画像表示装置
【課題】多階調化に伴う駆動回路の回路サイズの増加を抑制する。
【解決手段】上位分割抵抗26は非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONの間の所定区間をM等分した変調回路用参照電圧VI0〜VIMの各区間を等分割し、上位階調電圧v0からv8Mを発生する。上位デコーダ部41はデータラッチに保持された上位Jビットのデータに応じ高電圧上位階調電圧vlと低電圧上位階調電圧vl+1を選択する。下位分割抵抗43は選択された高電圧上位階調電圧vlと低電圧上位階調電圧vl+1の間を等分割し階調電圧vl0からvln−1を発生する。下位デコーダ部44はデータラッチに保持された下位Kビットのデータに応じ分割抵抗により発生した階調電圧から出力電圧を選択出力する。下位分割抵抗43と上位デコーダ部41の間にバッファアンプ42−1と42−2を設けた。
【解決手段】上位分割抵抗26は非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONの間の所定区間をM等分した変調回路用参照電圧VI0〜VIMの各区間を等分割し、上位階調電圧v0からv8Mを発生する。上位デコーダ部41はデータラッチに保持された上位Jビットのデータに応じ高電圧上位階調電圧vlと低電圧上位階調電圧vl+1を選択する。下位分割抵抗43は選択された高電圧上位階調電圧vlと低電圧上位階調電圧vl+1の間を等分割し階調電圧vl0からvln−1を発生する。下位デコーダ部44はデータラッチに保持された下位Kビットのデータに応じ分割抵抗により発生した階調電圧から出力電圧を選択出力する。下位分割抵抗43と上位デコーダ部41の間にバッファアンプ42−1と42−2を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に係り、特に多階調化に伴う駆動回路の回路サイズの増加を抑制した画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)と呼ばれる画像表示装置において、電圧振幅信号を変調して階調を表示する振幅変調型駆動回路の一種に、外部より入力された参照電圧を抵抗により分圧し、発生した階調電圧を選択回路により選択して表示パネルに出力し、画像を表示する抵抗分割方式が知られている。
【0003】
この抵抗分割方式は、薄膜トランジスタ(TFT)型(すなわち、アクティブマトリクス型)の液晶表示装置の駆動回路に広く用いられている。また、MIM(金属‐絶縁体−金属)等の電子放出素子を用いた画像表示装置の駆動回路への適用も検討されている。近年、この種の駆動回路には、色再現性の拡大、コントラスト比の向上といったパネル性能の向上に対応して10ビットを越える多階調化が望まれている。しかし、抵抗分割方式では、多階調化に伴って階調電圧の選択回路を構成するスイッチ数と抵抗から選択回路まで電圧を伝える配線が2のビット数乗で増加するため、駆動回路を構成する半導体集積回路のチップサイズが増大し、駆動回路のコストが上昇する。
【0004】
この分野の従来技術を開示したものとして、特許文献1、特許文献2を挙げることができる。特許文献1では、画像情報を上位画像情報と下位画像情報に分け、上位画像情報のビット数に応じた複数の上位階調電圧から上位画像情報に応じた2つの隣接上位階調電圧を選択し、選択された2上位階調電圧間を下位画像情報のビット数に応じて抵抗を用い分圧し画像信号を生成出力することにより、多階調化に伴う駆動回路を構成する半導体集積回路のチップサイズの増大と駆動回路のコスト上昇を防いでいる。
【0005】
また、特許文献2では、液晶表示装置においてコモン電圧を一定とし画素電極にコモン電圧に対し正極性と負極性の電圧を交互に印加し液晶に印加される電圧を交流化するコモン一定駆動を行う際、隣接して正極性電圧と負極性電圧を発生するディジタルアナログ変換手段を設け、これらの変換手段から出力される正極電圧と負極電圧を所定の周期で交互に信号線に印加して、回路規模とチップサイズの小型化を図っている。
【特許文献1】特開平2−130586号公報
【特許文献2】特許第3433337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法において、上位階調電圧を外部より入力された参照電圧間を抵抗により分割し発生させると、選択された2つの隣接上位階調電圧間に上位階調電圧間分圧のための抵抗が並列接続されるため上位階調電圧が変化し階調特性が正しく再現できなくなるという問題が生じる。また、特許文献2では、特許文献1の方法を実施する事には何ら考慮がなされていない。
【0007】
本発明の目的は、多階調化に伴う駆動回路の回路サイズの増加を抑制した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、互いに平行な複数本の行配線と、該行配線に交差する複数本の列配線と、前記行配線と前記列配線の交点近傍に表示素子を配置して表示領域を形成した背面板と、該背面板の少なくとも前記表示領域を覆って重ね合わせた前面板を有する表示パネルを備えている。前記背面板には、前記行配線に接続されて行選択を行う走査回路と、前記列配線に接続されて振幅変調電圧を出力する変調回路を有する。
【0009】
前記変調回路は、外部から入力される変調回路用参照電圧間を分割し上位階調電圧を生成する上位分割抵抗を有する上位階調電圧生成部と、表示データを保持するデータラッチと、データラッチに保持された上位ビットのデータに応じ上位階調電圧から隣接する2電圧を選択する上位デコーダ部と、選択された2上位階調電圧間を分割し階調電圧を発生する下位分割抵抗と、データラッチに保持された下位ビットのデータに応じ発生した階調電圧から出力電圧を選択出力する下位デコーダ部とを有するデコーダとを備える。そして、前記上位分割抵抗と前記下位分割抵抗の間にバッファアンプを有する。
【0010】
前記バッファアンプは、前記上位デコーダ部の出力と前記下位分割抵抗の入力端子間に配置される。
【0011】
前記デコーダは、各上位階調電圧を前記下位分割抵抗の高電圧端子に入力する場合と低電圧端子に入力する場合のいずれの場合にも同一の前記バッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を有する。
【0012】
前記信号経路切り替え手段は、上記上位デコーダ部に設けられた上位デコーダ部の奇数番もしくは偶数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番もしくは奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチと、バッファアンプ出力に設けた選択スイッチとから構成される。
【0013】
前記上位デコーダ部は、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETからなり、前記下位デコーダ部はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETとから構成される。
【発明の効果】
【0014】
上位デコーダ部の出力と下位分割抵抗の入力端子間にバッファアンプを配置し、同一のバッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を有することで、下位分割抵抗が隣接2上位階調間に並列接続され上位階調電圧は変化しない。
【0015】
上記上位デコーダ部に設けられた当該上位デコーダ部の奇数番もしくは偶数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番もしくは奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチと、バッファアンプ出力に設けた選択スイッチとから信号経路切り替え手段を構成したことで、バッファアンプ出力電圧偏差が大きくとも、両電圧間電圧ばらつきが他の階調間より大きくなり、画質が劣化することがない。
【0016】
上位デコーダ部を、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETから構成し、下位デコーダ部はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETとから構成したことで、データドライバのチップサイズが小さくなる。また、入力される電圧の固定された上位デコーダ部のMOSFETの構成を簡略化され、下位デコーダ部へ入力される上位階調電圧が変化しても選択時のオン抵抗は上昇しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1は、本発明をMIM(Metal Insulator Metal)型電子放出素子を用いた画像表示装置に適用したものである。図1は、本発明にかかる画像表示装置の実施例1の全体回路構成を示すブロック図である。表示パネル4は、列線に印加された変調電圧により発光強度が変調するMIM型電子放出素子3、MIM型電子放出素子3の下部電極に接続された列配線1、MIM型電子放出素子3の上部電極に接続された行配線2を備える背面板を有する。背面板はガラスを好適とする絶縁板で構成される。
【0019】
また、この背面板と重ね合わされて、MIM型電子放出素子3の対向面に蛍光膜10と蛍光膜10を覆う様に形成されたメタルバック11を備える前面板(図示せず)を備える。さらに、パネル4の内部を真空にするためにパネル周辺間に設けられた側壁(枠体、図示せず)を有する。前面板と側壁も背面板と同様のガラスを好適とする絶縁板で構成される。
【0020】
前面板に有する蛍光膜10は、MIM型電子放出素子3の各列毎に塗分けられた赤、緑、青の3原色から成る。参照符号5は列配線に振幅変調電圧を出力する変調回路、6は行選択を行う走査回路である。ドライバ電源7は、走査回路6に選択電圧VGON、非選択電圧VGOFF、論理回路用電圧Vccを、変調回路5と表示コントローラ8に発光電圧VEON、非発光電圧VEOFF、論理回路用電圧Vccを供給する。
【0021】
表示コントローラ8は、走査回路6に垂直クロックVCLK、スタートパルスVIO、出力切り替え信号STBを、変調回路5に水平クロックHCLK、スタートパルスHIO、出力切り替え信号STB、変調回路用参照電圧VI0〜VIM、赤、緑、青に対応する3出力Iビットの表示データD0、D1、D2を出力する。これらの制御信号とデータ中変調回路用参照電圧VI0〜VIM以外の信号は全て論理回路用電圧Vccの振幅を持つ。また、アノード電源9はメタルバック11に蛍光体を発光させるためのアノード電圧VAを供給する。
【0022】
図2は、図1における変調回路5の構成図である。変調回路5は、半導体集積回路からなるデータドライバの直列接続で構成される。参照符号25は表示データを取り込むためのラッチ信号を生成するシフトレジスタである。参照符号24は表示コントローラから同時に入力される赤、緑、青に対応するD00〜D0I−1、D10〜D1I−1、D20〜D2I−1の3出力Iビットの表示データを順次取り込むデータレジスタである。参照符号23はデータレジスタの表示データを出力切り替え信号STBに同期して取り込み保持するデータラッチである。
【0023】
また、参照符号26は表示コントローラ8の出力する変調回路用参照電圧VI0〜VIMから抵抗分割により2J+1個の上位階調電圧を発生させる上位階調電圧生成部、22はデータラッチの出力するIビットの表示データに応じ2J+1個の上位階調電圧を用い2I(I>J)通りの電圧を生成出力するデコーダである。参照符号21はデコーダ出力電圧を出力電圧Y1〜Ymとして表示パネル4の列配線1の各々に出力するためのボルテージフォロワーカラーなる出力回路である。HR/Lはシフトレジスタのシフト方向を決めるための信号で、論理回路用電圧Vccまたは接地電圧GNDに固定されている。
【0024】
