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙Pに転写されたトナー像に対し定着処理を施す定着部14と、この定着部14で定着処理の施された用紙Pが排出される排紙部15と、を備えている。
【0021】
給紙部12は、プリンタ10下部に挿脱自在に装着された複数枚の用紙Pが貯留可能な用紙カセット121と、この用紙カセット121の図1における右側上方位置に設けられたピックアップローラ122とを備えている。用紙カセット121に貯留されている用紙Pは、ピックアップローラ122の駆動により1枚ずつピックアップされて画像形成部13に向けて送り出される。
【0022】
画像形成部13には、マゼンタ(M)色のトナーを用いるマゼンタ用ユニット13M、シアン(C)色のトナーを用いるシアン用ユニット13C、イエロー(Y)色のトナーを用いるイエロー用ユニット13Y、ブラック(K)色のトナーを用いるブラック用ユニット13K、の各ユニットが並列に配設されている。
【0023】
各ユニット13M,13C,13Y,13Kには、感光体ドラム131と、帯電器132(帯電部)と、露光装置133(露光部)と、現像装置134(現像部)と、トナーコンテナ135と、一次転写ローラ136と、ドラムクリーニング装置138と、イレーサ139(除電部)がそれぞれ設けられている。
【0024】
また、画像形成部13には、各ユニット13M,13C,13Y,13Kに共通する部材として、各感光体ドラム131の下方位置で上部側が各感光体ドラム131と当接され、感光体ドラム131の周面のトナー像が転写される中間転写ベルト20と、この中間転写ベルト20上のトナー像を静電的に引き剥がして給紙部12から送り込まれた用紙Pに転写させる二次転写ローラ26とが設けられている。
【0025】
感光体ドラム131は、前後方向(図1の紙面に直行する方向)に延びた軸心回りに回転可能に設けられ、その周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させる。各感光体ドラム131は、図1において反時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置134からトナーの供給を受ける。
【0026】
帯電器132は、その帯電ワイヤに図略の電源から高圧電圧が印加され、これによるコロナ放電で感光体ドラム131の周面に一様な電荷を形成させるようになっている。なお、帯電器132に代えて高電圧が印加された帯電ローラを感光体ドラム131の周面に当接させるようにし、これによって感光体ドラム131の周面に電荷を形成させるようにしてもよい。
【0027】
露光装置133は、帯電器132によって一様に帯電された感光体ドラム131の周面に、図略のコンピュータ等から入力された画像データに基づくレーザー光を照射する。このレーザー光の照射によって、感光体ドラム131の周面に静電潜像が形成される。かかる静電潜像に現像装置134からのトナーが供給されることにより、感光体ドラム131の周面にトナー像が形成され、このトナー像が周回している中間転写ベルト20に転写される。
【0028】
現像装置134は、内部に攪拌搬送部材が設けられているとともに、最下部位置に周面が感光体ドラム131の周面と対向した現像ローラ137が備えられている。現像ローラ137は、現像ローラ137を駆動する図略のモータによって、もしくは図略の磁気ローラに従動して回転し、この現像ローラ137の回転によってトナーが感光体ドラム131の周面に供給される。各現像装置134に対してトナーコンテナ135が着脱自在に装着され、トナーコンテナ135から現像装置134にトナーが供給される。
【0029】
一次転写ローラ136は、感光体ドラム131上のトナー像を静電的に引き剥がして中間転写ベルト20の表面に転写させる。すなわち、中間転写ベルト20の表面には、各ユニット13M,13C,13Y,13Kにおける感光体ドラム131の周面に形成されたトナー画像が順に塗り重ね状態で転写され、これによってその表面にカラー画像が形成される。ドラムクリーニング装置138は、中間転写ベルト20への転写処理後の感光体ドラム131の周面を清浄化処理する。
【0030】
イレーサ139は、ドラムクリーニング装置138に対して感光体ドラム131の回転方向の下流側で、帯電器132に対して上流側に設けられており、感光体ドラム131の表面に残留している電荷を除去する。イレーサ139の詳細は、後に詳しく説明する。
【0031】
