説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置における階調調整に要する時間が短くて済むようにする。
【解決手段】 プリントエンジン11は、第1のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおける第1パッチ画像と第2のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおける第2パッチ画像とに関し、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差の絶対値が所定の値以下であり、かつ、第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差の絶対値が所定の値以下である場合、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についてのセンサーの出力から第1パッチ画像および第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスで画像を形成するプリンター、複写機、ファクシミリ、それらの複合機などといった画像形成装置では、例えば、感光体ドラム上にトナー画像を現像し、そのトナー画像を中間転写ベルトへ転写し、さらに、その中間転写ベルトから印刷用紙にトナー画像を転写し、印刷用紙にトナー画像を定着させる。
【0003】
そのような画像形成装置では、必要に応じて、あるいは定期的に、トナー濃度やその階調を調整する。4色カラーの画像形成装置では、4色のトナーそれぞれについて濃度および階調の調整が行われる。
【0004】
さらに、画像形成装置において読み取られた原稿を印刷する場合、その原稿の種別に応じた多値化処理(例えば誤差拡散処理およびスクリーン処理のいずれか)により印刷すべき画像のデータが生成されることがある。また、1ページ内で複数の多値化処理を併用する場合もある。このため、誤差拡散処理およびスクリーン処理のそれぞれで階調を調整する必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
装置において誤差拡散処理の階調を自動調整するには、例えば、階調の各濃度についてのパッチ画像を誤差拡散法で2値化したパターン画像のデータを予め装置内のROM(Read Only Memory)に格納しておき、そのデータに基づいてトナーのパターン画像を現像し、そのパターン画像をセンサーで検出して階調調整を行う。あるいは、誤差拡散で2値化したパターン画像のデータを逐次計算で求めていってRAM(Random Access Memory)に格納し、そのデータに基づいてパターン画像を現像し、そのパターン画像をセンサーで検出して階調調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−101836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
階調調整において、誤差拡散処理についてのパターン画像とスクリーン処理についてのパターン画像とを縦列に現像する場合、先行のパターン画像の先頭から後続のパターン画像の最後までの距離が長くなってしまい、階調調整においてパターン画像の濃度をセンサーで検出するための時間が長くなってしまう。
【0008】
なお、特許文献1に記載のように、誤差拡散処理およびスクリーン処理のうちの一方の階調特性から他方の階調特性を補正する方法もあるが、これらはハーフトーニングの計算方法が互いに異なり、装置の使用環境、使用状況などによって階調特性が同じように変化しないため、そのような補正方法では、良好な階調特性が得られない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、階調調整に要する時間が短くて済む画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、トナーパターンを保持する像担持体と、トナーパターンデータを記憶する記憶装置と、像担持体へ測定光を入射させ、像担持体からの反射光を検出するセンサーと、第1および第2のハーフトーニング方法のそれぞれについて、トナーパターンデータに基づいて、複数階調のそれぞれに対応するパッチ画像を含むトナーパターンを現像させ、センサーの出力からパッチ画像のそれぞれの各階調のトナー濃度を特定する制御部とを備える。そして、制御部は、第1のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおけるパッチ画像のうちの第1パッチ画像と第2のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおけるパッチ画像のうちの第2パッチ画像とに関し、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差の絶対値が所定の値以下であり、かつ、第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差の絶対値が所定の値以下である場合、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についてのセンサーの出力から第1パッチ画像および第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定する。
【0012】
