説明

画像形成装置

【課題】環境温度が変化しても画像濃度が変化しない画像形成装置の提供。
【解決手段】駆動波形生成部は、検出温度に応じて、検出温度が低いときに駆動波形Pv2を生成出力し、検出温度が常温のときに駆動波形Pv0を生成出力し、検出温度が高いときにの駆動波形Pv1を生成出力し、駆動波形Pv1の複数の駆動パルスP1ないしP7の電圧は、駆動波形Pv0の複数の駆動パルスP1ないしP7の電圧よりも小さく、駆動波形Pv1の駆動パルスP4は、他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7とは、駆動波形Pv0の複数の駆動パルスP1ないしP7に対する変化率が異なり、駆動波形Pv1の駆動パルスP4を含む駆動パルスP1ないしP7で吐出される大滴の液滴の滴体積は、駆動波形Pv0で吐出される液滴の滴体積よりも小さくなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置において、例えば1駆動周期内でそれぞれ液滴を吐出させる複数の駆動パルス(吐出パルス)を時系列的に生成して共通駆動波形として出力し、例えば相対的に大きなドットを形成するときには2以上の駆動パルスを選択して複数の液滴を吐出させることで、複数の液滴を飛翔中に合体させて着弾させることによって、複数の滴サイズのドットを形成し、また、共通駆動波形中に滴吐出を伴わないでヘッドを駆動する非吐出パルスを含ませ、同様に非吐出パルスを選択することで微駆動を行なうことで安定した滴吐出を行なうようにことが知られている。
【0005】
そして、液体吐出ヘッドにおいては、異なる環境では温度変化に伴い液体の粘度が変化し、滴速度Vjが速くなったり遅くなったりすることにより用紙上での滴の着弾位置がずれたり、滴体積Mjが大きくなったり小さくなったりすることにより、画質の濃淡が変化したり、画質が変化することになる。また、滴速度Vjが速くなったり遅くなることにより、噴射曲がりが起きたり、それに伴って噴射ダウンなどが起こってしまうことがある。
【0006】
そこで、従来、加圧室の容積を膨張させる第1の波形要素P1と、当該加圧室の膨張状態を保持する第2の波形要素P2と、当該膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第3の波形要素P3とを含む駆動波形Pvを出力し、加圧室の容積の膨張開始時における第1の波形要素P1と第2の波形要素P2との電位差を第1の電位差ΔV1とし、加圧室の容積の収縮終了時における第3の波形要素P3と第2の波形要素P2との電位差を第2の電位差ΔV2としたとき、検出温度が高温のときには第1の電位差ΔV1と第2の電位差ΔV2との差を小さくし、低温のときには第1の電位差ΔV1と第2の電位差ΔV2との差を大きくする駆動波形Pvを出力するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−42576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に開示の構成を含めて、従来、環境温度に応じて駆動波形を変化させるとき、環境温度が変化しても滴体積(吐出量)が同じになるように駆動波形を変化(調整)している。これは、環境温度が変化しても、滴体積が同じになるようにすることで、同じ画像濃度の画像が得られると考えられていることによる。
【0009】
しかしながら、環境温度が変化しても滴体積(吐出量)が同じになるように駆動波形を変化させると、低温ほど画像濃度が低くなり、高温ほど画像濃度が高くなるということが判明した。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、環境温度が変化しても画像濃度が変化しないようにすることで画像品質を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
1駆動周期ごとに、液滴を吐出させる複数の駆動パルスから構成される駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、
前記複数の駆動パルスから吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の前記駆動パルスを選択する選択手段と、
環境温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出した検出温度に応じて、予め定めた基準温度に対応する前記駆動波形の前記複数の駆動パルスの電圧を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、前記複数の駆動パルスのうちの少なくとも1つの駆動パルスは第1の補正の変化率で補正し、他の駆動パルスは前記第1の補正の変化率と異なる第2の補正の変化率で補正し、
前記予め定めた基準温度に対応する前記駆動波形の駆動パルスに対する、前記第1の補正の変化率は前記第2の補正の変化率より大きく、
前記第1の補正の変化率で補正された駆動パルスを含む1又は2以上の駆動パルスで吐出される滴サイズの液滴の滴体積は、前記検出温度が高いほど小さい
構成とした。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
1駆動周期ごとに、環境温度に応じて、液滴を吐出させる複数の駆動パルスから構成される第1、第2の駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、
前記複数の駆動パルスから吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の前記駆動パルスを選択する選択手段と、
環境温度を検出する温度検出手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、前記温度検出手段で検出した検出温度に応じて、少なくとも、前記検出温度が低いときに前記第1の駆動波形を生成出力し、前記検出温度が高いときに前記第2の駆動波形を生成出力し、
前記第1の駆動波形の複数の駆動パルスの電圧は、前記第2の駆動波形の複数の駆動パルスの電圧よりも大きく、
前記第2の駆動波形の前記複数の駆動パルスのうちの少なくとも1つの駆動パルスは、他の駆動パルスとは、前記第1の駆動波形の前記複数の駆動パルスに対する変化率が異なり、
