画像形成装置
【課題】トナー像乱れを抑制し、良好な画像形成ができる画像形成装置を実現する。
【解決手段】画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制するベルト移動規制部28を備えており、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにすることができ、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができるので、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、良好な画像形成を行うことを可能にした。
【解決手段】画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制するベルト移動規制部28を備えており、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにすることができ、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができるので、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、良好な画像形成を行うことを可能にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動ローラ、従動ローラ、バックアップローラなどの複数のローラに掛け渡されて回転される無端状の転写ベルトの表面に、感光体ドラム(像担持体)によりトナー像を一次転写した後、そのトナー像を用紙に二次転写することによって、画像を形成する画像形成装置が知られている。
画像形成装置には、転写ベルトをバックアップローラに向けて押圧する二次転写ローラが備えられており、トナー像が一次転写されている転写ベルト部分がバックアップローラを通過する際に、転写ベルトと二次転写ローラの間に用紙を通過させることでトナー像の二次転写が行われて、用紙に画像の形成が行われるようになっている。
【0003】
このような画像形成装置において、転写ベルト上のトナー像を用紙に二次転写する際、転写ベルトと二次転写ローラとが密接する転写ニップの入口近傍で用紙と転写ベルトとの空隙に放電が起こり、これに起因してトナー像乱れが生じ、転写チリという異常画像が発生することがある。
特に、斤量が高く剛性のある厚紙に画像を形成する場合、転写ベルトと二次転写ローラの間でプレニップされて曲げられた厚紙の後端が復元する反動で転写ベルトに衝突することがあり、その衝撃で転写ベルトが内側に撓み、厚紙と転写ベルトの間に空隙が生じてしまい、その空隙で放電が起こることで上記したような異常画像が発生することがあった。
【0004】
そこで、転写ベルトと二次転写ローラの間を厚紙が通過するタイミングに、転写ベルトの配置を切り替えることで、厚紙が転写ベルトに衝突する衝撃を低減する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、転写ベルトの内側に電極部材を配置して、転写ベルトに生じる放電を低減する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−139603号公報
【特許文献2】特開2010−2838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の場合、弱い衝撃であっても厚紙が転写ベルトに衝突するので、転写ベルトが内側に撓んで生じた空隙で放電が起こることがあった。また、転写ベルトの配置を切り替えてしまうと、その切り替えの前後で転写ベルトと二次転写ローラとの間で用紙をプレニップする量が異なってしまうので、形成されたが画像に色ずれや濃度ずれなどの問題が生じるおそれがあった。
また、上記特許文献2の場合、二次転写ローラの軸心と対向ローラの軸心とを結ぶ線に対して略垂直に搬送された用紙が転写ニップされるようになっているため、用紙はプレニップされておらず、プレニップにより曲げられていない用紙が反動で転写ベルトに衝突するようなことはない。また、転写ベルトの内側に配された電極部材は、転写ベルトが内側に撓むことを規制する機能は有していない。
【0007】
本発明の目的は、トナー像乱れを抑制し、良好な画像形成ができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、
表面にトナー像が一次転写されて、所定方向に回動する転写ベルトと、
前記転写ベルトが懸架された被押圧ローラと、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラに向けて押圧する二次転写ローラと、
を備え、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで圧接し、前記転写ベルトと前記二次転写ローラの間で用紙をニップして、前記用紙に前記トナー像を二次転写する際に、前記被押圧ローラの軸心と前記二次転写ローラの軸心とを結ぶ仮想線に対し、前記二次転写ローラの上流側の前記転写ベルトの前記表面がなす角度が90°未満となり、
前記転写ベルトが前記用紙に押されて前記被押圧ローラ側に移動しないように規制するベルト移動規制部を、前記転写ベルトの裏面側に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで前記転写ベルトを圧接した配置で、前記転写ベルトは前記ベルト移動規制部と接触することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、その押圧に抗することができる断面形状を有する固定部材を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転するローラ部材を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転する無端状のベルト部材と、前記ベルト部材が懸架されたローラ部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向全域に亘る長さを有していることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向の中央側に相当する位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トナー像乱れを抑制し、良好な画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】実施形態1のベルト移動規制部を示し、二次転写解除時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図3】実施形態1のベルト移動規制部を示し、二次転写実行時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図4】実施形態1のベルト移動規制部を示す斜視図である。
【図5】実施形態1のベルト移動規制部の変形例を示す斜視図である。
【図6】実施形態2のベルト移動規制部を示し、二次転写解除時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図7】実施形態2のベルト移動規制部を示し、二次転写実行時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図8】実施形態3のベルト移動規制部を示し、二次転写解除時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図9】実施形態3のベルト移動規制部を示し、二次転写実行時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図10】実施形態3のベルト移動規制部を示す斜視図である。
【図11】実施形態3のベルト移動規制部の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
(実施形態1)
図1は、画像形成装置1を示す概略構成図である。
画像形成装置1は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像データに基づく画像を用紙P上に形成して出力するコピー機能や、外部装置等から画像データを含むページデータや各画像データの画像形成条件等を含むジョブデータを受信し、受信したページデータ及びジョブデータに基づく画像を用紙P上に形成して出力するプリント機能等を具備している。
【0019】
画像形成装置1は、図1に示すように、画像読取部10と、画像形成部20と、用紙収容部25と、搬送部30と、操作部40と、制御部50等を備えて構成されている。
【0020】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部11と、読取部12とを備えている。
読取部12は、読取個所であるコンタクトガラス12a上に載置された原稿dの画像をCCD(Charge Coupled Device)により読み取る。
また、自動原稿送り部11の原稿トレイ11aに載置された原稿dは、読取個所であるコンタクトガラス12a上に搬送され、CCDによってその原稿dの片面又は両面の画像が読み取られる。
ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む。
【0021】
