説明

界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物

本発明は、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物において、コサーファクタントとして、主鎖に設けられた2つ以上の側鎖を有する両親媒性櫛形ポリマーを使用し、その際これらの側鎖は相互におよび/または主鎖と、その両親媒性特性において異なっていることを特徴とする、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物、エマルジョンを安定化するための混合物の使用、界面活性剤およびコサーファクタントを含有するマイクロエマルジョン、混合物またはマイクロエマルジョンの使用、並びに洗剤、清浄剤、殺菌剤、湿潤剤、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、保湿剤または繊維処理剤または医薬組成物、食品、植物保護組成物または化粧用組成物、特に日焼け止め、皮膚ケヤ剤またはヘヤースタイリング剤、シャワーゲル、シャンプー、浴用剤または香油に関する。
【0002】
界面活性剤は相互に非混和性の液相間、極性相、しばしば水と非極性有機相との間の界面張力を低下させ、その結果相互の溶解性を高める物質である。界面活性剤は特徴的な構造を有し、少なくとも親水性および疎水性構造単位を有する。この構造は両親媒性ともいわれる。
【0003】
界面活性剤は、その環境に対する認容性を保証されていなければならない、生態学的に特に重要な物質である。従って、廃水中の界面活性剤残分の良好な分解性の他に、使用する界面活性剤の量をその効果にできるだけ影響を与えることなく低下させること、すなわち界面活性剤の効果を上昇させることも非常に重要である。その際、界面活性剤の効果としては、一定の効果を達成するために、例えば、極性相中への非極性相の割合を、もしくは逆に非極性相中への極性相の割合を溶解化するために、もしくは表面張力をできるだけ低い濃度でできるだけ強く減少させるために、必要である界面活性剤の量を通常示す。
【0004】
通常の好ましいエマルジョンは、油相および水相を非常に差のある体積割合で含有することができる。エマルジョンは連続相および分散した相を有し、この分散した相は界面活性剤で覆われることにより安定な球状物として連続相中に存在する。連続相の性質により水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンに相当する。これらのエマルジョンは、理想的な場合は、動力学的に安定である、すなわち、長期間にわたっても、制限なしに保持される。特に、温度変動においてエマルジョンは、沈殿、クリーミング、増粘またはフレークの形成により相分離の傾向がある。
【0005】
いわゆるマイクロエマルジョンは、2つの非混和性の液体、例えば油および水の、熱力学的に安定で、液状の、光学的に透明な組成物である。マイクロエマルジョンは、界面活性剤、またはしばしば界面活性剤およびコサーファクタントからなる混合物が、油/水の界面張力を著しく低い値に、しばしば10−3〜10−9、有利に10−4〜10−6N/mに低下させる場合に生じ、こうして熱変動によっても両方の不溶性の相は均質に分散したままに保持される。マイクロエマルジョンは、しばしば平衡範囲を有する二連続構造(bikontinuierliche Strukture)を有し、いわゆる100〜1000オングストロームの範囲のサブ相を有する(Advanced Materials,2000,12,No23,p1751以降)。
【0006】
二連続マイクロエマルジョンは、2相、水相および油相を、延ばして並置され、相互の中に絡み合った領域の形で含有し、その界面に安定化する界面活性剤が単分子層で設けられている。二連続マイクロエマルジョンは、個々の成分、水、油および好適な活性剤系を使用する場合に、一般にその低い界面活性のために自然に非常に容易に形成される。この領域は少なくとも1つの寸法においてナノメーターの大きさの非常に僅かな広がりを有するので、マイクロエマルジョンは視覚的に透明に見え、使用した界面活性系により一定の温度範囲において熱動力学的に、すなわち時間的に制限なく、安定である。
【0007】
二連続マイクロエマルジョンは、例えばSOEFW−Journal 118(1992)p311〜314のH.−F.Eickeによる表題“Mikroemulsionen−eine Wissenschaftliche und anwendungstechnische Fundgrube?”中に記載されている。
【0008】
相の界面での必要な低い界面張力を達成するためには、マイクロエマルジョンは特別な両親媒性物質、すなわち界面活性剤、およびその水性相中にしばしば溶けた電解質および場合によりその他の助剤を含有する。電解質は、両親媒性物質が部分的にまたは完全にイオン性界面活性剤である場合に、特に添加される。
【0009】
DE−A−19839054は、界面活性剤の効果が添加物の添加により上昇することを記載しており、この際、水溶性のブロックAおよび非水溶性のブロックBを有するAB−ブロックコポリマーを添加物として使用する。その際、ブロックAおよびBは500〜60000g/モルの分子量を有することができる。ブロックAとしては、有利にポリエチレンオキシドブロックを使用するが、一般的には、ブロックBとの結合において両親媒性物質を形成する、全ての水溶性のブロックを使用する。ブロックBに関してはただ1つのモノマーまたはモノマー混合物のポリマーが記載されている。
【0010】
しかしながら、記載されているブロックコポリマーは、これが実験室規模に好適であり、大規模な使用には好適ではないという欠点を特に有する。前記刊行物は製法に関してDE−A−19634477を示しており、この文献中ではアルカリ金属オルガニルを使用する重合が記載されている、すなわち大規模な使用のためには適さない製法を記載している。
【0011】
従って、本発明の課題はエマルジョン、特にマイクロエマルジョン中の界面活性剤の効果を上昇させるためのコサーファクタントとして使用可能であり、かつ経済的に有利な方法で、大規模工業的な出発物質をベースとしてかつ大規模工業的に実現可能な反応法で得ることのできる物質を提供することである。
