説明

画像記録装置

【課題】複数の露光ヘッドによって露光を行う場合に、一部の露光ヘッドの露光チャンネルが故障した場合でも、装置の大型化や装置コストの上昇を抑えつつ、効率的な露光を行い、高速で高精細な記録を行うことのできる画像記録装置を提供する。
【解決手段】光ビームLを主走査方向Xに走査する回転ドラム駆動機構8と、露光光源10とレンズ14とリニアモータ21とを備え複数の露光チャンネルを有する複数の露光ヘッド5と、露光ヘッド5の位置及び露光ヘッド5の副走査方向Yの移動速度を検出するリニアエンコーダ27と、光ビームLの光量を測定する光量測定機構39と、露光チャンネルが使用可能か否かを判断し、露光ヘッド5ごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な前記露光チャンネルの数に応じて各露光ヘッド5間の間隔及び露光ヘッド5の副走査方向Yの移動速度を変更するようにリニアモータ21を制御する制御部35とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に係り、特に、露光光源から光ビームを記録材の露光面上に照射することにより画像を記録する画像記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置等において、記録材に光露光を施すことにより画像を記録する画像記録装置が用いられている。このような画像記録装置は、例えばLEDやレーザ等の発光体で構成される露光光源からの光ビームを、レンズ等からなる光学系を介して記録材の露光面に照射することにより記録材上に光ビームを結像させ、これにより記録材上に画像を記録するものである。
【0003】
このような画像記録装置には、記録材をドラムの外周面に巻回してドラムの外側から光を照射することにより記録材を露光させる外面走査方式のものと、記録材をドラムの内周面に装着するとともにドラムの内側に露光用の露光ヘッドを設けてドラムの内側から光を照射することにより記録材を露光させる内面走査方式のものとがある。
【0004】
ところで、近年、画像記録装置の記録速度の高速化が望まれているところ、記録材に光露光を施すことにより画像を記録する画像記録装置の記録速度は、光を照射する露光ヘッドの露光チャンネル数に依存する。このため、記録速度を上げるために、露光チャンネル数を増やす手段がとられている。すなわち、前記外面走査方式の場合には、例えば、複数の光源から光ファイバーによって光ビームを導き光ファイバーを束ねてアレイ状に配列することにより露光チャンネル数を増やす方式のもの(例えば、特許文献1参照)や、光源から照射された光を複数の光ビームに分岐させこの複数の光ビームを空間変調素子によって個別に変調した上で記録材の表面に結像させることにより露光チャンネル数を増やす方式のもの(例えば、特許文献2参照)が提案されている。また、内面走査方式の場合には、例えば、いわゆる回転多面鏡等により光ビームを回転させて主走査を行う手段を備えることにより、ドラム内部の限られた空間の中でも多重ビーム走査を可能とする方式が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかし、このように1つの露光ヘッド内の露光チャンネル数を増やした場合には、各露光チャンネルの光照射位置を精度よく配置して高精度の光露光を行うことが難しい。また、露光ヘッド上に多くの光源が集中することとなるため露光ヘッドの温度上昇を招く。また、露光チャンネル数が増えると光の焦点を合わせるためのレンズ等の光学素子も大型化せざるを得ず、歪みが生じやすくなるとともに、このような大型のレンズ等を搭載することは装置コストを上昇させる。さらに、記録材を巻回したドラムを主走査方向に回転させながら副走査方向に露光ヘッドを走査することにより光を照射する画像記録装置においては、一般に副走査を一定の速度で行いながら画像を露光するために、副走査方向に対して主走査線が直角にならず、傾斜を持つこととなる。そして、この傾斜角度は露光チャンネル数が増えるほど大きくなる。そのため、記録される画像にずれを生じてしまう等の問題もある。
【0006】
そこで、露光チャンネル数の比較的少ない露光ヘッドを副走査方向に複数配置した画像記録装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。このように、露光ヘッドを複数配置した場合にはレンズ等を大型化することなく記録速度の高速化を実現することができる。
【特許文献1】特開2000−141749号公報
【特許文献2】特開平8−90831号公報
【特許文献3】特開平5−5846号公報
【特許文献4】特開2003−330200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば前記特許文献4に記載の画像記録装置等においては、各露光ヘッドは一定間隔で配置されており、各露光ヘッドは露光ヘッド間の間隔が固定されたままボールネジ機構によって副走査方向に移動するようになっている。そして、前記特許文献4には、複数ある露光ヘッドの一部の露光チャンネルに故障が生じ使用不能となった場合には、全ての露光ヘッドの露光に用いる露光チャンネル数を故障が生じた露光ヘッドの使用可能な露光チャンネル数に合わせることが開示されている。
【0008】
しかしながら、このように全ての露光ヘッドの露光チャンネル数を故障している露光ヘッドの使用可能なチャンネル数に合わせると、故障を生じていない露光ヘッドを十分に活用することができず、効率的な露光を行うことができない。このため、画像記録に要する時間が必要以上に長くなるとの問題がある。
【0009】
また、仮に露光ヘッドを移動させるためのボールネジ機構を各露光ヘッドに設けて各露光ヘッドをそれぞれ別個に移動可能とした場合には、装置全体が大型化し、装置コストも上昇するとの問題もある。
【0010】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、複数の露光ヘッドによって露光を行う場合に、一部の露光ヘッドの露光チャンネルが故障した場合でも、装置の大型化や装置コストの上昇を抑えつつ、効率的な露光を行い、高速で高精細な記録を行うことのできる画像記録装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような問題を解決するため、請求項1に記載されている発明は、光ビームを主走査方向に走査するための主走査手段と、