画像読取部10により読み取られた画像(アナログ画像信号)は、制御部50のCPU(図示省略)に出力され、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング補正、画像圧縮処理等の各種画像処理が施された後、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に色分解され、デジタルの画像データとして画像形成部20に出力される。
【0022】
画像形成部20は、入力された画像データに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を行う。
画像形成部20は、露光ユニット2Y、2M、2C、2Kと、現像ユニット3Y、3M、3C、3Kと、像担持体である感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kと、帯電部5Y、5M、5C、5Kと、感光体ドラム用のクリーニング部6Y、6M、6C、6Kと、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kと、転写ベルト8と、ベルト移動規制部28と、転写ベルト用のクリーニング装置9と、二次転写ユニット21と、定着部22と、を備えて構成されている。
この画像形成部20において、転写ベルト8(バックアップローラ81)と二次転写ユニット21(二次転写ローラ21a)とが圧接している箇所が、用紙Pに画像を転写して画像形成を行う画像転写部として機能する。
【0023】
露光ユニット2Y、2M、2C、2Kは、LD等のレーザ光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成されている。
露光ユニット2Y、2M、2C、2Kは、制御部50から送られた画像データに基づいて、感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面をレーザビームにより走査露光する。このレーザビームの走査露光により、帯電部5Y、5M、5C、5Kによって帯電された感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに潜像が形成され、すなわち画像が書き込まれる。
【0024】
感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上に形成された潜像は、対応する現像ユニット3Y、3M、3C、3Kにそれぞれ保持されているトナーによる現像によって顕像化され、各感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上にはトナー像が形成される。
感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上に形成されて担持されたトナー像は一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより、転写ベルト8上に一次転写される。
【0025】
トナー像の転写を終えた各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面は、クリーニング部6Y、6M、6C、6Kによって残留トナーが除去される。
【0026】
転写ベルト8は、複数のローラ(例えば、バックアップローラ81、張架ローラ88)に懸架され回転可能に支持された無端状のベルト部材(エンドレスベルト)であり、ローラの回転に伴って図中時計回りに回動される。
この転写ベルト8は、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kによりそれぞれの感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに押圧される。これにより各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面に現像された各トナー像が、各一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kによる転写位置で転写ベルト8の表面に転写(一次転写)される。
また、転写ベルト8は、被押圧ローラとしてのバックアップローラ81と二次転写ユニット21の二次転写ローラ21aによる転写位置で用紙Pと圧接し、その用紙Pに一次転写で形成されたトナー像を転写(二次転写)する。
そして、転写ベルト8は、二次転写ユニット21によって用紙Pにトナー像を転写した後、用紙Pを曲率及び静電的に分離して定着部22へ送る。
トナー像を用紙Pに転写した転写ベルト8は、クリーニング装置9により残留トナー等の異物が除去される。
【0027】
また、転写ベルト8の裏面側であって、バックアップローラ81とその上流側の張架ローラ88の間に、ベルト移動規制部28の固定部材280が設けられている。ベルト移動規制部28(固定部材280)は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する機能を有している。
固定部材280は、絶縁性の樹脂材料(例えばPOM(ポリオキシメチレン;ポリアセタール)からなり、その断面形状が略直角三角形を呈する柱状部材であって、図示しない支持具によって固定されている。
この固定部材280の転写ベルト8側の対向面280aには、摺動性のよいフィルムやテープ(例えば、住友スリーエム株式会社製、ウルトラテープ)を貼り付けておくことが好ましい。それによって転写ベルト8が固定部材280に接触した際に、転写ベルト8に傷がつきにくくなる。
【0028】
二次転写ユニット21は、図2、図3に示すように、二次転写ローラ21aと、複数の張架ローラ21bと、二次転写ローラ21aと張架ローラ21bに懸架され回転可能に支持された無端状ベルト21cと、を備えている。
この二次転写ユニット21は、図示しない駆動機構によって移動可能に構成されており、二次転写解除時には、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動しており(図2参照)、二次転写実行時には、転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接し、二次転写ローラ21aが転写ベルト8をバックアップローラ81に向けて押圧する位置に移動する(図3参照)。
そして、この画像形成装置1において、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する状態では(図3参照)、バックアップローラ81の軸心と二次転写ローラ21aの軸心とを結ぶ仮想線L(或いは仮想面)に対し、二次転写ローラ21aの上流側における転写ベルト8の表面がなす角度θが90°未満となっている。
上記した仮想線Lに対し、二次転写ローラ21aの上流側の転写ベルト8の表面がなす角度θが90°未満となっていることにより、用紙Pが二次転写ローラ21aの周面に沿って二次転写ローラ21aと転写ベルト8とでプレニップされた後、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aとの圧接による転写ニップに移行するようになっている。なお、電圧印加側のバックアップローラ81とアース側の二次転写ローラ21aとの間に電界が形成された状態で転写ニップがなされて、トナー像の二次転写が行われる。
【0029】
定着部22は、用紙Pに転写されたトナー像を定着させる。これにより、用紙Pにトナー像が定着して画像が形成される。この定着部22による定着処理を終えた用紙Pは排紙トレイ91に排紙される。
【0030】
すなわち、画像形成部20による画像形成とは、露光ユニット2Y、2M、2C、2Kにより各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに潜像を形成し、形成された潜像にトナーを付着させて現像したトナー像を転写ベルト8に一次転写し、さらに用紙Pに二次転写して、その用紙P上に転写されたトナー像を定着部22で定着する一連の動作のことを意味する。
【0031】
用紙収容部25は、複数の給紙トレイ25a、25b、25cと、給紙手段25dとを備えて構成されている。
給紙トレイ25a、25b、25cには、用紙Pの斤量やサイズ等に応じて識別された各種用紙が予め設定された種類毎に格納されている。
給紙手段25dは、各給紙トレイに収容されている用紙Pを最上部から1枚ずつ搬送部30に向けて給紙する。
【0032】
搬送部30は、用紙収容部25から画像転写部(転写ベルト8および二次転写ユニット21)に向かう搬送路Rと、その搬送路Rに配置されて用紙収容部25から給紙された用紙Pを画像転写部に搬送するための複数の搬送ローラ対(31、32、33)とにより構成されている。なお、搬送路Rの一部は、画像転写部から排紙トレイ91に向かう経路や、用紙の表裏を反転させるための経路に延在している。
特に、搬送部30は、搬送ローラ対として、搬送路Rにおいて画像転写部(転写ベルト8および二次転写ユニット21)の上流側直近に配されたレジストローラ32と、そのレジストローラ32の上流側に隣接して配されたループローラ31と、そのループローラ31と給紙トレイ(給紙手段25d)との間に配された給紙用ローラ33とを備えている。
【0033】
ループローラ31は、用紙Pの曲がり(斜行)を矯正する機能を有する。具体的には、ループローラ31を通過した用紙Pは、停止した状態のレジストローラ32に突き当たる。そして、そのレジストローラ32に突き当たった用紙Pは、さらにループローラ31により搬送されることで湾曲し、レジストローラ32のニップ線に倣って斜行が矯正される。