【0012】
この課題は、界面活性剤およびコサーファクタントを包含する混合物により解決し、この混合物は、コサーファクタントとして、主鎖に設けられた2つ以上の側鎖を有する主鎖を有する両親媒性櫛形ポリマーを使用し、その際これらの側鎖は相互におよび/または主鎖とその両親媒性特性において異なっていることを特徴とする。
【0013】
櫛形ポリマーの構造を有するコサーファクタントは本発明の使用に特に好適であることが、意外にも見いだされた。
【0014】
本発明において、両親媒性特性における差異としては、側鎖が相互間でおよび/または主鎖と、極性相もしくは非極性相に対する親和性に関して異なると理解される。
【0015】
櫛形ポリマーが、1または複数の繰り返し構造単位A、A′およびXを有し、その際構造AおよびA′は主鎖を形成し、構造単位A′が側鎖を形成する構造単位Xの結合のためのアンカー機能を有し、かつその際、構造単位Aはモル分率nで、構造単位A′はモル分率mで、かつ構造単位Xはモル分率lで存在し、かつ
n+m+l=1、
n≧mおよび
1>mまたはl=0
であるのが有利である。
【0016】
櫛形ポリマーは有利に親水性側鎖および疎水性側鎖を有していてよい。
【0017】
別の実施態様においては、櫛形ポリマーの主鎖は親水性特性を有し、櫛形ポリマーの全ての側鎖は疎水性の特性を有する。主鎖中に含有されるモノマーA自体が側鎖を有し、これが有利にA′に設けられた側鎖とはその両親媒性特性において異なっているのが、特に有利である。
【0018】
こうして、櫛形ポリマーはコポリマーであり、この際このコポリマーは主鎖を形成する、それぞれ1または複数の構造単位AおよびA′を任意に配置していてよく、すなわち強く交代していても(この場合、変記号nおよびmは同じである)、ブロックコポリマーとしても、ランダムコポリマーでも、または傾斜したコポリマーであってもよい。
【0019】
皮革または毛皮の疎水性化剤として使用するための、例えばEP−A−0412389中に記載されているコポリマーは好適であり、このコポリマーはC〜C40−モノオレフィンとエチレン系不飽和C〜C−ジカルボン酸無水物とを、温度80〜300℃で、ある種の塊重合により、ラジカル共重合することにより、分子量500〜20000g/モルのコポリマーを製造し、引き続き、コポリマーの無水物基の加溶媒分解および加溶媒分解により生じたカルボキシル基の、水性媒体中での少なくとも部分的な塩基での中和により得られる。
【0020】
本発明によるコサーファクタントが500〜100000g/モル、特に有利に1000〜50000g/モルの範囲に分子量を有するのが有利である。
【0021】
モル分率n、mおよびlは相互に独立して、0.001〜99.9%であり、有利にnはm以上であり、lはmより大きいかまたはlは0である。mが0.001〜0.5であり、nが0.001〜0.99であり、かつnは0.2〜0.99であるのが特に有利である。
【0022】
1または複数の構造単位Aを形成するために、1または複数の疎水性側鎖を有するモノマーを有利に使用することができる。
【0023】
1または複数の構造単位Aが、下記の物質のリストから選択されている1つ以上のモノマーから形成されているのが有利である:
− 分子当たり炭素原子15〜50個、有利に20〜35個を有する非分枝または分枝のアルケン、有利にα−オレフィン、
− エチレン、
− ポリイソブテン鎖の末端にまたは末端の近くに、更に反応性の二重結合を有するポリイソブテンから形成された、反応性ポリイソブテン、
− 疎水性ビニル−またはビニリデン化合物、特にスチレンまたは
− 疎水性側鎖を有する(メタ)アクリレート。
【0024】
こうして、有利に1または複数の構造単位Aの形成のために、長鎖α−オレフィンから出発することができる。特に有利であるのは、反応性ポリイソブテンの、すなわち連鎖の末端または末端の近くに更に反応性の二重結合を有する連鎖から形成されているポリイソブテンの使用でもある。
【0025】
前記の全ての物質または物質の混合物は大規模な工業的製品であり、相応して安価に提供される。
【0026】
1または複数の構造単位A′の、すなわち側鎖の結合のためのアンカー機能を有する1または複数の構造単位の形成のためには、下記のものから選択された物質または物質の混合物を使用するのが有利である:
− マレイン酸無水物またはその誘導体、これは有利に重合可能なまたはアルコキシル化可能な側鎖を有している、
− ビニルアルコールまたはその誘導体、これは有利に重合可能なまたはアルコキシル化可能な側鎖を有している、
− (メタ)アクロレイン、または
− (メタ)アクリル酸またはその誘導体、これは有利に1または複数の重合可能なまたはアルコキシル化可能な側鎖を有する。
【0027】
ここでは、概念“重合”または“重合可能な”とは、重合性化合物を製造することのできる全ての方法であると理解するべきである。重合のためのクラシカルな方法と共に、特に重縮合、重付加のような方法もこれに入る。
【0028】
ここでも例外なく、大規模工業的な、従って安価に提供可能な製品である。
【0029】
構造単位Xを形成するモノマーは、有利にエチレンオキシドまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとからの混合物であり、これを側鎖を形成するために、更に反応させて、親水性ポリエチレンオキシドブロックまたはポリエチレンオキシドブロック/ポリプロピレンオキシドブロックにする。
【0030】
エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合物から、有利にはプロピレンオキシドの割合5〜20%で、構造単位Xを構成することが特に有利である。
【0031】
エチレンオキシドまたはエチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物から形成された親水性側鎖を疎水性のブロックで末端基を閉鎖する場合に、すなわち親水性のエチレンオキシドブロックまたはエチレンオキシドブロック/プロピレンオキシドブロックから構成された側鎖の全てまたは一部をそれぞれ疎水性ブロック、有利に疎水性ポリアルキレンオキシドまたはオリゴアルキレンオキシドで、または分枝または非分枝のC10〜C30−アルキレン鎖で終止する場合に、界面活性剤の効果を上昇するために特に有効なコサーファクタント構造が得られることが見いだされた。
