説明

画像形成装置

【課題】 現像容器内のトナー残量が少なくなっても、画像濃度の低下を抑制する。
【解決手段】 表面に発泡層を備え、現像ローラ1に接触して回転する供給ローラ2を、非画像形成時の所定期間において、所定期間前よりも所定期間後の方が発泡層に含まれるトナー量が多くなるように、画像形成時とは逆方向に回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真方式、静電記録方式などにより像担持体上に潜像を形成し、この潜像を現像して可視像を得る画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置に用いられる現像装置において、静電潜像を現像するトナー担持体としての現像ローラと、現像ローラに接触して回転することにより、現像ローラにトナーを供給するトナー供給部材としての供給ローラとを有する構成がある。供給ローラは、現像ローラに供給するトナーを保持するために、発泡層としてのウレタンスポンジ層を表面に有するものを用いることが一般的である。このような現像装置の例として特許文献1が挙げられる。特許文献1では、図9のように、現像ローラ1と供給ローラ2との接触領域のうち、供給ローラの回転方向最上流位置が最下流位置よりも高く設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−009035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の現像装置のように、トナー担持体とトナー供給部材との接触領域のうち、トナー供給部材の回転方向最上流位置が最下流位置よりも高く設定されている場合、現像容器内のトナー残量が少なくなった時に、トナー担持体とトナー供給部材との当接位置の上方にトナーが残留してしまい、残留したトナーを画像形成に有効活用できない場合があることが明らかとなった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、静電潜像を担持する像担持体と、開口部を備えトナーを収容する容器と、前記開口部に配置され、前記トナーを前記静電潜像に担持搬送するトナー担持体と、前記トナー担持体に接触して前記容器の内部に配置され、表面に発泡層を備え、画像形成時に第1の回転方向に回転して前記トナー担持体に前記トナーを供給するトナー供給部材であって、前記トナー担持体との接触領域のうち前記第1の回転方向における最上流位置が最下流位置よりも高いトナー供給部材と、を有し、非画像形成時の所定期間において、前記所定期間前より前記所定期間後の方が前記発泡層に含まれるトナー量が多くなるように、前記トナー供給部材を前記第1の回転方向とは逆方向に前記所定期間回転させて前記発泡層にトナーを充填する充填モードを実行する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像形成装置によれば、トナー担持体とトナー供給部材との接触領域のうち、トナー供給部材の回転方向最上流位置が最下流位置よりも高く設定されている構成において、トナー担持体とトナー供給部材との接触領域の上方に残留するトナーを画像形成に有効活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明を適用した画像形成装置におけるプリントジョブ処理のための一連の動作を表す概略図である。
【図3】本発明を適用した現像装置の一例を示す概略断面図である。
【図4】実施例1および実施例4の充填モードのフローチャートである。
【図5】現像容器内のトナー量とウレタンスポンジ層内のトナー量との関係を示す図である。
【図6】(a)現像容器内のトナー残量が多い状態、(b)現像容器内のトナー残量が少ない状態
【図7】実施例2の充填モードのフローチャートである。
【図8】実施例3の充填モードのフローチャートである。
【図9】従来技術の現像装置図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。以下に説明する実施例は、例示的に本発明を説明するものであって、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれに限定するものではない。
【0009】
(実施例1)
