画像検出装置および検査装置
【課題】傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定する画像検出装置および検査装置を提供する。
【解決手段】画像検出装置6は、ワーク2に対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出するものである。この画像検出装置6には、外部撮影機器により撮影したワーク2のワーク画像を取得する画像取得部61と、画像取得部61で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部62と、作成部62により作成した差分画像から不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部63と、が設けられている。
【解決手段】画像検出装置6は、ワーク2に対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出するものである。この画像検出装置6には、外部撮影機器により撮影したワーク2のワーク画像を取得する画像取得部61と、画像取得部61で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部62と、作成部62により作成した差分画像から不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部63と、が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象となるワークの異物の大きさを測定する画像検出装置および、検査対象となるワークの検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象となるワークの外観検査を行う場合、目視によりそのワークの良否判定を行なっていた。そのため、作業者の熟練度によって目視による良否判定の基準が変わってしまい、ワークの良否判断にバラツキが生じていた。
そこで、現在、画像処理技術の進歩により、ワークを撮影し、撮影された画像を解析することによりワークの良否を判定する検査装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の検査装置は、ワーク表面に異物(ゴミや汚れなど)や傷等があるか否かを検査する装置であり、ワーク表面に光を照明し反射させて撮影部でその反射した光を撮影する。
【0004】
具体的に、特許文献1に記載の検査装置によれば、ワーク表面上において傷や異物等がない部位では光が反射し、傷や異物等がある不確定な部位では光が乱反射する。したがって、一定の照明下でワークの撮影を行うと、傷や異物等がある不確定な部位と、傷や異物等がない部位とで、ワーク表面の明るさが異なって撮影され、この明るさの違いによりワークの良否判定を行う。
【特許文献1】特開2005−201880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1に記載の検査装置で用いられる情報処理である従来の画像検出装置は、検査装置で撮影したワークの画像を、画素を判定対象として解析し、傷や異物等がある不確定な部位を画素単位で判別してこの不確定な部位が何画素あるかその数によりワークの良否の判定を行うものである。
【0006】
しかしながら、上記した従来の画像検出装置では、画素自体を不確定な部分として検出対象としているので、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)を測定することができない。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定する画像検出装置および検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる画像検出装置は、検査対象となるワークに対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出する画像検出装置において、外部撮影機器により撮影したワークのワーク画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部と、前記作成部により作成した差分画像から傷や異物などの不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部と、が設けられたことを特徴とする。なお、ここでいう可変ワーク画像は、前記画像取得部で取得したワーク画像から、前記作成部でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像や、前記可変ワーク画像は、ワーク画像に対してワークを撮影する撮影条件を可変させて前記画像取得部で取得し、ワーク画像に対して画像可変させた画像のことをいう。
【0009】
本発明によれば、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となる。
【0010】
具体的に、前記画像取得部と前記作成部と前記寸法算出部とが設けられているので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となる。その結果、ワークの良否判定を寸法により行うことが可能となり、ワークの良品判定の精度を向上させることが可能となる。
【0011】
これに対して、従来の画像検出装置では、検査装置で撮影したワークの画像を、画素を判定対象として解析し、傷や異物等がある不確定な部位を画素単位で判別してこの不確定な部位が何画素あるかその数によりワークの良否の判定を行う。そのため、上記した従来の画像検出装置では、画素自体を不確定な部分として検出対象としているので、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)を測定することができない。
【0012】
前記構成において、前記作成部により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位のみを抽出する抽出部が設けられてもよい。
【0013】
この場合、前記抽出部が設けられるので、差分画像のうち不確定な部位以外の正常な部位を省くことが可能となり、不確定な部位をワークの良否判定の対象とすることが可能となり、前記寸法算出部による不確定な部位の寸法算出の精度を上げることが可能となる。具体的に、前記抽出部により不確定な部位を抽出し画像拡大することが可能となり、不確定な部位の寸法算出の精度を上げることが可能となる。
【0014】
前記構成において、前記抽出部では、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位を抽出してもよい。
【0015】
この場合、差分画像のうち最大寸法の不確定な部位を抽出するので、ワークの良否判定の基準を最大寸法の不確定な部位としてワークの良品判定を容易に行うことが可能となる。
【0016】
前記構成において、傷や異物などの不確定な部位の寸法は、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)の少なくとも1つの径であってもよい。
【0017】
この場合、不確定な部位の寸法を正確に測定することが可能となり、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法の少なくとも1つの径を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となる。また、不確定な部位の存在によるワークの良否判定の基準の多様性に応えることが可能となる。
【0018】
前記構成において、前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)を算出してもよい。
【0019】
この場合、不確定な部位の長手方向の長さ寸法を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となり、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)からワークの良品を判定するためにワークの良否判定の精度を向上させることが可能となる。
【0020】
前記構成において、前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)を算出して、これら長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)から構成される矩形部位を算出してもよい。
【0021】
この場合、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となり、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)からワークの良品を判定するためにワークの良否判定の精度を向上させることが可能となる。また、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となり、不確定な部位の存在によるワークの良否判定の基準の多様性に応えることが可能となる。
【0022】
前記構成において、ワークは、透光性材料であってもよい。具体的に、ワークに透光性材料を用いることが好ましく、例えば圧電材料もしくはレンズ系材料であることが好適である。
【0023】
前記構成において、前記寸法算出部により算出した前記寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワークの良否を判定する良否判定部が設けられてもよい。
【0024】
この場合、ワークの良否判定の量産に好適である。
【0025】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる検査装置は、検査対象となるワークを検査する検査装置において、ワークを照明する円環状の光源部を有する照明部と、ワークを撮影する撮影部とが設けられ、上記した本発明にかかる画像検出装置が、直接または間接的に接続され、ワークを保持する保持部が、前記照明部と撮影部との間に固定もしくは移動可能に配され、前記照明部の前記光源部からワークに照射した光の照射方向上から外れた位置に、前記撮影部が配され、ワークに傷や異物などの不確定な部位がある場合、前記光源部からワークに照射した光は、その不確定な部位によりその光路が変更されて前記撮影部にて撮影されることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、上記した本発明にかかる画像検出装置が、直接または間接的に接続されるので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となり、上記した本発明にかかる画像検出装置による作用効果を有する。
【0027】
また、本発明によれば、ワークを保持部などの保持機構で保持した状態であっても、誤認識なくワークの良否判定を行うことが可能となる。特に、本発明によれば、前記画像検出装置が直接または間接的に接続され、前記撮影部と前記照明部とが前記保持部に保持したワークを介して配されているので、前記保持部に保持したワークを基準に、ワークに対して同一方向(同一側の位置)に前記撮影部と前記照明部とが設けられていない。そのため、ワークに照射した光の反射光や、ワークを保持する前記保持部で反射した反射光が、前記撮影部で撮影されることなく、ワークに付着したもしくは形成された全ての異物(ゴミやしみなど)や傷などを含む不確定な部位を発見することが可能となる。また、本発明によれば、前記保持部に保持したワークを基準に、ワークに対して同一方向(同一側の位置)に前記撮影部と前記照明部とが設けられていないため、前記照明部からの照明により前記保持部が白く光るのを防止することが可能となり、この保持部の白発光による傷や異物などを含む不確定な部位との誤認識を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる画像検出装置および検査装置によれば、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、検査対象となるワークとして光学部品であるフィルタに本発明を適用した場合を示す。
【実施例】
【0030】
本実施例にかかる検査装置1は、透過方式を採用しており、検査対象となるワークに異物があるか否かの検査を行うものである。
