説明

疾患を治療するための免疫グロブリンドメイン含有細胞表面認識分子の使用

本発明は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のためのINSP052の使用に関する。INSP052とインターフェロン、TNFアンタゴニスト又は更に抗感染剤若しくは抗血液凝固剤との組み合わせもまた本発明の範囲内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のためのINSP052の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質INSP052は、免疫グロブリン含有細胞表面認識分子として、そしてより特にはサイトカインアンタゴニストとして、WO2003/093316及び国際出願番号PCT/GB2004/004772に開示されている。
【発明の開示】
【0003】
発明の概要
本発明は、INSP052が、補体経路のタンパク質、特にプロパージン、マンノース結合レクチンC(MBL−C)、MASP1、MASP2、アンチトロンビンIII、補体因子H及びアルブミンと相互作用するという予想できない発見に基づく。
【0004】
従って、本発明の第一の目的は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためのINSP052の使用である。本発明の第二の目的は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためのINSP052を発現する細胞、又はINSP052のコード配列を含んで成る発現ベクターの使用である。本発明はまた、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物の調製のためのINSP052の使用にも関する。
【0005】
発明の説明
本発明は、INSP052が、補体経路のタンパク質、特にプロパージン、マンノース結合レクチンC(MBL−C)、MASP1、MASP2、アンチトロンビンIII、補体因子H及びアルブミンと相互作用するという予想できない発見に基づく。この度特徴付けられたWO2003/093316及び国際出願番号PCT/GB2004/004772のポリヌクレオチド又は対応するポリペプチドのこれらの驚くべき特性は、これらを薬剤又は医薬組成物の調製のために特に適当にする。
【0006】
従って、第一の観点において、本発明は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためのINSP052ポリペプチドの使用であって、ここで該ポリペプチドが:
a)配列番号16から成るポリペプチド、又は
b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかを含んで成るポリペプチド、又は
c)配列番号20、配列番号22、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかから成る可溶形態、又は
d)配列番号22、配列番号24若しくは配列番号26のいずれかから成る成熟形態、又は
e)配列番号29から成るヒスチジンタグ形態、又は
f)上記(a)〜(e)のポリペプチドのいずれかのグリコシル化形態、ここで該ポリペプチドは1又は複数の部位においてグリコシル化されている、又は
g)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列は、上記(a)〜(f)の少なくとも1の対応する配列に対して、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%若しくは90%の同一性を有し、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
h)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列中のいずれかの変化が、(a)〜(f)中のアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換であり、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
i)上記(a)〜(h)のポリペプチドのいずれかの塩、アイソフォーム、融合タンパク質、官能性誘導体、活性画分、円順列変異誘導体、
から選択される、使用に関する。
【0007】
第二の観点において、本発明は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためのINSP052核酸分子の使用であって、該核酸が:
a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、若しくは配列番号25のいずれかにおいて記載される核酸配列、又は
b)中程度のストリンジェント条件下又は高度のストリンジェントな条件下において(a)の核酸配列の補体に対してハイブリダイズする核酸配列、又は
c)上記(a)又は(b)のいずれかの核酸配列、ここで該核酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかにおけるアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列をコードする、
から成る群から選択される、方法に関する。
【0008】
第三の観点において、本発明は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物の調製のためのINSP052ポリペプチドの使用であって、ここで該ポリペプチドが:
a)配列番号16から成るポリペプチド、又は
b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかを含んで成るポリペプチド、又は
c)配列番号20、配列番号22、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかから成る可溶形態、又は
d)配列番号22、配列番号24若しくは配列番号26のいずれかから成る成熟形態、又は
e)配列番号29から成るヒスチジンタグ形態、又は
f)上記(a)〜(e)のポリペプチドのいずれかのグリコシル化形態、ここで該ポリペプチドは1又は複数の部位においてグリコシル化されている、又は
g)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列は、上記(a)〜(f)の少なくとも1の対応する配列に対して、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%若しくは90%の同一性を有し、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
h)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列中のいずれかの変化が、(a)〜(f)中のアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換であり、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
i)上記(a)〜(h)のポリペプチドのいずれかの塩、アイソフォーム、融合タンパク質、官能性誘導体、活性画分、円順列変異誘導体、
から選択される、使用に関する。
【0009】
第四の観点において、本発明は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物の調製のためのINSP052核酸分子の使用であって、該核酸が:
a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、若しくは配列番号25のいずれかにおいて記載される核酸配列、又は
b)中程度のストリンジェント条件下又は高度のストリンジェントな条件下において(a)の核酸配列の補体に対してハイブリダイズする核酸配列、又は
c)上記(a)又は(b)のいずれかの核酸配列、ここで該核酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかにおけるアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列をコードする、
から成る群から選択される、使用に関する。
【0010】
好ましくは、可溶性INSP052が、薬剤又は医薬組成物の調製のために使用される。
【0011】
本明細書中、「可溶性INSP052」又は「sINSP052」の用語は、膜結合されていないINSP052ポリペプチド、又は1又は複数の膜貫通ドメインを含有しないINSP052ポリペプチドを意味する。
【0012】
本発明に関係して、内在性INSP052の放出を刺激し、あるいは活性を増強する物質は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のために同様に使用できることが当業者に明らかであろう。
【0013】
本発明は、膜結合INSP052細胞外部分から成る可溶性INSP052(配列番号22)が、補体経路のタンパク質、特にプロパージン、マンノース結合レクチンC(MBL−C)、MASP1、MASP2、アンチトロンビンIII、補体因子H及びアルブミンと相互作用するという予想できない発見に基づく。
【0014】
本明細書中、「補体経路タンパク質」の用語は、プロパージン、マンノース結合レクチンC(MBL−C)、MASP1、MASP2、アンチトロンビンIII、補体因子H及びアルブミンから選択されるタンパク質を意味する。これらの補体経路タンパク質は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患に関係する。
【0015】
好ましくは、感染症は、全身性真菌疾患、リケッチア病、クラミジア病、寄生虫感染症、ウイルス疾患、膿瘍、ヒト免疫不全ウイルス感染症、菌血症、敗血症性ショック、性行為感染症又は細菌疾患から選択される。
【0016】
好ましくは、細菌疾患は、グラム陽性球菌により生じる疾患、グラム陰性好気性菌球菌により生じる疾患、グラム陽性桿菌により生じる疾患、グラム陰性桿菌により生じる疾患、嫌気性桿菌により生じる疾患、スピロヘータにより生じる疾患、又はマイコバクテリアにより生じる疾患から選択される。
【0017】
ある態様において、本明細書中、「グラム陰性好気性菌球菌」は、ナイセリア属(Neisseria)、例えば、 N. meningitidis、 N. gonorrhoeae及び中咽頭、膣、又は直腸に一般的に生息する多数の雑菌Neisseria種といった生物を意味する。
【0018】
好ましくは、グラム陰性好気性菌球菌により生じる疾患は、髄膜炎、菌血症、尿道炎、子宮頚管炎、直腸炎、咽頭炎、卵管炎、精巣上体炎、淋病感染症、急性細菌性髄膜炎又は髄膜炎菌感染症から選択される。
【0019】
本明細書中、「菌血症」は、血流中の細菌を意味する。
【0020】
本明細書中、「敗血症ショック」は、輸液療法に対する低灌流及び低血圧不応性を意味する。本明細書中、「敗血症」又は「全身性炎症反応症候群」は、炎症の全身症状により付随される、重篤な局在的な又は菌血症の感染症を意味する。本明細書中、菌血症による敗血症(sepsis)は、敗血症(septicemia)を意味する。
【0021】
好ましくは、寄生虫感染症は、腸外原虫感染症、自由生活アメーバーによる感染症、腸管原虫感染症、線虫(回虫)感染症、吸虫(Trematode)(Fluke)感染症又は条虫(サナダムシ)感染症から選択される。
【0022】
好ましくは、腸外原虫感染症はマラリアである。
【0023】
好ましくは、ウイルス疾患は、呼吸性ウイルス疾患、ヘルペスウイルス感染症、中枢神経系ウイルス疾患、アルボウイルス又はアレナウイルス疾患から選択される。
【0024】
更に、各補体経路タンパク質は、以下に記載されるとおり、特定の疾患に関係することが示されている。
【0025】
ある態様において、本発明は、プロパージン関連疾患の治療のための薬剤又は医薬組成物の調製のためのINSP052の使用に関する。
【0026】
ある態様において、本発明は、MBL2関連疾患の治療のための薬剤又は医薬組成物の調製のためのINSP052の使用に関する。
【0027】
ある態様において、本発明は、MASP1関連疾患の治療のための薬剤又は医薬組成物の調製のためのINSP052の使用に関する。
【0028】
ある態様において、本発明は、MASP2関連疾患の治療のための薬剤又は医薬組成物の調製のためのINSP052の使用に関する。
【0029】
ある態様において、本発明は、アンチトロンビンIII関連疾患の治療のための薬剤又は医薬組成物の調製のためのINSP052の使用に関する。
【0030】
ある態様において、本発明は、補体因子H関連疾患の治療のための薬剤又は医薬組成物の調製のためのINSP052の使用に関する。
【0031】
ある態様において、本発明は、アルブミン関連疾患の治療のための薬剤又は医薬組成物の調製のためのINSP052の使用に関する。
【0032】
プロパージン(因子P;469個のアミノ酸;51276Da)は、自然免疫系の補体第二経路において活性である血漿タンパク質である。これは、C3b,Bb転換酵素を安定化するための多くの微生物表面に結合する正の制御因子である。C3b,Bb転換酵素は、その後、急速にC3bに対してよりC3を切断し、これはオプソニンとして、あるいは宿主細胞においては進行しないが、細菌細胞において進行する増幅ループにおける経路を再開するために作用する。代替経路において、C3はこのように、因子I及びHの制御下において、因子B、因子D、及びプロパージンPを介して活性化する。プロパージンの欠乏は、特に、ナイセリア種に対する高い感受性に関係する。プロパージンにおける欠損は、プロパージン欠乏(pfd)の原因であり、細菌感染に対する、特に髄膜炎菌感染に対するより高い感受性をもたらす。3つの表現型が報告されている:完全欠乏(I型)、不完全欠乏(II型)、及びプロパージンの機能障害(III型)。プロパージンは、「プロパージン関連疾患」の用語により示される多くの疾患に関係している。