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0010】
(1)画像形成装置の全体的な概略構成
図1は本発明を適用した画像形成装置10の概略断面図である。画像形成装置10における画像形成プロセスの概要について説明する。
図1において、静電潜像担持体としての感光ドラム11は、矢印A方向に回転する。まず感光ドラム11は、帯電装置である帯電ローラ12によって一様に帯電される。その後、露光手段であるレーザー光学装置13からのレーザー光により露光され、その表面に静電潜像が形成される。この静電潜像を現像装置4によって現像し、トナー像として可視化する。可視化された感光ドラム11上のトナー像は、転写ローラ14によって転写材としての記録紙15に転写される。転写されずに感光ドラム11上に残存した転写残トナーは、クリーニング部材であるクリーニングブレード17により掻き取られ、廃トナー容器18に収納される。クリーニングされた感光ドラム11は上述作用を繰り返し、画像形成を行う。一方、トナー像を転写された記録紙15は、定着装置16によって定着された後、機外に排紙される。
【0011】
(2)画像形成装置におけるプリントジョブ処理のための一連の動作
次に、画像形成装置を起動し、画像形成を行い、スタンバイ状態へ移行するまでの一連の動作を図2を用いて説明する。
【0012】
1)前多回転動作:本体電源スイッチ(不図示)がOFFからONに切り替わったことを受けて実行される始動(起動、ウォーミング)動作である。メインモータ(不図示)を起動させて、所要のプロセス機器の準備動作を実行する。
【0013】
2)スタンバイ:所定の始動動作終了後に、メインモータの駆動が停止し、プリントジョブ開始信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態が保持される。
【0014】
3)前回転動作:プリントジョブ開始信号の入力を受けて、メインモータを再駆動させて、所要のプロセス機器のジョブ前準備動作を実行する。より具体的には、a.プリントジョブ開始信号を受信、b.フォーマッタで画像を展開、c.前回転動作開始、という順序になる。なお、前記1)の前多回転動作中にプリントジョブ開始信号が入力している場合は、前多回転動作の終了後、前記2)のスタンバイ無しに、引き続き前回転動作に移行する。
【0015】
4)プリントジョブ実行(画像形成動作):所定の前回転動作が終了すると、引き続いて前述の画像形成プロセスが実行されて、画像形成済みの記録紙15が出力される。複数の記録紙に連続してプリントを行う連続プリントジョブの場合は、前述の画像形成プロセスが繰返されて所定枚数分の画像形成済みの記録紙が順次に出力される。
【0016】
5)紙間:連続プリントジョブの場合において、一の記録紙15の後端と次の記録紙15の先端との間隔工程であり、転写部や定着装置16においては非通紙状態期間である。
【0017】
6)後回転動作:1枚だけのプリントジョブの場合その画像形成済みの記録材が出力された後(プリントジョブの終了後)もメインモータを引き続き駆動させて、所要のプロセス機器のジョブ後動作を実行する期間である。或いは、連続プリントジョブの場合その連続プリントジョブの最後の画像形成済みの記録材が出力された後(プリントジョブの終了)もメインモータを引き続き駆動させて、所要のプロセス機器のジョブ後動作を実行する期間である。
【0018】
7)スタンバイ:所定の後回転動作終了後、メインモータの駆動が停止し、次のプリントジョブ開始信号が入力されるまで画像形成装置をスタンバイ(待機)状態に保持する。
【0019】
(3)現像装置の構成
次に、図3に基づき、現像装置4をさらに説明する。
現像装置4は、トナーを収容する現像容器3、トナーを静電潜像に担持搬送するトナー担持体としての現像ローラ1、現像ローラ1にトナーを供給するトナー供給部材としての供給ローラ2、現像ローラ1に塗布されたトナーの層厚を規制する規制部材としての弾性ブレード5、などから構成される。
【0020】
現像ローラ1は、感光ドラム11に加圧するように、現像容器3の開口部に配置されている。現像ローラ1は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られたφ8(mm)の導電性シャフトと、その周囲に形成したシリコンゴムを基層とした導電性弾性層からなる。表層にはアクリル・ウレタン系ゴム層がコートされている。現像ローラ1の外径はφ12(mm)、体積抵抗は約10E5Ω・cmである。現像ローラ1は、矢印B方向に回転して、その表面に塗布されたトナーを感光ドラム11上の静電潜像に供給する。
