説明

画像表示システム、画像再生装置及び表示装置

【課題】本発明は、効果が大きいノイズ除去処理を行うことができる画像表示システム、画像再生装置及び表示装置を提供する。
【解決手段】画像再生装置2において、入力された動画像データを復号する課程において、適応フィルタ処理回路209がノイズ除去のためのフィルタ処理を行う。フィルタ処理の際のフィルタ強度は、フィルタ強度決定回路210の決定したフィルタ強度で行われる。フィルタ強度決定回路210は、表示装置3の種別通知部33と通信を行うことにより、表示装置3の表示デバイスの種別や大きさの情報である表示装置情報を取得し、フィルタ強度決定テーブルを参照してフィルタ強度を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は符号化されたデジタル画像データを扱う画像表示システム、画像再生装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、動画像データをデジタルデータとして取り扱い、効率の高い情報の伝送や蓄積を目的とした画像再生装置が放送局等の情報配信側と一般家庭等の情報受信側の双方において普及しつつある。
このような画像再生装置では、動画像情報特有の冗長性を利用した離散コサイン変換等の直交変換と動き補償により圧縮する動画像符号化方式が利用される。このような動画像符号化方式には、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)等がある。
【0003】
特に、MPEG2(ISO/IEC13818-2)は、飛び越し走査画像及び順次走査画像の双方、並びに標準解像度画像及び高精細画像の双方に対応しており、汎用動画像符号化方式として現在広く用いられている。
MPEG2圧縮方式は、主としてデジタルテレビ放送や光ディスクメディア(DVDやBD(Blu-ray Disc:商標))等、高解像度かつ高画質に対応した動画像データの符号化によく使用されている。
さらに、MPEG2圧縮方式に続いて、より高圧縮率を実現するJVT(Joint Video Team)と呼ばれる符号化方式や、VC−1と呼ばれる符号化方式が提案されている。
JVTやVC−1では、動き補償、離散コサイン変換(DCT)やアダマール変換などの直交変換、得られた各係数を量子化することにより高い圧縮率を実現する量子化等の技術が用いられている。
【0004】
動き補償、直交変換や係数の量子化といった技術が用いられ符号化された動画像データが再生される場合には、逆量子化や逆周波数変換などの処理が行われ、復号化がなされる。
ここで、上述したような量子化等の技術を用いた符号化方式では、復号時に量子化誤差が原因となり、ノイズが発生してしまう、という問題が生じる。
特に、動きが激しい場面や、絵柄が非常に細かい対象物等の入力画像に対して圧縮率を高くしすぎてしまうと、量子化誤差が増大し、ノイズが増大してしまう。
【0005】
ノイズの具体例としては、量子化誤差の増大のために、周波数変換を行う単位であるブロックの境界部分に段差のようなものが浮き出ているように見える形で現れる、いわゆるブロックノイズがある。
ブロックノイズを目立たなくするために、画像再生装置は符号化された動画像信号を復号後、ブロックの境界部分にフィルタをかける処理等を行う。
このようなフィルタ処理として、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【0006】
【特許文献1】特開2008−167456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、画像内の隣接する2つのブロック間の境界を選択的にフィルタリングするプロセッサを備えた画像符号化装置が開示されている。
特許文献1の画像符号化装置においては、当該プロセッサは、隣接する画像ブロックに対する動き予測情報及び/又は動き補償情報を使用し、選択的にフィルタリングを行う。そして、隣接する画像ブロックにおいて、動き予測情報と動き補償情報が十分に類似した場合は、フィルタリングをスキップする。
【0008】
ところで、画像を再生する装置により再生された動画像データは、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示されることになる。
上述した符号化方式を使用した画像圧縮技術に起因するブロックノイズは、モニタの種類や大きさによって目立ち方が異なる。
一般に、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のモニタは、CRTディスプレイやプロジェクタ等と比較して、ブロックノイズが目立つ傾向がある。
また、同じ種類のモニタであっても、画面のサイズが大きいほど、ブロックノイズが目立つ傾向がある。
【0009】
画像再生装置において、ブロックノイズを目立たなくするためのフィルタ処理が行われた場合、ノイズを除去する効果とともに、細かい絵柄や線がつぶれて見にくくなってしまう、という副作用が生じることがある。