レジストローラ32は、画像形成に備えて搬送途中の用紙Pを挟持しながら用紙の搬送方向と直交する方向に揺動して、転写ベルト8に一次転写されたトナー像に対する用紙Pの位置調整を行う機能を有する。
【0034】
操作部40は、例えば、液晶表示パネルとその液晶表示パネルの表示画面上に設けられたタッチパネルとを備えて構成されており、液晶表示パネルに表示される各種操作キー等をタッチ操作することにより、タッチパネルがタッチ指示された位置を検出し、検出した位置に応じた操作信号を制御部50に出力するようになっている。
【0035】
また、画像形成装置1は、装置の各部を統括制御する制御部50を備えており、その制御部50に、画像読取部10、画像形成部20、搬送部30、操作部40等が接続されている。
【0036】
次に、画像形成装置1における画像形成時の二次転写ユニット21の移動と、ベルト移動規制部28(固定部材280)の配置および機能について説明する。
【0037】
図2に示すように、二次転写解除時の二次転写ユニット21は、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動している。
このとき、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離は、例えば2mmに設計されている。
また、バックアップローラ81と固定部材280との距離は、例えば1mmに設計されている。固定部材280をバックアップローラ81に近接させた位置に配設することが設計上好ましいのであるが、バックアップローラ81からの電界が固定部材280に作用してしまわないようにするために、少なくとも1mm程度の距離をあけることが望ましい。
【0038】
そして、図3に示すように、二次転写実行時には、二次転写ユニット21は転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置に移動する。
このとき、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離は、例えば1mmになるように設計されている。
このように、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する際に、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離が1mmであれば、転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように規制されるようになっている。
つまり、搬送路Rを搬送された用紙Pが二次転写ユニット21と転写ベルト8とでニップされた後、その用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が復元する反動で転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように固定部材280によって規制される。そして、転写ベルト8がバックアップローラ81側に1mm程度撓むことでは、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙は生じないので、放電に起因するトナー像乱れは生じず、良好に二次転写がなされた好適な画像形成を行うことができる。
【0039】
特に、固定部材280は、剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突した際の衝撃によって1mm程度撓んだ転写ベルト8と接触し、その転写ベルト8に押されることがあっても、その押圧に抗することができる断面形状を有している。
具体的に、固定部材280は、転写ベルト8側の対向面280aと略垂直に交わる面を有し、その断面形状が略直角三角形を呈する柱状部材であるので、転写ベルト8側から作用する押圧力によって変形し難い形状となっている。そして、固定部材280は、転写ベルト8側から作用する押圧力に抗して、転写ベルト8がバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように規制することができる。
また、固定部材280は、バックアップローラ81側に向いた傾斜面を有しているので、バックアップローラ81と転写ベルト8の間の空間に固定部材280の角部の頂点を配するようにして、固定部材280をバックアップローラ81に近接させて配置することができる。
【0040】
これに対し、従来のように、固定部材280(ベルト移動規制部28)が設けられていない場合では、剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突した際に、転写ベルト8が3〜5mm撓んでしまうことがあり、用紙Pと転写ベルト8の間に生じた空隙で放電が起こり、放電に起因するトナー像乱れが生じて、異常画像が発生してしまっていた。
【0041】
以上のように、実施形態1の画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する固定部材280(ベルト移動規制部28)を備えているので、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に1mm以上移動しないようにすることができる。
このように、二次転写の際に、転写ベルト8がバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように規制することで、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができ、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、画像形成装置1は良好な画像形成を行うことができる。
【0042】
なお、固定部材280は、図4に示すように、転写ベルト8の幅方向全域に亘る長さを有していることが好ましい。
また、厚紙など剛性のある用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、その用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突する衝撃が転写ベルト8の幅方向中央側に集中する場合、その部分での転写ベルト8の撓みを規制できればよい。その場合、図5に示すように、固定部材280の長さは転写ベルト8の幅よりも短くてよく、その固定部材280を、転写ベルト8の幅方向中央側に相当する位置に設けるようにすればよい。
また、二次転写実行時における、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離は1mmになるように設計されているとしたが、固定部材280の対向面280aと摺接する転写ベルト8の裏面に傷が生じない対策が十分に講じられているような場合は、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8の裏面が接触する配置(距離0mm)であってもよい。
【0043】
(実施形態2)
次に、本発明に係る画像形成装置の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0044】
図6、図7に示すように、転写ベルト8の裏面側であって、バックアップローラ81とその上流側の張架ローラ88の間に、ベルト移動規制部28のローラ部材281が設けられている。複数(本実施形態では3本)のローラ部材281は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する機能を有している。
ローラ部材281は、例えば、径が6mmのステンレス製のローラであり、図示しない支持具によって回転自在に支持されている。
【0045】
図6に示すように、二次転写解除時の二次転写ユニット21は、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動している。
このとき、ローラ部材281の周面と転写ベルト8との距離は、例えば2mmに設計されている。
【0046】
そして、図7に示すように、二次転写実行時には、二次転写ユニット21は転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置に移動する。
このとき、ローラ部材281の周面と転写ベルト8の裏面が接触し、ローラ部材281は転写ベルト8の回動に応じて回転するようになっている。転写ベルト8の裏面がローラ部材281と接触すると、ローラ部材281が転写ベルト8の回動に応じて回転するので、転写ベルト8とローラ部材281とが擦れ合うことはなく、ローラ部材281の周面と接触した転写ベルト8の裏面に傷などが付きにくくなっている。
【0047】
このように、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する際に、ローラ部材281が転写ベルト8と接触した配置であれば、転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないように規制されるようになっている。