【0032】
側鎖を形成する構造単位Xは炭素原子4〜400を有する非分枝または分枝のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、またはポリオレフィンまたは疎水性ポリアルキレンオキシドブロックまたはオリゴアルキレンオキシドブロックから構成されていてもよい。
【0033】
ポリオレフィンブロックは有利に以下のモノマーの1種以上から構成されている:エテン、プロペン、1−ブテン、2,3−ブテン、2−メチル−1,2−プロペン(イソブテン)、1−ペンテン、2,3−ペンテン、2−メチル−1,2−ブテン、3−メチル−1,2−ブテン、2,3−ヘキセン、3,4−ヘキセン、2−メチル−1,2−ペンテン、2−エチル−1,2−ブテン、3−メチル−1,2−ペンテン、デセン、4−メチル−1,2−ペンテン、スチレンまたはオレフィンの混合物から工業的に提供可能なラフィネート流。
【0034】
有利な実施形においては、側鎖を形成する構造単位Xのモル分率lはゼロであり、構造Aを形成するモノマーまたは構造単位Aを形成するモノマーの少なくとも1つは疎水性側鎖を有し、構造単位A′は主に親水性特性を有する。
【0035】
コサーファクタントを包含する混合物は特に有利であり、この際1または複数の構造単位A′を形成するモノマーがマレイン酸無水物および構造単位Xを構成するモノマーがエチレンオキシドであるのが特に有利である。
【0036】
更に有利な混合物はサーファクタントを包含し、その際、このサーファクタントは、1または複数の構造単位A′を形成するモノマーがアルコキシル化可能で、有利にヒドロキシ官能化またはアミノ官能化マレイン酸イミドであり、側鎖が炭素原子3〜50個を有する非分枝または分枝アルキル基および/またはポリエチレンオキシドブロックまたはポリエチレンオキシドブロック/ポリプロピレンオキシドブロックであり、これが有利に疎水性ブロック、特に分枝または非分枝C10〜C30−アルキル鎖で終止している。
【0037】
コサーファクタントを包含する混合物も有利であり、その際、1または複数の構造単位A′を形成するモノマーはビニルアルコールであり、構造単位Xを形成するモノマーは(メタ)アクリル酸またはエチレンオキシドまたはエチレンオキシドとプロピレンオキシドからなる混合物である。
【0038】
更に、1または複数の構造単位A′を形成するモノマーが1または複数の重合可能な側鎖を有するビニルアルコール誘導体であり、構造単位Xを形成するモノマーがビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、ビニルアルコールまたはビニルアルコール誘導体であるのが有利である。
【0039】
アンカー機能を有する全ての構造単位A′がそれぞれ実際に側鎖で官能化されている必要はない。本発明は同様に、更に遊離のアンカー基を包含する櫛形ポリマーを包含し、この際、アンカー基は反応していないかまたは反応前に保護された。こうして、アンカー機能を有する構造単位A′の一部のみを相応して官能化することにより、特別な適用に好適な密度で側鎖を有するポリマーを製造することも可能である。
【0040】
1または複数の構造単位A′を形成するモノマーがマレイン酸無水物である場合、マレイン酸無水物単位は、側鎖を有さない形で、無水物として、モノまたはジエステルとして、アミドまたはイミドとして、遊離酸として、並びに部分的にまたは完全に中和した形で存在していてよい。
【0041】
1または複数の構造単位A′を形成するモノマーがビニルアルコールである場合、側鎖を有さないビニルアルコール基は遊離アルコールとしてまたはビニルアセテートとして存在することができる。
【0042】
1または複数の構造単位A′を形成するモノマーが(メタ)アクリレートである場合、官能化されていない(メタ)アクリレート単位はエステルとして、アミドとして、遊離酸として並びに部分的にまたは完全に中和した形で存在していてよい。
【0043】
本発明による混合物は前記コサーファクタントの他に界面活性剤を包含する。その際、これは界面活性剤の混合物であってもよい。基本的には、公知の界面活性剤の群からの全ての界面活性剤を使用することができ、特に、イオン性または非イオン性界面活性剤、またはイオン性または非イオン性界面活性剤の混合物も使用することができる。
【0044】
本発明による混合物の使用分野により、例えば全てのクラシカルな清浄化用界面活性剤、または食品に許可された界面活性剤、例えばツウィーン(Tweens)(R)またはスパン(Span)(R)が好適である。界面活性剤群の内でも、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性界面活性剤が適しており;特にポリマー界面活性剤、ペプチド界面活性剤、シリコーン界面活性剤、アミノ酸ベースの界面活性剤、糖界面活性剤、脂肪ベースの界面活性剤、ゲミニ界面活性剤、アミンオキシド、アミドアミンオキシド、アルキルベタイン、エーテルカルボキシレート、両性−アセテート、アルキルスルフェートまたはスルホスクシネートが適している。
【0045】
界面活性剤に対するコサーファクタントの割合は、有利に0.01〜99.99%、特に1〜50%、特に有利に5〜25%の範囲である。
【0046】
好適なアニオン性界面活性剤は、例えば、炭素原子8〜22個、有利に10〜18個を有する脂肪アルコールの脂肪アルコールスルフェート、例えばC〜C11−アルコールスルフェート、C12〜C13−アルコールスルフェート、セチルスルフェート、ミリスチルスルフェート、パルミチルスルフェート、ステアリルスルフェートおよび獣脂アルコールスルフェートである。
【0047】