前記第2の駆動波形の前記変化率が異なる1つの駆動パルスを含む1又は2以上の駆動パルスで吐出される滴サイズの液滴の滴体積は、前記第1の駆動波形で吐出される液滴の滴体積よりも小さい
構成とした。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
1駆動周期ごとに、環境温度に応じて、液滴を吐出させる複数の駆動パルスから構成される第1、第2の駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、
前記複数の駆動パルスから吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の前記駆動パルスを選択する選択手段と、
環境温度を検出する温度検出手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、少なくとも1つの滴サイズの液滴の滴体積が、前記温度検出手段で検出された検出温度が高くなるほど小さくなる駆動波形を生成出力する
構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置によれば、温度検出手段で検出した検出温度に応じて、予め定めた基準温度に対応する駆動波形の複数の駆動パルスの電圧を補正する補正手段を備え、補正手段は、複数の駆動パルスのうちの少なくとも1つの駆動パルスは第1の補正の変化率で補正し、他の駆動パルスは第1の補正の変化率と異なる第2の補正の変化率で補正し、予め定めた基準温度に対応する駆動波形の駆動パルスに対する、第1の補正の変化率は第2の補正の変化率より大きく、第1の補正の変化率で補正された駆動パルスを含む1又は2以上の駆動パルスで吐出される滴サイズの液滴の滴体積は、検出温度が高いほど小さい構成としたので、環境温度が変化しても画像濃度が変化しないようにすることができ、画像品質を向上することができる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、駆動波形生成手段は、温度検出手段で検出した検出温度に応じて、少なくとも、検出温度が低いときに第1の駆動波形を生成出力し、検出温度が高いときに第2の駆動波形を生成出力し、第1の駆動波形の複数の駆動パルスの電圧は、第2の駆動波形の複数の駆動パルスの電圧よりも大きく、第2の駆動波形の複数の駆動パルスのうちの少なくとも1つの駆動パルスは、他の駆動パルスとは、第1の駆動波形の複数の駆動パルスに対する変化率が異なり、第2の駆動波形の変化率が異なる1つの駆動パルスを含む1又は2以上の駆動パルスで吐出される滴サイズの液滴の滴体積は、第1の駆動波形で吐出される液滴の滴体積よりも小さい構成としたので、環境温度が変化しても画像濃度が変化しないようにすることができ、画像品質を向上することができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置によれば、駆動波形生成手段は、少なくとも1つの滴サイズの液滴の滴体積が、温度検出手段で検出された検出温度が高くなるほど小さくなる駆動波形を生成出力する構成としたので、環境温度が変化しても画像濃度が変化しないようにすることができ、画像品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】同画像形成装置の記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向の断面説明図である。
【図4】同液体吐出ヘッドの液室短手方向の断面説明図である。
【図5】同画像形成装置の制御部の概要を示すブロック説明図である。
【図6】同制御部の印刷制御部及びヘッドドライバの一例を示すブロック説明図である。
【図7】駆動波形と各滴サイズのパルスの説明に供する説明図である。
【図8】本発明の実施形態の説明に供する駆動波形の説明図である。
【図9】滴体積を一定にしたときの環境温度に対する画像濃度の変化の説明に供する説明図である。
【図10】本発明における環境温度に対する滴体積と画像濃度の変化の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図2で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0019】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0020】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、記録ヘッド34としては、1つのノズル面に複数のノズルを並べた各色のノズル列を備えるものなどを用いることもできる。
【0021】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部としてのヘッドタンク35a、35b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このヘッドタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0022】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0023】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0024】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図2のベルト搬送方向に周回移動する。
【0025】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0026】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0027】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0028】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0030】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターンで帯電され、この帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0031】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0032】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0033】