【0021】
供給ローラ2は、現像容器3の内部にて現像ローラ1に加圧するように配置されている。供給ローラ2は、ステンレス鋼、アルミニウム合金等で作られたφ6(mm)の導電性シャフト2aと、その周囲に形成した発泡層としてのウレタンスポンジ層2bから構成される。供給ローラ24の外径はφ15(mm)、体積抵抗は約10E8Ω・cmである。現像ローラ25が供給ローラ24のウレタンスポンジ層を、1.0mmの侵入量(シャフト28の中心とシャフト29の中心間を結ぶ線分上で、供給ローラ24と現像ローラ25の外径の和を2で割って上記中心間距離を差し引いた長さ)で押し込むように、供給ローラが設置されている。供給ローラは画像形成時において矢印C方向(第1の回転方向)に回転して、発泡層2bの表面および内部のトナーを現像ローラ1に供給する。
【0022】
弾性ブレード5は、一端部が現像ローラに加圧するように配置されている。弾性ブレード5は、ステンレス鋼、ウレタンゴム等で形成されている。弾性ブレード5は、現像ローラを加圧する一端部によって、現像ローラ上のトナー層厚を所望の層厚に規制する。
【0023】
(4)トナー残量検知
次に、現像容器3内のトナー残量検知方法を説明する。本実施例では、現像容器3に設けられたアンテナ7とシャフト1aとの間の静電容量を検出することで、トナー残量を検知する方法を用いる。
【0024】
以下この方法を説明する。本実施例の画像形成装置は、トナー残量検知手段として、次に示すようにアンテナ7と交流バイアス電源8aと検出器9とを有する。シャフト1aに、交流バイアス電源8aからトナー残量検知用バイアスとして周波数50KHz、Vpp=200Vの交流バイアスを印加する。このときにアンテナ7に誘起された電圧を検出器9によって検出することで、上記静電容量が検出される。上記静電容量は、アンテナ7とシャフト1aとの間のトナー量によって変化するので、検知したいトナー残量に対応する基準電圧と検出値との比較によってトナー残量を検知することが可能となる。
【0025】
(5)充填モード
(5−1)充填モードのフロー
次に、本発明の特徴である、ウレタンスポンジ層2bにトナーを充填する充填モードについて説明する。
以下に図4のフローチャートを参照して、画像形成前に充填モードを実行するか否かを判断するシーケンスを説明する。
【0026】
図4のフローチャートにおいて、まず画像形成装置はスタンバイ状態(S1)にある。ここで、プリント信号が入力される(S2)と、画像形成前の前回転で、トナー残量検知手段によってトナー残量Wを検知し(S3)、トナー残量Wと閾値Waとの比較を行う(S4)。本実施例では閾値Waは画像濃度の低下が生じ始める恐れのあるトナー残量に設定した。WがWaより大きい場合、画像形成装置10は画像形成を開始する(S8)。画像形成が終了すると、充填モードが非実行中であると記憶され(S9)、スタンバイ状態へ移行する(S1)。また、WがWaより小さい場合、本制御を実行しているかを判断する(S5)。本制御を実行していない場合、供給ローラ2を画像形成時とは逆方向(図3のD方向:第2の回転方向)に40(rpm)で10秒間回転させる充填モードを実行し(S6)、充填モード実行中であることを記憶する(S7)。その後、再びトナー残量Wを検知し(S3)、トナー残量が閾値よりも大きい場合、画像形成動作を行い(S8)、トナー含有モードを非実行中と記憶し(S9)、スタンバイ状態へ移行する(S1)。充填モードを実行しているにも関わらず、検知したトナー残量WがWaよりも小さい場合、不図示の画像形成装置表示部等の表示装置にて、ユーザーに現像容器内のトナー無しを報知し警告を促す(S10)。
【0027】
このように、本実施例では、トナー残量検知手段によって検知されたトナー残量が閾値以下であった場合に、前回転中、すなわち画像形成前に、供給ローラ2を画像形成時とは逆方向に所定期間回転させる充填モードを実行した。
【0028】
(5−2)充填モードの効果とメカニズム