つまり、搬送路Rを搬送された用紙Pが二次転写ユニット21と転写ベルト8とでニップされた後、その用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が復元する反動で転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにローラ部材281によって規制される。そして、転写ベルト8がバックアップローラ81側に撓むことがなければ、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙は生じないので、放電に起因するトナー像乱れは生じず、良好に二次転写がなされた好適な画像形成を行うことができる。
【0048】
以上のように、実施形態2の画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制するローラ部材281(ベルト移動規制部28)を備えているので、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突などして押圧しても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにすることができる。
このように、二次転写の際に、転写ベルト8がバックアップローラ81側に移動しないように規制することで、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができ、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、画像形成装置1は良好な画像形成を行うことができる。
【0049】
なお、ベルト移動規制部28のローラ部材281は、転写ベルト8の幅方向全域に亘る長さを有していることが好ましいが、厚紙など剛性のある用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、その用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突する衝撃が転写ベルト8の幅方向中央側に集中する場合、ローラ部材281の長さは転写ベルト8の幅よりも短くてもよく、そのローラ部材281を転写ベルト8の幅方向中央側に相当する位置に設けるようにすればよい。
【0050】
(実施形態3)
次に、本発明に係る画像形成装置の実施形態3について説明する。なお、実施形態1、2と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0051】
図8、図9に示すように、転写ベルト8の裏面側であって、バックアップローラ81とその上流側の張架ローラ88の間に、ベルト移動規制部28のローラ部材281とベルト部材282が設けられている。
ローラ部材281は、例えば、径が6mmのステンレス製のローラであり、図示しない支持具によって回転自在に支持されている。
ベルト部材282は、2本のローラ部材281に懸架されて回動可能に支持された無端状のベルト(エンドレスベルト)であり、例えば絶縁性の樹脂材料を成型してなる部材である。
この2本のローラ部材281にベルト部材282が懸架されたベルト移動規制部28は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する機能を有している。
【0052】
図8に示すように、二次転写解除時の二次転写ユニット21は、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動している。
このとき、ベルト部材282の周面と転写ベルト8との距離は、例えば2mmに設計されている。
【0053】
そして、図9に示すように、二次転写実行時には、二次転写ユニット21は転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置に移動する。
このとき、ベルト部材282の周面と転写ベルト8の裏面が接触し、ベルト部材282とローラ部材281は転写ベルト8の回動に応じて回転するようになっている。転写ベルト8の裏面がベルト部材282と接触すると、ベルト部材282とローラ部材281が転写ベルト8の回動に応じて回転するので、転写ベルト8とベルト部材282とが擦れ合うことはなく、ベルト部材282の周面と接触した転写ベルト8の裏面に傷などが付きにくくなっている。
【0054】
このように、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する際に、ベルト部材282が転写ベルト8と接触した配置であれば、転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないように規制されるようになっている。
つまり、搬送路Rを搬送された用紙Pが二次転写ユニット21と転写ベルト8とでニップされた後、その用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が復元する反動で転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにベルト部材282およびローラ部材281によって規制される。そして、転写ベルト8がバックアップローラ81側に撓むことがなければ、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙は生じないので、放電に起因するトナー像乱れは生じず、良好に二次転写がなされた好適な画像形成を行うことができる。
【0055】
以上のように、実施形態3の画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制するベルト部材282およびローラ部材281(ベルト移動規制部28)を備えているので、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突などして押圧しても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにすることができる。
このように、二次転写の際に、転写ベルト8がバックアップローラ81側に移動しないように規制することで、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができ、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、画像形成装置1は良好な画像形成を行うことができる。
【0056】
なお、図10に示すように、実施形態3におけるベルト移動規制部28のベルト部材282の両端の内面側に、ローラ部材281の両端と当接するリブ282aを設けることが好ましい。このリブ282aは、例えば厚さ2mm、幅5mmに形成されている。ベルト部材282の両端のリブ282aが、ローラ部材281の両端と当接するように回動することで、ベルト部材282が蛇行せずに、転写ベルト8の回動に倣って良好に回動することが可能になる。
また、図11に示すように、実施形態3におけるベルト移動規制部28のローラ部材281の両端にフランジ281aを設けるようにしてもよい。ベルト部材282の両端が、ローラ部材281の両端のフランジ281aと当接するように回動することで、ベルト部材282が蛇行せずに、転写ベルト8の回動に倣って良好に回動することが可能になる。
【0057】
なお、ベルト移動規制部28のベルト部材282およびローラ部材281は、転写ベルト8の幅方向全域に亘るサイズを有していることが好ましいが、厚紙など剛性のある用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、その用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突する衝撃が転写ベルト8の幅方向中央側に集中する場合、ベルト部材282およびローラ部材281のサイズは転写ベルト8の幅よりも短くてもよく、そのベルト部材282とローラ部材281を転写ベルト8の幅方向中央側に相当する位置に設けるようにすればよい。
【0058】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
8 転写ベルト
81 バックアップローラ(被押圧ローラ)
10 画像読取部
20 画像形成部
21 二次転写ユニット
21a 二次転写ローラ
28 ベルト移動規制部
280 固定部材
280a 対向面
281 ローラ部材
282 ベルト部材
22 定着部
25 用紙収容部
30 搬送部
R 搬送路
G ガイド
P 用紙
L 仮想線
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動ローラ、従動ローラ、バックアップローラなどの複数のローラに掛け渡されて回転される無端状の転写ベルトの表面に、感光体ドラム(像担持体)によりトナー像を一次転写した後、そのトナー像を用紙に二次転写することによって、画像を形成する画像形成装置が知られている。
画像形成装置には、転写ベルトをバックアップローラに向けて押圧する二次転写ローラが備えられており、トナー像が一次転写されている転写ベルト部分がバックアップローラを通過する際に、転写ベルトと二次転写ローラの間に用紙を通過させることでトナー像の二次転写が行われて、用紙に画像の形成が行われるようになっている。
【0003】
このような画像形成装置において、転写ベルト上のトナー像を用紙に二次転写する際、転写ベルトと二次転写ローラとが密接する転写ニップの入口近傍で用紙と転写ベルトとの空隙に放電が起こり、これに起因してトナー像乱れが生じ、転写チリという異常画像が発生することがある。
特に、斤量が高く剛性のある厚紙に画像を形成する場合、転写ベルトと二次転写ローラの間でプレニップされて曲げられた厚紙の後端が復元する反動で転写ベルトに衝突することがあり、その衝撃で転写ベルトが内側に撓み、厚紙と転写ベルトの間に空隙が生じてしまい、その空隙で放電が起こることで上記したような異常画像が発生することがあった。
