説明

画像表示装置

【課題】施設に係る画像とその案内との対応付けの明確性および施設に係る案内の視認性の両立を図ることができなかった。
【解決手段】矩形領域が、施設名称の表示座標を矩形領域の中心となるように定義される。また、矩形領域の辺のうち施設画像の表示座標との距離が最も短くなる最短辺が演算される。また、最短辺上の異なる2座標が定義される。さらに、施設画像の表示座標と異なる2座標とをそれぞれ結ぶ直線が定義される。このように定義された吹き出しをディスプレイ32に表示させるための吹き出しデータが生成される。画像プロセッサ17は、吹き出しデータに従って、VRAM18の記憶領域に吹き出しを描画し、VRAM18上のデータをディスプレイ32に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイに対して画像を表示させる画像表示装置に関するものであって、より詳しくは、ナビゲーション装置や携帯電話などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、ディスプレイが地図を十分に遅い速度でスクロール表示する場合に、エリア名称の文字を画面の中心に固定して表示するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
他方、表示装置に表示された市街地地図上で特定の家枠が選択されると、家枠に対応する施設に含まれる物件の名称を吹き出し内に表示する地図表示システムの施設内物件表示方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。また、交差点が選択されると、交差点の案内標識の画像を交差点からの吹き出しの形態で表示するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【特許文献1】特開2004−126338号公報(段落0034および図7を参照)
【特許文献2】特開2004−4262号公報(段落0032および図3を参照)
【特許文献3】特開2005−106722号公報(段落0040および図4を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものにおいて、交差点などの施設に係る名称が画面の中心に固定されると、施設に係る名称は見やすくなるものの、施設の表示座標はスクロール表示によって画面の中心から離れていくので、施設に係る名称と表示中の施設との対応関係をユーザに認識させることができない。
【0005】
他方、特許文献2および特許文献3に記載のものにおいては、施設に係る名称が吹き出し内に表示されており、施設に係る名称と表示中の施設との対応関係をユーザに認識させることができるものの、吹き出しはスクロール表示されるので、吹き出し内に表示された施設に係る名称は見え難くなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像表示装置は、ディスプレイに対して施設に係る画像をスクロール表示させ、施設に係る画像から吹き出す吹き出し内で施設に係る案内を表示させる画像表示装置であって、前記案内の表示座標をスクロール表示の前後で一致させ、前記吹き出しを前記画像のスクロール表示後における表示座標から吹き出させる制御部を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0007】
「施設に係る画像」とは、地図画像および地図画像に重畳される施設画像を含む概念である。例えば、施設が交差点であれば、地図画像で交差点に対応する箇所や地図画像に重畳される信号画像などがある。
【0008】
「吹き出し」とは、施設に係る画像から吹き出したように描かれる形である。吹き出しの輪郭は、曲線であっても直線であっても構わない。
【0009】
「施設に係る案内」とは、ユーザに対して施設を認識させるための文字または図形であって、その一例として、施設名などがある。
【0010】
「制御部」とは、ハードウエアまたはハードウエアとソフトウエアとの協働によって制御を実行するものである。
【0011】
「制御部」は、好ましくは、ディスプレイに対して前記案内を表示させるか否かを地図の縮尺に応じて制御するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、施設に係る案内の表示座標をスクロール表示の前後で一致させ、施設に係る案内を囲む吹き出しを施設に係る画像のスクロール表示後における表示座標から吹き出させることによって、施設に係る画像とその案内との対応付けを明確にしながら施設に係る案内の視認性を高めることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態は、図1ないし図4で示される。
<構成について>本実施の形態に係るナビゲーション装置の構成は、図1で示される。ナビゲーション装置1は、データの入出力を行うI/O11と、各種データやプログラムなどを記憶するHDD12(「制御部」に相当する)と、BIOSなどの基本プログラムを格納するROM13と、HDD12に記憶されたプログラムおよびROM13に格納されたプログラムを実行するCPU14(「制御部」に相当する)と、各種データを保持するRAM15と、音声データを処理する音声プロセッサ16と、画像データを処理する画像プロセッサ17と、画像データを保持するVRAM18とを備え、これらをバス線で接続している。
【0014】
I/O11の入力側には、現在位置や時刻などに対応するGPSデータを受信するGPS受信機21と、移動体の進行方位に対応する方位データを出力する方位センサ22と、移動体の速度に対応する速度データを出力する速度センサ23と、接触座標に対応する接触座標データを出力するタッチパネル24とが接続されている。各種センサからのデータは、RAM15に保持される。
【0015】
I/O11の出力側には、音声データに対応する音声を出力するスピーカ31と、画像データに対応する画像を表示するディスプレイ32とが接続されている。ディスプレイ32は、その表示領域とタッチパネル24の接触検知領域とが重なるように設けられている。
