説明

画像形成装置

【課題】 縦攪拌型であってかつトリクル方式の現像装置を用いた画像形成装置において、剤面検知用の圧電センサ等を設けずとも、現像剤の不足による現像剤担持体表面のコート不良を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 駆動手段の駆動速度を制御し、トナーパターンを形成する所定領域に対応する現像室の領域に搬送される二成分現像剤量が画像形成時に比べて少なくなるようにして、トナーパターンを形成し、検知手段によりトナーパターンのトナー量を検知して、トナーパターンの検知結果に基づいて現像容器内の二成分現像剤を排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等によって静電潜像を現像する現像装置、特に、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を使用する現像装置を備えた、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、省スペースを達成するために装置本体の小型化の要求が強くなっており、特にフルカラーの画像形成装置においては、現像装置を複数配置するために小型化の要望が強い。そこで、所謂縦攪拌型の現像装置等が知られている。
【0003】
縦攪拌型の現像装置では、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤(以下、現像剤)を攪拌・搬送するための搬送スクリューが上下に隔てられた現像室、攪拌室に配置されていることが特徴である。一方の搬送スクリューは、攪拌室内の現像剤を搬送しつつ、現像剤担持体としての現像スリーブから回収した現像剤と攪拌室内における搬送する現像剤とを攪拌するために用いられる。また他方の搬送スクリューは、現像容器上側の現像室内の現像剤を搬送して現像スリーブに供給するために用いられる。このように縦攪拌型の現像装置は、現像室と攪拌室が垂直方向に配置されているため、水平方向の占有スペースが小さくて済むという利点があることから、例えば複数の現像装置を水平方向に並列配置するタンデム方式のカラー画像形成装置でも小型化を図ることが可能となる。また、現像剤担持体で現像に用いられた現像剤をいったん攪拌室にて回収し、現像剤の攪拌を行うことができるためトナーの帯電量を十分にするという点からも望ましい。
【0004】
さらに装置の小型化や高速化のために現像装置内で現像剤をより少量で高速回転させるのに伴って、現像剤に対するストレスが増大してきている。これらの結果、トナー成分の固着(スペント)などによるキャリアの劣化が早まってきている。そこで、トナーとは別に、キャリアを単独あるいはトナーと混合した状態で現像容器内に補給するトリクル現像方式が採用されるようになってきた。このトリクル現像方式では、新たにキャリアやキャリアを含む現像剤を補給する一方、現像容器内の現像剤が排出されることで、現像容器内の現像剤の入れ替えが行われる。これにより、現像容器内に存在する劣化したキャリアが占める割合を少なくして、劣化キャリアによる画質低下を抑えることができる。
【0005】
上記のような縦攪拌型の現像装置における剤循環経路は、現像室と攪拌室を隔てる隔壁の長手方向両端部に設けられた連通部を通って、攪拌室から現像室へ受け渡される。この受け渡される現像剤のすべてが現像室の下流端に到達するわけではなく、途中で現像剤担持体に供給されて現像域を通過して、攪拌室に回収される成分が存在する。
【0006】
この現像剤担持体への現像剤の受け渡しは、現像剤担持体の長手方向ほぼ全域にわたってなされる。このため、現像室内において搬送スクリューにより搬送される現像剤の量は、現像剤搬送方向上流側から下流側にいくに従い徐々に減少する傾向がある。一方、攪拌室において搬送スクリューにより搬送される現像剤の量は、搬送方向上流側から下流側にいくに従い徐々に増加する傾向がある。つまり、一般的に縦攪拌型の現像装置では搬送スクリューの現像剤搬送方向で剤面高さが傾いてしまう。
【0007】
そこで、圧電センサを現像容器内に設けるといった方法により、現像容器内の剤面高さを検知し、その検知結果に基づいて剤面の片寄りを適正にする構成が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−292511号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、圧電センサを現像容器内に設けて、現像容器内の剤面高さを検知する方法では、圧電センサの配置や検知精度に影響されてしまう。即ち、現像容器内における現像剤の分布の影響を受けやすく、また圧電センサ表面に現像剤が付着してしまうことで誤検知する恐れがある。
【0010】
また、縦攪拌型でかつトリクル方式の現像装置では、現像容器内の剤面の傾きに加えて現像剤量も変動する。そのため、現像剤量が少なくなりすぎると、現像容器内の剤面の傾きと合わさって現像室の現像剤搬送方向下流での現像剤の不足による現像剤担持体表面に担持される現像剤の載り量が均一にならない、つまり現像剤コート不良が起こる恐れがある。また、現像容器内の現像剤量が多くなりすぎると、現像容器と現像剤担持体との隙間から剤が溢れだす剤溢れや、搬送手段のロック(停止)が起こる恐れがある。
【0011】
そこで、本願発明では現像容器内に剤面検知用の圧電センサ等を設けずとも、現像剤の不足による現像剤担持体表面のコート不良であったり、現像剤量が多すぎるときの剤溢れや搬送手段のロックを抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は以下の画像形成装置にて解決される。
【0013】
即ち、静電潜像を形成する像担持体と、現像剤を担持し静電潜像をトナー像とする現像剤担持体と、トナーとキャリアを含む現像剤を収容し、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像室と前記現像剤担持体から現像剤を回収し攪拌する攪拌室とに隔てられる現像容器と、前記現像容器に設けられ前記現像室と前記攪拌室とで現像剤を循環させ搬送する搬送手段と、前記現像容器に設けられ現像剤を現像容器外に排出する排出口と、を備え、検知用のトナーパターンを前記像担持体の所定領域に形成する現像装置と、前記現像剤担持体と前記搬送手段を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の駆動速度を制御する制御手段と、前記トナーパターンのトナー量を検知する検知手段と、を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記所定領域に対応する前記現像室の領域に搬送される現像剤量が画像形成時に比べて前記トナーパターンの形成時に少なくなるように前記駆動手段の駆動速度を制御し、前記検知手段による該トナーパターンの検知結果に基づいて前記排出口から排出される現像剤量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
現像剤の不足による現像剤担持体表面のコート不良であったり、現像剤量が多すぎるときの剤溢れや搬送手段のロックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】実施例1に係る現像装置の長手方向に垂直な断面図である。
