説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置本体から着脱ユニットを離脱するときに、着脱ユニットから中間転写体上にトナーがこぼれてしまっても、そのトナーが2次転写部材に付着することのない、画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体から着脱ユニット6Y、6M、6C、6Kが離脱された状態が検知手段によって検知された後に、画像形成動作がおこなわれる前の所定のタイミングで、離間機構によって中間転写体8に対して2次転写部材19を相対的に離間させた状態で、駆動手段によって中間転写体8を所定距離だけ走行駆動させる特殊モードが実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、中間転写ベルト等の中間転写体の上方に複数のプロセスカートリッジ等の着脱ユニットが着脱可能に並設された画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルト等の中間転写体の上方に、複数色のプロセスカートリッジ等の着脱ユニットが着脱可能に設置されたタンデム型のカラー画像形成装置が広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、4つのプロセスカートリッジ(着脱ユニット)が中間転写ベルト(中間転写体)の上方に対向するように並設されている。これらのプロセスカートリッジは、それぞれ、感光体ドラム(像担持体)と現像装置とクリーニング装置と帯電部とが一体化されたユニットであって、画像形成装置本体に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、プロセスカートリッジが寿命に達すると、ユーザーやサービスマンによる着脱操作によって、プロセスカートリッジが新品のものに交換される。
また、4つのプロセスカートリッジにおける感光体ドラムでは、それぞれ、ブラック(黒色)、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナー像が形成される。そして、4つの感光体ドラム上にそれぞれ形成されたトナー像が中間転写ベルト上に重ねて転写(1次転写)される。さらに、中間転写ベルト上に担持された複数色のトナー像は、中間転写ベルトと2次転写ローラ(2次転写部材)とのニップ部(当接部)で、カラー画像として記録媒体上に転写(2次転写)される。
なお、プロセスカートリッジにおける現像装置やクリーニング装置には、画像形成装置本体との間で新品トナーや廃トナーの受け渡しをおこなうための開口部が設けられている。
【0003】
一方、特許文献1には、2次転写工程時の転写不良を軽減することなどを目的として、中間転写ベルトと2次転写ローラとのニップ部に記録媒体が搬送される前後のタイミングで、中間転写ベルトに対して2次転写ローラを離間させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、画像形成装置本体に対してプロセスカートリッジが着脱された状態を検知する技術が開示されている。
また、特許文献3、4には、画像形成装置本体に対してプロセスカートリッジの着脱操作をおこなう際にプロセスカートリッジからトナーが飛散する不具合を防止するために、プロセスカートリッジにおける現像装置のトナー補給口(開口部)にシャッタを設置して、プロセスカートリッジの着脱動作に連動してシャッタの開閉動作をおこなう技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、画像形成装置本体からプロセスカートリッジを離脱するときに、プロセスカートリッジにおける現像装置やクリーニング装置からトナーがこぼれて、下方にある中間転写体上に落ちてしまっていた。そして、中間転写体上に落下したトナーは、新品のプロセスカートリッジが装着された後に画像形成装置が稼動されると、中間転写体の走行によって中間転写体と2次転写部材とのニップ部の位置まで搬送されて、2次転写部材の表面に付着してしまい、ニップ部に搬送される記録媒体のウラ面(非転写面)を汚してしまっていた。さらに、記録媒体のウラ面に付着したトナーは、ニップ部に対して搬送方向下流側にある搬送経路や定着部等を汚してしまっていた。
【0005】
このような不具合を防止するために、特許文献3、4等の技術を応用して、プロセスカートリッジの着脱動作に連動して、装置本体との間でトナー(廃トナーを含む。)の受け渡しをおこなう開口部を開閉するシャッタをプロセスカートリッジに設ける方策が考えられる。しかし、そのような場合であっても、シャッタが開閉されるときに、例えば、装置本体と開口部との連結部に付着した僅かなトナーがこぼれ落ちるなどして、プロセスカートリッジの離脱動作にともなう中間転写体上へのトナーの落下を完全に防止することはできない。
【0006】
また、このような問題は、装置本体に対してプロセスカートリッジが着脱可能に設置される画像形成装置に限定されることなく、装置本体に対してトナーの受け渡しがおこなわれる現像装置とクリーニング装置とのうち少なくとも一方を具備した着脱ユニットが装置本体に対して着脱可能に設置される画像形成装置のすべてに共通するものである。
