説明

異方性を有する導電性接着シートおよびその製造方法

【課題】導電性微粒子がシート面内に、規則的に且つ高密度で(隣り合う導電性微粒子間の距離が20μm以下となるように)配置された、異方性を有する導電性接着シートを提供する。
【解決手段】異方性を有する導電性接着シートを、厚さ方向の中央に配置したコアフィルム1と、コアフィルム1の両面に配置された接着剤層2,3と、球状の導電性微粒子4とで構成する。コアフィルム1に、厚さ方向に貫通する貫通孔10を規則的に形成し、全ての貫通孔10内に、各1個の導電性微粒子4を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート面内に分散配置された導電性微粒子により、シートの厚さ方向のみに導電性を付与する導電性接着シート、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶ディスプレイの配線とフレキシブル基板との接続や、集積回路部品の基板への高密度実装等の際に、厚さ方向のみに導電性を付与する導電性接着シートが使用されている。従来の導電性接着シートの一例を図15に示す。この例では、接着剤層からなるシート20内に導電性微粒子4がランダムに分散配置されている。このシートには以下の問題点がある。
【0003】
近年、接続される配線パターンやランドパターンの寸法は益々微細化されている。接続されるパターンの寸法が小さくなると、導電性微粒子がランダムに分散配置されているシートでは、図15(b)に示すように、接続されるパターンが導電性微粒子の存在しない位置Aに配置される確率が高くなる。その結果、接続されるパターン間が電気的に接続されない恐れがある。
【0004】
この問題点を解決するためには、より小さな導電性微粒子を高密度でシート内に分散させることが有効であるが、導電性微粒子の寸法を小さくすると、図16(a)に示すように、接続パターンP1,P2の基板B1,B2の面からの突出高さのバラツキを吸収できないという問題点がある。また、シート20内での導電性粒子4の密度を高くすると、図16(b)に示すように、パターンP1,P2がファインピッチで配列されている場合に、隣り合うパターン間にショート(短絡)が生じる確率が高くなる。すなわち、これらの方法では、導電性微粒子がランダムに分散配置されている導電性接着シートの接続信頼性が改善されない。
【0005】
一方、特開平5−67480号公報および特開平10−256701号公報には、シート内に導電性微粒子を所定配置で分散させることが記載されている。特開平5−67480号公報に記載されている方法では、導電性微粒子をシート(接着剤層)に分散させる前に帯電させ、導電性微粒子間の反発力を利用して導電性微粒子をシート内に均一に分散させている。また、導電性微粒子と支持体の各位置を異なる電荷で帯電させ、支持体上に所定配置で導電性微粒子を配置させた後に、この配置を保持した状態で導電性微粒子を接着剤層に転写することが記載されている。
【0006】
しかしながら、この方法では、帯電した導電性微粒子同士の反発力によって配置を保持するため、シート面内で隣り合う導電性微粒子間の距離を20μm以下まで接近させることは不可能である。特開平10−256701号公報には、磁性を有する導電性粒子を使用して、ゴム材料と導電性粒子とからなる組成物をシート状に形成し、このシート状物の厚さ方向に磁場をかけて導電性粒子を配向させ、この状態でゴムを硬化させることが記載されている。
【0007】
しかしながら、この方法には以下の問題点がある。磁場を極めて狭い領域に集中させることが困難であるため、シート面内で隣り合う導電性微粒子間の距離を20μm以下まで接近させることができない。導電性粒子がゴムシートの厚さ方向で重なって配列される場合がある。導電性粒子を規則的に(隣り合う粒子間に所定間隔を保持しながら)配置することが困難である。使用できる導電性粒子が磁性体に限られる。
【特許文献1】特開平5−67480号公報
【特許文献2】特開平10−256701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、シート面内に分散配置された導電性微粒子により、シートの厚さ方向のみに導電性を付与する導電性接着シートにおいて、導電性微粒子がシート面内に、規則的に且つ高密度で(隣り合う導電性微粒子間の距離が20μm以下となるように)配置された導電性接着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、シート面内に分散配置された導電性微粒子により、シートの厚さ方向のみに導電性を付与する導電性接着シートにおいて、厚さ方向の中央に配置したコアフィルムの両面に接着剤層が配置され、前記コアフィルムおよび接着剤層は絶縁性であり、コアフィルムには厚さ方向に貫通する貫通孔がフィルム面内に所定配置で複数個形成され、当該貫通孔に導電性微粒子が配置され、導電性微粒子の平均粒子径は0.5μm以上50μm以下であり、導電性微粒子の粒子径分布の標準偏差は平均粒子径の50%以下であり、コアフィルムの厚さは0.5μm以上50μm以下であり、接着剤層の厚さは1μm以上50μm以下であり、貫通孔の大きさは導電性微粒子の平均粒子径の1倍以上1.5倍以下であることを特徴とする異方性を有する導電性接着シートを提供する。
【0010】
本発明の導電性接着シートにおいて、導電性微粒子は、銅、金、銀、ニッケル、パラジウム、インジウム、錫、鉛、亜鉛、またはビスマス、またはこれらいずれかの金属の合金、または炭素からなる微粒子、あるいは表面に金属被覆を有する微粒子であることが好ましい。本発明はまた、本発明の導電性接着シートにおいて、コアフィルムの両面に配置された接着剤層の少なくとも一方は、軟化温度の差が20℃以上である二種類の接着剤層が、軟化温度の高い方をコアフィルム面側に配置して積層されたものを提供する。
【0011】
本発明はまた、本発明の導電性接着シートを製造する第1の方法として、支持体の上に形成された第1の接着剤層の上に、コアフィルムをなす感光性樹脂層を形成した後、フォトリソグラフィで感光性樹脂層をパターニングすることにより、コアフィルムに所定の配置で貫通孔を形成し、前記貫通孔内に導電性微粒子を入れた後に、このコアフィルムの上に第2の接着剤層を形成することを特徴とする導電性接着シートの製造方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、本発明の導電性接着シートを製造する第2の方法として、貫通孔を有するコアフィルムの一方の面に第1の接着剤層を形成し、次いで、前記貫通孔内に導電性微粒子を入れた後に、このコアフィルムの他方の面に第2の接着剤層を形成することを特徴とする導電性接着シートの製造方法を提供する。この第2の方法において、貫通孔を有するコアフィルムを形成する方法としては、(1)コアフィルムにレーザ照射(レーザ照射により、熱でコアフィルムを溶解させる、あるいはコアフィルムをなすポリマー分子鎖を切断する:レーザアブレーション)を行う方法、(2)貫通孔の配置に対応させた突起を有する雄型と、前記突起を受ける凹部を有する雌型とからなるプレス用金型を用いて、コアフィルムをプレスで打ち抜く方法を採用することが好ましい。
【0013】
本発明はまた、本発明の導電性接着シートを製造する第3の方法として、一方の面に第1の接着剤層が形成されたコアフィルムを用意し、このコアフィルムの他方の面側からレーザ照射を行うことにより、このコアフィルムに貫通孔を形成し、次いで、前記貫通孔内に導電性微粒子を入れた後に、このコアフィルムの他方の面に第2の接着剤層を形成することを特徴とする導電性接着シートの製造方法を提供する。
【0014】
この第3の方法において、コアフィルムにレーザ照射により貫通孔を形成する際に、第1の接着剤層に貫通孔を開けないようにする必要がある。この方法で使用するレーザ光としては、炭酸ガスレーザ、YAGレーザの基本波等のように、赤外線領域に発振波長を持つもの、YAGレーザの第3、第4高調波や、エキシマレーザ等のように、紫外線あるいは真空紫外線領域の光を照射できるものが挙げられる。例えば、YAGレーザの第3、第4高調波あるいはエキシマレーザを用いることにより、直径20μm以下の微小な貫通孔を容易に形成することができる。
特に、微小ビームで加工できるYAGレーザでは、ビーム形状をテーパ状にすることによって貫通孔をテーパ状にすることができる。これにより、導電性微粒子をテーパ状貫通孔の窄まった部分で保持して、第1の接着剤層にはみ出さないようにすることもできる。
【0015】
[コアフィルムについて]
本発明で用いるコアフィルムの材料は特に限定されず、種々のエンジニアリングプラスチックを用いることができる。例えは、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、などである。
【0016】
また、コアフィルムとしては寸法安定性の良いものが好ましい。そのため、コアフィルムの材料としては、ポリマー骨格として、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン等の芳香族系の骨格あるいはシクロヘキサン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、アダマンタン等の脂環式系骨格等を含むポリマーを使用することが好ましい。
コアフィルムとしては、熱可塑性樹脂または加熱により軟化した後に硬化する成分を含有した熱硬化性樹脂を用いることもできる。熱により軟化するコアフィルムを用いる場合には、コアフィルムの軟化温度を接着剤層の軟化温度よりも20℃以上高くする。この軟化温度の差は50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。
【0017】
ここで、コアフィルムおよび接着剤層の軟化温度とは、コアフィルムをなす樹脂および接着剤層をなす接着剤の温度を室温から上昇させた際に粘性率が大きく低下する(粘性率曲線の傾きが変化する)最初の温度を意味する。この軟化温度は、例えばレオメーター等の粘弾性測定装置を用いて、前記樹脂および接着剤の温度を室温から一定速度で上昇させながら、粘性率を測定することによって調べることができる。
