説明

病理的子宮症状の治療のためのIPレセプターアンタゴニスト

女性個体の子宮の病的症状を克服する方法であって、IPレセプターのアンタゴニストの少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを個体に投与することを含む方法。子宮の病的症状とは子宮癌、月経過多、月経困難症、あるいは子宮内膜又は子宮筋層病的症状である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、治療法、特に子宮の病的症状を治療する方法に関するものである。
【0002】
子宮の病的症状は、女性、特に西側世界の女性たちにとって深刻な健康問題である。このような病的症状には子宮癌、子宮内膜又は子宮筋層の病的症状、例として子宮内膜症(子宮内膜)及び子宮筋腫(子宮筋層)、月経過多および月経困難症などを含む。
【0003】
ヒトの子宮内膜の上皮細胞は、悪性形質転換を非常に受けやすい。西側諸国において、子宮内膜癌は、最も普通の婦人科悪性腫瘍である。子宮内膜癌は、いくつかの細胞型に起因するが、腺上皮は、最も一般的な原始型である(腺癌は子宮腫瘍の80〜90%を占める)。子宮内膜癌は、主に、発病が40歳以下でまれで、約70歳にピークに達する閉経期後の疾患である。子宮内膜癌の発病は、この50年の間に着実に西側諸国において増加しており、これは、主に寿命の延長と検出方法の改良に起因している(Gordon & Ireland, 1994;Mant & Vessey, 1994)。
【0004】
子宮内膜症は、子宮外着床及び子宮内膜の成長であって、従って、子宮内膜の異常な細胞成長と考えられる。腺筋症は、異所性の子宮内膜が子宮筋に着床する子宮内膜症の形である。
【0005】
月経過多は月経の過剰である。月経困難症は痛みを伴う月経を意味する。月経過多および月経困難症は、多くの女性、特に西側諸国の多くの女性に影響を及ぼし、重要な健康問題を起こす。34から49歳の英国女性の20人に1人は、月経問題のために一般開業医にかかっている。これらの女性は、全ての婦人科受診のうちの10の1以上を占めており、医薬処方だけで年間700万ポンドを上回るNHSがかかっている。認められる異常な膣出血が年間行われる少なくとも70,000の子宮摘出の70%にあると言われている。現時点では、月経過多の治療には、トラネキサム酸又はメフェナム酸が含まれる。重症症例での治療は、子宮摘出(膣又は腹部)であるが、これは、深刻な羅病率及び若干の死の危険度を有する大手術である。Stirrat (1999) The Lancet 353, 2175-2176は月経過多の治療の検討である。更なる代替治療の開発が望まれる。
【0006】
プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ(PGHS)とも呼ばれる、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素は、プロスタグランジンH(PGH)に、アラキドン酸の転換の律速段階を触媒する。次に、PGHは、天然のプロスタグランジンを合成する特定のプロスタグランジンシンターゼ酵素の基質として役立つ。これらは、プロスタグランジンDがプロスタグランジンD−シンターゼにより、プロスタグランジンE(PGE)がプロスタグランジンE−シンターゼ(PGES)により、プロスタグランジンF2α(PGF2α)がプロスタグランジンF−シンターゼ(PGFS)により、及びプロスタサイクリン(プロスタグランジンI、PGI)がプロスタグランジンI−シンターゼ(PGIS)により合成されるように、生成されるプロスタグランジンに従って称される。
【0007】
現在まで、COX酵素にはCOX−1及びCOX−2の2つのイソ型が同定されている(DeWitt, 1991)。COX−1は、多くの組織及び細胞型において本質的に発現され、正常な生理機能のためにプロスタグランジンを生成する(Herschman、1996)。対照的に、COX−2の発現は、成長因子、オンコジーン、発癌物質及び腫瘍を促進しているホルボールエステルによって静止細胞刺激後に急速に誘発される(Herschman, 1996; Subbaramaiah等、1996)。
【0008】
プロスタサイクリン(PGI)は、血管拡張因子および血小板凝集の強力な阻害剤として特徴づけられており(Smyth & Fitzgerald, 2002)、このように脈管止血の持続において、必須的役割を果たす。脈管内皮によって合成される主なプロスタノイドであって、平滑筋弛緩物質として作用する。PGIはその典型的な7つの膜貫通構造を有するGタンパク質結合レセプター(IP)との相互作用によって標的細胞に対してその効果を引き出す(Narumiya et al, 1999)。IPレセプターは、Gタンパク質のGs及びGq種を刺激して、cAMP生成及びホスファチジルイノシトール応答の増加を引き起こしている。
【0009】
PGIは性と生殖に関する健康の主な問題である月経過多の病因に関係しており、全ての婦人科受診の11%を占めており、1995年には総計700万ポンドにも達する薬費がかかっている(Cooper等,2001)。対照と比較して月経過多をもつ女性において、PGI(Smith等, 1981)の増強した合成またはPGI濃度の増加がトロンボキサンA (Makarainen & Ylikorkala 1986)と関連しているという証拠がある。しかしながら、月経周期を通じて子宮内膜においてPGIS又はIPの一時的又は空間的発現に関する情報がほとんどない。
【0010】
薬理学、分子生物学及び血小板プロスタサイクリン受容器の信号伝達は、Armstrong (1996, Pharmacol Ther. 72(3), p171-191)によって概説されている。
【0011】
ヒトIPレセプターのクローニング及び配列については、EP0753528Al(小野薬品工業);米国特許第5,728,808号及び第6,365,360 (Merck Frosst Canada & Co.に既存); Boie 等"Cloning and expression of a cDNA for the human prostanoid IP receptor" J. Biol. Chem. 269 (16), 12173-12178 (1994);Katsuyama 等, "Cloning and expression of a cDNA for the human prostacyclin receptor" FEBS Lett. 344 (1), 74-78 (1994); Nakagawa 等, "Molecular cloning of human prostacyclin receptor cDNA and its gene expression in the cardiovascular system" Circulation 90 (4), 1643-1647 (1994), Duncan 等,"Chromosomal localization of the human prostanoid receptor gene family" Genomics 25 (3), 740-742 (1995); 及びOgawa 等, "Structural organization and chromosomal assignment of the human prostacyclin receptor gene" Genomics 27 (1), 1,42-148 (1995)に報告されており、すべてが出典明示によりここに取り込まれる。