これにより、階調調整用のトナーパターンの全長が短くなるため、トナー濃度の測定時間が短くなる。したがって、階調調整に要する時間が短くて済む。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、制御部は、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差がゼロであり、かつ、第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差の絶対値が所定の閾値以下である場合、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についてのセンサーの出力から第1パッチ画像および第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定する。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、制御部は、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差がゼロであり、かつ、第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差がゼロである場合、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についてのセンサーの出力から第1パッチ画像および第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定する。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置は、トナーパターンを保持する像担持体と、トナーパターンデータを記憶する記憶装置と、像担持体へ測定光を入射させ、像担持体からの反射光を検出するセンサーと、第1および第2のハーフトーニング方法のそれぞれについて、トナーパターンデータに基づいて、複数階調のそれぞれに対応するパッチ画像を含むトナーパターンを現像させ、センサーの出力からパッチ画像のそれぞれの各階調のトナー濃度を特定する制御部とを備える。そして、制御部は、第1のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおける所定の階調以上のパッチ画像のうちの第1パッチ画像と第2のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおける所定の階調以上のパッチ画像のうちの第2パッチ画像とに関し、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差の絶対値が所定の値以下である場合、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についてのセンサーの出力から第1パッチ画像および第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定する。
【0016】
これにより、階調調整用のトナーパターンの全長が短くなるため、トナー濃度の測定時間が短くなる。したがって、階調調整に要する時間が短くて済む。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、制御部は、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差がゼロである場合、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についてのセンサーの出力から第1パッチ画像および第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定する。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、トナーパターンデータは、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの現像しないパッチ画像を除いたトナーパターンについての多値化データであり、制御部は、トナーパターンデータに基づきトナーパターンを現像させる。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、トナーパターンデータは、所定サイズのベースパターン画像の部分画像であって、ベースパターン画像の辺部を含まない部分画像についての多値化データである。そして、制御部は、トナーパターンデータによる部分画像を繰り返し配列して得られるパッチ画像を生成し現像させる。
【0020】
これにより、ROMやRAMなどの記憶装置において、階調調整に必要なパターン画像のデータを格納するための記憶領域のサイズが小さくて済む。また、部分画像が、元になるベースパターン画像の辺部を含まないので、部分画像の使用に起因する濃度誤差を小さくすることができる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、第1のハーフトーニング方法は、スクリーン法であり、第2のハーフトーニング方法は、誤差拡散法である。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、画像形成装置は、感光体と、感光体上にトナーパターンを現像する現像装置とをさらに備える。そして、像担持体は、感光体からトナーパターンを転写される中間転写体であり、制御部は、現像装置を制御してトナーパターンを感光体上に現像させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、階調調整に要する時間が短くて済む画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
【図3】図3は、スクリーン法によるパッチ画像および誤差拡散法によるパッチ画像の例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態における中間転写ベルト上のパッチ画像の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2で生成されるパッチ画像の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
実施の形態1.
【0027】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、印刷機能を有する装置である。
【0028】