その他の好適なアニオン性界面活性剤は硫酸化エトキシル化C〜C22−アルコール(アルキルエーテルスルフェート)もしくはその可溶性の塩である。この種の化合物は、例えば、先ずC〜C22−、有利にC10〜C18−アルコールを、例えば脂肪アルコールを、アルコキシル化し、引き続き、このアルコキシル化生成物を硫酸化することにより製造する。アルコキシル化のために、有利にエチレンオキシドを使用し、この際脂肪アルコール1モルあたりエチレンオキシドを2〜50、有利に3〜20モル使用する。しかしながら、アルコールのアルコキシル化はプロピレンオキシド単独および場合によりブチレンオキシドで実施することもできる。更に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドおよびブチレンオキシドを含有するようなアルコキシル化C−〜C22−アルコールも好適である。このアルコキシル化C−〜C22−アルコールはエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位およびブチレンオキシド単位をブロックまたはランダム分布で有していてよい。
【0048】
アルカンスルホネート、例えばC−〜C24−、有利にC10−〜C18−アルカンスルホネート並びにセッケン、例えばC−〜C24−カルボン酸のNa塩またはK塩も好適である。
【0049】
更に好適なアニオン性界面活性剤は脂肪族飽和または不飽和C−〜C25−アシル基、有利にC10−〜C20−アシル基を有するN−アシルサルコシネート、例えばN−オレイルサルコシネートである。
【0050】
更に、本発明による混合物はC10−〜C13−線状および/または僅かに分枝したアルキルベンゼンスルホネート(LAS)を含有することができる。
【0051】
アニオン性界面活性剤は混合物、有利に塩の形で添加する。この塩中の好適なカチオンはアルカリ金属塩、例えばナトリウム、カリウムおよびリチウムおよびアンモニウム塩、例えばヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩およびトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩である。
【0052】
好適な非イオン性界面活性剤は特に以下のものである:
− アルコキシル化C−〜C22−アルコール、例えば脂肪アルコールアルコキシレートまたはオキソアルコールアルコキシレート。これらはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドでアルコキシル化されていてよい。この際、界面活性剤として使用可能であるのは、前記アルキレンオキシドの1つを少なくとも2分子付加して含有する全てのアルコキシル化アルコールである。この際、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドのブロックポリマーを、または前記アルキレンオキシドをランダム分布で有する付加生成物を考慮することができる。非イオン性界面活性剤はアルコール1モルあたり、一般に少なくとも1種のアルキレンオキシドを2〜50モル、有利に3〜20モル含有する。これらは有利にはアルキレンオキシドとしてエチレンオキシドを含有する。アルコールは有利に炭素原子10〜18個有する。製造の際に使用したアルキル化触媒の種類により、アルコキシレートは広いかまたは狭いアルキレンオキシド−同族分布(Homologenverteilung)を有する;
− アルキルフェノールアルコキシレート、例えばC−〜C14−アルキル鎖およびアルキレンオキシド単位5〜30個を有するアルキルフェノールアルコキシレート;
− アルキル鎖中に炭素原子8〜22個、有利に10〜18個を有し、かつグルコシド単位を一般に1〜20個、有利に1.1〜5個有するアルキルポリグリコシド
ソルビタンアルカノエート、アルコキシル化した物;
− N−アルキルグルカミド、脂肪酸アルコキシレート、脂肪アミンアルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレート、脂肪酸アルカノールアミドアルコキシレート、アルコキシル化した物、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドからなるブロックコポリマー、ポリイソブテン−エトキシレート並びにポリイソブテン−マレイン酸無水物−誘導体、モノグリセリド並びにビスグリセリド、およびアルコキシル化した物。
【0053】
特に好適な非イオン性界面活性剤はアルキルアルコキシレートまたはアルキルアルコキシレートの混合物であり、例えばDE−A−10243363、DE−A−10243361、DE−A−10243360、DE−A−10243365、DE−A−10243366、DE−A−10243362中に、またはDE−A−4325237中に記載されている。この際、これは、アルカノールとアルキレンオキシドとをアルコキシル化触媒の存在下に反応させることにより得られるアルコキシル化生成物またはアルコキシル化生成物の混合物である。特に好適な出発物質は、いわゆるゲルベ(Guerbet)−アルコール、特にエチルヘキサノール、プロピルヘプタノールおよびブチルオクタノールである。プロピルヘプタノールが特に好適である。有利なアルキレンオキシドはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドであり、この際、有利には短いポリプロピレンオキシドブロックを出発アルコールに直接結合して有するアルキルアルコキシレートが有利であり、これは例えば、DE−A−10243365中に記載されており、特にその僅かなアルコール残分含量およびその良好な生分解性により有利である。
【0054】
アルコキシル化触媒としては、塩基を使用することができ、例えばアルカリ金属水酸化物またはアルカリアルコレート、並びにルイス酸、例えばBF、SbCl、SnCl×2HO、BF×HBO、またはBF−ジエーテラートも使用することができる。特に好適なアルコキシル化触媒は複水酸化物−アルミナ(Doppelhydroxid-Tone)、例えば水滑石(Hydrotalkit)であり、これは特に添加物で変性されていてよい、例えばDE−A−4325237に記載されている。
【0055】
アルコキシル化触媒の選択により、それぞれアルコキシレートの特別な特性、特にアルコキシル化度の分布に関して特別な特性が生じる。最後に挙げた複水酸化物−アルミナを使用する際に、狭い分子量分布もしくは同族分布を有するアルコキシル化生成物が得られ、これは本発明によるコサーファクタントとの混合物への使用に特に好適である。
【0056】
前記の有利な特性、特にアルコキシル化度に関する特性は、複金属シアニド(DMC(Doppelmetall cyanid))−化合物の使用によっても達せられ、これは例えばDE−A−10243361にアルコキシル化触媒として記載されている。