【0012】
ヒトIPレセプターのcDNA配列はGenbank登録番号NM_000960であり、アミノ酸配列はGenbank登録番号NP_000951である。ヒトIPレセプター遺伝子ではいくつかの配列変異が同定されており、Genbank登録番号NM_000960として示されている。
【0013】
ヒトPGISのクローニング及び配列については、Miyata等, "Molecular cloning and expression of human prostacyclin synthase" Biochem. Biophys. Res. Commun. 200 (3): 1728-1734 (1994);Nakayama等, "Organization of the human prostacyclin synthase gene" Biochem. Biophys. Res. Commun. 221 (3): 803-806 (1996);Yokoyama等, "Human gene encoding prostacyclin synthase (PTGIS): genomic organization, chromosomal localization, and promoter activity" Genomics 36 (2): 296-304 (1996);Wang等, "Organization of the gene encoding human prostacyclin synthase" Biochem. Biophys. Res. Commun. 226 (3): 631-637 (1996);及び Chevalier等, "Characterization of new mutations in the coding sequence and 5'-untranslated region of the human prostacyclin synthase gene (CYP8A1)" Hum. Genet. 108 (2): 148-155 (2001)に報告されている。
【0014】
ヒトPGISレセプターのcDNA配列はGenbank 登録番号NM_000961, 及びアミノ酸配列はGenbank登録番号NP_000952である。ヒトPGIS遺伝子ではいくつかの配列変異が同定されており、Genbank登録番号NM_000961に示されている。
【0015】
我々は、現在、PGIS及びIPは月経周期の増殖期の初期に上方制御され、この間、cAMP経路を介したIPレセプターシグナル伝達が増強されることを示した。
【0016】
これらの所見により、発明者はIPレセプターをアンタゴナイズすることで子宮の病的症状を克服することができるという驚くべき予想外の確信を持った。
【0017】
IPレセプタのアンタゴニストは、過剰出血、例として血友病及び出血に関する症状の予防、配血性ショックに関連した低血圧の緩和、浮腫形成の軽減を目的とした膀胱疾患の治療への使用が示唆されており、喘息などの呼吸器系アレルギー及び呼吸器症状、炎症、及び炎症性疼痛及び月経痛などの疼痛症状に(WO02/40453;WO02/070514;WO02/070500;WO01/68591、EP0902018;US6,184,242)、 心血管性疾患に(WO79/00744)、神経障害性疾患の緩解に(WO01/10433)、及び神経変性疾患の治療に(WO01/10455)有用である。
【0018】
しかしながら、子宮の病的症状、例として子宮癌、子宮内膜症、子宮筋腫、月経過多、及び月経困難症を克服するのに有用であることはこれまでに報告されていなかった。
【0019】
子宮病変の現在の治療はCOX−インヒビターの使用を含む。COX−インヒビター類はある治療的可能性を示しているが、一方ではそれらは多数のプロスタグランジンの合成を阻害する;これらのプロスタグランジンのうちあるものは有害であり、あるものは有益な効果を有する。このため当業では、特定のプロスタグランジンの作用を特異的に阻止することによる子宮病変の治療法が求められている。
【0020】
本発明の第一の態様は、女性における子宮の病的症状を克服する方法であって、その個体に、IPレセプターのアンタゴニスト及び/又はPGISのインヒビターである少なくとも一作用剤を投与することを含む方法を提供する。
IPレセプターはプロスタグランジンI(PGI)と結合するレセプターである。
【0021】
本発明の方法によって治療できる子宮の病的症状は、限定するものではないが、IPレセプターが増殖組織において上方制御されている任意の病的症状である。
【0022】
一般的には子宮の病的症状は、子宮悪性腫瘍等の子宮癌、月経過多、月経困難症、腺筋症を含む子宮内膜症等の子宮内膜性病的症状、又は子宮筋腫(平滑筋腫)もしくは悪性になった子宮筋腫である平滑筋肉腫等の子宮筋病的症状のいずれかである。このように、一般的には子宮の病的症状は、子宮筋層又は子宮内膜の細胞の異常成長と関連するものである。
【0023】
特定の子宮の病的症状は上皮の過剰増殖と関係していると思われる。
月経前疼痛が子宮の病的症状でないと思われている。月経前疼痛は一般的に月経の前日に起こり、月経の間に起こる子宮病的症状である月経困難症とは区別される。しかしながら、疑いの回避のために;ここで用いる「子宮の病的症状」または「子宮病的状態」という用語は、月経前疼痛を含まない。
【0024】
ある特定の実施態様では、本発明は、女性個体の月経過多以外の子宮の病的症状を克服する方法であり、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を個体に投与することを含む方法を含む。
【0025】
子宮の病的症状を克服することによって、我々は、症状を緩和する(緩解使用)、又は症状を治療する、または症状を予防する(予防用途)ことを含む。
したがって、本発明は、悪性腫瘍等の子宮癌、月経過多、月経困難症、子宮内膜症等の子宮内膜性病的症状、及び子宮筋腫等の子宮筋層病的症状の何れかをIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて治療することを含む。
【0026】
又、本発明は、悪性腫瘍等の子宮癌、月経過多、月経困難症、子宮内膜症等の子宮内膜性病的症状、及び子宮筋腫等の子宮筋層病的症状の何れかをIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて症状を緩和することを含む。
【0027】
さらに、本発明は、悪性腫瘍等の子宮癌、月経過多、月経困難症、子宮内膜症等の子宮内膜性病的症状、及び子宮筋腫等の子宮筋層病的症状の何れかをIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて症状を予防することを含む。
【0028】
したがって、本発明は、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて子宮内膜性悪性腫瘍等の子宮癌を克服することを含む。
又、本発明は、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて月経過多を克服することを含む。
さらに、本発明は、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて月経困難症を克服することを含む。