実施の形態1の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a〜1d、露光装置2および現像ユニット3a〜3dを有する。感光体ドラム1a〜1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。露光装置2は、感光体ドラム1a〜1dへレーザー光を照射して静電潜像を形成する装置である。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a〜1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0029】
さらに、感光体ドラム1a〜1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1dを除電する。
【0030】
現像ユニット3a〜3dには、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーが充填されており、現像ユニット3a〜3dは、そのトナーを感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。トナーは、キャリアとともに現像剤を構成し、さらに、酸化チタンなどの外添剤が付加されている。
【0031】
感光体ドラム1aおよび現像ユニット3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1bおよび現像ユニット3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1cおよび現像ユニット3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1dおよび現像ユニット3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0032】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a〜1dに接触し、感光体ドラム1a〜1d上のトナー画像を1次転写される環状の中間転写体であって像担持体である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1aとの接触位置から感光体ドラム1dとの接触位置への方向へ周回していく。
【0033】
転写ローラー6は、搬送されてくる用紙を転写ベルト4に接触させ、転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0034】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0035】
センサー8は、中間転写ベルト4に光線(測定光)を照射し、その反射光を検出する。この反射光の強度は、トナー濃度や中間転写ベルト4の下地表面の光沢度に応じて変化する。濃度調整および階調調整の際、センサー8は、中間転写ベルト4の所定の領域に光線を照射し光線の反射光を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、直接あるいは増幅回路などを介してプリントエンジン11に供給され、サンプリングされる。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。図2において、プリントエンジン11は、上述のローラーなどを駆動する図示せぬ駆動源、現像バイアスおよび1次転写バイアスを印加するバイアス印加回路、並びに露光装置2を制御して、トナー画像の現像、転写および定着、並びに給紙、印刷および排紙を実行させる処理回路である。現像バイアスは、感光体ドラム1a〜1dと現像ユニット3a〜3dとの間にそれぞれ印加され、1次転写バイアスは、感光体ドラム1a〜1dと中間転写ベルト4との間にそれぞれ印加される。プリントエンジン11は、トナー画像の現像時に、階調補正テーブルを参照し、各階調の濃度を補正し、補正後の濃度となるようにトナー画像を現像させる。
【0037】
実施の形態1では、不揮発性メモリ12は、パッチ画像データ12aを記憶する。不揮発性メモリ12としては、ROM、フラッシュメモリなどが使用される。
【0038】
パッチ画像データ12aは、階調調整時のトナーパターンの生成に使用されるデータである。階調調整では、プリントエンジン1が、パッチ画像データ12aに基づいて、トナーパターンを現像させ、トナーパターン内の各階調のパッチ画像についての濃度測定値から階調補正テーブルを生成する。
【0039】
パッチ画像データ12aは、(a)スクリーン法でハーフトーニングされた所定の複数階調分のパッチ画像の多値化データと、(b)誤差拡散法でハーフトーニングされた所定の複数階調分のパッチ画像の多値化データとを含む。
【0040】
ただし、スクリーン法についてのパッチ画像のうちの一部の階調のパッチ画像は、誤差拡散法についてのパッチ画像として兼用されるため、パッチ画像データ12aには、誤差拡散法についてのその階調のパッチ画像のデータは含まれていない。
【0041】
なお、この実施の形態では、ある階調について、スクリーン法についてのパッチ画像と誤差拡散法についてのパッチ画像とを1つのパッチ画像で兼用する場合に、誤差拡散法についてのパッチ画像データを省略しているが、その代わりに、パッチ画像データ12aに、誤差拡散法についてのその階調のパッチ画像のデータを含め、スクリーン法についてのその階調のパッチ画像のデータを省略するようにしてもよい。
【0042】
この実施の形態では、スクリーン法についてのトナーパターンにおけるいずれかのパッチ画像(第1パッチ画像)と誤差拡散法についてのトナーパターンにおけるいずれかのパッチ画像(第2パッチ画像)とに関し、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差の絶対値が所定の値以下であり、かつ、第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差の絶対値が所定の値以下である場合(例えば、ドット数の差およびエッジ数の差がそれぞれゼロの場合、ドット数の差がゼロでエッジ数の差が所定の値以下である場合など)、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のデータがパッチ画像データ12aに含められ、他方のデータはパッチ画像データ12aに含められない(以下、これをルール1という)。