【0031】
具体的に、検査装置1には、図1に示すように、ワーク2を照明する照明部3と、ワーク2を撮影する撮影部4と、ワーク2を保持する保持部5とが設けられ、撮影部4に情報処理装置である画像検出装置6が有線にて接続されている。
【0032】
照明部3は、図1,2に示すように、貫通孔31を有する筒状体からなり、貫通孔31のうち、その内壁面32の平面視上方部分が、平面視下方に向けて勾配を有するテーパー状に成形されている。このテーパー成形された内壁面32の平面視上方部分には、平面視円環状の光源部33が設けられ、光源部33は、複数のLEDが上下2段複数列に配されて構成される。また、複数のLEDは、それぞれテーパー成形された傾斜角度に対して垂直方向に光を照射する(図1の一点鎖線方向への照射)。すなわち、光源部33は、保持部5に保持したワーク2に対して角度を有した指向性(図1の一点鎖線方向)の光を照射する。
【0033】
また、この照明部3には、その光源部33から照射する光の照射方向前面であって、テーパー状に成形された内壁面32の平面視上部分と面するように、光の照射を拡散する拡散フィルタ34が設けられている(取り付けられている)。この拡散フィルタ34は、平面視外周縁と平面視内周縁を有する円盤状体からなる。このように、拡散フィルタ34が取り付けられることで、ワーク2に傷や異物などを含む不確定な部位がある場合、その不確定な部位への光の照射によるギラツキを抑えることができ、その結果、不確定な部位の外形(輪郭)を明瞭にすることができる。
【0034】
撮影部4は、モノクロ撮影を行うカメラが設けられ、このカメラはシームレスズームレンズを用いている。そして、この撮影部4は、赤色より短い波長の光の撮影を対象とし、特に単波長の光の撮影を対象とすることが望まれる。なお、本実施例では青色の単波長の光を撮影の対象としている。
【0035】
保持部5は、検査装置1に固定され、照明部3と撮影部4との間に配されている。この保持部5は、ワーク2をその側面を圧接することでワーク2を固定保持するものである。
【0036】
画像検出装置6には、撮影部4により撮影したワーク2のワーク画像を取得する画像取得部61と、画像取得部61で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とを差分比較してワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部62と、作成部62により作成した差分画像から傷や異物などの不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部63と、作成部62により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位を抽出する抽出部64と、寸法算出部63により算出した寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワーク2の良否を判定する良否判定部65と、ワーク画像などの画像を表示する表示部66とが設けられている。このうち、作成部62と寸法算出部63と抽出部64と良否判定部65とは、画像検出装置6の画像処理を行う画像処理部(図示省略)の各構成として設けられている。
【0037】
なお、ここでいう抽出部64では、画像上の複数の不確定な部位の抽出と、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位のみの抽出を行う(下記参照)。
【0038】
また、ここでいう可変ワーク画像は、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像のことをいう。このワーク画像を可変させる画像条件として、例えばワーク画像の焦点を変更することによる「ぼかし」などが挙げられる。
【0039】
この画像検出装置6によれば、撮影部4で撮影したワークの画像(本発明でいうワーク画像)を演算処理し、ワーク2に異物があるか否かの検査を行うだけでなく、ワーク2に何か物(不確定な部位)が写っている場合、この不確定な部位が予め設定した寸法以上であるか否かを計測し、この計測の結果、予め設定した寸法以上である場合、この不確定な部位を異物として判別し、判別された異物を付着もしくは形成したワーク2を不良品と判別する。なお、本実施例では、異物と判別する基準の寸法を、長径20μm以上とし、長径20μm以上と計測した場合、その不確定な部位を異物と判別する。
【0040】
上記した検査装置1では、保持部5に保持したワーク2が照明部3と撮影部4との間に配されている。また、照明部3の光源部33からワーク2に照射した光の照射方向から外れた位置に、撮影部4が配されている。
【0041】
また、検査装置1には、照明部3の、平面視下方に、ワーク2を保持した保持部5に対して傾斜して(具体的に、本実施例では約45度傾斜して)配された防止板7が設けられている。すなわち、この防止板7は、照明部3の撮影部4が配された側と対向する反対側の位置に設けられている。この防止板7は、光沢のある黒板からなり、照明部3の貫通孔31を介して撮影部4と対面する。この防止板7によれば、ワーク2やワーク2を保持する保持部5において反射した光(図1の二点鎖線方向)を撮影部4以外の方向に導く(反射させる)。
【0042】
上記した構成を有する検査装置1では、保持部5に保持されたワーク2に傷や異物などを含む不確定な部位がある場合、光源部33からワーク2に照射(照明)した光は、傷や異物などを含む不確定な部位によりその光路が変更されて撮影部4にて撮影され、それ以外の光は、撮影部4に照射することなく撮影部4のカメラに写らない。ここでいう光路の変更とは、光が傷や異物などを含む不確定な部位により屈折したり、反射したりすることをいう。
【0043】
なお、上記した検査装置1では、撮影部4(カメラのレンズ端面)からワークまでの最短距離が90mmに設定され、ワーク2から照明部3の光源部33までの最短距離が30mmに設定されている。この設定は、傷や異物などを含む不確定な部位がないワーク2を介した照明部3の光源部33からの光の照明方向(射出方向)に、撮影部4のカメラが存在しない設定であり、この数値は本実施例に限るものであり、本設定に限定されるものではない。すなわち、傷や異物などを含む不確定な部位がないワーク2に、照明部3の光源部33からの光を照明した場合、撮影部4のカメラに光が入らない設定であればよい。
【0044】
次に、上記した画像検出装置6において、検査対象となるワーク2に対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出する方法を図1に示す画像検出装置6の概略ブロック図と、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0045】
まず、ワーク2の画像(以下、ワーク画像とする)を取り込む準備を行う(ステップS1の初期設定)。
【0046】
具体的に、後述する検査エリアの設定時に表示するワーク画像およびワーク画像の取り込み位置を設定する(ワーク画像取込初期設定)。
【0047】
ワーク画像取込初期設定を終えると、撮影部4(カメラ)の撮影条件(パラメータ)の初期設定を行う(カメラ初期設定)。具体的に、シャッタースピードやカメラ感度の設定等を行う。このカメラ初期設定には、レンズのピント調整や絞り調整やズーム率の調整や照明の明るさの調整などが含まれる。
【0048】
ワーク画像取込初期設定とカメラ初期設定とを終えると、次にワーク2の撮影条件の設定を行う(撮影条件設定)。具体的に、この撮影条件設定には、撮影対象物から撮影部4までの実距離や、傾斜角度や、一画素に対応する寸法などの実寸に関する設定などが含まれる。
【0049】
撮影条件を設定した後に、撮影部4にてワーク2の撮影を行ない、撮影したワーク画像を表示部66で表示する(図4参照)。表示部66で表示したワーク画像のうち、検査を行ないたい検査エリアを設定する(ステップS2の検査エリア設定)。具体的に、検査エリアの設定について、まず表示部66で表示する画像上において検知エリアの左上点を設定し、その後に右下点を設定して左上点と右下点を対角点とする矩形の検知エリアを設定する(図5参照)。この画像検出装置6では、設定する検知エリアについて、任意のポイントに移動させたり、任意の方向に回転させる設定が付加されている。
【0050】
検知エリアを設定した後に、撮影部4により撮影し表示部66で表示しているワーク画像を取得し(図4、ステップS3)、取得したワーク画像のうち、ステップS3において設定した検知エリアをトリミングし(図5)、トリミングした検知エリアのトリミング画像を表示する(図6、ステップS4)。
【0051】
ステップS4においてワーク画像からトリミングしたトリミング画像に対して、トリミング画像(ワーク画像)を可変させる画像条件に基づいて画像可変させた可変ワーク画像を取得する(ステップS5)。なお、ここでいう可変ワーク画像とは、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像のことをいう。具体的に、画像検出装置6の作成部62において画像処理を行い、トリミング画像をぼかして可変ワーク画像を作成する(図7)。つまり、本実施例でいうワーク画像を可変させるとは、ワーク画像をぼかすことをいう。
【0052】
ステップS4においてトリミングした検知エリアのワーク画像(図6に示すトリミング画像)と、ステップS5において作成した可変ワーク画像(図7)とを作成部62で差分比較して差分画像を作成する(図8、ステップS6)。
【0053】
ステップS6において作成した差分画像をサブピクセルで2値化処理を行ない(ステップS7)、2値化したワーク画像をラベリングしてブロッブを表示する(図9、ステップS8)。ここでいうブロッブとは、図9に示す白い外周縁で囲んだものをいい、抽出部64による抽出対象(傷や異物などの不確定な部位)となる部位のことをいう。
【0054】
ステップS8において表示したブロッブについて、予め設定した一定面積以上のブロッブがあるか否かを判別し、抽出部64により一定面積以上のブロッブを選定して抽出する(図10、ステップS9)。なお、ステップS9では、抽出部64は、ワーク画像上の複数の不確定な部位の抽出を行う。
【0055】
ステップS9において抽出したブロッブから任意のブロッブを一つ選択する(図11,12の赤い外周縁でブロッブを囲んだもの参照、ステップS10)。図12は、図11において選択したブロッブの拡大図である。
【0056】
ステップS10において選択したブロッブ内の全画素における最大輝度を検出し(ステップS11)、その検出した最大輝度が予め設定した輝度以上か否かを判別する(ステップS12)。
【0057】
ステップS12において検出した最大輝度が予め設定した輝度以上の場合(ステップS12においてYes)、再度撮影部4により撮影条件(本実施例では輝度)を可変させてワーク画像を撮影する。具体的に、輝度を下げるために撮影部4のシャッタスピードを短く設定して(ステップS13)、そのブロッブを含むワーク画像(具体的に上記したトリミング画像と同じ検知エリアのワーク画像)を再度取り込む(ステップS14)。
【0058】
そして、ステップS14において取り込んだブロッブ内の全画素における最大輝度を検出し、その検出した最大輝度が予め設定した輝度未満か否かを調べる(ステップS15)。
【0059】
ステップS15において検出した最大輝度が予め設定した輝度未満でない場合(ステップS15においてNo、記号Cの矢印方向参照)、輝度を下げるために撮影部4のシャッタスピードをさらに短く設定して(ステップS13)、そのブロッブを含むワーク画像(具体的に上記したトリミング画像と同じ検知エリアのワーク画像)を再度取り込む(ステップS14)。
【0060】
そして、再度ステップS14において取り込んだブロッブ内の全画素における最大輝度を検出し、その検出した最大輝度が予め設定した輝度未満か否かを調べる(ステップS15)。
【0061】
なお、上記した本実施例のステップS14では、上記したトリミング画像と同じ検知エリアのワーク画像を取り込んでいるが、これに限定されるものではなく、ワーク画像を取り込み、取り込んだワーク画像に対してトリミングを行なってもよい。
【0062】