ウレタンスポンジ層内のトナー量について、充填モード実行前と実行後との比較を、図5に示す。図5において、充填モード実行前のウレタンスポンジ層内のトナー量を黒塗りのプロットで示し、充填モード実行後のウレタンスポンジ層内のトナー量を白抜きのプロットで示した。また、画像濃度が薄くなる恐れのあるウレタンスポンジ層内のトナー量Wcを太破線で示した。図5に示す通り、同じ現像容器内トナー量であっても、充填モードを実行前よりも実行後の方がウレタンスポンジ層内トナー量が多くなることがわかる。本実施例の充填モードを実行することにより、ウレタンスポンジ層内のトナー量が、充填モード実行前よりも増加するため、従来よりも現像容器内のトナー残量がより少ない状態であっても適正な画像品質を維持することが可能となる。そのため、細縦破線で示すように、充填モードを実行しない場合には現像容器内トナー量がAの時に画像品質を維持することが困難となりトナー切れと判断しなければならなかったのに対し、充填モードを実行することで、現像容器内トナー量がBとなるまで画像品質を維持することが可能となる。したがって、現像ローラ1と供給ローラ2との接触領域の上方に堆積して残留するトナーを画像形成に有効活用することが可能となる。
【0029】
以下、本実施例の充填モードによって、ウレタンスポンジ層内に含まれるトナー量を充填モード実行前よりも多くすることができるメカニズムについて推察する。
【0030】
まず、供給ローラの回転に伴う発泡層へのトナーの出入りについて、図6(a)、図6(b)を用いて考察する。前述したように供給ローラ2は現像ローラ1に圧接して配置されているので、供給ローラ2がC方向に回転した場合、現像ローラ1と接触し始めるE部(現像ローラ1と供給ローラ2との接触領域のうち、供給ローラの回転方向Cにおける最上流位置)でウレタンスポンジ層が圧縮され、ウレタンスポンジ層内のトナーがウレタンスポンジ層外に押し出される。さらに回転し、現像ローラとのニップで現像ローラにトナーが供給され、ニップを通過後のF部(現像ローラ1と供給ローラ2との接触領域のうち、供給ローラの回転方向Cにおける最下流位置)でウレタンスポンジ層が圧縮から開放され、現像ローラ上のトナー及びF部周囲のトナーを吸入する。すなわち、ウレタンスポンジ層は、F部でトナーを吸入し、E部でトナーを排出する。このようなプロセスを繰り返すことで、図6(a)に示すように現像容器3内のトナー残量が十分存在する場合は、発泡層がトナーを十分含んだ状態が維持される。
【0031】
しかし、図6(b)に示すようにトナー残量が少なくなり、トナー剤面がF部より下がった状態では、ウレタンスポンジ層がF部でトナーを吸入することが困難となる。一方、E部ではトナーの排出が行われる。したがって、トナー剤面がF部より下がると、ウレタンスポンジ層内に含まれるトナー量が減少しやすくなり、適正な画像濃度を維持できなくなる恐れがあった。
【0032】
このような状態において、本実施例では供給ローラを画像形成時とは逆向きのD方向に所定期間回転することで、ウレタンスポンジ層内のトナー量を増加させている。このように、供給ローラをD方向に回転させる場合、ウレタンスポンジ層はF部で圧縮され、E部で圧縮から開放される。従って、ウレタンスポンジ層は、E部でトナーを吸入し、F部でトナーを排出する。したがって、供給ローラの回転方向をC方向からD方向に切りかえた場合、供給ローラがC方向に回転しているときにウレタンスポンジ層から排出されたトナー(現像ローラとトナー供給ローラとの接触領域のうちE’部の上方に堆積したトナー)を、供給ローラがD方向に回転するときにウレタンスポンジ層内に吸入することができる。これにより、トナー剤面がF部より下がった場合でも、ウレタンスポンジ層内にトナーを吸入することで、適正な画像濃度を維持するために必要なウレタンスポンジ層内のトナー量を一時確保することが出来ると考えられる。
【0033】
(6)補足
本実施例では、トナー残量検知手段によって検知されたトナー残量が所定量以下になった場合に充填モードが実行されたが、ユーザーが画像形成装置本体の操作パネル(不図示)やPCモニタ上から充填モードの実行を要求することで、非画像形成時の任意のタイミングで充填モードを実行することも可能である。
【0034】
