説明

画像形成装置

【課題】ジャムが発生した場合に、ユーザに最適なジャム解除の操作ガイダンスを表示する画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送路における搬送中の用紙のジャムの発生及び解除を検知するジャム検知センサと、ジャム解除のために前記搬送路に設けられた複数の操作部材の操作の手順を検知するジャム解除操作手順検知手段(ステップS15,S16)と、ジャム解除に要した時間を測定するジャム解除時間測定手段(ステップS13,S14,S17,S18)と、を備え、ジャムが発生するごとに測定されるジャム解除に要した時間のうち、それまでの最短時間となったとき(ステップS19のYES)に実行されたジャム解除操作の手順をその発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順としてメモリに記録し(ステップS1a)、つぎに同じ発生パターンのジャムの発生が検知されたときに、表示部にジャム解除の操作ガイダンスとして前記最短ジャム解除手順を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャム発生に対して操作ガイダンスを表示する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のシートが存在する装置内でジャムが発生した場合に、ジャム解除処理にかかるユーザ負荷や機器損傷のリスクが少なく、復帰処理時間が短くなるようにする目的で、自動排紙を行う構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、用紙が変形、損傷した場合等は、ユーザが用紙を取り除く必要がある。
【0003】
ここで、用紙ジャム状態から短時間で復帰するために、ユーザにジャム解除手順を表示する構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
すなわち、特許文献2では、ユーザがジャム解除手順の各手順段階に関する進捗状況を把握しやすくする目的で、搬送中の用紙にジャムが発生した時、該ジャムを解除するに至るまでに必要な残りの操作段階の数を示す残解除手順段階数と各解除手順段階毎に必要とする操作内容を案内する表示ガイダンスとが表示される画像形成装置において、前記解除手順段階を1つ終了する都度、次の解除手順段階に必要とする操作内容を案内する前記表示ガイダンスが表示されると共に、前記残解除手順段階数が1つずつ減算されて表示される構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2におけるジャム解除手順表示は、ジャムのパターンに応じて予め決められた順番で手順を表示しており、必ずしもユーザが最短時間でジャム解除できる手順を示したものではなかった。
【0006】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、ジャムが発生した場合に、ユーザに最適なジャム解除の操作ガイダンスを表示する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位及び符号等を示す。
〔1〕 搬送路(搬送路2)における搬送中の用紙(記録媒体P)のジャムの発生及び解除を検知するジャム検知センサと、ジャム解除のために前記搬送路に設けられた複数の操作部材(操作部材4)の操作の手順を検知するジャム解除操作手順検知手段(ステップS15,S16)と、ジャム解除に要した時間を測定するジャム解除時間測定手段(ステップS13,S14,S17,S18)と、を備え、ジャムが発生するごとに測定されるジャム解除に要した時間のうち、それまでの最短時間となったとき(ステップS19のYES)に実行されたジャム解除操作の手順をその発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順としてメモリに記録し(ステップS1a)、つぎに同じ発生パターンのジャムの発生が検知されたときに、表示部にジャム解除の操作ガイダンスとして前記最短ジャム解除手順を表示する(図5)ことを特徴とする画像形成装置(図1〜図5)。
〔2〕 前記メモリに、ある発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順とともにその際のジャム解除に要した時間を最短ジャム解除時間として記録しておき(表1,表2)、つぎに同じ発生パターンのジャムが発生したときに測定されたジャム解除に要した時間が前記最短ジャム解除時間よりも短時間である場合に(ステップS19のYES)、その発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順をそのときに実行されたジャム解除操作の手順に更新する(ステップS1a)ことを特徴とする前記〔1〕に記載の画像形成装置(図4)。
〔3〕 前記ジャム解除に要した時間は、画像形成装置のカバー開の時点(ステップS13のYES)から前記ジャム発生を検知したジャム検知センサによるジャム解除の検知時(ステップS17のYES)までの時間であることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の画像形成装置(図4)。