【0057】
本発明の対象は、界面活性剤と前記両親媒性櫛形ポリマーの構造を有するコサーファクタントを含有する混合物の、エマルジョン、特に水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョンまたは油/水/油−エマルジョンまたは水/油/水−エマルジョンのような複エマルジョンを安定化するための使用にも関する。安定化とは前記の内容と関連して、コサーファクタントの添加により界面活性剤の効果が上昇すること、すなわち一定の油/水−混合物が一定の条件下で僅かな量の界面活性剤で可溶化することが可能であることを意味する。
【0058】
両親媒性櫛形ポリマーの構造を有する前記のコサーファクタントはマイクロエマルジョンの安定化のために特に有利に好適である、すなわちいわゆるX−点をより低い活性剤濃度に移動するために好適であり、このX−点とは、マイクロエマルジョンの熱動力学的状態、すなわち顕微鏡での観察における1相の状態がその温度から生じる所定の温度での界面活性剤の最も低い濃度を示す。
【0059】
本発明による混合物は基本的に、エマルジョンが重要である全ての分野に使用可能である、例えばDE−A−10118480中に記載されている、界面活性剤および添加物としてAB−ブロックコポリマー(コサーファクタント)を包含し、その他にその効果が界面活性剤/添加物系により上昇されうる添加物を含有する混合物のための適用範囲に、例えば植物強化剤、植物成長剤または植物保護剤、殺微生物作用剤、プラスまたはマイナスに作用する微生物を有する、特に酵素を含有する製品、家庭用品または工業用目的のための清浄化剤および/またはケヤ剤、殺菌剤、ヘヤーケヤ、ボディーケヤまたは清浄剤、自動車清浄剤、自動車ケヤ剤、および/または自動車シーリング剤、繊維処理剤、皮革ケヤ剤および/または毛皮ケヤ剤として、着色剤、塗料、医薬品、建築補助材、練り歯磨きまたは口腔洗浄剤として使用可能である。
【0060】
付加的に殺生剤、微生物および/または任意の他の有効物質との組合せにおいて界面活性剤/AB−ブロックコポリマー系に関してDE−A−10118480中に記載されている相乗効果は、界面活性剤およびコサーファクタントを包含する本発明による混合物並びに相応する添加物、特に殺生剤、微生物および/または任意の他の有効成分を含有する系に関しても同様である。
【0061】
本発明による混合物の、少なくとも1種のレチノイド、少なくとも1種の水溶性酸化防止剤および少なくとも1種の油溶性酸化剤を含有する、化粧品、医薬品並びに食品分野に使用するための組成物中への使用は特に好適であり、この組成物は公開されていないドイツ特許出願DE10233740.3中に記載されており、その内容は全て本願中に取り込まれる。この際、一般に、少なくとも油相を含有する担持剤をベースとして構成されている化粧品、並びに皮膚用または医薬用組成物である。従って、オイル、クリーム、ペーストまたは脂肪不含ゲルまたはエマルジョンを挙げることができる。
【0062】
前記組成物はレチノイド1質量部当たり1種以上の水溶性酸化防止剤を少なくとも1質量部および1種以上の油溶性酸化防止剤を0.1〜100質量部含有し、その際1種以上の水溶性酸化防止剤の含量は全組成物の量に対して0.05〜0.8質量%の範囲である。
【0063】
レチノイドとはビタミンAアルコール(レチノール)およびその誘導体、例えばビタミンAアルデヒド(レチナール)、ビタミンA酸(レチン酸)およびビタミンAエステル、例えばレチニル酢酸およびレチニルパルミチン酸を意味する。この際、概念レチン酸とはオールトランスレチン酸も13−シスレチン酸も包含する。概念レチノールおよびレチナールは有利にオールトランス化合物を包含する。有利なレチノイドとしては本発明による組成物のためにはオールトランスレチノールを使用する。
【0064】
水溶性の酸化防止剤としては、特にアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、イソアスコルビン酸、チオグリセリン、チオソルビット、チオ尿素、チオグリコール酸、システイン塩酸塩、1,4−ジアゾビシクロ−(2,2,2)−オクタンまたはこれらの混合物を意味する。
【0065】
有利な水溶性酸化防止剤はアスコルビン酸(L−アスコルビン酸)およびイソアスコルビン酸(D−アスコルビン酸)、特に有利にL−アスコルビン酸である。
【0066】
特に有利に使用されるL−アスコルビン酸は遊離酸であってもその塩であってもよい。L−アスコルビン酸の塩の例は、L−アスコルビン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばL−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カリウムまたはL−アスコルビン酸カルシウムであるが、L−アスコルビン酸と有機アミン化合物との塩、例えばコリンアスコルベートまたはL−カルニチンアスコルベートである。遊離L−アスコルビン酸またはL−アスコルビン酸ナトリウムを使用するのが殊に有利である。D−アスコルビン酸の使用に関しては同じことが該当する。
【0067】
油溶性酸化防止剤としては、特にブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、α−トコフェロール、フェニル−α−ナフチルアミンまたはこれらの混合物を意味している。
【0068】
有利な油溶性酸化防止剤はα−トコフェロールであり、この際(R,R,R)−であっても(オール−rac)−α−トコフェロールであってもよい。
【0069】