表示装置側がブロックノイズの目立ちやすい液晶ディスプレイやプラズマディスプレイである場合は、フィルタ処理の副作用よりも効果の方が大きい可能性が高い。しかし、表示装置側がブロックノイズの目立ちにくいCRTやプロジェクタであった場合には、フィルタ処理の効果よりも副作用の方が大きくなってしまう可能性がある。
【0010】
上述したような事情を鑑み、本発明は、効果が大きいノイズ除去処理を行うことができる画像表示システム、画像再生装置及び表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明の画像表示システムは、動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、を有し、前記画像再生装置は、前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、を有し、前記表示装置は、当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を前記画像再生装置に対して送信する種別通知部を有し、前記フィルタ強度決定回路は、前記種別通知部から送信された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定する。
【0012】
第2の発明の画像表示システムは、動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、を有し、前記画像再生装置は、前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、前記表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を選択可能なユーザインタフェースと、を有し、前記フィルタ強度決定回路は、前記ユーザインタフェースにより選択された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定する。
【0013】
第3の発明の画像表示システムは、動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、を有し、前記画像再生装置は、前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、を有し、前記表示装置は、当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を前記画像再生装置に対して送信する種別通知部を有し、前記フィルタ強度決定回路は、前記種別通知部から送信された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定し、前記再生処理において算出された量子化値を基に決定したフィルタ強度を変化させる。
【0014】
第4の発明の画像表示システムは、動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、を有し、前記画像再生装置は、前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、前記表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を選択可能なユーザインタフェースと、を有し、前記フィルタ強度決定回路は、前記ユーザインタフェースにより選択された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定し、前記再生処理において算出された量子化値を基に決定したフィルタ強度を変化させる。
【0015】
第5の発明の画像再生装置は、動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と接続された画像再生装置が、動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する場合に、前記適応フィルタ処理回路と、前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、を有し、前記フィルタ強度決定回路は、前記表示装置から送信された、当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定する。
【0016】
第6の発明の表示装置は、動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置に接続された表示装置が、前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する際のフィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定させるための情報である、当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を前記画像再生装置に対して通知する種別通知部を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、効果が大きいノイズ除去処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本願発明の画像再生システム100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、画像再生システム100は、記録媒体1、画像再生装置2、表示装置3を有する。