〔4〕 前記ジャムの発生パターンは、前記搬送路の異なる搬送位置に配置された複数の前記ジャム検知センサにおける、ジャムの発生を検知したジャム検知センサの組み合わせパターンであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の画像形成装置(表1)。
〔5〕 前記ジャムの発生パターンは、さらに搬送中の用紙の用紙サイズで区分されることを特徴とする前記〔4〕に記載の画像形成装置(表2)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、ジャム発生時にユーザによるジャム解除時間を測定し、それまでの最短時間となったときに実行されたジャム解除操作の手順をその発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順としてメモリに記録し、つぎに同じ発生パターンのジャムの発生が検知されたときに、表示部にジャム解除の操作ガイダンスとして前記最短ジャム解除手順を表示するので、ユーザはその表示を見ながら実際に最短時間でジャム解除した手順を再現することにより、従来よりもジャム解除に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の搬送路におけるジャム検知エリアの配置例を示す概略図である。
【図3】図1の画像形成装置の搬送路における操作部材の配置例を示す概略図である。
【図4】本発明の画像形成装置において、ユーザのジャム解除操作に基づいて最短ジャム解除手順を更新するフローチャートである。
【図5】本発明の画像形成装置において、ジャム発生時に操作パネルに最短ジャム解除手順を表示するフローチャートである。
【図6】最短ジャム解除手順の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る画像形成装置について説明する。
まず、図1にて、本発明に係る画像形成装置全体の構成例について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、5は画像情報に基づいた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、6は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体(用紙、転写紙ともいう)Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11,12は記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は主として給紙部11,12の記録媒体Pとは異なるサイズの記録媒体Pを搬送する際に用いる手差し給紙部、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置を示す。また、本発明の画像形成装置は、装置各部の動作を制御する制御部(不図示)、各手段により検知あるいは測定された情報を記憶するメモリ(不図示)、表示部としての操作パネル(不図示)を備える。
【0011】
図1を参照して、画像形成装置における画像形成時の動作について説明する。
まず、露光部5(書込部)から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ6の感光体ドラム18上に向けて照射される。感光体ドラム18は図中の時計方向に回転しており、所定の作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。
その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
【0012】
一方、転写部7に搬送される記録媒体Pは、次のように動作する。まず、画像形成装置1の複数の給紙部11,12のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする)。なお、複数の給紙部11,12には、それぞれ、異なるサイズの記録媒体Pや、搬送方向の異なる同一サイズの記録媒体Pが、収納されている。
【0013】
そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、記録媒体Pについて画像形成して排出するまでの搬送経路を構成する搬送路2の位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送路2を通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
【0014】
そして、転写工程後の記録媒体Pは、転写部7の位置を通過した後に、搬送路2を経て定着装置20に達する。定着装置20に達した記録媒体Pは、定着スリーブ22と加圧ローラ23との間に送入されて、定着スリーブ22から受ける熱と加圧ローラ23から受ける圧力とによってトナー像が定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、定着スリーブ22と加圧ローラ23との間から送出された後に、出力画像として画像形成装置1の本体から排出されて、排紙トレイ10上に載置される。こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。本画像形成装置1は単色の印刷用であるが、プロセスカートリッジ6をKCMYの4色を設置して像を形成することで、フルカラーの印刷が可能となる。
【0015】