【0029】
又、本発明は、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて子宮内膜症等の子宮内膜性病的症状を克服することを含む。
さらに又、本発明は、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を用いて子宮筋腫等の子宮筋層病的症状を克服することを含む。
【0030】
一個体が一以上の子宮の病的症状を持ちうることであり、症状を共に処置するために本発明の方法を用いることが可能である。例えば、女性はたびたび月経過多及び月経困難症を同時に持つので、この方法を同一患者の両症状を処置するために用いうるであろう。
【0031】
患者は、子宮の病的症状を持つ者又はそのリスクを持つ者の何れでもよい。閉経前又は閉経が近い女性の何れにも月経過多症及び/又は月経困難症のリスクがある;しかし、月経過多は女性の生殖期間の始まりから終わりまで共通してあるものであり、概して、女性の月経が初めて始まるとき及び40歳以上の女性により大きなリスクがある。
【0032】
治療される患者は、このような処置により利益を得るいかなる女性であってもよい。概して、及び、好ましくは、治療される患者は、人間の女性である。しかしながら、本発明の方法は、雌の哺乳類、例えば以下の種の雌:ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ネコおよびイヌを治療するために用いてもよい。このように、方法は人間および獣医学の用途がある。
概して、IPレセプターのアンタゴニストである剤は、IPレセプターのPGI媒介性シグナル伝達を阻害するかまたは崩壊させるものであり、及び患者への投与に適切であるものである。
【0033】
好ましくは、IPレセプターのアンタゴニストである剤は、IPレセプターへのPGIの結合を阻害するかまたは低下させる。あるいは、または加えて、アンタゴニストはPG1とIPレセプターの間の相互作用、又はIPレセプターと関連するGs又はGqタンパク質の間の相互作用に影響を及ぼし、PGI−IP媒介性のシグナル伝達経路を阻害するかまたは崩壊させる。
IPレセプターアンタゴニストは、概して、IPレセプターに結合する分子であって、天然リガンドPGIの結合に競合し、及びPGI−IP媒介性シグナル伝達経路を阻害または、崩壊する。
【0034】
好ましい実施態様では、IPレセプターに作用するPGIを阻害することは、IPレセプター上のPGI結合部位を占めることを含み、それにより、結果として正常なシグナル伝達の様式が起こる様式での天然リガンド(PGI)の結合が阻害される。
あるいは、レセプターアンタゴニストは非競合的なIPレセプターアンタゴニストであってもよく、例としてPGIの結合を阻害することなくIPレセプターへ結合し、PGIとIPレセプター間の相互作用を破壊することで、PGI−IP媒介性シグナル伝達経路を阻害または、崩壊する分子でありうる。
【0035】
あるいはさらに、非競合的IPレセプターアンタゴニストは、IPレセプターに結合して、IPレセプターと関連Gタンパク質との相互作用を崩壊することによって、IP媒介性シグナル伝達経路を阻害又は崩壊する。
あるいは好ましい実施態様では、薬剤はPGIのアンタゴニストでありうる。一般的にPGIアンタゴニストはPGIに結合する分子であり、そのレセプターへのPGI結合を防ぐ又は低下させ、PGI−IP媒介性シグナル伝達経路を阻害又は崩壊する。時にこれは「可溶性レセプター」アプローチと称され、ここにおいて一般的にレセプターの一部がPGIに結合する。
【0036】
一般的にレセプターアンタゴニストは特定のレセプターに選択性があり、好ましくはPGIよりもIPレセプターに対して同じか又はより高い親和性を持つ。アンタゴニストは天然のリガンドよりもレセプターに対してより高い親和性を持つことが好ましいが、低い親和性を持つアンタゴニストも用いてよく、より高い濃度で用いることが必要である。
好ましくは、IPレセプターアンタゴニストはIPレセプターに対して可逆的に結合する。
好ましくは、IPレセプターアンタゴニストはIPレセプターに選択性がある。よって、一般的にはIPレセプターアンタゴニストは任意の他のプロスタグランジンレセプターに対するよりもIPレセプターに対してより高い親和性を持って結合する。好ましくは、IPレセプターアンタゴニストは任意の他のプロスタグランジンレセプターに対するよりもIPレセプターに対して少なくとも2倍の親和性を持って結合する。より好ましくは、IPレセプターアンタゴニストは、任意の他のプロスタグランジンレセプターに対するよりも少なくとも3倍、又は少なくとも4倍、又は少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍の親和性を持ってIPレセプターに結合する。好ましくは、IPレセプターアンタゴニストはIPレセプターに結合するが、実質的には任意の他のプロスタグランジンレセプターには結合しない。
【0037】
EP0902018A2 (F. Hoffman-La Roche AG)に、IPレセプターアンタゴニストである2-(アリルフェニル)アミノ-イミダゾリン誘導体が開示されている。 IPレセプターアンタゴニストに関連するEP0902018A2中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
米国特許第6,184,242号 (Syntex USAに既存)に、IPレセプターアンタゴニストである2-(置換型フェニル)アミノ-イミダゾリン誘導体が開示されている。IPレセプターアンタゴニストに関連する米国特許第6,184,242号中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
WO02/070514 (F. Hoffman-La Roche AG)に、IPレセプターアンタゴニストであるアルコキシカルボニルアミノ・ヘテロアリール・カルボン酸誘導体が開示されている。これらのうち、18頁の表に挙げた化合物が好ましい。IPレセプターアンタゴニストに関連するWO02/070514中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
【0038】
WO02/070500 (F. Hoffman-La Roche AG)に、IPレセプターアンタゴニストであるアルコキシカルボニルアミノ安息香酸又はアルコキシカルボニルアミノ・テトラゾリル・フェニル誘導体が開示されている。これらのうち、24頁の表に挙げた化合物が好ましい。IPレセプターアンタゴニストに関連するWO02/070500中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
WO02/40453 (F. Hoffman-La Roche AG)に、IPレセプターアンタゴニストである置換型2フェニルアミノイミダゾリンフェニルケトン誘導体が開示されている。これらのうち、26〜28頁の表に挙げた化合物が好ましい。IPレセプターアンタゴニストに関連するWO02/40453中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
WO01/68591 (F. Hoffman-La Roche AG)に、IPレセプターアンタゴニストであるカルボン酸誘導体が開示されている。これらのうち、40頁の表に挙げた化合物が好ましい。IPレセプターアンタゴニストに関連するWO01/68591中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