【0004】
そこで、転写ベルトと二次転写ローラの間を厚紙が通過するタイミングに、転写ベルトの配置を切り替えることで、厚紙が転写ベルトに衝突する衝撃を低減する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、転写ベルトの内側に電極部材を配置して、転写ベルトに生じる放電を低減する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−139603号公報
【特許文献2】特開2010−2838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の場合、弱い衝撃であっても厚紙が転写ベルトに衝突するので、転写ベルトが内側に撓んで生じた空隙で放電が起こることがあった。また、転写ベルトの配置を切り替えてしまうと、その切り替えの前後で転写ベルトと二次転写ローラとの間で用紙をプレニップする量が異なってしまうので、形成されたが画像に色ずれや濃度ずれなどの問題が生じるおそれがあった。
また、上記特許文献2の場合、二次転写ローラの軸心と対向ローラの軸心とを結ぶ線に対して略垂直に搬送された用紙が転写ニップされるようになっているため、用紙はプレニップされておらず、プレニップにより曲げられていない用紙が反動で転写ベルトに衝突するようなことはない。また、転写ベルトの内側に配された電極部材は、転写ベルトが内側に撓むことを規制する機能は有していない。
【0007】
本発明の目的は、トナー像乱れを抑制し、良好な画像形成ができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、
表面にトナー像が一次転写されて、所定方向に回動する転写ベルトと、
前記転写ベルトが懸架された被押圧ローラと、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラに向けて押圧する二次転写ローラと、
を備え、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで圧接し、前記転写ベルトと前記二次転写ローラの間で用紙をニップして、前記用紙に前記トナー像を二次転写する際に、前記被押圧ローラの軸心と前記二次転写ローラの軸心とを結ぶ仮想線に対し、前記二次転写ローラの上流側の前記転写ベルトの前記表面がなす角度が90°未満となり、
前記転写ベルトが前記用紙に押されて前記被押圧ローラ側に移動しないように規制するベルト移動規制部を、前記転写ベルトの裏面側に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで前記転写ベルトを圧接した配置で、前記転写ベルトは前記ベルト移動規制部と接触することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、その押圧に抗することができる断面形状を有する固定部材を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転するローラ部材を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転する無端状のベルト部材と、前記ベルト部材が懸架されたローラ部材を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向全域に亘る長さを有していることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向の中央側に相当する位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、トナー像乱れを抑制し、良好な画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】実施形態1のベルト移動規制部を示し、二次転写解除時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図3】実施形態1のベルト移動規制部を示し、二次転写実行時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図4】実施形態1のベルト移動規制部を示す斜視図である。
【図5】実施形態1のベルト移動規制部の変形例を示す斜視図である。
【図6】実施形態2のベルト移動規制部を示し、二次転写解除時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図7】実施形態2のベルト移動規制部を示し、二次転写実行時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図8】実施形態3のベルト移動規制部を示し、二次転写解除時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図9】実施形態3のベルト移動規制部を示し、二次転写実行時の二次転写ローラの配置を示す拡大図である。
【図10】実施形態3のベルト移動規制部を示す斜視図である。
【図11】実施形態3のベルト移動規制部の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
(実施形態1)
図1は、画像形成装置1を示す概略構成図である。
画像形成装置1は、原稿から画像を読み取り、読み取った画像データに基づく画像を用紙P上に形成して出力するコピー機能や、外部装置等から画像データを含むページデータや各画像データの画像形成条件等を含むジョブデータを受信し、受信したページデータ及びジョブデータに基づく画像を用紙P上に形成して出力するプリント機能等を具備している。
【0019】
画像形成装置1は、図1に示すように、画像読取部10と、画像形成部20と、用紙収容部25と、搬送部30と、操作部40と、制御部50等を備えて構成されている。
【0020】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部11と、読取部12とを備えている。
読取部12は、読取個所であるコンタクトガラス12a上に載置された原稿dの画像をCCD(Charge Coupled Device)により読み取る。
また、自動原稿送り部11の原稿トレイ11aに載置された原稿dは、読取個所であるコンタクトガラス12a上に搬送され、CCDによってその原稿dの片面又は両面の画像が読み取られる。
ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む。
【0021】
画像読取部10により読み取られた画像(アナログ画像信号)は、制御部50のCPU(図示省略)に出力され、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング補正、画像圧縮処理等の各種画像処理が施された後、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に色分解され、デジタルの画像データとして画像形成部20に出力される。
【0022】
画像形成部20は、入力された画像データに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を行う。
画像形成部20は、露光ユニット2Y、2M、2C、2Kと、現像ユニット3Y、3M、3C、3Kと、像担持体である感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kと、帯電部5Y、5M、5C、5Kと、感光体ドラム用のクリーニング部6Y、6M、6C、6Kと、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kと、転写ベルト8と、ベルト移動規制部28と、転写ベルト用のクリーニング装置9と、二次転写ユニット21と、定着部22と、を備えて構成されている。
この画像形成部20において、転写ベルト8(バックアップローラ81)と二次転写ユニット21(二次転写ローラ21a)とが圧接している箇所が、用紙Pに画像を転写して画像形成を行う画像転写部として機能する。
【0023】
露光ユニット2Y、2M、2C、2Kは、LD等のレーザ光源、ポリゴンミラー、複数のレンズ等から構成されている。
露光ユニット2Y、2M、2C、2Kは、制御部50から送られた画像データに基づいて、感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面をレーザビームにより走査露光する。このレーザビームの走査露光により、帯電部5Y、5M、5C、5Kによって帯電された感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに潜像が形成され、すなわち画像が書き込まれる。
【0024】
感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上に形成された潜像は、対応する現像ユニット3Y、3M、3C、3Kにそれぞれ保持されているトナーによる現像によって顕像化され、各感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上にはトナー像が形成される。
感光体ドラム4Y、4M、4C、4K上に形成されて担持されたトナー像は一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kにより、転写ベルト8上に一次転写される。