記録媒体1は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc:商標)等のデジタル光ディスク等、デジタル動画像データやデジタル音声データを記録した記録媒体である。
画像再生システム100は、記録媒体1に記録された動画像データ等を、例えば光ディスクドライブ装置等を使用して読み出す。
記録媒体1に記録された動画像データは、例えばMPEG2やJVT、VC−1といった符号化方式により符号化(圧縮)されたデジタル動画像データである。
【0019】
画像再生装置2は、記録媒体1から読み出されたデジタル動画像データに対して再生処理を行う処理ブロックである。
画像再生装置2は、デジタル動画像データに再生処理を行い、再生画像信号として表示装置3に出力する。
また、画像再生装置2は、デジタル画像データの再生処理時に、デジタル動画像データ内の誤差等が基となり生じるノイズを除去するノイズ除去処理を行う。
画像再生装置2のノイズ除去処理は、表示装置3の種類や大きさ等に応じてその実行が制御される。
【0020】
表示装置3は、画像再生装置2から出力された再生画像信号を表示するためのモニタ装置である。
表示装置3は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、プロジェクタ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等により構成される。
【0021】
図1に示すように、画像再生装置2は、バッファメモリ201、可逆復号回路202、逆量子化回路203、逆直交変換回路204、加算器205、動き補償回路206、フレームメモリ207、画面並べ替え回路208を有する。
また、画像再生装置2は、動画像データからノイズを除去するためのブロックとして、さらに、適応フィルタ処理回路209、フィルタ強度決定回路210、D/A変換部211を有する。
【0022】
図1に示す画像再生装置2には、動画像データが記録媒体1から読み出され、入力される。
入力された動画像データは、まず、入力データを一時的に格納するバッファメモリ201に記憶される。
バッファメモリ201に記憶された動画像データは、可逆復号回路202に出力される。
可逆復号回路202は、動画像データ内のフレーム画像データのフォーマットに基づき、可変長復号化、算術復号化等の処理を実行する。
可逆復号回路202は、上述した処理の結果、量子化された変換係数を逆量子化回路203に出力する。
また、可逆復号回路202は、動画像データがインター符号化されたものである場合には、フレーム画像データのヘッダ部に格納された動きベクトルの復号も実行する。
復号された動きベクトルは、可逆復号回路202から動き補償回路206に出力される。
【0023】
逆量子化回路203は、可逆復号回路から出力された、量子化された変換係数を基に逆量子化処理を行い、変換係数を生成する。
逆直交変換回路204は、逆量子化回路203が生成した変換係数を基に、動画像データの圧縮方式に基づき、逆離散コサイン変換や逆カルーネン・レーベ変換等の逆直交変換を行う。
【0024】
画像再生装置2に入力された動画像データがインター符号化されたものである場合には、動き補償回路206が動き補償処理を行う。
インター符号化とは、動画像データの各フレーム内のデータに加えて、フレーム間予測を含めて符号化するものである。
フレーム間予測の代表的なものとして、例えば動き補償という手法がある。
動き補償とは、動画像データを圧縮する際に、連続するフレーム間で映っている要素がどのように動いたかを検出して効率よく圧縮する手法である。
【0025】
動き補償回路206は、可逆復号回路202から動きベクトルを取得し、動きベクトルとフレームメモリ207に格納された参照動画像データとを基に、予測動画像データを生成する。
加算器205は、動き補償回路206が生成した予測動画像データと、逆直交変換回路204から出力された動画像データとを加算する。
【0026】
一方、画像再生装置2に入力された動画像データがイントラ符号化されたものである場合には、逆直交変換回路204から出力された動画像データは、画面並べ替え回路208に格納される。
イントラ符号化とは、動画像データの各フレーム内のデータのみで符号化を行うものであり、動き補償などのフレーム間予測を行わない符号化処理である。
画面並べ替え回路208は、加算器205から出力されたインター符号化された動画像データの各フレームと、イントラ符号化された動画像データの各フレームとを、所定の順番に並べ替える処理を行う。これにより、動画像データの各フレームは正常な順序で再生されることが可能に並べ替えられる。
【0027】
適応フィルタ処理回路209は、画面並べ替え回路208から出力される動画像データに対して、ブロックノイズ等のノイズ除去のためのフィルタ処理を行う。
この際、適応フィルタ処理回路209は、フィルタ強度決定回路210が決定したフィルタ強度を基に、フィルタ処理を実行する。