【0039】
WO01/10433 (Teijin, Inc.)に、IPレセプターアンタゴニストでありうるα鎖の先端にアミノ又はアミド群を有するプロスタサイクリン誘導体が開示されている。 IPレセプターアンタゴニストに関連するWO01/10433中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
WO01/10445 (Teijin, Inc.)に、IPレセプターアンタゴニストでありうる15(R)-イソカルバサイクリン及び15-デオキシイソカルバサイクリン誘導体が開示されている。IPレセプターアンタゴニストに関連するWO01/10445中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
WO79/00744 (Research Corporation)に、天然プロスタサイクリンのアンタゴニストと述べられている6,9-チアプロスタサイクリン類似体及びそれらの誘導体が開示されている。IPレセプターアンタゴニストに関連するWO79/00744中のすべての開示は、出典明記によりここに組み込まれる。
【0040】
Corsini等(1987及び1998)は、アンタゴニストとしての特性も示しているPGIレセプターの部分的アゴニストとしての(5Z)-カルバサイクリンを記載している(Corsini等(1987) Br. J. Pharmac. 90, p225-261; Corsini等(1988), Biomedica biochimica acta 1988, 47(10-11) pS104-7)。
また、Corsini等(1987)は、PGI類似体FCE22176 ((5Z)13,14-ジデヒドロ-20-メチル-カルボプロスタサイクリン)がモルモットの気管及び心房でのPGIの競合的アンタゴニストであると示されたことにも言及している(Fassina等, (1985) Eur. J Pharmac. 113, p459-460)。
血小板プロスタノイドレセプターに関して、Armstrong (1996, Pharmacol. Ther. 72(3), p171-191)は、血小板IPレセプターの部分的アゴニストである2-[3-[3-(4,5-ジフェニル-2オキサゾリル)エチル]フェノキシ]酢酸(2-[3-[3-(4,5-diphenyl-2oxazolyl)ethyl]phenoxy] acetic acid)(BMY42393)の合成がIPアンタゴニスト研究の最適なリードであったと述べている。(Seiler等. (1994), Thromb Res. 74, p115-123)。
【0041】
疑問が生じないように、本発明にしたがって、インドメタシンはIPレセプターアンタゴニストではない。
一実施態様では、IPアンタゴニストは抗体である。
抗体は、モノクローナル又はポリクローナルでよいが、好ましくはモノクローナルがよい。ヒトIPレセプターのcDNA及びアミノ酸配列(それぞれGenbank登録番号NM_000960及びNP_000951)により、ヒト化抗体を含むモノクローナル抗体の調製を行うことは当分野の技術者に十分可能なことである。
抗体は公知技術、例として、"Monoclonal Antibodies: A manual of techniques", H Zola (CRC Press, 1988)及び"Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and applications", J. Hurrell (CRC Press, 1982)に開示されている技術により調製することができ、これらは出典明示によりここに組み込まれる。
【0042】
本発明に用いるヒトIPレセプター抗体は、動物系(ウサギ又はマウス等)に対してアルブミンなどのキャリアタンパク質と共に、又はキャリアがないときは十分な長さ(少なくとも25アミノ酸)で表出している無処理のIPタンパク質又はその抗原性ポリペプチドフラグメントに対して産生させることができる。一般的に、IPレセプターの抗原性ポリペプチドフラグメントはIPレセプターの細胞外部位であるか又は細胞外部位を含んでいる。
ここで用いるように、用語「抗体」(Ab)又は「モノクローナル抗体」(Mab)は、IPレセプタータンパク質に特異的に結合することができる抗体フラグメント(例として、Fab及びF(ab')2フラグメント)だけでなく無処理の分子も含むことを意味する。Fab及びF(ab')2フラグメントは無処理の抗体のFcフラグメントを欠いており、血液循環から迅速に消え、無処理の非特異的な組織結合を減らすことができる(Wahl等, J: Nucl. Med. 24:316325 (1983))。よって、これらフラグメントが好ましい。あるいは、IPレセプター結合フラグメントは組み換えDNA技術又は合成化学法の使用により生成できる。さらに他の抗体様分子が本発明に利用可能なことが理解できる。この例として、抗原結合部位を持つ抗体誘導体、一本鎖Fvフラグメント(ScFv)及びドメイン抗体(dAbs)等の合成抗体様分子、及び抗体様抗原結合モチーフを有する他の分子がある。
【0043】
様々な方法の何れかを用いて抗体を調製しうる。例えば、IPレセプター及びその抗原フラグメントを発現する細胞を動物に投与して、ポリクローナル抗体を含む血清を産生させる。好ましい方法では、IPレセプタータンパク質を調製して、精製して、天然の混合物を実質的に取り除く。そうして、このような調製物を動物に導入して、より特異的活性を有するポリクローナル抗血清を生成する。
最も好ましい方法では、抗体はモノクローナル抗体(又はそのIPレセプター結合フラグメント)である。このようなモノクローナル抗体はハイブリドーマ技術を用いて調製できる(Kohler等, Nature 256:495 (1975); Kohler等, Eur. J. Immunol 6:511 (1976); Kohler等, Eur. J. Immunol. 6:292 (1976); Hammerling等, in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, Elsevier, N.Y., (1981) pp. 563-681)。一般的にこのような手段はIPレセプター抗原又はより好ましくはIPレセプター発現細胞を用いて動物(好ましくはマウス)を免疫化することを含む。さらに、マウスが、ヒトIg領域を組み込まれていることによりヒト化抗体を産生するトランスジェニックマウスであることが好ましい。
【0044】
抗IP抗体がヒト化抗体であることが好ましく、これは、投与した免疫グロブリン(Ig)に対する免疫応答を起こさないヒトに投与するのに適している。抗体のヒト化型には、主にヒトIgの配列からなり、非ヒトIg由来の最小配列を含むキメラIg、Ig鎖又はそのフラグメント(例として、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、又は抗体の抗原結合配列)が含まれる。