ここで、本発明の画像形成装置は、搬送路2における搬送中の記録媒体Pのジャムの発生及び解除を検知する複数のジャム検知センサ(不図示)がそれぞれ該搬送路2の異なる搬送位置に、搬送路2の複数のエリア(ジャム検知エリア)をカバーするように配置されており、それぞれのエリアでジャムの発生及び解除を検知することが可能となっている。このジャム検知センサは従来公知のものでよい。
【0016】
図2に、ジャム検知エリアの配置例を示す。ここでは、搬送路2上に4つのジャム検知エリアA,B,C,D(ジャム検知エリア3と総称する)が設けられている。詳しくは、ジャム検知エリアAは、給紙部11,12の記録媒体搬送出口からレジストローラ13までの搬送路2のジャムを検知するものであり、ジャム検知エリアBは、転写工程に関する搬送路2のジャムを検知するものであり、ジャム検知エリアCは、定着装置20におけるジャムを検知するものであり、ジャム検知エリアDは、定着装置20以降の記録媒体排出に関する搬送路2のジャムを検知するものである。これらのジャム検知エリアA〜Dは隣接しており、搬送路2上のジャムがどのエリアで発生したのかを漏れなく検知できるようになっている。また、ジャム検知エリアA〜Dそれぞれでジャムを検出すると、装置本体1の操作パネルにそのジャム発生のエリアが分かるように表示可能となっている。例えば、図2に示す概略図が操作パネルに表示され、ジャム検知エリアA〜Dの領域のうち、ジャムの発生を検知したジャム検知エリア3のみを表示する。
【0017】
また、搬送路2には、ジャム解除のための複数の操作部材が設けられている。詳しくは、図3に示すように、搬送路2には操作部材4として、搬送路2のカバーを開き搬送路2内を露出させる操作レバーa,c,e,fや、手動で回転することにより搬送路2上の記録媒体Pを送り出す操作ローラb,d,g等が設けられており、ジャムが発生すると、ユーザが該ジャムの発生したエリアに応じた所定の操作レバーや操作ローラを操作することにより、ジャムの原因となった記録媒体Pを搬送路2から除去してジャムを解除することが可能となっている。例えば、所定の操作ローラを所定方向に回し続け、記録媒体P搬送の手ごたえがなくなれば、所定の操作レバーを操作して搬送路2のカバーを開けた際に記録媒体Pが取り出しやすい位置まで来るようになっている。したがってこの場合、ジャム解除の操作の際に操作パネルに表示される操作ローラの操作とは、記録媒体P搬送の手ごたえがなくなるまで所定方向に回すということである。
【0018】
また、これらの操作部材4にはそれぞれユーザが操作したことを検知するセンサが設けられており、複数の操作部材4の操作の手順を検知することができる。これにより、ジャム発生時にユーザがどのような手順で操作部材を操作しジャムを解除したかを検知し、記憶することが可能となっている(ジャム解除操作手順検知手段)。
【0019】
なお、ジャムを解除する際、これらの操作部材4の全てを操作していけばジャムを全解除することは可能であるが、ジャムが発生していない箇所の操作部材4までを操作することは時間の無駄であり、ジャム解除に適切な操作部材4のみを効率的に操作していくことが望ましい。
【0020】
また、ジャム発生箇所の操作部材4であっても、例えば操作ローラdと操作レバーeの間に記録媒体Pが存在するとして、いきなり操作レバーeで搬送路2のカバーを開いて記録媒体Pを取り除くよりも、まず操作ローラdで記録媒体Pをある程度移動させ、取り出しやすい位置に来た後に操作レバーeで搬送路2のカバーを開いて記録媒体Pを取り除く方がジャム解除をスムーズに行うことができ、時間がかからない場合がある。このように操作部材4を操作する順番はジャム解除時間の短縮において重要な要素である。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、ジャム解除に要した時間を測定するジャム解除時間測定手段を備えている。ジャム解除時間測定手段は、例えば、画像形成装置の制御部に設けられるものであって、ジャム検知センサによりジャム発生が検知されると、画像形成装置のカバー開の時点から前記ジャム発生を検知したジャム検知センサによるジャム解除の検知時までの時間を測定するものである。なお、画像形成装置のカバーの開閉を検知するセンサを設けておき、画像形成装置のカバー開の時点を特定するとよい。
【0022】
以上の構成の画像形成装置において、ジャムが発生するごとに測定されるジャム解除に要した時間のうち、それまでの最短時間となったときに実行されたジャム解除操作の手順をその発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順としてメモリに記録し、つぎに同じ発生パターンのジャムの発生が検知されたときに、表示部にジャム解除の操作ガイダンスとして前記最短ジャム解除手順を表示することを行う。
これにより、ジャム発生時にユーザによるジャム解除時間を測定し、それまでの最短時間となったときに実行されたジャム解除操作の手順をその発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順としてメモリに記録し、つぎに同じ発生パターンのジャムの発生が検知されたときに、表示部にジャム解除の操作ガイダンスとして前記最短ジャム解除手順を表示するので、ユーザはその表示を見ながら実際に最短時間でジャム解除した手順を再現することにより、従来よりもジャム解除に要する時間を短縮することができる。