【0043】
また、この実施の形態では、スクリーン法についてのトナーパターンにおける所定の階調以上のパッチ画像のうちのいずれか(第1パッチ画像)と誤差拡散法についてのトナーパターンにおける所定の階調以上のパッチ画像のうちのいずれか(第2パッチ画像)とに関し、第1パッチ画像におけるドット数と第2パッチ画像におけるドット数との差の絶対値が所定の値以下である場合(例えば、ドット数の差がゼロの場合)、第1パッチ画像および第2パッチ画像のうちの一方のデータがパッチ画像データ12aに含められ、他方のデータはパッチ画像データ12aに含められない(以下、これをルール2という)。
【0044】
例えば、最高階調のパッチ画像についてのみ、ルール2が適用される。あるいは、例えば、最高階調と2番目に高階調のパッチ画像についてのみ、ルール2が適用される。
【0045】
ここで、ドット単位のエッジ数について説明する。この実施の形態では、主走査方向のエッジがカウントされる。主走査方向に沿って、ドットなしからドットありに変化する箇所、ドット102ありからドットなしに変化する箇所を、それぞれエッジとしてカウントする。なお、この実施の形態では、主走査方向のエッジがカウントされるが、副走査方向のエッジがカウントされるようにしてもよいし、主走査方向および副走査方向のエッジがカウントされるようにしてもよい。
【0046】
図3は、スクリーン法によるパッチ画像および誤差拡散法によるパッチ画像の例を示す図である。図3では、スクリーン法による5つのパッチ画像と、誤差拡散法による5つのパッチ画像が示されている。図3に示すように、低階調および高階調の領域では、スクリーン法によるパッチ画像と誤差拡散法によるパッチ画像の傾向が似てくる。したがって、上述のようにして、パッチ画像が兼用される。
【0047】
図3に示す、スクリーン法について低階調のパッチ画像101と誤差拡散法について低階調のパッチ画像111では、ドット数とエッジ数がそれぞれ同一であるため、パッチ画像111は省略される。また、スクリーン法について所定の階調以上である高階調のパッチ画像102と誤差拡散法について高階調のパッチ画像112では、ドット数が同一であるため、パッチ画像112は省略される。
【0048】
なお、複数のハーフトーニング方法についての複数色のトナーパターンが連続して現像される場合、あるトナーパターンにおける最低階調のパッチ画像が省略されるときには、そのトナーパターンは、1つ前のトナーパターンに連続して(つまり、省略したパッチ画像分のブランクを設けずに)現像される。
【0049】
また、その場合において、あるトナーパターンにおける最高階調のパッチ画像が省略されるときには、そのトナーパターンの1つ後のトナーパターンは、そのトナーパターンに連続して(つまり、省略したパッチ画像分のブランクを設けずに)現像される。
【0050】
また、その場合において、あるトナーパターンにおける中間階調のパッチ画像が省略されるときには、省略したパッチ画像の援護の階調のパッチ画像が連続して(つまり、省略したパッチ画像分のブランクを設けずに)現像される。
【0051】
次に、階調調整時の上記画像形成装置の動作について説明する。
【0052】
図4は、本発明の実施の形態1における中間転写ベルト4上のトナーパターン(パッチ画像)の一例を示す図である。
【0053】
まず、プリントエンジン11は、駆動ローラー5、感光体ドラム1a〜1dなどの回転動作を開始させ、中間転写ベルト4の第1周回において、後述のパッチ画像が転写される位置のベルト表面(地肌)の測定値(つまり、反射光強度の測定値)をセンサー8から取得する。
【0054】
次に、第2周回において、プリントエンジン11は、パッチ画像データ12aを読み出して、そのパッチ画像データ12aに従って、上述のベルト表面(地肌)の測定位置に、階調補正用のトナーパターン61M,61C,61Y,61K,62M,62C,62Y,62Kを形成させ、そのトナーパターン61M,61C,61Y,61K,62M,62C,62Y,62Kについてのセンサー8による測定値を取得する。
【0055】
なお、トナーパターン61M,61C,61Y,61Kは、マゼンタ、シアン、イエロー、およびブラックについての、スクリーン法(スクリーンディザ)による階調補正用トナーパターンであり、トナーパターン62M,62C,62Y,62Kは、マゼンタ、シアン、イエロー、およびブラックについての、誤差拡散法による階調補正用トナーパターンである。
【0056】
トナーパターン61M,61C,61Y,61Kは、それぞれ、複数の階調に対応する複数のパッチ画像を有する。また、トナーパターン62M,62C,62Y,62Kは、それぞれ、複数の階調に対応する複数のパッチ画像を有する。ただし、図4においては、トナーパターン62M,62C,62Y,62Kにおける最低階調および最高階調のパッチ画像は、トナーパターン61M,61C,61Y,61Kにおける最低階調および最高階調のパッチ画像で兼用されるため、現像されていない。
【0057】
そして、プリントエンジン11は、それらのパッチ画像のそれぞれの測定値およびその位置のベルト表面についての測定値から各パッチ画像についての濃度を計算し、その計算結果に基づいて、誤差拡散法およびスクリーン法のそれぞれについての階調補正テーブルを更新する。図4の場合では、スクリーン法についての最低階調および最高階調についての濃度値が、誤差拡散法についての最低階調および最高階調についての濃度値として使用され、その値に基づいて、誤差拡散法についての階調補正テーブルが更新される。
【0058】
以上のように、上記実施の形態1によれば、プリントエンジン11は、上述のルール1およびルール2に従って、いずれかのハーフトーニング方法についての一部の階調のパッチ画像を省略して、階調補正用のトナーパターンを現像させる。
【0059】
これにより、階調調整用のトナーパターンの全長が短くなるため、トナー濃度の測定時間が短くなる。したがって、階調調整に要する時間が短くて済む。
【0060】
実施の形態2.