フィルタ強度決定回路210は、表示装置3と所定の通信を行い、表示装置3の種別や大きさ等を含む表示装置情報を取得し、取得した表示装置情報を基にフィルタ強度を決定する。
【0028】
そして、D/A変換部211は、適応フィルタ処理回路209によりフィルタ処理(ノイズ除去処理)がなされた動画像データをデジタル−アナログ変換し、表示装置3に対して出力する。
【0029】
アナログに変換された動画像データを取得した表示装置は、当該動画像データの表示を行う。
以下、表示装置3の各構成について説明する。
図1に示すように、表示装置3は表示部31、制御部32、種別通知部33を有する。
表示部31は、表示装置3における動画像データの表示を行う表示デバイスである。
制御部32は、表示装置3全体の動作を統括的に制御する。
具体的には、制御部32は、画像再生装置2から出力されたアナログ動画像データを表示部31に表示させる表示処理を実行する。
また、制御部32は、所定のタイミングで画像再生装置2のフィルタ強度決定回路210に対して表示装置3の表示デバイスの種別や大きさ等を含む表示装置情報を送信する。
所定のタイミングとは、例えば、画像再生装置2からの表示装置情報要求を受信したタイミングであってもよいし、画像再生装置2と接続され、互いの通信が確立した瞬間のタイミングでもよい。また、或いはユーザの画像再生装置2或いは表示装置3に対する所定の操作に応じたタイミングであってもよい。この所定のタイミングについては、本発明では特に限定しない。
【0030】
種別通知部33が送信する表示装置情報は、例えば、表示装置3の液晶、CRT、プラズマ、プロジェクタ等の表示デバイスの種別、そして、表示デバイスの大きさ等を含む情報である。表示デバイスの大きさは、例えば表示デバイスの対角線の長さにをインチ単位で表す方式が一般的である。
【0031】
次に、フィルタ強度決定回路210が、表示装置3から取得した表示装置情報を基にフィルタ強度を決定する方法について説明する。
図2は、表示装置3から取得した表示装置情報を基に、フィルタ強度を決定するフィルタ強度決定テーブルを説明するための図である。
フィルタ強度決定回路210は、例えば図2に示すようなテーブルを基にフィルタ強度を決定する。すなわち、フィルタ強度決定回路210は、図2に示すようなフィルタ強度決定テーブルを予め記憶しておき、これを参照することによりフィルタ強度の決定を行う。
例えば画像再生システム100の出荷時等に、予め経験的に決定されたフィルタ強度テーブルが記憶されるようにすればよい。
【0032】
フィルタ強度は、例えば0〜12までの値に対応している。
例えばフィルタ強度12は、適応フィルタ処理回路209により実行可能なもっとも強いフィルタ処理の強度であり、フィルタ強度0は、適応フィルタ処理回路209はフィルタ処理を全く行わないことを意味する。
ここで示すフィルタ強度は、一例であり、絶対的なものではない。
適応フィルタ処理回路209の実行するフィルタ処理の強度を相対的に示すためのパラメータである。
【0033】
図2に示すように、フィルタ強度決定回路210は、表示装置3の表示デバイスの大きさが大きければ大きいほど、フィルタ強度を強くするように設定する。
なお、図2において、バー(−)はフィルタ強度を0とすること、或いは、対応するディスプレイが一般には存在しないことを意味する。
同時に、フィルタ強度決定回路210は、表示装置3の表示デバイスの種別に応じて、フィルタ強度を強くするか弱くするかを設定する。
【0034】
具体的には、フィルタ強度決定回路210は、例えば一般にブロックノイズに強いと言われるプラズマディスプレイ及びプロジェクタの場合には、図2に示すように比較的小さいサイズのディスプレイに対してはフィルタ強度を0とする。
これにより、表示装置3が、ブロックノイズが目立ちにくい種別であり、かつディスプレイのサイズが比較的小さい場合には、表示装置3に表示する動画像データのノイズ除去を特に行わなくても、ノイズが目立ちにくい、と判断し、フィルタ処理を行わない。
すなわち、ノイズの除去によるメリットよりもデメリット(画質の低下)が顕著に表れることが予想される場合であるために、フィルタ強度決定回路210はフィルタ処理を行わない判断を行うことになる。
【0035】
反対に、フィルタ強度決定回路210は、一般にノイズが目立ちやすいと言われる液晶ディスプレイの場合には、比較的小さいサイズのディスプレイからフィルタ処理を行うように決定する。そして、同サイズのディスプレイでは、プラズマディスプレイやプロジェクタと比較して、強めのフィルタ強度となるように決定する。
特に、フィルタ強度決定回路210は、20インチまでのポータブルタイプの液晶ディスプレイでは、画面の大きさに応じたフィルタ強度となるように決定する。
【0036】
また、ノイズが目立ちにくいと言われるCRTディスプレイの場合は、技術的な限界から38インチ以上のものがほぼ存在しないため、それ以下のサイズのCRTディスプレイに対して液晶ディスプレイと比較して弱めのフィルタ強度となるように決定される。
【0037】