その制御内容の詳細について以下、説明する。
【0023】
図4は、ユーザのジャム解除操作に基づいて最短ジャム解除手順を更新するフローチャートである。
(S11) ジャム検知センサがジャムの発生を検知するとこの制御フローが開始され、まずジャムの発生パターン(以下、ジャムパターンと称する)を特定することが行われる。ここで、ジャムパターンとは、搬送路2の異なる搬送位置に配置された複数のジャム検知センサのうち、ジャムの発生を検知したジャム検知センサの組み合わせパターンであり、複数のジャム検知エリアのうち、ジャムの発生が検知されたエリアの組み合わせパターンでもある。したがって、ジャムの発生が検知されたジャム検知エリアが分かると、ジャムパターンが特定される。例えば、ジャム検知エリア3が図2のように4箇所(ジャム検知エリアA,B,C,D)存在する場合、ジャムパターンの数xはx=24−1=15となり、15通りのジャムパターンの中から発生したジャムパターンが特定される。なお、ジャム検知エリアが増減すれば、これに対応してジャムパターンの数も増減するようになる。
【0024】
(S12) つぎに、特定されたジャムパターンにおけるジャム解除実績データとして最短ジャム解除手順及びジャム解除に要した最短時間(最短ジャム解除時間)を読み出す(ロードする)。例えば、表1に示すような、ジャムパターンごとに、最短ジャム解除手順と最短ジャム解除時間を記憶する解除手順記憶テーブルを前記メモリに用意しておき、そのテーブルから特定されたジャムパターンに対応する情報を読み出すようにするとよい。なお、最短ジャム解除手順とは、そのジャムパターンにおいてすべてのジャム解除に要した時間がそれまでの最短であったときに、操作部材4が操作された順番である。例えば、表1において、ジャムパターン2では、ジャム検知エリアA、Bでジャム発生が検知された場合であり、最短ジャム解除手順として操作ローラ(ローラ)bを操作して記録媒体Pを送った後に操作レバー(レバー)cを操作して、最短時間24秒でジャム解除ができた実績があることが記録されている。
【0025】
【表1】

【0026】
(S13) 続いて、ユーザがジャム解除のために装置本体1のカバーをオープンしたかどうかが確認される。
(S14) カバーオープンの時点(S13のYES)でジャム解除時間の測定が開始される。
(S15) そして、ユーザによるジャム解除のための1つの操作部材4の操作をセンサにより検知する。
(S16) ついで、検知された操作部材4の操作を今回のジャム解除のための操作部材4の操作手順として追加し、その手順を一時的に記憶する。
(S17) すべてのジャムが解除されるまで、ステップS15,16が繰り返される。
(S18) 画像形成装置中の全ジャムが解除されたとき(S17のYES)、ジャム解除時間の測定を終了する。
(S19) 測定されたジャム解除時間がステップS12で読み込んだ最短ジャム解除時間よりも短いか否かを判定する。
(S1a) 測定されたジャム解除時間がステップS12で読み込んだ最短ジャム解除時間よりも短い場合(今回のジャムパターンの解除手順記憶テーブルの最短時間を更新した場合、S19のYES)、解除手順記憶テーブル(表1)の最短ジャム解除手順と最短ジャム解除時間を今回の操作手順及び測定されたジャム解除時間に更新する。
また、測定されたジャム解除時間がステップS12で読み込んだ最短ジャム解除時間よりも短くなかった場合(今回のジャムパターンの解除手順記憶テーブルの最短時間を更新しなかった場合、S19のNO)、前記解除手順記憶テーブルの更新は行わない。
【0027】
このように、解除手順記憶テーブルにおける最短ジャム解除手順と最短ジャム解除時間の欄は、そのジャムパターンが実際に発生した際に、ユーザが全てのジャム解除に要した時間が記録されている最短ジャム解除時間を下回った場合に更新され、その時点でジャムパターンごとに最も好ましいジャム解除のための操作手順が記録されるようになる。
【0028】
なお、前記解除手順記憶テーブルにおけるジャムパターンは、複数のジャム検知エリアのうち、ジャムの発生が検知されたエリアの組み合わせパターンについてさらに搬送中の用紙の用紙サイズで区分されることが好ましい。搬送する記録媒体Pの用紙長さが異なると、ジャムの状態が異なりその解除のための操作も変わってくるためである。なお、この場合の用紙サイズは、給紙時の記録媒体Pの用紙サイズを履歴情報として保持しておき、ジャム発生時にその用紙サイズ情報を読み出すようにするとよい。
その例を表2に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
また、この画像形成装置の工場出荷時には、標準的なジャム解除手順がプリセットされている。あるいは、工場出荷時のプリセット時に、技術者が本発明の制御(図4)を利用して、種々のジャム解除を試行し、その結果をデフォルトの最短ジャム解除手順として登録するようにしてもよい。
【0031】
つぎに、ジャム発生時に操作パネルに最短ジャム解除手順を表示する手順を、図5を参照しながら説明する。
(S21) ジャム検知センサがジャムの発生を検知するとこの制御フローが開始され、まずジャムパターンを特定することが行われる。このステップは、図4のステップS11と同じである。
(S22) つぎに、特定されたジャムパターンにおけるジャム解除実績データとして最短ジャム解除手順を表1または表2の解除手順記憶テーブルから読み出す(ロードする)。