化粧品または医薬組成物には常用の助剤、例えば補助乳化剤、脂肪およびワックス、安定剤、増粘剤、生物源有効物質、フィルム形成剤、香料、着色剤、真珠光沢剤、保存剤、顔料、電解質(例えば硫酸マグネシウム)およびpH−調節剤を考慮する。補助乳化剤としては有利に公知W/O−およびそれと共にO/W−乳化剤、例えば、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステルまたは部分エステル化グリセリンを挙げる。脂肪の典型的な例はグリセリド;ワックスとしては特に蜜ロウ、パラフィンワックスまたはマイクロワックスを挙げることができ、場合により親水性ワックスとの組み合わせを挙げる。安定剤としては脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムおよび/またはステアリン酸亜鉛を使用することができる。好適な増粘剤は、例えば架橋したポリアクリル酸およびその誘導体、多糖類、特にキサンタンゴム、ガーゴム、寒天、アルギネートおよびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、更に脂肪アルコール、モノグリセリドおよび脂肪酸、ポリクリレート、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンである。生物源有効物質としては、例えば植物抽出物、卵白加水分解物およびビタミン複合体を挙げることができる。汎用されるフィルム形成剤は、例えば親水コロイド、例えばキトサン、微晶質キトサンまたは四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル−コポリマー、アクリル酸列のポリマー、四級化セルロース誘導体および類似の化合物である。保存剤としては、例えばホルムアルデヒド溶液、p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸が好適である。真珠光沢剤としては、例えばグリコールジステアリン酸エステル、例えばエチレングリコールジステアレート、更には脂肪酸および脂肪酸モノグリコールエステルを挙げることができる。着色剤としては、化粧用目的に好適であり、許容されている物質を使用することができ、これは例えばVerlag Chemie、Weinheim 1984において開示された、ドイツフォルシュングスゲマインシャフト(Deutsche Forschungsgemeinschaft)の着色剤委員会の刊行物“Kosmetische Faerbemittel”中にまとめられている。この着色剤は通常、全混合物に対して0.001〜0.1質量%の濃度で使用される。
【0070】
本発明による混合物は、有利に少なくとも1種のUV−フィルターを含有する化粧品または皮膚用組成物中に、特にUV−B−フィルターとして2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2′−エチル−ヘキシル−1′−オキシ)−1,3,5−トリアジン(BASF社から商標名Uvinul(R)T150として市販)およびUV−A−フィルターとしてN,N−ジエチルアミノ−ヒドロキシベンゾイル−n−ヘキシルベンゾエート(BASF社から商標名Uvinul(R)A Plusとして市販)を含有する化粧品または皮膚用組成物中に特に有利に使用することができる。
【0071】
化粧品または医薬組成物中に本発明による混合物が含有されているのが特に有利であり、この化粧品または医薬組成物は公開されていないドイツ特許出願DE102004007885.8中に記載されており、これは本願の開示内容に完全に包含される。
【0072】
前記特許出願中には、Uvinul(R)T150およびUvinul(R)A Plusを酸化亜鉛および/または二酸化チタンと一緒に含有する組合せが記載されており、この際、付加的に次の表からのUV−A−フィルターおよびUV−B−フィルターを含有していてよい:
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
遮光剤を含有する化粧品および皮膚用組成物は、一般に少なくとも1種の油相を含有するキャリヤーをベースとする。こうしてオイル、水中油型エマルジョンおよび油中水型エマルジョン、クリームおよびペースト、リップスティック物質または脂肪不含ゲルを挙げることができる。
【0076】
こうして、そのような日焼け止め製品は液体、ペーストまたは固体で存在し、例えば油中水型−クリーム、水中油型−クリームおよび−ローション、エーロゾル−発泡クリーム、ゲル、オイル、グリースペンシル、粉末、スプレーまたはアルコール−水性ローションであってよい。
【0077】
化粧品中の通常のオイル成分は、例えばパラフィン油、ステアリン酸グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチルステアリルエステル、水素化ポリイソブテン、ワセリン、カプリル酸/カプリン酸−トリグリセリド、微晶ろう、ラノリンおよびステアリン酸並びにシリコーンオイルである。
【0078】
好適なシリコーンオイルは例えば線状ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、環式シロキサンおよびこれらの混合物である。ポリジメチルシロキサンおよびポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は、有利に約1000〜150000g/モルの範囲にある。有利な環式シロキサンは4〜8員環を示す。好適な環式シロキサンは例えばCyclomethiconという名称で市販されている。
【0079】
更に、界面活性剤およびコサーファクタントを含有するマイクロエマルジョンも本発明の対象であり、この際コサーファクタントとして、すでに記載した両親媒性櫛形ポリマーの構造を有する物質または物質混合物を使用する。この際、これは二連続(bikontinuierliche)マイクロエマルジョンであるが、二連続でないマイクロエマルジョンも同様に本発明に包含される。
【0080】
本発明による混合物は疎水性物質を取り込みおよび放出するために理想的に好適であり、特に洗剤、乳化剤、泡沫調整剤、硬い表面の湿潤剤として、並びに有機、無機、生物有機化学反応または光化学反応のための反応媒体としての使用が理想的に好適である。
【0081】
洗剤、硬い表面を清浄化するための界面活性剤組成物、保湿剤、化粧品、医薬組成物および植物保護組成物、塗料、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、繊維産業のための組成物、繊維処理、金属処理、食品産業、水処理、製紙産業、発酵、鉱物処理、防火剤中への、または乳化重合中への使用が有利である。
【0082】