一水平走査期間が開始されると、スタートパルスHIOが第1のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)信号として入力されシフトレジスタ25内を水平クロックHCLKに同期してシフトする。そして、ラッチ信号が出力されると、3出力同時にIビットの表示データが順次データレジスタ24に取り込まれる。第1のデータドライバのデータレジスタ24への表示データ取り込みが終了すると、HIO2(あるいはHIO1)の電圧が論理回路用電圧Vccとなり第2のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)に入力され、第2のデータドライバへの表示データ取り込みが開始される。
【0025】
この様にして全表示データのデータレジスタ24への取り込みが終了すると、一水平走査期間の直前に、出力切り替え信号STBの立ち上がりに同期して全表示データがデータレジスタ24からデータラッチ23に取り込まれる。取り込まれた表示データはそれぞれデコーダ22により階調電圧に変換され、階調電圧は出力回路21により各列配線に出力される。
【0026】
図3は、図1における走査回路6の構成図である。走査回路6は半導体集積回路からなるスキャンドライバの直列接続で構成される。参照符号33は一水平走査期間ごとに選択行を順次切り替えるための選択信号を生成するシフトレジスタ、参照符号32はシフトレジスタ出力を論理回路用電圧Vcc−GNDのレベルから選択電圧VGON−非選択電圧VGOFFのレベルに変換するレベルシフタである。参照符号31はレベルシフトされたシフトレジスタ出力に応じ選択電圧VGONもしくは非選択電圧VGOFFを出力電圧G1〜Gnとして表示パネル4の行配線2の各々に出力するための出力回路である。VR/Lはシフトレジスタのシフト方向を決めるための信号で、論理回路用電圧Vccまたは接地電圧GNDに固定されている。
【0027】
一垂直走査期間が開始されると、スタートパルスVIOが第1のスキャンドライバのVIO1(あるいはVIO2)信号として入力され、一水平走査期間毎にシフトレジスタ33内を垂直クロックVCLKに同期してシフトし、選択信号が順次出力される。出力された選択信号と出力切り替え信号STBの反転信号との論理積がレベルシフタ32により選択電圧VGON−非選択電圧VGOFFのレベルにレベルシフトされ、表示パネル4の選択行配線に選択電圧VGONとして出力される。他方、表示パネル4の非選択行配線には非選択電圧VGOFFが出力される。第1のスキャンドライバ内のシフトが終了するとVIO2(あるいはVIO1)の電圧が論理回路用電圧Vccとなり第2のスキャンドライバのVIO1(あるいはVIO2)に入力され、第2のスキャンドライバ内のシフトが開始される。この様にして全行が順次選択される。
【0028】
図4は、図2に示すデータドライバ内の上位階調電圧生成部26とデコーダ22の各列毎のユニット22−1の詳細を説明する構成図である。図4において、VI0〜VIMは非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONの間の所定区間をM等分した変調回路用参照電圧である。参照符号40は変調回路用参照電圧VI0〜VIM(VI0>VI1・・・>VIM−1>VIM)の各区間を等分割し2J+1個の上位階調電圧v0からv8M(8Mは2Jに等しい)を発生する上位分割抵抗である。参照符号45,46はデータラッチ出力を論理回路用電圧Vcc−GNDのレベルから、非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONのレベルに変換するレベルシフタ、参照符号41はデータラッチに保持された上位Jビットのデータに応じ上位階調電圧から隣接する2電圧vlとvl+1を選択する上位デコーダ部である。
【0029】
vlとvl+1はそれぞれ選択された高電圧上位階調電圧と低電圧上位階調電圧、42−1と42−2はボルテージフォロワーからなるバッファアンプである。参照符号43は選択された高電圧上位階調電圧vlと低電圧上位階調電圧vl+1の間を等分割し2K個の階調電圧vl0カラーvln−1(nは2Kに等しい)を発生する下位分割抵抗である。参照符号44はデータラッチに保持された下位Kビットのデータに応じ分割抵抗により発生した階調電圧から出力電圧を選択出力する下位デコーダ部である。
【0030】
各変調回路用参照電圧VI0〜VIM間が上位分圧抵抗40により等分割され上位階調電圧v0からv8Mが生成される。生成された上位階調電圧からデータラッチに保持された上位Jビットデータに応じ上位デコーダ部41により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。高電圧上位階調電圧vlはバッファアンプ42−1を介して下位分割抵抗43の高電圧側端子に入力され、低電圧上位階調電圧vl+1はバッファアンプ42−2を介し下位分割抵抗43の低電圧側入力端子に印加される。入力された2電圧間は下位分割抵抗43により等分割され階調電圧vl0からvln−1が生成され、生成された階調電圧から下位デコーダ部44により下位Kビットのデータに応じ出力電圧が選択出力される。
【0031】
図5は、図4における上位デコーダ部41の詳細を示す回路図である。図5において、符号の上部に横線を付して示すものは、当該符号で示される信号の反転信号である。しかし、以下の明細書中では〔・・・〕のように〔〕で括った表記とする。すなわち、d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕はそれぞれ上位Jビットのデータラッチ出力をレベルシフトした信号とその反転信号を示す。
【0032】
d0が最上位ビットに、dJ−1が最下位ビットに対応している。また、v0からv8Mは上位階調電圧である。参照符号51はpチャネルMOSFET選択スイッチ、52はnチャネルMOSFET選択スイッチである。電圧の高い上位階調電圧v0からv8M/2の8M個の電圧はpチャネルMOSFET51により、電圧の低い上位階調電圧v8M/2からv8Mの8M個の電圧はnチャネルMOSFET52により選択がなされる。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各MOSFETのゲートに入力され、上位階調電圧v0からv8Mの中から隣接する2電圧vlとvl+1が選択される。
【0033】
図6は、図4における下位デコーダ部44の詳細を示す回路図である。dJ、dJ+1、・・、dJ+K−3、dJ+K−2、dJ+K−1と〔dJ〕、〔dJ+1〕、・・、〔dJ+K−3〕、〔dJ+K−2〕、〔dJ+K−1〕は、それぞれ下位Kビットのデータラッチ出力をレベルシフトした信号とその反転信号を示す。dJが最上位ビットに、dJ+K−1が最下位ビットに対応している。参照符号61はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFET選択スイッチである。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各MOSFETのゲートに入力され、上位デコーダ部により選択された隣接する2上位階調電圧vlとvl+1の間を等分割し生成した階調電圧vl0からvln−1の中から出力電圧を選択出力する。
【0034】
本実施例では、上位デコーダ部出力と下位分割抵抗の入力間にバッファアンプを備え、上位分割抵抗により発生した電圧から上位デコーダ部により選択した隣接2上位階調電圧をバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加し階調電圧を発生させ下位デコーダ部により選択している。この結果、上位デコーダ部により選択された隣接2上位階調は高インピーダンスのバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加されるため、下位分割抵抗が隣接2上位階調間に並列接続され上位階調電圧が変化することはない。
【0035】
また、上位デコーダ部は、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETからなり、下位デコーダ部は全てpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETで構成されている。この構成により入力される電圧の固定された上位デコーダ部のMOSFETの構成を簡略化するとともに、下位デコーダ部へ入力される上位階調電圧が変化しても選択時のオン抵抗の上昇を防ぐことができる。
【実施例2】
【0036】
実施例2は、バッファアンプを上位階調電圧生成部に設けたものである。図7は、本発明にかかる画像表示装置の実施例2の全体回路構成を示すブロック図である。図7中、VI0〜VIM、v0からv8M、vl0からvln−1、40、41、43から46は図4と同様である。また、72は上位分割抵抗40から出力される上位階調電圧毎に設けられたバッファアンプである。
【0037】
各変調回路用参照電圧VI0〜VIM間を上位分圧抵抗40により等分割して上位階調電圧v0からv8Mを生成する。生成された各上位階調電圧はバッフアンプ72を介し各列に設けられたデコーダの各列毎のユニット22−1に入力され、データラッチに保持された上位Jビットデータに応じ上位デコーダ部41により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。選択された2上位階調電圧間は下位分割抵抗43により等分割され階調電圧が生成される。この階調電圧カラー下位Kビットのデータに応じ下位デコーダ部により出力電圧が選択出力される。
【0038】
本実施例では、上位分割抵抗により分圧生成された各上位階調電圧をバッファアンプを介しデコーダの各列毎のユニットに入力し、上位デコーダ部により選択した隣接2上位階調電圧を下位分割抵抗の両端に印加し階調電圧を発生させ下位デコーダ部により選択している。上位分割抵抗出力は高インピーダンスのバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加されるため、第1の実施例と同様に上位デコーダ部により選択された2上位隣接階調間に下位分割抵抗が並列接続され上位階調電圧が変化することはない。
【実施例3】
【0039】
図4で説明した実施例1では、上位デコーダ部により選択された2上位階調電圧vlとvl+1のうち高電圧上位階調電圧vlがバッファアンプ42−1を介して、また低電圧上位階調電圧vl+1がバッファアンプ42−2を介して下位分割抵抗43の両端に入力される。この結果、各上位階調電圧が下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合とで異なるバッファアンプを介して下位分割抵抗43に入力されることになる。
【0040】
このため、高電圧上位階調電圧としてvlが選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最大電圧vl0とその1階調前の高電圧上位階調電圧としてvl−1が選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最低電圧vl−1n−1は異なるバッファアンプ42−1、42−2の出力電圧偏差の影響を受け、他の階調間より電圧ばらつきが大きくなって、画質が劣化する場合がある。このような画質劣化を防ぐため、本実施例では各上位階調電圧を常に同一のバッファアンプを介して下位分割抵抗43の両端に印加する構成とした。
【0041】
図8は、本発明にかかる画像表示装置の実施例3の図4に示すデコーダ22の各列毎のユニット22−1の詳細を示す構成図である。図中、v0からv8M、vl0からvln−1、41、43から46は図4と同様である。また、82−1、82−2はボルテージフォロワーからなるバッファアンプ、81−1、81−2、83−1、83−2はバッファアンプの入出力に設けられた上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータにより開閉し相補型MOSFET選択スイッチである。