前記光ビームを照射する露光光源と、前記露光光源から照射される前記光ビームを記録材の露光面に結像させるための光学系と、前記主走査方向とほぼ直交する副走査方向に移動するためのヘッド移動機構とを備え、複数の露光チャンネルを有する複数の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドの位置及び前記露光ヘッドの前記副走査方向の移動速度を検出するヘッド検出機構と、
前記露光ヘッドから照射される前記光ビームの光量を測定する光量測定機構と、
前記光量測定機構の測定結果に基づいて前記露光チャンネルが使用可能か否かを判断するとともに、前記露光ヘッドごとの前記露光チャンネルのうち連続する使用可能な前記露光チャンネルの数に応じて、前記各露光ヘッド間の間隔及び前記露光ヘッドの前記副走査方向の移動速度を変更するように前記ヘッド移動機構を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
【0012】
このような構成を有する請求項1に記載の発明は、露光光源と、レンズ等の光学系とを備える複数の露光ヘッドをヘッド移動機構によって副走査方向に移動するとともに、主走査手段により光ビームを主走査方向に走査して画像を記録する場合に、ヘッド検出機構によって露光ヘッドの位置及び露光ヘッドの副走査方向の移動速度を検出し、制御部がヘッド移動機構を制御して、露光ヘッドごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に応じて、各露光ヘッド間の間隔及び露光ヘッドの副走査方向の移動速度を変更するようになっている。
【0013】
請求項2に記載されている発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記副走査方向における前記各露光ヘッドの記録幅の比及び前記各露光ヘッドの前記副走査方向の移動速度の比が前記各露光ヘッドの連続する使用可能な前記露光チャンネルの数の比とほぼ同一となるように前記各露光ヘッド間の間隔及び前記各露光ヘッドの前記副走査方向の移動速度を変更するように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴としている。
【0014】
このような構成を有する請求項2に記載の発明は、副走査方向における各露光ヘッドの記録幅の比及び各露光ヘッドの副走査方向の移動速度の比が各露光ヘッドの連続する使用可能な前記露光チャンネルの数の比とほぼ同一となるように各露光ヘッド間の間隔及び各露光ヘッドの副走査方向の移動速度を変更するように制御部がヘッド移動機構を制御して露光ヘッドを移動させるようになっている。
【0015】
請求項3に記載されている発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像記録装置において、前記制御部は、前記各露光ヘッド間の間隔が前記露光ヘッドにより記録される画素の画素ピッチと前記露光ヘッドのそれぞれ前記副走査方向の上流側に位置する前記露光ヘッドの連続する使用可能な前記露光チャンネル数との積の整数倍となるように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴としている。
【0016】
このような構成を有する請求項3に記載の発明は、各露光ヘッド間の間隔が露光ヘッドにより記録される画素の画素ピッチと露光ヘッドのそれぞれ副走査方向の上流側に位置する露光ヘッドの連続する使用可能な露光チャンネル数との積の整数倍となるように制御部がヘッド移動機構を制御して露光ヘッドを移動させるようになっている。
【0017】
請求項4に記載されている発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像記録装置において、前記ヘッド移動機構は、固定子としての磁石と可動子としての電磁コイルとを備えるリニアモータであり、前記各露光ヘッドにはそれぞれ個別に前記電磁コイルが設置されることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載されている発明は、ヘッド移動機構として固定子としての磁石と可動子としての電磁コイルとを備えるリニアモータを用い、各露光ヘッドにそれぞれ個別に電磁コイルを設けて各露光ヘッドが独立して移動可能となっている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載された発明によれば、複数の露光ヘッドを用いて画像記録を行うので、1つの露光ヘッドが備える露光チャンネルが少なくてすみ、各露光チャンネルの照射位置を精度よく配列することができるとともに、記録材を巻回したドラムを主走査方向に回転させながら副走査方向に露光ヘッドを走査することにより生じる副走査方向に対する主走査線の傾斜の影響を少なくすることができる。また、露光ヘッド上に多くの光源が集中することもないので露光ヘッドの温度が必要以上に上昇することがない。また、1つの露光ヘッドが備える露光チャンネル数が比較的少ないので光の焦点を合わせるためのレンズ等を大型化する必要がなく装置コストを抑えることができる。
【0020】
また、このように複数の露光ヘッドを用いて画像記録を行う場合に露光ヘッドごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に応じて露光ヘッド間の間隔及び露光ヘッドの副走査方向の移動速度を変更するので、一部の露光ヘッドの露光チャンネルが故障した場合でも全ての露光ヘッドを効率的に使って画像記録を行うことができ、短時間で高精細な画像記録を行うことが可能となるとの効果を奏する。
【0021】
