説明

異物除去装置

【課題】 野菜に付着する虫や異物汚れをきれいに洗い落とす。
【解決手段】 給水管19によって洗浄槽1内に洗浄水を給水し、給水した洗浄水を上方開放口21からオーバーフローさせると共に、噴射ノズル7によって洗浄槽1内へ空気と水を同時に噴射し、洗浄水に回転水流を与える一方、洗浄時に発生した比重の重いものを洗浄槽1の底部排水口15に設けたストレーナ17で集め、中間のものを捕集ネット5で集め、比重の軽いものを上方開放口21からオーバーフローさせるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、野菜に適する異物除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、大量に出荷される野菜は、洗浄装置によって洗浄される。
【0003】特に、野菜サラダ、あるいはパンの間に挟んで直接、口に入れる野菜等にあっては、洗浄後にコンベアの上に広げて異物、虫等の付着の有無をチェックする工程を設けるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】洗浄後に、人手によって野菜をチェックする場合に、例えば、レタスのように葉と葉の間に潜む虫や異物を完全に取除くことは難しいのが現状である。
【0005】また、それらを完全に取除こうとするには、多大の労力と時間を必要とする。
【0006】そこで、この発明は、洗浄時に野菜表面及び内部に潜入する虫や異物等を効率よく取除くことができるようにした異物除去装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、この発明の請求項1によれば、底部の排水口にストレーナが設けられた洗浄槽と、洗浄槽の内壁面のほぼ中間部位に設けられた捕集ネットと、洗浄槽内に洗浄水を給水し、給水した洗浄水を上方開放口からオーバーフローさせる給水管と、洗浄槽内に空気と水を同時に送り込み、洗浄水に回転水流を与える噴射ノズルとからなっている。
【0008】これにより、洗浄槽内に投入された野菜は、回転しながら洗浄される。この時、噴射ノズルから噴射された気泡が当ってはじける時に、野菜に振動を与え、例えば、葉と葉の間に潜む虫や異物を追い出す。野菜から離れた虫や異物の内、比重の軽いものは浮上し、上方開放口からオーバーフローする。重いものは、底のストレーナに集まるようになる。また、中間のものは捕集ネットによって捕集され、虫や異物を効率よく確実に取除くことができると共に、野菜への再付着がなくなる。
【0009】また、この発明の請求項2によれば、噴射ノズルから空気と一緒に洗浄槽内に噴射する水を、洗浄槽の上方開放口からオーバーフローする洗浄水を利用する。
【0010】これにより、大量に使用される洗浄水をろ過し繰返し使用することで、洗浄水の節約につながると共に、洗浄コスト面でも大変好ましいものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図5の図面を参照しながらこの発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0012】図1において、1は異物除去装置3の洗浄槽を示している。洗浄槽1の内部には、捕集ネット5と噴射ノズル7がそれぞれ配置されている。
【0013】捕集ネット5は、図3,図4に示すように洗浄槽1の内壁面のほぼ中間部位の係止部9に、矢印方向の回転水流に対して所定の後退角を有して着脱自在に取付けられている。捕集ネット5の取入口11は、剛性の材質で矩形状に形成され、比較的大きな異物、虫等がとり込まれるよう大きなメッシュのネットがはられた形状となっていて、回転水流に向かうようになっている。また、捕集ネット5の捕集部13は小さなメッシュのネットが設けられた形状となっていて、捕集ネット5を係止部9から取外すことで、新しいものとの交換、あるいは、捕集部13内の掃除が行なえるようになっている。
【0014】洗浄槽1の底部の排水口15には、着脱可能なストレーナ17が設けられると共に、洗浄槽1内には給水管19によって上方開放口21から洗浄水が給水されるようになっている。
【0015】給水管19は図外の水道管と接続し、給水弁23を制御することで、洗浄水を上方開放口21からオーバーフロー水受け25へオーバーフローさせることが可能となっている。