ステップS15において検出した最大輝度が予め設定した輝度未満である場合(ステップS15においてYes)、ブロッブを含むトリミング画像に対して、トリミング画像(ワーク画像)を可変させる画像条件に基づいて画像可変させた可変ワーク画像を取得する(ステップS16)なお、ここでいう可変ワーク画像とは、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像のことをいう。具体的に、画像検出装置6の作成部62において画像処理を行い、トリミング画像(ワーク画像)をぼかして可変ワーク画像を作成する。つまり、本実施例でいうワーク画像を可変させるとは、ワーク画像をぼかすことをいう。
【0063】
ステップS14において取得したワーク画像(トリミング画像)と、ステップS16において作成した可変ワーク画像とを作成部62で差分比較して差分画像を作成する(ステップS17)。
【0064】
ステップS17において作成した差分画像をサブピクセルで2値化処理を行ない(ステップS18)、2値化したワーク画像をラベリングしてブロッブを表示する(図13,14、およびステップS19)。図14は、図13においてブロッブの拡大図である。
【0065】
ステップS19においてワーク画像に表示したブロッブに対して、最大面積を有するブロッブの寸法を算出する(ステップS20)。
【0066】
また、ステップS12において検出した最大輝度が予め設定した輝度未満の場合(ステップS12においてNo、記号Dの矢印方向参照)、ブロッブの寸法を算出する(ステップS20)。なお、この場合、ステップS3で取得しステップS4でトリミングしたワーク画像(トリミング画像)を用いる。
【0067】
具体的に、ブロッブを囲む最小の矩形部位(具体的に長方形)を算出し、寸法算出部63によりこの矩形部位(長方形)の寸法を算出する。そして、この長方形の長手方向の長さ(長辺)の寸法を長径とし、短手方向の長さ(短辺)の寸法を短径として取得する(ステップS21)。なお、本実施例では、寸法算出部63により、最大面積を有するブロッブの長径は39.78μmと算出され、短径は18.16μmと算出されている。
【0068】
そして、他のブロッブについても長方形を算出するためにステップS10〜ステップS21を繰り返し(ステップS22においてNo、記号Bの矢印方向参照)、全てのブロッブについて処理を終えると(ステップS22においてYes)、全てのブロッブを表示し、かつ全てのブロッブのうち長径が最大となるブロッブ(最大面積を有するブロッブ)を選択し、他のブロッブとは異なる色(本実施例では黄色)で表示する(ステップS23)。
【0069】
そして、ステップS23において表示したブロッブを囲む最小の長方形を表示する(ステップS24)とともに、長方形の各辺の中点を異なる色(本実施例では青色)で表示する(ステップS25)。なお、ステップS23〜ステップS25では、抽出部64は、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位のみの抽出を行う。
【0070】
ステップS25において青色で表示した矩形(長方形)が、良否判定部65により予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワーク2の良否を判定する。具体的に、ステップS25において青色で表示した長方形の長径が20μm未満か否かを、良否判定部65により判別する(ステップS26)。
【0071】
そして、長方形の長径が20μm未満である場合(ステップS26でYes)、そのブロッブを含むワーク2は良品であるとして表示部66でOK表示(長径および短径も表示)を行う(ステップS27)。
【0072】
また、長方形の長径が20μm以上である場合(ステップS26でNo)、そのブロッブを含むワーク2は不良品であるとして表示部66でNG表示(長径および短径も表示)を行う(ステップS28)。
【0073】
ステップS26〜ステップS28において不確定な部位の有無によりワーク2の良品と不良品を判別した後、次に検査を行うワーク2がある場合、再度ステップS3にもどり(ステップS29においてNo、記号Aの矢印方向参照)、次のワーク2の良品と不良品の判別を行う。また、ワーク2の検査を終了する場合(ステップS29においてYes)、そのまま当該ワーク2の検査にて当該検査工程を終了する。
【0074】
上記したように本実施例にかかる画像検出装置6によれば、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することができる。具体的に、画像取得部61と作成部62と寸法算出部63とが設けられているので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することができる。その結果、ワークの良否判定を寸法により行うことができ、ワーク2の良否判定の精度を向上させることができる。
【0075】
これに対して、従来の画像検出装置では、検査装置で撮影したワークの画像を、画素を判定対象として解析し、傷や異物等がある不確定な部位を画素単位で判別してこの不確定な部位が何画素あるかその数によりワークの良否の判定を行う。そのため、上記した従来の画像検出装置では、画素自体を不確定な部分として検出対象としているので、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)を測定することができない。
【0076】
また、本実施例にかかる画像検出装置6によれば、作成部62により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位を抽出する抽出部64が設けられているので、差分画像のうち不確定な部位以外の正常な部位を省くことができる。さらに、不確定な部位のみをワーク2の良否判定の対象とすることができ、寸法算出部63による不確定な部位の寸法算出の精度を上げることができる。具体的に、抽出部64により不確定な部位のみを抽出し画像拡大することができ、不確定な部位の寸法算出の精度を上げることができる。
【0077】
また、撮影条件の可変としてワーク画像の輝度を可変させるので、ワーク画像への露光量が異なり、ワーク画像の色の濃淡を更に明確に図ることができ、複数段の階調により傷や異物などの不確定な部位とその他の部位との境界をさらに明確にすることができる。
【0078】
また、抽出部64では差分画像のうち最大寸法の不確定な部位を抽出することもできるので、ワーク2の良否判定の基準を最大寸法の不確定な部位としてワーク2の良品判定を容易に行うことができる。
【0079】
また、寸法算出部63により算出した寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワーク2の良否を判定する良否判定部65が設けられているので、ワーク2の良否判定の量産に好適である。
【0080】
また、不確定な部位の長手方向の長さ寸法を、ワーク2の良否判定の基準とすることができ、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)からワーク2の良品を判定するためにワーク2の良否判定の精度を向上させることができる。
【0081】
また、傷や異物などの不確定な部位の寸法は、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)であるので、不確定な部位の寸法を正確に測定することができ、不確定な部位の長手方向の長さ寸法を、ワーク2の良否判定の基準とすることができる。また、不確定な部位の存在によるワーク2の良否判定の基準の多様性に応えることができる。
【0082】
なお、本実施例では、傷や異物などの不確定な部位の寸法の対象を、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)としているが、これに限定されるものではなく、不確定な部位の寸法の対象を短手方向の長さ寸法(短径)としてもよく、また、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)との両寸法を対象とすることがより好適である。
【0083】
具体的に、寸法算出部63は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)を算出して、これら長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)から構成される矩形部位を算出することで、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を、ワーク2の良否判定の基準とすることができ、不確定な部位の存在によるワーク2の良否判定の基準の多様性に応えることができる。
【0084】
また、上記した寸法の具体例として、上記した不確定な部位の長手方向の長さ寸法を例えば20μm以上であるか否かを判断基準とし、不確定な部位の長手方向の長さ寸法が20μ以上の場合、その不確定な部位を有するワーク2を不良品としてもよい。
【0085】
また、上記した不確定な部位の短手方向の長さ寸法を例えば5μm以上であるか否かを判断基準とし、不確定な部位の短手方向の長さ寸法が5μm以上の場合、その不確定な部位を有するワーク2を不良品としてもよい。
【0086】
これら不確定な部位の長手方向や短手方向の長さ寸法を、画素単位で算出した場合、画素には長さに関する概念がなく画素面積から長さ寸法を算出しなければならないため、実際に長さ寸法を正確に測ることができない。例えば、画素における斜め方向の寸法を算出することができない。
【0087】
さらに、上記した不確定な部位の長手方向の長さ寸法が10μm以上のものが所定領域に密集しているか否かをワークの良否判定の判断基準としてもよい。
【0088】
また、上記したように、本実施例にかかる検査装置1によれば、本実施例にかかる画像検出装置6が直接接続されるので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することができ、上記した本実施例にかかる画像検出装置6による作用効果を有する。
【0089】
また、本実施例にかかる検査装置1によれば、ワーク2を保持部5などの保持機構で保持した状態であっても、誤認識なくワーク2の良否判定を行うことができる。
【0090】
特に、本実施例によれば、画像検出装置6が直接または間接的に接続され、撮影部4と照明部3とが保持部5に保持したワーク2を介して配されているので、保持部5に保持したワーク2を基準に、ワーク2に対して同一方向(同一側の位置)に撮影部4と照明部3とが設けられていない。そのため、ワーク2に照射した光の反射光(図1のニ点鎖線方向)や、ワーク2を保持する保持部5で反射した反射光が、撮影部4で撮影されることなく、ワーク2に付着したもしくは形成された全ての異物(傷やゴミやしみなど)を含む不確定な部位を発見することができる。
【0091】
また、本実施例によれば、保持部5に保持したワーク2を基準に、ワーク2に対して同一方向(同一側の位置)に撮影部4と照明部3とが設けられていないため、照明部3からの照明により保持部5が白く光るのを防止することができ、この保持部5の白発光による傷や異物などを含む不確定な部位との誤認識を防止することができる。
【0092】
また、照明部3の、撮影部4が配された側と対向する反対側の位置に、ワーク2に対して傾斜して配された防止板7が設けられ、貫通孔31を介して撮影部4と防止板7とが対面するので、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に撮影されるのを防ぐことができる。
【0093】
また、防止板7は黒板であるので、撮影部4における撮影エリア(視野)を黒にすることができる。
【0094】
また、光源部33は、複数のLEDであるので、照明寿命が長く、出力の低下がなく、安定した照明を行うことができる。
【0095】
また、撮影部4は赤色より短い波長の光の撮影を対象とするので、赤色のように波長が長いことで撮影部4による撮影画像の傷や異物などを含む不確定な部位の輪郭が曖昧になる(ぼやける)のを抑制して、異物を明確に撮影部4により撮影することができる。
【0096】
また、本実施例では、異物の判別について、長径20μm以上の場合、異物と判別するので、画素による異物判別ではなく傷や異物などを含む不確定な部位の寸法により異物を判別することで、異物の判別の精度を高めることができる。
【0097】
また、光源部33は、保持部5に保持したワーク2に対して角度を有した指向性の光を照射するので、照明部3からの光が撮影部4に直接照射することはなくワーク2に光を当ててもワーク2自体を光らせるものでない。そのため、ワーク2に異物が存在する場合のみ、傷や異物などを含む不確定な部位を光らせることができ、異物の確認を容易に行うことができる。