【0018】
本発明の導電性接着シートを第1の方法で作製する場合には、コアフィルムの材料として感光性樹脂を用いる。本発明の導電性接着シートを第2の方法で作製する場合にも、コアフィルムの材料として感光性樹脂を用いることができる。第2の方法でコアフィルムの材料として感光性樹脂を用いる場合には、剥離性を有する基板面に感光性樹脂層を形成し、フォトリソグラフィで感光性樹脂層をパターニングすることで貫通孔を形成した後に基板を除去することによって、貫通孔を有するコアフィルムを得ることができる。
【0019】
コアフィルムの材料とする感光性樹脂としては、例えば、光重合性ポリイミド樹脂、光重合性エポキシ樹脂、光重合性ポリエステル樹脂などが有用である。また、本発明の導電性接着シートでは、感光性樹脂層に微小な導電性微粒子を微小なピッチで配列させるために、微小な貫通孔を微小なピッチで形成する必要がある。そのため、線幅が数μm以下のパターンが形成可能な、解像度の極めて高い感光性樹脂を用いる必要がある。
【0020】
コアフィルムの厚さは、用いる導電性微粒子の大きさに大きく依存する。すなわち、本発明の導電性接着シートは、使用時に、コアフィルムを変形させずに、接続する両パターンに導電性微粒子を接触させる必要があるため、コアフィルムの厚さは、導電性接着シートの導電性微粒子の平均粒子径と同じかそれより小さい寸法にする必要がある。例えば、用いる導電性微粒子の平均粒子径が0.5〜50μmの場合、コアフィルムの厚さは0.5μm〜50μmとする。コアフィルムの厚さが50μmを越えると、用いる粒子も平均粒子径が50μmを超える大きさにする必要があるため、ファインパターンの接続には不向きとなる。
【0021】
また、接着剤層との密着性を向上させる目的で、フィルム内に直径1μm以下の細孔がランダムに配置されているスポンジ状の微多孔性フィルムを、コアフィルムとして使用することもできる。この微多孔性フィルムをコアフィルムとして使用すれば、接着剤がこの微多孔性フィルムの細孔に入るアンカー効果により、コアフィルムと接着剤層との接着強度の向上が期待できる。
【0022】
コアフィルムに形成する貫通孔の大きさは、用いる導電性微粒子の大きさに依存するが、導電性粒子の平均粒子径の1〜1.5倍とする。貫通孔の配列については、接続パターンの配列ピッチや配線幅に依存するが、配列ピッチの0.3倍〜1倍の間隔で貫通孔を配列することが好ましい。また、接続する部分のパターンにのみ貫通孔を形成することも可能である。ただし、この場合には、接続パターンと接続部品との位置合わせが必要となる。
【0023】
[導電性微粒子について]
本発明で使用する導電性微粒子の大きさは、平均粒子径が0.5μmから50μm、好ましくは1μmから20μm、更に好ましくは2μmから10μmとする。導電性微粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、接続パターンの高さのバラツキを吸収できない場合がある。また、50μmを越える大きさでは、ファインパターンの接続には不向きとなる。
本発明で使用する導電性微粒子の形状は、特に球形である必要はなく、多面体、球形粒子に多数の突起状物があるものでも構わない。ただし、扁平状のものは貫通孔に入れ難いので好ましくない。圧縮時に潰れやすい、変形し易い導電性微粒子は、接続パターンとの接触面積を大きくでき、接続パターンの高さのバラツキを吸収できるため好ましい。
【0024】
本発明で使用する導電性微粒子の粒子径分布は、標準偏差が平均粒子径の50%以下となるようにする。好ましくは標準偏差が平均粒子径の20%以下となるように、更に好ましくは10%以下となるようにする。導電性微粒子の粒子径分布が標準偏差が平均粒子径の50%を越えて広く分布すると、粒子径の小さな導電性微粒子により貫通孔に詰まりが発生したり、貫通孔以外の場所に存在する不要な小さな導電性微粒子を取り除くことが難しくなる。また、接続パターンの高さばらつきを吸収することが難しくなる。そのため、接続パターン間の電気的な接続信頼性の低下につながる。また、一つの貫通孔に一つの導電性微粒子が入っていることが好ましい。
【0025】
導電性微粒子の分級方法としては通常の方法、例えばサイクロン、クラシクロン等の遠心分級機、重力分級機、慣性分級機、気流分級機、あるいはふるい分けによる分級機等を用いることができる。粒子径が10μm以下の微細な導電性微粒子を分級して粒子径分布の狭い導電性微粒子を得るためには、先ず、気流分級機で粗い分級を行った後、精密ふるいで分級することが好ましい。なお、精密ふるいによる分級を空気中で行うと、ふるい孔に導電性微粒子が詰まることがあるため、精密ふるいに超音波振動を加えたり、超音波振動させた液体中で分級を行ったりすることが好ましい。
【0026】
[接着剤層について]
本発明の導電性接着シートを構成する接着剤層をなす接着剤としては、例えば、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤あるいは感圧接着剤等を好適に使用することができる。特に、マイクロカプセル中に硬化剤を含有する化合物を閉じ込め、圧力あるいは熱によりマイクロカプセルが潰れることにより硬化が開始するいわゆる潜在性硬化剤を含有するタイプの接着剤を使用することが好ましい。
【0027】
また、この接着剤層の材質としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を挙げることができる。特に、寸法安定性、耐熱性等の観点からは、使用する接着剤を構成する樹脂が、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ビフェニル、フェニレンエーテル等の芳香族化合物やシクロヘキサン、シクロヘキセン、ビシクロオクタン、ビシクロオクテン、アダマンタン等の脂肪族環状化合物の骨格を分子鎖中に有する化合物からなることが好ましい。
【0028】
また、溶剤に可溶な樹脂からなる接着剤を使用すれば、接着剤を溶剤に溶かした状態で支持体上に塗布した後に乾燥することによって、接着剤層を得ることができる。この乾燥(溶媒除去)後の接着剤層の厚さを1μm〜50μmに、好ましくは5μm〜20μmとする。1μm未満の厚さでは、接着後の密着強度を得ることが難しい。接着剤層の厚さが50μmを越えると、接着剤の量が多すぎて、導電性微粒子と接続パターンとの間を電気的に接続し難くなる。
【0029】
本発明の導電性接着シートでは、コアフィルムの両面に接着剤層(コアフィルムの一方の面側の接着剤層:第1の接着剤層と、他方の面側の接着剤層:第2の接着剤層)が形成されているが、これらの接着剤層は組成の同じものであっても異なるものであっても構わない。また、第1および第2の接着剤層は、それぞれ機能の異なる複数の接着剤層が積層されたものであってもかまわない。
【0030】
本発明の導電性接着シートにおいて、第1の接着剤層および/または第2の接着剤層を、軟化温度の差が20℃以上である二種類の接着剤層が、軟化温度の高い方をコアフィルム面側に配置して積層されたものとすることにより、導電性接着シートを加熱圧縮して使用する際に、導電性微粒子がコアフィルムの貫通孔から外れて、シート面内の所定位置からずれた位置に移動することを防止できる。
【0031】
例えば、本発明の導電性接着シートを、隣接するパターンの間隔が10μm以下と狭い基板の接続に使用する場合、導電性微粒子がシート面内の所定位置からずれた位置に移動すると、ショートの原因になることがある。このような場合に前記二層構造の接着剤層を有する導電性接着シートを使用すると、ショートを確実に防ぐことができるようになるため好ましい。前記軟化温度の差は50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。
【0032】
なお、コアフィルムにテーパ状の貫通孔を、導電性微粒子がテーパ状貫通孔の窄まった部分(開口寸法の小さい部分)で保持される寸法で設けた場合には、テーパ状貫通孔の開口寸法の大きい側のコアフィルム面に接着する接着剤層のみを前記二層構造にすればよい。本発明の導電性接着シートが製造工程において酸性水溶液や水などに曝される場合には、水系処理液で変質や反応が生じない接着剤層を使用する必要がある。また、粘着性あるいはタック性を有する接着剤層を使用することによって、本発明の導電性接着シートを被接続物に対して仮止め可能とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の導電性接着シートによれば、コアフィルム面内に所定配置で複数個の貫通孔を形成し、この貫通孔に導電性微粒子を配置するため、貫通孔のピッチおよび大きさを、接続するパターンの配列ピッチおよび配線幅等に対応させて設定することが可能となる。また、使用時に、コアフィルムによってシート面内での導電性微粒子の配置が固定される。
そのため、貫通孔のピッチおよび大きさを、接続するパターンの配列ピッチおよび配線幅等に対応させて設定することによって、ファインピッチで配列されているパターンを接続する場合でも、隣り合うパターン間にショートが生じないようにすることができる。また、接続するパターンが導電性微粒子の存在しない位置に配置される、という恐れを無くすことができる。
【0034】
その結果、本発明の導電性接着シートによれば、接続するパターンの寸法が小さい場合や、ファインピッチで配列されているパターンを接続する場合でも、信頼性の高い接続を行うことができる。また、本発明の導電性接着シートの製造方法によれば、導電性微粒子がシート面内に、規則的に且つ高密度で(隣り合う導電性微粒子間の距離が20μm以下となるように)配置された導電性接着シートを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の導電性接着シートの一実施形態について、図1を用いて説明する。この導電性接着シートは、厚さ方向の中央に配置したコアフィルム1と、コアフィルム1の両面に配置された接着剤層2,3と、球状の導電性微粒子4とで構成されている。コアフィルム1はポリイミド樹脂または不飽和ポリエステル樹脂からなり、厚さは4μmである。接着剤層2,3は、潜在性硬化剤を含有するエポキシ系の熱硬化型接着剤からなり、厚さは12μmである。導電性微粒子4は、銅と銀との合金からなる粉末であって、平均粒径が6μm、粒子径分布の標準偏差が1.5μmである。