キメラ抗体の生成方法は当分野において周知である。参考に、Morrison, Science 229:1202 (1985); Oi等, BioTechniques 4:214 (1986); Cabilly等, 米国特許第4,816,567号; Taniguchi等, EP 171496; Morrison等, EP 173494; Neuberger等, WO 8601533; Robinson等, WO 870267 1; Boulianne等, Nature 312:643 (1984); Neuberger等, Nature 314:268 (1985)を参照。
【0045】
ヒト化は、ヒト抗体に齧歯類のCDR又はCDR配列を組み込むことによる以下に示すようなWinter及び共同者の方法を行う(Jones等, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988); Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988))。(米国特許第5,225,539号も参照)。ある場合では、ヒトIgのFvフレームワーク残基を一致する非ヒト残基に置き換える。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも組み込んだCDR又はフレームワーク配列にもみられない残基を含む。一般的に、ヒト化抗体は少なくとも一、及び一般的には二の可変領域すべてを実質的に含み、非ヒトIgのものと一致するすべて又は実質的にすべてのCDR領域はヒトIgコンセンサス配列のものである。また、ヒト化抗体は最適にはIg定常領域(Fc)の少なくとも一部、一般的にはヒトIgのものを含むであろう(Jones等, 1986;Riechmann等, 1988;及びPresta, Curr. Op. Struct. BioL, 2:593-596 (1992))。
【0046】
また、ヒト化抗体は、本質的に軽鎖及び重鎖(CDRを含む)の全配列がヒト遺伝子から生じたものである抗体分子を含む。ヒト化モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を生成するためのトリオーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術及びEBVハイブリドーマ技術(Kozbor等, 1983 Immunol Today 4: 72を参照)により調製することができる(Cole等, 1985 In: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96を参照)。
加えてまた、ヒト化抗体はファージディスプレイライブラリー等の技術を用いて生成することができる(Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227.; 381 (1991); Marks等, J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。
【0047】
同様に、ヒト化抗体はマウスなどのトランスジェニック動物にヒトIg座を導入することによって作製することができ、これにより内因性のIg遺伝子は部分的又は完全に不活性化された。調べたところ、遺伝子再配列、構築及び抗体レパートリーを含むすべての態様においてヒトにおいてみられたのと非常に類似の抗体産生がみられた。このアプローチは例として、米国特許第5,545,807号;5,545,806;5,569,825;5,625,126;5,633,425;5,661,016、及びMarks等 (Bio/Technology 10, 779783 (1992)); Lonberg等(Nature 368 856-859 (1994)); Morrison (Nature 368, 812-13 (1994)); Fishwild等, (Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996)); Neuberger (Nature Blotechnology 14, 826 (1996));及びLonberg and Huszar (Intern. Rev. Immunol. 13 65-93 (1995))において記載されている。
非ヒト動物の好ましい実施態様はマウスであり、PCT公開公報WO96/33735及びWO96/34096の記載のようにXenomouseTMと称される。この動物は完全ヒトIgを分泌するB細胞を産生する。抗体は、対象の免疫原で免疫化した後の動物から直接得ることができる。例として、ポリクローナル抗体の調製、あるいは、モノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ等の動物由来永久的B細胞から得ることができる。加えて、ヒト可変領域を有するIgをコードする遺伝子を回復させて、直接抗体を得るために発現させる、さらに又は修飾して、例として単鎖Fv分子等の抗体類似体を得ることができる。
ヒト化抗体を産生するための更なる方法は、米国特許第5,916,771号に開示されている。重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを培地の一哺乳動物宿主細胞に導入し、軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを他の哺乳動物宿主細胞に導入し、ハイブリドーマ細胞を形成するように二つの細胞を融合させることを含んでなる。ハイブリドーマ細胞は重鎖と軽鎖を含む抗体を発現する。
【0048】
付加的なIPレセプターアンタゴニストは、EP0753528Al(Ono Pharmaceutical Co.)及び米国特許第5,728,808号及び同第6,365,360号 (Merck Frosst Canada & Co.に既存)にきさいのようなスクリーニング法を用いて同定するであろう。このすべては出典明記によりここに組み込まれる。
疑問が生じないように、「IPレセプターのアンタゴニスト」にはPGIのアンタゴニストを含め、患者への投与に適する任意のPGIアンタゴニストでもよい。好ましくは、PGIアンタゴニストはPGIに対して選択性があり、一般的には他の分子に対する場合よりもPGIに対する結合親和性が高い。他の分子よりPGIに対する結合親和性が高いアンタゴニストが好ましいが、親和性が低いアンタゴニストでも使用可能で、高い濃度で用いる必要がある。好ましくは、PGIアンタゴニストは可逆的にPGIに結合する。
好適なPGIアンタゴニストはIPレセプターの細胞外フラグメントを含む。
【0049】
ここで用いる「アンタゴニスト」という用語は、すべての型のアンタゴニズムをカバーする。プロスタグランジンレセプター等のGタンパク質結合レセプター(GPCR)は所望の反応を遮断する結果となる逆性アゴニズムを示すことが知られている。よって、本発明に使用の好適なIPアンタゴニストは意図するアンタゴニストがある状態又はない状態下でPGI2に対する放射線標識IPアゴニストの結合を測定することによって同定しうる。第二に、IPアンタゴニストは機能的アッセイ、例として、Ca2+レベルでのIPアゴニストの効果がアンタゴニスト存在下で修飾されることを示すことによって同定されうる。第三に、IPアンタゴニストは、細胞培養において上皮細胞の成長阻害により同定されうる。
【0050】
ある実施態様では、PGISのインヒビターは抗PGIS抗体である。
好適な抗体は、抗PGIS抗体であり、カタログ番号CAY-160630、Alexis Corporation (Nottingham, UK)より入手可能である。これは、ヒトPGISに88%の配列相同性があるウシPGISに対するモノクローナル抗体である。