請求項2に記載された発明によれば、露光ヘッド間の間隔が副走査方向における各露光ヘッドの記録幅の比及び各露光ヘッドの副走査方向の移動速度の比が各露光ヘッドの連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ同一となるように調整されるので、一部の露光ヘッドの露光チャンネルが故障した場合でも全ての露光ヘッドを効率的に使って画像記録を行うことができ、短時間で高精細な画像記録を行うことが可能となるとの効果を奏する。
【0022】
請求項3に記載された発明によれば、露光ヘッド間の間隔が副走査方向における各露光ヘッドの記録幅と露光ヘッドのそれぞれ副走査方向の上流側に位置する露光ヘッドの連続する使用可能な前記露光チャンネル数との積の整数倍となるように調整を行うので、露光ヘッドごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に応じて露光ヘッド間の距離を調整したときに常に割り切れる長さで間隔を空けることができる。このため、各露光ヘッドを無駄なく効率的に使って画像記録を行うことができるので、短時間で高精細な画像記録を行うことが可能となるとの効果を奏する。
【0023】
請求項4に記載された発明によれば、リニアモータを用いて露光ヘッドを移動するので、ボールネジ機構を用いた場合と比較して露光ヘッドを円滑に移動させることができ、移動の際の振動を抑えて高精細な画像記録を行うことが可能となる。
【0024】
また、ボールネジ機構を用いて露光ヘッドを移動させる場合には露光ヘッドの移動距離及び移動速度をねじの回転数等から把握するのに対して、リニアモータの場合にはリニアエンコーダによって露光ヘッドの位置及び移動速度を正確に把握することができるので、より高精度の制御を行うことができる。
【0025】
さらに、各露光ヘッドにはそれぞれ個別に電磁コイルを設置するので、各露光ヘッドを独立して移動させることができ、露光ヘッド間の距離及び露光ヘッドの副走査方向の移動速度をそれぞれ別個に調整することが可能である。また、ボールネジ機構を用いる場合に露光ヘッド間の距離及び露光ヘッドの副走査方向の移動速度をそれぞれ別個に調整しようとすると、各露光ヘッド毎にボールネジを設ける必要があり、装置の大型化、装置コストの上昇を招くこととなるが、リニアモータの場合には各露光ヘッドに電磁コイルを設けるという簡易かつ安価な手法によって露光ヘッド間の距離及び露光ヘッドの副走査方向の移動速度の調整を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明に係る画像記録装置の一実施形態について、図1から図6を参照しつつ説明する。
【0027】
本実施形態において画像記録装置1は、例えば光によって露光する露光面を有する記録材4としての印刷版に直接画像記録を行うCTP(Computer to Plate)出力装置である。
【0028】
図1及び図2に示すように、画像記録装置1の内部には、画像記録を行うための各部材を固定する装置架台2が設けられている。装置架台2には、外周面に記録材4を保持するほぼ円筒形状の回転ドラム3と、回転ドラム3上に支持された記録材4を露光させることにより記録材4に画像を記録する複数の露光ヘッド5とが配設されている。
【0029】
回転ドラム3は、回転ドラム3の中心軸とほぼ同心となるように設けられた回転軸6を備えている。回転軸6は装置架台2に立設された支持部材7によって軸支されている。回転ドラム3は、主走査手段としての回転ドラム駆動機構8(図6参照)により回転軸6が回転することによって回転ドラム3の周方向である主走査方向Xに一定速度で回転可能となっている。
【0030】
なお、回転ドラム3に保持される記録材4としては、例えば、銀塩感材、ヒートモード記録材等を用いることができるが、記録材4は、ここに例示したものに限定されない。
【0031】
次に、露光ヘッド5は、露光ヘッド5を構成する各部を支持するヘッド支持台9を備えている。図1から図3に示すように、ヘッド支持台9の上には、例えば半導体レーザやLED(発光ダイオード)等の発光体で構成され光ビームLを照射する露光光源10が回転ドラム3と対向するように複数固定されている。
【0032】
各露光光源10には露光光源10から照射された光ビームLを伝送する光ファイバー12が接続されており、これらの光ファイバー12は一つに束ねられて光ファイバーアレイ13を形成している。また、前記光ファイバーアレイ13から照射される光ビームLの光軸上には、光ビームLを記録材4の露光面上に結像させるための光学系としてのレンズ14が配置されている。このレンズ14としては、単レンズ、または複数のレンズを組み合わせて構成されるレンズ群のいずれを用いてもよい。
【0033】
各露光光源10は、それぞれ前記光ファイバーアレイ13を介して1つの露光チャンネルを構成しており、1つの露光チャンネルはそれぞれ画像記録における1画素の記録幅に対応している。各露光光源10から照射された光ビームLは、それぞれ1画素の幅の記録を行うようになっている。
【0034】
また、図1及び図2に示すように、装置架台2の上には、ヘッド支持台9を移動させるヘッド移動機構としてのリニアモータ21を構成する長尺なシャフト状の固定子15が、回転ドラム3の回転軸6とはほぼ平行となるように回転ドラム3の幅方向に延在して設けられている。図4に示すように、固定子15は、ほぼ断面円形状の磁石17をN極同士あるいはS極同士が互いに対向するように複数連結したものを長尺なパイプ状部材16の内部に収納したものである。固定子15の両端は、装置架台2に固定された固定子支持部材18によって支持されている。
【0035】
固定子15に用いられる磁石17は磁束密度の大きい希土類磁石が好ましく、特に、希土類磁石としてネオジム系磁石、例えば、ネオジム-鉄-ボロン磁石(Nd-Fe-B磁石)等が好適に用いられる。このような希土類磁石をリニアモータ21の固定子15に用いる場合は、他の磁石を用いる場合と比べて高い推力を得ることができる。なお、磁石17は、ここに例示したものに限定されず、他の磁石を用いることもできる。
【0036】
また、パイプ状部材16は、アルミニウム合金、銅合金、非磁性ステンレス鋼等の非磁性材料によって形成される。パイプ状部材16は、内部に収納される磁石17から生じる磁界を減少させないようにできるだけ薄いことが好ましい。例えば、パイプ状部材16は厚さ1mmのステンレス鋼で形成したものが適用される。なお、パイプ状部材16を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