次に、記録ヘッド34を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
【0034】
この液体吐出ヘッドは、流路板101と、この流路板101の下面に接合した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び圧力発生室である加圧液室106、液室106に流体抵抗部(供給路)107を通じてインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
【0035】
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2個(図3では1列のみ図示)の積層型圧電部材121と、この圧電部材121を接合固定するベース基板122とを備えている。この圧電部材121には、分割しないスリット加工で溝を形成することで複数の圧電柱121A、121Bを形成している。この例では、圧電柱121Aは駆動波形を印加する駆動圧電柱とし、圧電柱121Bは駆動波形を印加しない非駆動圧電柱としている。また、圧電部材121の駆動圧電柱121Aには図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル126を接続している。
【0036】
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電部材121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するための液体供給口であるインク供給穴132を形成している。
【0037】
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
【0038】
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電部材121の圧電柱121A、121Bを接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
【0039】
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
【0040】
圧電部材121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電部材121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電部材121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電部材121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。
【0041】
このように構成した液体吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば駆動圧電柱121Aに印加する電圧を基準電位Veから下げることによって駆動圧電柱121Aが収縮し、振動板102が下降して液室106の体積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後駆動圧電柱121Aに印加する電圧を上げて駆動圧電柱121Aを積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の体積を収縮させることにより、液室106内のインクが加圧され、ノズル104からインク滴が吐出(噴射)される。
【0042】
そして、駆動圧電柱121Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内にインクが充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0043】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0044】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。なお、同図は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU511と、CPU511が実行する本発明に係るデータ生成に関わるプログラム、その他のプログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0045】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81のキャップ82やワイパ部材83の移動などを行なう維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511などを備えている。
【0046】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0047】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0048】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像を出力するためドットパターンデータの生成(本発明に係るデータ又は画像データの生成)はホスト600側のプリンタドライバ601で行なうことも、制御部500で行なうこともできる。