【0007】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、画像形成装置本体から着脱ユニットを離脱するときに、着脱ユニットから中間転写体上にトナーがこぼれてしまっても、そのトナーが2次転写部材に付着することのない、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1記載の発明にかかる画像形成装置は、像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像装置と、前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも一方を具備するとともに、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される複数の着脱ユニットと、前記複数の着脱ユニットにそれぞれ対応する複数の前記像担持体が上方にて対向するように並設されるとともに、駆動手段によって所定方向に走行駆動されて、前記複数の像担持体の表面に形成されたトナー像が重ねて1次転写される中間転写体と、前記中間転写体に当接してニップ部を形成するとともに、前記中間転写体に1次転写されたトナー像を前記ニップ部に搬送される記録媒体に2次転写する2次転写部材と、前記中間転写体に対して前記2次転写部材を相対的に離間させる離間機構と、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着された状態と離脱された状態とを区別して検知する検知手段と、を備え、前記画像形成装置本体から前記着脱ユニットが離脱された状態が前記検知手段によって検知された後に、画像形成動作がおこなわれる前の所定のタイミングで、前記離間機構によって前記中間転写体に対して前記2次転写部材を相対的に離間させた状態で、前記駆動手段によって前記中間転写体を所定距離だけ走行駆動させる特殊モードが実行されるものである。
【0009】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像装置(現像部)と、像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置(クリーニング部)とのうち、少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱ユニットと定義する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、画像形成装置本体から着脱ユニットが離脱された状態を検知した後に、画像形成動作がおこなわれる前の所定のタイミングで、中間転写体に対して2次転写部材を離間させた状態で、中間転写体を所定距離だけ走行駆動させている。これにより、画像形成装置本体から着脱ユニットを離脱するときに、着脱ユニットから中間転写体上にトナーがこぼれてしまっても、そのトナーが2次転写部材に付着することのない、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】装置本体に設置されたプロセスカートリッジの近傍を示す断面図である。
【図3】中間転写ベルト装置の近傍を示す概略図である。
【図4】プロセスカートリッジにおける現像装置が装置本体に着脱される状態を示す図である。
【図5】プロセスカートリッジにおけるクリーニング装置が装置本体に着脱される状態を示す図である。
【図6】特殊モード時における中間転写ベルト及び2次転写ローラの動作を示す概略図である。
【図7】特殊モード時における制御を示すフローチャートである。
【図8】別形態の検知手段が設置された画像形成装置の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0013】
まず、図1〜図3にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、中間転写ベルト装置15が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8(中間転写体)の上方に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した着脱ユニットとしてのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kが並設されている。これらのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kは、寿命に達したとき等に、ユーザーやサービスマンによる装置本体100からの着脱操作によって、それぞれ個別に交換される。
【0014】
図2を参照して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム21の周囲に配設された帯電部4Y、現像装置5Y(現像部)、クリーニング装置2Y(クリーニング部)と、が一体化された着脱ユニット(着脱可能装置)であって、画像形成装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、感光体ドラム1Y(像担持体)上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0015】
なお、他の3つのプロセスカートリッジ6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つのプロセスカートリッジ6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応したプロセスカートリッジ6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0016】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって図2中の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0017】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像(画像)が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0018】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2a(ウレタンゴム等の弾性材料からなる略板状部材である。)によってクリーニング装置2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。なお、クリーニング装置2Y内に回収されたトナーは、搬送スクリュ2bによって廃トナー排出口62Yに向けて長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に搬送されて、装置本体100に設置された廃トナー回収容器46の内部に廃トナーTHとして回収される(図5を参照できる。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0019】