【0098】
また、撮影部4での撮影はモノクロ撮影であり、撮影部4は単波長の光の撮影を対象とするので、モノクロ撮影であっても傷や異物などを含む不確定な部位の寸法を明確にすることができ、設備コストを低減させることができる。
【0099】
なお、本実施例では、可変ワーク画像を、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像としているが、これに限定されるものではなく、可変ワーク画像は、ワーク画像に対してワークを撮影する撮影条件を可変させて画像取得部61で取得し、ワーク画像に対して画像可変させた画像であってもよい。なお、ここでいう撮影条件の可変とは、ワーク画像の焦点を変更する(ずらす)ことによる「ぼかし」のことをいう。
【0100】
また、本実施例では、検査対象となるワーク2として光学部品であるフィルタに本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、本実施例にかかる透過方式の検査装置1において検査可能なものであれば、他の光学部品(例えば、光学レンズ)であってもよい。
【0101】
また、本実施例では、検査対象となるワーク2として光学部品であるフィルタに本発明を適用したが、光学部品に限定されるものではなく、本実施例にかかる透過方式の検査装置1において検査可能な透光性材料であれば、例えば水晶振動子に用いる水晶ウエハや、電子部品のパッケージなど他の部品(ワーク)であってもよく、検査対象となるワーク2は圧電材料もしくはレンズ系材料であることが好ましい。このように、検査対象となるワーク2が透光性材料とされることで、本発明によれば、ワーク2の表面だけでなく、中身に傷などがあった場合その傷を検出することも可能である。
【0102】
また、本実施例では、検査装置1に保持部5が設けられているが、保持部の形態はこれに限定されるものではなく、当該検査装置1に保持部5を固定して設けずに、当該検査装置1にワーク2を搬送する搬送装置に設けた保持部であってもよい。例えば、当該検査装置1をワーク2の製造装置の一つとして設けたシステムを構築し、このシステムにおいて、ワーク2を、当該検査装置1を含む複数の製造装置に搬送するための搬送装置に設けた保持部であってもよい。すなわち、ワーク2を保持する保持部5が、照明部3と撮影部4との間に固定もしくは移動可能に配されていればよい。
【0103】
また、本実施例では、撮影部4に画像検出装置6が有線にて直接接続されているが、これに限定されるものではなく、撮影部4に画像検出装置6が無線にて間接的に接続されていてもよい。
【0104】
また、本実施例では、様々なサイズのワーク2の検査を可能とするために好適な例としてカメラにシームレスズームレンズを用いているが、これに限定されるものではなく、単焦点のレンズを用いてもよい。
【0105】
また、本実施例では、様々なサイズのワーク2の検査に対応させるためにカメラにシームレスズームレンズを用いているが、これに限定されるものではなく、単に予め設定された倍率のズームレンズを用いてもよい。
【0106】
また、本実施例では、設備コストを低減させることを目的としてモノクロ撮影を行うカメラを用いているが、これに限定されるものではなく、カラー撮影を行うカメラを用いてもよい。
【0107】
また、本実施例では、保持部5は、ワーク2をその側面を圧接することでワーク2を固定保持しているが、これに限定されるものではなく、ワーク2を固定保持できる機構であれば、例えば、ワーク2の外周側面を挟持するものであってもよい。
【0108】
また、本実施例では、防止板7に光沢のある黒板を用いているが、これに限定されるものではなく、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように設定されたものであればよく、例えば、防止板7周りを暗視野環境にして防止板7に鏡板を用いてもよい。また、本実施例では、防止板7は、ワーク2を保持した保持部5に対して約45度傾斜して配しているが、これに限定されるものではなく、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように傾斜角度を設定すればよい。
【0109】
また、本実施例では、防止板7に、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように傾斜角度を設定した黒板を用いているが、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように光を吸収するものであってもよい。
【0110】
また、本実施例では、複数のLEDが上下2段複数列に配されて構成されているが、LEDの配列はこれに限定されるものではなく、平面視円環状の光源部33であってLEDから照射する光が直接撮影部4のカメラのレンズに入らないようにLEDからの指向性を設定すれば他の形態(他の個数や配置)であってもよい。
【0111】
また、本実施例では、光源部33にLEDを用いた照明部3を検査装置1に設けているが、光源部33はこれに限定されるものではなく、例えば、図16に示すような光源部33にハロゲンを用いた照明部3であってもよい。
【0112】
図16に示す照明部3は、光源部33にファイバガイド(図示省略)を使って光を照射するハロゲン(図示省略)を用いている。また、この照明部3には、ハロゲンからの光をファイバガイドを介してワーク2に照射するための光の経路上であって照明部3の筐体に円環状の間隙35が形成されている。なお、この図16に示す照明部3に、図2に示す拡散フィルタ34を設けてもよい。
【0113】
また、この図16に示す照明部3では、間隙35もしくはハロゲンからの光の経路上に、光源部33からの光を赤より短い波長の光に選別(フィルタリング)するフィルタ(図示省略)が設けられている。この場合、赤色を含む可視光線を発するハロゲンであっても、波長を選別することで異物の外形を明確にすることができる。さらに、可視光線のうち赤色のように波長が長いことで撮影部4による撮影画像の異物の輪郭が曖昧になる(ぼやける)のを抑制して、異物を明確に撮影部4により撮影することができる。なお、本例では、間隙35もしくはハロゲンからの光の経路上にフィルタが設けられているが、フィルタの設置位置は、これに限定されるものではなく、光が撮影部4に入る前であればよいので、撮影部4(例えばカメラのレンズ直前)にフィルタを設けてもよい。
【0114】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明にかかる画像検出装置および検査装置は、光学材料や電子部品などの透光性材料の検査に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、本実施例にかかる検査装置と画像検出装置との関係を示した概略構成図である。
【図2】図2は、本実施例にかかる照明部の概略構成斜視図である。
【図3】図3は、本実施例にかかる画像検出装置の、不確定な部位があるか否かを光を用いた画像処理により検出するフローチャートである。
【図4】図4は、図3に示すフローチャートのステップS3におけるワークの画像を示す図である。
【図5】図5は、図3に示すフローチャートのステップS4におけるワークの画像を示す図である。
【図6】図6は、図3に示すフローチャートのステップS4におけるワークの画像を示す図である。
【図7】図7は、図3に示すフローチャートのステップS6におけるワークの画像を示す図である。
【図8】図8は、図3に示すフローチャートのステップS7におけるワークの画像を示す図である。
【図9】図9は、図3に示すフローチャートのステップS8におけるワークの画像を示す図である。
【図10】図10は、図3に示すフローチャートのステップS9におけるワークの画像を示す図である。
【図11】図11は、図3に示すフローチャートのステップS10におけるワークの画像を示す図である。
【図12】図12は、図11において選択したブロッブの拡大図である。
【図13】図13は、図3に示すフローチャートのステップS19におけるワークの画像を示す図である。
【図14】図14は、図13においてブロッブの拡大図である。
【図15】図15は、図3に示すフローチャートのステップS28におけるワークの画像を示す図である。
【図16】図16は、本実施例の他の例にかかる照明部の概略構成斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
1 検査装置
2 ワーク
3 照明部
31 貫通孔
32 内壁面
33 光源部
35 間隙
4 撮影部
5 保持部
6 画像検出装置
61 画像取得部
62 作成部
63 寸法算出部
64 抽出部
65 良否判定部
66 表示部
7 防止板
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象となるワークの異物の大きさを測定する画像検出装置および、検査対象となるワークの検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象となるワークの外観検査を行う場合、目視によりそのワークの良否判定を行なっていた。そのため、作業者の熟練度によって目視による良否判定の基準が変わってしまい、ワークの良否判断にバラツキが生じていた。
そこで、現在、画像処理技術の進歩により、ワークを撮影し、撮影された画像を解析することによりワークの良否を判定する検査装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の検査装置は、ワーク表面に異物(ゴミや汚れなど)や傷等があるか否かを検査する装置であり、ワーク表面に光を照明し反射させて撮影部でその反射した光を撮影する。
【0004】
具体的に、特許文献1に記載の検査装置によれば、ワーク表面上において傷や異物等がない部位では光が反射し、傷や異物等がある不確定な部位では光が乱反射する。したがって、一定の照明下でワークの撮影を行うと、傷や異物等がある不確定な部位と、傷や異物等がない部位とで、ワーク表面の明るさが異なって撮影され、この明るさの違いによりワークの良否判定を行う。
【特許文献1】特開2005−201880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1に記載の検査装置で用いられる情報処理である従来の画像検出装置は、検査装置で撮影したワークの画像を、画素を判定対象として解析し、傷や異物等がある不確定な部位を画素単位で判別してこの不確定な部位が何画素あるかその数によりワークの良否の判定を行うものである。
【0006】
しかしながら、上記した従来の画像検出装置では、画素自体を不確定な部分として検出対象としているので、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)を測定することができない。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定する画像検出装置および検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる画像検出装置は、検査対象となるワークに対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出する画像検出装置において、外部撮影機器により撮影したワークのワーク画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部と、前記作成部により作成した差分画像から傷や異物などの不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部と、が設けられたことを特徴とする。なお、ここでいう可変ワーク画像は、前記画像取得部で取得したワーク画像から、前記作成部でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像や、前記可変ワーク画像は、ワーク画像に対してワークを撮影する撮影条件を可変させて前記画像取得部で取得し、ワーク画像に対して画像可変させた画像のことをいう。
【0009】
本発明によれば、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となる。
【0010】