【0042】
実施例1と同様に上位デコーダ部41により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。最下位ビットが0(lが偶数2L)の時は、レベルシフトした反転信号dJ−1が高レベルとなり選択スイッチ81−1と83−1がオンし、高電圧上位階調電圧v2Lはバッファアンプ82−1により下位分割抵抗43の高電圧側端子に入力され、低電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2により下位分割抵抗43の低電圧側端子に入力される。他方、最下位ビットが1(lが奇数2L+1)の時は、信号dJ−1が高レベルとなり選択スイッチ81−2と83−2がオンし、高電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2により下位分割抵抗43の高電圧側端子に入力され、低電圧上位階調電圧v2L+2はバッファアンプ82−1により下位分割抵抗43の低電圧側端子に入力される。
【0043】
以上の結果、下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも、偶数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−1を介し、奇数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−2を介し、下位分割抵抗43に入力される。
【0044】
本実施例では、上位デコーダ部により選択した2隣接上位階調電圧をバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加し階調電圧を発生させるに際し、バッファアンプの入出力に上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータにより開閉する選択スイッチを設け、各上位階調電圧を下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも同一のバッファアンブを介し入力されるように信号経路を切り替えた。
【0045】
この結果、特定の上位階調電圧が高電圧上位階調電圧として選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最大電圧vl0とその1階調前の特定階調電圧が低電圧上位階調電圧として選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最低電圧vl−1n−1は同一のバッファアンプ42−1または42−2の出力電圧偏差の影響をうけるため、バッファアンプ出力電圧偏差が大きくとも、両電圧間電圧ばらつきが他の階調間より大きくなり、画質が悪くなるということがない。
【実施例4】
【0046】
実施例4は、本発明の実施例3におけるバッファアンプ入力側の選択スイッチの切り替え機能を上位デコーダ部に持たし、装置の簡略化を図ったものである。図9は、本発明の実施例4の図4に示すデコーダ22の各列毎のユニット22−1の詳細を説明する構成図である。図中、v0からv8M、vl0からvln−1、参照符号43から46は図4と、参照符号82−1,82−2、81−1、81−2、83−1、83−2は図8と同様である。参照符号91は、選択スイッチの切り替え機能を有する上位デコーダ部である。
【0047】
図10は、図9における上位デコーダ部91の詳細を示す回路図である。d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕、参照符号51および52は図5と同様である。参照符号101と102は上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータに応じ奇数番の上位階調電圧より高いか低いか何れかの隣接偶数番の上位階調電圧を選択するためのpチャネルMOSFET選択スイッチとnチャネルMOSFET選択スイッチである。
【0048】
電圧の高い上位階調電圧v0からv8M/2−1の8M/2個の電圧はpチャネルMOSFET51と101により、電圧の低い上位階調電圧v8M/2からv8Mの8M/2+1個の電圧はnチャネルMOSFET52と102により選択がなされる。
【0049】
上位階調電圧v0からv8Mよりデータラッチに保持された上位Jビットデータに応じ上位デコーダ部91により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。最下位ビットが0(lが偶数2L)の時は、レベルシフトした信号dJ−1が低レベルとなり、高電圧上位階調電圧v2Lはバッファアンプ82−1に入力され選択スイッチ83−1を介して下位分割抵抗43の高電圧側に印加される。また、低電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2に入力され選択スイッチ83−1を介して下位分割抵抗43の低電圧側に印加される。
【0050】
他方、最下位ビットが1(lが奇数2L+1)の時は、反転信号dJ−1が低レベルとなり高電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2に入力され選択スイッチ83−2を介して下位分割抵抗43の高電圧入力端子に印加される。また、低電圧上位階調電圧v2L+2はバッファアンプ82−1に入力され選択スイッチ83−1を介して下位分割抵抗43の低電圧側入力端子に印加される。以上の結果、下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも、偶数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−1を介し、奇数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−2を介し、下位分割抵抗43に入力される。
【0051】
本実施例では、各上位階調電圧を下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも同一のバッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を、上位デコーダ部内に設けた上位デコーダ部の奇数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチとバッファアンプ出力に設けた選択スイッチにより構成し、上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータに応じ切り替え得た。
【0052】
この結果、図5に示す様に従来2系列必要であった上位デコーダ部中の選択スイッチを一系統としデコーダを構成するスイッチを半減し、また、バッファアンプ入力側の選択スイッチを不要とできる。この結果、データドライバのチップサイズを小さくできる。
【実施例5】
【0053】
本発明は上位デコーダ部の構成によらず実施できる。本実施例は第4の実施例で上位デコーダ部を別の構成としたものである。図11は、本発明にかかる画像表示装置の実施例5の上位デコーダ部91の詳細を示す回路図である。d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕、v0からv8M、参照符号51、52は図5と同様の機能部分を、参照符号101、102は図10と同様の機能部分を示す。
【0054】
本実施例でも、実施例4と同様に、デコーダを構成するスイッチが半減し、また、バッファアンプ入力側の選択スイッチが不要となる。この結果、データドライバのチップサイズを小さくすることができる。
【実施例6】
【0055】
本発明は振幅変調により駆動されるものであれば、どのような形式の表示パネルを用いても実施できる。実施例6はドット反転駆動TFT液晶表示装置に本発明を適用した例である。ドット反転駆動はコモン一定駆動の一種で、各列毎各行毎に画素電極に印加される電圧の極性を反転する方式である。
【0056】
図12は、本発明にかかる画像表示装置の実施例6の全体回路構成を示すブロック図である。表示パネル124は、TFT123、TFT123に接続された列配線121、TFT123のゲ−ト電極に接続された行配線122、列配線122に印加された変調電圧が印加される画素電極1212を備える背面板と、背面板の対向面にコモン電極1211を備える前面板と、背面板と前面板間に封じされ画素電極に保持された変調電圧により光透過率の変化する液晶1210からなる。
【0057】
参照符号125は列配線122に振幅変調電圧を出力する変調回路、参照符号126は行選択を行う走査回路である。ドライバ電源127は、走査回路126に選択電圧VGON、非選択電圧VGOFF、論理回路用電圧Vccを印加し、変調回路125と表示コントローラ128に正負の発光電圧±VEON、論理回路用電圧Vccを供給する。表示コントローラ128は、走査回路126に垂直クロックVCLK、スタートパルスVIOを印加し、変調回路125に水平クロックHCLK、スタートパルスHIO、出力切り替え信号STB、出力正負切り替え信号POLE、正負変調回路用参照電圧±VI0〜VIM、表示データD0を出力する。これらの制御信号とデータ中の変調回路用参照電圧±VI0〜VIM以外の信号は、全て論理回路用電圧Vccの振幅を持つ。また、コモン電源129はコモン電極1211に液晶1210に印加される電圧の基準となるコモン電圧VCOMを供給する。
【0058】
図13は、図12における変調回路を構成するデータドライバの構成図である。このデータドライバは、参照符号25、24、23は図2と同様の機能部分である。+VI0〜+VIM(+VI0>+VI1・・・>+VIM−1>+VIM)は正の最大発光電圧VEONからコモン電圧間の間の所定区間を分割した正の変調回路用参照電圧である。−VI0〜−VIM(−VI0<−VI1・・・<−VIM−1<−VIM)は負の最大発光電圧−VEONからコモン電圧間の間の所定区間を分割した負の変調回路用参照電圧である。参照符号136−1と136−2はそれぞれ正の変調回路用参照電圧+VI0〜VIMまたは負の変調回路用参照電圧−VI0〜VIMカラー抵抗分割により2J+1個の正または負の上位階調電圧を発生させる正極側または負極側上位階調電圧生成部である。
【0059】
参照符号132−1と132−2はそれぞれデータラッチの出力するIビットの表示データに応じ2J+1個の正または負の上位階調電圧を用い2I(I>J)通りの電圧を生成出力する正極側または負極側デコーダ部である。参照符号131−1と131−2はそれぞれデコーダ出力電圧を出力電圧Y1〜Ymとして表示パネル124の列配線121の各々に出力するためのボルテージフォロワーカラーなる正極側または負極側出力回路部である。正極側デコーダ部および出力回路と負極側デコーダ部および出力回路は列毎に交互に配置されている。HR/Lはシフトレジスタのシフト方向を決めるための信号で、論理回路用電圧Vccまたは接地電圧GNDに固定されている。
【0060】
一水平走査期間が開始されると、スタートパルスHIOが第1のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)信号として入力されシフトレジスタ25内を水平クロックHCLKに同期してシフトし、ラッチ信号が出力されると、Iビットの表示データが順次データレジスタ24に取り込まれる。第1のデータドライバのデータレジスタ24への表示データ取り込みが終了するとHIO2(あるいはHIO1)の電圧が論理回路用電圧Vccとなって、第2のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)に入力されて第2のデータドライバへの表示データ取り込みが開始される。