中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20を張架するローラ等の機構とともに、転写ユニット200を形成している。転写ユニット200は、駆動ローラ22と、テンションローラ21と、押圧ローラ23と、従動ローラ25と、中間転写ベルト20と、屈曲ローラ30とを備えている。
【0032】
中間転写ベルト20は、各ユニット13M,13C,13Y,13Kの各一次転写ローラ136と、ユニット13Mの一次転写ローラ136の図1における若干左方位置に設けられたテンションローラ21と、ユニット13Kの一次転写ローラ136の図2における若干右方位置に設けられた駆動ローラ22と、本実施形態ではテンションローラ21の右方におけるユニット13Cの一次転写ローラ136の略直下位置に配設された、中間転写ベルト20を屈曲させるための屈曲ローラ30と、この屈曲ローラ30と前記駆動ローラ22との間の略中間位置であって、これらより下方位置に配設された押圧ローラ23と、に掛け回されて張架されている。
【0033】
駆動ローラ22、テンションローラ21、押圧ローラ23および一次転写ローラ136は、これらの周面がいずれも中間転写ベルト20の内周側に当接されている。一方、屈曲ローラ30は、その周面が中間転写ベルト20の外周側に当接されている。
【0034】
屈曲ローラ30は、周回する中間転写ベルト20下方外周側の中央よりもややテンションローラ21寄りの位置で中間転写ベルト20に当接され、中間転写ベルト20に従動して回転する。屈曲ローラ30は、中間転写ベルト20を内周方向に押圧し屈曲させる。
【0035】
駆動ローラ22は、中間転写ベルト20の内周側に当接し中間転写ベルト20を駆動する。押圧ローラ23は、中間転写ベルト20を二次転写ローラ26へ向けて押圧する。これによって中間転写ベルト20の表面のカラー画像が、中間転写ベルト20と二次転写ローラ26とに挟持された状態で搬送されつつある用紙Pに確実に転写される。
【0036】
二次転写ローラ26は、押圧ローラ23の直下位置で中間転写ベルト20を介して当該押圧ローラ23により押圧されている。二次転写ローラ26には、中間転写ベルト20上のトナー画像を静電的に引き剥がすバイアス電圧が図略の電源から印加される。したがって、中間転写ベルト20と二次転写ローラ26との間を通過する用紙Pには、中間転写ベルト20のトナー画像が転写されることになる。
【0037】
また、各一次転写ローラ136の左方位置にはそれぞれ上部従動ローラ24が設けられているとともに、屈曲ローラ30と押圧ローラ23との間および駆動ローラ22と押圧ローラ23との間には従動ローラ25がそれぞれ設けられている。これらの上下の従動ローラ24,25は、中間転写ベルト20が弛まないように中間転写ベルト20を内側から押圧して緊張状態を維持させるためのものである。
【0038】
また、図1における左側の従動ローラ25に中間転写ベルト20を介して対向した位置には、用紙Pに対する転写処理後の中間転写ベルト20の表面を清浄化処理するクリーニングユニット100が設けられている。このクリーニングユニット100によって清浄化処理が施された中間転写ベルト20は、次の転写処理を受けるべく屈曲ローラ30を通過したのち各ユニット13M,13C,13Y,13Kの各感光体ドラム131へ向かうことになる。
【0039】
定着部14は、画像形成部13で用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、ハロゲンランプ等の通電発熱体により加熱される定着ローラ141と、下部でこの定着ローラ141に対向配置され、周面が定着ローラ141の周面に押圧当接される加圧ローラ142とを備えている。図1に示すように、定着部14は、屈曲ローラ30による中間転写ベルト20の押圧で形成されたスペースに配置されている。
【0040】
二次転写ローラ26により中間転写ベルト20からトナー像が転写された用紙Pは、中間転写ベルト20と二次転写ローラ26とに挟持された状態で中間転写ベルト20の周回に誘導されつつ定着部14に導入され、定着ローラ141と加圧ローラ142との間を通過するときの加熱によりトナー像が当該用紙Pに定着される。定着処理後の用紙Pは、排出ローラ対143の駆動により排紙搬送路101を上昇し、排紙口152を通ってプリンタ10の頂部に設けられた排紙トレイ151へ排出される。
【0041】
図2は、図1における駆動ローラ22とユニット13Kが備える駆動ローラ22近傍の感光体ドラム131と含む部分を拡大して示した図である。駆動ローラ22は、ローラ駆動用モータ22Mから駆動力を与えられる。感光体ドラム131は、ドラムモータ131Mから駆動力を与えられる。駆動ローラ22および感光体ドラム131の回転数は、制御部400がローラ駆動用モータ22Mおよびドラムモータ131Mの回転数を制御することで制御される。