【0036】
コアフィルム1には、厚さ方向に貫通する貫通孔10が、フィルム面内に多数個、規則的に配置されている。この実施形態では、図1(b)に示すように、フィルム面内の格子点(格子の縦線と横線との交点)の位置および単位格子の面心位置に、貫通孔10が配置されている。縦線に沿って隣り合う格子点の間隔は15μmであり、横線に沿って隣り合う格子点の間隔は15μmである。貫通孔10の平面形状(フィルム面に沿った断面形状)は円形であり、この円の直径は8μm(導電性微粒子4の平均粒径の1.33倍)である。また、コアフィルム1の全ての貫通孔10内に、各1個の導電性微粒子4が配置されている。
【0037】
この導電性接着シートは、使用時に、接続する基板間に挟んで加圧する。これにより、接着剤層2,3を変形させて、接続する両パターンに導電性微粒子4を接触させる。この時、コアフィルム1によって、シート面内での導電性微粒子4の配置が固定される。また、この導電性接着シートでは、上述のように、導電性微粒子4がシート面内に、規則的に且つ高密度で(隣り合う導電性微粒子間の距離が20μm以下となるように)配置されている。
【0038】
したがって、この実施形態の導電性接着シートによれば、接続するパターンの寸法が小さい場合や、ファインピッチで配列されているパターンを接続する場合でも、信頼性の高い接続を行うことができる。特に、貫通孔10のピッチおよび大きさを、接続するパターンの配列ピッチおよび配線幅に対応させて設定することにより、接続するパターンが導電性微粒子4の存在しない位置(図15に符号Aで表示)に配置される、という恐れがなくなる。
【0039】
なお、この実施形態の導電性接着シートによれば、導電性微粒子が規則的に配置されているため、ランダムに配置されている場合のように導電性微粒子を極端に小さく(例えば、直径2μm以下に)しなくても、接続するパターンが導電性微粒子の存在しない位置(図15に符号Aで表示)に配置される確率が原理的にはゼロになる。したがって、この実施形態の導電性接着シートは、導電性微粒子をある程度の大きさにすることによって、導電性微粒子がランダムに配置されている導電性接着シートよりも、接続パターンの基板面からの突出高さのバラツキを吸収し易くなる。
【0040】
図1(c)に、コアフィルム1の面内での貫通孔10の配置が上記とは異なる導電性接着シートを示す。この例では、貫通孔10がフィルム面内の格子点の位置に配置されている。これらの全ての貫通孔10内に、各1個の導電性微粒子4が配置されている。
本発明の導電性接着シートを製造する第1の方法の実施形態について、図2を用いて説明する。
先ず、プラスチックフィルム等からなる支持体5の上に、接着剤溶液(接着剤を溶剤に溶かした液体)を所定の厚さで塗布した後、溶剤を乾燥除去することにより、第1の接着剤層2を形成する。接着剤溶液の塗布方法としては、通常の方法、例えば、ブレードコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート法などが採用できる。
【0041】
次に、第1の接着剤層2の上に、液状のネガ型感光性樹脂を塗布し、溶剤を含む感光性樹脂の場合には溶剤を乾燥させることによって、コアフィルム1をなす感光性樹脂層11を形成する。次に、フォトリソグラフィでこの感光性樹脂層11をパターニングする。すなわち、図2(a)に示すように、先ず、コアフィルム1に形成する貫通孔10に対応させた(形状とシート面内での配置)光遮蔽部を有する露光マスクMを、ネガ型の感光性樹脂層11の上方に配置し、この露光マスクMの上から高エネルギー光を照射する。次に、所定の現像処理を行うことによって、感光性樹脂層11の光が当たらなかった部分を除去する。
【0042】
この実施形態では、ネガ型感光性樹脂の重合度を高くして不溶化することができる高エネルギー光を照射するが、その光源としては、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプなどが挙げられる。孔径が20μm以下の微細なパターンを形成するためには、平行光線を照射することが好ましい。なお、ポジ型感光性樹脂を使用する場合には、貫通孔10に対応させた光照射部を有する露光マスクを用いる。この場合には、前述の光源を使用する方法以外に、シンクロトロン軌道放射光から取り出したX線、あるいは電子線等を照射することで、光照射部のポリマー鎖の結合を切断する方法が採用できる。
【0043】
これにより、感光性樹脂層11に所定の配置で貫通孔10が形成される。その結果、所定配置の貫通孔10を有するコアフィルム1が、第1接着剤層2の上に形成される。図2(b)はこの状態を示す。次に、この状態でコアフィルム1の上方から、多数の導電性微粒子4からなる粉末を散布した後、支持体5と第1の接着剤層2とコアフィルム1とからなるシート全体を振動させることにより、コアフィルム1の貫通孔10内に導電性微粒子4を入れる。また、図2(c)に示すように、貫通孔10内に入らず、コアフィルム1の上面に存在する導電性微粒子4aは、接着剤の付いたフィルムなどで押し当てることによって除去する。
【0044】
シート全体を振動させることで、全ての貫通孔10に導電性微粒子4が入り易くなる。また、導電性微粒子の入った容器内にシート全体を複数回くぐらせることによって、コアフィルム1の貫通孔10内に導電性微粒子4を入れてもよい。次に、コアフィルム1の上に接着剤溶液を所定の厚さで塗布した後、溶剤を乾燥除去することにより、コアフィルム1の上に第2の接着剤層3を形成する。さらに、この第2の接着剤層3の上にカバーフィルム6を被覆する。これにより、導電性接着シートが、図2(d)に示すように、一方の面に支持体5が、他方の面にカバーフィルム6がそれぞれ接合された状態で得られる。
【0045】
これに代えて、接着剤層3が形成されたカバーフィルム6を、接着剤層3をコアフィルム1側に向けて、コアフィルム1の上に置いて加熱することにより、図2(d)の状態としてもよい。ただし、この場合の加熱温度は、接着剤層3をなす接着剤が硬化しない温度とする必要がある。なお、導電性接着シートは、支持体5とカバーフィルム6を剥離した状態で使用される。そのため、支持体5の第1の接着剤層2を形成する面と、カバーフィルム6の第2の接着剤層3側となる面に、シリコン系等の剥離剤を塗布しておくことが好ましい。
【0046】
以上説明したように、この第1の方法によれば、フォトリソグラフィを採用することによって、コアフィルム1に直径20μm以下の微小な貫通孔10を容易に形成することができる。
本発明の導電性接着シートを製造する第2の方法の実施形態について、図3〜6を用いて説明する。
先ず、支持体5の上に接着剤溶液を所定の厚さで塗布した後、乾燥することによって、支持体5の上に第1の接着剤層2を形成する。図3(a)はこの状態を示す。この第1の接着剤層2の上に、図3(b)に示すような、貫通孔10を有するコアフィルム1を接合する。図3(c)はこの状態を示す。この接合は、第1の接着剤層2の上にコアフィルム1を載せて加熱することで行う。この加熱温度は、接着剤層2をなす接着剤が硬化しない温度とする。
【0047】
次に、第1の方法と同じ方法で、導電性微粒子4をコアフィルム1の貫通孔10内に充填する。次に、第1の方法と同じ方法で、コアフィルム1上への第2の接着剤層3の形成およびカバーフィルム6の被覆を行う。これにより、導電性接着シートが、図3(d)に示すように、一方の面に支持体5が、他方の面にカバーフィルム6がそれぞれ接合された状態で得られる。
この第2の方法において、図3(b)に示すような、貫通孔10を有するコアフィルム1を形成する方法としては、(1)図4に示すように、コアフィルム1にレーザ照射を行う方法と、(2)図5に示すように、プレス用金型90,170を用いてコアフィルム1をプレスで打ち抜く方法を採用することが好ましい。
【0048】
(1)の方法の実施形態としては、先ず、図4(a)に示すように、コアフィルム1に形成する貫通孔10に対応させた開口部K1を有する金属マスクKを、支持体5の上に固定したポリイミド樹脂からなるコアフィルム1の上方に配置し、このマスクKの上からエキシマレーザを照射する。これにより、コアフィルム1のエキシマレーザが照射された部分が除去されて、貫通孔10が形成される。図4(b)はこの状態を示す。次に、コアフィルム1から支持体5を除去する。
【0049】
(2)の方法では、先ず、プレス用金型を作製する。この作製方法の実施形態について図6を用いて説明する。先ず、アルミニウム板やステンレス板等の導電性基板7を用意し、その表面に亜鉛置換めっき処理を施して、厚さ200μm程度のメッキ層を形成する。このメッキ層の上に、前述の感光性樹脂層11の形成方法と同じ方法で、ネガ型の感光性樹脂層8を形成する。
【0050】
次に、コアフィルム1の貫通孔10に対応させた光遮蔽部を有する露光マスクMを用意し、この露光マスクMを感光性樹脂層8の上方に配置する。この露光マスクMの上から高エネルギー光の平行光を照射する。平行光は、光源からの光をフライアイレンズと数枚の反射鏡で加工することによって得られる。図6(a)はこの状態を示す。
次に、所定の現像処理を行うことによって、感光性樹脂層8の光が当たらなかった部分を除去する。これにより、コアフィルム1の貫通孔10に対応する貫通孔81が感光性樹脂層8に形成される。図6(b)はこの状態を示す。次に、めっき前処理として、この導電性基板7と感光性樹脂層8とからなる板状物の表面を、反応性イオンエッチング等で清浄化する。すなわち、現像後にこの板状物に残存する現像残査を完全に除去する。
【0051】
次に、この導電性基板7と感光性樹脂層8とからなる板状物をめっき浴内に入れて、導電性基板7に通電することにより、リンを含有するニッケルの電解めっきを行う。これにより、感光性樹脂層8の上と貫通孔81内にメッキ層9を形成する。この状態を図6(c)に示す。メッキ層9の厚さは、プレス用金型として必要な強度を発揮できる厚さとする。例えば、貫通孔81の深さの50倍程度とする。