具体的に、前記画像取得部と前記作成部と前記寸法算出部とが設けられているので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となる。その結果、ワークの良否判定を寸法により行うことが可能となり、ワークの良品判定の精度を向上させることが可能となる。
【0011】
これに対して、従来の画像検出装置では、検査装置で撮影したワークの画像を、画素を判定対象として解析し、傷や異物等がある不確定な部位を画素単位で判別してこの不確定な部位が何画素あるかその数によりワークの良否の判定を行う。そのため、上記した従来の画像検出装置では、画素自体を不確定な部分として検出対象としているので、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)を測定することができない。
【0012】
前記構成において、前記作成部により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位のみを抽出する抽出部が設けられてもよい。
【0013】
この場合、前記抽出部が設けられるので、差分画像のうち不確定な部位以外の正常な部位を省くことが可能となり、不確定な部位をワークの良否判定の対象とすることが可能となり、前記寸法算出部による不確定な部位の寸法算出の精度を上げることが可能となる。具体的に、前記抽出部により不確定な部位を抽出し画像拡大することが可能となり、不確定な部位の寸法算出の精度を上げることが可能となる。
【0014】
前記構成において、前記抽出部では、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位を抽出してもよい。
【0015】
この場合、差分画像のうち最大寸法の不確定な部位を抽出するので、ワークの良否判定の基準を最大寸法の不確定な部位としてワークの良品判定を容易に行うことが可能となる。
【0016】
前記構成において、傷や異物などの不確定な部位の寸法は、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)の少なくとも1つの径であってもよい。
【0017】
この場合、不確定な部位の寸法を正確に測定することが可能となり、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法の少なくとも1つの径を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となる。また、不確定な部位の存在によるワークの良否判定の基準の多様性に応えることが可能となる。
【0018】
前記構成において、前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)を算出してもよい。
【0019】
この場合、不確定な部位の長手方向の長さ寸法を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となり、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)からワークの良品を判定するためにワークの良否判定の精度を向上させることが可能となる。
【0020】
前記構成において、前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)を算出して、これら長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)から構成される矩形部位を算出してもよい。
【0021】
この場合、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となり、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)からワークの良品を判定するためにワークの良否判定の精度を向上させることが可能となる。また、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を、ワークの良否判定の基準とすることが可能となり、不確定な部位の存在によるワークの良否判定の基準の多様性に応えることが可能となる。
【0022】
前記構成において、ワークは、透光性材料であってもよい。具体的に、ワークに透光性材料を用いることが好ましく、例えば圧電材料もしくはレンズ系材料であることが好適である。
【0023】
前記構成において、前記寸法算出部により算出した前記寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワークの良否を判定する良否判定部が設けられてもよい。
【0024】
この場合、ワークの良否判定の量産に好適である。
【0025】
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる検査装置は、検査対象となるワークを検査する検査装置において、ワークを照明する円環状の光源部を有する照明部と、ワークを撮影する撮影部とが設けられ、上記した本発明にかかる画像検出装置が、直接または間接的に接続され、ワークを保持する保持部が、前記照明部と撮影部との間に固定もしくは移動可能に配され、前記照明部の前記光源部からワークに照射した光の照射方向上から外れた位置に、前記撮影部が配され、ワークに傷や異物などの不確定な部位がある場合、前記光源部からワークに照射した光は、その不確定な部位によりその光路が変更されて前記撮影部にて撮影されることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、上記した本発明にかかる画像検出装置が、直接または間接的に接続されるので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となり、上記した本発明にかかる画像検出装置による作用効果を有する。
【0027】
また、本発明によれば、ワークを保持部などの保持機構で保持した状態であっても、誤認識なくワークの良否判定を行うことが可能となる。特に、本発明によれば、前記画像検出装置が直接または間接的に接続され、前記撮影部と前記照明部とが前記保持部に保持したワークを介して配されているので、前記保持部に保持したワークを基準に、ワークに対して同一方向(同一側の位置)に前記撮影部と前記照明部とが設けられていない。そのため、ワークに照射した光の反射光や、ワークを保持する前記保持部で反射した反射光が、前記撮影部で撮影されることなく、ワークに付着したもしくは形成された全ての異物(ゴミやしみなど)や傷などを含む不確定な部位を発見することが可能となる。また、本発明によれば、前記保持部に保持したワークを基準に、ワークに対して同一方向(同一側の位置)に前記撮影部と前記照明部とが設けられていないため、前記照明部からの照明により前記保持部が白く光るのを防止することが可能となり、この保持部の白発光による傷や異物などを含む不確定な部位との誤認識を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる画像検出装置および検査装置によれば、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、検査対象となるワークとして光学部品であるフィルタに本発明を適用した場合を示す。
【実施例】
【0030】
本実施例にかかる検査装置1は、透過方式を採用しており、検査対象となるワークに異物があるか否かの検査を行うものである。
【0031】
具体的に、検査装置1には、図1に示すように、ワーク2を照明する照明部3と、ワーク2を撮影する撮影部4と、ワーク2を保持する保持部5とが設けられ、撮影部4に情報処理装置である画像検出装置6が有線にて接続されている。
【0032】
照明部3は、図1,2に示すように、貫通孔31を有する筒状体からなり、貫通孔31のうち、その内壁面32の平面視上方部分が、平面視下方に向けて勾配を有するテーパー状に成形されている。このテーパー成形された内壁面32の平面視上方部分には、平面視円環状の光源部33が設けられ、光源部33は、複数のLEDが上下2段複数列に配されて構成される。また、複数のLEDは、それぞれテーパー成形された傾斜角度に対して垂直方向に光を照射する(図1の一点鎖線方向への照射)。すなわち、光源部33は、保持部5に保持したワーク2に対して角度を有した指向性(図1の一点鎖線方向)の光を照射する。
【0033】
また、この照明部3には、その光源部33から照射する光の照射方向前面であって、テーパー状に成形された内壁面32の平面視上部分と面するように、光の照射を拡散する拡散フィルタ34が設けられている(取り付けられている)。この拡散フィルタ34は、平面視外周縁と平面視内周縁を有する円盤状体からなる。このように、拡散フィルタ34が取り付けられることで、ワーク2に傷や異物などを含む不確定な部位がある場合、その不確定な部位への光の照射によるギラツキを抑えることができ、その結果、不確定な部位の外形(輪郭)を明瞭にすることができる。
【0034】
撮影部4は、モノクロ撮影を行うカメラが設けられ、このカメラはシームレスズームレンズを用いている。そして、この撮影部4は、赤色より短い波長の光の撮影を対象とし、特に単波長の光の撮影を対象とすることが望まれる。なお、本実施例では青色の単波長の光を撮影の対象としている。
【0035】
保持部5は、検査装置1に固定され、照明部3と撮影部4との間に配されている。この保持部5は、ワーク2をその側面を圧接することでワーク2を固定保持するものである。
【0036】
画像検出装置6には、撮影部4により撮影したワーク2のワーク画像を取得する画像取得部61と、画像取得部61で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とを差分比較してワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部62と、作成部62により作成した差分画像から傷や異物などの不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部63と、作成部62により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位を抽出する抽出部64と、寸法算出部63により算出した寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワーク2の良否を判定する良否判定部65と、ワーク画像などの画像を表示する表示部66とが設けられている。このうち、作成部62と寸法算出部63と抽出部64と良否判定部65とは、画像検出装置6の画像処理を行う画像処理部(図示省略)の各構成として設けられている。
【0037】
なお、ここでいう抽出部64では、画像上の複数の不確定な部位の抽出と、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位のみの抽出を行う(下記参照)。
【0038】
また、ここでいう可変ワーク画像は、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像のことをいう。このワーク画像を可変させる画像条件として、例えばワーク画像の焦点を変更することによる「ぼかし」などが挙げられる。
【0039】
この画像検出装置6によれば、撮影部4で撮影したワークの画像(本発明でいうワーク画像)を演算処理し、ワーク2に異物があるか否かの検査を行うだけでなく、ワーク2に何か物(不確定な部位)が写っている場合、この不確定な部位が予め設定した寸法以上であるか否かを計測し、この計測の結果、予め設定した寸法以上である場合、この不確定な部位を異物として判別し、判別された異物を付着もしくは形成したワーク2を不良品と判別する。なお、本実施例では、異物と判別する基準の寸法を、長径20μm以上とし、長径20μm以上と計測した場合、その不確定な部位を異物と判別する。
【0040】
上記した検査装置1では、保持部5に保持したワーク2が照明部3と撮影部4との間に配されている。また、照明部3の光源部33からワーク2に照射した光の照射方向から外れた位置に、撮影部4が配されている。
【0041】