【0025】
トナー像の転写を終えた各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面は、クリーニング部6Y、6M、6C、6Kによって残留トナーが除去される。
【0026】
転写ベルト8は、複数のローラ(例えば、バックアップローラ81、張架ローラ88)に懸架され回転可能に支持された無端状のベルト部材(エンドレスベルト)であり、ローラの回転に伴って図中時計回りに回動される。
この転写ベルト8は、一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kによりそれぞれの感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに押圧される。これにより各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kの表面に現像された各トナー像が、各一次転写ローラ7Y、7M、7C、7Kによる転写位置で転写ベルト8の表面に転写(一次転写)される。
また、転写ベルト8は、被押圧ローラとしてのバックアップローラ81と二次転写ユニット21の二次転写ローラ21aによる転写位置で用紙Pと圧接し、その用紙Pに一次転写で形成されたトナー像を転写(二次転写)する。
そして、転写ベルト8は、二次転写ユニット21によって用紙Pにトナー像を転写した後、用紙Pを曲率及び静電的に分離して定着部22へ送る。
トナー像を用紙Pに転写した転写ベルト8は、クリーニング装置9により残留トナー等の異物が除去される。
【0027】
また、転写ベルト8の裏面側であって、バックアップローラ81とその上流側の張架ローラ88の間に、ベルト移動規制部28の固定部材280が設けられている。ベルト移動規制部28(固定部材280)は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する機能を有している。
固定部材280は、絶縁性の樹脂材料(例えばPOM(ポリオキシメチレン;ポリアセタール)からなり、その断面形状が略直角三角形を呈する柱状部材であって、図示しない支持具によって固定されている。
この固定部材280の転写ベルト8側の対向面280aには、摺動性のよいフィルムやテープ(例えば、住友スリーエム株式会社製、ウルトラテープ)を貼り付けておくことが好ましい。それによって転写ベルト8が固定部材280に接触した際に、転写ベルト8に傷がつきにくくなる。
【0028】
二次転写ユニット21は、図2、図3に示すように、二次転写ローラ21aと、複数の張架ローラ21bと、二次転写ローラ21aと張架ローラ21bに懸架され回転可能に支持された無端状ベルト21cと、を備えている。
この二次転写ユニット21は、図示しない駆動機構によって移動可能に構成されており、二次転写解除時には、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動しており(図2参照)、二次転写実行時には、転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接し、二次転写ローラ21aが転写ベルト8をバックアップローラ81に向けて押圧する位置に移動する(図3参照)。
そして、この画像形成装置1において、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する状態では(図3参照)、バックアップローラ81の軸心と二次転写ローラ21aの軸心とを結ぶ仮想線L(或いは仮想面)に対し、二次転写ローラ21aの上流側における転写ベルト8の表面がなす角度θが90°未満となっている。
上記した仮想線Lに対し、二次転写ローラ21aの上流側の転写ベルト8の表面がなす角度θが90°未満となっていることにより、用紙Pが二次転写ローラ21aの周面に沿って二次転写ローラ21aと転写ベルト8とでプレニップされた後、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aとの圧接による転写ニップに移行するようになっている。なお、電圧印加側のバックアップローラ81とアース側の二次転写ローラ21aとの間に電界が形成された状態で転写ニップがなされて、トナー像の二次転写が行われる。
【0029】
定着部22は、用紙Pに転写されたトナー像を定着させる。これにより、用紙Pにトナー像が定着して画像が形成される。この定着部22による定着処理を終えた用紙Pは排紙トレイ91に排紙される。
【0030】
すなわち、画像形成部20による画像形成とは、露光ユニット2Y、2M、2C、2Kにより各感光体ドラム4Y、4M、4C、4Kに潜像を形成し、形成された潜像にトナーを付着させて現像したトナー像を転写ベルト8に一次転写し、さらに用紙Pに二次転写して、その用紙P上に転写されたトナー像を定着部22で定着する一連の動作のことを意味する。
【0031】
用紙収容部25は、複数の給紙トレイ25a、25b、25cと、給紙手段25dとを備えて構成されている。
給紙トレイ25a、25b、25cには、用紙Pの斤量やサイズ等に応じて識別された各種用紙が予め設定された種類毎に格納されている。
給紙手段25dは、各給紙トレイに収容されている用紙Pを最上部から1枚ずつ搬送部30に向けて給紙する。
【0032】
搬送部30は、用紙収容部25から画像転写部(転写ベルト8および二次転写ユニット21)に向かう搬送路Rと、その搬送路Rに配置されて用紙収容部25から給紙された用紙Pを画像転写部に搬送するための複数の搬送ローラ対(31、32、33)とにより構成されている。なお、搬送路Rの一部は、画像転写部から排紙トレイ91に向かう経路や、用紙の表裏を反転させるための経路に延在している。
特に、搬送部30は、搬送ローラ対として、搬送路Rにおいて画像転写部(転写ベルト8および二次転写ユニット21)の上流側直近に配されたレジストローラ32と、そのレジストローラ32の上流側に隣接して配されたループローラ31と、そのループローラ31と給紙トレイ(給紙手段25d)との間に配された給紙用ローラ33とを備えている。
【0033】
ループローラ31は、用紙Pの曲がり(斜行)を矯正する機能を有する。具体的には、ループローラ31を通過した用紙Pは、停止した状態のレジストローラ32に突き当たる。そして、そのレジストローラ32に突き当たった用紙Pは、さらにループローラ31により搬送されることで湾曲し、レジストローラ32のニップ線に倣って斜行が矯正される。
レジストローラ32は、画像形成に備えて搬送途中の用紙Pを挟持しながら用紙の搬送方向と直交する方向に揺動して、転写ベルト8に一次転写されたトナー像に対する用紙Pの位置調整を行う機能を有する。
【0034】
操作部40は、例えば、液晶表示パネルとその液晶表示パネルの表示画面上に設けられたタッチパネルとを備えて構成されており、液晶表示パネルに表示される各種操作キー等をタッチ操作することにより、タッチパネルがタッチ指示された位置を検出し、検出した位置に応じた操作信号を制御部50に出力するようになっている。
【0035】
また、画像形成装置1は、装置の各部を統括制御する制御部50を備えており、その制御部50に、画像読取部10、画像形成部20、搬送部30、操作部40等が接続されている。
【0036】
次に、画像形成装置1における画像形成時の二次転写ユニット21の移動と、ベルト移動規制部28(固定部材280)の配置および機能について説明する。
【0037】
図2に示すように、二次転写解除時の二次転写ユニット21は、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動している。
このとき、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離は、例えば2mmに設計されている。
また、バックアップローラ81と固定部材280との距離は、例えば1mmに設計されている。固定部材280をバックアップローラ81に近接させた位置に配設することが設計上好ましいのであるが、バックアップローラ81からの電界が固定部材280に作用してしまわないようにするために、少なくとも1mm程度の距離をあけることが望ましい。
【0038】
そして、図3に示すように、二次転写実行時には、二次転写ユニット21は転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置に移動する。
このとき、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離は、例えば1mmになるように設計されている。
このように、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する際に、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離が1mmであれば、転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように規制されるようになっている。
つまり、搬送路Rを搬送された用紙Pが二次転写ユニット21と転写ベルト8とでニップされた後、その用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が復元する反動で転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように固定部材280によって規制される。そして、転写ベルト8がバックアップローラ81側に1mm程度撓むことでは、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙は生じないので、放電に起因するトナー像乱れは生じず、良好に二次転写がなされた好適な画像形成を行うことができる。