【0037】
前記ヘッド支持台9の露光光源10等が設けられている側とは反対の面であって前記固定子15に対応する位置には、電磁コイル19と電磁コイル19を保持しヘッド支持台9に固定されるコイル保持部材20とを備えリニアモータ21を構成する可動子22が設けられている。なお、コイル保持部材20は、電磁コイル19の全体を覆うものでなくてもよく、少なくとも電磁コイル19の一部を保持して電磁コイル19をヘッド支持台9に固定可能であればよい。
【0038】
図4に示すように、電磁コイル19はコイル23を複数巻回した中空のコイル群であり、例えば3相等、複数の相からなるが、電磁コイル19はこれに限定されない。電磁コイル19の巻き数は、得たい推力以上の推力を得ることができるように、適当な巻き数、巻き線径を決めることが好ましい。なお、電磁コイル19はここに例示した構成のものに限定されず、例えば、中空のボビンを備え、このボビンにコイル23を巻回する構成としてもよい。
【0039】
電磁コイル19の中空部分には前記固定子15が貫通するようになっており、この固定子15と可動子22とによってリニアモータ21が構成される。
【0040】
リニアモータ21は、可動子22の電磁コイル19に図示しない電源から電流が流されることにより電磁コイル19に磁界(N極、S極)を発生させ、電磁コイル19と固定15のパイプ状部材16内部に直線状に配置された磁石17との間に吸引力及び反発力を生じさせることにより推力を得て、露光ヘッド5を固定子15の長手方向(以下「副走査方向Y」と称する。)に移動させるようになっている。また、リニアモータ21は電源から流される電流の向きにより推力の向きが変化するようになっており、電源から流される電流の向きを切り替えることにより露光ヘッド5の移動方向を切り替え可能となっている。さらに、リニアモータ21は電源から流される電流の大きさにより推力の大きさを変化させることができ、電流の大きさを変えることにより露光ヘッド5の移動速度を変更可能となっている。
【0041】
なお、固定子15の外周面と電磁コイル19の内周面との間には微小な間隙があり、電磁コイル19は固定子15の外周面を一部摺動してもよいし、摺動せずに間隙を保ったまま移動してもよい。
【0042】
本実施形態に示すような円柱形状の磁石17を用いることにより磁石17の製造コストを抑えることができるとともに、円柱形状の磁石17からなる固定子15を電磁コイル19に貫通させる構成とすることにより磁束の利用効率が良く、固定子15の大きさを必要以上に大きくしなくても大きな推力を得ることができる。なお、露光ヘッド5を移動させるヘッド移動機構としてのリニアモータ21の構成はここに例示したものに限定されず、他の形状の固定子及び電磁コイルを備えるリニアモータを用いてもよい。
【0043】
また、装置架台2の上には、露光ヘッド5を案内するガイドレール24が固定子15とほぼ平行となるように設けられている。ガイドレール24の両端は装置架台2に固定されたレール支持部材25によって支持されている。前記ヘッド支持台9の可動子22が設けられている面であってガイドレール24に対応する位置には、ガイドレール24を貫通させる中空部を備えるガイド部材26が設けられている。ガイド部材26はガイドレール24に沿って摺動可能となっており、可動子22が固定子15に沿って移動する際、露光ヘッド5が副走査方向Yに沿って往復移動するようにガイド部材26が露光ヘッド5を支持するようになっている。
【0044】
さらに、装置架台2の上には、露光ヘッド5の位置及び副走査方向Yの移動速度等を検知するヘッド検出機構としてのリニアエンコーダ27を構成するエンコーダスケール28が固定子15及びガイドレール24と平行するように副走査方向Yに延在して設けられている。また、ヘッド支持台9の可動子22が設けられている面であってエンコーダスケール28に対向する位置には、エンコーダスケール情報を検出するための光センサ29がエンコーダスケール28に対向するように設けられている。
【0045】
エンコーダスケール28は、例えば光学式の反射式スケールであり、露光ヘッド5の移動方向である副走査方向Yに光高反射率面と光低反射率面とが交互に所定の間隔で並んでいる。
【0046】
図5に示すように、光センサ29は、LED等の発光素子によって構成され前記エンコーダスケール28に対して光を照射する光源31と、2つの位相格子を互い違いに嵌め込んでなる走査格子32と、前記光源31から照射されエンコーダスケール28により反射した光を集光するコンデンサレンズ33と、フォトダイオードやフォトトランジスタ等により構成されコンデンサレンズによって集光された反射光を受光する受光素子34とを備えている。光センサ29は、エンコーダスケール28に臨みつつ、露光ヘッド5と共に移動可能となっている。
【0047】
光源31から照射された光はコンデンサレンズ33を透過することにより平行光の束となり、走査格子32を介してエンコーダスケール28に照射される。光はエンコーダスケール28によって反射し、その反射光は走査格子32及びコンデンサレンズ33を介して受光素子34により受光される。コンデンサレンズ33からの光が走査格子32を透過することによりエンコーダスケール28の表面には、例えばそれぞれ目盛間隔が1/4ずつずれた4つの格子像が形成され、その反射光が受光素子34に入射してほぼ90度の位相差を有する4相の正弦波信号が発生する。エンコーダスケール28の上を光センサ29が移動すると、受光素子34は随時エンコーダスケール28からの反射光を受光し、その反射光の強度(光度、光量等)を検出して受光した光に応じたエンコーダ信号を生成するようになっている。
【0048】
なお、エンコーダスケール28は、ここに例示したものに限定されず、例えば露光ヘッド5の移動方向である副走査方向Yに光透過率が高い部分と低い部分とが交互に所定の間隔で並ぶ透過式のスケールを適用することも可能である。このような透過式のエンコーダスケールを用いる場合には、光センサによってエンコーダスケールを透過する透過光の強度を検出する。