また、検査装置1には、照明部3の、平面視下方に、ワーク2を保持した保持部5に対して傾斜して(具体的に、本実施例では約45度傾斜して)配された防止板7が設けられている。すなわち、この防止板7は、照明部3の撮影部4が配された側と対向する反対側の位置に設けられている。この防止板7は、光沢のある黒板からなり、照明部3の貫通孔31を介して撮影部4と対面する。この防止板7によれば、ワーク2やワーク2を保持する保持部5において反射した光(図1の二点鎖線方向)を撮影部4以外の方向に導く(反射させる)。
【0042】
上記した構成を有する検査装置1では、保持部5に保持されたワーク2に傷や異物などを含む不確定な部位がある場合、光源部33からワーク2に照射(照明)した光は、傷や異物などを含む不確定な部位によりその光路が変更されて撮影部4にて撮影され、それ以外の光は、撮影部4に照射することなく撮影部4のカメラに写らない。ここでいう光路の変更とは、光が傷や異物などを含む不確定な部位により屈折したり、反射したりすることをいう。
【0043】
なお、上記した検査装置1では、撮影部4(カメラのレンズ端面)からワークまでの最短距離が90mmに設定され、ワーク2から照明部3の光源部33までの最短距離が30mmに設定されている。この設定は、傷や異物などを含む不確定な部位がないワーク2を介した照明部3の光源部33からの光の照明方向(射出方向)に、撮影部4のカメラが存在しない設定であり、この数値は本実施例に限るものであり、本設定に限定されるものではない。すなわち、傷や異物などを含む不確定な部位がないワーク2に、照明部3の光源部33からの光を照明した場合、撮影部4のカメラに光が入らない設定であればよい。
【0044】
次に、上記した画像検出装置6において、検査対象となるワーク2に対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出する方法を図1に示す画像検出装置6の概略ブロック図と、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0045】
まず、ワーク2の画像(以下、ワーク画像とする)を取り込む準備を行う(ステップS1の初期設定)。
【0046】
具体的に、後述する検査エリアの設定時に表示するワーク画像およびワーク画像の取り込み位置を設定する(ワーク画像取込初期設定)。
【0047】
ワーク画像取込初期設定を終えると、撮影部4(カメラ)の撮影条件(パラメータ)の初期設定を行う(カメラ初期設定)。具体的に、シャッタースピードやカメラ感度の設定等を行う。このカメラ初期設定には、レンズのピント調整や絞り調整やズーム率の調整や照明の明るさの調整などが含まれる。
【0048】
ワーク画像取込初期設定とカメラ初期設定とを終えると、次にワーク2の撮影条件の設定を行う(撮影条件設定)。具体的に、この撮影条件設定には、撮影対象物から撮影部4までの実距離や、傾斜角度や、一画素に対応する寸法などの実寸に関する設定などが含まれる。
【0049】
撮影条件を設定した後に、撮影部4にてワーク2の撮影を行ない、撮影したワーク画像を表示部66で表示する(図4参照)。表示部66で表示したワーク画像のうち、検査を行ないたい検査エリアを設定する(ステップS2の検査エリア設定)。具体的に、検査エリアの設定について、まず表示部66で表示する画像上において検知エリアの左上点を設定し、その後に右下点を設定して左上点と右下点を対角点とする矩形の検知エリアを設定する(図5参照)。この画像検出装置6では、設定する検知エリアについて、任意のポイントに移動させたり、任意の方向に回転させる設定が付加されている。
【0050】
検知エリアを設定した後に、撮影部4により撮影し表示部66で表示しているワーク画像を取得し(図4、ステップS3)、取得したワーク画像のうち、ステップS3において設定した検知エリアをトリミングし(図5)、トリミングした検知エリアのトリミング画像を表示する(図6、ステップS4)。
【0051】
ステップS4においてワーク画像からトリミングしたトリミング画像に対して、トリミング画像(ワーク画像)を可変させる画像条件に基づいて画像可変させた可変ワーク画像を取得する(ステップS5)。なお、ここでいう可変ワーク画像とは、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像のことをいう。具体的に、画像検出装置6の作成部62において画像処理を行い、トリミング画像をぼかして可変ワーク画像を作成する(図7)。つまり、本実施例でいうワーク画像を可変させるとは、ワーク画像をぼかすことをいう。
【0052】
ステップS4においてトリミングした検知エリアのワーク画像(図6に示すトリミング画像)と、ステップS5において作成した可変ワーク画像(図7)とを作成部62で差分比較して差分画像を作成する(図8、ステップS6)。
【0053】
ステップS6において作成した差分画像をサブピクセルで2値化処理を行ない(ステップS7)、2値化したワーク画像をラベリングしてブロッブを表示する(図9、ステップS8)。ここでいうブロッブとは、図9に示す白い外周縁で囲んだものをいい、抽出部64による抽出対象(傷や異物などの不確定な部位)となる部位のことをいう。
【0054】
ステップS8において表示したブロッブについて、予め設定した一定面積以上のブロッブがあるか否かを判別し、抽出部64により一定面積以上のブロッブを選定して抽出する(図10、ステップS9)。なお、ステップS9では、抽出部64は、ワーク画像上の複数の不確定な部位の抽出を行う。
【0055】
ステップS9において抽出したブロッブから任意のブロッブを一つ選択する(図11,12の赤い外周縁でブロッブを囲んだもの参照、ステップS10)。図12は、図11において選択したブロッブの拡大図である。
【0056】
ステップS10において選択したブロッブ内の全画素における最大輝度を検出し(ステップS11)、その検出した最大輝度が予め設定した輝度以上か否かを判別する(ステップS12)。
【0057】
ステップS12において検出した最大輝度が予め設定した輝度以上の場合(ステップS12においてYes)、再度撮影部4により撮影条件(本実施例では輝度)を可変させてワーク画像を撮影する。具体的に、輝度を下げるために撮影部4のシャッタスピードを短く設定して(ステップS13)、そのブロッブを含むワーク画像(具体的に上記したトリミング画像と同じ検知エリアのワーク画像)を再度取り込む(ステップS14)。
【0058】
そして、ステップS14において取り込んだブロッブ内の全画素における最大輝度を検出し、その検出した最大輝度が予め設定した輝度未満か否かを調べる(ステップS15)。
【0059】
ステップS15において検出した最大輝度が予め設定した輝度未満でない場合(ステップS15においてNo、記号Cの矢印方向参照)、輝度を下げるために撮影部4のシャッタスピードをさらに短く設定して(ステップS13)、そのブロッブを含むワーク画像(具体的に上記したトリミング画像と同じ検知エリアのワーク画像)を再度取り込む(ステップS14)。
【0060】
そして、再度ステップS14において取り込んだブロッブ内の全画素における最大輝度を検出し、その検出した最大輝度が予め設定した輝度未満か否かを調べる(ステップS15)。
【0061】
なお、上記した本実施例のステップS14では、上記したトリミング画像と同じ検知エリアのワーク画像を取り込んでいるが、これに限定されるものではなく、ワーク画像を取り込み、取り込んだワーク画像に対してトリミングを行なってもよい。
【0062】
ステップS15において検出した最大輝度が予め設定した輝度未満である場合(ステップS15においてYes)、ブロッブを含むトリミング画像に対して、トリミング画像(ワーク画像)を可変させる画像条件に基づいて画像可変させた可変ワーク画像を取得する(ステップS16)なお、ここでいう可変ワーク画像とは、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像のことをいう。具体的に、画像検出装置6の作成部62において画像処理を行い、トリミング画像(ワーク画像)をぼかして可変ワーク画像を作成する。つまり、本実施例でいうワーク画像を可変させるとは、ワーク画像をぼかすことをいう。
【0063】
ステップS14において取得したワーク画像(トリミング画像)と、ステップS16において作成した可変ワーク画像とを作成部62で差分比較して差分画像を作成する(ステップS17)。
【0064】
ステップS17において作成した差分画像をサブピクセルで2値化処理を行ない(ステップS18)、2値化したワーク画像をラベリングしてブロッブを表示する(図13,14、およびステップS19)。図14は、図13においてブロッブの拡大図である。
【0065】
ステップS19においてワーク画像に表示したブロッブに対して、最大面積を有するブロッブの寸法を算出する(ステップS20)。
【0066】
また、ステップS12において検出した最大輝度が予め設定した輝度未満の場合(ステップS12においてNo、記号Dの矢印方向参照)、ブロッブの寸法を算出する(ステップS20)。なお、この場合、ステップS3で取得しステップS4でトリミングしたワーク画像(トリミング画像)を用いる。
【0067】
具体的に、ブロッブを囲む最小の矩形部位(具体的に長方形)を算出し、寸法算出部63によりこの矩形部位(長方形)の寸法を算出する。そして、この長方形の長手方向の長さ(長辺)の寸法を長径とし、短手方向の長さ(短辺)の寸法を短径として取得する(ステップS21)。なお、本実施例では、寸法算出部63により、最大面積を有するブロッブの長径は39.78μmと算出され、短径は18.16μmと算出されている。
【0068】
そして、他のブロッブについても長方形を算出するためにステップS10〜ステップS21を繰り返し(ステップS22においてNo、記号Bの矢印方向参照)、全てのブロッブについて処理を終えると(ステップS22においてYes)、全てのブロッブを表示し、かつ全てのブロッブのうち長径が最大となるブロッブ(最大面積を有するブロッブ)を選択し、他のブロッブとは異なる色(本実施例では黄色)で表示する(ステップS23)。
【0069】
そして、ステップS23において表示したブロッブを囲む最小の長方形を表示する(ステップS24)とともに、長方形の各辺の中点を異なる色(本実施例では青色)で表示する(ステップS25)。なお、ステップS23〜ステップS25では、抽出部64は、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位のみの抽出を行う。
【0070】
ステップS25において青色で表示した矩形(長方形)が、良否判定部65により予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワーク2の良否を判定する。具体的に、ステップS25において青色で表示した長方形の長径が20μm未満か否かを、良否判定部65により判別する(ステップS26)。
【0071】
そして、長方形の長径が20μm未満である場合(ステップS26でYes)、そのブロッブを含むワーク2は良品であるとして表示部66でOK表示(長径および短径も表示)を行う(ステップS27)。
【0072】
また、長方形の長径が20μm以上である場合(ステップS26でNo)、そのブロッブを含むワーク2は不良品であるとして表示部66でNG表示(長径および短径も表示)を行う(ステップS28)。
【0073】
ステップS26〜ステップS28において不確定な部位の有無によりワーク2の良品と不良品を判別した後、次に検査を行うワーク2がある場合、再度ステップS3にもどり(ステップS29においてNo、記号Aの矢印方向参照)、次のワーク2の良品と不良品の判別を行う。また、ワーク2の検査を終了する場合(ステップS29においてYes)、そのまま当該ワーク2の検査にて当該検査工程を終了する。
【0074】
上記したように本実施例にかかる画像検出装置6によれば、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することができる。具体的に、画像取得部61と作成部62と寸法算出部63とが設けられているので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することができる。その結果、ワークの良否判定を寸法により行うことができ、ワーク2の良否判定の精度を向上させることができる。
【0075】
これに対して、従来の画像検出装置では、検査装置で撮影したワークの画像を、画素を判定対象として解析し、傷や異物等がある不確定な部位を画素単位で判別してこの不確定な部位が何画素あるかその数によりワークの良否の判定を行う。そのため、上記した従来の画像検出装置では、画素自体を不確定な部分として検出対象としているので、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)を測定することができない。