【0049】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0050】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成するパルスを選択して吐出パルスを生成し、記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する圧力発生手段としての圧電素子に対して印加することで記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動波形を構成するパルスの一部又は全部或いはパルスを形成する波形用要素の全部又は一部を選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0051】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0052】
次に、印刷制御部508及びヘッドドライバ509の一例について図6を参照して説明する。
印刷制御部508は、画像形成時に1印刷周期(1駆動周期)内に複数のパルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部701と、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号M0〜M3を出力するデータ転送部702を備えている。
【0053】
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ209の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ715の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、共通駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべきパルス又は波形要素でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
【0054】
ヘッドドライバ509は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)を入力するシフトレジスタ711と、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路712と、階調データと制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ713と、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ715が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ714と、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ715とを備えている。
【0055】
このアナログスイッチ715は、各駆動圧電柱121Aの選択電極(個別電極)154に接続され、駆動波形生成部701からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と制御信号M0〜M3をデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチ715がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要のパルス(あるいは波形要素)が通過して(選択されて)駆動圧電柱121Aに印加される。
【0056】
次に、駆動波形について図7を参照して説明する。なお、駆動パルスとは駆動波形を構成する要素としてのパルスを示す用語として、吐出パルスとは圧力発生手段に印加されて液滴を吐出させるパルスを示す用語とし、非吐出パルスとは圧力発生手段に印加されるが滴を吐出させない(ノズル内のインクを流動させる)パルスを示す用語として用いる。
【0057】
この実施形態は、3種類の滴サイズの液滴(大滴、中滴、小滴)を吐出させる吐出パルスと、微駆動を行なう非吐出パルスを含む駆動波形の例である。駆動波形生成部701からは図7(a)に示すような駆動波形(共通駆動波形)Pvが出力される。この駆動波形Pvは、1印刷周期(1駆動周期)内で、図示しない基準信号に同期して、7つの駆動パルスP1〜P7を時系列で生成した波形である。なお、基準信号は、形成する画像の密度に応じてキャリッジ33の主走査方向位置に対応して出力される信号である。また、駆動パルスP5は非吐出パルスであり、駆動パルスP1ないし4、P6、P7は吐出パルスである。
【0058】
そして、データ転送部702からは図7(b)に示す滴制御信号M0〜M3が出力される。ここでは、図7(c)に示すように、滴制御信号M0は、駆動波形の駆動パルスP1〜P7を選択して大滴用の吐出パルスを生成させる。滴制御信号M1は、駆動波形の駆動パルスP5ないしP7を選択して中滴用の吐出パルスを生成させる。滴制御信号M2は、駆動波形の駆動パルスP3を選択して小滴用の吐出パルスを生成させる。滴制御信号M3は、駆動波形の駆動パルスP5を選択して微駆動用の非吐出パルスを生成させる。
【0059】
次に、本発明における駆動波形について図8を参照して説明する。
本実施形態では、上記の駆動波形Pvとして、環境温度に応じて、複数の駆動波形、例えば3種類の駆動波形Pvを生成出力する。ここでは、環境温度T0(例えば25℃:これを予め定めた基準温度とする。)のときには実線で示す駆動波形Pv0、環境温度T1(例えば35℃)のときには破線で示す高温用駆動波形Pv1、環境温度T2(例えば15℃)のときには仮想線で示す低温用駆動波形Pv2を、センサ群515に含まれる環境温度検出手段としての温度センサから得られる検出温度に応じて生成出力する。
【0060】
駆動波形Pv0を基準としたとき、高温ではインクの粘度が低くなることから、高温用駆動波形Pv1の各駆動パルスP1ないしP7の電圧(基準電位Veに対する電位差:以下同じ)は、駆動波形Pv0の各駆動パルスP1ないしP7の電圧よりも小さくしている。一方、低温ではインクの粘度が高くなることから、低温用駆動波形Pv2の各駆動パルスP1ないしP7の電圧は、駆動波形Pv0の各駆動パルスP1ないしP7の電圧よりも大きくしている。
【0061】
ここで、高温用駆動波形Pv1の駆動パルスP4の電圧b2の駆動波形Pv0の駆動パルスP4の電圧a2に対する変化率は、高温用駆動波形Pv1の他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の電圧(図ではP3の電圧b1で例示する)の駆動波形Pv0の他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の電圧(図ではP3の電圧a1で例示する)に対する変化率よりも大きくしている。具体的には、「(a1−b1)/a1<(a2−b2)/a2」の関係にしている。