なお、上述した作像プロセスは、他のプロセスカートリッジ6M、6C、6K(作像部)でも、イエローのプロセスカートリッジ6Yと同様におこなわれる。すなわち、プロセスカートリッジの上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各プロセスカートリッジ6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像(画像)が、中間転写体としての中間転写ベルト8上に重ねて転写される。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0020】
ここで、図2を参照して、現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、装置本体100のトナー補給装置40(図4を参照できる。)の排出口43Yに連通してトナーを補給するためのトナー補給口57Y(開口部)と、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤G(現像剤)が収容されている。
【0021】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーTの割合(トナー濃度)が所定の範囲内に維持されるように調整される。すなわち、濃度検知センサ56Yの検知結果に基いて、現像装置5Y内の現像剤Gのトナー濃度が所定範囲内になるように、装置本体100のトナー補給装置40(図4を参照できる。)からトナー補給口57Y(排出口43Y)を介して現像装置5Y内に適宜にトナーTが補給される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーTは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0022】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0023】
ここで、中間転写ベルト装置15は、図3を参照して、中間転写体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、2次転写対向ローラ12B、テンションローラ12C〜12F、中間転写クリーニング部10、等で構成される。中間転写体としての中間転写ベルト8は、複数のローラ部材12A〜12Fによって張架・支持されるとともに、駆動手段としての駆動モータ(不図示である。)に連結された駆動ローラ12Aの回転駆動によって図3中の矢印方向に走行駆動される。
【0024】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写電圧(転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0025】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写部材としての2次転写ローラ19が当接する2次転写ニップ(ニップ部)の位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12Bが、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップ(ニップ部)を形成している。そして、2次転写対向ローラ12Bにトナーの極性とは同極性のバイアス(高圧電圧)が印加されるとともに、2次転写ローラ19にトナーの極性とは逆極性のバイアス(高圧電圧)が印加される。これにより、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写クリーニング部10のクリーニングブレード(中間転写ベルト8に対して所定の圧力及び当接角で当接している。)によって、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0026】
なお、実施の形態において、中間転写体としての中間転写ベルト8は、PI(ポリイミド)、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。また、中間転写ベルト8は、体積抵抗率が107〜1012Ωcm程度に、厚さが80〜100μm程度に設定されている。
また、2次転写部材としての2次転写ローラ19は、芯金上に、NBR(二トリルゴム)等からなりゴム硬度が48〜58Hs程度の導電性ゴム層が形成されたものである。
さらに、2次転写対向ローラ12Bは、芯金上に中抵抗ゴム層を形成したものであって、23℃50%環境下での抵抗値が107〜108.5Ωになるように設定されている。
なお、本実施の形態では、2次転写ローラ19と2次転写対向ローラ12Bとの双方にそれぞれ極性の異なるバイアスを印加して2次転写工程をおこなっているが、2次転写ローラ19と2次転写対向ローラ12Bとのうちいずれか一方にのみ上述した極性のバイアスを印加して2次転写工程をおこなうこともできる。