【0033】
「プロパージン関連疾患」は、補体欠乏、完全欠乏(I型)、不完全欠乏(II型)、プロパージンの機能障害(III型)、髄膜炎菌性疾患、ナイセリア感染症、低補体血症、無フィブリノーゲン血症、溶連菌感染後急性糸球体腎炎、無ガンマグロブリン血症、スイス型無ガンマグロブリン血症、糸球体疾患、屈折異常、ウィスコット・アルドリッチ症候群、IgA糸球体腎炎、プロテインC欠乏症、腎炎、慢性肉芽腫症、細菌感染症、蛋白尿、敗血症性ショック、溶血、全身感染症、敗血症(septicemia)、免疫不全症候群、全身性エリテマトーデス、マラリア、血栓症、糖尿病、壊死、後天性免疫不全症候群から選択される。
【0034】
好ましくは、糸球体疾患は、腎炎症候群、ネフローゼ症候群、原発性糸球体疾患、続発性腎疾患から選択される。
【0035】
好ましくは、原発性糸球体疾患は、微小変化群、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糸球体間質増殖性糸球体腎炎、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、又は繊維性糸球体腎炎から選択される。
【0036】
好ましくは、腎炎症候群は、血尿、高血圧、腎不全、浮腫、急性糸球体腎炎、一過性糸球体腎炎、感染後糸球体腎炎、劇症性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)、低悪性度糸球体腎炎、IgA腎症、半月体形成性糸球体腎炎、免疫不足RPGN、免疫複合体RPGN、抗GBM抗体疾患自己免疫、原発性腎臓血尿性−蛋白尿症候群、無症候性血尿性−蛋白尿症候群、慢性血尿性−蛋白尿症候群、慢性糸球体腎炎、緩徐進行性糸球体疾患から選択される。
【0037】
マンノース結合レクチン2遺伝子(MBL2;248個のアミノ酸;26143Da;サブユニット;6セットのホモ三量体のオリゴマー複合体)は、マンノース結合レクチン(MBL)又はタンパク質(MBP)をコードし、急性相応答の一部として肝臓により分泌され、そして自然免疫防御に関係する。MBLのためのリガンドは、多様な微生物により発現され、そして該タンパク質の結合は、頻発性及び慢性感染症に対する感受性をもたらすオプソニン作用、並びに補体系の活性化に導く。MBL2は、「MBL2関連疾患」の用語により示される多くの疾患に関係している。
【0038】
「MBL2関連疾患」は、血管疾患、動脈硬化性疾患、マンノース結合タンパク質欠乏症、オプソニオン欠損による慢性感染症、髄膜炎菌感染症、全身性エリテマトーデス、補体欠損症、急性期反応、髄膜炎菌性髄膜炎、IgA糸球体腎炎、IgGサブクラス欠損症、嚢胞性線維症、亜急性皮膚エリテマトーデス、関節リウマチ、免疫不全症候群、気道感染症、関節腫脹、インフルエンザ、原発性シェーグレン症候群、溶血、嚢胞性線維症、細菌感染症、皮膚粘膜リンパ節症候群、分類不能型免疫不全症、ループス腎炎、多発性関節炎、炎症、敗血症性ショック、結核、ウイルス感染症、肺炎球菌感染症、HIV感染症、中耳炎、腎炎、全身感染症、マラリア、膜性腎症、敗血症症候群、結腸の腺癌、C型肝炎、自然流産、シェーグレン症候群、急性中耳炎、糸球体腎炎、単純ヘルペス、皮膚筋炎、壊死、アスペルギルス症、粥状動脈硬化、エプスタイン・バーウイルス感染症、肺炎、原発性胆汁性肝硬変、B型肝炎、肝疾患、骨髄炎、循環器疾患、肝炎、好中球減少症、サルコイドーシス、後天性免疫不全症候群、硬変、髄膜炎、潰瘍性大腸炎、グリオーマ、腎疾患、冠動脈硬化、慢性腎不全、結腸直腸癌、ショック、川崎病、急性気道感染、外陰部前庭炎症候群、ベーチェット病、クローン病活性指数、再狭窄、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(hTLV−i)プロウイルス感染症、皮膚筋炎、B型肝炎ウイルス感染症、IgA腎症、COPD感染症、妊娠糖尿病、巨細胞性動脈炎、う歯、クラミジア・トラコマチス感染症、絨毛羊膜炎、原発性胆汁性肝硬変、肺炎クラミジア感染、セリアック病、Q熱後疲労症候群、又は慢性Q熱から選択される。
【0039】
好ましくは、循環器障害は、心臓及び呼吸器停止、心臓弁膜症動脈性高血圧、心内膜炎、起立性低血圧、失神、心膜疾患、動脈硬化症、心臓腫瘍、冠動脈疾患、大動脈及びその分枝の疾患、心不全、末梢血管障害、ショック、スポーツ心臓症候群又は不整脈から選択される。
【0040】
Ra反応性因子(RARF)は、一定の腸内細菌により発現されるRa及びR2ポリサッカライドに結合する補体依存性殺菌因子である。RARF活性は、脊椎動物の多様なグループの血清中に見られ、これは、これらの細菌種による感染に抵抗するための進化的に保存されたメカニズムであることを示唆する。RARFは、100kD補体、CRARF、またMASP1若しくはp100とも称される、を含み、これは補体成分C4(C4F;C4S)、C2、及びC3を活性化するものと考えられる。後の研究は、しかしながら、MASP2からMASP1が分離し、そしてMASP1がC3及びC2を活性化し、一方でMASp2はC4及びC2を活性化することを示した。RARFの他の成分は、哺乳類結合レクチン、微生物炭化水素と結合し、そしてMASPを活性化する補体系の血漿タンパク質メンバーである。その後MASPは、C3コンバーターゼを産出するため、あるいはC3を直接活性化するためにC4及びC2を補充する。
【0041】
MASP1の選択的スプライシングは、補体活性化の哺乳類結合レクチン(MBL)経路に含まれる2つのRARF成分をコードする2つの転写変異体をもたらす。各アイソフォームは、ジスルフィド結合により結合されたヘテロ二量体を形成する2つの鎖に切断される。コードされるタンパク質は、ペプチダーゼのトリプシンファミリーのメンバーである。MASP1(699個のアミノ酸;79258Da)は、従って、一定の腸内細菌により発現されるRa及びR2ポリサッカライドと特異的に結合する殺菌性Ra反応因子RARFの成分である。MASP1は、「MASP1関連疾患」の用語により表される数種の疾患に関係している。
【0042】
「MASP1関連疾患」は、糸球体腎炎、IgA糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス又は免疫不全症候群から選択される。
【0043】
MASP2(686個のアミノ酸;75685Da;アイソフォーム2はMASP−1と結合する;ペプチダーゼS1ファミリーに属する)は、おそらくマンノース結合レクチン(MBL)補体活性化経路の開始において重要な役割を果たすチロシンプロテアーゼである。活性化後、これはC4A及びC4Bを産生するC4を切断する。MASP2は、「MASP−2関連疾患」の用語により表される疾患に関係している。
【0044】
「MASP−2関連疾患」は、免疫不全症候群又はMASP2欠乏症から選択される。
【0045】
好ましくは、「免疫不全症候群」は、後天性免疫不全症候群又はマンノース結合タンパク質(MBP)座位に関係する免疫不全症から選択される。
【0046】
アンチトロンビンIII(464個のアミノ酸;52602Da;セルピンファミリーに属する)は、血液凝固カスケードを制御する血漿中の最も重要なセリンプロテアーゼ阻害因子である。AT−IIIは、トロンビン、並びに因子IXa、Xa、及びXIaを阻害する。その阻害活性は、一般に、ヘパリンの存在下において増強される。アンチトロンビンIIIにおける欠損は、アンチトロンビンIII欠乏症(at−iii欠乏症)の原因である。AT−III欠乏症は、血栓形成傾向、罹患した個人が重篤な自発性血栓症に進行しやすい常染色体優性遺伝疾患である。AT−III欠乏症は4つのタイプに分類される。I型は、抗原性及び機能レベルが50%低下することにより特徴づけられる。II型は、トロンビン結合ドメインに影響する欠損を有する。III型は、ヘパリン結合ドメインの変化である。血漿at−iii抗原レベルはII型及びIII型において正常である。IV型は、分類不可能な突然変異の種々のグループから成る。AT−IIIバーセル、ツール/アルジェ/アミアン/トヤマ、ルーアン−1、−2、−及び−Aはヘパリン結合特性を減少した(あるいは欠如した)。At−iiiハミルトン、グラスゴー/シェフィールド/シカゴ、ノースウィックパーク/ミラノ−1、ペスカラ、デンバー/ミラノ−2、及びユタは、阻害活性を奪われている。
【0047】
アンチトロンビンIIIは、「アンチトロンビンIII関連疾患」の用語により表される疾患に関係している。
【0048】
アンチトロンビンIII関連疾患は、血液関連疾患、アンチトロンビンIII欠乏症、血栓形成傾向、プロテインS欠乏症、活性型プロテインC抵抗性、播種性血管内凝固、血栓症、プロテインC欠乏症、静脈血栓症、家族性アンチトロンビンIII欠乏症、血液凝固異常、血栓塞栓症、先天性フィブリノゲン異常症、下肢の深部静脈血栓症、動脈血栓症、出血、副腎皮質ホルモン過剰症、腸間膜静脈血栓症、子癇前症、脳血栓、電撃性紫斑病、肺塞栓症、ネフローゼ症候群、全身感染症、線維素可溶性欠損、抗リン脂質抗体症候群、脳静脈血栓症、第XII因子欠乏症、ヘルプ症候群、門脈血栓症、肺血栓塞栓症、多臓器不全、上矢状洞血栓症、静脈閉塞、術後出血、ホモシスチン尿、敗血症性ショック、脳静脈血栓症、血小板減少症、自発性血小板凝集疾患、腎静脈血栓症、静脈閉塞症、脳梗塞、妊娠中毒症、静脈炎後症候群、血小板増多、リベド血管炎、粥状動脈硬化、血小板機能異常症、肝中心静脈閉塞症、うっ滞、網膜静脈閉塞、急性前骨髄球性白血病、シュワルツマン反応、皮膚壊死、肝硬変、増大出血時間障害、スネドン症候群、真性多血症、紫斑病、子癇、血友病A、敗血症症候群、レッグ・ペルテス病、心筋梗塞、脳血管発作、髄膜炎菌血症、遺伝性血液凝固異常、狭心症、縦隔線維症、血栓性静脈炎、循環器疾患、胎児発育遅延、肺静脈血栓症、高リポ蛋白血症、血管病、肝機能障害、肝静脈血栓症、急性心筋梗塞、腎症候群を伴う出血熱、梗塞、網膜中心静脈閉塞症、肝疾患、皮下血腫、ベーチェット病、急性リンパ性白血病、低プロトロンビン血症、腸間膜梗塞、蛋白尿、脳塞栓症、骨髄増殖性疾患、習慣性流産、播種性血管内凝固敗血症、血栓塞栓症、マールブルグウイルス感染症、エボラウイルス感染症又は熱傷血栓症から選択される。
【0049】
好ましくは、血液関連障害は、貧血、組織球性症候群、鉄過剰関連障害、白血病、リンパ腫、骨髄増殖性疾患、形質細胞疾患、うっ血及び血液凝固異常、脾臓障害、血栓性障害、血小板異常、血管出血障害、白血球減少症、リンパ球減少症又はAIDS−関連血液病及び悪性腫瘍から選択される。
【0050】
アンチトロンビンIIIに関係する薬剤を開発することは興味深い。例えば、Advantek Biologicsは、遺伝障害のためのアンチトロンビンIIIペプチドを伴う薬剤を開発することを試みている。Aventis Behringは、播種性血管内凝固敗血症のためのアンチトロンビンIIIペプチドの研究を中断した。Bayerは、血栓塞栓症のためのアンチトロンビンIII薬剤について着手している。GTC Biotherapeuticsは、マールブルグウイルス感染症、エボラウイルス感染症及び熱傷血栓症のための遺伝子導入アンチトロンビンIIIを仮登録している。Myriad Geneticsは、血栓症のためのMPC−1203(凝固阻害因子アンチトロンビンIII)の開発を試みている。
【0051】
補体因子H(1231個のアミノ酸;139125Da)は、補体活性化(RCA)遺伝子クラスターの制御因子のメンバーであり、20の短いコンセンサス反復(SCR)ドメインを伴うタンパク質をコードする。異なるアイソフォームをコードする選択的転写スプライシング変異体が特徴づけられている。該タンパク質は、血流中に分泌され、そして補体活性化の制御において必須の役割を有し、微生物感染症に対してこの自然防御メカニズムを制限する。因子Hは、因子IによるC3bの不活性化における補助因子として機能し、そしてまた、補体第二経路におけるC3Bb複合体(C3転換酵素)及び(C3b)NBB複合体(C5転換酵素)の解離速度を増大する。該遺伝子中の突然変異は、溶血性尿毒症症候群(HUS)及び慢性低補体血腎症に関係している。HUSは、歪んだ赤血球(「有棘赤血球」)を付随する微小血管症性溶血性貧血、血小板減少症、及び急性腎不全に導く微小血管障害である。遺伝の優性及び劣性型が共に報告されている。HUSの殆どのケースは、ベロ毒産生細菌により生じる下痢の流行に関係するが、HUSの否定形ケースは、下痢を伴わずに発生する(aHUS)。補体因子Hは、膜増殖性糸球体腎炎及び因子H欠乏症に関係する。補体因子Hは、「補体因子H関連疾患」の用語により表される疾患に関係している。
【0052】
補体因子H関連疾患は、尿毒症性症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、微小血管症性溶血性貧血、膜性増殖性糸球体腎炎、低補体血症、原発性高シュウ酸尿症、急性腎不全、血小板減少症、膀胱癌、溶血性貧血、抗リン脂質抗体症候群、溶血、全身性エリテマトーデス、炎症、悪性腫瘍、肝疾患、血栓症、肺悪性腫瘍、慢性低補体血腎症、補体因子H欠乏症又は年齢関連黄斑変性症から選択される。
【0053】
アルブミン(ALB;609個のアミノ酸;69366Da)は、およそ半分の血清タンパク質を含んで成る可溶性の単量体タンパク質である。アルブミンは、ステロイド、脂肪酸及び甲状腺ホルモンの担体タンパク質として主に機能し、そして細胞外液量を安定化する役割を果たす(血液中のコロイド浸透圧の制御)。血清アルブミンは、水、Ca(2+)、Na(+)、K(+)、脂肪酸、ホルモン、ビリルビン及び薬物のための良好な結合能を有する。染色体4における該遺伝子中の突然変異は、多様な異常なタンパク質をもたらす。アルブミンは、新生タンパク質がラフ型小胞体から放出される前に除去されるN−末端ペプチドを有するプレプロアルブミンとして肝臓中で合成される。該産生物であるプロアルブミンは、ゴルジ小胞中で次々に切断され、分泌アルブミンを産生する。ALBにおける欠損は、家族性アルブミン異常過チロキシン血症(fdh)の原因となる。FDHは、T(4)のためのALBの増大した親和性による甲状腺機能正常性過チロキシン血症である。これは、コーカサス人種における遺伝性甲状腺機能正常性過チロキシン血症の最も一般的な原因である。ALB中の欠損は、高亜鉛血症の原因となりうる。アルブミンの多様な構造は、実際に、血中の亜鉛濃度の無症候性増大をもたらす亜鉛の増大した結合性に導きうる。アルブミンは「アルブミン関連疾患」の用語により表される疾患に関係している。