【図3】実施例1に係る現像装置の長手方向の断面図である。
【図4】実施例1に係る駆動部の駆動速度とコート不良が発生する現像剤量との関係を示す図である。
【図5】実施例1に係る制御回路のブロック図である。
【図6】実施例1に係る第一、第二搬送スクリューの駆動速度の制御を示したフローチャート図である。
【図7】実施例2に係る駆動部の駆動速度とコート不良が発生する現像剤量との関係を示す図である。
【図8】実施例2に係る制御回路のブロック図である。
【図9】実施例2に係る第一、第二搬送スクリューの駆動速度の制御を示したフローチャート図である。
【図10】実施例3に係る第一、第二搬送スクリューの駆動速度の制御を示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施例1]
図1に、本発明が適用できる画像形成装置の一実施形態である、電子写真方式を採用したフルカラー画像形成装置の概略構成図を示す。
【0017】
本実施形態にて、画像形成装置は、4つの画像形成部P(Pa、Pb、Pc、Pd)を備え、各画像形成部Pa〜Pdは、像担持体としての矢印方向(反時計方向)に回転するドラム状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)を備え、その周囲には、帯電器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム1の図上方に配置した露光手段としてのレーザービームスキャナ3(3a、3b、3c、3d)、現像装置4(4a、4b、4c、4d)、転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、クリーニング手段19(19a、19b、19c、19d)などからなる画像形成手段を有する。
【0018】
各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは同様の構成であり、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdに配置された感光体ドラム1a、1b、1c、1d等についても同様の構成である。従って、以下、説明においては、感光体ドラム1a、1b、1c、1dを「感光体ドラム1」と総称する。同様に、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdに配置された帯電器2a、2b、2c、2d、レーザービームスキャナ3a、3b、3c、3d、現像装置4a、4b、4c、4d、転写ローラ6a、6b、6c、6d、クリーニング手段19a、19b、19c、19dのような画像形成手段も又、各画像形成部においてそれぞれ同じ構成のものなので、帯電器2a、2b、2c、2d、レーザービームスキャナ3a、3b、3c、3d、現像装置4a、4b、4c、4d、転写ローラ6a、6b、6c、6d、クリーニング手段19a、19b、19c、19dは、それぞれ、帯電器2、レーザービームスキャナ3、現像装置4、転写ローラ6、クリーニング手段19と総称して、以下説明する。本実施例では、複数の色のトナーを用いて画像を形成するフルカラー画像形成装置を用いて説明するが、モノクロの画像形成装置であっても本発明は適用可能である。
【0019】
上記構成の画像形成装置における画像形成動作について説明する。まず、感光体ドラム1が、帯電器2によって一様に帯電される。その後、帯電された感光体ドラム1は、上記のレーザービームスキャナ3により露光が行われる。レーザービームスキャナ3は、半導体レーザーを内蔵しており、CCD等の光電変換素子を有する原稿読み取り装置が出力する原稿画像情報信号に対応して制御され、レーザー光を射出する。これにより、帯電器2によって帯電された感光体ドラム1の表面上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4によって現像され、トナー像とされる。上記工程を各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd毎に行うことによって、感光体ドラム1a、1b、1c、1d上に、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像が形成される。更に、画像形成部Pの下方位置には、中間転写体である中間転写ベルト5が配置されている。中間転写ベルト5は無端ベルトであり、ローラ51、52、53に懸架され、矢印方向に移動可能とされる。各色トナー像は、その後中間転写ベルト5へと転写され、さらに中間転写ベルト上から記録材へとこれらのトナー像が転写される。その後、定着装置16によって記録材へと転写されたトナー像が定着され、定着画像となる。
【0020】
ここで、感光体ドラム1上のトナー像は、一次転写手段としての転写ローラ6によって中間転写ベルト5に転写される。これによって、中間転写ベルト5上にてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされ、フルカラー画像が形成される。さらに、各色トナー像の形成タイミングを合わせるために中間転写ベルト5の上部には色ずれを検知する色ずれ検知センサであるレジ検センサ60が設けられ、検出用に形成されたトナー像(以下、トナーパターン)をその読取位置に搬送された際に順次検出する。その検出タイミングから、各色トナーパターンの中心位置検出タイミングを算出し、この中心位置検出タイミングを用いて中間転写ベルト上に形成される各色トナー像を正しく重ねることが出来る。また、感光体ドラム1上に転写されずに残った転写残トナーはクリーニング手段19に回収される。
【0021】
この中間転写ベルト5上のフルカラー画像は、給紙カセットから取り出され、給紙ローラ13、給紙ガイドを経由して進行した紙などの転写材Sに、二次転写手段としての二次転写ローラ10の作用により転写される。転写されずに中間転写ベルト5表面に残ったトナーは中間転写ベルトクリーニング手段18に回収される。
【0022】
一方、トナー像が転写された転写材Sは、定着装置16に送られ、画像の定着が行われ、排紙トレー17に排出される。
【0023】
尚、本実施形態では、像担持体として、通常使用されるドラム状の有機感光体である感光体ドラム1を使用したが、勿論、アモルファスシリコン感光体等の無機感光体を使用することもできる。また、ベルト状の感光体を用いることも可能である。帯電方式、転写方式、クリーニング方式、定着方式に関しても、上記方式に限られるものではない。
【0024】
次に、図2及び図3を参照して、現像装置4の構成と動作について説明する。図2及び図3は本実施形態に係る現像装置4の断面図であり、所謂、縦攪拌型の現像装置となっている。縦攪拌型の現像装置とは、現像スリーブに現像剤を供給する現像室と現像スリーブから現像剤を回収し攪拌する攪拌室とが鉛直方向上下に設けられた現像装置のことを言う。現像室と攪拌室が垂直方向に配置されているため、水平方向の占有スペースが小さくて済むという利点があることから、例えば複数の現像装置を水平方向に並列配置するタンデム方式のカラー画像形成装置でも小型化を図ることが可能となる。また、現像剤担持体で現像に用いられた現像剤をいったん攪拌室にて回収し、現像剤の攪拌を行うことができるためトナーの帯電量を十分にするという点からも望ましい。
【0025】