【0027】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップ(ニップ部)の位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙カセット26(給紙部)から給紙ローラ27によって給送され、破線で示す搬送経路を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙カセット26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pが搬送経路に向けて給送される。搬送経路に給送された記録媒体Pは、さらにレジストローラ対28(タイミングローラ対)に向けて搬送される。
【0028】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、レジストローラ対28によって、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて2次転写ニップ(ニップ部)に向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0029】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、搬送経路を通過して、排紙ローラによって装置外部へと排出される。排紙ローラによって装置外部に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部上にスタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセス(画像形成動作)が完了する。
【0030】
次に、主に図3〜図7を用いて、本実施の形態における画像形成装置において、特徴的な構成・動作について詳述する。
先に説明したように、着脱ユニットとしてのプロセスカートリッジ6Yは、感光体ドラム1Y(像担持体)、帯電部4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Yが一体化されていて、装置本体100に対して着脱可能(交換可能)に設置される。そして、図3に示すように、4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K(着脱ユニット)が、中間転写ベルト8(中間転写体)の上方に対向するように並設されている。
【0031】
ここで、図4に示すように、プロセスカートリッジ6Yの現像装置5Yには、その上方にトナー補給口57Y(図2をも参照できる。)が設けられている。このトナー補給口57Yは、装置本体100へのプロセスカートリッジ6Y(現像装置5Y)の装着動作に連動して、装置本体100のトナー補給装置40の排出口43Yに連通する。そして、トナー補給装置40(装置本体100)からトナー補給口57Yを介して現像装置5Y内に適宜にトナーTが補給される。
詳しくは、図4(A)を参照して、まず、装置本体100の本体ドア(不図示である。)が開放されて、装置本体100の手前側(図1の紙面垂直方向手前側であって、図4の左側である。)から奥側に向けてプロセスカートリッジ6Y(現像装置5Y)が装着される(実線矢印方向の移動である。)。このとき、トナー補給装置40の排出口43Yは、不図示のスプリングによって閉鎖位置に向けて付勢されたシャッタ44Yによって閉鎖されている。
そして、図4(B)を参照して、プロセスカートリッジ6Y(現像装置5Y)の装着が進められると、シャッタ44Yは、現像装置5Yの突起部に押動されて、スプリングの付勢力に抗するように排出口43Yを開放する位置に移動する(破線矢印方向の移動である。)。そして、不図示の係止部材にプロセスカートリッジ6Y(現像装置5Y)が当接して、装置本体100におけるプロセスカートリッジ6Y(現像装置5Y)の位置が定められる。このとき、シャッタ44Yに開放された排出口43Yと、現像装置5Yのトナー補給口57Yと、が連通して、トナー補給装置40から現像装置5Yへの白矢印方向のトナー補給が可能になる。
なお、トナー補給装置40は、図4に示したイエロー用のプロセスカートリッジ6Yに対応したものと同じように構成されたものが、その他のプロセスカートリッジ6M、6C、6Kに対しても同様に設置されている。
【0032】
一方、図5に示すように、プロセスカートリッジ6Yのクリーニング装置2Yには、その下方に廃トナー排出口62Yが設けられていて、さらに廃トナー排出口62Yを開閉するシャッタ部材61Yが設けられている。この廃トナー排出口62Yは、装置本体100へのプロセスカートリッジ6Y(クリーニング装置2Y)の装着動作に連動して、装置本体100の廃トナー回収容器46に連通する。そして、クリーニング装置2Y内に回収されたトナーTHが、搬送スクリュ2b(図5ではその図示を省略しており、図2を参照できる。)によって廃トナー排出口62Yに向けて長手方向(図2の紙面垂直方向であって、図5の左右方向である。)に搬送されて、廃トナー回収容器46の内部に廃トナーTHとして回収される。
詳しくは、図5(A)を参照して、まず、装置本体100の本体ドア(不図示である。)が開放されて、装置本体100の手前側(図1の紙面垂直方向手前側であって、図5の左側である。)から奥側に向けてプロセスカートリッジ6Y(クリーニング装置2Y)が装着される(実線矢印方向の移動である。)。このとき、クリーニング装置2Yの廃トナー排出口62Yは、不図示のスプリングによって閉鎖位置に向けて付勢されたシャッタ部材61Y(その下方の一部に貫通穴61Yaが形成されている。)によって閉鎖されている。
そして、図5(B)を参照して、プロセスカートリッジ6Y(クリーニング装置2Y)の装着が進められると、シャッタ部材61Yは、廃トナー回収容器46に設置された突起部材48Yに押動されて、スプリングの付勢力に抗するように廃トナー排出口62Yを開放する位置(貫通穴61Yaが重なる位置である。)に移動する(破線矢印方向の移動である。)。そして、不図示の係止部材にプロセスカートリッジ6Y(クリーニング装置2Y)が当接して、装置本体100におけるプロセスカートリッジ6Y(クリーニング装置2Y)の位置が定められる。そして、シャッタ部材61Yに開放された廃トナー排出口62Yから、廃トナー回収容器46に向けての白矢印方向の廃トナーTHの排出が可能になる。