【0054】
アルブミンに関連する薬物の開発に注目される。例えば、Mitsubishi Pharmaは、血液病、腎疾患及び創傷治癒血友病のための組換え血清アルブミンを仮登録している。Pharming Group NVは、出血性貧血のためのヒト血清アルブミンの開発を試みている。
【0055】
「アルブミン関連疾患」は、微量アルブミン尿、アルブミン尿、糖尿病性腎症、低アルブミン血症、腎疾患、蛋白尿、インスリン依存性糖尿病、栄養障害、インスリン非依存性糖尿病、網膜症、ネフローゼ症候群、腹水症、慢性腎不全、低蛋白血症、腎不全、硬変、糖尿病、タンパク質・エネルギー栄養障害、肝硬変、肝腎症候群、本態性高血圧、クワシオルコル、循環器疾患、二峰性アルブミン血症、気管支肺胞洗浄液、卵巣過剰刺激症候群、高チロキシン血症、肝疾患、糖尿病性網膜症、炎症、蛋白喪失性腸症、血液量減少、細菌性腹膜炎、肝不全、糖尿病性微小血管症、肝肺症候群、慢性肝疾患、肝細胞の原発癌、尿毒症、浮腫、巣状分節性糸球体硬化症、核黄疸、重篤な低栄養症、リポイドネフローゼ、肝性脳症、消耗症、貧血、肝機能障害、末梢血管疾患、血液量増加症、自律神経ニューロパチー、高血圧性腎疾患、急性肝不全、糸球体硬化症、高血糖症、粥状動脈硬化、アルコール性肝硬変、環状浮腫、原発性胆汁性肝硬変、糸球体腎炎、肝線維症、腎機能異常、インスリン抵抗性、腹膜炎、ネフローゼ、低カルシウム血症、全身感染症、高ビリルビン血症、慢性糸球体腎炎、脂質代謝異常、代謝性アシドーシス、高ホモシステイン血症、左室肥大、動脈性高血圧症、糖尿病性糸球体硬化症、慢性肝炎、脳症、門脈圧亢進症、溶血、アレルギー性鼻炎、収縮期高血、肺水腫、低ナトリウム血症、低血圧、糖尿、冠疾患、高血圧性網膜症、高コレステロール血症、近位腎尿細管機能障害、低マグネシウム血症、アルコール性肝疾患、二次性副甲状腺機能亢進症、特発性膜性腎症、黄疸、無アルブミン血症、家族性アルブミン異常高チロキシン血症、高亜鉛血症、血液病、腎疾患、創傷治癒血友病、又は出血性貧血から選択される。
【0056】
本明細書において使用される場合、「治療」の用語は、疾患形成、発達、進行の、あるいは疾患の徴候のいずれか一つ若しくはいくつかの、又は全ての、疾患形成、発達、進行の減弱、低下、又は部分的な、実質的な若しくは完全な予防又は妨害を包含する。
【0057】
本明細書中の「INSP052」の用語は、INSP052ポリペプチド又はINSP052核酸分子に関する。
【0058】
「INSP052ポリペプチド」は:
配列番号2に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052エクソン1ポリペプチド」を意味する。配列番号4に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052エクソン2ポリペプチド」を意味する。配列番号6に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052エクソン3ポリペプチド」を意味する。配列番号8に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052エクソン4ポリペプチド」を意味する。配列番号10に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052エクソン5ポリペプチド」を意味する。配列番号12に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052エクソン6ポリペプチド」を意味する。配列番号14に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052エクソン7ポリペプチド」を意味する。配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12及び配列番号14の組み合わせは、配列番号16に示される配列を産生する。配列番号16に示される配列を有するポリペプチドは、以下「INSP052ポリペプチド」を意味する。配列番号20に示される配列を有するポリペプチドは、INSP052の細胞外ドメインである。配列番号22に示される配列を有するポリペプチドは、以下、成熟INSP052ポリペプチドの細胞外ドメインを意味する。配列番号24に示される配列を有するポリペプチドは、以下、成熟INSP052エクソン2ポリペプチドを意味する。配列番号26に示される配列を有するポリペプチドは、以下、成熟INSP052ポリペプチドを意味する。配列番号29に示される配列を有するポリペプチドは、以下、ヒスチジンタグ化、成熟INSP052の細胞外ドメインを意味する。配列番号30に示される配列を有するポリペプチドは、以下、成熟INSP052の細胞外ドメインのFc融合物を意味する。配列番号31に示される配列を有するポリペプチドは、以下、INSP052の断片を含有するIgドメイン(INSP052Ig2)を意味する。配列番号32に示される配列を有するポリペプチドは、以下、第1Igドメインが欠如している細胞外INSP052(INSP052−EC−DEL IG1)を意味する。配列番号33に示される配列を有するポリペプチドは、以下、第2Igドメインが欠如している細胞外INSP052(INSP052−EC−DEL IG2)を意味する。本明細書における「可溶性INSP052」又は「可溶性形態」は、配列番号20、配列番号22、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32及び/又は配列番号33を意味する。
【0059】
ある態様において、この態様に従うINSP052ポリペプチドは、配列番号16(INSP052ポリペプチド)に示されるアミノ酸配列から成り、あるいはその断片又は官能性等価物である。他の態様において、INSP052ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、又は配列番号14のいずれか1つに示されるアミノ酸配列から成り、あるいはこれらの変異体である。
【0060】
配列番号20に示されるアミノ酸配列は、INSP052の細胞外ドメインを示し、そして完全長タンパク質のアミノ酸1〜240に対応する。配列番号22は、成熟INSP052の細胞外ドメインを表す。
【0061】
WO03/93316に示されるとおり、該INSP052完全長予測物は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属するVEGF/PDGF受容体に関係する、416個のアミノ酸のI型膜タンパク質をコードする。推定上のシグナル配列は、INSP052のアミノ酸1〜33から成る。Ig様ドメインはアミノ酸48〜124から成る。Igドメインはアミノ酸161〜216から成る。予想される膜貫通(TM)ドメインは、INSP052のアミノ酸241〜263から成る。従って、INSP052の成熟細胞外ドメインは、INSP052のアミノ酸34〜240から成る。この後者の配列は、配列番号434及び配列番号880として文献中に開示される2つの配列(WO04/009834;配列番号27及び28)に類似する。膜結合INSP052の細胞内ドメインは、アミノ酸264〜416に対応する。
【0062】
INSP052の細胞外ドメイン及び/又は「可溶性形態」は、該ポリペプチド配列中のこれらの境界のC末端及び/又はN末端の付加的残基が、該ポリペプチド断片中に含まれる場合、正確に折りたたまれ、かつ生物活性を示すであろうことが強く推定される。ある態様において、INSP052ポリペプチドは、C末端及び/又はN末端の付加的残基を含む。例えば、INSP052ポリペプチド配列又は相同配列由来の付加的な5、10、20、30、40、50又は100ものアミノ酸残基は、正確に折りたたまれ、そして生物活性を示すというポリペプチド断片の能力を害することなく、受容体結合ドメインの境界のC末端及び/又はN末端のいずれか又は両方において含むことができる。100又は200残基ほどの大きさの伸展は、第2構造因子間の大きなループのために必須となりうる。
【0063】
ある態様において、INSP052細胞外ドメインの切頭型変異体について、1又は数個のアミノ酸残基(例えば、2、3、4、5、10、15、20、25、30又はそれ以上)が、生物活性を害することなく、該ドメインのC末端又はN末端のいずれか又は両方において欠失していてよい。
【0064】
INSP052細胞外ドメインの好ましい切頭型変異体は、配列番号31に示される配列を有する、INSP052の断片を含有するIgドメイン(INSP052Ig2)であってよい。
【0065】
INSP052細胞外ドメインの好ましい切頭型変異体は、配列番号32に示される配列を有する、第1Igドメインを欠失している細胞外INSP052(INSP052−EC−DEL IG1)であってよい。
【0066】
INSP052細胞外ドメインの好ましい切頭型変異体は、配列番号33に示される配列を有する、第2Igドメインを欠失している細胞外INSP052(INSP052−EC−DEL IG2)であってよい。
【0067】
以下に議論されるとおり、ある態様において、本発明のポリペプチドは、融合タンパク質又は「自立(free-standing)」タンパク質の形態において供されることができる。従って、本発明のある態様は、INSP052の細胞外ドメインから成るポリペプチドを供する。本発明の他の態様は、融合タンパク質を形成するための少なくとも1つの他のポリペプチドと融合したINSP052から成るポリペプチド(成熟体及び切頭型変異体を含む、完全長タンパク質又はその細胞外ドメイン)を供する。
【0068】
「INSP052核酸分子」は、配列番号1(INSP052エクソン1ポリペプチドをコードする)、配列番号3(INSP052エクソン2ポリペプチドをコードする)、配列番号5(INSP052エクソン3ポリペプチドをコードする)、配列番号7(INSP052エクソン4ポリペプチドをコードする)、配列番号9(INSP052エクソン5ポリペプチドをコードする)、配列番号11(INSP052エクソン6ポリペプチドをコードする)、配列番号13(INSP052エクソン7ポリペプチドをコードする)、配列番号15(INSP052ポリペプチドをコードする)、配列番号17(マウスバーチャルINSP055ポリペプチドをコードする)、配列番号19(INSP052ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする)、配列番号21(INSP052成熟ポリペプチドの細胞外ドメインをコードする)、配列番号23(成熟INSP052エクソン2ポリペプチドをコードする)、配列番号25(成熟INSP052ポリペプチドをコードする)を含んで成る又はこれらから成る核酸、あるいはこれらの配列のいずれか1つの重複等価物又は断片を意味することができる。
【0069】
配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11及び配列番号13に示される配列の組み合わせは、配列番号15に示される配列を産生する。
【0070】
配列番号23、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11及び配列番号13に示される配列の組み合わせは、配列番号25に示される配列を産生する。
【0071】
本発明のある態様において、該核酸分子は、INSP052の細胞外ドメイン(配列番号20)を含んで成る、あるいはこれから成るポリペプチドをコードする。好ましくは、該核酸分子は、配列番号19に記載される核酸配列を含んで成るか、あるいはこれから成る。これらの配列はC末端に付加されるヒスチジン残基を含むが、これは同時係属特許出願WO03/093316の図7にも記載されている。
【0072】
本発明のある態様において、該核酸分子は、成熟INSP052の細胞外ドメイン(配列番号22)を含んで成るか、又はこれから成るポリペプチドをコードする。好ましくは、該核酸分子は、配列番号21に記載される核酸配列を含んで成るか、あるいはこれから成る。これらの配列はC末端に付加されるヒスチジン残基を含むが、これは同時係属特許出願WO03/093316の図7にも記載されている。
【0073】
本発明のある態様において、該核酸分子は、INSP052の断片を含有するIG−ドメイン(配列番号31)である、成熟INSP052の細胞外ドメインの変異体を含んで成るか、あるいはこれから成るポリペプチドをコードする。
【0074】
本発明の態様において、該核酸分子は、配列番号32に示される配列を有する、第1Igドメインを欠失する細胞外INSP052(INSP052−EC−DEL IG1)である、成熟INSP052の細胞外ドメインの変異体を含んで成る、あるいはこれから成るポリペプチドをコードする。
【0075】
本発明のある態様において、該核酸分子は、配列番号33に示される配列を有する、第2Igドメインを欠失する細胞外INSP052(INSP052−EC−DEL IG2)である、成熟INSP052の細胞外ドメインの変異体を含んで成る、あるいはこれから成るポリペプチドをコードする。
【0076】
ある態様において、「INSP052ポリペプチド」の用語は、付随の配列表の配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、又は配列番号36(配列番号18を除き全てヒト)の配列の全て又は一部を含んで成るタンパク質、並びにこれらの塩、アイソフォーム、ムテイン、活性画分、官能性誘導体及び円順列変異誘導体に関することができる。ある態様において、ヒト以外の種、例えば、マウス(例えば、配列番号18)又はラット由来のINSP052は、ヒトにおいて実質的な免疫応答を誘発することなく、生物活性を示すタンパク質を許容するようにタンパク質間に十分な同一性が存在する限り、本発明に従い使用することができる。