【0042】
図3は、プリンタ10の電気的な構成を示すブロック図である。制御部400は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)等を備えて構成され、ROMに格納された制御プログラムを実行することで、ローラ駆動用モータ22Mおよびドラムモータ131Mの回転数を制御するとともに、プリンタ10における画像形成動作全般を制御する。すなわち、制御部400は、画像形成部13を構成する感光体ドラム131と、帯電器132と、露光装置133と、現像装置134と、イレーサ139とを動作させて、感光体ドラム131の周面に画像情報に応じたトナー像を形成させ、当該トナー像を給紙部12から搬送されてきた用紙Pに転写する画像形成動作を行わせる。
【0043】
さらに制御部400は、前記制御プログラムを実行することで、ソフトウェア的にドラム回転検知部401を具備するように機能する。なお、ドラム回転検知部401をハードウェアとして設けることもできる。ドラム回転検知部401は、イレーサ139が備えるフォトダイオード139bの受光レベルの変化に基づいて、感光体ドラム131の回転を検知する。この回転検知の機構については、後に詳しく説明する。
【0044】
制御部400は、ドラム回転検知部401が回転中の感光体ドラム131の停止を検知すると、感光体ドラム131に当接する現像ローラ137の駆動および中間転写ベルト20を駆動する駆動ローラ22の駆動を停止させて、前記画像形成動作を停止させる。また、制御部400は、画像形成部13に前記画像形成動作を開始させるに際して、ドラムモータ131Mに駆動信号を出力して、感光体ドラム131が回転するか否かをドラム回転検知部401に検知させる。ドラム回転検知部401が、感光体ドラム131の回転を検知できない場合には、制御部400は、現像ローラ137および中間転写ベルト20を駆動させず、画像形成部13に前記画像形成動作を開始させない制御を行う。
【0045】
図4は、イレーサ139と感光体ドラム131の回転検知機構とを模式的に示す図である。図5は、フォトダイオード139bにおける受光レベルの変化と感光体ドラム131の回転との関係を模式的に示す波形図である。図5(A)は、感光体ドラム131が回転している場合を示し、図5(B)は、感光体ドラム131の回転が停止した場合を示す。
【0046】
イレーサ139は、LED(light−emittig diode)群139a(発光部材)と、フォトダイオード139b(受光部)と、を備える。LED群139aは、感光体ドラム131(より正しくは感光領域131a)を除電する除電光Leを照射する複数のLED139a1が、感光体ドラム131の周面に対向し、かつ、感光体ドラム131の回転軸方向に、後述の感光領域131aの全長にわたってアレイ状に設けられて構成されている。
【0047】
フォトダイオード139bは、イレーサ139の一端であって、アレイ状に並ぶLED139aに隣接する位置、かつ感光体ドラム131の端部131bに対向する位置に設けられている。フォトダイオード139bは、感光体ドラム131に向けて照射された除電光Leの反射光Lrを受光して光電変換し、反射光Lrの受光レベルに応じた電気信号をドラム回転検知部401に出力する。
【0048】
感光体ドラム131には、その周面の回転軸方向の端部131bを残して感光材料が塗布された感光領域131aが形成されている。感光体ドラム131のフォトダイオード139bと対向する側の端部131bの一部には、端部131bよりも除電光Leの反射率が低い、例えば黒色のパッチ131cが形成されている。そのため、図5(A)に示すように、感光体ドラム131が回転している場合には、パッチ131cがフォトダイオード139bに対向する位置にくる毎に、フォトダイオード139bにおける反射光Lrの受光レベルは、端部131bからの反射光Lrを受光することで得られる第1の受光レベルQ1から、パッチ131cからの反射光Lrを受光することで得られる第2の受光レベルQ2(Q1>Q2)へと低下する。
【0049】
一方、感光体ドラム131の回転が停止した場合、フォトダイオード139bに対向する位置には、パッチ131cまたは端部131bのパッチ131cが形成されていない部分のいずれかが常に位置することになる。そのため、図5(B)に示すように、感光体ドラム131の回転に停止時(t)以降には、反射光Lrの受光レベルは第1の受光レベルQ1または第2の受光レベルQ2のまま変化しない。なお、図5(B)においては、端部131bのパッチ131cが形成されていない部分がフォトダイオード139bに対向している状態で感光体ドラム131が停止している状態を示している。