本実施形態に係る現像装置4は、現像容器22を備え、現像容器22内に現像剤としてトナーとキャリアを含む二成分現像剤(以下、現像剤)が収容されている。また、現像容器22内に、現像剤担持体としての現像スリーブ28と、現像スリーブ28上に担持された現像剤の穂を規制する穂切り部材29とを有している。
【0026】
本実施形態にて、現像容器22の内部には、鉛直方向(重力方向)に対して略中央部が図2における紙面に垂直方向に延在する隔壁27によって現像室23と攪拌室24に鉛直方向上下に区画されている。更に、現像剤は現像室23及び攪拌室24に共に収容されている。ここで、現像室23が鉛直方向上部に設けられているが、鉛直方向下部に設けても良い。
【0027】
また、図3に示すように、現像室23及び攪拌室24には、現像剤搬送手段として、第一及び第二の搬送部材である第一及び第二の搬送スクリュー25、26がそれぞれ配置されている。第一の搬送スクリュー25は、現像室23に現像スリーブ28の軸方向(長手方向)に沿ってほぼ平行に配置されており、回転して現像室内の現像剤を軸線方向に沿って一方向に搬送する。また、第二の搬送スクリュー26は、攪拌室24内に第二の搬送スクリュー26とほぼ平行に配置され、攪拌室24内の現像剤を軸線方向に沿って第一の搬送スクリュー26と反対方向に搬送する。このように、第一及び第二の搬送スクリュー25、26の回転による搬送によって、現像剤が隔壁27の両端部の開口部(即ち、連通部)11、12を通じて現像室23と攪拌室24との間で循環される。
【0028】
なお、第一の搬送スクリュー25は外径Φ20mm、軸径6mm、ピッチ25mmの形状で回転速度は650rpmに設定している。また、第二の搬送スクリュー26についても同様に外径Φ20mm、軸径6mm、ピッチ25mmの形状で回転速度は650rpmに設定している。
【0029】
本実施形態においては、現像容器22の感光体ドラム1に対向した位置には開口部があり、この開口部に現像スリーブ28が感光体ドラム方向に一部露出するように回転可能に設けられている。
【0030】
ここで、現像スリーブ28と感光体ドラム1とを近接配置することによって、現像域に搬送した現像剤を磁気ブラシの状態で感光体ドラム1と接触させて現像を行う、所謂接触現像方式を用いている。ただし、この方式に限定されず非接触現像方式としても良い。なお、この現像スリーブ28はアルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、その内部には磁界手段であるマグネットローラ28mが非回転状態に固定されている。このマグネットローラ28mは、現像部における感光体ドラム1に対向して配置された現像極S2と、更に、穂切り部材29に対向して配置された磁極S1、磁極S1、S2の間に配置された磁極N1、現像室23及び攪拌室24にそれぞれ対向して配置された磁極N2及びN3を有している。また、画像形成時における現像スリーブ28の回転数は550rpmに設定されている。
【0031】
現像スリーブ28は、現像時に図示矢印方向(反時計方向)に回転し、穂切り部材である規制ブレード29による磁気ブラシの穂切りによって層厚を規制された現像剤を担持して、これを感光体ドラム1と対向した現像域に搬送し、感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像してトナー像とする。
【0032】
規制ブレード29は、現像スリーブ28の長手方向軸線に沿って延在した板状のアルミニウムなどで形成された非磁性部材29aと、鉄材のような磁性部材29bで構成され、感光体ドラム1よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。そして、この穂切り部材29の先端部と現像スリーブ28との間を現像剤のトナーとキャリアが磁気ブラシの状態で通過して現像域へと送られる。
【0033】
また、現像容器22には排出口40が設けられている。そして、この排出口40から現像容器内に収容されているトナーとキャリアを含む現像剤が溢れるようにして現像容器外へと排出され、回収容器41へと回収される。このようにして、主に劣化したキャリアを排出口40から排出し新しいキャリアを補給することで現像容器内の現像剤を入れ替えている。そのため、現像容器内の劣化した現像剤が占める割合を少なくして、劣化キャリアによる画像低下を抑制している。また、本実施例では、排出口40は現像室23の中心位置よりも搬送方向下流側であって、ホッパーから現像剤が補給される位置よりも上流側に位置している。この位置とすることで、補給されたばかりの現像剤がすぐに排出口40から排出されないようにしている。ただし、この位置に限定されず攪拌室24に排出口40を設ける等しても良い。
【0034】
本実施形態における現像剤の補給方法についても、図2及び図3を用いて説明する。
現像装置4の上部には、トナーとキャリアを混合した補給用の補給現像剤を収容するホッパー31が着脱可能に取り付けられている。トナー補給手段を構成するこのホッパー31は、下部にスクリュー状の搬送部材32を備え、搬送部材32の一端が現像装置4の前端部に設けられた現像剤補給口30の位置まで延びている。
【0035】
画像形成によって消費された分のトナーは、搬送部材32の回転力と、現像剤の重力によって、ホッパー31から現像剤補給口30を通過して、現像容器22に補給される。このようにしてホッパー31から現像装置4に補給現像剤が補給される。
【0036】
補給現像剤量は、搬送部材である搬送部材32の回転数によっておおよそ定められるが、この回転数は図示しない補給量制御手段によって制御する。本実施例では、消費したトナーの量だけ補給している。ここで、トナー消費量の測定方法については、トナー像のトナー付着量を光学的に検知するものや、出力画像の画像信号から求まるビデオカウント値によって推測する方法等が知られているが、いずれかの方法を選択しても良い。また、キャリアのみ補給しても良いが、少なくともキャリアを含む補給現像剤を補給することとする。
【0037】
図5は、本実施例に係る制御回路のブロック図である。画像形成装置100は動作を統括的に制御する制御手段110を有する。制御手段110は、トナーパターン発生部81、メモリ手段74、メモリ手段74に記憶されたプログラム、データに従って画像形成装置100をシーケンス動作させるCPU71を有する。CPU71には、レジ検センサ60の出力が接続され、CPU71は、レジ検センサ60の出力の変化を検知することができる。又、CPU71は、現像容器22に設けられた現像スリーブと第一、第二の搬送スクリュー25、26を駆動する駆動手段である駆動部72(駆動モータ)を制御して、現像スリーブ28や第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度を制御する。
【0038】
ここで、現像容器内において、現像剤が劣化して現像剤面の傾きが大きくなる、又は、現像容器内の現像剤量が変動して現像剤量が少なくなると、現像室23の現像剤搬送方向下流で現像剤が少なくなる。更に、現像室23の現像剤搬送方向下流で現像剤がある所定の量よりも少なくなると、その現像室23の現像剤搬送方向下流において現像スリーブ28に現像剤を供給することができなくなり、現像スリーブ上の現像剤搬送方向下流と対向する領域でコート不良を引き起こす。現像スリーブ上でコート不良が起きると出力される画像においても濃度ムラや一部が抜けてしまう白抜け等の画像不良が起こる。そのため、画像形成時において現像スリーブへと現像剤を供給する現像室23の現像剤搬送方向下流の現像剤が所定の量よりも少なくなることを抑制したい。