好ましくは、抗PGIS抗体は前述のようにヒト化抗体である。ヒトPGISのcDNA及びタンパク質配列(ぞれぞれGenbank登録番号NM_ 000961及びNP_000952)によりヒト化抗体を含むモノクローナル抗体を調製することは、当分野の技術者に十分可能である。
【0051】
化合物U−51605はPGISインヒビターとして報告されている(Bayorh等, ASGSB 2001 Annual Meeting Abstract No. 82)。
パーオキシナイトライド(PON)及びPON生成系3-モルホリノシドノニミンN-エチルカルバミド(3-morpholinosydnonimine N-ethylcarbamide)(SIN-1)は、活性部位のチロシンニトロ化によりPGISを阻害することが報告されている(ZOU等, 1998, Biochem. J. 336: 507-512)。
トランス-2-フェニルシクロプロピラミンHClは、PGISインヒビターとして報告されている(Gryglewski等, Prostaglandins 1976, 12: 685; Hoyns & van Alphen, Doe. Ophthol. (Netherlands) 1981, 51: 225)。
IPレセプター又はPGISのアンタゴニスト及びインヒビターを記載しているここに挙げる特許及び非特許文書のすべては、その全体が出典明記によりここに組み込まれる。
【0052】
EPレセプターアンタゴニスト
PGE2は、サーペンタインレセプターのロドプシンファミリーに属する7つの膜貫通型Gタンパク質結合レセプターの異なるイソ型との相互作用を介して標的細胞への効果を媒介する。選択的に利用可能で、ある時には細胞内シグナル伝達を阻害する4つの主なPGEレセプターサブタイプ(EP1、EP2、EP3、及びEP4)が同定されている(Coleman等, 1994)。阻害作用を持つレセプターの多様性により、合成部位の近くに高い濃度で放出されるPGEの作用は恒常的に制御される(Ashby, 1998)。今日のところ、正常細胞又は腫瘍性形質転換子宮内膜性上皮細胞におけるPGEの効果媒介に関与する各標的遺伝子だけでなく、相反する細胞内シグナル伝達経路といった、異なるPGEレセプターの役割は完全に明らかとなっている。
既に我々は、月経周期を通じてのPGE合成酵素と、EP2及びEP4レセプターの発現を研究し、PGES発現が分泌後期に減少し、EP4発現が増殖後期に著しく高くなることを発見した(Milne等, (2001) J. Clin. Endocrinol. 86(9): 4453-4459)。また、我々はPGES発現及びPGE2合成もヒトの子宮の病的症状において上方制御されることを発見した。例えば、線癌ではこれらの因子の発現が微小血管系の上皮細胞だけでなく子宮癌の腫瘍性上皮細胞に局在していた。これは癌組織におけるEP2及びEP4レセプターの過剰発現及びシグナル伝達に関連している。我々は既に、子宮の病的症状の治療又は予防においてPGESのインヒビターないし、EP2又はEP4レセプターアンタゴニストの使用を提言している(PCT/GB02/004845及びPCT/GB02/004549)。
【0053】
本発明の更なる実施形態において、IPレセプターのアンタゴニストである少なくも一作用剤に加えて、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストも個体に投与される(誤解が生じないように、この用語はそれぞれEP2レセプターのアンタゴニスト及びEP4レセプターのアンタゴニストを含む)。
本発明の一実施形態において、個体にPGESのインヒビターを投与する。Thoren & Jakobsson (2000) Eur. J Biochem. 267, 6428-6434(出典明示によりここに組み込まれる)では、NS−398、スリンダクスルフィッド及びロイコトリエンCが20μM、80μM及び5μMのIC50においてそれぞれPGES活性を阻害することが報告されている。
本発明のまた更なる実施形態において、個体にEP2レセプターのアンタゴニスト又はEP4レセプターのアンタゴニストを与える。
【0054】
プロスタグランジンEP2レセプターアンタゴニストは任意の適切なEP2レセプターアンタゴニストである。同様に、プロスタグランジンEP4レセプターアンタゴニストは任意の適切なEP4レセプターアンタゴニストである。「適切な」とは、上記アンタゴニストが患者に投与できるものであることを意味する。レセプターアンタゴニスト類はそれらそれぞれのレセプターに結合し、天然リガンド(PGE)と競合し、固有のレセプター媒介性シグナル伝達経路の開始を阻止する。レセプターアンタゴニスト類は一般的には特定のレセプターに選択的であり、天然リガンドよりも高い結合親和性をそのレセプターに対して有するのが普通である。天然リガンドより高い親和性を有するアンタゴニストが好ましいとはいえ、より低い親和性を有するアンタゴニストも使用できる。しかしその場合はより高い濃度でそれらを使うことが必要である。上記アンタゴニスト類はそれらの同系のレセプターに可逆的に結合するのが好ましい。一般的には、アンタゴニストは特定のレセプターに選択的であり、その他のレセプターには影響を与えない;すなわち、EP2レセプターアンタゴニストはEP2レセプターには結合するが、EP4レセプターとは実質的に結合せず、その一方でEP4レセプターアンタゴニストはEP4レセプターには結合するがEP2レセプターには実質的に結合しない。EP2又はEP4レセプターアンタゴニストは特定のレセプターサブタイプに選択的であるのが好ましい。これは、そのアンタゴニストが特定のレセプターサブタイプに対し結合親和性を有する、すなわち少なくも1つのその他のEPレセプターサブタイプに対するよりも少なくも10倍高い結合親和性を有することを意味する。すなわち、選択的EP4レセプターアンタゴニストは、任意のEP1、EP2又はEP3レセプターサブタイプよりも少なくも10倍高い親和性をEP4レセプターに対して有する。
【0055】
EP2又はEP4レセプターアンタゴニストはその同系のレセプターに対して選択性を有するのが特に好ましい。
EP2レセプターアンタゴニストはAH6809を含む(Pelletier等 (2001) Br. J. Pharmacol. 132, 999-1008)。
【0056】
EP4レセプターアンタゴニストはAH23848B(グラクソ社によって開発)及びAH22921X(Pelletier等(2001) Br. J Pharmacol. 132, 999-1008)を含む。AH23848Bの化学名は([1アルファ(z)2ベータ5アルファ]−(+/−)−7−[5−[[(1、1’−ビフェニル)−4−イル]メトキシ]−2−(4−モルフォリニル)−3−オキソ−シクロペンチル]−4−ヘプテン酸)である(Hillock & Crankshaw (1999) Eur. J. Pharmacol. 28, 99-108を参照)。EP4RA(Li (2000) Endocrinology 141, 2054-61)は、EP(4)選択的リガンドである((Machwate等 (2001) Mol. Pharmacol. 60: 36-41)。WO00/15608に記載されるオメガ置換プロスタグランジンE誘導体類(EP1114816)(小野薬品(Ono Pharm Co Ltd))はEP4レセプター類に選択的に結合し、EP4レセプターアンタゴニスト類である。