【0049】
さらに、回転ドラム3の近傍であって露光ヘッド5から照射された光を受光可能な位置には、露光ヘッド5の露光光源10から照射された光ビームLの光量を測定する光量測定機構39が設けられている。光量測定機構39は、例えば、露光光源10から照射された光ビームLを受光するフォトセンサ(図示せず)、フォトセンサで検出した光ビームLの光量に応じたアナログ信号のA/D変換を行うA/Dコンバータ(図示せず)等から構成される。なお、光量測定機構39は露光ヘッド5から照射された光を受光して光量を測定可能なものであればよく、その構成はここに例示したものに限定されない。また、図1には光量測定機構39を1つ設けた例を例示したが、光量測定機構39の数はこれに限定されず、例えば回転ドラム3の両側にそれぞれ1つずつ配置してもよい。
【0050】
また、図6に示すように、画像記録装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)36と、各種のプログラム等を格納する記憶手段としてのROM(Read Only Memory)37と、RAM(Random Access Memory)38とを有する制御部35を備えている。制御部35は、ROM37に格納される所定のプログラムを読み出してRAM38の作業領域に展開し、当該プログラムに従ってCPU36が各種処理を実行するようになっている。
【0051】
RAM38は、CPU36によって指定された各種プログラムや各種データ、および処理結果等を格納するワークメモリエリア(図示せず)を有する。CPU36は、ROM37に記憶されているシステムプログラムや各種アプリケーションプログラムの中から、指定されたプログラムを読み出してRAM38内のワークメモリエリアに格納し、このRAM38内に格納されたプログラムに従って各種処理を実行するとともに、処理結果をRAM38内のワークメモリエリアに格納するようになっている。
【0052】
制御部35には前記光量測定機構39が受光した光ビームLの光量が信号化されて送られるようになっており、制御部35は光量測定機構39から送られた露光時の光量データに基づいて、露光ヘッド5の露光チャンネルのうち点灯していないもの又は光量が少ないもの等、光露光に使用できない露光チャンネルがないかを判断する。
【0053】
また、本実施形態において、ROM37には、例えば、露光ヘッド5ごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に基づいて各露光ヘッド5間の適正距離及び各露光ヘッド5の副走査方向Yの移動速度を算出するヘッド移動演算プログラムや露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数と各露光ヘッド5間の距離及び移動速度データとの関係を関連付けたLUT(Look Up Table)等が格納されている。なお、LUTが格納されている場所はROM37に限定されない。
【0054】
画像記録装置1には、外部機器から画像データが送信されるようになっており、送られた画像データは制御部35のRAM38に一時的に格納される。また、制御部35には、各露光ヘッド5に設けられているリニアエンコーダ27の光センサ29からエンコーダ信号が送られるようになっており、制御部35は送られたエンコーダ信号から各露光ヘッド5の位置及び副走査方向Yの移動速度を把握するようになっている。
【0055】
制御部35は、外部機器から画像データが送られると、送られた画像データから画像の記録幅を判断した上で、ROM37からヘッド移動演算プログラムを読み出し露光ヘッドごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に応じた各露光ヘッド5間の適正距離及び露光ヘッドの副走査方向Yの移動速度を算出するようになっている。
【0056】
ここで、露光ヘッド5ごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に応じた各露光ヘッド5間の適正距離とは、副走査方向Yにおける各露光ヘッド5の記録幅の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなり、かつ、各露光ヘッド5間の間隔が露光ヘッド5により記録される画素の画素ピッチと露光ヘッド5のそれぞれ副走査方向Yの上流側に位置する露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネル数との積の整数倍となる距離である。露光ヘッド5により記録される画素の画素ピッチとは露光ヘッド5のある露光チャンネルによって記録される1画素の中心から隣接する露光チャンネルによって記録される1画素の中心までの幅をいう。なお、露光ヘッド5の1つの露光チャンネルによって記録される1画素の幅及び各露光ヘッド5の露光チャンネル数は、予めROM37等に記憶されていてもよいし、操作者が適宜設定してもよい。
【0057】
また、露光ヘッド5の副走査方向Yの移動速度は、各露光ヘッド5の副走査方向Yの移動速度の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなるように決定される。
【0058】
例えば、図7に示すように、2つの露光ヘッド5があり、各露光ヘッド5の露光チャンネルがそれぞれ32チャンネルである場合に、そのうち1つの露光ヘッド5の16番目の露光チャンネルが点灯せず使用できないと制御部35により判断された場合について、各露光ヘッド5間の間隔及び露光ヘッド5の副走査方向Yの移動速度がどのように決定されるかについて以下に説明する。
【0059】