本実施例では、充填モードにおいて、供給ローラをD方向に回転させる所定期間を10秒間に設定した。この時間を長くしすぎると、E部上方に堆積したトナーがウレタンスポンジ層に吸入され尽くしてしまい、一方ウレタンスポンジ層内のトナーはF部から排出されるので、ウレタンスポンジ層内のトナーが減少してしまう恐れがある。したがって、所定期間前よりも所定期間後の方がウレタンスポンジ層に含まれるトナー量が多くなるように、予め実験等により最適な所定期間を設定すればよい。なお、ウレタンスポンジ層に含まれるトナー量が多くなったかどうかは、供給ローラの重量を測定することで確認可能である。
【0035】
本実施例では、現像容器内に設置したアンテナを用いたトナー残量検知手段を採用しているが、従来のフォトセンサを用いた光学式のトナー残量検知や、画像信号における印字ドット数を用いて算出したトナー消費量に基づいたトナー残量検知等、種々の残量検知手段も用いることが可能である。
【0036】
なお、充填モードを必要以上に実行しないためには、トナー剤面がF部より下がった場合に充填モードを実行することが望ましい。同様に、トナー残量検知手段は、トナー剤面がF部より下がったか否かを検知可能であることが望ましく、本実施例ではトナー剤面がF部よりさがったか否かを精度よく検知するためにアンテナ7をシャフト1aの中心とF部を結ぶ直線上に位置させている。また、本実施形態と同様の形態のプロセスカートリッジを複数並べてフルカラー画像を得られるようにした画像形成装置に対しても適用することが可能である。
【0037】
(実施例2)
次に、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施例1と同様の部分については、その説明を省略する。
【0038】
本実施形態では、充填モードを、後回転時、すなわち画像形成後に実行するものである。実施例1では、前回転中、すなわち画像形成前に充填モードを実行したが、充填モードを完了するまで画像形成を行えないため、前回転時間が従来よりも長くなる場合があった。一方、本実施例では、後回転中、すなわち画像形成後に充填モードを実行するので、実施例1より画像形成を開始するまでに要する時間を抑制することが可能となる。
【0039】
以下に図7のフローチャートを参照して、本実施例において充填モードを実行するか否かを判断するシーケンスを説明する。
【0040】
図7のフローチャートにおいて、まず画像形成装置はスタンバイ状態(S1)にある。ここで、プリント信号が入力される(S2)と、画像形成装置10は画像形成を実行する。(S3)。画像形成後の後回転で、トナー残量検知手段によってトナー残量Wを検知し(S4)、トナー残量Wと閾値Waとの比較を行う(S5)。Waは実施例1と同様に画像濃度が低下する恐れのあるトナー残量に設定した。WがWaより大きい場合、スタンバイ状態へ移行する(S1)。WがWaより小さい場合、画像形成時とは逆方向(図3のD方向)に40(rpm)で10秒間回転させる充填モードを実行する(S6)。その後、再びトナー残量Wを検知し、(S7)、Wと閾値Waとの比較を行う(S8)。WがWaより大きい場合は、スタンバイ状態へ移行する(S1)。WがWaより小さい場合は、不図示の画像形成装置表示部等の表示装置にて、ユーザーに現像容器内のトナー無しを報知し警告を促す(S9)。
【0041】
このように、本実施例では、トナー残量検知手段によって検知されたトナー残量が閾値以下であった場合に、後回転中、すなわち画像形成後に、供給ローラ2を画像形成時とは逆方向に所定期間回転させる充填モードを実行した。
本実施例の充填モードを実行することにより、実施例1と同様に、ウレタンスポンジ層内のトナー量が、充填モード実行前よりも増加するため、従来よりも現像容器内のトナー残量がより少ない状態であっても適正な画像品質を維持することが可能となる。したがって、現像ローラ1と供給ローラ2との接触領域の上方に堆積して残留するトナーを画像形成に有効活用することが可能となる。
【0042】
(実施例3)
次に、本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施例1と同様の部分については、その説明を省略する。
【0043】
本実施例の画像形成装置は、トナー残量検知手段によって検知されたトナー残量に基づいて、該トナー残量を用いて画像形成を行うことが可能な供給ローラの回転数を計算し、その回転数に達した場合に連続プリントを紙間で一時的に停止し、充填モードを実行するものである。本実施例ではこの制御によって、1度の連続プリント数が多大な場合にも、連続プリントの途中で濃度薄画像の発生を抑制することが出来る。