【0061】
この様にして全表示データのデータレジスタ24への取り込みが終了すると、一水平走査期間の直前に、出力切り替え信号STBの立ち上がりに同期して全表示データがデータレジスタ24からデータラッチ23に取り込まれる。データラッチ23に取り込まれた表示データは正極側デコーダ部132−1または負極側デコーダ部132−2により階調電圧に変換され、変換された階調電圧はそれぞれ正極側出力回路部131−1または負極側出力回路部131−2により各列配線に出力される。以上の結果、各列配線には交互にコモン電圧VCOMに対して正または負の電圧が出力される。
【0062】
出力正負切り替え信号POLEは各水平走査期間ごとに交互に0と1となり、各列配線への出力電圧を各水平走査線ごとに正または負とする。出力正負切り替え信号POLEが0の時は、奇数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の奇数番地に取り込まれ、正極側デコーダ部132−1と正極側出力回路部131−1により正電圧として各奇数番列配線Y1、Y3、・・に出力される。また、偶数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の偶数番地に取り込まれ、負極側デコーダ部132−2と負極側出力回路部131−2により負電圧に変換され負電圧として各偶数番列配線Y2、・・に出力される。他方、出力正負切り替え信号POLEが1の時は、奇数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の偶数番地に取り込まれ、負極側デコーダ部132−2と負極側出力回路部131−2により負電圧として各奇数番列配線Y1、Y3、・・に出力される。
【0063】
また、偶数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の奇数番地に取り込まれ、正極側デコーダ部132−1と正極側出力回路部131−2により負電圧に変換され負電圧として各偶数番列配線Y2、・・に出力される。以上の結果、出力正負切り替え信号POLEの切り替えにより、各列配線への出力電圧を各水平走査線ごとに正または負となる。
【0064】
図13に示すデータドライバ内の正極側または負極側上位階調電圧生成部136−1と136−2は図4の26と同様、正極側または負極側デコーダ部132−1と132−2の各列毎のユニットの構成は図9の22−1と同様の機能部分である。正極側デコーダ部132−1では、選択スイッチ81−1、81−2、83−1、83−2はPチャネルMOSFETにより構成されている。
【0065】
図14は、本発明の実施例6における正極側上位デコーダ部の構成を説明する回路図である。上位デコーダ部91において、d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕はそれぞれ上位Jビットのデータラッチ出力を論理回路用電圧Vcc−GNDのレベルから正の最大発光電圧+VEONから負の最大発光電圧−VEONのレベルに変換した信号とその反転信号を示す。d0が最上位ビットに、dJ−1が最下位ビットに対応している。
【0066】
また、+v0から+v8Mは正の上位階調電圧である。参照符号51は図5と同様の、参照符号101は図10と同様のpチャネルMOSFET選択スイッチである。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各pチャネルMOSFETのゲートに入力され、図10と同様正の上位階調電圧+v0から+v8Mの中から隣接する2電圧v2L+1とv2Lまたはv2L+2が選択される。
【0067】
図15は、本発明にかかる実施例6の正極側デコーダ部における図9に示す下位デコーダ部44の詳細を説明する回路図である。dJ、dJ+1、・・、dJ+K−3、dJ+K−2、dJ+K−1と〔dJ〕、〔dJ+1〕、・・、〔dJ+K−3〕、〔dJ+K−2〕、〔dJ+K−1〕はそれぞれ下位Kビットのデータラッチ出力をレベルシフトした信号とその反転信号を示す。dJが最上位ビットに、dJ+K−1が最下位ビットに対応している。参照符号151はpチャネルMOSFET選択スイッチである。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各MOSFETのゲ−トに入力され、上位デコーダ部により選択された隣接する2上位階調電圧vlとvl+1の間を等分割し生成した階調電圧vl0からvln−1の中から出力電圧を選択出力する。
【0068】
他方、負極側デコーダ部においては、図9の選択スイッチ81−1、81−2、83−1、83−2、図14に示す上位デコーダ部の選択スイッチ51、101、図15に示す下位デコーダ部の選択スイッチ151が全てNチャネルMOSFETで構成されている。また、上位デコーダ部と下位デコーダ部にはデータラッチ出力をレベルシフト信号とその反転信号の極性を反転した信号が入力される。
【0069】
実施例6では、正極側デコーダ部の上位デコーダ部と下位デコーダ部をpチャネルMOSFETにより、負極側デコーダ部の上位デコーダ部と下位デコーダ部をNチャネルMOSFETにより構成することで、デコーダの構成を簡略化し、データドライバのチップサイズを縮小できる。
【0070】
実施例1から5では、変調回路用参照電圧VI0〜VIMを非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONの間の所定区間をM等分した電圧としたが、電子放出素子の電圧対前面板への放出電流特性と必要な表示画質に応じ不均等としてもよい。また、上位分割抵抗40により変調回路用参照電圧VI0〜VIMの各区間を等分割し上位階調電圧v0からv8Mを発生したが、同様に、電子放出素子の電圧対前面板への放出電流特性と必要な表示画質に応じ不均等分割としてもよい。
【0071】
実施例6では、単色表示に対応して表示コントローラ8が表示データDOを出力する場合について述べたが、カラー表示に対応する3出力の表示データD0、D1、D2を出力する場合についても本発明は同様に実施できる。
【0072】
また、実施例6では、コモン電極1211を前面板に設けたが、横電界方式液晶表示パネルのようにコモン電極が前面板にある場合でも本発明は同様に実施できる。さらに、実施例4から6では、信号経路切り替え手段として、上位デコーダ部に上位デコーダ部の奇数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチを設けたが、上位デコーダ部の偶数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチを設けてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明にかかる画像表示装置の実施例1の全体回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1における変調回路の構成図である。
【図3】図1における走査回路の構成図である。
【図4】図2に示すデータドライバ内の上位階調電圧生成部とデコーダの各列毎のユニットの詳細を説明する構成図である。
【図5】図4における上位デコーダ部の詳細を示す回路図である。
【図6】図4における下位デコーダ部の詳細を示す回路図である。
【図7】本発明にかかる画像表示装置の実施例2の全体回路構成を示すブロック図である。
【図8】本発明にかかる画像表示装置の実施例3の図4に示すデコーダの各列毎のユニットの詳細を示す構成図である。
【図9】本発明の実施例4の図4に示すデコーダの各列毎のユニットの詳細を説明する構成図である。
【図10】図9における上位デコーダ部91の詳細を示す回路図である。
【図11】本発明にかかる画像表示装置の実施例5の上位デコーダ部の詳細を示す回路図である。
【図12】本発明にかかる画像表示装置の実施例6の全体回路構成を示すブロック図である。
【図13】図12における変調回路を構成するデータドライバの構成図である。
【図14】本発明の実施例6における正極側上位デコーダ部の構成を説明する回路図である。
【図15】本発明の実施例6における正極側デコーダ部の図9に示す下位デコーダ部の詳細を説明する回路図である。
【符号の説明】
【0074】
22−1・・・デコーダの各列毎のユニット、26・・・上位分割抵抗、41・・・上位デコーダ部、42−1と42−2・・・バッファアンプ、44・・・下位デコーダ部、45,46・・・レベルシフタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に係り、特に多階調化に伴う駆動回路の回路サイズの増加を抑制した画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)と呼ばれる画像表示装置において、電圧振幅信号を変調して階調を表示する振幅変調型駆動回路の一種に、外部より入力された参照電圧を抵抗により分圧し、発生した階調電圧を選択回路により選択して表示パネルに出力し、画像を表示する抵抗分割方式が知られている。
【0003】
この抵抗分割方式は、薄膜トランジスタ(TFT)型(すなわち、アクティブマトリクス型)の液晶表示装置の駆動回路に広く用いられている。また、MIM(金属‐絶縁体−金属)等の電子放出素子を用いた画像表示装置の駆動回路への適用も検討されている。近年、この種の駆動回路には、色再現性の拡大、コントラスト比の向上といったパネル性能の向上に対応して10ビットを越える多階調化が望まれている。しかし、抵抗分割方式では、多階調化に伴って階調電圧の選択回路を構成するスイッチ数と抵抗から選択回路まで電圧を伝える配線が2のビット数乗で増加するため、駆動回路を構成する半導体集積回路のチップサイズが増大し、駆動回路のコストが上昇する。
【0004】
この分野の従来技術を開示したものとして、特許文献1、特許文献2を挙げることができる。特許文献1では、画像情報を上位画像情報と下位画像情報に分け、上位画像情報のビット数に応じた複数の上位階調電圧から上位画像情報に応じた2つの隣接上位階調電圧を選択し、選択された2上位階調電圧間を下位画像情報のビット数に応じて抵抗を用い分圧し画像信号を生成出力することにより、多階調化に伴う駆動回路を構成する半導体集積回路のチップサイズの増大と駆動回路のコスト上昇を防いでいる。
【0005】
また、特許文献2では、液晶表示装置においてコモン電圧を一定とし画素電極にコモン電圧に対し正極性と負極性の電圧を交互に印加し液晶に印加される電圧を交流化するコモン一定駆動を行う際、隣接して正極性電圧と負極性電圧を発生するディジタルアナログ変換手段を設け、これらの変換手段から出力される正極電圧と負極電圧を所定の周期で交互に信号線に印加して、回路規模とチップサイズの小型化を図っている。
【特許文献1】特開平2−130586号公報
【特許文献2】特許第3433337号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法において、上位階調電圧を外部より入力された参照電圧間を抵抗により分割し発生させると、選択された2つの隣接上位階調電圧間に上位階調電圧間分圧のための抵抗が並列接続されるため上位階調電圧が変化し階調特性が正しく再現できなくなるという問題が生じる。また、特許文献2では、特許文献1の方法を実施する事には何ら考慮がなされていない。
【0007】
本発明の目的は、多階調化に伴う駆動回路の回路サイズの増加を抑制した画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、互いに平行な複数本の行配線と、該行配線に交差する複数本の列配線と、前記行配線と前記列配線の交点近傍に表示素子を配置して表示領域を形成した背面板と、該背面板の少なくとも前記表示領域を覆って重ね合わせた前面板を有する表示パネルを備えている。前記背面板には、前記行配線に接続されて行選択を行う走査回路と、前記列配線に接続されて振幅変調電圧を出力する変調回路を有する。