【0039】
ここで、本実施例では感光ドラムの所定領域に検知用のトナーパターンを形成して、画像不良の発生を検知している。尚、出力画像のトナー濃度を検知するために形成する所謂トナーパッチとは少し目的が異なる。
【0040】
この検知用のトナーパターンの形成方法としては、トナーパターン発生部81からの信号により所定のパターンを形成するようにレーザービームスキャナ3を制御して感光ドラム上にトナーパターンの静電潜像を形成し、現像装置により現像する。その感光ドラム上に形成された検知用のトナーパターンは、中間転写ベルト5に転写され、レジ検センサ60でそのトナーパターンの付着量(以下、トナーパターン濃度)を検知することが出来る。しかし、現像室における現像剤の搬送方向下流側の領域Aで現像剤が不足している場合、領域Aにおいて現像スリーブへの現像剤の供給が不十分となり、感光体ドラムや中間転写ベルト上にトナーパターンが形成出来ず、レジ検センサ60でトナーパターン濃度を検知することができなくなる。ここで、領域Aはトナーパターンを形成する感光体ドラムの所定領域へと現像剤を供給する領域であり、この領域Aで供給した現像剤がトナーパターンの形成に用いられる。また、所定領域は現像剤の供給が不足し易い現像室における現像剤の搬送方向下流側の領域と対応する領域であることが望ましい。
【0041】
このときに、色ずれ検知手段であるレジ検センサをトナーパターンのトナー量の検知手段としても用いているため、色ずれ検知とトナーパターンのトナー量検知を共に行うことが可能で、ダウンタイムの発生を抑制することが出来る。本実施例において、レジ検センサ60は、発光素子として発光体であるランプやLED等の光源と、受光素子としてレジストレーション補正用のトナーパターンを受光するフォトダイオードと、光源に照射されたレジストレーション補正用のトナーパターンの像をフォトダイオードに結像するための光学系とから構成される。
【0042】
本実施例において、レジ検センサ60は、図1に示すように、複数の感光ドラム1のうち、ベルト進行方向において最下流に位置する感光ドラム1dと、その付近の一次転写面の一端を構成している駆動ローラ51との間に位置し、中間転写ベルト5上の感光ドラム1dより下流の位置において、中間転写ベルト5上に、トナーパターン発生部81の信号によって形成されたレジストレーション補正用のトナーパターンを読み取るようになっている。
【0043】
つまり、レジ検センサ60で検出したトナーパターンの量によって、現像スリーブ上のコート不良についても検知することが出来る。尚、本実施例ではトナーパターンからの反射光量を検知することによって、トナーパターンのトナー量を検知しているが、トナーパターンからの反射光の反射位置を検知することでトナー量を検知する等しても良い。また、トナーパターンのトナー量の検知としては、トナーが付着しているかどうか判定する場合も含む。
【0044】
図3の領域Aは、本実施例におけるトナーパターンの形成位置について示した図である。図3に示すようにトナーパターンの形成位置としては、現像室の現像剤搬送方向下流側であるAの領域と現像スリーブを挟んで向かい合う、即ち現像室の現像剤搬送方向下流側であるAの領域と対応する感光体ドラムの所定領域に形成されている。ただし、この位置に限定されず、現像室の中心よりも現像剤搬送方向下流側に位置する領域と現像スリーブを挟んで向かい合う感光体ドラム1の所定領域に形成すれば良い。
【0045】
以下に、本発明者らが実験を行って求めた、現像スリーブ28、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度とコート不良が発生する時の現像容器内の現像剤量との関係を示す。本発明者らが行った実験では、まず現像スリーブ28と第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度を画像形成時の駆動速度よりも遅くして、現像室における現像剤の搬送方向下流側の領域(図3の領域A)から現像剤を供給される感光体ドラムの領域にトナーパターンとして3cm×1cmの黒色のベタ画像である黒ベタの帯状のトナーパターンを形成した。ただし、マゼンタやイエロー等でトナーパターンを形成しても良い。
【0046】
ここで、画像形成時の駆動部72の駆動速度は前述した通り、現像スリーブ28で550rpm、第一、第二の搬送スクリュー25、26で650rpmである。この画像形成時の駆動部の駆動速度を1(画像形成時比率1)とした時に、0.9(495rpm、585rpm)、0.8(440rpm、520rpm)、0.7(385rpm、455rpm)と駆動速度を下げた状態でトナーパターンを形成した。その時のトナーパターンのトナー量(以下、トナーパターン濃度と呼ぶ)を中間転写ベルト5上でレジ検センサ60を用いて検知した。この検知結果に基づき、トナーパターン濃度が所定の閾値を超えておらずコート不良が発生したとした時の、現像容器内の現像剤量を現像容器内から取り出して測定した。
【0047】
ここで、コート不良が発生したとする値としては、十分に現像剤が供給されているときのトナーパターン濃度に比べて0.3以下になった場合としている。また、実験で用いる現像剤量として、230gから5g毎に増やしていき、コート不良が発生しなくなった時の現像剤量を、コート不良発生剤量と決定している。
【0048】
実験では、現像剤の補給や排出は行わず、また現像容器内の現像剤に占めるトナーの重量比率である、所謂T/D比として10%の現像剤を用いている。また、現像スリーブ28、第一、第二の搬送スクリュー25、26を駆動している駆動手段は同一の駆動部72である。そのため、駆動部72の駆動速度をCPU71によって切り替え制御することにより、画像形成時比率が等しくなるように現像スリーブ28、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度を切り替えることができる。
【0049】
図4は、上記実験により得られた結果であり、現像スリーブ28、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度の画像形成時比率と現像スリーブ上でのコート不良が発生する時の現像容器内の現像剤量との関係を示した図である。
【0050】
コート不良発生剤量とは、現像室から現像スリーブ28に現像剤を供給できなくなり現像スリーブ上でコート不良が発生する現像容器内の現像剤量とする。つまり、コート不良発生剤量以下の現像剤量では、現像スリーブ上でコート不良が発生することを意味する。また、図4では、横軸を現像スリーブ28、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度の画像形成時比率とし、縦軸を現像スリーブ上でのコート不良が発生する時の現像容器内の現像剤量としている。
【0051】
次に本発明の特徴である、現像スリーブ28と第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度の制御について図6に示すフローチャートを用いて以下で説明する。
【0052】
本発明の目的は、現像剤の不足による現像剤担持体表面のコート不良の発生を抑制することである。また、現像容器内の現像剤量が多すぎるときの剤溢れや搬送手段のロックについても抑制することである。