【0077】
ある態様において、「INSP052ポリペプチド」の用語は、更に、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患において所望の活性を示す、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、又は配列番号36(配列番号18を除き全てヒト)のいずれかの断片、部分、ドメイン又はサブドメインに関する。ある態様において、タンパク質断片、アイソフォーム、特異的グリコシル化又はシリル化形態、あるいは該タンパク質の1又は複数のドメインは、これらが、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患のいずれかの有利な効果、好ましくは少なくとも、完全長タンパク質と比較可能である効果を示す限り、本発明に従い使用することができる。この有利な効果は、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患における効果を示すために、適切な文献中に記載されているin vitro又はin vivo試験のいずれかにおいて測定することができる。INSP052の生物活性は、例えば、ナイセリア種の感染を低下するため、又は血液凝固若しくは血小板凝集を予防するため、又は血管の拡張若しくは狭窄において作用するため、又は血圧、血液凝固、体液貯留、オプソニン作用、補体活性若しくは浸透圧を調整するためのその能力においてINSP052をアッセイすることにより測定することができる。
【0078】
ある態様において、INSP052は自然発生、すなわち未変性タンパク質、又は組換えタンパク質であってよい。組換え産生は、真核生物細胞、例えば、酵母細胞又は哺乳類細胞、好ましくはCHO細胞、HEK細胞(ヒト胎児腎臓細胞)、又はヒト線維芽細胞若しくは株化細胞中で行うことができる。これは更に、原核生物細胞、例えば、大腸菌(E.coli)において産生されることができる。
【0079】
好ましくは、INSP052は、1又は複数の部位でグリコシル化されている。これはまた、与えられた必要性及び該タンパク質の産生又は単離の起源に依存して非グリコシル化としてもよい。
【0080】
好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号22の残基2、71、105、134、139及び/又は156においてグリコシル化されている(残基の番号付けのための参考として配列番号22が用いられる)。
【0081】
本明細書における「塩」の用語は、INSP052分子又はその類似体のカルボキシル基の塩及びアミノ基の酸付加塩の両方を意味する。カルボキシル基の塩は、当業者に既知の手段により形成することができ、無機塩、例えば、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム、三価鉄又は亜鉛塩等、及び有機塩基を伴う塩、例えば、アミン、例えば、トリエタノールアミン、アルギニン又はリジン、ピペリジン、プロカイン等により形成されるものを含む。酸付加塩は、例えば、鉱酸、例えば、塩酸又は硫酸を伴う塩、及び有機酸、例えば、酢酸又はシュウ酸を伴う塩を含む。当然に、いずれのこのような塩も、本発明に関するINSP052の生物活性を維持すること、すなわち感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患において有利な効果を発揮する必要がある。
【0082】
ある態様において、INSP052のアイソフォーム又はスプライス変異体もまた、これら疾患進行及び/又は疾患の症状を阻害することができる限り、使用することができる。
【0083】
ある態様において、「ムテイン」の用語は、天然INSP052の1又は複数のアミノ酸残基が異なるアミノ酸残基により置換された、付加された、あるいは欠失された、好ましくは少なくとも野生型INSP052と同程度の活性を有するか、あるいはより強力な活性を有するINSP052の類似体を意味する。INSP052の生物活性は、例えば、INSP052を、例えば、ナイセリア種の感染を低下させる能力、又は血液凝固若しくは血小板凝集を予防する能力、又は血管の拡張若しくは狭窄に作用する能力、又は血圧、血液凝固、体液貯蔵、オプソニン作用、補体活性化若しくは浸透圧を調節する能力についてアッセイすることにより測定することができる。タンパク質間の相互作用を評価するためのアッセイは当業界に周知である。このようなアッセイの例は、ELISA結合アッセイ、免疫沈降アッセイ、又は他の適当なシステム、例えば、BIAコアシステムにおける測定である。これらのムテインは、既知の合成法、及び/又は部位特異的変異原性技術、又はそのために適当ないずれかの他の技術により調製することができる。
【0084】
好ましくは、このようなムテインは、配列番号22と十分に重複したアミノ酸の配列、例えば、少なくとも実質的に配列番号22と同様の活性を有するような配列を有する。INSP052突然変異体の活性は、更に、例えば、ナイセリア種の感染を低下させる能力、又は血液凝固若しくは血小板凝集を予防する能力、又は血管の拡張若しくは狭窄に作用する能力、又は血圧、血液凝固、体液貯蔵、オプソニン作用、補体活性化若しくは浸透圧を調節する能力においてINSP052をアッセイすることにより試験することができる。
【0085】
ある態様において、本発明に従うムテインは、本発明に従い、ストリンジェントな条件下で、INSP052をコードするDNA又はRNAとハイブリダイズする核酸、例えば、DNA又はRNAによりコードされるタンパク質を含む。「ストリンジェント条件」という用語は、ハイブリダイズ条件及びこれに続く洗浄条件を意味し、これらの条件を当業者は慣習的に「ストリンジェント」と呼ぶ。Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology(上述), Interscience, N.Y., §§6.3及び6.4(1987, 1992)、及びSambrook他(Sambrook, J. C., Fritsch, E. F., 及びManiatis, T.(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY)を参照されたい。
【0086】
制限はないが、ストリンジェント条件の例は、例えば5分間にわたって2×SSC及び0.5%SDS中で、15分間にわたって2×SSC及び0.1%SDS中で、30〜60分間にわたって37℃で0.1×SSC及び0.5%SDS中で、次いで30〜60分間にわたって68℃で0.1×SSC及び0.5%SDS中で、研究中のハイブリッドの計算上のTmを12〜20℃下回る温度で洗浄する洗浄条件を含む。当業者には明らかなように、ストリンジェント条件がDNA配列、オリゴヌクレオチド・プローブ(10〜40塩基)又は混合型オリゴヌクレオチド・プローブの長さにも依存する。混合型プローブが使用される場合、SSCの代わりに塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を使用することが好ましい。上述のAusubelを参照されたい。
【0087】
いずれのこのようなムテインも、配列番号22と実質的に同様の、あるいはより良好な生物活性を有するように、配列番号22の配列と十分に重複するアミノ酸配列を有する。
【0088】
好ましい態様において、いずれかのこのようなムテインは、配列番号16の配列と少なくとも40%の同一性又は相同性を有する。より好ましくは、これは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最も好ましくは、少なくとも90%のその同一性又は相同性を有する。
【0089】
同一性は、2又はそれ以上のポリペプチド配列間、あるいは2又はそれ以上のポリヌクレオチド配列間のこれらの配列を比較することにより決定される関係を反映する。一般に、同一性は、比較される配列の全長にわたる、2つのポリヌクレオチド配列又は2つのポリペプチド配列のそれぞれの正確なヌクレオチド間又はアミノ酸間の一致を意味する。
【0090】
正確な一致が存在しない場合の配列のために、「%同一性」が決定される。一般的に比較する2つの配列を整列させ、配列間の最大相関を与える。これは、片方又は両方の配列中に「ギャップ」を挿入することを含み、アライメントの程度を増強する。%同一性は、比較される各配列の全長(いわゆるグローバルアライメント)にわたり決定することができ、これは同じ又は極めて近似した長さの配列に特に有用であり、あるいはより短く定義された長さ(いわゆるローカルアライメント)にわたり決定することができ、これは異なる長さの配列により適当である。
【0091】
2又は複数の配列の同一性又は相同性を比較する方法は、当業界において周知である。従って、例えば、ウィスコンシン配列分析パッケージ(Wisconsin Sequence Analysis Package)、バージョン9.1において入手可能なプログラム(Devereux et al., 1984)、例えば、プログラムBESTFIT及びGAPを2つのポリヌクレオチド間の%同一性及び、2つのポリペプチド配列間の%同一性及び%相同性を決定するために使用することができる。BESTFITは、SmithとWatermanの「ローカルホモロジー」アルゴリズムを使用し(Smith and Waterman, 1981)、そして、2つの配列間の類似性の最良な単一領域を発見する。配列間の同一性及び/又は類似性を決定するための他のプログラムもまた、当業界において既知であり、例えば、プログラムのBLASTファミリー(Altschul et al., 1990; Altschul et al., 1997、www. ncbi. nlm. nih. gov においてNCBIのホームページを介して構築される)、及びFASTA(Pearson, 1990 ; Pearson and Lipman, 1988)がある。
【0092】
本発明に従い使用することができるINSP052のムテイン、又はこれらをコードする核酸は、過剰な実験をすることなく、本明細書に供される技術及びガイドラインに基づき、当業者により慣習的に得ることができる置換ペプチド又はポリヌクレオチドとして実質的に対応する配列の有限のセットを含む。
【0093】
本発明に関するムテインの好ましい変化は、「保存的な」置換として知られる。INSP052ポリペプチド又はタンパク質の保存的なアミノ酸置換は、グループのメンバー間の置換基が分子の生物活性を保存するであろう、十分に類似する物理化学的な特徴を有する群における同義アミノ酸を含んでよい(Grantham, 1974)。また、アミノ酸の挿入及び欠失は、特に、当該挿入又は欠失が少数、例えば、30以下、そして好ましくは10以下のアミノ酸のみを含み、そして、機能的構造に重大なアミノ酸、例えば、システイン残基を除去又は置換しない場合、これらの機能を変化することなく上に定義した配列において作製することができる。このような欠失、及び/又は挿入により産出されたタンパク質及びムテインは、本発明の範囲内である。
【0094】
好ましくは、該同義アミノ酸グループは表Iに定義されるものである。より好ましくは該同義アミノ酸グループは、表IIに定義されるものであり;そして最も好ましくは、該同義アミノ酸グループは、表IIIに定義されるものである。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
本発明の使用のためのINSP052ポリペプチド又はタンパク質のムテインを得るために使用することができるタンパク質中のアミノ酸置換の産生の例は、いずれかの既知の方法、例えば、Markらによる米国特許第第4,959, 314号、第4, 588, 585号及び第4, 737,462号; Koths らによる第5,116, 943 号;Namen らによる第4,965, 195号;及びLeeらによる第5,017, 691号において供され、そしてリジン置換タンパク質は米国特許第4,904, 584号(Shaw ら)において供される。
【0099】
「融合タンパク質」の用語は、他のタンパク質と融合されたINSP052、又はそのムテインを含んで成るポリペプチドを意味する。この他のタンパク質は、例えば体液中の滞留時間が長い。例えばヒトの体内の半減期のような分子の生体活性を改善することができるタンパク質の全て又は官能性部分に融合されたINSP052の全て又は官能性部分を含む融合タンパク質が、本発明において好ましい。好ましい態様において、融合タンパク質は、免疫グロブリン(Ig)融合を含む。免疫グロブリンの全て又は一部に融合されたINSP052の全て又は一部を含む融合タンパク質が、極めて好ましい。これらは、単量体又は多量体、ヘテロ又はホモ多量体であってよい。有利には、融合タンパク質は免疫グロブリンの定常領域、具体的には免疫グロブリンのFc部分を含んで成る。免疫グロブリンがIgG1又はIgG2イソ型である態様が、本発明に従いさらに好ましい。好ましくは、融合はFc融合である。好ましくは、融合タンパク質は配列番号30から成る。
【0100】
このように、INSP052は、他のタンパク質、ポリペプチドなど、例えば、免疫グロブリン又はその断片に融合することができる。融合は直接的であるか、又は1〜3アミノ酸残基長又はそれ以上という短さであってよい短リンカー・ペプチド、例えば13アミノ酸残基長を介して形成することができる。前記リンカーは、例えば、配列E−F−M(Glu−Phe−Met)のトリペプチド、又はINSP052配列と免疫グロブリン配列との間に導入されたGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含む13アミノ酸リンカー配列であってよい。
【0101】