この場合、故障のある露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネル数は17番目から32番目までの16チャンネルとなる。よって、故障のない露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数と故障のある露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数との比は32対16、すなわち、2対1となる。したがって、副走査方向Yにおける各露光ヘッド5の記録幅の比は、故障のない露光ヘッドが2に対して故障のある露光ヘッドは1となり、かつ、各露光ヘッド5間の間隔が露光ヘッド5により記録される画素の画素ピッチと露光ヘッド5のそれぞれ副走査方向Yの上流側に位置する露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネル数との積の整数倍となる距離が露光ヘッド5ごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に応じた各露光ヘッド5間の適正距離となる。また、前記の例においては、故障のない露光ヘッド5は故障のある露光ヘッドの2倍の記録幅を記録することとなるので、故障のない露光ヘッド5は故障のある露光ヘッドの2倍の速度、すなわち、故障のない露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数と故障のある露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数との比である2対1に対応する速度で副走査方向Yに移動するように副走査方向Yの移動速度が決定される。
【0060】
また、制御部35は、リニアモータ21の電磁コイル19に電流を流してリニアモータ21を駆動させ、露光ヘッド5を副走査方向Yに往復移動させるようになっている。
【0061】
また、制御部35は、回転ドラム駆動機構8を制御することによって記録材4を保持する回転ドラム3を主走査方向Xに一定速度で回転させるようになっている。
【0062】
さらに、制御部35は、画像情報に応じて露光制御回路11に露光制御信号を出力し、これにより露光ヘッド5の露光光源10を制御して、各露光ヘッド5から露光制御信号に応じた適宜光を照射させるようになっている。
【0063】
次に、本実施形態に係る画像記録装置の作用について説明する。
【0064】
外部機器から画像データが送られると、制御部35が送られた画像データが一時的にRAM38に格納される。
【0065】
画像記録を開始する前には、光量測定機構39により各露光ヘッドの露光時の光量が測定され、制御部35は光量測定機構39から送られた露光時の光量データに基づいて、露光ヘッドの露光チャンネルのうち使用できない露光チャンネルがないかを判断する。使用できない露光チャンネルがある場合には、制御部35のCPU36は故障のない露光ヘッド5と故障のある露光ヘッド5の使用可能な露光チャンネル数に基づいて、故障のない露光ヘッド5と故障のある露光ヘッド5の使用可能な露光チャンネル数との比を算出する。
【0066】
そして、制御部35のCPU36は、ROM37からヘッド移動演算プログラムを読み出してRAM38のワークメモリエリアに展開し、このヘッド移動演算プログラムに基づいて、副走査方向Yにおける各露光ヘッド5の記録幅の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなり、かつ、各露光ヘッド5間の間隔が露光ヘッド5により記録される画素の画素ピッチと露光ヘッド5のそれぞれ副走査方向Yの上流側に位置する露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネル数との積の整数倍となる距離を露光ヘッドごとの露光チャンネルのうち連続する使用可能な露光チャンネルの数に応じた各露光ヘッド5間の適正距離として算出し、さらに、各露光ヘッドの副走査方向Yの移動速度の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなる速度を露光ヘッドの副走査方向Yの移動速度として算出する。
【0067】
次に、制御部35はリニアモータ21を動作させて、露光ヘッド5間の間隔が前記適正距離となる位置まで適宜各露光ヘッド5を移動させる。各露光ヘッド5の位置はリニアエンコーダ27によって検出され、各露光ヘッド5の位置情報がリニアエンコーダ27の光センサ29からエンコーダ信号として随時制御部35に送られる。
【0068】
露光ヘッド5が所定の位置まで移動すると、画像記録装置1によって記録材4の露光面を光露光して画像を行う。画像記録を行う際には、回転ドラム3の外周面に記録材4を露光面が外側となるように保持させるとともに、制御部35が回転ドラム駆動機構8を動作させることにより回転ドラム3を主走査方向Xに回転させる。
【0069】
そして制御部35の制御により、露光光源10から光ビームLを照射して、レンズ14を介して当該光ビームLを記録材4の表面である露光面上に結像させる。さらに、制御部35は、回転ドラム3を主走査方向Xに回転させながら、リニアモータ21を動作させて露光ヘッド5を副走査方向Yに往復移動させる。この際、露光ヘッド5の位置及び副走査方向Yの移動速度はリニアエンコーダ27の光センサ29によって検出され、各露光ヘッド5の位置情報及び副走査方向Yの移動速度情報が光センサ29からエンコーダ信号として随時制御部35に送られる。制御部35は光センサ29から送られるエンコーダ信号により各露光ヘッド5の位置及び副走査方向Yの移動速度を把握して、露光ヘッド5の位置及び副走査方向Yの移動速度に応じてリニアモータ21の電磁コイル19に流す電流の向き又は強度を切り替える。これにより、露光ヘッド5の移動方向や移動速度を適宜切り替えながら順次記録材4の露光面を光露光する副走査を行い記録材4の露光面上に所定の画像を記録する。
【0070】
以上のように、本実施形態によれば、露光ヘッド5間の距離を副走査方向Yにおける各露光ヘッド5の記録幅の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなり、かつ、各露光ヘッド5間の間隔が露光ヘッド5により記録される画素の画素ピッチと露光ヘッド5のそれぞれ副走査方向Yの上流側に位置する露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネル数との積の整数倍となるように調整し、さらに、各露光ヘッドの副走査方向Yの移動速度の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなるように各露光ヘッドの副走査方向Yの移動速度を調整する。このため、複数の露光ヘッド5を用いて画像記録を行う場合に、露光ヘッドの一部の露光チャンネルに故障があり使用できない場合でも各露光ヘッド5を効率的に走査させることができ、画像記録の高速化を実現することができる。