【0053】
現像容器内の現像剤量が少なくなると、現像室23の現像剤の搬送方向下流側で現像剤が少なくなり、現像スリーブ28に現像剤を供給できないために現像スリーブ上のコート不良を引き起こす恐れがある。一方で、現像剤量が多くなりすぎると、主に攪拌室24から現像室23に現像剤を汲み上げる連通部11における現像剤の溢れや、第一、第二の搬送スクリュー25、26がロックする(停止する)といった問題が起こる恐れがある。
【0054】
そのため、これらの問題を解決するために、現像容器内の現像剤量の変動を抑えて、現像剤量を所定範囲に収める必要がある。以下、現像容器内の現像剤量を所定範囲に収めるための、本発明における現像スリーブ28と第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度の制御について詳しく説明する。
【0055】
縦攪拌型の現像装置において、現像スリーブと第一、第二の搬送スクリューの駆動速度を遅くすると、現像剤が搬送される速度が遅くなる。すると、第二の搬送スクリューで搬送される現像剤の速度も低下する為、攪拌室24から現像室23へ汲みあげられる現像剤の勢いも低下し、現像室23への現像剤の汲み上げ量が少なくなってしまう。すると、現像室側の剤量が少なくなって現像剤搬送方向下流側で剤面高さが低くなることになり、現像スリーブに現像剤を供給できずにコート不良が発生する。
【0056】
このため、縦攪拌型の現像装置では図4に示すように駆動速度を遅くすることで、コート不良が発生する現像容器内の現像剤量というものが多くなってゆく。つまり、現像スリーブと第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が遅ければ遅いほど、コート不良を抑制するにはより多くの現像剤量が必要となる。そのため、これを利用して現像容器内の現像剤量を推測することができる。
【0057】
本実施例で用いる現像装置では、画像形成時における現像容器内の現像剤量が240g以下になると、現像室の現像剤搬送方向下流において、現像剤を供給できないために現像スリーブのコート不良を引き起こす。一方、現像剤量が330gより多くなると汲み上げ部の現像スリーブと現像容器の隙間から現像剤が溢れたり、第一、第二のスクリューがロックするといった問題が起こる。そのため、本実施例の現像装置では、余裕を見るため、現像容器内の現像剤量を260〜290gの範囲内に収めるようにしている。
【0058】
以下、現像容器内の現像剤量の変動を抑える制御について詳しく説明する。CPU71は画像形成終了後の後回転時に、第一、第二の搬送スクリューと現像スリーブの駆動速度が画像形成時の搬送速度から10%遅くした90%の駆動速度になるように駆動部72を制御する(S101)。トリクル方式において補給される現像剤のキャリアとトナーの混合比が決まっていれば(例えば、本実施例ではトナー:キャリア、9:1)、トナーの消費量からキャリアの補給量が決まる。ここで本実施例ではキャリアが20g補給された直後の後回転で、図6に示すトナーパターン濃度の検知を始めることとしている。
【0059】
CPU71は第一、第二の搬送スクリュー25、26と現像スリーブ28の駆動速度を画像形成時の90%(画像形成時比率0.9)として、トナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いてトナーパターン濃度を検知する(S102)。このときトナーパターン濃度が所定の閾値を超えていなければ、図4から現像容器内の現像剤量は270g以下であることがわかる。画像形成時において現像容器内の現像剤量が240g以下になると現像スリーブ28への現像剤の供給が出来なくなり、コート不良が発生する。そのため、画像形成時にコート不良が発生する現像剤量まであまり余裕がないので、現像剤をなるべく排出させないように現像スリーブ28と第一、第二の搬送スクリュー25,26の駆動を停止する(S103)。
【0060】
ここで、S102ではレジ検センサ60の出力するトナーパターン濃度が所定の閾値を下回った場合に、コート不良と判定している。ここで、閾値としては十分に現像剤が供給されているときのトナーパターン濃度に比べて0.3以下になった場合としてあるが、それに限定されず適当な値とすれば良い。
【0061】
一方、レジ検センサ60の検知により、トナーパターン濃度が所定の値が出ていれば、S104へと移り、CPU71は第一、第二の搬送スクリューと現像スリーブ28の駆動速度が画像形成時の80%になるように駆動部72を制御する(S104)。
【0062】
CPU71は第一、第二の搬送スクリューと現像スリーブ28の駆動速度が画像形成時の80%になった後、現像室における現像剤の搬送方向下流側に相当する領域にトナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いて、トナーパターン濃度を検知する(S105)。このときトナーパターン濃度が所定の閾値に達していなければ、強制排出モード1へと移る(S106)。つまり、ここでは図4から現像容器内の現像剤量が270g〜300gであることがわかる。そのため、現像容器内の現像剤量を少しだけ減らすために、強制排出モード1へと移り、現像剤量を10g程度吐き出すこととする。
【0063】
その強制排出モード1の吐き出し方法について説明する。現像スリーブ28と第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度を、画像形成時の駆動速度の120%(画像形成時比率1.2)の速度へと切り替えた上で、駆動時間として5秒空回転させてから駆動部72の駆動を停止する。
【0064】
また、トナーパターンを形成しない通常の後回転時であれば、画像形成時と同じ駆動速度で5秒程度空回転させてから、駆動部72の駆動を停止する。
【0065】
第一、第二搬送スクリューの回転数を上げると、現像剤が搬送される速度が速くなる。すると、第二搬送スクリューで搬送される現像剤の速度が上がるため、現像室への現像剤の汲み上げ量が多くなり、現像室の搬送方向下流側に配置された排出口40近傍での剤面が高くなるため現像剤の排出量が増える。S105においてトナーパターン濃度が所定の値が出ていれば、CPU71は第一、第二の搬送スクリューと現像スリーブの駆動速度が画像形成時の70%になるように駆動部72を制御する(S107)。
【0066】
CPU71は第一、第二の搬送スクリューと現像スリーブの駆動速度が画像形成時の70%になった後、同様にトナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いて、トナーパターン濃度を測定する(S108)。このときのトナーパターン濃度が所定の閾値に達していなければ、現像容器内の現像剤量が300〜330gであることがわかる。そのため、現像剤量を考慮して強制排出モード2にうつる。強制排出モード2は、より多く排出する必要があるため後回転時に、駆動速度を120%で駆動時間として15秒空回転をいれた上で駆動部72の駆動を停止する(S109)。
【0067】
S108においてトナーパターン濃度が所定の閾値を超えていれば、現像剤量は330g以上と推測されるので、CPU71は駆動部72の駆動速度が画像形成時の120%になるように駆動手段を制御した上で、20秒空回転を行い(S110)、その後S101に戻る。ここで駆動速度を120%にした時の現像剤の排出量は2g/s程度なので現像剤量が330g以上あれば20秒空回転させた時の現像剤排出量は40g現像剤量を減らすことが出来る。尚、本実施例では複数の駆動速度でトナーパターンを形成しているが、1つの駆動速度でトナーパターンの形成を行っても良い。