本明細書中に使用される「官能性誘導体」は、INSP052の誘導体、及びこれらのムテイン及び融合タンパク質を網羅する。これらは当業界に知られた手段によって、残基又はN−又はC−末端基上の側鎖として生じる官能基から調製することができ、そしてこれらが医薬的に許容されるままである限り、すなわち、配列番号22の活性と少なくとも実質的に同様のタンパク質の活性を破壊することがなく、そしてこの活性を含有する組成物に毒性を与えることがない限り、本発明に含まれる。従って、好ましい態様において、官能性誘導体は、アミノ酸残基上の1又は複数の側鎖として発生する1又は複数の官能基に結合された少なくとも1つの部分を含んで成る。
【0102】
本発明に従い、ポリエチレングリコール(PEG)側鎖は、極めて好ましい部分である。PEG側鎖は抗原部位をマスキングし、そして体液中でPEG側鎖が結合された物質の残留時間を延長することができる。その他の誘導体は、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニア又は第1級若しくは第2級アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド、アシル部分(例えば、アルカノイル又は炭素環式アロイル基)とともに形成されたアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体、又はアシル部分とともに形成された遊離ヒドロキシル基(例えば、セリル又はトレオニル残基)のO−アシル誘導体を含む。
【0103】
INSP052及びそのムテイン及び融合タンパク質の「活性画分」は、タンパク質分子のポリペプチド鎖の断片又は前駆体の単独の状態、又は関連分子又は残基、例えば糖又はリン酸塩残基との連結状態、あるいはタンパク質部分又は糖残基単独の凝集体を網羅するが、前記活性画分は配列番号22と少なくとも実質的に同様の活性を有するものとする。
【0104】
本発明によれば、INSP052は、前記核酸分子を含むベクターの形態でヒトの身体に投与することもできる。従って、本発明はさらに、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤を製造するための、前記核酸分子を含んで成るベクターの使用に関する。好ましくは、該ベクターは、INSP052のコード配列の全て又は部分に作動可能的に連結されたプロモーターを含む、発現ベクターである。さらに好ましい態様において、該ベクターは遺伝子治療ベクターである。遺伝子治療ベクターは、当業界において既知であり、その大半は、ウイルス由来のベクター、例えばアデノウイルス又はレンチウイルス・ベクターである。
【0105】
本発明に従い、INSP052は、INSP052を産生及び/又は分泌する細胞の形態で、ヒトの身体に投与することもできる。従って、本発明はさらに、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤の製造のためのINSP052発現細胞の使用に関し、すなわち、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患を治療及び/又は予防するための細胞療法に関する。該細胞は、INSP052自然産生細胞、及び/又は組換えINSP052を産生するトランスフェクト型細胞であってよい。好ましいものは、多量のタンパク質を発現させ分泌する細胞、例えば、INSP052をコードする核酸分子を含んで成る発現ベクターの多数のコピーを担持する過剰発現細胞である。
【0106】
本発明はさらに、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患を治療及び/又は予防するための薬剤の調製のためのINSP052の全て又は一部をコードする核酸分子を含んで成るベクターを含んで成る細胞に関する。本発明によるポリペプチドを産生するために遺伝子改変された細胞もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0107】
通常はサイレントであるか、あるいは十分でない量の阻害因子を発現させる細胞中においてINSP052の内在的産生を誘発及び/又は促進するための発現ベクターの使用もまた、本発明に関して考慮される。従って、本発明は、所望のタンパク質を産生するための内在的遺伝子活性化(EGA)として知られる技術を利用する。
【0108】
本発明に従い、INSP052は、単独で、あるいは、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患を治療及び/又は予防するための相加的又は相乗的な効果を得るために、いくつかのほかの治療法又は薬剤との組み合わせ(例えば、多剤療法)において投与することができる。従って、好ましくは、本発明の薬剤はさらに;
・ インターフェロン、特にインターフェロン−α、インターフェロン−β、又はインターフェロン−γ、あるいは
・ 腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニスト、特に可溶性TNFR、例えば可溶性p55(TBPI)及び/又は可溶性p75(TBPII)、あるいは
・ 抗感染症剤、あるいは
・ 抗血液凝固剤、を含んで成る。
【0109】
前記抗血液凝固剤は、ニトレート、ニトログリセリン、イソソルビド、ジニトレート、イソソルビドモノニトレート、ビタミンC又はE、β−ブロッカー、プロプラノロール(インデラル、シプラー)、ラベタロール(ノルマデート)、アセブトロール(セクトラル)、アテノロール(アテン、テノルミン、ベタカルド、テンシミン)、メトプロロール(ベタロック、メトラル)、ビソプロロール(コンコール)、カルベジロール(カルベジル、カルロック、カルビル)、抗凝固薬、ヘパリン、ワルファリン、抗血小板薬、アスピリン、糖タンパク質IIb/IIIa受容体アンタゴニスト、クロピドグレル、NSAID、エノキサパリン(クレキサン)、ダルテパリン(フラグミン)、レビパリン(クリバリン)、アブシキシマブ(レオプロ、セントコール)、エプチフィバチド、ラミフィバン、チロフィバン、アブシキシマブ、クロピドグレルデプラット、クロピレット)、チクロピジン(チクリド、チクロップ)、ヒルジン、ビバリルジン、アルガトロバン、ダナパロイド、スタチン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害因子、ラミプリル(カルデース)、カプトプリル(カポトリル、アセテン)、エナラプリル(エンバス、バソノルム)、リシノプリル(プレベース、リプリル、ゼストリル)、ホシノプリル、カルシウムチャネルブロッカー、ベラパミル(カラン、イソプチン)、ニフェジピン(アダラット、デピン)、ニカルジピン(カルデン)、アムロジピン(アムデピン、カルバジル)、ジルチアゼム(カルジゼム、ジルゼム)、ベプリジル(バスコール)、ラノラジン、ニコランジル、抗生物質、テトラサイクリン、キノロン、葉酸、血栓溶解薬、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt−Pas)、アルテプラーゼ(アクティバーゼ及びレテプラーゼ(レトバーセ))、フィブリン−依存薬、アンクロッド、バトロキソビン(デフィブラーゼ)、チエノピリジン、クロピドグレル(プラビックス)、チクロピジン(チクリド)、チエノピリジン(クロピドグレル)、直接トロンビン阻害因子(DTI)、ヒルジン、アルガトロバン(ノバスタン)、ビバリルジン(アンジオマックス)、ダナプロイド(オルガラン)、レピルジン(レフルダン)、デシルジン(レバスク)、イノガトラン、エフェガトラン、キシメラガトラン(エクサンタ)、抗線溶薬、トラネキサム酸、又はεアミノ−カプロン酸から成る群から選択される。
【0110】
抗感染症剤は、ペンタミジン、抗生物質、コリスチン、アミノグリコシド又はアンホテリシンBから選択することができる。
【0111】
全ての治療は、同時、順次、又は別々の使用が意図される。
【0112】
INSP052と一緒に、1又は複数の上記物質を含んで成る医薬組成物は、本発明の範囲内である。
【0113】
本発明のさらなる態様において、INSP052は、インターフェロンとの組み合わせにおいて使用される。好ましくは、該インターフェロンは、インターフェロン−α、インターフェロン−β、又はインターフェロン−γから選択される。インターフェロンは、また、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患と関係している。例えば、インターフェロン−αは、好中球減少症、血小板減少症、C型肝炎、又はB型肝炎に関係している。例えば、インターフェロン−βは、B型肝炎、C型肝炎、ウイルス疾患、HIV感染症及びインフルエンザに関係している。例えば、インターフェロン−γは、結核、ウイルス疾患、内蔵又は皮膚リーシュマニア症、HIV感染症、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、糖尿病、マラリア、細菌感染症、抗酸菌症及びフィラリア性象皮病に関係している。
【0114】
本発明のよりさらなる態様において、INSP052は、TNFアンタゴニストとの組み合わせにおいて使用される。TNFアンタゴニストは、いくつかの方法においてこれらの活性を発揮する。第1に、アンタゴニストは、十分な親和性及び特異性を持ってTNF分子自体に結合するか又はこれを封鎖することにより、TNF受容体結合に関与するTNFエピトープを部分的又は実質的に中和することができる(以降「封鎖アンタゴニストと呼ぶ)。封鎖アンタゴニストは、例えば、TNFに対する抗体であってよい。例えば、TNF−αは、ウイルス疾患、マラリア、敗血症性ショック、細菌感染症、抗酸菌症、細菌性髄膜炎、HIV感染症及び結核に関係している。
【0115】
あるいは、TNFアンタゴニストは、TNF結合後の細胞表面受容体によって活性化されたTNFシグナル伝達経路を阻害することもできる(以降シグナル伝達アンタゴニストと呼ぶ)。TNFアンタゴニストは、TNFが増殖及び免疫グロブリン分泌を引き起こすin vitroの感受性細胞系、例えばヒトB細胞上の天然型TNFの活性に対するTNFアンタゴニストの効果に関して候補物質に慣習的なスクリーニングを施すことによって容易に同定され、そして評価される。アッセイは、候補アンタゴニストを種々に希釈した、例えば、アッセイにおいて使用されるTNFのモル量の0.1〜100倍に希釈したTNF配合物、及びTNFを含まないか又はアンタゴニストしか含まない対照を含有する(Tucci他、1992)。
【0116】
封鎖アンタゴニストは、本発明に従って使用されるのに好ましいTNFアンタゴニストである。封鎖アンタゴニストの中でも、高い親和性を持ってTNFと結合し、そして免疫原性が低いポリペプチドが好ましい。可溶性TNF受容体分子、及びTNFに対する中和抗体が特に好ましい。例えば、TNF−RI(p55)及びTNF−RII(p75)の可溶性形態が本発明において有用である。受容体の細胞外ドメイン又は受容体の官能性部分を含む、これらの受容体の切頭型形態が、本発明に基づいて、より具体的に好ましいアンタゴニストである。切頭型可溶性TNFのI型及びII型受容体が例えば欧州特許第914431号明細書に記載されている。
【0117】
TNF受容体の切頭形態は可溶性であり、そして約30kDa又は40kDaのTNF阻害結合タンパク質として尿及び血清中に検出されている。これらのタンパク質はそれぞれTBPI及びTBPIIと呼ばれる(Engelmann他、1990)。TNFアンタゴニスト及び/又はインターフェロンと同時に、又は順次に、又は別々にINSP052を使用することが本発明において好ましい。
【0118】
本発明従い、TBPI及びTBPIIは、INSP052との組み合わせで使用される好ましいTNFアンタゴニストである。該受容体分子の誘導体、断片、領域及び生体活性部分は、本発明に使用することもできる受容体分子と機能上類似している。受容体分子のこのような生体活性の等価物又は誘導体は、受容体分子をコードするポリペプチド又は配列の部分であって、十分なサイズを有し、そして、膜結合型TNF受容体との相互作用が阻害又は遮蔽されるような親和性を伴いTNFに結合できるものを意味する。
【0119】
更に好ましい態様において、ヒト可溶性TNF−RI(TBPI)は、本発明に従って使用されるTNFアンタゴニストである。天然型及び組換え型の可溶性TNF受容体分子、及びこれらの生成方法は、欧州特許第308 378号、同第398,327号及び同第433,900号明細書に記載されている。
【0120】
疾患の初期段階にTNF−αを遮蔽することが有益な場合がある一方、より後の段階において、TNF自体が疾患の進行において有益な効果を発揮し得ることが論じられている(Abraham他、2000)。従って、本発明はさらに、特に疾患の進行段階における、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療又は予防のためのINSP052及びTNFの組み合わせに関する。本発明に従い、TNF−α又はTNF−βを使用することができる。
【0121】
本発明はさらに、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための、任意に1又は複数の医薬的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と一緒に、INSP052を含んで成る医薬組成物に関する。該医薬組成物はさらに、上述のいずれかのさらなる成分、及び好ましくはインターフェロンを含んでよい。
【0122】
本発明の医薬組成物は、本発明に従う核酸分子を含んで成るベクター、又はINSP052を発現させる細胞を含んで成ってよい。
【0123】