(S23) 読み出された最短ジャム解除手順を操作パネルに表示する。図6に、その表示例を示す。ここでは、操作パネル上にジャム発生を検知したジャム検知エリアB,C,Dを表示し、そのジャムパターンに応じた最短ジャム解除手順を表示する。
(S24) すべてのジャムが解除されるまで、ステップS23が実行される。画像形成装置中の全ジャムが解除されたとき(S24のYES)、最短ジャム解除手順の表示を終了する。
【0032】
以上のように、ジャムが発生すると、操作パネルに最短ジャム解除手順が表示され、ユーザはこの表示を参照しながら操作部材4を操作することにより、これまでに最短でジャムを解除することができたジャム解除手順を再現するので、効率的なジャムの解除が可能となる。また、初心者のユーザであっても熟練者がそれまでに行った最短ジャム解除手順が表示されるので、とくに効率的なジャムの解除が可能となる。
【0033】
なお、ジャム解除のための手順パターンは、操作部材4の数に相関があり、また操作部材4の操作順序の違いにより無数に存在する。そのため、ユーザは、必ず操作ガイダンス、すなわち表示された最短ジャム解除手順に従ってジャムの解除を行う必要はなく、表示された手順では効率的なジャム解除ができないと感じたときなどには、ユーザ独自の手順でジャムの解除を行ってもよい。その場合に、最短ジャム解除時間が更新されるとその際の手順が最短ジャム解除手順として更新される。
【0034】
また、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0035】
例えば、装置本体1にオプションの機構が加えられた場合にも本発明を適用することは可能であり、このオプション機構に搭載されたジャム検知エリアを加えた解除手順記憶テーブルを作成することで対応することができる。また、複数のオプション機構を追加するときには、ジャム検知エリアをオプションごとに区別できるようにするとよい。例えば、第1のオプション機構のジャム検知エリアA1と、第2のオプション機構のジャム検知エリアA2を別のものとして解除手順記憶テーブルを作成する。
【符号の説明】
【0036】
1 装置本体
2 搬送路
3,A,B,C,D ジャム検知エリア
4 操作部材
5 露光部
6 プロセスカートリッジ
7 転写部
10 排紙トレイ
11,12 給紙部
13 レジストローラ
15 手差し給紙部
18 感光体ドラム
20 定着装置
22 定着スリーブ
23 加圧ローラ
a,c,e,f 操作レバー
b,d,g 操作ローラ
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2008−52125号公報
【特許文献2】特開2003−5586号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路における搬送中の用紙のジャムの発生及び解除を検知するジャム検知センサと、
ジャム解除のために前記搬送路に設けられた複数の操作部材の操作の手順を検知するジャム解除操作手順検知手段と、
ジャム解除に要した時間を測定するジャム解除時間測定手段と、
を備え、
ジャムが発生するごとに測定されるジャム解除に要した時間のうち、それまでの最短時間となったときに実行されたジャム解除操作の手順をその発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順としてメモリに記録し、つぎに同じ発生パターンのジャムの発生が検知されたときに、表示部にジャム解除の操作ガイダンスとして前記最短ジャム解除手順を表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メモリに、ある発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順とともにその際のジャム解除に要した時間を最短ジャム解除時間として記録しておき、つぎに同じ発生パターンのジャムが発生したときに測定されたジャム解除に要した時間が前記最短ジャム解除時間よりも短時間である場合に、その発生パターンのジャムに関する最短ジャム解除手順をそのときに実行されたジャム解除操作の手順に更新することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジャム解除に要した時間は、画像形成装置のカバー開の時点から前記ジャム発生を検知したジャム検知センサによるジャム解除の検知時までの時間であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジャムの発生パターンは、前記搬送路の異なる搬送位置に配置された複数の前記ジャム検知センサにおける、ジャムの発生を検知したジャム検知センサの組み合わせパターンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジャムの発生パターンは、さらに搬送中の用紙の用紙サイズで区分されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−58588(P2012−58588A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203184(P2010−203184)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】