なお、廃トナー回収容器46は、装置本体100に対して着脱可能に設置されている。そして、廃トナー回収容器46の内部に回収された廃トナーTHが満杯になったときに、装置本体100から取り出されて、空の廃トナー回収容器46と交換される。
【0033】
また、図5を参照して、装置本体100には、装置本体100に対してプロセスカートリッジ6Y(着脱ユニット)が装着された状態と離脱された状態とを区別して検知する検知手段としてのセット検知センサ32が設置されている。
このセット検知センサ32(検知手段)は、プッシュスイッチ型センサであって、装置本体100にプロセスカートリッジ6Yが装着されるときにプロセスカートリッジ6Yに可動部が押動されることでプロセスカートリッジ6Yのセットの有無を検知する。
詳しくは、図5(A)に示すように、プロセスカートリッジ6Yが装置本体100にセットされていないときには、セット検知センサ32の可動部は、内部に設置された付勢部材に付勢されて、伸長した状態になる。これに対して、図5(B)に示すように、プロセスカートリッジ6Yが装置本体100にセットされているときには、セット検知センサ32の可動部は、プロセスカートリッジ6Yによって黒矢印方向に押動されて、内部に設置された付勢部材の付勢力に抗するように縮退した状態になる。そして、セット検知センサ32は、このような可動部の伸縮から、装置本体100へのプロセスカートリッジ6Yのセットの有無を検知する。
【0034】
なお、本実施の形態では、プロセスカートリッジ6Yにおいてクリーニング装置2Yの部分に当接するようにセット検知センサ32(検知手段)を設けているが、セット検知センサ32の当接位置はこれに限定されることはない。ただし、クリーニング装置2Yは、可動する部材が少ないためセット検知センサ32の当接位置を確保しやすいというメリットがあるとともに、高圧電圧が印加される部材もないためセット検知センサ32が電気的な障害を受けにくいというメリットもある。
また、本実施の形態では、プロセスカートリッジ6Yのセットの有無を検知する検知手段として、プッシュスイッチ型のセット検知センサ32を用いたが、その代わりにフォトインタラプタを用いることもできる。具体的に、プロセスカートリッジ6Yが装置本体100にセットされているときには光学素子から発光された光が受光素子で受光され、プロセスカートリッジ6Yが装置本体100にセットされていないときには光学素子から発光された光がプロセスカートリッジ6Yによって遮断されて受光素子に達しないように、フォトインタラプタを設置することで、プロセスカートリッジ6Yのセットの有無を検知する検知手段として機能することになる。
なお、セット検知センサ32や廃トナー回収容器46は、図5に示したイエロー用のプロセスカートリッジ6Yに対応したものと同じように構成されたものが、その他のプロセスカートリッジ6M、6C、6Kに対しても同様に設置されている。
【0035】
また、本実施の形態における画像形成装置100には、図3及び図6を参照して、中間転写ベルト8(中間転写体)に対して2次転写ローラ19(2次転写部材)を相対的に離間させる離間機構31が設置されている。
図示は省略するが、離間機構31(接離機構)は、スプリング等の付勢部材によって中間転写ベルト8(2次転写対向ローラ12B)から離間する方向に付勢された2次転写ローラ19に当接するカム機構である。そして、制御部30による制御によって、カムを回転駆動させて2次転写ローラ19に当接するカムの姿勢を可変することで2次転写ローラ19を上下方向に移動させて、2次転写ローラ19を中間転写ベルト8に当接させた状態(図3の状態である。)と、2次転写ローラ19を中間転写ベルト8から離間させた状態(図6の状態である。)と、を切り替える。
【0036】
ここで、図6を参照して、本実施の形態における画像形成装置は、装置本体100からプロセスカートリッジ6Y(着脱ユニット)が離脱された状態がセット検知センサ32(検知手段)によって検知された後に、画像形成動作がおこなわれる前の所定のタイミングで、離間機構31によって中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ19を離間させた状態で、駆動手段によって中間転写ベルト8を所定距離だけ走行駆動させる「特殊モード」が実行される。
詳しくは、「特殊モード」は、セット検知センサ32によって装置本体100からプロセスカートリッジ6Yが離脱された状態が検知された後であって、離脱されたプロセスカートリッジ6Yの位置に新たにプロセスカートリッジ6Yが装着された状態がセット検知センサ32によって検知された後に実行される。すなわち、プロセスカートリッジ6Yの交換がセット検知センサ32で検知されると、通常の画像形成プロセスが実行される前に、2次転写ローラ19を離間状態にして所定距離(所定時間)だけ中間転写ベルト8が空走行される(「特殊モード(空走行モード)」が実行される。)。
【0037】
ここで、図6を参照して、「特殊モード」は、装置本体100から着脱されたプロセスカートリッジ6Y(ここでは、4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kのうちイエローのプロセスカートリッジ6Yが交換されたものとする。)が対向していた中間転写ベルト8の対向範囲HYが、離間状態にある2次転写ローラ19との対向位置を通過するまで実行される。すなわち、「特殊モード」において、中間転写ベルト8は、交換されたプロセスカートリッジ6Yの対向範囲HYが、少なくとも図6中の範囲H´に達するまで走行駆動される。
同様に、マゼンタ用のプロセスカートリッジ6Mが交換されたときには、その対向範囲HMが少なくとも図6中の範囲H´に達するまで走行駆動される。また、シアン用のプロセスカートリッジ6Cが交換されたときには、その対向範囲HCが少なくとも図6中の範囲H´に達するまで走行駆動される。また、ブラック用のプロセスカートリッジ6Kが交換されたときには、その対向範囲HKが少なくとも図6中の範囲H´に達するまで走行駆動される。