【0052】
次に、導電性基板7と感光性樹脂層8とメッキ層9とからなる板状物から、導電性基板7を、エッチング法であるいは物理的に剥離することによって除去する。次に、メッキ層9から感光性樹脂層8を剥離する。このメッキ層9が、図6(d)に示すように、コアフィルム1の貫通孔10の配置に対応させた突起91を有する雄型90となる。
次に、電解ニッケルめっきの代わりに電解銅めっきを行うことを除いて、この雄型90の形成方法と同じ方法を実施することにより、雄型90と同じ形状の銅製の型15を作製する。すなわち、この型15は、コアフィルム1の貫通孔10の配置に対応させた突起15aを有する。次に、この型15の突起15a側の面に、リンを含有するニッケルの電解めっきを行ってメッキ層17を形成する。この状態を図6(e)に示す。メッキ層17の厚さは、プレス用金型として必要な強度を発揮できる厚さとする。例えば、突起15aの突出長さの50倍程度とする。
【0053】
次に、銅製の型15を、過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄塩酸水溶液、または塩化第二銅水溶液等の銅を溶解する溶液を用いてエッチングすることにより、メッキ層17から除去する。このメッキ層17が、図6(f)に示すように、雄型90の突起91を受ける凹部171を有する雌型170となる。このようにして得られた雄型90と雌型170とをプレス装置に装着し、雄型90の突起91と雌型170の凹部171が正確に噛み合うように、上下両側のパターンを同時に観察できるCCDカメラで見ながら、少なくとも2カ所で位置合わせを行う。次に、図5に示すように、雄型90と雌型170との間にコアフィルム1を設置してプレスすることにより、コアフィルムの突起91と凹部171とで挟まれた部分に貫通孔が形成される。このプレス装置としては、LSIベアチップを反転して基板へ実装するときに用いられるフリップチップボンダー等を改造して使用することができる。
【0054】
以上説明したように、この第2の方法によれば、レーザ照射法または微細金型によるプレス加工法を採用することによって、コアフィルム1に直径20μm以下の微小な貫通孔10を容易に形成することができる。なお、この実施形態では、本発明の第2の方法における、貫通孔10を有するコアフィルム1の一方の面に第1接着剤層2を形成する方法として、支持体5の上に形成された第1接着剤層2の上に、貫通孔10を有するコアフィルム1を接合する方法を採用しているが、これに代えて、例えば、貫通孔10を有するコアフィルム1の上に接着剤溶液を塗布・乾燥する方法を採用してもよい。
【0055】
この場合、コアフィルム上に第1の接着剤層を形成した後にコアフィルム側を上にして、貫通孔内に導電性微粒子を入れた後、このコアフィルムの上に第2の接着剤層を形成する。なお、第1の接着剤層の形成時に、コアフィルムの貫通孔内に接着剤が入った場合でも、この接着剤も第1の接着剤層と同様に未硬化状態に保持されるため、導電性微粒子を貫通孔に押し込むこと等によって、導電性微粒子を貫通孔内に入れることができる。
【0056】
本発明の導電性接着シートを製造する別の方法の実施形態について、図7を用いて説明する。先ず、図7(a)に示すように、導電性基板7の上に、第1の方法と同じ方法で、ネガ型の感光性樹脂層11の形成、感光性樹脂層11に対する露光マスクMを介した高エネルギー光の照射、および現像処理を行う。これにより、導電性基板7の上に、貫通孔10を有するコアフィルム1が形成される。図7(b)はこの状態を示す。
【0057】
次に、コアフィルム1の貫通孔10内に、電解めっき法により導電性微粒子4を成長させる。この実施形態では、電解めっき時の電流密度を調整することによって、図7(c)に示すように、導電性微粒子4を、貫通孔10の中央部でコアフィルム1から突出する高さで、しかも先端が丸くなるように成長させる。次に、コアフィルム1の導電性基板7とは反対側の面に、第1の方法で第2の接着剤層3を形成した方法と同じ方法で、第1の接着剤層2を形成する。次に、この第1の接着剤層2の上にカバーフィルム6を被覆する。これに代えて、接着剤層2が形成されたカバーフィルム6を、接着剤層2をコアフィルム1側に向けて、コアフィルム1の上に置いて加熱することにより、図7(c)の状態としてもよい。ただし、この場合の加熱温度は、接着剤層2をなす接着剤が硬化しない温度とする必要がある。
【0058】
次に、導電性基板7を、エッチング法によりあるいは引き剥がすことにより除去する。図7(d)はこの状態を示す。次に、導電性基板7が除去されたコアフィルム1の面に第2の接着剤層3を形成し、この第2の接着剤層3にカバーフィルム6を被覆する。このようにして、図7(e)に示すように、両面にカバーフィルム6が接合されている導電性接着シートが得られる。
この方法によれば、電解めっき法により貫通孔10内に導電性微粒子4を成長させるため、貫通孔10への導電性微粒子4の配置を容易に行うことができる。
【実施例1】
【0059】
[導電性接着シートの作製]
この実施例では、本発明の第1の方法の実施例に相当する方法で導電性接着シートを作製する。この実施例を図2に基づいて説明する。先ず、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、このPETフィルムの表面に、剥離剤としてポリジメチルシロキサンを約50nmの膜厚で被覆した。このPETフィルム(支持体)5の剥離剤が被覆された面に、熱可塑性ポリイミド溶液をブレードコーターを用いて塗布した。次に、この塗布膜から溶剤を乾燥除去することにより、PETフィルム5上に、厚さ10μmの熱可塑性ポリイミドからなる接着剤層(第1の接着剤層)2を形成した。
【0060】
可塑性ポリイミド溶液としては、宇部興産社製の熱可塑性ポリイミド溶液「UPA−N−111C」100重量部に対して、ペンタエリスリトールトリメタクリレートを1重量部の割合で添加して30分間混合し、泡が消えるまで放置したものを使用した。この接着剤層2の上に、ブレードコーターを用いて液状のネガ型感光性樹脂を塗布することによって、感光性樹脂層11を厚さ4μmで形成した。この感光性樹脂層11の上に厚さ10μmのPETフィルムを載せた。
【0061】
使用した感光性樹脂は、数平均分子量が2000である不飽和ポリエステルプレポリマー:100重量部に、テトラエチレングリコールジメタクリレート:10.7重量部、ジエチレングリコールジメタクリレート:4.3重量部、ペンタエリスリトールトリメタクリレート:15重量部、リン酸(モノメタクリロイルオキシエチル):3.6重量部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン:2重量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール:0.04重量部、およびオリヱント化学製「OPLASイエロー140」:0.11重量部を加えて、攪拌混合することにより得られたものである。
【0062】
数平均分子量が2000である不飽和ポリエステルプレポリマーは、アジピン酸、イソフタル酸、イタコン酸、フマル酸と、ジエチレングリコールとの仕込み比を調整し、脱水重縮合反応により得た。数平均分子量は、島津製作所社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置を用いて測定し、ポリスチレン標準品で検量化した。
【0063】
この感光性樹脂は溶剤を含有しないが、前述の膜厚ではそのまま塗布することができる。ただし、2μm以下の膜厚で塗布する場合には、溶剤を加えて粘度を低くして使用することが好ましい。その場合には、塗布後に溶剤を乾燥させることによって感光性樹脂層が得られる。次に、露光マスクMとして、直径8μmである円形のクロムパターンが、図1(b)に示す貫通孔10の配置と同じ配置で、格子点間隔が15μmピッチで、規則的に配列されているガラス製フォトマスクを用意した。この露光マスクMを感光性樹脂層11の上に配置し、この露光マスクMの上から超高圧水銀ランプの光を照射した。この照射光は、光源からの光を光学系で平行にした平行光線である。図2(a)はこの状態を示す。但し、この図では、厚さ10μmのPETカバーフィルムが省略されている。
【0064】
次に、PETカバーフィルムを剥離し、現像処理を行った。その結果、感光性樹脂層11の光の当たらなかった部分が除去されて、図2(b)に示すように、多数の貫通孔10を有するコアフィルム1が、熱可塑性ポリイミド接着剤層(第1の接着剤層)2の上に形成された。このコアフィルム1には、直径が8μmである円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に配列されている。
【0065】
このコアフィルム1上に、多数の導電性微粒子4からなる粉末を散布した後、超音波振動装置を用いてシート全体に振動を与えることにより、全ての貫通孔10内に導電性微粒子4を入れた。次に、コアフィルム1の表面に、日東電工(株)製の粘着フィルム「SPV−363」を、ローラーを用いて張り付けた後に剥がすことによって、貫通孔10に入らず、コアフィルム1の上面に存在する導電性微粒子4aを取り除いた。
【0066】
導電性微粒子4からなる粉末としては、特開平6−223633号公報に記載された、組成がAgx Cu(1-x) (0.008≦x≦0.4)であって粒子表面の銀濃度が平均の銀濃度の2.2倍より高く、表面近傍で粒子表面に向かって銀濃度が増加する領域を有する球状の導電性粒子からなり、平均粒子径が6μm、粒子径分布の標準偏差が0.6μmである粉末を使用した。
【0067】
次に、図2(d)に示すように、一方の面にエポキシ接着剤からなる接着剤層(第2の接着剤層)3が形成されているPETフィルム6を、接着剤層3をコアフィルム1側に向けて、コアフィルム1の上に置いて加熱することにより接合した。一方の面にエポキシ接着剤からなる接着剤層3が形成されているPETフィルム6は、以下のようにして作製した。先ず、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、このPETフィルムの表面に、剥離剤としてポリジメチルシロキサンを約50nmの膜厚で被覆した。このPETフィルム(カバーフィルム)6の剥離剤が被覆された面に、エポキシ接着剤溶液をブレードコーターを用いて塗布した。次に、この塗布膜から溶剤を乾燥除去することにより、PETフィルム6上に、厚さ10μmのエポキシ接着剤からなる層3を形成した。