【0009】
前記変調回路は、外部から入力される変調回路用参照電圧間を分割し上位階調電圧を生成する上位分割抵抗を有する上位階調電圧生成部と、表示データを保持するデータラッチと、データラッチに保持された上位ビットのデータに応じ上位階調電圧から隣接する2電圧を選択する上位デコーダ部と、選択された2上位階調電圧間を分割し階調電圧を発生する下位分割抵抗と、データラッチに保持された下位ビットのデータに応じ発生した階調電圧から出力電圧を選択出力する下位デコーダ部とを有するデコーダとを備える。そして、前記上位分割抵抗と前記下位分割抵抗の間にバッファアンプを有する。
【0010】
前記バッファアンプは、前記上位デコーダ部の出力と前記下位分割抵抗の入力端子間に配置される。
【0011】
前記デコーダは、各上位階調電圧を前記下位分割抵抗の高電圧端子に入力する場合と低電圧端子に入力する場合のいずれの場合にも同一の前記バッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を有する。
【0012】
前記信号経路切り替え手段は、上記上位デコーダ部に設けられた上位デコーダ部の奇数番もしくは偶数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番もしくは奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチと、バッファアンプ出力に設けた選択スイッチとから構成される。
【0013】
前記上位デコーダ部は、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETからなり、前記下位デコーダ部はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETとから構成される。
【発明の効果】
【0014】
上位デコーダ部の出力と下位分割抵抗の入力端子間にバッファアンプを配置し、同一のバッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を有することで、下位分割抵抗が隣接2上位階調間に並列接続され上位階調電圧は変化しない。
【0015】
上記上位デコーダ部に設けられた当該上位デコーダ部の奇数番もしくは偶数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番もしくは奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチと、バッファアンプ出力に設けた選択スイッチとから信号経路切り替え手段を構成したことで、バッファアンプ出力電圧偏差が大きくとも、両電圧間電圧ばらつきが他の階調間より大きくなり、画質が劣化することがない。
【0016】
上位デコーダ部を、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETから構成し、下位デコーダ部はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETとから構成したことで、データドライバのチップサイズが小さくなる。また、入力される電圧の固定された上位デコーダ部のMOSFETの構成を簡略化され、下位デコーダ部へ入力される上位階調電圧が変化しても選択時のオン抵抗は上昇しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態を実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1は、本発明をMIM(Metal Insulator Metal)型電子放出素子を用いた画像表示装置に適用したものである。図1は、本発明にかかる画像表示装置の実施例1の全体回路構成を示すブロック図である。表示パネル4は、列線に印加された変調電圧により発光強度が変調するMIM型電子放出素子3、MIM型電子放出素子3の下部電極に接続された列配線1、MIM型電子放出素子3の上部電極に接続された行配線2を備える背面板を有する。背面板はガラスを好適とする絶縁板で構成される。
【0019】
また、この背面板と重ね合わされて、MIM型電子放出素子3の対向面に蛍光膜10と蛍光膜10を覆う様に形成されたメタルバック11を備える前面板(図示せず)を備える。さらに、パネル4の内部を真空にするためにパネル周辺間に設けられた側壁(枠体、図示せず)を有する。前面板と側壁も背面板と同様のガラスを好適とする絶縁板で構成される。
【0020】
前面板に有する蛍光膜10は、MIM型電子放出素子3の各列毎に塗分けられた赤、緑、青の3原色から成る。参照符号5は列配線に振幅変調電圧を出力する変調回路、6は行選択を行う走査回路である。ドライバ電源7は、走査回路6に選択電圧VGON、非選択電圧VGOFF、論理回路用電圧Vccを、変調回路5と表示コントローラ8に発光電圧VEON、非発光電圧VEOFF、論理回路用電圧Vccを供給する。
【0021】
表示コントローラ8は、走査回路6に垂直クロックVCLK、スタートパルスVIO、出力切り替え信号STBを、変調回路5に水平クロックHCLK、スタートパルスHIO、出力切り替え信号STB、変調回路用参照電圧VI0〜VIM、赤、緑、青に対応する3出力Iビットの表示データD0、D1、D2を出力する。これらの制御信号とデータ中変調回路用参照電圧VI0〜VIM以外の信号は全て論理回路用電圧Vccの振幅を持つ。また、アノード電源9はメタルバック11に蛍光体を発光させるためのアノード電圧VAを供給する。
【0022】
図2は、図1における変調回路5の構成図である。変調回路5は、半導体集積回路からなるデータドライバの直列接続で構成される。参照符号25は表示データを取り込むためのラッチ信号を生成するシフトレジスタである。参照符号24は表示コントローラから同時に入力される赤、緑、青に対応するD00〜D0I−1、D10〜D1I−1、D20〜D2I−1の3出力Iビットの表示データを順次取り込むデータレジスタである。参照符号23はデータレジスタの表示データを出力切り替え信号STBに同期して取り込み保持するデータラッチである。
【0023】
また、参照符号26は表示コントローラ8の出力する変調回路用参照電圧VI0〜VIMから抵抗分割により2J+1個の上位階調電圧を発生させる上位階調電圧生成部、22はデータラッチの出力するIビットの表示データに応じ2J+1個の上位階調電圧を用い2I(I>J)通りの電圧を生成出力するデコーダである。参照符号21はデコーダ出力電圧を出力電圧Y1〜Ymとして表示パネル4の列配線1の各々に出力するためのボルテージフォロワーカラーなる出力回路である。HR/Lはシフトレジスタのシフト方向を決めるための信号で、論理回路用電圧Vccまたは接地電圧GNDに固定されている。
【0024】
一水平走査期間が開始されると、スタートパルスHIOが第1のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)信号として入力されシフトレジスタ25内を水平クロックHCLKに同期してシフトする。そして、ラッチ信号が出力されると、3出力同時にIビットの表示データが順次データレジスタ24に取り込まれる。第1のデータドライバのデータレジスタ24への表示データ取り込みが終了すると、HIO2(あるいはHIO1)の電圧が論理回路用電圧Vccとなり第2のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)に入力され、第2のデータドライバへの表示データ取り込みが開始される。
【0025】
この様にして全表示データのデータレジスタ24への取り込みが終了すると、一水平走査期間の直前に、出力切り替え信号STBの立ち上がりに同期して全表示データがデータレジスタ24からデータラッチ23に取り込まれる。取り込まれた表示データはそれぞれデコーダ22により階調電圧に変換され、階調電圧は出力回路21により各列配線に出力される。
【0026】
図3は、図1における走査回路6の構成図である。走査回路6は半導体集積回路からなるスキャンドライバの直列接続で構成される。参照符号33は一水平走査期間ごとに選択行を順次切り替えるための選択信号を生成するシフトレジスタ、参照符号32はシフトレジスタ出力を論理回路用電圧Vcc−GNDのレベルから選択電圧VGON−非選択電圧VGOFFのレベルに変換するレベルシフタである。参照符号31はレベルシフトされたシフトレジスタ出力に応じ選択電圧VGONもしくは非選択電圧VGOFFを出力電圧G1〜Gnとして表示パネル4の行配線2の各々に出力するための出力回路である。VR/Lはシフトレジスタのシフト方向を決めるための信号で、論理回路用電圧Vccまたは接地電圧GNDに固定されている。
【0027】
一垂直走査期間が開始されると、スタートパルスVIOが第1のスキャンドライバのVIO1(あるいはVIO2)信号として入力され、一水平走査期間毎にシフトレジスタ33内を垂直クロックVCLKに同期してシフトし、選択信号が順次出力される。出力された選択信号と出力切り替え信号STBの反転信号との論理積がレベルシフタ32により選択電圧VGON−非選択電圧VGOFFのレベルにレベルシフトされ、表示パネル4の選択行配線に選択電圧VGONとして出力される。他方、表示パネル4の非選択行配線には非選択電圧VGOFFが出力される。第1のスキャンドライバ内のシフトが終了するとVIO2(あるいはVIO1)の電圧が論理回路用電圧Vccとなり第2のスキャンドライバのVIO1(あるいはVIO2)に入力され、第2のスキャンドライバ内のシフトが開始される。この様にして全行が順次選択される。
【0028】
図4は、図2に示すデータドライバ内の上位階調電圧生成部26とデコーダ22の各列毎のユニット22−1の詳細を説明する構成図である。図4において、VI0〜VIMは非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONの間の所定区間をM等分した変調回路用参照電圧である。参照符号40は変調回路用参照電圧VI0〜VIM(VI0>VI1・・・>VIM−1>VIM)の各区間を等分割し2J+1個の上位階調電圧v0からv8M(8Mは2Jに等しい)を発生する上位分割抵抗である。参照符号45,46はデータラッチ出力を論理回路用電圧Vcc−GNDのレベルから、非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONのレベルに変換するレベルシフタ、参照符号41はデータラッチに保持された上位Jビットのデータに応じ上位階調電圧から隣接する2電圧vlとvl+1を選択する上位デコーダ部である。
【0029】
vlとvl+1はそれぞれ選択された高電圧上位階調電圧と低電圧上位階調電圧、42−1と42−2はボルテージフォロワーからなるバッファアンプである。参照符号43は選択された高電圧上位階調電圧vlと低電圧上位階調電圧vl+1の間を等分割し2K個の階調電圧vl0カラーvln−1(nは2Kに等しい)を発生する下位分割抵抗である。参照符号44はデータラッチに保持された下位Kビットのデータに応じ分割抵抗により発生した階調電圧から出力電圧を選択出力する下位デコーダ部である。
【0030】
各変調回路用参照電圧VI0〜VIM間が上位分圧抵抗40により等分割され上位階調電圧v0からv8Mが生成される。生成された上位階調電圧からデータラッチに保持された上位Jビットデータに応じ上位デコーダ部41により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。高電圧上位階調電圧vlはバッファアンプ42−1を介して下位分割抵抗43の高電圧側端子に入力され、低電圧上位階調電圧vl+1はバッファアンプ42−2を介し下位分割抵抗43の低電圧側入力端子に印加される。入力された2電圧間は下位分割抵抗43により等分割され階調電圧vl0からvln−1が生成され、生成された階調電圧から下位デコーダ部44により下位Kビットのデータに応じ出力電圧が選択出力される。