【0057】
WO01/42281に記載されるペプチド(ホピタル・セイント−ジャスティン(Hopital Sainte-Justine))例えば:IFTSYLECL(配列番号:7)、IFASYECL(配列番号:8)、IFTSAECL(配列番号:9)、IFTSYEAL(配列番号:10)、ILASYECL(配列番号:11)、IFTSTDCL(配列番号:12)、TSYEAL(4−ビフェニルアラニンを有する)(配列番号:13)、TSYEAL(ホモフェニルアラニンを有する)(配列番号:14)も、WO00/18744に記載の化合物類の幾つかと同様にEP4レセプターアンタゴニストとして記載されている(フジサワ薬品(Fujisawa Pharm Co Ltd))。WO00/03980に記載される5−チア−プロスタグランジンE誘導体(EP1097922)(小野薬品)はEP4レセプターアンタゴニストであるらしい。
【0058】
EP4レセプターアンタゴニストはWO01/10426(グラクソ)、WO00/21532(メルク)及び英国特許第2330307号(グラクソ)にも記載されている。
【0059】
WO00/21532は下記のものをEP4レセプターアンタゴニストとして記載している:
5−ブチル−2,4−ジヒドロ−4−[[2’−[N−(3−クロロ−2−チオフェンカルボニル)スルファモイル]ビフェニル−4−イル]メチル]−2−{2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,4−トリアゾール−3−オンカリウム塩;
5−ブチル−2,4−ジヒドロ−4−[[2’−[N−(2−メチル−3−フロイル)スルファモイル]ビフェニル−4−イル]メチル]−2−{2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,4−トリアゾール−3−オン;
5−ブチル−2,4−ジヒドロ−4−[[2’−[N−(3−メチル−2−チオフェンカルボニル)スルファモイル]ビフェニル−4−イル]メチル]−2−{2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,4−トリアゾール−3−オン;
5−ブチル−2,4−ジヒドロ−4−[[2’−[N−(2−チオフェンカルボニル)スルファモイル]ビフェニル−4−イル]メチル]−2−{2−(トリフルオロメチル)フェニル]1,2,4−トリアゾール−3−オン;
5−ブチル−2,4−ジヒドロ−4−[[2’−[N−[2−(メチルピロール)カルボニル]スルファモイル]ビフェニル−4−イル]メチル]−2−{2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,4−トリアゾール−3−オン。
【0060】
英国特許第2330307号は、[1α(Z),2β,5α]−(±)−7−[5−[[(1,1’−ビフェニル)−4−イル]メトキシ]−2−(4−モルホリニル)−3−オキソシクロペンチル]−4−ヘプテン酸及び[1R[1α(z),2β,5α]]−(−)−7−[5−[[(1,1'-ビフェニル)−4−イル]メトキシ]−2−(4−モルホリニル)−3−オキソシクロペンチル]−4−ヘプテン酸を記載している。
【0061】
WO00/18405(ファルマジーン(Pharmagene))はEP4アンタゴニストAH22921及びAH23848を記載している(これらは英国特許第2028805号及び米国特許第4342756号にも記載されている。)さらに、WO01/72302(ファルマジーン)は、例えば参考文献に記載され、8頁以下を参照して示される一般式(I)に含まれるものなど、その他のEP4レセプターアンタゴニストを記載している。
【0062】
一般的には、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストを、IPレセプターのアンタゴニストである少なくも1つの剤に加えて患者に投与する際、各化合物の用量は、他の化合物と関連なく個々人に投与される量である。或いは、好ましくはより少量を投与することもできる。
EP2又はEP4及びPGESのアンタゴニスト又はインヒビターを記載しているここに挙げる特許及び非特許文書のすべては、その全体が出典明記によりここに組み込まれる。
【0063】
FRレセプターアンタゴニスト
FPプロスタグランジンレセプターは種々の組織、例えばウシ黄体(Sharif等 1998, J. Pharmacol. Exp. Ther. 286: 1094-1102);ヒト子宮(Senior等 1992, Br. J Pharmacol. 108: 501-506);ウサギ顎静脈(Chen等 1995, Br. J. Pharmacol. 116: 3 03 5-3 041);種々のヒト眼組織(Davis & Sharif 1999, J. Ocular Pharmacol. Ther. 15: 323-336);及びマウス スイス3T3線維芽細胞(Griffin等 1997, J. Pharmacol. Exp. Ther. 281: 845-854);及びラット血管平滑筋細胞(A7r5)(Griffin等 1998, J. Pharmacol. Exp.Ther. 286: 411-418)を含む種々の組織で研究されてきた。
【0064】
幾つかのプロスタグランジンレセプターにおける強力な選択的合成アゴニスト(作動物質)がインビトロ及びインビボモデルの両方で特徴づけられた(Coleman等 1994, Pharmacol. Rev. 46: 205-229)。例えばフルプロステノール又はそのエナンチオマー(例えばAL−5848)((Sharif等 1999, J. Pharm. Pharmacol. 51: 685-694)及びクロプロステノール(Coleman等 1994; Sharif et al 1998)は強力かつ選択的FPレセプターアゴニストである。大部分の天然プロスタグランジンはこのレセプターファミリー中、それらの好ましいレセプターに対してむしろ制限された選択性を示すので、少数の報告された選択的プロスタグランジンレセプターアゴニスト類は、それらの個々のレセプターと関連するそれぞれの機能的応答を識別するための非常に貴重なツールであった。しかし、特定のレセプター媒介性プロスタグランジン刺激−機能性反応の最終的確認には強力かつ選択的アンタゴニストが必要である(Kenakin 1996, Pharmacol. Rev. 48: 413:463)。
【0065】
眼内圧上昇を治療するための強力な非常に有効な薬剤としての選択的FPレセプターアゴニストが最近同定され、これが商業的に展開された(Bito 1997, Surv. Ophthabnol. 41 (Suppl. 22): S1-S14; Hellberg等 1998, Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 39 (Suppl.): 1961)ことにより、FPレセプター関連薬理作用に関する我々の知識はかなり深まった。しかしFPレセプターの機能は、一部には、このレセプターの組織分布に顕著な種間差があるために、完全には理解されていない(Ocklind等. 1996, Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 37: 716-726; Davis&Sharif 1999; Sharif等 1999)。