【0068】
使用したエポキシ接着剤溶液の組成は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂:10重量部、フェノキシ樹脂:10重量部、マイクロカプセル型のイミダゾール誘導体エポキシ化合物からなる潜在性硬化剤:4.5重量部、およびトルエン/酢酸エチル混合液:5重量部である。以上のようにして、不飽和ポリエステル樹脂からなるコアフィルム1の一方の面に熱可塑性ポリイミドからなる接着剤層2が配置され、他方の面にエポキシ接着剤からなる接着剤層3が配置され、コアフィルム1には、直径8μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成され、各貫通孔10に各1個の銅−銀合金製の導電性微粒子4が配置されている導電性接着シートが得られた。この導電性接着シートの両面にはPETフィルム5,6が接合されている。
【0069】
[性能評価]
図8および図9に示す試験用基板30,40,50を用意した。
図8(a)は試験用基板30の一部を示す平面図であり、図8(b)は図8(a)のa−a線断面図である。試験用基板30は、絶縁性基板31の上に、200本の配線32と、各配線32毎に独立に接続された検査用パッド35とを有する。配線32の幅Wは15μmであり、配列ピッチpは30μmであり、厚さhは15μmである。
【0070】
図9(a)は試験用基板40,50の一部を示す平面図であり、図9(b)は試験用基板40の断面図であり、図9(c)は試験用基板50の断面図である。図9(b)および図9(c)は図9(a)のb−b線断面図に相当する。試験用基板40は、ガラス基板41の上に、直線状の配線パターン42と円形のダミーパターン43と検査用パッド44とを有する。ダミーパターン43は、試験用基板30の配線32に合わせて、配線パターン42の長さ方向に200個配列されている。これらのパターンは、ガラス基板41上に薄いクロム層を形成し、その上に銅めっきを施し、この銅メッキ層およびクロム層をパターニングすることで形成されている。
【0071】
配線パターン42の幅W1は15μmであり、ダミーパターン43の直径W2は15μm、配列ピッチp10は30μmである。配線パターン42とダミーパターン43の厚さ(銅メッキ層とクロム層との合計厚さ)は15μmである。これらの試験用基板30,40は、使用時に、試験用基板30の全ての配線32が形成された部分と、試験用基板40の配線パターン42およびダミーパターン43が形成された部分とを重ねて、配線32と配線パターン42とが直交するように配置する。
【0072】
試験用基板50は、ガラス基板51の一方の面に、試験用基板40の配線パターン42およびダミーパターン43と全く同じパターンの凸部52が、エキシマレーザ加工により形成されたものである。試験用基板30と試験用基板50は、使用時に、試験用基板30の全ての配線32が形成された部分と、試験用基板50の凸部52が形成された部分とを重ねて、配線パターン42に対応する凸部52と配線32とが直交するように配置する。
【0073】
これらの試験用基板30,40,50を用いて、以下の方法により導電性接着シートの性能評価を行った。先ず、上述の方法で得られた導電性接着シートの両面からPETフィルム5,6を剥がして、この導電性接着シートを前記配置の試験用基板30,40間に挟み、50MPaの圧力をかけた状態で230℃に加熱して5分間保持した。その結果、導電性接着シートにより、試験用基板30と試験用基板40とが接着された。
【0074】
図10はこの状態を示す断面図であって、(a)は配線パターン42の部分の断面図を示し、(b)はダミーパターン43の部分の断面図を示す。これらの図は、配線パターン42と平行な線での断面図である。この接着時に、導電性接着シートのコアフィルム1とその両面の接着剤層2,3は変形するため、図10ではこれらをまとめて符号23で示してある。
【0075】
このようにして得られた2個のテストピースを用いて、実施例1の導電性接着シートによる接続確認試験を行った。すなわち、各テストピースについて、試験用基板30の200個の検査用パッド35と試験用基板40の検査用パッド44との間の抵抗を測定した。その結果、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが分かった。
【0076】
次に、上述の方法で得られた導電性接着シートの両面からPETフィルム5,6を剥がして、この導電性接着シートを前記配置の試験用基板30,50間に挟み、50MPaの圧力をかけた状態で230℃に加熱して5分間保持した。その結果、導電性接着シートにより、試験用基板30と試験用基板50とが接着された。
このようにして得られた2個のテストピースを用いて、隣接する検査用パッド35同士の間の絶縁抵抗を測定した。その結果、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが分かった。
これらの試験結果から、この実施例の導電性接着シートによって、図10(a)に示すように、試験用基板30の配線32と試験用基板40の配線パターン42とが、導電性接着シートの導電性微粒子4によって接続され、図10(a)および図10(b)に示すように、隣り合う配線32間が導電性微粒子4で接続されていない状態になることが分かる。
【実施例2】
【0077】
[導電性接着シートの作製]
この実施例では、本発明の第2の方法の実施例に相当する方法により、導電性接着シートを作製する。この実施例を図3および4に基づいて説明する。先ず、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、このPETフィルムの表面に、剥離剤としてポリジメチルシロキサンを約50nmの膜厚で被覆した。このPETフィルムの剥離剤が被覆された面に、エポキシ接着剤溶液をブレードコーターを用いて塗布した。次に、この塗布膜から溶剤を乾燥除去することにより、PETフィルム上に、厚さ12μmのエポキシ接着剤からなる接着剤層を形成した。このPETフィルムと接着剤層とからなるシートを2枚用意した。
【0078】
使用したエポキシ接着剤溶液の組成は、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂:10重量部、フェノキシ樹脂:10重量部、マイクロカプセル型のイミダゾール誘導体エポキシ化合物からなる潜在性硬化剤:4.5重量部、およびトルエン/酢酸エチル混合液:5重量部である。一方、上記と同じPETフィルムの表面に、剥離剤としてポリジメチルシロキサンを約50nmの膜厚で被覆した。このPETフィルムの剥離剤が被覆された面に、ポリイミド樹脂溶液(宇部興産社製の「UPA−N−111C」)をブレードコーターを用いて塗布した。次に、この塗布膜から溶剤を乾燥除去することにより、図4(a)に示すように、PETフィルム(支持体)5上に、ポリイミド樹脂からなるコアフィルム1を厚さ4μmで形成した。
【0079】
次に、コアフィルム1に形成する貫通孔10に対応させた開口部K1を有するニッケル製の金属マスクKを用意し、この金属マスクKをコアフィルム1の上方に配置し、この金属マスクKの上からエキシマレーザを照射した。図4(a)はこの状態を示す。金属マスクKには、直径8μm径の円形の孔が、図1(b)に示す貫通孔の配置と同じ配置で、15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成されている。
【0080】
エキシマレーザの照射は、LUMONICS社製のエキシマレーザ「INDEX800」と住友重機械工業社製の搬送系「SIL300H」とからなるエキシマレーザ加工装置を用いて行った。レーザの波長は248nm(フッ化クリプトンガス)であり、レーザビームの寸法は8mm×25mmであり、発振周波数は200Hzであった。
これにより、コアフィルム1のエキシマレーザが照射された部分(開口部K1の下側の部分)が除去されて、コアフィルム1の所定位置に貫通孔10が形成された。このコアフィルム1には、直径が8μmである円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に配列されている。図4(b)はこの状態を示す。次に、コアフィルム1からPETフィルム(支持体)5を剥離する。
【0081】
次に、上述の方法で予め用意した、PETフィルムと接着剤層とからなるシートを、図3(a)に示すように、接着剤層(第1の接着剤層)2側を上に向けて置き、その上に、貫通孔10を有するコアフィルム1を載せて、加熱により接合した。この状態を図3(c)に示す。このコアフィルム1上に、多数の導電性微粒子4からなる粉末を散布した後、超音波振動装置を用いてシート全体に振動を与えることにより、全ての貫通孔10内に導電性微粒子4を入れた。この状態を図3(d)に示す。次に、コアフィルム1の表面に、日東電工(株)製の粘着フィルム「SPV−363」を、ローラーを用いて張り付けた後に剥がすことによって、貫通孔10に入らず、コアフィルム1の上面に存在する導電性微粒子4aを取り除いた。
【0082】
導電性微粒子4からなる粉末としては、特開平6−223633号公報に記載された、組成がAgx Cu(1-x) (0.008≦x≦0.4)であって粒子表面の銀濃度が平均の銀濃度の2.2倍より高く、表面近傍で粒子表面に向かって銀濃度が増加する領域を有する球状の導電性粒子からなり、平均粒子径が6μm、粒子径分布の標準偏差が0.6μmである粉末を使用した。
【0083】