【0044】
以下に図8のフローチャートを参照して、本実施例において充填モードを実行するか否かを判断するシーケンスを説明する。
図8のフローチャートにおいて、まず画像形成装置はスタンバイ状態(S1)にある。ここで、プリント信号が入力される(S2)と、画像形成前の前回転で、トナー残量検知手段によってトナー残量W1を検知し(S3)、トナー残量W1と閾値Waとの比較を行う(S4)。W1がWaより大きい場合、画像形成装置10は画像形成を行う(S5)。画像形成の終了後、スタンバイ状態へ移行する(S1)。W1がWaよりも小さい場合、供給ローラ2を画像形成時とは逆方向(図3のD方向)に40(rpm)で10秒間回転させる充填モードを実行する(S6)。充填モードの実行後に再びトナー残量検知手段によりトナー残量W2を検知し(S7)、トナー残量W2と閾値Waとの比較を行う(S8)。W2がWaより大きい場合は画像形成可能なので、W2とWaの差分ΔWを計算する(S9)。ΔWによって画像形成可能な供給ローラの回転時間Tが決定される(S10)。その後画像形成を1枚行い(S11)、プリント要求が終了したか判断する(S12)。プリント要求が終了していれば、スタンバイ状態へ移行する(S1)。プリント要求が残っている場合、充填モードを実行してから供給ローラが画像形成によりC方向へ回転した時間T’とTを比較する(S13)。T’がTよりも小さければ、再び画像形成を1枚行う(S11)。以上を繰り返し、プリント要求が終了する(S12)か、T’がT以上となるまで1枚ごとにT’とTの比較を行う(S13)。プリント要求が終了していない状態(S12)で、T’がTより大きい場合(S13)には、再び充填モードを実行する(S6)。その後、(S7)〜(S12)を行い、(S12)でプリント要求が終了した場合にスタンバイ状態へ移行する(S1)。充填モードを実行後のトナー残量検知結果W2がWaよりも小さい場合は、不図示の画像形成装置表示部等の表示装置にて、ユーザーに現像容器内のトナー無しを報知し警告を促す(S14)。
【0045】
このように、本実施例では、トナー残量検知手段によって検知されたトナー残量に基づいて、該トナー残量を用いて画像形成を行うことが可能な供給ローラの回転数を計算し、その回転数に達した場合に紙間で連続プリントを紙間で一時的に停止し、充填モードを実行した。本実施例の充填モードによって、1度の連続プリント数が多大な場合にも、連続プリントの途中で濃度薄画像が発生することを抑制することが出来る。また、現像ローラ1と供給ローラ2との接触領域の上方に堆積して残留するトナーを画像形成に有効活用することが可能となる。
【0046】
なお、本実施例では、トナー残量を用いて画像形成を行うことが可能な供給ローラの回転数を設定したが、トナー残量によって推定される画像形成可能量であればよく、例えば現像ローラの回転数や画像形成枚数(プリント枚数)等を設定してもよい。
【0047】
(実施例4)
次に、本発明に係る画像形成装置の第4の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施例1と同様の部分については、その説明を省略する。
【0048】
本実施例の画像形成装置は、感光ドラム11上に形成した濃度検知用画像(以下パッチと記す)の濃度を濃度検知手段としての濃度センサ19によって検知する。そして、濃度センサ19によって検知された濃度が所定の濃度以下であった場合に充填モードを実行することを特徴とする。このパッチの光学特性としての反射光量を従来知られた発光素子と受光素子からなる濃度センサ19により検知することで、濃度を検知する。
【0049】
以下に図4のフローチャートを参照して、本実施例において充填モードを実行するか否かを判断するシーケンスを説明する。