【0016】オーバーフロー水受け25は、底部が排水部27へ向けて下降傾斜し、その排水部27は一時貯留受け槽29と連通している。したがって、洗浄槽1の上方開放口21からオーバーフローした洗浄水は、オーバーフロー水受け25からストレーナ31を介して一時貯留受け槽29に送り込まれるようになっている。
【0017】一時貯留受け槽29は、前記オーバーフロー水受け25の外に、洗浄槽1の底部の排水口15と、排水管33を介して連通し、排水管33には電磁弁35、流量調節部37、ストレーナ39が設けられている。
【0018】一時貯留受け槽29は、循環パイプ41を介して前記洗浄槽1内に配置された噴射ノズル7と接続連通し合うと共に、底部には排水用のドレン管43が設けられ、開閉弁45を開とすることで、外部への排水が可能となっている。
【0019】循環パイプ41には、循環ポンプ47の作動によって一時貯留受け槽29内のオーバーフロー水が前記噴射ノズル7へ向けて流れるようになると共に、電磁弁49が設けられた空気供給管51を介して図外のコンプレッサから圧縮空気が送り込まれるようになっている。この場合、空気を送り込む手段は、必ずしもコンプレッサを用いなくてもよく、ブロワ等の手段であってもよい。
【0020】噴射ノズル7は、水の中に多数の気泡、空気が存在する状態で、水と一緒に噴射すると共に、洗浄槽1内の洗浄水に回転水流を与えるよう4箇所に配置されている。
【0021】このように構成された異物除去装置3によれば、給水管19によって洗浄水を洗浄槽1内へ給水し、上方開放口21からオーバーフローさせる。と同時に、噴射ノズル7から空気と水を同時に噴射し、回転水流を作る。この状態において、洗浄槽1内へ野菜を投入し、回転水流によって洗浄を行なう。この時、噴射ノズル7から噴射される気泡が野菜に当り、あるいは野菜の周囲ではじける時に、振動を与える。これにより、例えば、葉と葉の間に潜む虫や異物が追い出される。追い出された虫やゴミあるいは、小石、砂、土等の異物の内、比重の軽いものは、上方開放口21からオーバーフローする。比重の重いものは、底部の排水口15に設けられたストレーナ17に集まるようになる。また、中間のものは、捕集ネット5によって捕集されるようになる。
【0022】ちなみに、レタス、グリーンカール、パセリに付着する虫について実験を行ない、図5に示すように、洗浄完了後の数を調べた所、「なし」で良好な洗浄結果が得られた。
【0023】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明の異物除去装置によれば、野菜に付着する虫や異物あるいは汚れをきれいに落とすことができる。特に、虫については、顕著な洗浄効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる異物除去装置全体の概要説明図。
【図2】異物除去装置の概要平面図。
【図3】捕集ネットの斜視図。
【図4】捕集ネットの取付け状態を示した一部の概要説明図。
【図5】レタス、グリーンカール、パセリに付着した虫の洗浄除去実験結果を示した説明図。
【符号の説明】
1 洗浄槽
5 捕集ネット
7 噴射ノズル
15 排水口
17 ストレーナ
19 給水管
21 上方開放口

【特許請求の範囲】
【請求項1】 底部の排水口にストレーナが設けられた洗浄槽と、洗浄槽の内壁面のほぼ中間部位に設けられた捕集ネットと、洗浄槽内に洗浄水を給水し、給水した洗浄水を上方開放口からオーバーフローさせる給水管と、洗浄槽内に空気と水を同時に送り込み、洗浄水に回転水流を与える噴射ノズルとからなることを特徴とする異物除去装置。
【請求項2】 噴射ノズルから空気と一緒に洗浄槽内に噴射する水は、洗浄槽の上方開放口からオーバーフローする洗浄水を利用することを特徴とする請求項1記載の異物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−137789(P2001−137789A)
【公開日】平成13年5月22日(2001.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−325756
【出願日】平成11年11月16日(1999.11.16)
【出願人】(396013329)株式会社クレオ (12)
【Fターム(参考)】