次に、上述の方法で予め用意した、PETフィルム上にエポキシ接着剤からなる接着剤層が形成されたシートを、図3(e)に示すように、接着剤層(第2の接着剤層)3側を下側に向けてコアフィルム1の上に載せて、加熱により接合した。これにより、ポリイミド樹脂からなる厚さ4μmのコアフィルム1の両面に、厚さ12μmのエポキシ接着剤からなる接着剤層2,3が配置され、コアフィルム1には直径8μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成され、各貫通孔10に各1個の銅−銀合金製の導電性微粒子4が配置されている導電性接着シートが得られた。この導電性接着シートの両面にはPETフィルム5,6が接合されている。
【0084】
[性能評価]
この実施例2で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【実施例3】
【0085】
[導電性接着シートの作製]
この実施例では、本発明の第2の方法の実施例に相当する方法により、導電性接着シートを作製する。この実施例を図3、図5、および図6に基づいて説明する。
実施例2と同じ方法で、PETフィルム(支持体)5上に、ポリイミド樹脂からなるコアフィルム1を形成した。ただし、厚さは7μmとした。次に、コアフィルム1からPETフィルム(支持体)5を剥離した。次に、図5に示すように、このコアフィルム1を、雄型90および雌型170からなるプレス用金型(加圧面:2.5cm角)の間に挟み、プレスで打ち抜くことにより、コアフィルム1に貫通孔10を開けた。プレス装置としてはフリップチップボンダーを用い、雄型90および雌型170の位置合わせはCCDカメラを用いた方法で行った。また、プレス圧は3MPaとした。
【0086】
雄型90および雌型170は、前述の実施形態で図6を用いて説明した方法により作製した。具体的には、導電性基板7として厚さ200μmのアルミニウム板を用意し、その表面に対して亜鉛置換めっき処理を施した。感光性樹脂層8は、実施例1と同じ感光性樹脂溶液を用いて、同じ方法により、厚さ100μmで形成した。露光マスクMとしては、直径10μmの円形のクロムパターンが、図1(b)に示す貫通孔10の配置と同じ配置で、格子点間隔が20μmピッチで規則的に配列されているガラス製フォトマスクを用意した。露光方法は実施例1の感光性樹脂層11に対する方法と同じとした。
【0087】
めっき前処理の反応性イオンエッチングは、ヤマト科学社製の「PC−1000−5030」を用いて、酸素ガスを系内に導入しながら行った。ニッケルめっきによるメッキ層9の厚さは5mmとした。導電性基板7の除去は、塩酸を用いたウエットエッチングにより行った。また、硫酸銅を使用した電解銅めっき処理によって銅製の型15を作製した。ニッケルめっきによるメッキ層17の厚さは5mmとした。銅製の型15の除去は、過硫酸アンモニウム水溶液および濃硝酸を用いたウエットエッチングにより行った。
【0088】
このようにして、直径10μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で、20μmピッチ(格子点間隔)で規則的に配列されているコアフィルム1を得た。このコアフィルム1の両面に、以下の方法で接着剤層を形成した。先ず、実施例2と同じ方法で予め用意した、PETフィルムと接着剤層(10μm)とからなるシートを、図3(a)に示すように、接着剤層(第1の接着剤層)2側を上に向けて置いた。次に、この接着剤層2の上に、得られた貫通孔10を有するコアフィルム1を載せて、加熱により接合した。この状態を図3(c)に示す。
【0089】
これ以降は実施例2と同じ方法で、貫通孔10への導電性微粒子4の配置および第2接着剤層3とカバーフィルム6の接合を行った。ただし、導電性微粒子4からなる粉末としては、同じ材料からなるが、平均粒子径8μm、粒子径分布の標準偏差0.8μmのものを使用した。これにより、ポリイミド樹脂からなる厚さ10μmのコアフィルム1の両面に、10μmのエポキシ接着剤からなる接着剤層2,3が配置され、コアフィルム1には直径10μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で20μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成され、各貫通孔10に各1個の銅−銀合金製の導電性微粒子4が配置されている導電性接着シートが得られた。この導電性接着シートの両面にはPETフィルム5,6が接合されている。
【0090】
[性能評価]
試験用基板30の配線32の幅Wを20μmとし、配列ピッチpを40μmとした。試験用基板40の配線パターン42の幅を20μmとし、ダミーパターン43の直径W2を20μm、配列ピッチp10を40μmとした。試験用基板50の凸部52のパターンをこれに合わせた。これ以外の点は実施例1と同じである試験用基板30,40,50を作製した。
【0091】
この試験用基板30,40,50と、この実施例3で作製された導電性接着シートとを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが確認された。
また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【実施例4】
【0092】
[導電性接着シートの作製]
この実施例では、本発明の第2の方法の実施例に相当する方法により、導電性接着シートを作製する。この実施例を図11に基づいて説明する。先ず、プラスチック製フィルム45の表面に剥離層(熱により発泡が生じて接着力が極端に低下する樹脂層)46が形成されている熱剥離シート(日東電工社製「リバアルファ」)400を用意した。次に、このシート400の剥離層46の上に、ブレードコーターを用いて、実施例1と同じネガ型の感光性樹脂溶液を塗布することによって、感光性樹脂層11を厚さ4μmで形成した。この感光性樹脂層11の上に、厚さ10μmのPETフィルム47を載せた。
【0093】
次に、露光マスクMとして、直径が8μmである円形のクロムパターンが、図1(b)に示す貫通孔10の配置と同じ配置で、格子点間隔が15μmピッチで規則的に配列されているガラス製フォトマスクを用意した。この露光マスクMを感光性樹脂層11の上に配置し、この露光マスクMの上から超高圧水銀ランプの光を照射した。この照射光は、光源からの光を光学系で平行にした平行光線である。図11(a)はこの状態を示す。
【0094】
次に、PETフィルム47を剥離した後、現像処理を行った。その結果、感光性樹脂層11の光の当たらなかった部分が除去されて、図11(b)に示すように、多数の貫通孔10を有するコアフィルム1が、剥離層46を介してフィルム45上に形成された。このコアフィルム1には、直径が8μmである円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に配列されている。
【0095】
このようにして得られた貫通孔10を有するコアフィルム1の両面に、以下の方法で接着剤層を形成した。先ず、図11(b)の状態でコアフィルム1およびシート400からなる積層シートを加熱することにより、シート400の剥離層46に発泡を生じさせた。これにより、シート400のフィルム45はコアフィルム1から容易に剥離可能となっている。
【0096】
次に、実施例2と同じ方法で予め用意した、PETフィルム5と接着剤層(10μm)2とからなるシート300を、接着剤層(第1の接着剤層)2側を上に向けて置き、その上に、図11(b)の状態の積層シートを、コアフィルム1側を接着剤層2側に向けて載せ、加熱により接合した。この状態を図11(c)に示す。次に、フィルム45をコアフィルム1から剥離した。この状態を図11(d)に示す。この状態は図3(c)に示す状態と同じである。
【0097】
これ以降は実施例2と同じ方法で、図3(d)および(e)に示すように、貫通孔10への導電性微粒子4の配置および第2接着剤層3とカバーフィルム6の接合を行った。導電性微粒子4からなる粉末についても、実施例2と同じものを使用した。これにより、不飽和ポリエステル樹脂からなる厚さ4μmのコアフィルム1の両面に、10μmのエポキシ接着剤からなる接着剤層2,3が配置され、コアフィルム1には直径8μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成され、各貫通孔10に各1個の銅−銀合金製の導電性微粒子4が配置されている導電性接着シートが得られた。この導電性接着シートの両面にはPETフィルム5,6が接合されている。
【0098】
[性能評価]
この実施例4で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【実施例5】
【0099】
[導電性接着シートの作製]
この実施例を図7に基づいて説明する。先ず、厚さ100μmのアルミニウム板(導電性基板)7を用意し、その表面に対して亜鉛置換めっき処理を施した。このアルミニウム板7のめっき処理面に、ブレードコーターを用いて実施例1と同じネガ型の感光性樹脂溶液を塗布し、乾燥させることによって、ネガ型の感光性樹脂層11を厚さ10μmで形成した。この感光性樹脂層11の上に厚さ10μmのPETフィルムを載せた。図7(a)はこの状態を示す。ただし、この図では感光性樹脂層11上のPETフィルムが省略されている。
【0100】
次に、露光マスクMとして、直径が5μmである円形のクロムパターンが、図1(b)に示す貫通孔10の配置と同じ配置で、格子点間隔が10μmピッチで規則的に配列されているガラス製フォトマスクを用意した。この露光マスクMを感光性樹脂層11の上に配置し、この露光マスクMの上から超高圧水銀ランプの光を照射した。この照射光は、光源からの光を光学系で平行にした平行光線である。
【0101】
次に、PETフィルムを剥離した後、現像処理を行った。その結果、感光性樹脂層11の光の当たらなかった部分が除去されて、図7(b)に示すように、多数の貫通孔10を有するコアフィルム1がアルミニウム板7の上に形成された。このコアフィルム1には、直径が5μmである円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で10μmピッチ(格子点間隔)で規則的に配列されている。
【0102】