【0038】
このようにプロセスカートリッジ6Yの離脱後に「特殊モード」を実行することで、プロセスカートリッジ6Yの離脱時にプロセスカートリッジ6Y(現像装置5Yやクリーニング装置2Y)から中間転写ベルト8の表面(対向位置HYである。)にトナーT、THがこぼれてしまっても、そのトナーT、THは中間転写ベルト8の走行によって離間状態にある2次転写ローラ19の位置を通過するため、中間転写ベルト8上に落下したトナーT、THが2次転写ローラ19に付着する不具合を抑止することができる。したがって、2次転写ニップ(ニップ部)に搬送される記録媒体Pのウラ面(非転写面)を汚してしまう不具合や、2次転写ニップに対して搬送方向下流側にある搬送経路や定着部20等を汚してしまう不具合も抑止されることになる。
なお、「特殊モード」によって離間状態にある2次転写ローラ19の位置を通過した中間転写ベルト8上のトナーT、THは、中間転写クリーニング部10のクリーニングブレードによって中間転写クリーニング部10の内部に回収されることになる。
【0039】
なお、本実施の形態において、装置本体100から着脱されたプロセスカートリッジ6Yが対向していた中間転写ベルト8の対向範囲HYが、離間状態にある2次転写ローラ19との対向位置を通過して、少なくとも中間転写クリーニング部10の位置に達するまで、「特殊モード」を実行させることもできる。これにより、「特殊モード」が実行されている間に、中間転写ベルト8上に落下したトナーT、THが中間転写クリーニング部10に確実に回収されることになる。
【0040】
また、本実施の形態において、4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K(複数の着脱ユニット)のうち2つ以上のプロセスカートリッジ(着脱ユニット)が装置本体100から離脱された状態がセット検知センサ32(検知手段)によって検知されたときに、それらの2つ以上のプロセスカートリッジのうち中間転写ベルト8の走行方向に対して最も上流側に位置するプロセスカートリッジを基準にして中間転写ベルト8を走行駆動する走行距離(走行時間)が定められる。
例えば、4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kのうち、ブラック用のプロセスカートリッジ6Kと、マゼンタ用のプロセスカートリッジ6Mと、が同時に交換された場合、2つのプロセスカートリッジ6M、6Kのうち上流側にあるマゼンタ用のプロセスカートリッジ6Mを基準にして、その対向位置HMが少なくとも範囲H´の位置に達するまで、「特殊モード」が実行されることになる。
このような制御をおこなうことで、中間転写ベルト8上に落下したトナーT、THが2次転写ローラ19に付着する不具合を効率的かつ確実に抑止することができる。
【0041】
図7は、上述した「特殊モード」を実行するための制御を示すフローチャートである。
図7を参照して、まず、制御部30にて装置本体100の本体ドアが開放された状態かが判別され(ステップS1〜S2)、本体ドアが閉鎖された状態であると判別された場合には通常の画像形成動作をおこなえるように制御して(ステップS3)、本体ドアが開放された状態であると判別された場合には何らかのメンテナンス作業がおこなわれているものとして通常の画像形成動作をおこなえないように制御する(ステップS4)。
そして、ステップS4の後に、セット検知センサ32の検知結果に基いてプロセスカートリッジが装置本体100にセットされた状態であるかが判別される(ステップS5)。その結果、プロセスカートリッジが装置本体100にセットされていない状態であるものと判別された場合、セット検知センサ32によって該当するプロセスカートリッジの未セット状態とセット状態とを続けて検知した後に、再びプロセスカートリッジが装置本体100にセットされた状態であるかが判別される(ステップS6〜S8)。
その結果、プロセスカートリッジが装置本体100にセットされている状態であるものと判別された場合、本体ドアが閉鎖された状態を判別した後に、「特殊モード」を実行する(ステップS9〜S10)。その後、通常の画像形成動作をおこなえるように制御して、本制御フローを終了する(ステップS11〜S12)。
【0042】
ここで、本実施の形態において、セット検知センサ32(検知手段)を、装置本体100に対してプロセスカートリッジ6Y(着脱ユニット)が装着された状態であってプロセスカートリッジ6Yの駆動が開始されていない状態と、装置本体100に対してプロセスカートリッジ6Yが装着された状態であってプロセスカートリッジ6Yの駆動が開始されている状態と、をも区別して検知するように形成することもできる。
【0043】
具体的に、図8を参照して、装置本体100には、現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)の現像ローラ51Yの軸部に設置されたハス歯ギア51Yaに噛合する駆動ギア91(ハス歯ギアであって、駆動モータ90の軸部に設置されている。)と、測距センサを内蔵するなどして可動部の長さの変化を3段階(X1、X2、X3)で検知できるセット検知センサ32(検知手段)と、が設置されている。