以上説明したように、本第1実施形態の画像再生システム100によれば、画像再生装置2において、入力された動画像データを復号する課程において、適応フィルタ処理回路209がノイズ除去のためのフィルタ処理を行う。フィルタ処理の際のフィルタ強度は、フィルタ強度決定回路210の決定したフィルタ強度で行われる。フィルタ強度決定回路210は、表示装置3の種別通知部33と通信を行うことにより、表示装置3の表示デバイスの種別や大きさの情報である表示装置情報を取得し、フィルタ強度決定テーブルを参照してフィルタ強度を決定する。
ここで、フィルタ強度決定テーブルは、表示装置の種別や大きさに応じて予め決定されたフィルタ強度が記載されたテーブルである。このテーブルでは、一般にノイズが目立ちにくいと言われる種別の表示装置の比較的小さいサイズのディスプレイに対してはフィルタ処理を行わないように予め設定されている。また、このテーブルでは、一般にノイズが目立ちやすいと言われる種別の表示装置に対しては、目立ちにくい種別の同サイズのディスプレイと比較して、フィルタ強度を高く設定するようになっている。
このように表示装置3の種別や大きさに応じてフィルタ強度決定回路210が決定したフィルタ強度を基に、適応フィルタ処理回路209がフィルタ処理を行うため、表示装置3の特性にあったフィルタ処理を実行することができるようになる。
従って、本第1実施形態の画像再生システム100は、フィルタ処理のかけ過ぎで画像がぼやけてしまったり、フィルタ処理の強度が低すぎてノイズが目立ったり、と言った事態をできるだけ回避することができるように構成されている。これにより、符号化画像の再生時に生じるノイズを好適に除去することができる。
【0038】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態の画像再生システム100aについて説明する。
以下説明する第2実施形態の画像再生システム100aは、一部を除いて第1実施形態の画像再生システム100と同様の構成を有する。また、第2実施形態の画像表示システム100aにおいて、第1実施形態の画像再生システム100と同様の構成は、第1実施形態においてした説明と同様の動作を行う。
従って、以下では、第2実施形態の画像再生システム100aにおける、第1実施形態の画像再生システム100との差異について説明する。
【0039】
図3は、第2実施形態の画像再生システム100aの構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、第2実施形態の画像再生システム100aは、記録媒体1、画像再生装置2a、表示装置3aを有する。
画像再生装置2aは、フィルタ強度決定回路210a、ユーザインタフェース212を除いて、第1実施形態の画像再生システム100と同様の構成を有する。
また、図3に示すように、表示装置3aは、種別通知部33を有していない点を除いて、第1実施形態の表示装置3と同様の構成を有する。
【0040】
本第2実施形態において、ユーザインタフェース212は、画像再生装置2aと接続される表示装置3aについての表示装置情報を、ユーザに入力させるためのインタフェース装置である。
ユーザインタフェース212は、例えば予め画像再生装置2aに接続される候補となる表示装置に関する表示装置情報を図3に図示しないメモリなどから読み出し、いずれの表示装置が接続されたかをユーザに選択させることができる。
具体的には、ユーザインタフェース212は、画像再生装置2aに接続される候補となる表示装置に関する表示装置情報を図3に図示しない表示部などに表示し、その中から接続された(る)表示装置を選択させる。
ユーザインタフェース212がユーザに表示装置を選択させる方法としては、例えば表示装置の機種名を一覧表示し、選択させる方法や、種別及び大きさを別々に選択させる方法などがある。
機種名を選択させる方法では、機種名とその種別及び大きさの情報が予め画像再生装置2aに記憶されている必要がある。この情報は、例えば図3に図示しないメモリ等に記憶されていればよい。
これにより、ユーザインタフェース212は画像再生装置2aに接続された表示装置の種別や大きさなどの表示装置情報をユーザに入力させ、当該情報を入手することができる。
【0041】
ユーザインタフェース212は、入手した表示装置情報をフィルタ強度決定回路210aに送信する。
このようにして、フィルタ強度決定回路210aは、第1実施形態のフィルタ強度決定回路210と異なり、ユーザインタフェース212を介して得た表示装置情報を基にフィルタ強度を決定する。
表示装置情報を基にしたフィルタ強度決定回路210aのフィルタ強度決定の方法は、例えば第1実施形態において説明した方法と同様である。
すなわち、予め記憶されたテーブルと表示装置情報とを参照してフィルタ強度を決定するようにすればよい。
【0042】
以上説明したように、第2実施形態の画像再生システム100aでは、フィルタ強度決定回路210aが表示装置から表示装置情報を得ずとも、ユーザインタフェース212によりユーザから得られた表示装置情報を基にフィルタ強度決定を行う。
このため、例えば表示装置3aが、自らの表示デバイスの種別及び大きさを示す表示装置情報を画像再生装置2aに対して送信するすべを有していなくとも、画像再生装置2aは表示装置3aの表示装置情報を入手し、フィルタ強度を決定することができる。