【0031】
図5は、図4における上位デコーダ部41の詳細を示す回路図である。図5において、符号の上部に横線を付して示すものは、当該符号で示される信号の反転信号である。しかし、以下の明細書中では〔・・・〕のように〔〕で括った表記とする。すなわち、d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕はそれぞれ上位Jビットのデータラッチ出力をレベルシフトした信号とその反転信号を示す。
【0032】
d0が最上位ビットに、dJ−1が最下位ビットに対応している。また、v0からv8Mは上位階調電圧である。参照符号51はpチャネルMOSFET選択スイッチ、52はnチャネルMOSFET選択スイッチである。電圧の高い上位階調電圧v0からv8M/2の8M個の電圧はpチャネルMOSFET51により、電圧の低い上位階調電圧v8M/2からv8Mの8M個の電圧はnチャネルMOSFET52により選択がなされる。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各MOSFETのゲートに入力され、上位階調電圧v0からv8Mの中から隣接する2電圧vlとvl+1が選択される。
【0033】
図6は、図4における下位デコーダ部44の詳細を示す回路図である。dJ、dJ+1、・・、dJ+K−3、dJ+K−2、dJ+K−1と〔dJ〕、〔dJ+1〕、・・、〔dJ+K−3〕、〔dJ+K−2〕、〔dJ+K−1〕は、それぞれ下位Kビットのデータラッチ出力をレベルシフトした信号とその反転信号を示す。dJが最上位ビットに、dJ+K−1が最下位ビットに対応している。参照符号61はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFET選択スイッチである。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各MOSFETのゲートに入力され、上位デコーダ部により選択された隣接する2上位階調電圧vlとvl+1の間を等分割し生成した階調電圧vl0からvln−1の中から出力電圧を選択出力する。
【0034】
本実施例では、上位デコーダ部出力と下位分割抵抗の入力間にバッファアンプを備え、上位分割抵抗により発生した電圧から上位デコーダ部により選択した隣接2上位階調電圧をバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加し階調電圧を発生させ下位デコーダ部により選択している。この結果、上位デコーダ部により選択された隣接2上位階調は高インピーダンスのバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加されるため、下位分割抵抗が隣接2上位階調間に並列接続され上位階調電圧が変化することはない。
【0035】
また、上位デコーダ部は、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETからなり、下位デコーダ部は全てpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETで構成されている。この構成により入力される電圧の固定された上位デコーダ部のMOSFETの構成を簡略化するとともに、下位デコーダ部へ入力される上位階調電圧が変化しても選択時のオン抵抗の上昇を防ぐことができる。
【実施例2】
【0036】
実施例2は、バッファアンプを上位階調電圧生成部に設けたものである。図7は、本発明にかかる画像表示装置の実施例2の全体回路構成を示すブロック図である。図7中、VI0〜VIM、v0からv8M、vl0からvln−1、40、41、43から46は図4と同様である。また、72は上位分割抵抗40から出力される上位階調電圧毎に設けられたバッファアンプである。
【0037】
各変調回路用参照電圧VI0〜VIM間を上位分圧抵抗40により等分割して上位階調電圧v0からv8Mを生成する。生成された各上位階調電圧はバッフアンプ72を介し各列に設けられたデコーダの各列毎のユニット22−1に入力され、データラッチに保持された上位Jビットデータに応じ上位デコーダ部41により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。選択された2上位階調電圧間は下位分割抵抗43により等分割され階調電圧が生成される。この階調電圧カラー下位Kビットのデータに応じ下位デコーダ部により出力電圧が選択出力される。
【0038】
本実施例では、上位分割抵抗により分圧生成された各上位階調電圧をバッファアンプを介しデコーダの各列毎のユニットに入力し、上位デコーダ部により選択した隣接2上位階調電圧を下位分割抵抗の両端に印加し階調電圧を発生させ下位デコーダ部により選択している。上位分割抵抗出力は高インピーダンスのバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加されるため、第1の実施例と同様に上位デコーダ部により選択された2上位隣接階調間に下位分割抵抗が並列接続され上位階調電圧が変化することはない。
【実施例3】
【0039】
図4で説明した実施例1では、上位デコーダ部により選択された2上位階調電圧vlとvl+1のうち高電圧上位階調電圧vlがバッファアンプ42−1を介して、また低電圧上位階調電圧vl+1がバッファアンプ42−2を介して下位分割抵抗43の両端に入力される。この結果、各上位階調電圧が下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合とで異なるバッファアンプを介して下位分割抵抗43に入力されることになる。
【0040】
このため、高電圧上位階調電圧としてvlが選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最大電圧vl0とその1階調前の高電圧上位階調電圧としてvl−1が選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最低電圧vl−1n−1は異なるバッファアンプ42−1、42−2の出力電圧偏差の影響を受け、他の階調間より電圧ばらつきが大きくなって、画質が劣化する場合がある。このような画質劣化を防ぐため、本実施例では各上位階調電圧を常に同一のバッファアンプを介して下位分割抵抗43の両端に印加する構成とした。
【0041】
図8は、本発明にかかる画像表示装置の実施例3の図4に示すデコーダ22の各列毎のユニット22−1の詳細を示す構成図である。図中、v0からv8M、vl0からvln−1、41、43から46は図4と同様である。また、82−1、82−2はボルテージフォロワーからなるバッファアンプ、81−1、81−2、83−1、83−2はバッファアンプの入出力に設けられた上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータにより開閉し相補型MOSFET選択スイッチである。
【0042】
実施例1と同様に上位デコーダ部41により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。最下位ビットが0(lが偶数2L)の時は、レベルシフトした反転信号dJ−1が高レベルとなり選択スイッチ81−1と83−1がオンし、高電圧上位階調電圧v2Lはバッファアンプ82−1により下位分割抵抗43の高電圧側端子に入力され、低電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2により下位分割抵抗43の低電圧側端子に入力される。他方、最下位ビットが1(lが奇数2L+1)の時は、信号dJ−1が高レベルとなり選択スイッチ81−2と83−2がオンし、高電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2により下位分割抵抗43の高電圧側端子に入力され、低電圧上位階調電圧v2L+2はバッファアンプ82−1により下位分割抵抗43の低電圧側端子に入力される。
【0043】
以上の結果、下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも、偶数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−1を介し、奇数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−2を介し、下位分割抵抗43に入力される。
【0044】
本実施例では、上位デコーダ部により選択した2隣接上位階調電圧をバッファアンプを介して下位分割抵抗の両端に印加し階調電圧を発生させるに際し、バッファアンプの入出力に上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータにより開閉する選択スイッチを設け、各上位階調電圧を下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも同一のバッファアンブを介し入力されるように信号経路を切り替えた。
【0045】
この結果、特定の上位階調電圧が高電圧上位階調電圧として選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最大電圧vl0とその1階調前の特定階調電圧が低電圧上位階調電圧として選ばれた時の下位デコーダ部の出力する最低電圧vl−1n−1は同一のバッファアンプ42−1または42−2の出力電圧偏差の影響をうけるため、バッファアンプ出力電圧偏差が大きくとも、両電圧間電圧ばらつきが他の階調間より大きくなり、画質が悪くなるということがない。
【実施例4】
【0046】
実施例4は、本発明の実施例3におけるバッファアンプ入力側の選択スイッチの切り替え機能を上位デコーダ部に持たし、装置の簡略化を図ったものである。図9は、本発明の実施例4の図4に示すデコーダ22の各列毎のユニット22−1の詳細を説明する構成図である。図中、v0からv8M、vl0からvln−1、参照符号43から46は図4と、参照符号82−1,82−2、81−1、81−2、83−1、83−2は図8と同様である。参照符号91は、選択スイッチの切り替え機能を有する上位デコーダ部である。
【0047】
図10は、図9における上位デコーダ部91の詳細を示す回路図である。d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕、参照符号51および52は図5と同様である。参照符号101と102は上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータに応じ奇数番の上位階調電圧より高いか低いか何れかの隣接偶数番の上位階調電圧を選択するためのpチャネルMOSFET選択スイッチとnチャネルMOSFET選択スイッチである。
【0048】
電圧の高い上位階調電圧v0からv8M/2−1の8M/2個の電圧はpチャネルMOSFET51と101により、電圧の低い上位階調電圧v8M/2からv8Mの8M/2+1個の電圧はnチャネルMOSFET52と102により選択がなされる。
【0049】
上位階調電圧v0からv8Mよりデータラッチに保持された上位Jビットデータに応じ上位デコーダ部91により隣接する2上位階調電圧vlとvl+1が選択される。最下位ビットが0(lが偶数2L)の時は、レベルシフトした信号dJ−1が低レベルとなり、高電圧上位階調電圧v2Lはバッファアンプ82−1に入力され選択スイッチ83−1を介して下位分割抵抗43の高電圧側に印加される。また、低電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2に入力され選択スイッチ83−1を介して下位分割抵抗43の低電圧側に印加される。