この薬剤の活性成分、すなわち本発明に従うポリペプチド、核酸又は細胞、又はこれらの組み合わせ、並びに上述の物質の組み合わせは、種々の方法で個体に投与することができる。投与経路は、皮膚内、経皮(例えば徐放性配合物)、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、硬膜外、局所及び鼻腔内経路を含む。任意のその他の治療上効果的な投与経路、例えば上皮組織又は内皮組織を通した吸収、又は遺伝子治療を用いることもできる。遺伝子治療の場合、活性物質をコードするDNA分子が患者に投与され(例えばベクターを介して)、これにより、活性物質はin vivoで発現し、そして分泌される。加えて、本発明に従うタンパク質は、生体活性物質、例えば、医薬的に許容される界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤及びビヒクルの他の成分と一緒に投与することができる。
【0124】
「医薬的に許容される」という用語の定義は、活性成分の生体活性の効果を妨害することがなく、また投与される宿主に対して毒性でない、いずれかの担体を包含するものとする。例えば、非経口投与の場合、活性タンパク質は、ビヒクル、例えば、生理食塩水、デキストロース溶液、血清アルブミン及びリンゲル溶液中の注射用投与形態において調製することができる。
【0125】
非経口(例えば静脈、皮下、筋内)投与の場合、活性タンパク質は、医薬的に許容される非経口用ビヒクル(例えば、水、生理食塩水、デキストロース溶液)、及び等張性(例えば、マンニトール)又は化学安定性(例えば、保存剤及び緩衝液)を維持する添加剤とともに、溶液、懸濁液、エマルジョン又は凍結乾燥粉末として調製することができる。この配合物は、慣習的に使用される技術によって滅菌される。
【0126】
本発明に従う活性タンパク質の生物学的利用率は、ヒトの体内の分子の半減期を増大させる複雑な手順を用いることにより、例えば国際公開第92/13095号公報に記載されているようにポリエチレングリコールに分子を連結することによって改善することができる。
【0127】
該活性タンパク質の治療上有効な量は、受容体のタイプ、本発明の物質のその受容体に対する親和性、これにより示される任意の滞留細胞毒性の活性、投与経路、患者の臨床的状態を含む、多くの変数の関数となる。
【0128】
「治療上有効な量」は、投与した場合、本発明に従う物質がin vivoの疾患の発生又は進行に対して有益な効果をもたらすような量である。単回投与量又は複数回投与量として個体に投与される量は、INSP052の薬物動態特性、投与経路、患者の状態及び特徴(性別、年齢、体重、健康状態、大きさ)、症状の程度、併用治療、治療頻度及び所望の効果を含む、種々の因子に応じて変化することになる。確立された投与量範囲は当業者の能力の範囲内で調節され操作される。
【0129】
本発明に従うポリペプチドの所要の投与量は、約0.0001〜100mg/kg、又は約0.01〜10mg/kg、又は約0.1〜5mg/kg、又は約1〜3mg/kgであるが、上述のように投与量は、多くの部分が治療時の判断に委ねられる。本発明の薬剤は毎日、隔日又は週に3回投与することができる。
【0130】
一日投与量は通常、所望の結果を得るのに効果的な複数回に分けられた形態、又は徐放性形態で与えられる。2回目又はそれ以降の投与は、個体への最初又は前回の投与量と同じ量、又はこれよりも少ない量、又はこれよりも多い量の投与量で行うことができる。2回目又はそれ以降の投与は、疾患の発症中又は発症前に投与することができる。
【0131】
本発明はさらに、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患を治療及び/又は予防するための方法であって、治療及び/又は予防を必要とする患者に、本発明に従う有効量の物質を、任意には医薬的に許容される担体と一緒に投与することを含む方法に関する。あるいは、または、これに加えて、任意に発現ベクター内に含まれるINSP052又は本発明の核酸分子を産生する細胞を、本発明に従い投与することができる。
【0132】
該発現ベクターは、全身投与することができる。好ましくは、該発現ベクターは、筋内注射によって投与される。特に。肺が疾患(例えば、肺の感染症)に関与する場合、さらに好ましい投与経路は吸入である。特に皮膚が関与する場合、INSP052配列を含む発現ベクター、又は本発明に従うINSP052ポリペプチドの局所投与が、さらに好ましい投与経路である。
【0133】
本発明はさらに、有効量のINSP052と医薬的に許容される担体とを混和することを含む医薬組成物の製造方法、及び有効量のINSP052を、当該治療及び/又は予防を必要とする宿主に投与することを含む、感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防方法に関する。
【0134】
学術論文又は概要、公開済又は未公開の特許出願明細書、発行済特許明細書又はその他の参考文献を含む、本発明中に引用された全ての参考文献全体を、参考文献に提供された全てのデータ、表、図面及び本文を含めて、参考のため本明細書中に引用する。加えて、本明細書中に引用された参考文献中に引用された文献の内容全体も、参考のため本明細書中に組み込まれる。
【0135】
周知の方法工程、慣習的な方法工程、周知の方法又は慣習的な方法に言及しても、このことは、本発明の特徴、説明又は実施態様が従来技術において開示、教示又は示唆されることの承認には決してならない。
【0136】
具体的な実施態様の前記説明により、本発明の全般的な性質が完全に明らかになるので、他者が当業者の知識を応用することによって(本明細書中に引用した参考文献の内容を含む)、本発明の全般的な概念を逸脱することなしに、不必要な試験を行うことなく、このような具体的な実施態様を種々の用途のために容易に変更及び/又は改変することが可能である。従ってこのような改変及び/又は変更は、その意味において、本明細書中に提供された教示及び指針に基づいた、開示された実施態様の等価物の範囲であるものとする。言うまでもなく、本明細書中の語法又は術語は説明を目的としたものであり、制限を有するものではなく、従って本明細書の術語又は語法は、当業者の知識と組み合わせて、本明細書中に示された教示及び指針に照らして、当業者により解釈されるべきである。
【0137】
以上本発明を説明してきたが、下記実施例を参照することにより、本発明はより容易に理解される。実施例は説明のために提供するものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0138】
実施例1−クローニング及び発現
細胞外INSP052のクローニング、哺乳類細胞発現ベクターの構築、哺乳類細胞における発現及び細胞外INSP052及び細胞外ドメインのヒスチジンタグ化バージョンの精製は、国際出願WO2003/093316号及びPCT/GB/2004/004772号の実施例2及び3に記載されている。
【0139】
配列番号30に示される配列を有するポリペプチド(以降、成熟INSP052の細胞外ドメインのFc融合物を意味する)を2回(各500ml)精製し、そして7.9mg及び2.4mgを回収した。配列番号32に示される配列を有するポリペプチド(以降、第1Igドメインを欠失している細胞外INSP052又はINSP052−EC−DEL IG1を意味する)を精製し、そして回収した(それぞれ0.7mg及び0.3mgの回収物の2回の精製(500ml)及び回収物7mgの1回の精製)。配列番号33に示される配列を有するポリペプチド(以降、第2Igドメインを欠失している細胞外INSP052又はINSP052−EC−DEL IG2を意味する)を精製し(500ml)、そしてウェスタンブロットレベルにおいて回収した。
【0140】
実施例2−INSP052の結合パートナー
I.導入
可溶性INSP052(sINSP052−膜結合INSP052の成熟細胞外部分に対応する、配列番号22)の潜在的な結合パートナーを同定するためにSELDI−TOF MS技術(表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分光法/ProteinChipTMアレイ)を使用した。端的には、以下の工程を行った。
1. マウスから試料を獲得する、
2. SELDI分析及び最適化、
3. ビーズにスケールアップ、
4. SELDIにおいて溶出物を分析する、
5. ビーズ溶出物のHPLC、
6. チップ及びゲルのHPLC画分の分析、
7. 単離タンパク質の消化、及び
8. ナノLC MS/MS及びタンパク質の同定。
【0141】
II.材料及び方法
まず、静脈内LPS又はNaCl(コントロール)をメスCH3マウスに注射し、そして3時間後心臓内パンキュレーション(puncuration)を介して血液を採取した。該マウスに300μg/KgのLPSを腹腔内注射した。血漿のために、該血液をヘパリン処理チューブ中に採取し、そして血清のために未処理チューブ中に採取した。該チューブを13,000rpmで10分間遠心分離した。上清(血清又は血漿試料)を回収し、そして実験のために使用した。
【0142】
その後、1.25μgのベイトタンパク質sINSP052又はコントロールIL−18(IL−18BP結合コントロールタンパク質としてのIL−18)をRS100 ProteinChipTM アレイ(Ciphergen Biosystems Inc., Fremont, CA)上の各スポットに適用し、そして加湿チャンバー中で2時間(室温にて)インキュベートした。非特異的結合部位を、0.5Mエタノールアミン/PBSで1時間(室温にて)ブロックした。アレイを5分間、PBS、0.1%トリトンX−100で3回洗浄した。血漿試料を、PBS、0.1%トリトンX−100において1:1に希釈し、そして該アレイにおいてインキュベートした(2時間、室温)。4時間のインキュベーション時間で該試料の至適条件に達する。その後、該アレイをPBS、0.1%トリトンX−100で2×5分間、そして1Mの尿素/2%CHAPS/0.5MのNaCl/50Mのトリス pH9で1×3分間洗浄した。これらを5mMのHEPES pH7.2でリンスした(15秒間、室温)。該基質、シナピン酸をアレイ上の各スポットに適用し、そしてProteinChipTM Biology System IIを使用して、SELDI−TOF−MSにより質量分析を行った。レーザー強度200、感度9及び10、並びに10〜40kDa及び20〜160kDaの間のマスフォーカスを使用してスペクトルが産生された。
【0143】
異なるチップ由来のコントロール及び試料のスペクトルを同じファイルに併せ、そして分析のために等しく処理した。製造業者の指示に従い、Ciphergen biosystems Inc.由来の一体化(all in 1)タンパク質標準を使用して該スペクトルを較正した。スペクトル間の比較のために、これらを全イオン電流に対して標準化した。異なる形で現されるピークを、Ciphergen Biomarker Wizardソフトウェアを使用して同定した。
【0144】
結合タンパク質の同定のために、IDMアフィニティービーズ(Ciphergen biosystems)を使用し、RS100チップにおいて使用されたものと同様のプロトコルを適用した。50mM酢酸ナトリウムバッファー,pH5.0中の1mgのベイトタンパク質(sINSP052)を、600μlのビーズにおいて室温で一晩インキュベートした。該ビーズを50mMの酢酸ナトリウムバッファー,pH5.0で2×5分間洗浄し、そして0.5Mのトリス−HCl,pH9.0、0.1%トリトン−X100で2時間ブロックした。これらをPBS中の0.1%トリトン−X100で3×10分間、そしてPBS中で2×10分間洗浄した。血漿試料をPBS、0.1%トリトンX−100において1:1に希釈し、そしてビーズ上でインキュベートした(一晩、室温)。0.2Mの尿素/0.1%CHAPS/0.2MのNaCl/50mMのトリス pH7.5で2×5分間、そしてPBSで2×5分間洗浄した。相互作用タンパク質を、50%アセトニトリル、0.3%TFA(トリ−ホスファチジン酸)で溶出させた。溶出液を、NP20プロテインチップを使用して分析した。5μlの溶出液をスポット毎に添加した。スポットを脱イオン水で洗浄し、そして不希釈シナピン酸を添加した。レーザー強度180/200、感度8、並びに2〜30kDa及び20〜160kDaの間のマスフォーカスを使用してスペクトルが産生された。
【0145】
更に該溶出液を、0.2ml/分の流速で、2.1mm直径を伴うC4(ブチル)カラム(逆相)(VYDAC 214TP(TM) Series, Grace Vydac)において分画した。該カラムを、0.1%TFA中0〜90%の連続線形アセトニトリル勾配で展開した。1分画分を回収した。該画分を凍結乾燥し、そして該タンパク質濃度をNP20プロテインチップを使用して決定した。
【0146】
注目のタンパク質を含有するRP−HPLC画分を、製造業者のプロトコルに従い、RapigestTMSF (Waters)を使用して同定のためにトリプシン消化した。
【0147】
プールした画分はまた、ゲル電気泳動及び銀染色により分析した。
【0148】
質量分光実験は、Q−STAR四重極解/飛行時間機器(MDS/Sciex)を使用して行った。インターフェースを、キャピラリーC−18RPカラム(75μmの内径、150mmの長さ)を備えるアルティメイトHPLCシステム(LC-Packings)に接続した。ペプチド消化物を、Famosオートサンプラー (LC-Packings)を使用してカラムに注入し、そして0.1%ギ酸の存在下で水中のアセトニトリルの勾配により、200nl/分の流速において分離させた。カラムをナノエミッターに接続し、そして2400Vの電流を使用して該溶出液を質量分光計の開口部にスプレーした。該質量分光計は、データ依存収集モードにおいて操作する。[M+2H]2+又は[M+3H]3+前駆イオンが20カウント/秒のシグナルを決定するときに、第2の調査スキャンは、MSモードにて行い、その後4MS/MSスキャンを行う。前駆イオンの質量及び電荷に依存して自動的に設定された衝突エネルギーにおける標的ガスとして窒素を使用し、タンデム質量スペクトルが得られた。
【0149】
MS/MSデータを、Mascotプログラムに転送し、そして屋内で利用可能なタンパク質データベースにおいて行われる検索後、ペプチド配列を決定した。
【0150】
使用したプロトコルを以下に供する:
【0151】