【0050】
ドラム回転検知部401は、感光体ドラム131の1周の設定時間である予め定められた単位時間t内にフォトダイオード139bにおける反射光Lrの受光レベルが、第1の受光レベルQ1(時間t)から第2の受光レベルQ2(時間t、t=t+t)へと変化する場合、または、第2の受光レベルQ2から第1の受光レベルQ1へと変化する場合に、感光体ドラム131が回転していると判別し、第1の受光レベルまたは前記第2の受光レベルのまま変化しない場合に前記感光体ドラムが停止していると判別する。より詳しくは、予め定められた単位時間t内に、フォトダイオード139bにおける反射光Lrの受光レベルが、予め定められた閾値Thよりも大きな値から小さな値と変化する場合、または、閾値Thよりも小さな値から大きな値と変化する場合に、感光体ドラム131が回転していると判別し、フォトダイオード139bにおける反射光Lrの受光レベルが、閾値Thよりも大きい、または小さい状態が継続する場合には受光レベルのまま変化しない場合に前記感光体ドラムが停止していると判別する。
【0051】
例えば、ドラムモータ131Mの駆動軸にエンコーダ板を設け光学的に感光体ドラム131の回転を検出する場合、投受光を行う部材の追加が必要となり、コストアップに繋がる。さらに前記エンコーダ板を取り付けるためのスペースを確保する必要も生じる。一方本実施形態の構成の場合は、イレーサ139が備えるLED139aの投光機能を利用するので、追加が必要な部材はフォトダイオード139bのみであるから、コストアップはわずかである。しかも、感光体ドラム131の回転を検知する機能を設けるための、追加的なスペースを必要としない。
【0052】
図6は、画像形成動作時に制御部400が行う制御を示すフローチャートである。制御部400は、画像形成部13に画像形成動作を開始させるに際して、ドラムモータ131Mに駆動信号を出力して、感光体ドラム131が回転するか否かをドラム回転検知部401に検知させる(ステップS1)。ドラム回転検知部401が、感光体ドラム131の回転を検知できない場合には(ステップS1でNO)、制御部400は、現像ローラ137および中間転写ベルト20を駆動させず、画像形成部13に前記画像形成動作を開始させない(エンドへ)。
【0053】
ドラム回転検知部401が、感光体ドラム131の回転を検知した場合には(ステップS1でYES)、制御部400は、現像ローラ137および中間転写ベルト20を駆動させ、画像形成部13に前記画像形成動作を開始させる(ステップS2)。前記画像形成動作中も、制御部400は、感光体ドラム131が回転しているか否かをドラム回転検知部401に検知させる(ステップS3)。ドラム回転検知部401が回転中の感光体ドラム131の停止を検知すると(ステップS3でNO)、ステップS5に進んで、制御部400は、感光体ドラム131に当接する現像ローラ137の駆動および中間転写ベルト20を駆動する駆動ローラ22の駆動を停止させて、前記画像形成動作を停止させる。
【0054】
制御部400は、画像形成動作中は(ステップS4でNO)、感光体ドラム131が正常に回転しているか否かをドラム回転検知部401に継続的にモニタリングさせる。すなわち、画像形成動作中に感光体ドラム131が正常に回転している場合には(ステップS3でYES)、ステップS3とステップS4がループする。トナー像が給紙部12から搬送されてきた用紙Pに転写され、当該トナー像が定着部14で用紙Pに定着されて定着処理後の用紙Pが排紙トレイ151へ排出されると、制御部400は、現像ローラ137の駆動および中間転写ベルト20の駆動を停止させて、前記画像形成動作を停止させる(ステップS5)。
【0055】
上記実施形態によれば、感光体ドラム131が停止している場合に、感光体ドラム131と当接する現像ローラ137および中間転写ベルト20が駆動することで感光体ドラム131が摩擦され、感光体ドラム131がダメージを受けることを防止できる。したがって、感光体ドラム131が長寿命化され、コスト削減が可能となる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態に係るプリンタ10について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることもできる。
【0057】