【0068】
また、例えば記録材として厚紙が用いられるときに、プリントスピードを通常の画像形成時の半分にするモード(1/2速モード)が知られている。このような1/2速モードにおいては、1/2速モードにおける画像形成時の第一、第二の搬送スクリューと現像スリーブの駆動速度を画像形成時の駆動速度とする。それに対して駆動部の駆動速度を95%、90%に制御してトナーパターンを形成する。
【0069】
以上説明してきた通り、本発明の特徴としては、CPUにより駆動部の駆動速度を画像形成時と異ならせて、画像形成時に比べてトナーパターンを形成する所定領域へと供給する現像剤量が少ない状態でトナーパターンを形成する。さらに、検知手段であるレジ検センサによりこのトナーパターンのトナー量を検知して、このトナーパターンの検知結果に基づいて現像容器内の現像剤量を制御することである。このような構成とすることにより、現像容器内の現像剤の不足による現像剤担持体表面のコート不良の発生を抑制することができる。また、現像剤が多すぎるときの、剤溢れや搬送手段のロックを抑制することができる。
【0070】
尚、本実施例では、光学式の検知手段を用いてトナーパターンからの反射光量を検知してその検知結果に基づいて、コート不良検知をしているが、超音波センサを用いてトナーパターンのトナー高さを検知して、その検知結果に基づいてコート不良検知としても良い。
【0071】
また、検知用のトナーパターンとしては、出力される画像のトナー濃度を検知するパッチや、ブレードに潤滑剤としてトナーを供給する所謂、黒帯を兼ねるものであっても良い。
【0072】
また、転写材として厚紙を用いるときに画像形成速度を通常の半分にする2分の1速モードがあるが、この場合には2分の1速モードからさらに搬送スクリューの駆動速度を遅くしてトナーパターンの形成を行うこととする。
【0073】
また、検知開始タイミングは後回転時としているが、スタンバイからプリントを行うまでの準備期間である前回転時や、プリントジョブ実行時に割り込ませて検知開始をする構成としても良い。
【0074】
また、現像スリーブ28、第一、第二の搬送スクリュー25、26で駆動速度を切り替えているが、現像スリーブ28と第二の搬送スクリュー26のみや、現像スリーブ28と第一の搬送スクリュー25のみの駆動速度を切り替えるとしても良い。
【0075】
また、本実施例では中間転写体上でトナーパターンの検知を行っているが、これに限定されず感光ドラム上や記録紙上でトナーパターンの検知を行っても良い。
【0076】
[実施例2]
本実施例における画像形成装置、及び現像装置の構成は実施例1とほぼ同様であるためこれらの説明については省略する。本実施例では駆動手段が現像スリーブ28を駆動する第一駆動部72aと、第一、及び第二の搬送スクリュー25、26を駆動する第二駆動部72bがそれぞれ独立した別個の駆動部であることを特徴としている。そのため、本実施例のトナーパターン形成時の駆動速度として、現像スリーブ28の駆動速度Vsは変えず、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度Vhのみを切り替えて制御している。つまり、本実施例では現像スリーブ28の駆動速度Vsと第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度Vhとの駆動速度比Vs/Vhを、トナーパターンの形成時に画像形成時の駆動速度比と変えている。このように本実施例では、トナーパターンの形成時に駆動速度比Vs/Vhを画像形成時よりも大きくした状態で行う。駆動速度比Vs/Vhを画像形成時よりも大きくすることで、トナーパターンを形成する領域と現像スリーブを挟んで向かい合う現像室の領域の現像剤を少なくした状態でトナーパターンを形成し、のコート不良がより発生し易いようにしている。
【0077】
ここで、本実施例における制御回路のブロック図を図8に示す。実施例1とほとんど同じ構成であるため、重複する部分の説明については省く。本実施例の制御回路では、現像スリーブ28を駆動する第一駆動部72aと、第一、第二の搬送スクリュー25、26を駆動する第二駆動部72bとに別れている。そのため、実施例1とは違って、現像スリーブ28と、第一、第二搬送スクリュー25,26とをそれぞれ別に制御することができる制御回路としている。
【0078】
図7では、第一、第二の搬送スクリューの駆動速度の画像形成時比率とコート不良が発生する現像容器内の現像剤量との関係を図示している。この実験方法としては実施例1に示した方法とほぼ同じであるが、本実施例の場合には、現像スリーブの駆動速度は切り替えずに同じ駆動速度のまま、第一、第二の搬送スクリューの駆動速度を切り替えてトナーパターンを形成している。そのときの、コート不良が発生する現像容器内の現像剤量を測定してある。
【0079】
ここで、トナーパターン形成時の第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が遅ければ遅いほど、コート不良が検知される現像容器内の現像剤量は多くなっている。これは、第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が遅ければ遅いほど現像剤の搬送力が小さく、連通部11における汲み上げ性が低くなるためである。さらに、現像スリーブの駆動速度に対する第一の搬送スクリューの駆動速度の相対的な速度比が下がるため、現像室で搬送される現像剤量に比べて、現像スリーブが現像室から攪拌室に搬送する現像剤量が相対的に多くなるためである。そのため、現像室における剤面、特に現像剤搬送方向下流側における剤面が低くなり、現像容器内の現像剤量が多くともコート不良が発生し易くなっている。
【0080】
以下で、現像容器内の現像剤量の変動を抑える制御について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。本実施例においては、トナーパターン形成時の現像スリーブ28の駆動速度は画像形成時の駆動速度と同じであり、第一、第二の搬送スクリューの駆動速度を切り替えて遅くしている。
【0081】
CPU71は画像形成終了後、第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の95%になるように駆動部72を制御する(S201)。CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の95%になった後、トナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いてトナーパターン濃度を測定する(S202)。このときトナーパターン濃度が所定の閾値に達していなければ、図7から現像容器内の現像剤量が260g以下であることがわかり、画像形成時に現像スリーブ28でコート不良が発生する現像剤量まであまり余裕がない。そのため、現像剤をなるべく排出させないように現像スリーブ28と第一、第二の搬送スクリュー25,26の駆動を停止する(S203)。
【0082】