【0062】
つまり、高温用駆動波形Pv1の各駆動パルスP1ないしP7の電圧は、駆動波形Pv0の各駆動パルスP1ないしP7の電圧よりも小さくしているが、駆動波形P4については他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7よりも更に電圧を小さくしている。
【0063】
この場合、高温用駆動波形Pv1の駆動パルスP4の変化率を他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7と同じにしたとき、駆動波形Pv0で吐出させる大滴と駆動波形Pv1で吐出させる大滴の滴量が同じになる。つまり、大滴の滴量(滴体積)が同じになる変化率で高温用駆動波形Pv1の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7は変化している。
【0064】
これに対し、上述したように、高温用駆動波形Pv1の駆動パルスP4の変化率を他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の変化率よりも大きくすると、駆動パルスP4の電圧(立ち下げ電位)が小さくなることから、駆動パルスP4の変化率を他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の変化率と同じにしたときよりも、駆動パルスP4を含む駆動パルスP1ないしP7で吐出される大滴の滴体積が小さくなる(滴量が少なくなる)。
【0065】
一方、低温用駆動波形Pv2の駆動パルスP4の電圧c2の駆動波形Pv0の駆動パルスP4の電圧a2に対する変化率は、低温用駆動波形Pv2の他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の電圧(図ではP3の電圧b1で例示する)の駆動波形Pv0の他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の電圧(図ではP3の電圧a1で例示する)に対する変化率よりも大きくしている。具体的には、「(c1−a1)/a1<(c2−a2)/a2」、の関係にしている。
【0066】
つまり、低温用駆動波形Pv2の各駆動パルスP1ないしP7の電圧は、駆動波形Pv0の各駆動パルスP1ないしP7の電圧よりも大きくしているが、駆動波形P4については他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7よりも更に電圧を大きくしている。
【0067】
この場合、低温用駆動波形Pv2の駆動パルスP4の変化率を他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7と同じにしたとき、駆動波形Pv0で吐出させる大滴と駆動波形Pv2で吐出させる大滴の滴量が同じになる。つまり、大滴の滴量(滴体積)が同じになる変化率で低温用駆動波形Pv2の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7は変化している。
【0068】
これに対し、上述したように、低温用駆動波形Pv2の駆動パルスP4の変化率を他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の変化率よりも大きくすると、駆動パルスP4の電圧(立ち下げ電位)が大きくなることから、駆動パルスP4の変化率を他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7の変化率と同じにしたときよりも、駆動パルスP4を含む駆動パルスP1ないしP7で吐出される大滴の滴体積が大きくなる(滴量が多くなる)。
【0069】
このようにして、駆動波形生成部701からは、大滴の滴体積が環境温度が高くなるほど小さくなる駆動波形が出力される。
【0070】
そこで、画像濃度と滴量(滴体積)との関係について説明する。
まず、図9に示すように、温度に係わらず同じ滴体積の大滴を吐出させた場合には、温度が高くなるほど画像濃度も高くなり、画像品質が温度によって変化することになって画像品質が低下する。
【0071】
これに対し、図10に示すように、上記実施形態のように温度が高くなるほど滴体積が小さくなる大滴を吐出させた場合には、画像濃度が一定になり、画像品質が向上する。
【0072】
上述した環境温度に応じた複数種類の駆動波形は、例えば、駆動波形Pv0のデータをROMなどに格納保持しており、検出温度に応じて、駆動波形Pv0を前述した変化率(補正の変化率)で補正して生成出力することができる。なお、この場合は、補正を行うことから前述した「変化率」を補正の変化率と称している。
【0073】
つまり、前記実施形態で言えば、1駆動周期ごとに、液滴を吐出させる複数の駆動パルスP1ないしP7から構成される駆動波形Pvを生成出力する駆動波形生成部701と、複数の駆動パルスP1ないしP7から吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の駆動パルスを選択する選択手段(ヘッドドライバ509)と、環境温度を検出する温度センサ(センサ群515に含まれる)と、検出した検出温度に応じて、予め定めた基準温度に対応する駆動波形Pv0の複数の駆動パルスP1ないしP7の電圧を補正する制御部500で構成される補正手段とを備え、複数の駆動パルスP1ないしP7のうちの駆動パルスP4は第1の補正の変化率(変化率)で補正し、他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7は第1の補正の変化率と異なる第2の補正の変化率で補正し、第1の補正の変化率は第2の補正の変化率より大きく、第1の補正の変化率で補正された駆動パルスP4を含む駆動パルスで吐出される大滴の滴体積は、検出温度が高いほど小さくなるようにする。
【0074】
また、予め複数種類の駆動波形のデータ、例えば、駆動波形Pv0Pv1、Pv2のデータをROMなどに格納保持しており、検出温度に応じて、所要の駆動波形のデータを選択して生成出力することができる。