これにより、第2実施形態の画像再生システム100aの使い勝手が向上する。
【0043】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態の画像再生システム100bについて説明する。
以下説明する第3実施形態の画像再生システム100bは、一部を除いて第1実施形態の画像再生システム100と同様の構成を有する。また、第3実施形態の画像表示システム100bにおいて、第1実施形態の画像再生システム100と同様の構成は、第1実施形態においてした説明と同様の動作を行う。
従って、以下では、第3実施形態の画像再生システム100bにおける、第1実施形態の画像再生システム100との差異について説明する。
【0044】
図4は、第3実施形態の画像再生システム100bの構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、第3実施形態の画像再生システム100bは、記録媒体1、画像再生装置2b、表示装置3を有する。
画像再生装置2bは、可逆復号回路202b及びフィルタ強度決定回路210bを除いて、第1実施形態の画像再生システム100と同様の構成を有する。
また、図4に示すように、表示装置3は、第2実施形態とは異なり、第1実施形態の表示装置3と同様の構成を有する。
【0045】
第3実施形態の画像再生システム100bにおいて、可逆復号回路202bは、算出した量子化値をフィルタ強度決定回路210bに対して出力する。
そして、フィルタ強度決定回路210bは、表示装置3の種別通知部33から取得した表示装置情報と、可逆復号回路202bから取得した量子化値とをもとにフィルタ強度の決定を行う。
【0046】
すなわち、フィルタ強度決定回路210bは、表示装置3の種別通知部33から取得した表示装置情報を基にしたフィルタ強度テーブルにより決定されたフィルタ強度に対して、量子化値を基に変更を加えることによりフィルタ強度を決定する。
具体的には、フィルタ強度決定回路210bは、例えば、量子化値が所定のしきい値よりも大きい場合にはフィルタ強度を所定の値だけ上げたり、所定のしきい値よりも小さい場合には所定の値だけ下げたりして、最終的なフィルタ強度を決定すればよい。
【0047】
量子化値によれば、動画像データ内のマクロブロックごとにどの程度の量子化が行われたかがわかる。従って、フィルタ強度決定回路210bは、量子化値が大きいほど、量子化誤差が大きい、すなわち、ノイズレベルが大きいと判断し、よりフィルタ強度を強く設定する。反対に、量子化値が小さい場合は、量子化誤差が小さく、ノイズレベルが小さいので、フィルタ強度を弱めに決定するようにすればよい。
【0048】
また、フィルタ強度決定回路210bが量子化値を基にフィルタ強度を変化させる値の幅は、予め決められた所定の値でもよいし、量子化値の大きさに応じた値であってもよい。すなわち、量子化値が大きいほどフィルタ強度も大きく、量子化値が小さい場合はフィルタ強度も小さくなるようにしてもよい。
量子化値に応じてフィルタ強度を変化させる単位としては、例えば、動画像データの1フレームごと、或いは1GOP(Group Of Pictures)ごと、或いは動画像データの所定の分割エリアごと等が挙げられる。また、単位時間ごとに量子化値をとり、これに応じてフィルタ強度を変化させるようにしてもよい。
【0049】
以上説明したように、第3実施形態の画像再生システム100bでは、フィルタ強度決定回路210bが量子化値に応じて、表示装置3から得た表示装置情報を基に決定されるフィルタ強度の値を変化させる。
従って、決定されたフィルタ強度は、動画像データが表示される表示装置3に最適なものであるだけでなく、同一フレーム内においても量子化誤差の大小に応じてフィルタ強度が制御されるため、ノイズ除去の精度が向上する。
【0050】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態の画像再生システム100cについて説明する。
以下説明する第4実施形態の画像再生システム100cは、上述した第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせたような構成を有する。
【0051】
図5は、第4実施形態の画像再生システム100cの構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、第4実施形態の画像再生システム100cは、記録媒体1、画像再生装置2c、表示装置3aを有する。
画像再生装置2cは、ユーザインタフェース212を有する点において第2実施形態の画像再生装置2aと同様である。また、画像再生装置2cは、可逆復号回路202bから量子化値がフィルタ強度決定回路210cに出力される点において、第3実施形態の画像再生システム100bと同様の構成を有する。
また、図5に示すように、表示装置3aは、第3実施形態とは異なり、第2実施形態の表示装置3aと同様の構成を有する。すなわち、種別通知部33を有していない。
第4実施形態の画像再生システム100cにおいて、第3実施形態と同様に、可逆復号回路202bは、算出した量子化値をフィルタ強度決定回路210cに対して出力する。