S202においてトナーパターン濃度が所定の閾値を超えていれば、CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度を画像形成時の90%になるように第二駆動部72bを制御する(S204)。CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の90%になった後、トナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いてトナーパターン濃度を検知する(S205)。ここでコート不良が発生していれば現像剤量が、260g〜280gであることがわかる。そのため、現像容器内の現像剤量を考慮して、強制排出モード1にうつる。
【0083】
強制排出モード1における吐き出し方法としては、現像スリーブ28と第一、第二の搬送スクリュー25,26との駆動速度比を変える事で行う。ここで、第一の搬送スクリュー及び第二の搬送スクリューが搬送する現像剤量が、現像スリーブ28が搬送する現像剤量よりも相対的に十分大きければ、現像室内の剤面の傾きは小さくなり、排出口40近傍における剤面が高くなる。そこで、現像スリーブの駆動速度を下げることで、強制的に現像剤を排出することとする。強制排出モード1では現像スリーブの駆動速度を画像形成時の50%とした上で、5秒空回転をさせる(S206)。空回転させた時の現像剤の吐出し量は2g/sなので、5秒空回転させることで10g排出することが出来る。また、このように現像スリーブ28の回転速度を遅くして現像剤の排出を行うことは、現像剤劣化を抑制できることから、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度を速めて現像剤の排出を行うよりも望ましい。
【0084】
S204においてトナーパターン濃度が所定の値が出ていれば、CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の85%になるように駆動部72を制御する(S207)。
【0085】
CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の85%になった後、トナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いてトナーパターン濃度を検知する(S208)。ここでトナーパターン濃度が所定の閾値に達していなければ現像剤量が、280〜300gであることがわかる。現像剤量を考慮し、強制排出モード2に移る(S209)。強制排出モード2では、強制排出モード1よりも現像剤を多く排出する必要があるため、現像スリーブの駆動速度を画像形成時の50%とした上で10秒空回転をさせる(S209)。一方、トナーパターン濃度が所定の値が出ていれば、現像剤量は300g以上あるので、強制排出モード3に移る。強制排出モード3として、現像スリーブの駆動を止めて、第一、第二の搬送スクリューのみを10秒駆動し、現像剤の吐き出しを行った後(S210)、S201に戻る。ここで現像スリーブの駆動を止めて第一、第二の搬送スクリューのみを駆動したときの現像剤の吐出し量は4g/sなので現像剤量が300g以上あれば10秒吐き出しても260g程度までしか現像剤量が減らないず、適正な現像剤量に収めることができる。
【0086】
以上説明したように、本実施例のような構成とすることにより、現像容器内の現像剤量を検知し現像剤の排出量の制御を行うことで、現像容器内の現像剤量を最適化して所定範囲にすることが望める。また実施例1のように現像スリーブ28を画像形成時よりも高速で駆動させる必要がないので、現像剤の劣化をより抑制することができる。
【0087】
尚、本実施例ではトナーパターン形成時に現像スリーブ28の駆動速度は変えずに、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度のみを切り替えているが、第一、第二の搬送スクリュー25、26の駆動速度は変えずに、現像スリーブ28の駆動速度のみを変えるとしても良い。その場合には、現像スリーブ28の駆動速度を速める構成とする。これにより、現像容器内の現像剤の傾きを大きくした状態で、トナーパターンの形成が可能となる。
【0088】
また、後回転時に現像剤量検知を開始しているが、これに限定されず画像形成中に現像剤量検知を開始しても良い。その場合には、紙間であったり、画像形成領域外の非画像形成領域にトナーパターンを形成することとする。
【0089】
[実施例3]
本実施例における画像形成装置、及び現像装置の構成、検知動作は実施例2とほぼ同様であるのでこれらの説明については省略する。本実施例における特徴としては、補給剤収容部を2つ設けてキャリアとトナーとを別々に収容して、それぞれ別個に補給する構成としている。更に、強制排出モードは行わずに、補給モードを行うことを特徴としている。また、画像形成中に検知開始をすることとし、トナーパターンは画像形成時に非画像形成領域に形成することを特徴としている。前回のトナーパターン形成時から補給するキャリア量が30gに達した時点で検知をスタートする。
【0090】
図10に示すように、CPUは補給するキャリア量が30gに達した画像形成時、第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が通常の画像形成時の97%になるように第二駆動部72bを制御する。(S301)画像形成中であっても、CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の97%になった後に、トナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いてトナーパターン濃度を測定する(S302)。ここで、トナーパターンを形成する感光体ドラム1の領域は、現像室の現像剤搬送方向下流側と現像スリーブ28を挟んで向かい合う領域であってかつ画像形成領域外(非画像形成領域)であることが望ましい。というのも、この構成であれば画像形成と同時にトナーパターンも形成できるため、余計なダウンタイムを発生させることなく、コート不良検知を行うことが出来るためである。
【0091】
このとき(S302)、トナーパターン濃度が所定の閾値に達していなければ、図7から現像剤量は250g程度以下であることがわかる。画像形成時において現像スリーブ上にコート不良が発生する現像剤量は240gであるため現像剤量の下限のラチチュードが少ないので、本実施例においては、CPU71が図示しない補給量制御手段に信号を出してスクリュー状の搬送部材32を制御させ、強制補給モードとしてキャリアを15g補給して、画像形成動作を続ける。(S303)一方、S301においてコート不良が発生していなかった場合、CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の95%になるように駆動部72を制御する(S304)。
【0092】
CPU71は第一、第二の搬送スクリューの駆動速度が画像形成時の95%になった後、現像室における現像剤の搬送方向下流側にトナーパターンを形成し、レジ検センサ60を用いてトナーパターン濃度を測定する(S305)。このときトナーパターン濃度が所定の閾値に達していなければ現像剤量が、250g程度〜260gであることがわかる。CPU71は図示しない補給量制御手段に信号を出して、強制補給モードとしてキャリアを5g補給させつつ、画像形成動作を続ける(S306)。一方、S305において所定の濃度が出ていればキャリアの補給を停止して、画像形成動作を続ける(S307)。