a)CIPHERGEN RS 100プロテインチップを使用するタンパク質結合パートナーの獲得
1. NaHCO3中に1:3に希釈した5μgの1mg/mlタンパク質を各スポットに添加した。
2. 加湿チャンバー中で2時間インキュベートした。
3. 50μlの0.5Mエタノールアミンを添加し、そして混合することにより室温で1時間ブロックした(ミクロミックス5 20/02/60)。
4. PBS中の0.1%トリトン×100で2×5分間洗浄した(ミクロミックス5 20/3/5)。
5. 試料を調製し、そして50μlの血漿溶液/スポットを添加した。
i.PBS/0.1%トリトン中1:1に希釈したLSP刺激化マウス由来の血漿
6. バイオプロセッサーを500rpmで1分間遠心分離した。室温で2時間インキュベートし、振盪した(ミクロミックス5 20/2/120)。
7. 以下のとおり洗浄した。
ii.PBS中0.1%トリトン×100で3×5分間
iii.1M尿素/2%CHAPS/0.5M NaCl/50mMトリス pH9で1×3分間
8. ホルダーからアレイをはずし、そしてこれを5mMのHepes pH7.5を含有する15mlファルコン中においた(10秒間)。
9. 2×0.5μlのSPA溶液を添加した。
10.空気乾燥させ、そして試料を分析した。
11.該チップを、以下の読み取り条件を使用して、Ciphergen SELDIで分析した:200−10−40−65−100−51又は200−9−20−160−160−50(レーザー強度−感度−マスフォーカス低−マスフォーカス高−最大質量−マスフォーカス)。
【0152】
b)アフィニティービーズにINSP052に結合し、そしてマウス血漿と共にインキュベートする。
i)ベイトタンパク質をビーズに結合させる。
1. ビーズをとり、そして室温で30分間保つ。
2. ローラー上でビーズを5分間混合する。
3. 200μlのビーズを1.5mlのエッペンドルフチューブに添加する。
4. 1mlの水で6回洗浄する。
5. 600μlの
a.2.2mg/mlのINSP052(13495F13P1 1.7mg/mlを4mg/mlに濃縮した)(合計1320μg)
b.酢酸ナトリウムバッファーpH5.0中の1.95mg/mlのIL18(hIL18成熟,大腸菌,Batch LM 10821−110 1mg/mlを4mg/mlに濃縮した)(合計1170μg)
を添加し、そしてローラー上室温で一晩インキュベートした。
ii)非結合部位を飽和し、血漿と共にインキュベートする。
6. 上清を除去し、タンパク質濃度を決定し、そして貯蔵した(タンパク質濃度については以下を参照のこと)
7. 2×1mlの50mM酢酸ナトリウムバッファー5.0で洗浄した。
8. 600μlの0.5Mトリス−HCL pH9、0.1%トリトン×100(残存している可能性のある活性群を非活性化するため)を添加し、そして室温においてローラー上で2時間インキュベートする。
9. PBS中の1mlの0.1%トリトン×100で3×10分間洗浄する。
10. 1mlのPBSで2×10分間洗浄する。
11. 20μlのINSP052結合ビーズを8つの1.5mlエッペンドルフチューブ中に入れる。
12. 600μlの血漿+600μlPBS中の0.1%トリトン+56μlの25×プロテアーゼ阻害剤を混合し(完全混合)、そしてビーズ中に添加する。
a.Ctrl血清
b.LPS血清
iii)洗浄し、そしてビーズから溶出させる。
13. 洗浄及び溶出溶液を調製し、そしてこれらを濾過した。
14. 上清を除去し、そして結合ビーズの新たなセットとともに可能なインキュべーションのために−80℃で貯蔵した。
15. 各エッペンドルフ中に2×100μlのPBSを添加し、同じ試料を1つだけのエッペンドルフに移し、2つのエッペンドルフの合計を得た。
16. ビーズを1×5分間400μl及び1×5分間500μlの0.2M尿素/0.1%CHAPS/0.2M NaCl/50mM トリス pH7.5で洗浄し、洗浄溶液を保ち、そしてSELDIで分析した。
17. ビーズを2×5分間1mlの1×PBSで洗浄した。
18. 200μlの50%アセトニトリル、0.3%TFA(0.2mlのH20、0.5mlの100%ACN、0.3mlの1%TFA)で溶出した。30秒間静かにボルテックスし、3分間回転させ、そして再度30秒間静かにボルテックスした。溶出液を分離エッペンドルフ中においた。
19. ビーズを4℃で3時間置き、200μlの50%アセトニトリル、0.3%TFAを添加し、そして溶出手順をやり直した。
20. 更に、200μlの50%アセトニトリル、0.3%TFAを添加し、そして溶出手順をやり直した。
21. 溶出液1のために3μl及び溶出液2及び3のために6μlをNP20スポット上においた。乾燥させた。2×5×上げ下げ(up-and-down)、H20で洗浄した。乾燥させた。0.8μlの100%SPAを添加した。
22. 低及び高分子量タンパク質を、分離SELDIプロトコルで分析した。
a.低:800−8−2−30−160−16
b.高:200−8−20−160−160−50
23. ゲル電気泳動及び銀染色で多様な溶液を観察した。
【0153】
c)ビーズ溶出液の逆相HPLC画分
LPS血漿(211204由来)と共にインキュベートしたINSP052結合ビーズの溶出液を、HPLCカラムを介して操作した。パラメーターは以下を使用した:
カラム:
C4(ブチル)カラム(逆相)、2.1
溶出液A:0.1%TFA
溶出液B:0.1%TFA、90%アセトニトリル
洗浄カラム:
30分 0〜90%アセトニトリル、0.1%TFA、0.2ml/分
注入試料:
0.1%TFA中に再懸濁した100μlの凍結乾燥試料
その後、5分間溶媒A(0.1%TFA)
溶出:
105分溶出 0〜90%アセトニトリル、0.1%TFA、0.2ml/分
5分溶出 90%アセトニトリル、0.1%TFA、0.2ml/分
10分洗浄 0.1%TFA
1分の画分を回収した。各画分をSELDIで分析した。200μl中10μlがNP20プロテインチップスポット上で吸収されるとき、最も高いHPLCピークだけが見える。従って、より小さなピークに対応する画分を凍結乾燥し、15μlの0.3RFA、50%アセトニトリル中で再懸濁し、そして5μlをチップに添加した。
【0154】
d)MALDIのためのラピジェスト(RAPIGEST)タンパク質消化
1. 該画分(200μl)を別々に凍結乾燥させた。
2. 再懸濁するために50μlを使用し、そして4つの画分を併せた。該チューブをさらに前の容量に添加した50μlで洗浄した。
3. 該資料を凍結乾燥させた。
該試料を50μlの0.2w/vラピジェスト(Rapigest)中に再懸濁し、そしてラピジェスト(Rapigest)プロトコルに従った。
【0155】
III.結果
20、50、53及び56kDaのタンパク質ピークは、固定化したsINSP052を伴うアレイスポットに結合するように見えたが、固定化したコントロールタンパク質、IL−18を伴うアレイスポットには結合しなかった。LPS刺激化血漿は、一般に、コントロール血漿と比較して結合パートナーのより高いピーク(より結合性)を示した。血漿試料は、血清と比較して、固定化したsINSP052においてインキュベートした場合、より高いピークを与えた。
【0156】
従って、該マウスペプチド配列は、MS/MSデータをMascotプログラムに転送し、そして屋内で利用可能なタンパク質データベース中で行われる検索後に決定した。いくつかの結合パートナーは以下のとおり同定した:
−プロパージン。プロパージンサイズ(49959Da)は、59kDaの観察されたSELDIマスと一致した(該タンパク質はグリコシル化されている);
−マンノース結合レクチンC前駆体(MBL−C);25kDaのサイズは、ゲルバンド(約30kDa)と相関した。該タンパク質は、ジスルフィド結合を介するタイトなポリマーを形成し、SELDIにおいて50.6kDaのピークを説明する。
−81kDaのサイズを伴う、MUSCRARF NID又はRa反応因子(RaRF)のP100セリンプロテアーゼ;
−アンチトロンビンIII(52kDa);
−補体因子H前駆体(143kDa);
−アルブミン1(断片)(67kDa)及び
−セリンプロテアーゼ−2と会合したマンノース結合レクチン(77kDA)。
【0157】
予想外に、全ての結合パートナーは、補体経路由来のタンパク質、特にヒトプロパージン、マンノース結合レクチンC(MBL−C)、MASP1、MASP2、アンチトロンビンIII、補体因子H及びアルブミンに相当した。この度、国際出願WO2003/093316及びPCT/GB/2004/004772のポリヌクレオチド又は対応するポリペプチドのこの度特徴付けられたこれらの驚くべき特性は、これらを薬剤又は医薬組成物の調製に特に適当とする。
【0158】
実施例3−マウスモデル
INSP052ポリペプチドの生物活性は、Chu ら(Gene-engineered models for genetic manipulation and functional analysis of the cardiovascular system in mice. Chang Gung Med J. 2003 Dec;26(12):868-78.)、 Ma ら(Neurocardiovascular regulation in mice: experimental approaches and novel findings. Clin Exp Pharmacol Physiol. 2003 Nov;30(11):885-93.) 又はSvenson ら(Invited review: Identifying new mouse models of cardiovascular disease: a review of high-throughput screens of mutagenized and inbred strains. J Appl Physiol. 2003 Apr;94(4): 1650-9; discussion 1673.)に説明されるとおり、循環器疾患のマウスモデル中で試験することができる。
【0159】
あるいは、INSP052ポリペプチドの生物活性は、Cluff ら(Synthetic toll-like receptor 4 agonists stimulate innate resistance to infectious challenge. Infect Immun. 2005 May;73(5):3044-52)、Ahmed ら(Mycetoma caused by Madurella mycetomatis: a neglected infectious burden. Lancet Infect Dis. 2004 Sep;4(9):566-74.)、 Schriewer ら(Mouse models for studying orthopoxvirus respiratory infections. Methods MoI Biol. 2004;269:289-308.) 又はDavis ら(Breaking the species barrier: use of SCID mouse- human chimeras for the study of human infectious diseases. Cell Microbiol. 2003 Dec;5(12):849-60.)に説明されるとおり、感染疾患のマウスモデル中で試験することができる。
【0160】
あるいは、INSP052ポリペプチドの生物活性は、Kikuchi ら(A transgenic mouse model of autoimmune glomerulonephritis and necrotizing arteritis associated with cryoglobulinemia. J Immunol. 2002 Oct 15;169(8):4644-50.)、Nordstrand ら(Streptokinase as a mediator of acute post-streptococcal glomerulonephritis in an experimental mouse model. Infect Immun. 1998 Jan;66(1):315-21.)、 又は Rondeau E. ([A new model of extramembranous glomerulonephritis in the mouse after a single injection of anti-aminopeptidase A monoclonal antibodies] Nephrologie. 1992;13(3):138.)に説明されるとおり、糸球体腎炎のマウスモデル中で試験することができる。
【0161】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためのINSP052ポリペプチドの使用であって、ここで該ポリペプチドが:
a)配列番号16から成るポリペプチド、又は
b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかを含んで成るポリペプチド、又は
c)配列番号20、配列番号22、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかから成る可溶形態、又は
d)配列番号22、配列番号24若しくは配列番号26のいずれかから成る成熟形態、又は
e)配列番号29から成るヒスチジンタグ形態、又は
f)上記(a)〜(e)のポリペプチドのいずれかのグリコシル化形態、ここで該ポリペプチドは1又は複数の部位においてグリコシル化されている、又は
g)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列は、上記(a)〜(f)の少なくとも1の対応する配列に対して、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%若しくは90%の同一性を有し、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