更に、本発明の対象は、通常の内容物質の他に、界面活性剤および前記コサーファクタントを包含する混合物または界面活性剤およびコサーファクタントを包含するマイクロエマルジョンを含有する、洗剤、清浄剤、殺菌剤、湿潤剤、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、保湿剤または繊維処理剤、または医薬組成物、食品組成物、植物保護組成物または化粧品組成物、特に日焼け止め、皮膚のケヤ剤または毛髪スタイリング剤、シャワーゲル、シャンプー、浴用添加剤または香油でもある。
【0083】
以下に実施例につき本発明を詳細に説明する。
【0084】
実施例
製造例1〜3
撹拌装置および配量装置を備えるスチール製の重合反応器中に、C20〜C24−α−オレフィン−混合物1195gを装入し、僅かな窒素流を通じながら撹拌下に190℃に加熱した。この温度が達せられた直後に70℃に加熱したマレイン酸無水物392gおよびこれとは分離してジ−t−ブチルペルオキシド16gを4時間以内に均一に添加した。これは例示的な櫛形ポリマーの主鎖を製造するためのラジカル重合反応である。引き続き、反応混合物を190℃で2時間撹拌し、その後側鎖を結合するためにエステル化した。
【0085】
このためには次の長さのエチレンオキシドブロックとC18−オキソアルコールとからなるアルキルポリグリコールエーテルを150℃で、撹拌下にそれぞれ記載した量で供給し:
例1 11EO−単位、1450g、
例2 25EO−単位、2665gおよび
例3 80EO−単位、6878g、
5時間撹拌した。その後、反応混合物を撹拌下に90℃に冷却した。30分以内にそれぞれ別々に50%水酸化ナトリウム水溶液160gおよび同量の90℃に加熱した水を添加し、こうして固体含量30%の溶液を得た。この反応混合物を90〜95℃の温度範囲で4時間撹拌し、その後周囲温度に冷却した。このようにして全ての生じたカルボキシル基の50モル%が中和された、僅かに粘性の、コポリマーの水性分散液が得られた。
【0086】
適用例
後の図面中には、次のコサーファクタントを添加する際のX−点の移動が示されている、すなわち参照系水/n−デカンおよび所定の界面活性剤(BASF AGのLutensol(R)ON50)に関して水相およびn−デカン相が完全に混和性であり、安定なマイクロエマルジョンがこの濃度から生じる、所定の温度での界面活性剤の最少濃度の、次のコサーファクタントを添加する際の移動が示されている。
【0087】
適用例1
マレイン酸無水物およびC20〜C24−α−オレフィンからなるコポリマー、ここではマレイン酸無水物−サブ単位の半分をBASF AGのPluriol(R)A750I、すなわち平均分子量750g/モルのメチルプロピルエチレングリコールでエステル化した。
【0088】
適用例2
マレイン酸無水物およびC20〜C24−α−オレフィンからなるコポリマー、ここではマレイン酸無水物−サブ単位の半分をBASF AGのLutensol(R)AT11、すなわちエチレンオキシド単位を11個有するC16−C18−脂肪アルコールエトキシレートでエステル化した。
【0089】
それぞれのコサーファクタントには、BASF AGの界面活性剤Lutensol(R)ON50、すなわちエチレンオキシド単位を5個有するC10−オキソアルコールエトキシレートを10質量%の割合でそれぞれ添加した。
【0090】
X−点は、コサーファクタントなしでの比較例においては、64℃において、Lutensol(R)ON50 22.5%にあり、コサーファクタントを添加する適用例1においては、65℃において、Lutensol(R)ON50 20%にあり、コサーファクタントを添加する適用例2においては、70℃において、Lutensol(R)ON50 15%にあった。
【0091】
図面においては、Lutensol(R)ON50の濃度は横座標であり、図中ではC界面活性剤で質量%で示されており、℃での温度は縦座標に記載されている。それぞれの相ダイアグラムからの一部は、水/n−デカン1:1に関し、コサーファクタントの添加なしでの、前記の界面活性剤を比較のためにIに、本発明による適用例1に関してはIIにおよび本発明による適用例2に関してはIIIに記載した。このグラフからは、公知技術(表示I)に対して本発明による適用例(表示IIもしくはIII)において、X−点の移動は明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】比較例および本発明による適用例における、X−点の移動を示すグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物において、コサーファクタントとして、主鎖に設けられた2つ以上の側鎖を有する主鎖を有する両親媒性櫛形ポリマーを使用し、その際これらの側鎖は相互におよび/または主鎖と、その両親媒性特性において異なっていることを特徴とする、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物。
【請求項2】
櫛形ポリマーが、親水性側鎖も疎水性側鎖も有する、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
櫛形ポリマーが、それぞれ1または複数の繰り返し構造単位A、A′およびXを有し、その際構造AおよびA′は主鎖を形成し、構造単位A′が、側鎖を形成する構造単位Xを結合するためのアンカー機能を有し、かつその際、構造単位Aはモル分率nで、構造単位A′はモル分率mで、かつ構造単位Xはモル分率lで存在し、
n+m+l=1、
n≧mおよび
1>mまたはl=0
である、請求項1または2記載の混合物。
【請求項4】
コサーファクタントは500〜100000g/モル、有利に1000〜50000g/モルの範囲に平均分子量を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項5】
構造単位Aを形成する1または複数のモノマーが1または複数の疎水性側鎖を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項6】
構造単位Aを形成する1または複数のモノマーが、次に挙げた物質:
− 分子当たり炭素原子3〜50個、有利に10〜35個を有する非分枝または分枝のアルケン、有利にα−オレフィン、
− エチレン、
− ポリイソブテン鎖の末端にまたは末端の近くに、更に反応性の二重結合を有するポリイソブテン鎖から形成された、反応性ポリイソブテン、