【0052】
フィルタ強度決定回路210cは、ユーザインタフェース212により取得された表示装置情報と、可逆復号回路202bから取得した量子化値と、を基にフィルタ強度の決定を行う。
【0053】
すなわち、フィルタ強度決定回路210cは、ユーザインタフェース212から取得した表示装置情報を基にしたフィルタ強度テーブルにより決定されたフィルタ強度に対して、量子化値を基に変更を加えることによりフィルタ強度を決定する。
具体的には、フィルタ強度決定回路210cは、例えば、量子化値が所定のしきい値よりも大きい場合にはフィルタ強度を所定の値だけ上げたり、所定のしきい値よりも小さい場合には所定の値だけ下げたりして、最終的なフィルタ強度を決定すればよい。
また、フィルタ強度決定回路210cが量子化値を基にフィルタ強度を変化させる値の幅は、予め決められた所定の値でもよいし、量子化値の大きさに応じた値であってもよい。すなわち、量子化値が大きいほどフィルタ強度も大きく、量子化値が小さい場合はフィルタ強度も小さくなるようにしてもよい。
量子化値に応じてフィルタ強度を変化させる単位としては、例えば、動画像データの1フレームごと、或いは1GOP(Group Of Pictures)ごと、或いは動画像データの所定の分割エリアごと等が挙げられる。
【0054】
以上説明したように、第4実施形態の画像再生システム100cでは、フィルタ強度決定回路210cが量子化値に応じて、ユーザインタフェース212から取得された表示装置情報を基に決定されるフィルタ強度の値を変化させる。
このため、画像再生装置2bのフィルタ処理によりノイズ除去の精度が向上する。
【0055】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更並びに代替を行ってもよい。
上述した第1〜第4実施形態では、フィルタ強度決定回路がフィルタ強度を決定するためのパラメータとして、表示装置情報を挙げた。上述した実施形態では、表示装置情報として、表示装置の種別と、ディスプレイの大きさとを挙げて説明したが、本発明はこれには限定されない。すなわち、種別と大きさの内いずれか片方のみでもよいし、種別と大きさ以外に表示装置のノイズが目立ちやすいか否かを示す指標をパラメータとして使用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、第1実施形態の画像再生システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、表示装置から取得した表示装置情報を基に、フィルタ強度を決定するフィルタ強度決定テーブルを説明するための図である。
【図3】図3は、第2実施形態の画像再生システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、第3実施形態の画像再生システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、第4実施形態の画像再生システムの構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
100,100a,100b,100c…画像再生システム、1…記録媒体、2,2a,2b,2c…画像再生装置、201…バッファメモリ、202,202b…可逆復号回路、203…逆量子化回路、204…逆直交変換回路、205…加算器、206…補償回路、207…フレームメモリ、208…画面並べ替え回路、209…適応フィルタ処理回路、210,210a,210b,210c…フィルタ強度決定回路、211…D/A変換部、12…ユーザインタフェース、3,3a…表示装置、3a…表示装置、31…表示部、32…制御部、33…種別通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、
前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、
を有し、
前記画像再生装置は、
前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、
前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、
を有し、
前記表示装置は、
当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を前記画像再生装置に対して送信する種別通知部
を有し、
前記フィルタ強度決定回路は、前記種別通知部から送信された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定する
画像表示システム。
【請求項2】
前記フィルタ強度決定回路は、前記表示装置の大きさが大きいほどフィルタ強度を強く、前記表示装置の大きさが小さいほどフィルタ強度を弱く設定する
請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、
前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、
を有し、