詳しくは、図8(A)に示すように、現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)が装置本体100にセットされていないときには、セット検知センサ32の可動部は、内部に設置された付勢部材に付勢されて、突出量X1にて最大に伸長した状態になる。そして、図8(B)に示すように、現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)が装置本体100にセットされると、セット検知センサ32の可動部は、プロセスカートリッジ6Yに押動されて、突出量X2にて縮退した状態になる。さらに、図8(C)に示すように、装置本体100の駆動ギア91からハス歯ギア51Yaを介して現像ローラ51Yに駆動力が伝達されると、ハス歯ギアの歯面から受ける面圧によって現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)が図8(C)の右方に僅かに移動するため、セット検知センサ32の可動部は、プロセスカートリッジ6Yにさらに押動されて、突出量X3(<X2)にてさらに縮退した状態になる。そして、現像装置5Y(プロセスカートリッジ6Y)の駆動が開始された後は、プロセスカートリッジ6Yの離脱操作がおこなわれるまで、セット検知センサ32の可動部の突出量X3が維持される。このようにして、セット検知センサ32によって、可動部の突出量Xの変化を検出することで、プロセスカートリッジ6Yが未セットの状態と、プロセスカートリッジ6Yがセットされて駆動が開始されていない状態と、プロセスカートリッジ6Yがセットされて駆動が開始された状態と、が区別して検知されることになる。
【0044】
そして、装置本体100の電源が投入された後(メインスイッチがオンされた後)に、装置本体100に対してプロセスカートリッジ6Y(着脱ユニット)が装着された状態であってプロセスカートリッジ6Yの駆動が開始されていない状態をセット検知センサ32によって検知した場合(図8(B)の状態である。)には、装置本体100からのプロセスカートリッジ6Yの離脱(交換作業)がされたものとして「特殊モード」が実行される。これに対して、装置本体100の電源が投入された後に、装置本体100に対してプロセスカートリッジ6Yが装着された状態であってプロセスカートリッジ6Yの駆動が開始されている状態をセット検知センサ32によって検知した場合(図8(C)の状態である。)には、装置本体100からのプロセスカートリッジ6Yの離脱(交換作業)がされていないものとして「特殊モード」が実行されない。
【0045】
このような制御をおこなうのは、装置本体100の電源が切断された状態(メインスイッチがオフされた状態)で、プロセスカートリッジ6Yの離脱作業がおこなわれた場合には、セット検知センサ32への電力供給もされないため、図8(A)の状態から図8(B)の状態への変化をセット検知センサ32で検知することができないためである。そのため、装置本体100の電源が再び投入された後に、図8(B)の状態と図8(C)の状態とをセット検知センサ32で区別して検知することで、装置本体100からのプロセスカートリッジ6Yの離脱(交換作業)の有無を検知する。そして、プロセスカートリッジ6Yの離脱(交換作業)がされたものと判別された場合(図8(B)の状態を検知した場合である。)には、中間転写ベルト8へのトナー落ちが生じているものとして、「特殊モード」を実行する。これに対して、プロセスカートリッジ6Yの離脱(交換作業)がされていないものと判別された場合(図8(C)の状態を検知した場合である。)には、中間転写ベルト8へのトナー落ちが生じていないものとして、「特殊モード」を実行せずに、無駄なダウンタイムが生じるのを防止する。
なお、装置本体100の電源が投入された状態でプロセスカートリッジ6Yの交換がおこなわれた場合には、図8(A)の状態から図8(B)の状態への変化をセット検知センサ32で検知した後に、「特殊モード」が実行される。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置は、画像形成装置本体100からプロセスカートリッジ6Y(着脱ユニット)が離脱された状態を検知した後に、画像形成動作がおこなわれる前の所定のタイミングで、中間転写ベルト8(中間転写体)に対して2次転写ローラ19(2次転写部材)を離間させた状態で、中間転写ベルト8を所定距離だけ走行駆動させている。これにより、画像形成装置本体100からプロセスカートリッジ6Yを離脱するときに、プロセスカートリッジ6Yから中間転写ベルト8上にトナーがこぼれてしまっても、そのトナーが2次転写ローラ19に付着する不具合を抑止することができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置される着脱ユニットとしてプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを用いた画像形成装置に対して本発明を適用した。これに対して、画像形成装置本体100に対して現像装置5Yが単独で着脱ユニットとして着脱可能に設置される画像形成装置や、画像形成装置本体100に対してクリーニング装置2Yが単独で着脱ユニットとして着脱可能に設置される画像形成装置や、現像装置5Yとクリーニング装置2Yとのうち少なくとも一方が設置された着脱ユニットが画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置される画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、装置本体100に対して4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K(複数の着脱ユニット)がそれぞれ単独で着脱できるように構成された画像形成装置に対して本発明を適用した。これに対して、装置本体100に対して4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6K(複数の着脱ユニット)が一体的に着脱できるように構成された画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
さらに、本実施の形態では、中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ19を相対的に離間させる離間機構31として、中間転写ベルト8に対して2次転写ローラ19を移動させるものを用いたが、2次転写ローラ19に対して中間転写ベルト8を移動させるものを用いることもできる。