【0050】
他方、最下位ビットが1(lが奇数2L+1)の時は、反転信号dJ−1が低レベルとなり高電圧上位階調電圧v2L+1はバッファアンプ82−2に入力され選択スイッチ83−2を介して下位分割抵抗43の高電圧入力端子に印加される。また、低電圧上位階調電圧v2L+2はバッファアンプ82−1に入力され選択スイッチ83−1を介して下位分割抵抗43の低電圧側入力端子に印加される。以上の結果、下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも、偶数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−1を介し、奇数番の上位階調電圧はバッファアンプ82−2を介し、下位分割抵抗43に入力される。
【0051】
本実施例では、各上位階調電圧を下位分割抵抗43の高電圧端子に入力される場合と低電圧端子に入力される場合のいずれの場合にも同一のバッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を、上位デコーダ部内に設けた上位デコーダ部の奇数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチとバッファアンプ出力に設けた選択スイッチにより構成し、上位デコーダ部に入力される最下位ビットデータに応じ切り替え得た。
【0052】
この結果、図5に示す様に従来2系列必要であった上位デコーダ部中の選択スイッチを一系統としデコーダを構成するスイッチを半減し、また、バッファアンプ入力側の選択スイッチを不要とできる。この結果、データドライバのチップサイズを小さくできる。
【実施例5】
【0053】
本発明は上位デコーダ部の構成によらず実施できる。本実施例は第4の実施例で上位デコーダ部を別の構成としたものである。図11は、本発明にかかる画像表示装置の実施例5の上位デコーダ部91の詳細を示す回路図である。d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕、v0からv8M、参照符号51、52は図5と同様の機能部分を、参照符号101、102は図10と同様の機能部分を示す。
【0054】
本実施例でも、実施例4と同様に、デコーダを構成するスイッチが半減し、また、バッファアンプ入力側の選択スイッチが不要となる。この結果、データドライバのチップサイズを小さくすることができる。
【実施例6】
【0055】
本発明は振幅変調により駆動されるものであれば、どのような形式の表示パネルを用いても実施できる。実施例6はドット反転駆動TFT液晶表示装置に本発明を適用した例である。ドット反転駆動はコモン一定駆動の一種で、各列毎各行毎に画素電極に印加される電圧の極性を反転する方式である。
【0056】
図12は、本発明にかかる画像表示装置の実施例6の全体回路構成を示すブロック図である。表示パネル124は、TFT123、TFT123に接続された列配線121、TFT123のゲ−ト電極に接続された行配線122、列配線122に印加された変調電圧が印加される画素電極1212を備える背面板と、背面板の対向面にコモン電極1211を備える前面板と、背面板と前面板間に封じされ画素電極に保持された変調電圧により光透過率の変化する液晶1210からなる。
【0057】
参照符号125は列配線122に振幅変調電圧を出力する変調回路、参照符号126は行選択を行う走査回路である。ドライバ電源127は、走査回路126に選択電圧VGON、非選択電圧VGOFF、論理回路用電圧Vccを印加し、変調回路125と表示コントローラ128に正負の発光電圧±VEON、論理回路用電圧Vccを供給する。表示コントローラ128は、走査回路126に垂直クロックVCLK、スタートパルスVIOを印加し、変調回路125に水平クロックHCLK、スタートパルスHIO、出力切り替え信号STB、出力正負切り替え信号POLE、正負変調回路用参照電圧±VI0〜VIM、表示データD0を出力する。これらの制御信号とデータ中の変調回路用参照電圧±VI0〜VIM以外の信号は、全て論理回路用電圧Vccの振幅を持つ。また、コモン電源129はコモン電極1211に液晶1210に印加される電圧の基準となるコモン電圧VCOMを供給する。
【0058】
図13は、図12における変調回路を構成するデータドライバの構成図である。このデータドライバは、参照符号25、24、23は図2と同様の機能部分である。+VI0〜+VIM(+VI0>+VI1・・・>+VIM−1>+VIM)は正の最大発光電圧VEONからコモン電圧間の間の所定区間を分割した正の変調回路用参照電圧である。−VI0〜−VIM(−VI0<−VI1・・・<−VIM−1<−VIM)は負の最大発光電圧−VEONからコモン電圧間の間の所定区間を分割した負の変調回路用参照電圧である。参照符号136−1と136−2はそれぞれ正の変調回路用参照電圧+VI0〜VIMまたは負の変調回路用参照電圧−VI0〜VIMカラー抵抗分割により2J+1個の正または負の上位階調電圧を発生させる正極側または負極側上位階調電圧生成部である。
【0059】
参照符号132−1と132−2はそれぞれデータラッチの出力するIビットの表示データに応じ2J+1個の正または負の上位階調電圧を用い2I(I>J)通りの電圧を生成出力する正極側または負極側デコーダ部である。参照符号131−1と131−2はそれぞれデコーダ出力電圧を出力電圧Y1〜Ymとして表示パネル124の列配線121の各々に出力するためのボルテージフォロワーカラーなる正極側または負極側出力回路部である。正極側デコーダ部および出力回路と負極側デコーダ部および出力回路は列毎に交互に配置されている。HR/Lはシフトレジスタのシフト方向を決めるための信号で、論理回路用電圧Vccまたは接地電圧GNDに固定されている。
【0060】
一水平走査期間が開始されると、スタートパルスHIOが第1のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)信号として入力されシフトレジスタ25内を水平クロックHCLKに同期してシフトし、ラッチ信号が出力されると、Iビットの表示データが順次データレジスタ24に取り込まれる。第1のデータドライバのデータレジスタ24への表示データ取り込みが終了するとHIO2(あるいはHIO1)の電圧が論理回路用電圧Vccとなって、第2のデータドライバのHIO1(あるいはHIO2)に入力されて第2のデータドライバへの表示データ取り込みが開始される。
【0061】
この様にして全表示データのデータレジスタ24への取り込みが終了すると、一水平走査期間の直前に、出力切り替え信号STBの立ち上がりに同期して全表示データがデータレジスタ24からデータラッチ23に取り込まれる。データラッチ23に取り込まれた表示データは正極側デコーダ部132−1または負極側デコーダ部132−2により階調電圧に変換され、変換された階調電圧はそれぞれ正極側出力回路部131−1または負極側出力回路部131−2により各列配線に出力される。以上の結果、各列配線には交互にコモン電圧VCOMに対して正または負の電圧が出力される。
【0062】
出力正負切り替え信号POLEは各水平走査期間ごとに交互に0と1となり、各列配線への出力電圧を各水平走査線ごとに正または負とする。出力正負切り替え信号POLEが0の時は、奇数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の奇数番地に取り込まれ、正極側デコーダ部132−1と正極側出力回路部131−1により正電圧として各奇数番列配線Y1、Y3、・・に出力される。また、偶数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の偶数番地に取り込まれ、負極側デコーダ部132−2と負極側出力回路部131−2により負電圧に変換され負電圧として各偶数番列配線Y2、・・に出力される。他方、出力正負切り替え信号POLEが1の時は、奇数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の偶数番地に取り込まれ、負極側デコーダ部132−2と負極側出力回路部131−2により負電圧として各奇数番列配線Y1、Y3、・・に出力される。
【0063】
また、偶数番列配線への出力に対応する表示データは、データレジスタ24の奇数番地に取り込まれ、正極側デコーダ部132−1と正極側出力回路部131−2により負電圧に変換され負電圧として各偶数番列配線Y2、・・に出力される。以上の結果、出力正負切り替え信号POLEの切り替えにより、各列配線への出力電圧を各水平走査線ごとに正または負となる。
【0064】
図13に示すデータドライバ内の正極側または負極側上位階調電圧生成部136−1と136−2は図4の26と同様、正極側または負極側デコーダ部132−1と132−2の各列毎のユニットの構成は図9の22−1と同様の機能部分である。正極側デコーダ部132−1では、選択スイッチ81−1、81−2、83−1、83−2はPチャネルMOSFETにより構成されている。
【0065】
図14は、本発明の実施例6における正極側上位デコーダ部の構成を説明する回路図である。上位デコーダ部91において、d0、d1、・・、dJ−3、dJ−2、dJ−1と〔d0〕、〔d1〕、・・、〔dJ−3〕、〔dJ−2〕、〔dJ−1〕はそれぞれ上位Jビットのデータラッチ出力を論理回路用電圧Vcc−GNDのレベルから正の最大発光電圧+VEONから負の最大発光電圧−VEONのレベルに変換した信号とその反転信号を示す。d0が最上位ビットに、dJ−1が最下位ビットに対応している。
【0066】
また、+v0から+v8Mは正の上位階調電圧である。参照符号51は図5と同様の、参照符号101は図10と同様のpチャネルMOSFET選択スイッチである。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各pチャネルMOSFETのゲートに入力され、図10と同様正の上位階調電圧+v0から+v8Mの中から隣接する2電圧v2L+1とv2Lまたはv2L+2が選択される。
【0067】
図15は、本発明にかかる実施例6の正極側デコーダ部における図9に示す下位デコーダ部44の詳細を説明する回路図である。dJ、dJ+1、・・、dJ+K−3、dJ+K−2、dJ+K−1と〔dJ〕、〔dJ+1〕、・・、〔dJ+K−3〕、〔dJ+K−2〕、〔dJ+K−1〕はそれぞれ下位Kビットのデータラッチ出力をレベルシフトした信号とその反転信号を示す。dJが最上位ビットに、dJ+K−1が最下位ビットに対応している。参照符号151はpチャネルMOSFET選択スイッチである。レベルシフトした信号またはその反転信号はそれぞれ各MOSFETのゲ−トに入力され、上位デコーダ部により選択された隣接する2上位階調電圧vlとvl+1の間を等分割し生成した階調電圧vl0からvln−1の中から出力電圧を選択出力する。
【0068】
他方、負極側デコーダ部においては、図9の選択スイッチ81−1、81−2、83−1、83−2、図14に示す上位デコーダ部の選択スイッチ51、101、図15に示す下位デコーダ部の選択スイッチ151が全てNチャネルMOSFETで構成されている。また、上位デコーダ部と下位デコーダ部にはデータラッチ出力をレベルシフト信号とその反転信号の極性を反転した信号が入力される。
【0069】
実施例6では、正極側デコーダ部の上位デコーダ部と下位デコーダ部をpチャネルMOSFETにより、負極側デコーダ部の上位デコーダ部と下位デコーダ部をNチャネルMOSFETにより構成することで、デコーダの構成を簡略化し、データドライバのチップサイズを縮小できる。
【0070】