【0016】
HDD12には、施設名称の表示座標をスクロール表示の前後で一致させ、施設名称を囲む吹き出しを施設画像のスクロール表示後における表示座標から吹き出させる処理をCPU14に実行させるためのプログラムが記憶されている。
【0017】
他方、HDD12には、地図(「施設に係る画像」に対応する地図画像データ、交差点名称などの施設名称(「施設に係る案内」に相当する)に対応する名称データ、交差点画像などの施設画像(「施設に係る画像」に相当する)に対応する施設画像データが記憶されている。
<表示処理について>以上のように構成されたナビゲーション装置1は、以下の表示処理を実行する。ディスプレイ32が地図や施設名称などを表示する場合(図2(a)を参照)、画像プロセッサ17は、VRAM18の各記憶領域に保持された地図データ(図2(b)を参照)、名称データ(図2(c)を参照)、施設画像データ(図2(d)を参照)および吹き出し画像データ(図2(e)を参照)を順番にディスプレイ32に転送している。
<吹き出し処理について>ナビゲーション装置1の吹き出し処理は、図3で示される。CPU14は、HDD12に記憶されたプログラムをRAM15に展開し、以下の処理を実行する。
【0018】
CPU14は、RAM15に保持されたデータを参照して施設名称の表示座標を求める(ステップS1)。具体的には、施設名称の表示が必要である場合、施設名称の表示座標は、RAM15に保持されている。また、施設名称の表示座標は、スクロールの前後を問わず、一定値であるので、この一定値が参照される。
【0019】
ステップS1で施設名称の表示座標が求まると、CPU14は、RAM15に保持されたデータを参照してスクロール後における施設の表示座標を求める(ステップS2)。具体的には、施設画像がスクロール表示される場合、スクロール後における施設画像の表示座標が演算される。また、この演算結果はRAM15に保持されるので、この演算結果が参照される。
【0020】
ステップS2で施設画像の表示座標が求まると、CPU14は、ディスプレイ32に対して吹き出しを表示させるための吹き出しデータを生成する(ステップS3)。具体的には、矩形領域が、ステップS1で求められた施設名称の表示座標を矩形領域の中心となるように定義される。また、矩形領域の辺のうちステップS2で求められた施設画像の表示座標との距離が最も短くなる最短辺が演算される。また、最短辺上の異なる2座標が定義される。さらに、施設画像の表示座標と異なる2座標とをそれぞれ結ぶ直線が定義される。このように定義された吹き出しをディスプレイ32に表示させるための吹き出しデータが生成される。画像プロセッサ17は、吹き出しデータに従って、VRAM18の吹き出し用の記憶領域に対して吹き出しを描画し、VRAM18上のデータをディスプレイ32に転送する。
【0021】
以上の処理によれば、スクロール表示前において、ディスプレイ32は、交差点画像からの吹き出しを表示し、この吹き出し内で「〇△◇交差点」という交差点名称を表示する(図4(a)を参照)。他方、スクロール表示後において、ディスプレイ32は、スクロール表示前における表示座標と同じ表示座標で「〇△◇交差点」という交差点名称を表示し、スクロール表示後における交差点画像の表示座標から吹き出す吹き出しを表示する(図4(b)を参照)。
<本実施の形態における効果>本実施の形態によれば、交差点画像とその交差点の名称との対応付けを明確にしながら交差点名称の視認性を高めることができる。特に、地図画像などが視認できない程度の速度でスクロール表示される場合であっても、交差点画像とその交差点の名称との対応付けを明確にしながら交差点名称の視認性を高めることができる。
<変形例>以上の説明では、吹き出し内に表示される施設名称が地図の縮尺に応じて異なってもよい。この変形例によれば、各縮尺ごとに重要な施設名称をユーザに案内することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明は、施設に係る画像とその案内との対応付けを明確にしながら施設に係る案内の視認性を高めるという効果を有し、ナビゲーション装置や携帯電話などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る画像表示装置を実施するための最良の形態の構成を示すハードウエア構成図
【図2】(a)本実施の形態におけるディスプレイでの表示例を示す図(b)本実施の形態における地図画像の階層を示す図(c)本実施の形態における施設名称の階層を示す図(d)本実施の形態における施設画像の階層を示す図(e)本実施の形態における吹き出しの階層を示す図
【図3】本実施の形態における吹き出し処理の流れを示すフロー図
【図4】(a)本実施の形態におけるスクロール表示前での表示例を示す図(b)本実施の形態におけるスクロール表示後での表示例を示す図
【符号の説明】
【0024】
1 画像表示装置
12 HDD(制御部)
14 CPU(制御部)
32 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに対して施設に係る画像をスクロール表示させ、施設に係る画像から吹き出す吹き出し内で施設に係る案内を表示させる画像表示装置であって、
前記案内の表示座標をスクロール表示の前後で一致させ、前記吹き出しを前記画像のスクロール表示後における表示座標から吹き出させる制御部を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、ディスプレイに対して前記案内を表示させるか否かを地図の縮尺に応じて制御することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−310058(P2007−310058A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137566(P2006−137566)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】