前記画像再生装置は、
前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、
前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、
前記表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を選択可能なユーザインタフェースと、
を有し、
前記フィルタ強度決定回路は、前記ユーザインタフェースにより選択された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定する
画像表示システム。
【請求項4】
動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、
前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、
を有し、
前記画像再生装置は、
前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、
前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、
を有し、
前記表示装置は、
当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を前記画像再生装置に対して送信する種別通知部
を有し、
前記フィルタ強度決定回路は、前記種別通知部から送信された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定し、前記再生処理において算出された量子化値を基に決定したフィルタ強度を変化させる
画像表示システム。
【請求項5】
前記フィルタ強度決定回路が前記量子化値を基に、決定したフィルタ強度を変化させる場合に、前記量子化値の大きさに応じて、前記フィルタ強度を変化させる大きさを決定する
請求項4に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記フィルタ強度決定回路は、前記量子化値を単位時間ごとに取得する
請求項5に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記フィルタ強度決定回路は、前記量子化値を前記動画像データの各フレームを分割した所定のエリア単位で取得する
請求項6に記載の画像表示システム。
【請求項8】
動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置と、
前記画像再生装置が再生した動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と、
を有し、
前記画像再生装置は、
前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する適応フィルタ処理回路と、
前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、
前記表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を選択可能なユーザインタフェースと、
を有し、
前記フィルタ強度決定回路は、前記ユーザインタフェースにより選択された前記表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定し、前記再生処理において算出された量子化値を基に決定したフィルタ強度を変化させる
画像表示システム。
【請求項9】
動画像データを表示する表示処理を行う表示装置と接続された画像再生装置が、動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する場合に、
前記適応フィルタ処理回路と、
前記フィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定するフィルタ強度決定回路と、
を有し、
前記フィルタ強度決定回路は、前記表示装置から送信された、当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を基に前記フィルタ強度を決定する
画像再生装置。
【請求項10】
動画像データの再生処理と、前記動画像データからノイズを除去するためのフィルタ処理とを実行する画像再生装置に接続された表示装置が、
前記動画像データに対して前記フィルタ処理を実行する際のフィルタ処理の強度であるフィルタ強度を決定させるための情報である、当該表示装置の種別及び/または表示装置の大きさを示す情報である表示装置情報を前記画像再生装置に対して通知する種別通知部を有する
表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−88083(P2010−88083A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258112(P2008−258112)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】