そして、それらの場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
1Y、1M、1C、1K 感光体ドラム(像担持体)、
2Y クリーニング装置(クリーニング部)、
4Y 帯電部、
5Y 現像装置(現像部)、
6Y、6M、6C、6K プロセスカートリッジ(着脱ユニット)、
8 中間転写ベルト(中間転写体)、
10 中間転写クリーニング部、
19 2次転写ローラ(2次転写部材)、
32 セット検知センサ(検知手段)、
100 画像形成装置本体(装置本体)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2011−145552号公報
【特許文献2】特開2006−267400号公報
【特許文献3】特開2009−86417号公報
【特許文献4】特開2005−49900号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面に形成された潜像を現像する現像装置と、前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも一方を具備するとともに、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される複数の着脱ユニットと、
前記複数の着脱ユニットにそれぞれ対応する複数の前記像担持体が上方にて対向するように並設されるとともに、駆動手段によって所定方向に走行駆動されて、前記複数の像担持体の表面に形成されたトナー像が重ねて1次転写される中間転写体と、
前記中間転写体に当接してニップ部を形成するとともに、前記中間転写体に1次転写されたトナー像を前記ニップ部に搬送される記録媒体に2次転写する2次転写部材と、
前記中間転写体に対して前記2次転写部材を相対的に離間させる離間機構と、
前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着された状態と離脱された状態とを区別して検知する検知手段と、
を備え、
前記画像形成装置本体から前記着脱ユニットが離脱された状態が前記検知手段によって検知された後に、画像形成動作がおこなわれる前の所定のタイミングで、前記離間機構によって前記中間転写体に対して前記2次転写部材を相対的に離間させた状態で、前記駆動手段によって前記中間転写体を所定距離だけ走行駆動させる特殊モードが実行されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記特殊モードは、前記検知手段によって前記画像形成装置本体から前記着脱ユニットが離脱された状態が検知された後であって、離脱された前記着脱ユニットの位置に新たに着脱ユニットが装着された状態が前記検知手段によって検知された後に実行されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記特殊モードは、前記画像形成装置本体から着脱された前記着脱ユニットが対向していた前記中間転写体の対向範囲が、離間状態にある前記2次転写部材との対向位置を通過するまで実行されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写体の表面をクリーニングする中間転写クリーニング部を、前記2次転写部材に対して前記中間転写体の走行方向下流側に備え、
前記特殊モードは、前記画像形成装置本体から着脱された前記着脱ユニットが対向していた前記中間転写体の対向範囲が、少なくとも前記中間転写クリーニング部の位置に達するまで実行されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記特殊モードは、前記複数の着脱ユニットのうち2つ以上の着脱ユニットが前記画像形成装置本体から離脱された状態が前記検知手段によって検知されたときに、前記2つ以上の着脱ユニットのうち前記中間転写体の走行方向に対して最も上流側に位置する着脱ユニットを基準にして前記中間転写体を走行駆動する前記走行距離が定められることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着された状態であって前記着脱ユニットの駆動が開始されていない状態と、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着された状態であって前記着脱ユニットの駆動が開始されている状態と、をも区別して検知するように形成され、
前記画像形成装置本体の電源が投入された後に、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着された状態であって前記着脱ユニットの駆動が開始されていない状態を前記検知手段によって検知した場合には前記画像形成装置本体からの前記着脱ユニットの離脱がされたものとして前記特殊モードが実行されて、前記画像形成装置本体に対して前記着脱ユニットが装着された状態であって前記着脱ユニットの駆動が開始されている状態を前記検知手段によって検知した場合には前記画像形成装置本体からの前記着脱ユニットの離脱がされていないものとして前記特殊モードが実行されないことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数の着脱ユニットは、それぞれ、プロセスカートリッジであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61605(P2013−61605A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201692(P2011−201692)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】