【0071】
また、露光ヘッド5を副走査方向Yに移動させる手段としてリニアモータ21を用いているので、露光ヘッド5を複数設けた場合でも、副走査方向Yの移動手段としてボールネジ機構等を用いた場合と比較して、装置が大型化せず、装置コストを抑えることもできる。さらに、リニアモータ21はボールネジ機構等と比較して移動の際の動きが滑らかであり、かつ、露光ヘッド5の位置をリニアエンコーダ27により検出しながら移動方向や移動距離、移動速度等を制御するため、露光ヘッド5の位置や移動速度を正確に把握して副走査を行うことができ、高精細な画像記録を行うことができる。
【0072】
なお、本実施形態においては、2つの露光ヘッド5を副走査方向Yに配置する場合を例として説明したが、露光ヘッド5の数はここに示したものに限定されず、さらに複数の露光ヘッド5を副走査方向Yに並べて配置してもよい。この場合、それぞれの露光ヘッド5に電磁コイル19を備える可動子22及びリニアエンコーダ27を構成する光センサ29を設けて、各露光ヘッド5がそれぞれ独立して移動可能とする。そして、この場合には、画像記録装置に配置される全ての露光ヘッド5について各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比が算出される。
【0073】
また、本実施形態においては、露光ヘッド5間の距離を副走査方向Yにおける各露光ヘッド5の記録幅の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなり、かつ、各露光ヘッドの副走査方向Yの移動速度の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなること、及び、各露光ヘッド5間の間隔が露光ヘッド5により記録される画素の画素ピッチと露光ヘッド5のそれぞれ副走査方向Yの上流側に位置する露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネル数との積の整数倍となることという条件を全て満たすように露光ヘッド5を配置するようにしたが、単に露光ヘッド5間の距離を副走査方向Yにおける各露光ヘッド5の記録幅の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなり、かつ、各露光ヘッドの副走査方向Yの移動速度の比が各露光ヘッド5の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなるように露光ヘッド5を配置するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、回転ドラム3の外周面に記録材4を保持して画像記録を行う外面走査方式の画像記録装置1について説明したが、本発明は他の方式の画像記録装置にも適用する事が可能である。例えば、図8に示すように、内周面に感光材料等の記録材4を装着可能な円筒状の固定ドラム41を備え、固定ドラム41の内部に光ビームLを走査し、画像記録を行う露光ヘッド42を備える内面走査方式の画像記録装置にも本発明を適用することができる。
【0075】
すなわち、内面走査方式の画像記録装置は、例えば、図8に示すように、内周面に露光面を有する記録材4を装着可能な円筒状の固定ドラム41と、固定ドラム41の内部に配置される複数の露光ヘッド42とを備えている。露光ヘッド42は、例えば半導体レーザやLED(発光ダイオード)等、光ビームLを照射する複数の図示しない発光体で構成され複数の露光チャンネルを有する露光光源43を備えている。露光ヘッド42の上であって露光光源43から照射される光ビームLの光路上には、主走査手段であるモータ46により固定ドラム41の中心軸を回転軸として回転する光反射素子45が設けられている。また、光ビームLの光路上であって露光光源42と光反射素子45との間には光ビームLを集束させ記録材4の露光面に結像させる光学系としてのレンズ44が設けられている。さらに、固定ドラム41の内部には、図示しない複数の磁石からなり露光ヘッド42を固定ドラム41の長手方向(以下「副走査方向」と称する。)に移動させるヘッド移動機構としてのリニアモータ51を構成するシャフト状の固定子47が固定ドラム41の中心軸とほぼ平行するように副走査方向に延在して設けられている。各露光ヘッド42の固定子47に対応する位置にはリニアモータ51を構成する可動子48が設置されている。可動子48は図示しない中空の電磁コイルを備えており、固定子47は可動子48の中空部を貫通するようになっている。なお、リニアモータ51の構成は前記実施形態中に示したものと同様であるため省略する。また、固定ドラム41の内部には、露光ヘッド42の位置等を検出するヘッド検出機構としてのリニアエンコーダ50のエンコーダスケール49が固定子47とほぼ平行して副走査方向に延在して設けられている。前記露光ヘッド42の一端であってエンコーダスケール49に対向する位置にはリニアエンコーダ50を構成する光センサ(図示せず)が設けられている。さらに、固定ドラム41の内側一端であって光ビームLを受光可能な位置には、各露光チャンネルごとの光ビームLの光量を測定する光量測定機構52が設けられている。また、装置各部は図示しない制御部により統括制御されるようになっている。
【0076】
このような内面走査方式の画像記録装置において、光量測定機構52から情報が送られると、制御部はこれに基づいて各露光チャンネルが使用可能か否かを判断し、リニアモータ51を動作させて、副走査方向における各露光ヘッド42の記録幅の比が各露光ヘッド42の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなり、かつ、各露光ヘッド42間の間隔が露光ヘッド42により記録される画素の画素ピッチと露光ヘッド42のそれぞれ副走査方向Yの上流側に位置する露光ヘッド42の連続する使用可能な露光チャンネル数との積の整数倍となる距離となるように露光ヘッド42を適宜移動させる。このとき、リニアエンコーダ50によって露光ヘッド42の位置が検出され、制御部はリニアエンコーダ50からの情報に基づいて露光ヘッド42が適当な位置まで移動したか否かを判断する。