【0076】
また、本実施例にかかる画像検出装置6によれば、作成部62により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位を抽出する抽出部64が設けられているので、差分画像のうち不確定な部位以外の正常な部位を省くことができる。さらに、不確定な部位のみをワーク2の良否判定の対象とすることができ、寸法算出部63による不確定な部位の寸法算出の精度を上げることができる。具体的に、抽出部64により不確定な部位のみを抽出し画像拡大することができ、不確定な部位の寸法算出の精度を上げることができる。
【0077】
また、撮影条件の可変としてワーク画像の輝度を可変させるので、ワーク画像への露光量が異なり、ワーク画像の色の濃淡を更に明確に図ることができ、複数段の階調により傷や異物などの不確定な部位とその他の部位との境界をさらに明確にすることができる。
【0078】
また、抽出部64では差分画像のうち最大寸法の不確定な部位を抽出することもできるので、ワーク2の良否判定の基準を最大寸法の不確定な部位としてワーク2の良品判定を容易に行うことができる。
【0079】
また、寸法算出部63により算出した寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワーク2の良否を判定する良否判定部65が設けられているので、ワーク2の良否判定の量産に好適である。
【0080】
また、不確定な部位の長手方向の長さ寸法を、ワーク2の良否判定の基準とすることができ、不確定な部分の実際の大きさ(寸法)からワーク2の良品を判定するためにワーク2の良否判定の精度を向上させることができる。
【0081】
また、傷や異物などの不確定な部位の寸法は、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)であるので、不確定な部位の寸法を正確に測定することができ、不確定な部位の長手方向の長さ寸法を、ワーク2の良否判定の基準とすることができる。また、不確定な部位の存在によるワーク2の良否判定の基準の多様性に応えることができる。
【0082】
なお、本実施例では、傷や異物などの不確定な部位の寸法の対象を、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)としているが、これに限定されるものではなく、不確定な部位の寸法の対象を短手方向の長さ寸法(短径)としてもよく、また、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)との両寸法を対象とすることがより好適である。
【0083】
具体的に、寸法算出部63は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)を算出して、これら長手方向の長さ寸法(長径)と短手方向の長さ寸法(短径)から構成される矩形部位を算出することで、不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を、ワーク2の良否判定の基準とすることができ、不確定な部位の存在によるワーク2の良否判定の基準の多様性に応えることができる。
【0084】
また、上記した寸法の具体例として、上記した不確定な部位の長手方向の長さ寸法を例えば20μm以上であるか否かを判断基準とし、不確定な部位の長手方向の長さ寸法が20μ以上の場合、その不確定な部位を有するワーク2を不良品としてもよい。
【0085】
また、上記した不確定な部位の短手方向の長さ寸法を例えば5μm以上であるか否かを判断基準とし、不確定な部位の短手方向の長さ寸法が5μm以上の場合、その不確定な部位を有するワーク2を不良品としてもよい。
【0086】
これら不確定な部位の長手方向や短手方向の長さ寸法を、画素単位で算出した場合、画素には長さに関する概念がなく画素面積から長さ寸法を算出しなければならないため、実際に長さ寸法を正確に測ることができない。例えば、画素における斜め方向の寸法を算出することができない。
【0087】
さらに、上記した不確定な部位の長手方向の長さ寸法が10μm以上のものが所定領域に密集しているか否かをワークの良否判定の判断基準としてもよい。
【0088】
また、上記したように、本実施例にかかる検査装置1によれば、本実施例にかかる画像検出装置6が直接接続されるので、傷や異物等がある不確定な部位の実際の大きさ(寸法)を測定することができ、上記した本実施例にかかる画像検出装置6による作用効果を有する。
【0089】
また、本実施例にかかる検査装置1によれば、ワーク2を保持部5などの保持機構で保持した状態であっても、誤認識なくワーク2の良否判定を行うことができる。
【0090】
特に、本実施例によれば、画像検出装置6が直接または間接的に接続され、撮影部4と照明部3とが保持部5に保持したワーク2を介して配されているので、保持部5に保持したワーク2を基準に、ワーク2に対して同一方向(同一側の位置)に撮影部4と照明部3とが設けられていない。そのため、ワーク2に照射した光の反射光(図1のニ点鎖線方向)や、ワーク2を保持する保持部5で反射した反射光が、撮影部4で撮影されることなく、ワーク2に付着したもしくは形成された全ての異物(傷やゴミやしみなど)を含む不確定な部位を発見することができる。
【0091】
また、本実施例によれば、保持部5に保持したワーク2を基準に、ワーク2に対して同一方向(同一側の位置)に撮影部4と照明部3とが設けられていないため、照明部3からの照明により保持部5が白く光るのを防止することができ、この保持部5の白発光による傷や異物などを含む不確定な部位との誤認識を防止することができる。
【0092】
また、照明部3の、撮影部4が配された側と対向する反対側の位置に、ワーク2に対して傾斜して配された防止板7が設けられ、貫通孔31を介して撮影部4と防止板7とが対面するので、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に撮影されるのを防ぐことができる。
【0093】
また、防止板7は黒板であるので、撮影部4における撮影エリア(視野)を黒にすることができる。
【0094】
また、光源部33は、複数のLEDであるので、照明寿命が長く、出力の低下がなく、安定した照明を行うことができる。
【0095】
また、撮影部4は赤色より短い波長の光の撮影を対象とするので、赤色のように波長が長いことで撮影部4による撮影画像の傷や異物などを含む不確定な部位の輪郭が曖昧になる(ぼやける)のを抑制して、異物を明確に撮影部4により撮影することができる。
【0096】
また、本実施例では、異物の判別について、長径20μm以上の場合、異物と判別するので、画素による異物判別ではなく傷や異物などを含む不確定な部位の寸法により異物を判別することで、異物の判別の精度を高めることができる。
【0097】
また、光源部33は、保持部5に保持したワーク2に対して角度を有した指向性の光を照射するので、照明部3からの光が撮影部4に直接照射することはなくワーク2に光を当ててもワーク2自体を光らせるものでない。そのため、ワーク2に異物が存在する場合のみ、傷や異物などを含む不確定な部位を光らせることができ、異物の確認を容易に行うことができる。
【0098】
また、撮影部4での撮影はモノクロ撮影であり、撮影部4は単波長の光の撮影を対象とするので、モノクロ撮影であっても傷や異物などを含む不確定な部位の寸法を明確にすることができ、設備コストを低減させることができる。
【0099】
なお、本実施例では、可変ワーク画像を、画像取得部61で取得したワーク画像から、作成部62でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像としているが、これに限定されるものではなく、可変ワーク画像は、ワーク画像に対してワークを撮影する撮影条件を可変させて画像取得部61で取得し、ワーク画像に対して画像可変させた画像であってもよい。なお、ここでいう撮影条件の可変とは、ワーク画像の焦点を変更する(ずらす)ことによる「ぼかし」のことをいう。
【0100】
また、本実施例では、検査対象となるワーク2として光学部品であるフィルタに本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、本実施例にかかる透過方式の検査装置1において検査可能なものであれば、他の光学部品(例えば、光学レンズ)であってもよい。
【0101】
また、本実施例では、検査対象となるワーク2として光学部品であるフィルタに本発明を適用したが、光学部品に限定されるものではなく、本実施例にかかる透過方式の検査装置1において検査可能な透光性材料であれば、例えば水晶振動子に用いる水晶ウエハや、電子部品のパッケージなど他の部品(ワーク)であってもよく、検査対象となるワーク2は圧電材料もしくはレンズ系材料であることが好ましい。このように、検査対象となるワーク2が透光性材料とされることで、本発明によれば、ワーク2の表面だけでなく、中身に傷などがあった場合その傷を検出することも可能である。
【0102】
また、本実施例では、検査装置1に保持部5が設けられているが、保持部の形態はこれに限定されるものではなく、当該検査装置1に保持部5を固定して設けずに、当該検査装置1にワーク2を搬送する搬送装置に設けた保持部であってもよい。例えば、当該検査装置1をワーク2の製造装置の一つとして設けたシステムを構築し、このシステムにおいて、ワーク2を、当該検査装置1を含む複数の製造装置に搬送するための搬送装置に設けた保持部であってもよい。すなわち、ワーク2を保持する保持部5が、照明部3と撮影部4との間に固定もしくは移動可能に配されていればよい。
【0103】
また、本実施例では、撮影部4に画像検出装置6が有線にて直接接続されているが、これに限定されるものではなく、撮影部4に画像検出装置6が無線にて間接的に接続されていてもよい。
【0104】
また、本実施例では、様々なサイズのワーク2の検査を可能とするために好適な例としてカメラにシームレスズームレンズを用いているが、これに限定されるものではなく、単焦点のレンズを用いてもよい。
【0105】
また、本実施例では、様々なサイズのワーク2の検査に対応させるためにカメラにシームレスズームレンズを用いているが、これに限定されるものではなく、単に予め設定された倍率のズームレンズを用いてもよい。
【0106】
また、本実施例では、設備コストを低減させることを目的としてモノクロ撮影を行うカメラを用いているが、これに限定されるものではなく、カラー撮影を行うカメラを用いてもよい。
【0107】
また、本実施例では、保持部5は、ワーク2をその側面を圧接することでワーク2を固定保持しているが、これに限定されるものではなく、ワーク2を固定保持できる機構であれば、例えば、ワーク2の外周側面を挟持するものであってもよい。
【0108】
また、本実施例では、防止板7に光沢のある黒板を用いているが、これに限定されるものではなく、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように設定されたものであればよく、例えば、防止板7周りを暗視野環境にして防止板7に鏡板を用いてもよい。また、本実施例では、防止板7は、ワーク2を保持した保持部5に対して約45度傾斜して配しているが、これに限定されるものではなく、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように傾斜角度を設定すればよい。
【0109】
また、本実施例では、防止板7に、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように傾斜角度を設定した黒板を用いているが、ワーク2や保持部5で反射した光が撮影部4に写らないように光を吸収するものであってもよい。
【0110】
また、本実施例では、複数のLEDが上下2段複数列に配されて構成されているが、LEDの配列はこれに限定されるものではなく、平面視円環状の光源部33であってLEDから照射する光が直接撮影部4のカメラのレンズに入らないようにLEDからの指向性を設定すれば他の形態(他の個数や配置)であってもよい。
【0111】