【0093】
尚、本実施例は実施例1や実施例2と組み合わせて、現像剤量が過剰なときは強制排出モードを行っても良い。
【0094】
また、キャリアとトナーとを別々に収容して、それぞれ別個に補給する構成としているが、キャリアとトナーとを別々に収容した上で、互いに混合して補給する構成としても良い。また、キャリアとトナーを始めから混合してある補給容器から現像剤の補給を行っても良い。
【符号の説明】
【0095】
1 感光体ドラム(像担持体)
4 現像装置
22 現像容器
23 現像室
24 攪拌室
25 第一の搬送スクリュー
26 第二の搬送スクリュー
28 現像スリーブ(現像剤担持手段)
30 現像剤補給口
31 トナーホッパー(補給手段)
32 搬送部材
40 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を形成する像担持体と、
現像剤を担持し静電潜像をトナー像とする現像剤担持体と、トナーとキャリアを含む現像剤を収容し、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像室と前記現像剤担持体から現像剤を回収し攪拌する攪拌室とに隔てられる現像容器と、前記現像容器に設けられ前記現像室と前記攪拌室とで現像剤を循環させ搬送する搬送手段と、前記現像容器に設けられ現像剤を現像容器外に排出する排出口と、を備え、検知用のトナーパターンを前記像担持体の所定領域に形成する現像装置と、
前記現像剤担持体と前記搬送手段を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の駆動速度を制御する制御手段と、前記トナーパターンのトナー量を検知する検知手段と、を有する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記所定領域に対応する前記現像室の領域に搬送される現像剤量が画像形成時に比べて前記トナーパターンの形成時に少なくなるように前記駆動手段の駆動速度を制御し、前記検知手段による該トナーパターンの検知結果に基づいて前記排出口から排出される現像剤量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
静電潜像を形成する像担持体と、
現像剤を担持し静電潜像をトナー像とする現像剤担持体と、トナーとキャリアを含む現像剤を収容し、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像室と前記現像剤担持体から現像剤を回収し攪拌する攪拌室とに隔てられる現像容器と、前記現像容器に設けられ前記現像室と前記攪拌室とで現像剤を循環させ搬送する搬送手段と、前記現像容器に設けられ現像剤を排出する排出口と、少なくともキャリアを含む補給現像剤を前記現像容器に補給する補給口と、を備える現像装置と、
前記現像剤担持体と前記搬送手段を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の駆動速度を制御する制御手段と、前記トナーパターンのトナー量を検知する検知手段と、を有し、検知用のトナーパターンを前記像担持体の所定領域に形成する画像形成装置において、
前記制御手段は、前記所定領域に対応する前記現像室の領域に搬送される現像剤量が画像形成時に比べて前記トナーパターンの形成時に少なくなるように前記駆動手段の駆動速度を制御し、前記検知手段による該トナーパターンの検知結果に基づいて補給する補給現像剤量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段により前記現像剤担持体の駆動速度Vsと前記搬送手段の駆動速度Vhの駆動速度比Vs/Vhを、画像形成時よりも大きくした状態で前記トナーパターンを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記現像剤担持体の駆動速度を画像形成時の速度とし、前記搬送手段の駆動速度を画像形成時よりも遅くした状態で前記トナーパターンを形成することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動手段は前記現像剤担持体と前記搬送手段を共に駆動する同一の駆動部であり、
前記制御手段により前記駆動部の駆動速度を画像形成時よりも遅くした状態で前記トナーパターンを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、前記現像室に設けられた第一の搬送部材と、前記攪拌室に設けられた第二の搬送部材から成り、前記駆動部は、前記現像剤担持体と前記第一の搬送部材と前記第二の搬送部材とを駆動することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記駆動手段の駆動速度を複数の速度へと切り替えることができ、該複数の速度で前記トナーパターンを形成し、複数の該トナーパターンの検知結果に基づいて前記現像容器内の現像剤量を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記トナーパターンのトナー量が所定の閾値を超えないときは、所定の閾値を超えるときに比べて、前記現像容器内の現像剤量を増やすことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記検知手段により検知した前記トナーパターンのトナー量が所定の閾値を超えないときは、前記現像容器内の現像剤の排出を止める制御を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段により前記駆動手段の駆動速度と駆動時間を制御することで、現像剤の排出量を制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記所定領域は、前記像担持体の非画像形成領域であって、前記現像室の現像剤搬送方向下流側に対応する領域であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記検知手段は光学式の検知手段であり、反射光量或いは反射位置から前記トナーパターンのトナー量を検知することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
複数の色のトナーを用いて画像を形成する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記検知手段は前記トナーパターンから色ずれを検知する色ずれ検知センサであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
通常の画像形成時と異なる画像形成速度を用いるときに、
前記制御手段は、該異なる画像形成速度のときの前記所定領域に対応する前記現像室の領域に搬送される現像剤量に比べて少なくなるようにして、前記トナーパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−194351(P2012−194351A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58073(P2011−58073)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】