実施例1から5では、変調回路用参照電圧VI0〜VIMを非発光電圧VEOFFから最大発光電圧VEONの間の所定区間をM等分した電圧としたが、電子放出素子の電圧対前面板への放出電流特性と必要な表示画質に応じ不均等としてもよい。また、上位分割抵抗40により変調回路用参照電圧VI0〜VIMの各区間を等分割し上位階調電圧v0からv8Mを発生したが、同様に、電子放出素子の電圧対前面板への放出電流特性と必要な表示画質に応じ不均等分割としてもよい。
【0071】
実施例6では、単色表示に対応して表示コントローラ8が表示データDOを出力する場合について述べたが、カラー表示に対応する3出力の表示データD0、D1、D2を出力する場合についても本発明は同様に実施できる。
【0072】
また、実施例6では、コモン電極1211を前面板に設けたが、横電界方式液晶表示パネルのようにコモン電極が前面板にある場合でも本発明は同様に実施できる。さらに、実施例4から6では、信号経路切り替え手段として、上位デコーダ部に上位デコーダ部の奇数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接偶数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチを設けたが、上位デコーダ部の偶数番の上位階調電圧より高いか低いかいずれかの隣接奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチを設けてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明にかかる画像表示装置の実施例1の全体回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1における変調回路の構成図である。
【図3】図1における走査回路の構成図である。
【図4】図2に示すデータドライバ内の上位階調電圧生成部とデコーダの各列毎のユニットの詳細を説明する構成図である。
【図5】図4における上位デコーダ部の詳細を示す回路図である。
【図6】図4における下位デコーダ部の詳細を示す回路図である。
【図7】本発明にかかる画像表示装置の実施例2の全体回路構成を示すブロック図である。
【図8】本発明にかかる画像表示装置の実施例3の図4に示すデコーダの各列毎のユニットの詳細を示す構成図である。
【図9】本発明の実施例4の図4に示すデコーダの各列毎のユニットの詳細を説明する構成図である。
【図10】図9における上位デコーダ部91の詳細を示す回路図である。
【図11】本発明にかかる画像表示装置の実施例5の上位デコーダ部の詳細を示す回路図である。
【図12】本発明にかかる画像表示装置の実施例6の全体回路構成を示すブロック図である。
【図13】図12における変調回路を構成するデータドライバの構成図である。
【図14】本発明の実施例6における正極側上位デコーダ部の構成を説明する回路図である。
【図15】本発明の実施例6における正極側デコーダ部の図9に示す下位デコーダ部の詳細を説明する回路図である。
【符号の説明】
【0074】
22−1・・・デコーダの各列毎のユニット、26・・・上位分割抵抗、41・・・上位デコーダ部、42−1と42−2・・・バッファアンプ、44・・・下位デコーダ部、45,46・・・レベルシフタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な複数本の行配線と、該行配線に交差する複数本の列配線と、前記行配線と前記列配線の交点近傍に表示素子を配置して表示領域を形成した背面板と、該背面板の少なくとも前記表示領域を覆って重ね合わせた前面板を有する表示パネルを備え、
前記背面板に、前記行配線に接続されて行選択を行う走査回路と、前記列配線に接続されて振幅変調電圧を出力する変調回路を有し、
前記変調回路は、外部から入力される変調回路用参照電圧間を分割して上位階調電圧を生成する上位分割抵抗を有する上位階調電圧生成部と、表示データを保持するデータラッチと、該データラッチに保持された上位ビットのデータに応じて上位階調電圧から隣接する2電圧を選択する上位デコーダ部および選択された2上位階調電圧間を分割し階調電圧を発生して前記データラッチに保持された下位ビットのデータに応じて発生した階調電圧を出力する電圧分割手段の出力電圧を選択出力する下位デコーダ部とからなるデコーダを有し、
前記上位分割抵抗と前記下位分割抵抗の間にバッファアンプを有する事を特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記バッファアンプが前記上位デコーダ部の出力と前記下位分割抵抗の入力端子間に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記デコーダが、各上位階調電圧を前記下位分割抵抗の高電圧端子に入力する場合と低電圧端子に入力する場合の何れの場合にも同一の前記バッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記信号経路切り替え手段が、上記上位デコーダ部に設けられた当該上位デコーダ部の奇数番もしくは偶数番の上位階調電圧より高いか低いか何れかの隣接偶数番もしくは奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチと、前記バッファアンプ出力に設けた選択スイッチとからなることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記上位デコーダ部は、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETからなり、前記下位デコーダ部はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETとからなることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記背面板に有する前記表示素子は、前記列配線に接続して前記行配線の上に絶縁膜を介して積層する薄膜電極で構成された薄膜型電子源であり、
前記前面板に、前記薄膜型電子源から放出される電子を加速する電圧を印加する対向電極を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記前面板に、前記薄膜型電子源から放出される電子で励起されて発光する蛍光体を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項7において、前記蛍光体は前記薄膜型電子源ごとに区画して形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記背面板に有する前記表示素子は、前記列配線で選択されて前記行配線を通して表示データが供給される薄膜トランジスタで駆動される画素電極と前記前面板との間に封入された液晶を有し、前記画素電極と共通電極との間に形成される電界で前記液晶の配向を制御する光シャッタ素子であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記共通電極は、前記背面板に前記画素電極と隣接して形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記共通電極は、前記前面板に形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項1】
互いに平行な複数本の行配線と、該行配線に交差する複数本の列配線と、前記行配線と前記列配線の交点近傍に表示素子を配置して表示領域を形成した背面板と、該背面板の少なくとも前記表示領域を覆って重ね合わせた前面板を有する表示パネルを備え、
前記背面板に、前記行配線に接続されて行選択を行う走査回路と、前記列配線に接続されて振幅変調電圧を出力する変調回路を有し、
前記変調回路は、外部から入力される変調回路用参照電圧間を分割して上位階調電圧を生成する上位分割抵抗を有する上位階調電圧生成部と、表示データを保持するデータラッチと、該データラッチに保持された上位ビットのデータに応じて上位階調電圧から隣接する2電圧を選択する上位デコーダ部および選択された2上位階調電圧間を分割し階調電圧を発生して前記データラッチに保持された下位ビットのデータに応じて発生した階調電圧を出力する電圧分割手段の出力電圧を選択出力する下位デコーダ部とからなるデコーダを有し、
前記上位分割抵抗と前記下位分割抵抗の間にバッファアンプを有する事を特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記バッファアンプが前記上位デコーダ部の出力と前記下位分割抵抗の入力端子間に配置されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記デコーダが、各上位階調電圧を前記下位分割抵抗の高電圧端子に入力する場合と低電圧端子に入力する場合の何れの場合にも同一の前記バッファアンブを介し入力するための信号経路切り替え手段を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記信号経路切り替え手段が、上記上位デコーダ部に設けられた当該上位デコーダ部の奇数番もしくは偶数番の上位階調電圧より高いか低いか何れかの隣接偶数番もしくは奇数番の上位階調電圧を選択するためのスイッチと、前記バッファアンプ出力に設けた選択スイッチとからなることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記上位デコーダ部は、電圧の高い上位階調電圧の選択のためのpチャネルMOSFETと、電圧の低い上位階調電圧の選択のためのnチャネルMOSFETからなり、前記下位デコーダ部はpチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETが並列接続された相補型MOSFETとからなることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記背面板に有する前記表示素子は、前記列配線に接続して前記行配線の上に絶縁膜を介して積層する薄膜電極で構成された薄膜型電子源であり、
前記前面板に、前記薄膜型電子源から放出される電子を加速する電圧を印加する対向電極を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記前面板に、前記薄膜型電子源から放出される電子で励起されて発光する蛍光体を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項7において、前記蛍光体は前記薄膜型電子源ごとに区画して形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記背面板に有する前記表示素子は、前記列配線で選択されて前記行配線を通して表示データが供給される薄膜トランジスタで駆動される画素電極と前記前面板との間に封入された液晶を有し、前記画素電極と共通電極との間に形成される電界で前記液晶の配向を制御する光シャッタ素子であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記共通電極は、前記背面板に前記画素電極と隣接して形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記共通電極は、前記前面板に形成されていることを特徴とする画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−36936(P2009−36936A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200340(P2007−200340)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】
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