(1)上記実施形態において、除電光Leの反射光Lrを受光する受光部としてフォトダイオード139bを設けているが、これに代えて、フォトトランジスタを設けてもよい。
【0058】
(2)上記実施形態においては、本発明に係る画像形成装置としてプリンタ10を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置がプリンタ10であることに限定されるものではなく、複写機やファクシミリ装置、又は複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
Le 除電光
Lr 反射光
10 プリンタ(画像形成装置)
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
131 感光体ドラム
131a 感光領域
131b 端部
131c パッチ
132 帯電器(帯電部)
133 露光装置(露光部)
134 現像装置(現像部)
137 現像ローラ
139 イレーサ(除電部)
139a LED群(発光部材)
139a1 LED
139b フォトダイオード(受光部)
400 制御部
401 ドラム回転検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面の回転軸方向端部を残して感光材料が塗布された感光領域を有する感光体ドラムと、
前記感光領域を帯電させる帯電部と、
前記帯電部によって帯電された前記感光領域に静電潜像を形成させる露光部と、
前記静電潜像が形成された前記感光領域にトナーを供給してトナー像を形成させる現像部と、
前記感光体ドラムを除電する除電光を発する発光部材が、前記感光体ドラムの周面に対向し、かつ、前記感光領域の前記回転軸方向に設けられた除電部と、
前記感光体ドラム周面の前記端部から反射された前記除電光の反射光を受光する受光部と、
前記感光体ドラムの前記周面の前記端部の一部に形成され、前記周面の前記端部よりも前記反射光の反射率が低いパッチと、
前記感光体ドラムの回転を検知するドラム回転検知部と、
前記感光体ドラムと、前記帯電部と、前記露光部と、前記現像部と、前記除電部とを動作させて記録シート上に前記トナー像を転写する画像形成動作を行わせる制御部と、を備え、
前記ドラム回転検知部は、予め定められた単位時間内に前記受光部における前記反射光の受光レベルが、前記端部からの反射光を受光することで得られる第1の受光レベルから、第1の受光レベルよりも低い前記パッチからの反射光を受光することで得られる第2の受光レベルへと変化する場合、または、前記第2の受光レベルから前記第1の受光レベルへと変化する場合に、前記感光体ドラムが回転していると判別し、前記第1の受光レベルまたは前記第2の受光レベルのまま変化しない場合に前記感光体ドラムが停止していると判別し、
前記制御部は、前記ドラム回転検知部が、前記感光体ドラムが停止していると判別したときには、前記画像形成動作を行わせない画像形成装置。
【請求項2】
前記除電部は、前記パッチに対向する位置に前記受光部を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドラム回転検知部が前記画像形成動作中に前記感光体ドラムの停止を検知した場合には、当該画像形成動作を停止させる請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数のローラ間に無端走行可能に張架され、その表面又は該表面に載置された記録シートに前記トナー像が転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトを駆動する駆動ローラと、をさらに備え、
前記制御部は、
前記駆動ローラの駆動をさらに制御し、
前記ドラム回転検出部が前記感光体ドラムの停止を検知した場合に、前記駆動ローラを停止させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像部は、前記感光体ドラムと平行に延び、当該感光体ドラムに当接して前記感光領域にトナーを供給する現像ローラを備え、
前記制御部は、前記ドラム回転検出部が前記感光体ドラムの停止を検知した場合に、前記現像ローラを停止させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−48240(P2011−48240A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197966(P2009−197966)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】