h)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列中のいずれかの変化が、(a)〜(f)中のアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換であり、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
i)上記(a)〜(h)のポリペプチドのいずれかの塩、アイソフォーム、融合タンパク質、官能性誘導体、活性画分、円順列変異誘導体、
から選択される、使用。
【請求項2】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤の調製のためのINSP052核酸分子の使用であって、該核酸が:
a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、若しくは配列番号25のいずれかにおいて記載される核酸配列、又は
b)中程度のストリンジェントな条件下又は高度のストリンジェントな条件下において(a)の核酸配列の補体に対してハイブリダイズする核酸配列、又は
c)上記(a)又は(b)のいずれかの核酸配列、ここで該核酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかにおけるアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列をコードする、
から成る群から選択される、使用。
【請求項3】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物の調製のためのINSP052ポリペプチドの使用であって、ここで該ポリペプチドが:
a)配列番号16から成るポリペプチド、又は
b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかを含んで成るポリペプチド、又は
c)配列番号20、配列番号22、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかから成る可溶形態、又は
d)配列番号22、配列番号24若しくは配列番号26のいずれかから成る成熟形態、又は
e)配列番号29から成るヒスチジンタグ形態、又は
f)上記(a)〜(e)のポリペプチドのいずれかのグリコシル化形態、ここで該ポリペプチドは1又は複数の部位においてグリコシル化されている、又は
g)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列は、上記(a)〜(f)の少なくとも1の対応する配列に対して、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%若しくは90%の同一性を有し、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
h)上記(a)〜(f)のポリペプチドのいずれかのムテイン、ここで該アミノ酸配列中のいずれかの変化が、(a)〜(f)中のアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換であり、そしてINSP052生物活性を保持する、又は
i)上記(a)〜(h)のポリペプチドのいずれかの塩、アイソフォーム、融合タンパク質、官能性誘導体、活性画分、円順列変異誘導体、
から選択される、使用。
【請求項4】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物の調製のためのINSP052核酸分子の使用であって、該核酸が:
a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、若しくは配列番号25のいずれかにおいて記載される核酸配列、又は
b)中程度のストリンジェントな条件下又は高度のストリンジェントな条件下において(a)の核酸配列の補体に対してハイブリダイズする核酸配列、又は
c)上記(a)又は(b)のいずれかの核酸配列、ここで該核酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32若しくは配列番号33のいずれかにおけるアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列をコードする、
から成る群から選択される、使用。
【請求項5】
前記INSP052ポリペプチドが、配列番号22の残基2、71、105、134、139及び/又は156においてグルコシル化されている、請求項1又は請求項3に記載の使用。
【請求項6】
前記融合タンパク質が、免疫グロブリン(Ig)融合物を含んで成る、請求項1又は請求項3に記載の使用。
【請求項7】
前記融合タンパク質がFc融合物である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記融合タンパク質が、配列番号30から成る、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記官能性誘導体が、1又は複数の官能基に付随する少なくとも1の部分を含む、請求項1又は請求項3に記載の使用。
【請求項10】
前記部分が、ポリエチレン部分である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記核酸部分が、発現ベクター中に含まれる、請求項2又は請求項4に記載の使用。
【請求項12】
前記ベクターが、遺伝子治療ベクターである、請求項11に記載の使用又は医薬組成物。
【請求項13】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤又は医薬組成物の調製のために、細胞内における請求項1に記載のINSP052ポリペプチドの内在的な産生を誘発及び/又は増強するためのベクターの使用。
【請求項14】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤又は医薬組成物の調製のための請求項2に記載のINSP052核酸分子を含んで成る細胞の使用。
【請求項15】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための薬剤又は医薬組成物の調製のための請求項1に記載のINSP052ポリペプチドを発現する細胞の使用。
【請求項16】
前記薬剤又は医薬組成物が、更に、同時、順次又は別々の使用のためのインターフェロンを含んで成る、請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記インターフェロンがインターフェロン−βである、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記薬剤又は医薬組成物が、更に、同時、順次又は別々の使用のための腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニストを含んで成る、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
前記TNFアンタゴニストが、TBPI及び/又はTBPIIである、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記薬剤又は医薬組成物が、更に、同時、順次又は別々の使用のための抗感染剤及び/又は抗血液凝固剤を含んで成る、請求項1〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記抗感染剤が、ペンタミジン、抗生物質、コリスチン、アミノグリコシド又はアンホテリシンBから成る群から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記抗血液凝固剤が、ニトレート、ニトログリセリン、イソソルビド、ジニトレート、イソソルビドモノニトレート、ビタミンC又はE、β−ブロッカー、プロプラノロール、ラベタロール、アセブトロール、アテノロール、メトプロロール、ビソプロロール、カルベジロール、抗凝固薬、ヘパリン、ワルファリン、抗血小板薬、アスピリン、糖タンパク質IIb/IIIa受容体アンタゴニスト、クロピドグレル、NSAID、エノキサパリン、ダルテパリン、レビパリン、アブシキシマブ、エプチフィバチド、ラミフィバン、チロフィバン、アブシキシマブ、クロピドグレル、チクロピジン、ヒルジン、ビバリルジン、アルガトロバン、ダナパロイド、スタチン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害因子、ラミプリル、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ホシノプリル、カルシウムチャネルブロッカー、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、ジルチアゼム、ベプリジル、ラノラジン、ニコランジル、抗生物質、テトラサイクリン、キノロン、葉酸、血栓溶解薬、組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt−Pas)、アルテプラーゼ、アクティバーゼ、レテプラーゼ、フィブリン−依存薬、アンクロッド、バトロキソビン、チエノピリジン、クロピドグレル、チクロピジン、チエノピリジン、直接トロンビン阻害因子(DTI)、レピルジン、デシルジン、イノガトラン、エフェガトラン、キシメラガトラン、抗線溶薬、トラネキサム酸、又はεアミノ−カプロン酸から成る群から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
前記感染疾患が、全身性真菌疾患、リケッチア病、クラミジア病、寄生虫感染症、ウイルス疾患、膿瘍、ヒト免疫不全ウイルス感染症、菌血症、敗血症性ショック、性行為感染症又は細菌疾患から選択される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記細菌疾患が、グラム陽性球菌により生じる疾患、グラム陰性好気性菌球菌により生じる疾患、グラム陽性桿菌により生じる疾患、グラム陰性桿菌により生じる疾患、嫌気性桿菌により生じる疾患、スピロヘータにより生じる疾患、又はマイコバクテリアにより生じる疾患から選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記疾患が、前記グラム陰性好気性菌球菌により生じる疾患が、髄膜炎、菌血症、尿道炎、子宮頚管炎、直腸炎、咽頭炎、卵管炎、精巣上体炎、淋病感染症、急性細菌性髄膜炎又は髄膜炎菌感染症から選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記寄生虫感染症が、腸外原虫感染症、自由生活アメーバーによる感染症、腸管原虫感染症、線虫(回虫)感染症、吸虫(Trematode)(Fluke)感染症又は条虫(サナダムシ)感染症から選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項27】
前記ウイルス疾患が、呼吸性ウイルス疾患、ヘルペスウイルス感染症、中枢神経系ウイルス疾患、アルボウイルス又はアレナウイルス疾患から選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項28】
前記プロパージン関連疾患が、糸球体疾患である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記糸球体疾患が、腎炎症候群、ネフローゼ症候群、原発性糸球体疾患、続発性腎疾患から選択される、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記原発性糸球体疾患が、微小変化群、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、糸球体間質増殖性糸球体腎炎、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、又は繊維性糸球体腎炎から選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記腎炎症候群が、血尿、高血圧、腎不全、浮腫、急性糸球体腎炎、一過性糸球体腎炎、感染後糸球体腎炎、劇症性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)、低悪性度糸球体腎炎、IgA腎症、半月体形成性糸球体腎炎、免疫不足RPGN、免疫複合体RPGN、抗−GBM抗体疾患自己免疫、原発性腎臓血尿性−蛋白尿症候群、無症候性血尿性−蛋白尿症候群、慢性血尿性−蛋白尿症候群、慢性糸球体腎炎、緩徐進行性糸球体疾患から選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項32】
感染症、プロパージン関連疾患、MBL2−関連疾患、MASP1−関連疾患、MASP2−関連疾患、アンチトロンビンIII−関連疾患、補体因子H−関連疾患及び/又はアルブミン−関連疾患の治療及び/又は予防のための方法であって、任意的な医薬的に許容される担体と一緒に、有効量の請求項1に記載のINSP052ポリペプチド又は請求項2に記載のINSP052核酸を、これを必要とする患者に投与することを含んで成る、方法。

【公表番号】特表2008−540385(P2008−540385A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509454(P2008−509454)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062063
【国際公開番号】WO2006/120160
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507348713)ラボラトワール セローノ ソシエテ アノニム (29)
【Fターム(参考)】