【0061】
本発明の実施の形態2に係る画像形成装置では、所定の濃度のパッチ画像から得られる多値化後(例えば2値化後)のベースパターン画像の部分画像を繰り返して配列させた画像がパッチ画像とされる。
【0062】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置の基本的な構成および動作については、実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略し、実施の形態2におけるパッチ画像の生成について以下で述べる。
【0063】
図5は、本発明の実施の形態2に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
【0064】
図5に示すように、実施の形態2では、不揮発性メモリ12は、部分画像データ31を記憶する。部分画像データ31は、所定サイズのベースパターン画像の部分画像であって、ベースパターン画像の辺部を含まない部分画像についての多値化データである。この実施の形態2では、部分画像データ31は、そのような部分画像についての2値化データである。
【0065】
部分画像データ31は、複数のハーフトーニング方法(ここでは、スクリーン法および誤差拡散法)のそれぞれの各階調についての、部分画像の多値化データを含む。
【0066】
図6は、本発明の実施の形態2で生成されるパッチ画像の一例を説明する図である。図6(A)は、あるハーフトーニング法によって所定の濃度のパッチ画像から得られる2値化後のベースパターン画像41の部分画像42の一例を示す図である。図6(A)に示す部分画像42は、誤差拡散法についての部分画像である。
【0067】
ベースパターン画像41の印字率は、元のパッチ画像の濃度に比例する。図6(B)は、部分画像42を配列して形成されるトナーパターンの一例を示す図である。つまり、部分画像データ31は、階調における複数の濃度のそれぞれについて得られるこのような部分画像42の画像データを含んでいる。
【0068】
図6に示すように、部分画像42は、M×Mドットのベースパターン画像41の中央部(N×Nドット,M>N)とされる。ベースパターン画像41の一辺のドット数Mは、例えば120〜200程度とされ、部分画像42の一辺のドット数Nは、濃度の階調数の平方根以上とされる(例えば、濃度が256階調である場合には、Nは16以上とされる)。
【0069】
なお、この実施の形態では、この部分画像は、中間転写ベルト4上において、センサー8からの測定光のスポットより小さいものとされる。つまり、部分画像が長方形(または正方形)である場合、その対角線の長さがスポットの直径(2ミリメートル程度)より短くなる。また、この実施の形態では、部分画像は、所定の多階調(例えば256階調)を表現可能な広さを有する。
【0070】
プリントエンジン11のパッチ画像生成部21は、露光装置2などを制御して、部分画像データ31による部分画像42を主走査方向および副走査方向に繰り返し配列して得られる、例えば図6(B)に示すようなパッチ画像を現像させる。
【0071】
このとき、パッチ画像生成部21は、部分画像データ31を読み出してRAM22に記憶させ、部分画像データ31の必要な部分をRAM22から繰り返し読み取って、感光体ドラム1a〜1d上にトナーパターンの画像(静電潜像)を生成しトナー現像させる。例えば、トナーパターン画像の主走査方向に沿った1ラインを描画する際、部分画像データ31において、そのラインに対応するラインのデータが繰り返し読み取られる。したがって、RAM22には、トナーパターン画像全体のデータは保持されない。
【0072】
以上のように、上記実施の形態2によれば、プリントエンジン11は、部分画像データ31による部分画像を繰り返し配列して得られるパッチ画像を生成し現像させる。
【0073】
これにより、ROMやRAMなどの記憶装置において、階調調整に必要なパターン画像のデータを格納するための記憶領域のサイズが小さくて済む。また、部分画像が、元になるベースパターン画像の辺部を含まないので、部分画像の使用に起因する濃度誤差を小さくすることができる。
【0074】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0075】
例えば、上記各実施の形態において、ハーフトーニングでは、2値化処理が行われているが、4値化などの他の多値化処理を行う場合にも、本発明を適用できる。その場合、画素の値がゼロでなければ、ドットありとしてカウントされ、隣接する2つの画素の値の差が所定値以上であれば、エッジありとしてカウントされる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリ機、それらの複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1a〜1d 感光体ドラム(感光体の一例)
2 露光装置(現像装置の一部の一例)
3a〜3d 現像ユニット(現像装置の一部の一例)
4 中間転写ベルト(像担持体の一例,中間転写体の一例)
8 センサー
11 プリントエンジン(制御部の一例)
12 不揮発性メモリ(記憶装置の一例)
12a パッチ画像データ(トナーパターンデータの一例)
22 RAM(記憶装置の一例)
31 部分画像データ(トナーパターンデータの一例)
41 ベースパターン画像
42 部分画像
61Y,61C,61M,61K,62Y,62C,62M,62K トナーパターン(パッチ画像の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーパターンを保持する像担持体と、
トナーパターンデータを記憶する記憶装置と、
前記像担持体へ測定光を入射させ、前記像担持体からの反射光を検出するセンサーと、