【0039】
特に、固定部材280は、剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突した際の衝撃によって1mm程度撓んだ転写ベルト8と接触し、その転写ベルト8に押されることがあっても、その押圧に抗することができる断面形状を有している。
具体的に、固定部材280は、転写ベルト8側の対向面280aと略垂直に交わる面を有し、その断面形状が略直角三角形を呈する柱状部材であるので、転写ベルト8側から作用する押圧力によって変形し難い形状となっている。そして、固定部材280は、転写ベルト8側から作用する押圧力に抗して、転写ベルト8がバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように規制することができる。
また、固定部材280は、バックアップローラ81側に向いた傾斜面を有しているので、バックアップローラ81と転写ベルト8の間の空間に固定部材280の角部の頂点を配するようにして、固定部材280をバックアップローラ81に近接させて配置することができる。
【0040】
これに対し、従来のように、固定部材280(ベルト移動規制部28)が設けられていない場合では、剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突した際に、転写ベルト8が3〜5mm撓んでしまうことがあり、用紙Pと転写ベルト8の間に生じた空隙で放電が起こり、放電に起因するトナー像乱れが生じて、異常画像が発生してしまっていた。
【0041】
以上のように、実施形態1の画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する固定部材280(ベルト移動規制部28)を備えているので、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に1mm以上移動しないようにすることができる。
このように、二次転写の際に、転写ベルト8がバックアップローラ81側に1mm以上移動しないように規制することで、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができ、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、画像形成装置1は良好な画像形成を行うことができる。
【0042】
なお、固定部材280は、図4に示すように、転写ベルト8の幅方向全域に亘る長さを有していることが好ましい。
また、厚紙など剛性のある用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、その用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突する衝撃が転写ベルト8の幅方向中央側に集中する場合、その部分での転写ベルト8の撓みを規制できればよい。その場合、図5に示すように、固定部材280の長さは転写ベルト8の幅よりも短くてよく、その固定部材280を、転写ベルト8の幅方向中央側に相当する位置に設けるようにすればよい。
また、二次転写実行時における、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8との距離は1mmになるように設計されているとしたが、固定部材280の対向面280aと摺接する転写ベルト8の裏面に傷が生じない対策が十分に講じられているような場合は、固定部材280の対向面280aと転写ベルト8の裏面が接触する配置(距離0mm)であってもよい。
【0043】
(実施形態2)
次に、本発明に係る画像形成装置の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0044】
図6、図7に示すように、転写ベルト8の裏面側であって、バックアップローラ81とその上流側の張架ローラ88の間に、ベルト移動規制部28のローラ部材281が設けられている。複数(本実施形態では3本)のローラ部材281は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する機能を有している。
ローラ部材281は、例えば、径が6mmのステンレス製のローラであり、図示しない支持具によって回転自在に支持されている。
【0045】
図6に示すように、二次転写解除時の二次転写ユニット21は、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動している。
このとき、ローラ部材281の周面と転写ベルト8との距離は、例えば2mmに設計されている。
【0046】
そして、図7に示すように、二次転写実行時には、二次転写ユニット21は転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置に移動する。
このとき、ローラ部材281の周面と転写ベルト8の裏面が接触し、ローラ部材281は転写ベルト8の回動に応じて回転するようになっている。転写ベルト8の裏面がローラ部材281と接触すると、ローラ部材281が転写ベルト8の回動に応じて回転するので、転写ベルト8とローラ部材281とが擦れ合うことはなく、ローラ部材281の周面と接触した転写ベルト8の裏面に傷などが付きにくくなっている。
【0047】
このように、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する際に、ローラ部材281が転写ベルト8と接触した配置であれば、転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないように規制されるようになっている。
つまり、搬送路Rを搬送された用紙Pが二次転写ユニット21と転写ベルト8とでニップされた後、その用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が復元する反動で転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにローラ部材281によって規制される。そして、転写ベルト8がバックアップローラ81側に撓むことがなければ、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙は生じないので、放電に起因するトナー像乱れは生じず、良好に二次転写がなされた好適な画像形成を行うことができる。
【0048】
以上のように、実施形態2の画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制するローラ部材281(ベルト移動規制部28)を備えているので、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突などして押圧しても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにすることができる。
このように、二次転写の際に、転写ベルト8がバックアップローラ81側に移動しないように規制することで、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができ、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、画像形成装置1は良好な画像形成を行うことができる。
【0049】
なお、ベルト移動規制部28のローラ部材281は、転写ベルト8の幅方向全域に亘る長さを有していることが好ましいが、厚紙など剛性のある用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、その用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突する衝撃が転写ベルト8の幅方向中央側に集中する場合、ローラ部材281の長さは転写ベルト8の幅よりも短くてもよく、そのローラ部材281を転写ベルト8の幅方向中央側に相当する位置に設けるようにすればよい。
【0050】
(実施形態3)
次に、本発明に係る画像形成装置の実施形態3について説明する。なお、実施形態1、2と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0051】
図8、図9に示すように、転写ベルト8の裏面側であって、バックアップローラ81とその上流側の張架ローラ88の間に、ベルト移動規制部28のローラ部材281とベルト部材282が設けられている。
ローラ部材281は、例えば、径が6mmのステンレス製のローラであり、図示しない支持具によって回転自在に支持されている。
ベルト部材282は、2本のローラ部材281に懸架されて回動可能に支持された無端状のベルト(エンドレスベルト)であり、例えば絶縁性の樹脂材料を成型してなる部材である。
この2本のローラ部材281にベルト部材282が懸架されたベルト移動規制部28は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制する機能を有している。
【0052】
図8に示すように、二次転写解除時の二次転写ユニット21は、バックアップローラ81と二次転写ローラ21aが離間した配置に移動している。