次に、めっき前処理として、この導電性基板7と感光性樹脂層11とからなる板状物の表面に、反応性イオンエッチング処理を施し、現像後にこの板状物に残存する現像残査を完全に除去した。次に、この板成物をピロリン酸銅めっき浴に入れて、アルミニウム板7に通電することにより、コアフィルム1の貫通孔10内に電解めっき法で銅製の導電性微粒子4を成長させた。めっき時の電流密度を3A/dm2 と高めに設定することで、銅は、貫通孔10から上に突出するまで成長して先端が丸くなった。その結果、コアフィルム1の全ての貫通孔10に、銅製で先端の丸い柱状物からなる導電性微粒子4が形成された。導電性微粒子4をなす柱状物の高さは、最も高い中心部でコアフィルム1の厚さ10μmより高い12μmであった。
【0103】
次に、実施例2と同じ方法で予め用意した、PETフィルムと接着剤層(10μm)とからなるシートを、図7(c)に示すように、接着剤層(第1の接着剤層)2をコアフィルム1側に向けて、コアフィルム1の上に置いて加熱することにより接合した。次に、接着剤層2に液体が入ることを防ぐために、接着剤層2の4端面を塞いだ。次に、アルミニウム板7に塩酸を噴霧することにより、ウエットエッチング法でアルミニウム板7を完全に除去した。図7(d)はこの状態を示す。
【0104】
次に、実施例2と同じ方法で予め用意した、PETフィルムと接着剤層(10μm)とからなるシートを、接着剤層(第2の接着剤層)3をコアフィルム1側に向けて、コアフィルム1の上に置いて加熱することにより接合した。この状態を図7(e)に示す。これにより、不飽和ポリエステル樹脂からなる厚さ10μmのコアフィルム1の両面に、10μmのエポキシ接着剤からなる接着剤層2,3が配置され、コアフィルム1に直径5μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で10μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成され、各貫通孔10に各1個の銅製の導電性微粒子4が配置されている導電性接着シートが得られた。この導電性接着シートの両面にはPETフィルム5,6が接合されている。
【0105】
[性能評価]
この実施例5で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【実施例6】
【0106】
[導電性接着シートの作製]
この実施例では、本発明の第3の方法の実施例に相当する方法により、導電性接着シートを作製する。この実施例を図12に基づいて説明する。先ず、実施例1に示す方法で予め用意した、PETフィルム(支持体)5とエポキシ接着剤からなる厚さ10μmの接着剤層2とからなるシートを、図12(a)に示すように、接着剤層(第1の接着剤層)2側を上に向けて置き、その上に厚さ4μmのポリイミド樹脂からなるコアフィルム1を形成した。コアフィルム1の形成は、実施例2で使用したポリイミド樹脂溶液を接着剤層2の上に塗布した後、塗膜から溶剤を乾燥させることで行った。これにより、一方の面に第1の接着剤層が形成されたコアフィルム1を得た。
【0107】
次に、コアフィルム1の上に5μmのPETフィルム6aを載せ、その上方に実施例2と同じ金属マスクを配置し、この金属マスクの上からエキシマレーザを照射した。この照射は、PETフィルム6aとコアフィルム1が厚さ方向全体で除去され、接着剤2の表面も少し除去されるまで(深さ12μmの孔が形成されるまで)行った。
これにより、PETフィルム6aとコアフィルム1のエキシマレーザが照射された部分が除去されて、コアフィルム1の所定位置に貫通孔10が形成された。このコアフィルム1には、直径が8μmである円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に配列されている。図12(b)はこの状態を示す。
【0108】
次に、PETフィルム6aの上に、実施例1と同じ、多数の導電性微粒子4からなる粉末を散布した後、超音波振動装置を用いてシート全体に振動を与えることにより、コアフィルム1の全ての貫通孔10内に導電性微粒子4を入れた。この状態を図12(c)に示す。次に、PETフィルム6aをコアフィルム1から剥離することにより、コアフィルム1の上面を露出させた。この際に、貫通孔10に入らず、PETフィルム6aの上面に存在する導電性微粒子4aが取り除かれた。
【0109】
次に、実施例1に示す方法で予め用意した、PETフィルム(カバーフィルム)6とエポキシ接着剤からなる厚さ10μmの接着剤層3とからなるシートを、図12(d)に示すように、接着剤層(第2の接着剤層)3側を下側に向けてコアフィルム1の上に載せて、加熱により接合した。これにより、ポリイミド樹脂からなる厚さ4μmのコアフィルム1の両面に、厚さ10μmのエポキシ接着剤からなる接着剤層2,3が配置され、コアフィルム1には直径8μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成され、各貫通孔10に各1個の銅−銀合金製の導電性微粒子4が配置されている導電性接着シートが得られた。この導電性接着シートの両面にはPETフィルム5,6が接合されている。
【0110】
[性能評価]
この実施例6で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【実施例7】
【0111】
[導電性接着シートの作製]
図13(a)に示すように、先ず、実施例2と同じ方法により、厚さ25μmのPETフィルム500上に、厚さ6μmのエポキシ接着剤層510を形成した。このPETフィルム500とエポキシ接着剤層510とからなるシートを2枚用意した。
次に、コアフィルム1として、厚さ4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルム(旭化成(株)製の「アラミカ(商品名)」)を用意した。また、ポリスルホン樹脂(Amoco Polymer社製「Udel P−1700」)80重量部と、シアネートエステル樹脂(Ciba−Geigy社製「B−30」)20重量部と、テトラヒドロフラン400重量部とを撹拌混合することにより、接着剤溶液を得た。この接着剤溶液をコアフィルム1の上に塗布して乾燥することにより、コアフィルム1の上に、厚さ6μmのポリスルホン/シアネートエステル接着剤層530を形成した。図13(b)はこの状態を示す。
【0112】
各接着剤層510,530をなす接着剤の軟化温度を、レオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー社製の粘弾性測定装置である回転型の「レオメーター」を用いて測定した。測定条件は、回転速度:10rad/秒、昇温開始温度:室温、昇温速度:10℃/分とし、粘性率曲線の傾きが変化する最初の温度を軟化温度として求めた。その結果、エポキシ接着剤の軟化温度は約80℃であり、ポリスルホン/シアネートエステル接着剤の軟化温度は160℃であった。
【0113】
次に、PETフィルム500およびエポキシ接着剤層510からなるシートと、コアフィルム1およびポリスルホン/シアネートエステル接着剤層530とからなるシートを、図13(c)に示すように、接着剤層510,530同士を向かい合わせて、60℃に加熱しながら貼り合わせた。これにより、軟化温度の差が20℃以上である二種類の接着剤層510,530とPETフィルム500とコアフィルム1とからなる積層シートを得た。
【0114】
次に、この積層シートのコアフィルム1に、実施例2と同じ方法でエキシマレーザにより貫通孔10を形成した。図13(d)はこの状態を示す。貫通孔の配置も、実施例2と同様に、図1(b)に示す配置とした。貫通孔10の孔径は7.5μmとした。エキシマレーザの照射は、コアフィルム1の各位置に確実に貫通孔10を形成する条件で行う必要があるため、接着剤層530の表面にもエキシマレーザが照射される。しかし、エキシマレーザによる除去速度は、全芳香族ポリアミドからなるコアフィルム1の方がポリスルホン/シアネートエステル接着剤層530より速いため、前記条件で照射を行った場合でも、接着剤層530の表面に生じる凹部を1μm未満の深さに抑えることができる。
【0115】
次に、実施例2と同じ方法により、コアフィルム1の貫通孔10に実施例2と同じ導電性微粒子4を充填した。次に、この状態のコアフィルム1上に、前述の接着剤溶液を塗布して乾燥することにより、厚さ6μmのポリスルホン/シアネートエステルからなる接着剤層530を形成した。次に、このポリスルホン/シアネートエステル接着剤層530の上に、図13(a)に示すPETフィルム500とエポキシ接着剤層510とからなるシートを、エポキシ接着剤層510側を下に向けて載せ、60℃に加熱して接着した。図13(e)はこの状態を示す。
【0116】
これにより、全芳香族ポリアミド樹脂からなる厚さ4.5μmのコアフィルム1の両面に、厚さ6μmのポリスルホン/シアネートエステルからなる接着剤層530と厚さ6μmのエポキシ樹脂からなる接着剤層510が、コアフィルム1側からこの順に配置され、コアフィルム1には直径7.5μmの円形の貫通孔10が、図1(b)に示す配置で15μmピッチ(格子点間隔)で規則的に形成され、各貫通孔10に各1個の銅−銀合金製の導電性微粒子4が配置されている導電性接着シートが得られた。この導電性接着シートの両面にはPETフィルム500が接合されている。
【0117】
[性能評価]
この実施例7で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【実施例8】
【0118】
[導電性接着シートの作製]
図14に示すように、コアフィルム1にテーパ状の貫通孔10aを形成した以外は実施例7と同じ方法で、導電性接着シートを得た。テーパ状の貫通孔10aは、マスクパターンを10分の1まで縮小投影することのできるエキシマレーザを用い、図4(a)で、孔径8μmの開口部K1を徐々に縮小しながらレーザ照射を行った。これにより、フィルム面に平行な断面が円形であり、大径部の直径が8μmで小径部の直径が4μmであるテーパ状の貫通孔10aを形成した。
【0119】