また、本実施例では、光源部33にLEDを用いた照明部3を検査装置1に設けているが、光源部33はこれに限定されるものではなく、例えば、図16に示すような光源部33にハロゲンを用いた照明部3であってもよい。
【0112】
図16に示す照明部3は、光源部33にファイバガイド(図示省略)を使って光を照射するハロゲン(図示省略)を用いている。また、この照明部3には、ハロゲンからの光をファイバガイドを介してワーク2に照射するための光の経路上であって照明部3の筐体に円環状の間隙35が形成されている。なお、この図16に示す照明部3に、図2に示す拡散フィルタ34を設けてもよい。
【0113】
また、この図16に示す照明部3では、間隙35もしくはハロゲンからの光の経路上に、光源部33からの光を赤より短い波長の光に選別(フィルタリング)するフィルタ(図示省略)が設けられている。この場合、赤色を含む可視光線を発するハロゲンであっても、波長を選別することで異物の外形を明確にすることができる。さらに、可視光線のうち赤色のように波長が長いことで撮影部4による撮影画像の異物の輪郭が曖昧になる(ぼやける)のを抑制して、異物を明確に撮影部4により撮影することができる。なお、本例では、間隙35もしくはハロゲンからの光の経路上にフィルタが設けられているが、フィルタの設置位置は、これに限定されるものではなく、光が撮影部4に入る前であればよいので、撮影部4(例えばカメラのレンズ直前)にフィルタを設けてもよい。
【0114】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明にかかる画像検出装置および検査装置は、光学材料や電子部品などの透光性材料の検査に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、本実施例にかかる検査装置と画像検出装置との関係を示した概略構成図である。
【図2】図2は、本実施例にかかる照明部の概略構成斜視図である。
【図3】図3は、本実施例にかかる画像検出装置の、不確定な部位があるか否かを光を用いた画像処理により検出するフローチャートである。
【図4】図4は、図3に示すフローチャートのステップS3におけるワークの画像を示す図である。
【図5】図5は、図3に示すフローチャートのステップS4におけるワークの画像を示す図である。
【図6】図6は、図3に示すフローチャートのステップS4におけるワークの画像を示す図である。
【図7】図7は、図3に示すフローチャートのステップS6におけるワークの画像を示す図である。
【図8】図8は、図3に示すフローチャートのステップS7におけるワークの画像を示す図である。
【図9】図9は、図3に示すフローチャートのステップS8におけるワークの画像を示す図である。
【図10】図10は、図3に示すフローチャートのステップS9におけるワークの画像を示す図である。
【図11】図11は、図3に示すフローチャートのステップS10におけるワークの画像を示す図である。
【図12】図12は、図11において選択したブロッブの拡大図である。
【図13】図13は、図3に示すフローチャートのステップS19におけるワークの画像を示す図である。
【図14】図14は、図13においてブロッブの拡大図である。
【図15】図15は、図3に示すフローチャートのステップS28におけるワークの画像を示す図である。
【図16】図16は、本実施例の他の例にかかる照明部の概略構成斜視図である。
【符号の説明】
【0117】
1 検査装置
2 ワーク
3 照明部
31 貫通孔
32 内壁面
33 光源部
35 間隙
4 撮影部
5 保持部
6 画像検出装置
61 画像取得部
62 作成部
63 寸法算出部
64 抽出部
65 良否判定部
66 表示部
7 防止板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象となるワークに対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出する画像検出装置において、
外部撮影機器により撮影したワークのワーク画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部と、
前記作成部により作成した差分画像から傷や異物などの不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部と、が設けられたことを特徴とする画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像検出装置において、
前記可変ワーク画像は、前記画像取得部で取得したワーク画像から、前記作成部でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像検出装置において、
前記可変ワーク画像は、ワーク画像に対してワークを撮影する撮影条件を可変させて前記画像取得部で取得し、ワーク画像に対して画像可変させた画像であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
前記作成部により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位のみを抽出する抽出部が設けられたことを特徴とする画像検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像検出装置において、
前記抽出部では、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位を抽出することを特徴とする画像検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
傷や異物などの不確定な部位の寸法は、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法の少なくとも1つの径であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像検出装置において、
前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法を算出することを特徴とする画像検出装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像検出装置において、
前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法を算出して、これら長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を算出することを特徴とする画像検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
ワークは、透光性材料であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
前記寸法算出部により算出した前記寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワークの良否を判定する良否判定部が設けられたことを特徴とする画像検出装置。
【請求項11】
検査対象となるワークを検査する検査装置において、
ワークを照明する円環状の光源部を有する照明部と、ワークを撮影する撮影部とが設けられ、
請求項1乃至10のうちいずれか1つに記載の画像検出装置が、直接または間接的に接続され、
ワークを保持する保持部が、前記照明部と撮影部との間に固定もしくは移動可能に配され、
前記照明部の前記光源部からワークに照射した光の照射方向上から外れた位置に、前記撮影部が配され、
ワークに傷や異物などの不確定な部位がある場合、前記光源部からワークに照射した光は、その不確定な部位によりその光路が変更されて前記撮影部にて撮影されることを特徴とする検査装置。
【請求項1】
検査対象となるワークに対して傷や異物などの不確定な部位があるか否かを、光を用いた画像処理により検出する画像検出装置において、
外部撮影機器により撮影したワークのワーク画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得したワーク画像に対して画像可変させた可変ワーク画像を用いて、ワーク画像と可変ワーク画像とから差分画像を作成する作成部と、
前記作成部により作成した差分画像から傷や異物などの不確定な部位の寸法を算出する寸法算出部と、が設けられたことを特徴とする画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像検出装置において、
前記可変ワーク画像は、前記画像取得部で取得したワーク画像から、前記作成部でワーク画像を可変させる画像条件に基づいて画像処理を行った画像であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像検出装置において、
前記可変ワーク画像は、ワーク画像に対してワークを撮影する撮影条件を可変させて前記画像取得部で取得し、ワーク画像に対して画像可変させた画像であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
前記作成部により作成した差分画像のうち、傷や異物などの不確定な部位のみを抽出する抽出部が設けられたことを特徴とする画像検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像検出装置において、
前記抽出部では、最大寸法の傷や異物などの不確定な部位を抽出することを特徴とする画像検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
傷や異物などの不確定な部位の寸法は、その不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法の少なくとも1つの径であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像検出装置において、
前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法を算出することを特徴とする画像検出装置。
【請求項8】
請求項6に記載の画像検出装置において、
前記寸法算出部は、傷や異物などの不確定な部位の長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法を算出して、これら長手方向の長さ寸法と短手方向の長さ寸法から構成される矩形部位を算出することを特徴とする画像検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
ワークは、透光性材料であることを特徴とする画像検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか1つに記載の画像検出装置において、
前記寸法算出部により算出した前記寸法を予め設定した基準寸法と比較検討して当該ワークの良否を判定する良否判定部が設けられたことを特徴とする画像検出装置。
【請求項11】
検査対象となるワークを検査する検査装置において、
ワークを照明する円環状の光源部を有する照明部と、ワークを撮影する撮影部とが設けられ、
請求項1乃至10のうちいずれか1つに記載の画像検出装置が、直接または間接的に接続され、
ワークを保持する保持部が、前記照明部と撮影部との間に固定もしくは移動可能に配され、
前記照明部の前記光源部からワークに照射した光の照射方向上から外れた位置に、前記撮影部が配され、
ワークに傷や異物などの不確定な部位がある場合、前記光源部からワークに照射した光は、その不確定な部位によりその光路が変更されて前記撮影部にて撮影されることを特徴とする検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図16】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図16】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−236760(P2009−236760A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84634(P2008−84634)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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