このとき、ベルト部材282の周面と転写ベルト8との距離は、例えば2mmに設計されている。
【0053】
そして、図9に示すように、二次転写実行時には、二次転写ユニット21は転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置に移動する。
このとき、ベルト部材282の周面と転写ベルト8の裏面が接触し、ベルト部材282とローラ部材281は転写ベルト8の回動に応じて回転するようになっている。転写ベルト8の裏面がベルト部材282と接触すると、ベルト部材282とローラ部材281が転写ベルト8の回動に応じて回転するので、転写ベルト8とベルト部材282とが擦れ合うことはなく、ベルト部材282の周面と接触した転写ベルト8の裏面に傷などが付きにくくなっている。
【0054】
このように、二次転写ユニット21が転写ベルト8をバックアップローラ81と二次転写ローラ21aとで圧接する位置にあって、転写ベルト8と二次転写ローラ21aの間で用紙Pをニップして用紙Pにトナー像を二次転写する際に、ベルト部材282が転写ベルト8と接触した配置であれば、転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないように規制されるようになっている。
つまり、搬送路Rを搬送された用紙Pが二次転写ユニット21と転写ベルト8とでニップされた後、その用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が復元する反動で転写ベルト8に衝突することがあっても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにベルト部材282およびローラ部材281によって規制される。そして、転写ベルト8がバックアップローラ81側に撓むことがなければ、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙は生じないので、放電に起因するトナー像乱れは生じず、良好に二次転写がなされた好適な画像形成を行うことができる。
【0055】
以上のように、実施形態3の画像形成装置1は、二次転写の際に転写ベルト8が用紙Pに押されるなどしてバックアップローラ81側に移動しないように規制するベルト部材282およびローラ部材281(ベルト移動規制部28)を備えているので、厚紙など剛性のある用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突などして押圧しても、転写ベルト8はバックアップローラ81側に移動しないようにすることができる。
このように、二次転写の際に、転写ベルト8がバックアップローラ81側に移動しないように規制することで、用紙Pと転写ベルト8の間に放電が起こってしまう空隙が生じないようにすることができ、放電に起因するトナー像乱れを抑制し、画像形成装置1は良好な画像形成を行うことができる。
【0056】
なお、図10に示すように、実施形態3におけるベルト移動規制部28のベルト部材282の両端の内面側に、ローラ部材281の両端と当接するリブ282aを設けることが好ましい。このリブ282aは、例えば厚さ2mm、幅5mmに形成されている。ベルト部材282の両端のリブ282aが、ローラ部材281の両端と当接するように回動することで、ベルト部材282が蛇行せずに、転写ベルト8の回動に倣って良好に回動することが可能になる。
また、図11に示すように、実施形態3におけるベルト移動規制部28のローラ部材281の両端にフランジ281aを設けるようにしてもよい。ベルト部材282の両端が、ローラ部材281の両端のフランジ281aと当接するように回動することで、ベルト部材282が蛇行せずに、転写ベルト8の回動に倣って良好に回動することが可能になる。
【0057】
なお、ベルト移動規制部28のベルト部材282およびローラ部材281は、転写ベルト8の幅方向全域に亘るサイズを有していることが好ましいが、厚紙など剛性のある用紙Pが搬送路RのガイドGから抜け出た際に、その用紙Pの後端が転写ベルト8に衝突する衝撃が転写ベルト8の幅方向中央側に集中する場合、ベルト部材282およびローラ部材281のサイズは転写ベルト8の幅よりも短くてもよく、そのベルト部材282とローラ部材281を転写ベルト8の幅方向中央側に相当する位置に設けるようにすればよい。
【0058】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
8 転写ベルト
81 バックアップローラ(被押圧ローラ)
10 画像読取部
20 画像形成部
21 二次転写ユニット
21a 二次転写ローラ
28 ベルト移動規制部
280 固定部材
280a 対向面
281 ローラ部材
282 ベルト部材
22 定着部
25 用紙収容部
30 搬送部
R 搬送路
G ガイド
P 用紙
L 仮想線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にトナー像が一次転写されて、所定方向に回動する転写ベルトと、
前記転写ベルトが懸架された被押圧ローラと、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラに向けて押圧する二次転写ローラと、
を備え、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで圧接し、前記転写ベルトと前記二次転写ローラの間で用紙をニップして、前記用紙に前記トナー像を二次転写する際に、前記被押圧ローラの軸心と前記二次転写ローラの軸心とを結ぶ仮想線に対し、前記二次転写ローラの上流側の前記転写ベルトの前記表面がなす角度が90°未満となり、
前記転写ベルトが前記用紙に押されて前記被押圧ローラ側に移動しないように規制するベルト移動規制部を、前記転写ベルトの裏面側に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで前記転写ベルトを圧接した配置で、前記転写ベルトは前記ベルト移動規制部と接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、その押圧に抗することができる断面形状を有する固定部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転するローラ部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転する無端状のベルト部材と、前記ベルト部材が懸架されたローラ部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向全域に亘る長さを有していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向の中央側に相当する位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
表面にトナー像が一次転写されて、所定方向に回動する転写ベルトと、
前記転写ベルトが懸架された被押圧ローラと、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラに向けて押圧する二次転写ローラと、
を備え、
前記転写ベルトを前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで圧接し、前記転写ベルトと前記二次転写ローラの間で用紙をニップして、前記用紙に前記トナー像を二次転写する際に、前記被押圧ローラの軸心と前記二次転写ローラの軸心とを結ぶ仮想線に対し、前記二次転写ローラの上流側の前記転写ベルトの前記表面がなす角度が90°未満となり、
前記転写ベルトが前記用紙に押されて前記被押圧ローラ側に移動しないように規制するベルト移動規制部を、前記転写ベルトの裏面側に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記被押圧ローラと前記二次転写ローラとで前記転写ベルトを圧接した配置で、前記転写ベルトは前記ベルト移動規制部と接触することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、その押圧に抗することができる断面形状を有する固定部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転するローラ部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトと接触した際、前記転写ベルトの回動に応じて回転する無端状のベルト部材と、前記ベルト部材が懸架されたローラ部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向全域に亘る長さを有していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ベルト移動規制部は、前記転写ベルトの幅方向の中央側に相当する位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−230273(P2012−230273A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98896(P2011−98896)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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