【0075】
つまり、前記実施形態で言えば、1駆動周期ごとに、環境温度に応じて、液滴を吐出させる複数の駆動パルスP1ないしP7から構成される駆動波形Pv2,Pv0、Pv1を生成出力する駆動波形生成部701と、複数の駆動パルスP1ないしP7から吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の駆動パルスを選択する選択手段(ヘッドドライバ509)と、環境温度を検出する温度センサ(センサ群515に含まれる)と、駆動波形生成部701は、検出温度に応じて、検出温度が低いときに駆動波形Pv2を生成出力し、検出温度が常温のときに駆動波形Pv0を生成出力し、検出温度が高いときにの駆動波形Pv1を生成出力し、駆動波形Pv1の複数の駆動パルスP1ないしP7の電圧は、駆動波形Pv0の複数の駆動パルスP1ないしP7の電圧よりも小さく、駆動波形Pv1の駆動パルスP4は、他の駆動パルスP1ないしP3、P5ないしP7とは、駆動波形Pv0の複数の駆動パルスP1ないしP7に対する変化率が異なり、駆動波形Pv1の駆動パルスP4を含む駆動パルスP1ないしP7で吐出される大滴の液滴の滴体積は、駆動波形Pv0で吐出される液滴の滴体積よりも小さくなるようにする。
【0076】
この場合、駆動波形Pv0、Pv1、Pv2の相互の関係は、本発明でいう「第1の駆動波形」を駆動波形Pv2としたとき、「第2の駆動波形」は駆動波形Pv0、Pv1となり、「第1の駆動波形」を駆動波形Pv0としたとき、「第2の駆動波形」は駆動波形Pv1となる。
【0077】
なお、上記実施形態では、駆動パルスP1ないしP7のうちの大滴形成のみに使用する駆動パルスP4を他の駆動パルスと異なる変化率とした例で説明しているが、例えば駆動パルスP1、P2も大滴形成のみに使用する駆動パルスであるので、これらの変化率を他の駆動パルスと異ならせることもできる。また、画像濃度の変化によっては、大滴、中滴形成用の駆動パルスP6を他の駆動パルスと異なる変化率とすることもできる。
【0078】
なお、本発明に係る画像形成装置は、シリアル型画像形成装置に限らず、ライン形画像形成装置でも適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
500 制御部
508 印刷制御部
701 駆動波形生成部
702 データ転送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
1駆動周期ごとに、液滴を吐出させる複数の駆動パルスから構成される駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、
前記複数の駆動パルスから吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の前記駆動パルスを選択する選択手段と、
環境温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出した検出温度に応じて、予め定めた基準温度に対応する前記駆動波形の前記複数の駆動パルスの電圧を補正する補正手段と、を備え、
前記補正手段は、前記複数の駆動パルスのうちの少なくとも1つの駆動パルスは第1の補正の変化率で補正し、他の駆動パルスは前記第1の補正の変化率と異なる第2の補正の変化率で補正し、
前記予め定めた基準温度に対応する前記駆動波形の駆動パルスに対する、前記第1の補正の変化率は前記第2の補正の変化率より大きく、
前記第1の補正の変化率で補正された駆動パルスを含む1又は2以上の駆動パルスで吐出される滴サイズの液滴の滴体積は、前記検出温度が高いほど小さい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
1駆動周期ごとに、環境温度に応じて、液滴を吐出させる複数の駆動パルスから構成される第1、第2の駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、
前記複数の駆動パルスから吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の前記駆動パルスを選択する選択手段と、
環境温度を検出する温度検出手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、前記温度検出手段で検出した検出温度に応じて、少なくとも、前記検出温度が低いときに前記第1の駆動波形を生成出力し、前記検出温度が高いときに前記第2の駆動波形を生成出力し、
前記第1の駆動波形の複数の駆動パルスの電圧は、前記第2の駆動波形の複数の駆動パルスの電圧よりも大きく、
前記第2の駆動波形の前記複数の駆動パルスのうちの少なくとも1つの駆動パルスは、他の駆動パルスとは、前記第1の駆動波形の前記複数の駆動パルスに対する変化率が異なり、
前記第2の駆動波形の前記変化率が異なる1つの駆動パルスを含む1又は2以上の駆動パルスで吐出される滴サイズの液滴の滴体積は、前記第1の駆動波形で吐出される液滴の滴体積よりも小さい
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
液滴を吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
1駆動周期ごとに、環境温度に応じて、液滴を吐出させる複数の駆動パルスから構成される第1、第2の駆動波形を生成出力する駆動波形生成手段と、
前記複数の駆動パルスから吐出させる液滴の滴サイズに応じた1又は2以上の前記駆動パルスを選択する選択手段と、
環境温度を検出する温度検出手段と、を備え、
前記駆動波形生成手段は、少なくとも1つの滴サイズの液滴の滴体積が、前記温度検出手段で検出された検出温度が高くなるほど小さくなる駆動波形を生成出力する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−125998(P2012−125998A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278948(P2010−278948)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】