【0077】
各露光ヘッド42が適当な位置に移動すると、制御部は露光光源43から光ビームLを照射させて画像記録を開始させる。すなわち、露光光源43から照射された光ビームLは光反射素子45によって反射すると共に、光路中のレンズ44の集束作用によって集束され、固定ドラム41の内周面に装着された記録材4の露光面上で結像する。光ビームLはモータ46により光反射素子45が回転することによって主走査されると共に、ヘッド移動機構としてのリニアモータ51が駆動することにより副走査が行われる。副走査を行う際、露光ヘッド42の位置及び副走査方向の移動速度はリニアエンコーダ50によって検出され、制御部は各露光ヘッド42の位置情報及び副走査方向Yの移動速度情報に基づいてリニアモータ51に流す電流の強度又は向きを切り替える。このとき、制御部は各露光ヘッド42の副走査方向の移動速度の比が各露光ヘッド42の連続する使用可能な露光チャンネルの数の比とほぼ等しくなるようにリニアエンコーダ50を制御する。これにより、記録材4の露光面上に順次画像が記録される。
【0078】
また、本実施形態ではCTP出力装置を例として説明したが、本発明は、光露光によって画像を記録する装置であれば他の装置にも適用することができる。例えば、印刷物を作成するに当たって、デジタル画像信号から印刷版を作成する前に、このデジタル画像信号から作成された印刷版で印刷されて得られる画像をシミュレーションするプルーフを作成し、デジタル画像信号が示す画像にレイアウト、色、文字等の誤りがあるか否かなどの誤りの有無を検査し、印刷物の仕上がりを事前に確認するために、プルーフを作成する装置や、医療用画像を撮影したフィルムを露光処理する露光装置等にも適用可能である。
【0079】
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る画像記録装置の一実施形態の要部を模式的に示した上面図である。
【図2】図1に示す画像記録装置の要部の側面図である。
【図3】図1に示す画像記録装置の露光ヘッドの要部構成を示した斜視図である。
【図4】実施形態に示した画像記録装置に適用されるリニアモータの要部構成を示す斜視図である。
【図5】実施形態に示した画像記録装置に適用されるリニアエンコーダの要部構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る画像記録装置の一実施形態の制御構成の概略を示した要部ブロック図である。
【図7】露光チャンネルと画像の記録幅との関係を模式的に示した図である。
【図8】実施形態に示した画像記録装置の変形例の要部を模式的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
3 回転ドラム
4 記録材
5 露光ヘッド
9 ヘッド支持台
10 露光光源
12 光ファイバー
13 光ファイバーアレイ
14 レンズ
15 固定子
17 磁石
19 電磁コイル
21 リニアモータ
22 可動子
24 ガイドレール
26 ガイド部材
27 リニアエンコーダ
28 エンコーダスケール
29 光センサ
35 制御部
36 CPU
37 ROM
38 RAM
39 光量測定機構
X 主走査方向
Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを主走査方向に走査するための主走査手段と、
前記光ビームを照射する露光光源と、前記露光光源から照射される前記光ビームを記録材の露光面に結像させるための光学系と、前記主走査方向とほぼ直交する副走査方向に移動するためのヘッド移動機構とを備え、複数の露光チャンネルを有する複数の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドの位置及び前記露光ヘッドの副走査方向の移動速度を検出するヘッド検出機構と、
前記露光ヘッドから照射される前記光ビームの光量を測定する光量測定機構と、
前記光量測定機構の測定結果に基づいて前記露光チャンネルが使用可能か否かを判断するとともに、前記露光ヘッドごとの前記露光チャンネルのうち連続する使用可能な前記露光チャンネルの数に応じて、前記各露光ヘッド間の間隔及び前記露光ヘッドの前記副走査方向の移動速度を変更するように前記ヘッド移動機構を制御する制御部とを備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記副走査方向における前記各露光ヘッドの記録幅の比及び前記各露光ヘッドの前記副走査方向の移動速度の比が前記各露光ヘッドの連続する使用可能な前記露光チャンネルの数の比とほぼ同一となるように前記各露光ヘッド間の間隔及び前記各露光ヘッドの前記副走査方向の移動速度を変更するように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記各露光ヘッド間の間隔が前記露光ヘッドにより記録される画素の画素ピッチと前記露光ヘッドのそれぞれ前記副走査方向の上流側に位置する前記露光ヘッドの連続する使用可能な前記露光チャンネル数との積の整数倍となるように前記ヘッド移動機構を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記ヘッド移動機構は、固定子としての磁石と可動子としての電磁コイルとを備えるリニアモータであり、前記各露光ヘッドにはそれぞれ個別に前記電磁コイルが設置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−334893(P2006−334893A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161390(P2005−161390)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】