第1および第2のハーフトーニング方法のそれぞれについて、前記トナーパターンデータに基づいて、複数階調のそれぞれに対応するパッチ画像を含むトナーパターンを現像させ、前記センサーの出力から前記パッチ画像のそれぞれの各階調のトナー濃度を特定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおけるパッチ画像のうちの第1パッチ画像と前記第2のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおけるパッチ画像のうちの第2パッチ画像とに関し、前記第1パッチ画像におけるドット数と前記第2パッチ画像におけるドット数との差の絶対値が所定の値以下であり、かつ、前記第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と前記第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差の絶対値が所定の値以下である場合、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についての前記センサーの出力から前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1パッチ画像におけるドット数と前記第2パッチ画像におけるドット数との差がゼロであり、かつ、前記第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と前記第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差の絶対値が所定の閾値以下である場合、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についての前記センサーの出力から前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1パッチ画像におけるドット数と前記第2パッチ画像におけるドット数との差がゼロであり、かつ、前記第1パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数と前記第2パッチ画像におけるドット単位でのエッジ数との差がゼロである場合、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についての前記センサーの出力から前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナーパターンを保持する像担持体と、
トナーパターンデータを記憶する記憶装置と、
前記像担持体へ測定光を入射させ、前記像担持体からの反射光を検出するセンサーと、
第1および第2のハーフトーニング方法のそれぞれについて、前記トナーパターンデータに基づいて、複数階調のそれぞれに対応するパッチ画像を含むトナーパターンを現像させ、前記センサーの出力から前記パッチ画像のそれぞれの各階調のトナー濃度を特定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおける所定の階調以上のパッチ画像のうちの第1パッチ画像と前記第2のハーフトーニング方法についてのトナーパターンにおける所定の階調以上のパッチ画像のうちの第2パッチ画像とに関し、前記第1パッチ画像におけるドット数と前記第2パッチ画像におけるドット数との差の絶対値が所定の値以下である場合、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についての前記センサーの出力から前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1パッチ画像におけるドット数と前記第2パッチ画像におけるドット数との差がゼロである場合、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの一方のみを現像させ、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの現像した一方のパッチ画像についての前記センサーの出力から前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像の階調についてのトナー濃度を特定することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーパターンデータは、前記第1パッチ画像および前記第2パッチ画像のうちの現像しないパッチ画像を除いたトナーパターンについての多値化データであり、
前記制御部は、前記トナーパターンデータに基づき前記トナーパターンを現像させること、
を特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーパターンデータは、所定サイズのベースパターン画像の部分画像であって、前記ベースパターン画像の辺部を含まない部分画像についての多値化データであり、
前記制御部は、前記トナーパターンデータによる前記部分画像を繰り返し配列して得られるパッチ画像を生成し現像させること、
を特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1のハーフトーニング方法は、スクリーン法であり、
前記第2のハーフトーニング方法は、誤差拡散法であること、
を特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
感光体と、
前記感光体上に前記トナーパターンを現像する現像装置とをさらに備え、
前記像担持体は、前記感光体から前記トナーパターンを転写される中間転写体であり、
前記制御部は、前記現像装置を制御して前記トナーパターンを前記感光体上に現像させること、
を特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−48009(P2012−48009A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190588(P2010−190588)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】