− 疎水性ビニル−またはビニリデン化合物、特にスチレンまたは
− 疎水性側鎖を有する(メタ)アクリレート、
から選択された物質または物質の混合物である、請求項1から5までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項7】
構造単位A′を形成する1または複数のモノマーが、次に挙げた物質:
− マレイン酸無水物またはその誘導体、但しこれは重合可能なまたはアルコキシル化可能な側鎖を有する、
− ビニルアルコールまたはその誘導体、これは有利に重合可能なまたはアルコキシル化可能な側鎖を有する、
− (メタ)アクロレイン、または
− (メタ)アクリル酸またはその誘導体、これは有利に1または複数の重合可能なまたはアルコキシル化可能な側鎖を有する、
から選択された物質または物質の混合物である、請求項1から6までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項8】
構造単位Xから形成された側鎖が親水性ポリエチレンオキシド−またはポリエチレンオキシド−/ポリプロピレンオキシド−ブロックである、請求項1から7までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項9】
構造単位Xを形成する1または複数のモノマーが、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる混合物、有利にプロピレンオキシドの割合5〜20%を有する混合物である、請求項8記載の混合物。
【請求項10】
親水性エチレンオキシド−またはエチレンオキシド−/プロピレンオキシド−ブロックから形成された側鎖の全てまたは一部分が、それぞれ疎水性ブロックで、有利に疎水性ポリ−またはオリゴアルキレンオキシドで、または分枝または非分枝のC10〜C30−アルキル鎖で終結する、請求項8または9記載の混合物。
【請求項11】
両親媒性櫛形ポリマーの主鎖が親水性特性を有し、全ての側鎖が疎水性特性を有する、請求項1または請求項3から7のいずれか1項記載の混合物。
【請求項12】
側鎖を形成する構造単位Xのモル分率lが0であり、構造単位Aを形成するモノマーまたは構造単位Aを形成するモノマーの少なくとも1つが疎水性側鎖を有し、かつ構造単位A′が主に親水性特性を有する、請求項11記載の混合物。
【請求項13】
1または複数の構造単位A′を形成するモノマーがマレイン酸無水物であり、かつ構造単位Xを形成するモノマーがエチレンオキシドである、請求項1から10までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項14】
1または複数の構造単位A′を形成するモノマーがマレイン酸イミド、構造単位Xから構成される1または複数の側鎖が非分枝または分枝の炭素原子3〜50個を有するアルキル基および/またはポリエチレンオキシド−またはポリエチレンオキシド−/ポリプロピレンオキシド−ブロック、これは有利に疎水性ブロック、特に分枝または非分枝のC10〜C30−アルキル鎖で終結する、請求項1から11までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項15】
1または複数の構造単位A′を形成するモノマーがビニルアルコールであり、構造単位Xを形成するモノマーが(メタ)アクリル酸またはエチレンオキシドまたはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる混合物である、請求項1から10までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項16】
エマルジョン、特に水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョンまたは油/水/油−エマルジョンまたは水/油/水−エマルジョンのような複エマルジョンを安定化するための、請求項1から15項までのいずれか1項記載の混合物の使用。
【請求項17】
請求項1から15までのいずれか1項における定義に相当する物質または物質の混合物をコサーファクタントとして使用することを特徴とする、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する、マイクロエマルジョン。
【請求項18】
請求項1から15項までのいずれか1項記載の混合物または請求項17記載のマイクロエマルジョンの、洗剤、乳化剤、泡沫調整剤、硬い表面のための湿潤剤としての、または有機反応、無機反応、生物有機化学反応または光化学反応のための反応媒体としての使用。
【請求項19】
洗剤、硬い表面を清浄化するための界面活性剤組成物、保湿剤、化粧品、医薬組成物および植物保護組成物、塗料、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、繊維産業のための組成物、繊維処理、金属処理、食品産業、水処理、製紙産業、発酵、鉱物処理、防火剤中への、または乳化重合中への請求項18記載の使用。
【請求項20】
通常の内容物質の他に、請求項1から15までのいずれか1項記載の混合物または請求項17記載のマイクロエマルジョンを含有する、洗剤、清浄剤、殺菌剤、湿潤剤、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、保湿剤または繊維処理剤、または医薬組成物、食品組成物、植物保護組成物または化粧品、特に日焼け止め、皮膚のケヤ剤または毛髪スタイリング剤、シャワーゲル、シャンプー、浴用添加剤または香油。

【図1】
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【公表番号】特表2006−527284(P2006−527284A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515284(P2006−515284)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005517
【国際公開番号】WO2004/104158
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】