図4のフローチャートにおいて、まず画像形成装置はスタンバイ状態(S1)にある。ここで、プリント信号が入力される(S2)と、画像形成前の前回転で、濃度センサ19にて、パッチの濃度Wを検知し(S3)、濃度Wと閾値Waとの比較を行う(S4)。本実施例では閾値Waは画像濃度の低下が生じ始める恐れのあるトナー残量に設定した。WがWaより大きい場合、画像形成装置10は画像形成を実行する(S8)。画像形成が終了すると、充填モードが非実行中であると記憶され(S9)、スタンバイ状態へ移行する(S1)。また、WがWaより小さい場合、充填モードを実行中かを判断する(S5)。充填モードを実行中ではない場合、供給ローラ2を画像形成時とは逆方向(図3のD方向)に40(rpm)で10秒間回転させる充填モードを実行し(S6)、充填モードを実行中であることを記憶する(S7)。その後、再び濃度センサ19により濃度Wを検知し(S3)、濃度Wが閾値Waよりも大きい場合、画像形成を行い(S8)、充填モードを非実行中と記憶し(S9)、スタンバイ状態へ移行する(S1)。充填モードを実行しているにも関わらず、検知した濃度WがWaよりも小さい場合、不図示の画像形成装置表示部等の表示装置にて、ユーザーに現像容器内のトナー無しを報知し警告を促す(S10)。
【0050】
本実施例の充填モードを実行することにより、実施例1と同様に、ウレタンスポンジ層内のトナー量が、充填モード実行前よりも増加するため、従来よりも現像容器内のトナー残量がより少ない状態であっても適正な画像品質を維持することが可能となる。したがって、現像ローラ1と供給ローラ2との接触領域の上方に堆積して残留するトナーを画像形成に有効活用することが可能となる。
【0051】
なお、実施例3においてトナー残量に基づいて画像形成可能な供給ローラの回転数を計算したのと同様に、本実施例において、濃度検知結果に基づいて推定した画像形成可能量に達した段階で充填モードを実行することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 現像ローラ
1a 現像ローラの導電性のシャフト
2 供給ローラ
2a 供給ローラの導電性のシャフト
3 現像容器
4 現像装置
5 規制部材
6 もれ防止シート
7 アンテナ
8 交流バイアス電源
9 検出器
10 画像形成装置
11 感光ドラム
12 帯電ローラ
13 レーザー光源装置
14 転写ローラ
15 記録紙
16 定着装置
17 クリーニングブレード
18 廃トナー容器
19 濃度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、
開口部を備えトナーを収容する容器と、
前記開口部に配置され、前記トナーを前記静電潜像に担持搬送するトナー担持体と、
前記トナー担持体に接触して前記容器の内部に配置され、表面に発泡層を備え、画像形成時に第1の回転方向に回転して前記トナー担持体に前記トナーを供給するトナー供給部材であって、前記トナー担持体との接触領域のうち前記第1の回転方向における最上流位置が最下流位置よりも高いトナー供給部材と、
を有し、
非画像形成時の所定期間において、前記所定期間前より前記所定期間後の方が前記発泡層に含まれるトナー量が多くなるように、前記トナー供給部材を前記第1の回転方向とは逆方向に前記所定期間回転させて前記発泡層にトナーを充填する充填モードを実行する画像形成装置。
【請求項2】
前記容器内のトナー量を検知する検知手段を備え、
前記検知手段によって検知された前記トナー量が所定量以下になった場合に前記充填モードを実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
所定画像の濃度を検知する検知手段を備え、
前記検知手段によって検知された前記濃度が所定濃度以下になった場合に前記充填モードを実行する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検知手段によって検知された前記トナー量が前記所定量よりも多かった場合に、該トナー量と該所定量との差分に基づく量の画像形成を行った後、前記充填モードを実行することを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定期間は、画像形成前である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定期間は、画像形成後である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−128028(P2012−128028A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277314(P2010−277314)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】