図14(a)に示すように、この貫通孔10aの小径部側を第1の接着剤層2に向けて、コアフィルム1を第1の接着剤層2に接着した。この状態で貫通孔10aの大径部側が露出面となっており、この状態で貫通孔10a内に導電性微粒子4を充填した。導電性微粒子としては、実施例2と同じ材質で、平均粒子径が6μm、粒子径分布の標準偏差が0.6μmであるものを用いた。
これにより、導電性微粒子4はテーパ状の貫通孔10の窄まった部分で保持されるため、下側の接着剤層(第1の接着剤層)2にはみ出さずに、コアフィルム1内に確実に存在するようになる。
【0120】
[性能評価]
この実施例8で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないものは無いことが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【比較例1】
【0121】
[導電性接着シートの作製]
実施例1で使用したエポキシ接着剤溶液に、実施例1で使用した導電性微粒子4を、1.2体積%の割合で添加して混合した。この液体を、剥離剤としてポリジメチルシロキサンが被覆されたPETフィルムの表面に、ブレードコーターを用いて塗布した。次に、この塗布膜から溶剤を乾燥除去することにより、PETフィルム上に、厚さ28μmの導電性接着シートを形成した。この導電性接着シートはPETフィルムを剥がして使用する。
なお、導電性微粒子4のエポキシ接着剤溶液への添加率は、導電性接着シート内での導電性微粒子4の含有率が実施例2と同程度となるように設定した。
【0122】
[性能評価]
この比較例1で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32のうち4箇所が、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていないことが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間について、全ての絶縁抵抗が1012Ω以上であった。これにより、2個のテストピースの合計400個の全ての配線32について、隣接する全ての配線32間にショートが発生していないことが確認された。
【比較例2】
【0123】
導電性微粒子4のエポキシ接着剤溶液への添加率を20体積%とした以外は、比較例1と同じ方法で、同じ構成の導電性接着シートを作製した。この比較例2で作製された導電性接着シートと、実施例1と同じ試験用基板30,40,50とを用いて、実施例1と同じ方法で各2個のテストピースを作製し、実施例1と同じ方法で接続確認試験とショート確認試験を行った。
その結果、接続確認試験では、2個のテストピースの合計400個の試験用基板30の配線32の全てが、試験用基板40の配線パターン42と電気的に接続されていることが確認された。また、ショート確認試験では、2個のテストピースの合計398組の検査用パッド間のうち10箇所で、絶縁抵抗が108 Ω以下となった。これにより、これらの10箇所で隣接する配線32間にショートが発生していることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の導電性接着シートの一実施形態を示す断面図(a)と平面図(b,c)である。
【図2】本発明の導電性接着シートを製造する第1の方法の実施形態、および実施例1を説明する図である。
【図3】本発明の導電性接着シートを製造する第2の方法の実施形態、および実施例2〜4を説明する図である。
【図4】本発明の導電性接着シートを製造する第2の方法の実施形態、および実施例2を説明する図である。
【図5】本発明の導電性接着シートを製造する第2の方法の実施形態、および実施例3を説明する図である。
【図6】本発明の導電性接着シートを製造する第2の方法の実施形態、および実施例3を説明する図である。
【図7】本発明の導電性接着シートを製造する方法の実施形態、および実施例7を説明する図である。
【図8】本発明の実施例1〜8および比較例1,2で性能評価に使用した試験用基板30を示す平面図(a)と断面図(b)である。
【図9】本発明の実施例1〜8および比較例1,2で性能評価に使用した試験用基板40,50を示す平面図(a)と、断面図(b),(c)である。
【図10】導電性接着シートにより、試験用基板30と試験用基板40とが接着された状態を示す断面図であって、(a)は配線パターン42の部分の断面図を示し、(b)はダミーパターン43の部分の断面図を示す。
【図11】本発明の実施例4(導電性接着シートを製造する第2の方法)を説明する図である。
【図12】本発明の実施例6(導電性接着シートを製造する第3の方法)を説明する図である。
【図13】本発明の実施例7の導電性接着シートを説明する図である。
【図14】本発明の実施例8の導電性接着シートを説明する図である。
【図15】従来の導電性接着シートの一例を示す断面図(a)と平面図(b)である。
【図16】従来の導電性接着シートの問題点を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0125】
1 コアフィルム
2 接着剤層(第1の接着剤層)
3 接着剤層(第2の接着剤層)
4 導電性微粒子
5 支持体
6 カバーフィルム
6a PETフィルム
7 導電性基板
8 感光性樹脂層
9 メッキ層
10 貫通孔
10a テーパ状の貫通孔
11 感光性樹脂層
15 銅製の型
15a 突起
17 メッキ層
20 接着剤層からなるシート
23 接着時のコアフィルムとその両面の接着剤層
30 試験用基板
31 絶縁性基板
32 配線
35 検査用パッド
40 試験用基板
41 ガラス基板
42 配線パターン
43 ダミーパターン
44 検査用パッド
45 フィルム
46 剥離層
47 PETフィルム
50 試験用基板
51 ガラス基板
52 凸部
81 貫通孔
90 雄型(プレス用金型)
91 突起
170 雌型(プレス用金型)
171 凹部
500 PETフィルム
510 エポキシ接着剤層(軟化温度の低い接着剤層)
530 ポリスルホン/シアネートエステル接着剤層(軟化温度の高い接着剤層)
A 導電性微粒子の存在しない位置
B1 基板
B2 基板
h 配線の厚さ
K1 開口部
K 金属マスク
M 露光マスク
P1 接続パターン
P2 接続パターン
p 接続の配列ピッチ
p10 ダミーパターンの配列ピッチ
W 配線の幅
W1 配線パターンの幅
W2 ダミーパターンの直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート面内に分散配置された導電性微粒子により、シートの厚さ方向のみに導電性を付与する接着シートにおいて、
厚さ方向の中央に配置したコアフィルムの両面に接着剤層が配置され、前記コアフィルムおよび接着剤層は絶縁性であり、コアフィルムには厚さ方向に貫通する貫通孔がフィルム面内に所定配置で複数個形成され、当該貫通孔に導電性微粒子が配置され、
導電性微粒子の平均粒子径は0.5μm以上50μm以下であり、導電性微粒子の粒子径分布の標準偏差は平均粒子径の50%以下であり、コアフィルムの厚さは0.5μm以上50μm以下であり、接着剤層の厚さは1μm以上50μm以下であり、貫通孔の大きさは導電性微粒子の平均粒子径の1倍以上1.5倍以下であることを特徴とする異方性を有する導電性接着シート。
【請求項2】
導電性微粒子は、銅、金、銀、ニッケル、パラジウム、インジウム、錫、鉛、亜鉛、またはビスマス、またはこれらいずれかの金属の合金、または炭素からなる微粒子、あるいは表面に金属被覆を有する微粒子である請求項1記載の導電性接着シート。
【請求項3】
コアフィルムの両面に配置された接着剤層の少なくとも一方は、軟化温度の差が20℃以上である二種類の接着剤層が、軟化温度の高い方をコアフィルム面側に配置して積層されたものであることを特徴とする請求項1記載の導電性接着シート。
【請求項4】
請求項1記載の導電性接着シートを製造する方法において、支持体の上に形成された第1の接着剤層の上に、コアフィルムをなす感光性樹脂層を形成した後、フォトリソグラフィで感光性樹脂層をパターニングすることにより、コアフィルムに所定の配置で貫通孔を形成し、前記貫通孔内に導電性微粒子を入れた後に、このコアフィルムの上に第2の接着剤層を形成することを特徴とする導電性接着シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の導電性接着シートを製造する方法において、貫通孔を有するコアフィルムの一方の面に第1の接着剤層を形成し、次いで、前記貫通孔内に導電性微粒子を入れた後に、このコアフィルムの他方の面に第2の接着剤層を形成することを特徴とする導電性接着シートの製造方法。
【請求項6】
レーザ照射によってコアフィルムに貫通孔を形成する工程を含む請求項5記載の導電性接着シートの製造方法。
【請求項7】
貫通孔の配置に対応させた突起を有する雄型と、前記突起を受ける凹部を有する雌型とからなるプレス用金型を用いて、プレスで打ち抜くことにより、コアフィルムに貫通孔を形成する工程を含む請求項5記載の導電性接着シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1記載の導電性接着シートを製造する方法において、一方の面に第1の接着剤層が形成されたコアフィルムを用意し、このコアフィルムの他方の面側からレーザ照射を行うことにより、このコアフィルムに貫通孔を形成し、次いで、前記貫通孔内に導電性微粒子を入れた後に、このコアフィルムの他方の面に第2の接着剤層を形成することを特徴とする導電性接着シートの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−30060(P2009−30060A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192413(P2008−192413)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【分割の表示】特願2002−9090(P2002−9090)の分割
【原出願日】平成14年1月17日(2002.1.17)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】