【0066】
Griffin等(J. Pharmacol. Exp. Ther. 1999, 290: 1278-1284)はマイクロモル強度の選択的レセプターアゴニスト(AL−8810)を発見したと報告した。Sharif等(J. Pharm. Pharmacol. 2000, 52: 1529-1539)は、PGF2αのまた別の類似体(AL−3138;Ro−22−6641;11−デオキシ−16−フルオロPGF2α)を記載している:それは低効率の部分的アゴニストであり、これもFPレセプターアンタゴニストとして機能する。相対的に選択的作用物質であるAL−3138は種々の生物学的系におけるFPレセプターの固有の機能を研究するための貴重なFPアンタゴニスト・ツールとなるかも知れない。
【0067】
子宮におけるPGF2αレセプターの発現を月経周期全体を通して考察し、子宮内膜の増殖期の前記レセプターが、その他の段階に比較してより高レベルであることを我々は示した。子宮癌組織における発現は正常な子宮組織と比較して著しく高まる。我々は子宮内膜細胞系を使用して、PGF2αが上皮細胞の増殖を誘発することを示した。この増殖はPLCシグナル経路の特異的インヒビターの使用によって阻止できる。既に我々が示したように(GB0208785.6)、これらの考察は、子宮癌における上皮細胞の増殖を減らすなど、子宮の病的状態を克服するために、PGF2α(FP)レセプターをアンタゴナイズする能性があることを示している。また、FPレセプターのアンタゴニストは、平滑筋の弛緩メカニズムによって作用し、胎児の早産及び月経困難症を治療又は防止することが示唆された(WO99/32640及びWO00/17348)。また、我々は月経過多の治療にFPレセプターのアンタゴニストを用いることも示した(GB0208783.1)。
さらに、本発明の実施態様では、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤、及び場合によってはPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストに加えて、個体にFPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤を投与する。
【0068】
一般的には上記作用剤は、FPレセプターのPGF2α−媒介性シグナルを阻害又は破壊するものである。FPレセプターのアンタゴニストである作用剤がPGF2αとFPレセプターとの結合を阻害又は低減することが好ましい。或いは、又はそれに加えて、その作用剤は、PGF2αとFPレセプターとの相互作用、又はFPレセプターと関連Gαq蛋白との相互作用に影響を与えることができ、それによってPGF2α−FP媒介性シグナル伝達経路を阻害又は破壊する。
好ましい一実施形態において、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤はFPレセプターのアンタゴニストである。FPレセプターアンタゴニストは、一般的にはFPレセプターに結合し、天然リガンドPGF2αの結合と競合し、PGF2α−FP媒介性シグナル伝達経路を阻害又は破壊する分子類である。
【0069】
好ましい一実施形態において、FPレセプターをアンタゴナイズするということは、プロスタグランジンレセプター上のPGF2α結合部位が占有され、その結果、天然リガンド(PGF2α)が、イノシチルホスフェートによってGq/GqIIを介して正常なシグナリングを起こし、その後細胞内カルシウムの移動を起こす、という様態では結合できないということを含む。
或いは、上記レセプターアンタゴニストは、PGF2αの結合を阻害することなくFPレセプターに結合するが、PGF2αとFPレセプターとの相互作用を破壊し、それによってPGF2α−FP媒介性シグナル伝達経路を阻害又は破壊する分子である。
さらに他には、FPレセプターアンタゴニストはFPレセプターに結合する分子であって、FPレセプターと関連Gαq蛋白との相互作用を破壊し、それによってFP媒介性シグナル伝達経路を阻害又は破壊するという分子である。
【0070】
誤解を生じないように、ここでの「FPレセプターのアンタゴニスト」はPGF2αを含む。PGF2αアンタゴニストは一般的には、PGF2αに結合し、PGF2αとそのレセプターとの結合を阻止又は低下させ、それによってPGF2α−FP媒介性シグナル伝達経路を阻害又は破壊する分子である。これは、一般的には上記レセプターの一部又は抗体のどちらかがPGF2αに結合する「可溶性レセプター」のアプローチである。
或いは、PGF2αアンタゴニストは、PGF2αとFPレセプターとの結合を阻害又は軽減することなくPGF2αに結合するが、PGF2αとFPレセプターとの間の相互作用を破壊し、PGF2α−FP媒介性シグナル伝達経路を阻害もしくは破壊するような分子でありうる。これはPGF2αに共有融合で結合し、結合強度には影響を与えないがG−タンパク質/IP/Ca2+メカニズムに影響を与える分子である。
【0071】
そのレセプターアンタゴニストは一般的には特定のレセプターに選択的であり、好ましくはPGF2αに比べて同じか又はより高い結合親和性をFPレセプターに対して有する。天然リガンドに比べてレセプターに対してより高い親和性を有するアンタゴニストが好ましいとはいえ、より低い親和性を有するアンタゴニストも使用できるが、これらはより高濃度で使用することが必要である。アンタゴニストはFPレセプターに可逆的に結合することが好ましい。好ましくはアンタゴニストはある特定のレセプターに選択的であり、その他のレセプターには影響しない;このため一般的にはFPレセプターアンタゴニストはFPレセプターには結合するがその他の任意のレセプターには実質的に結合しない。
表1に挙げるペプチド類はFPレセプターと関連Gαqタンパク質との相互作用を破壊するFPレセプターのアンタゴニストであると報告されている(WO99/32640及びWO00/17438)。アミノ酸は標準IUPAC一文字の習慣通り示され、Xはシクロヘキシルアラニンである。小文字はL-アミノ酸を示し、大文字はD−アミノ酸を示す(疑問を生じないように、この命名法で示されるペプチドのみを表1に挙げる。それと反対に、すべてのペプチドはL−アミノ酸を含む)。FPレセプターアンタゴニストのような特定のペプチドに関するWO99/32640及びWO00/17438の開示の全ては出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0072】
表1

【0073】
アンタゴニストが表1に記載されるようなペプチドを含む場合、アンタゴニストは蛋白融合体又はそのペプチド類似体も含む。
ケイマン・ケミカル社(Cayman Chemical)、アンアーボル(Ann Arbor)、米国ミシガン州、から提供されるPGF2αジメチルアミドはPGF2αレセプターアンタゴニストであることが報告された(Arnould等, (2001) Am. J. Pathol., 159(1): 345-357)。
【0074】
アルコン・リサーチ社から入手できるAL−8810((5Z,13E)−(9S,11S,15R)−9,15−ジヒドロキシ−11−フルオロ−15−(2−インダニル)−16,17,18,19,20−ペンタノール−5,13−プロスタグランジエン酸)はPGF2αレセプターの、弱い部分的アゴニストであり、PGF2αレセプターに高度に選択的なアンタゴニストである。AL−8810は10μMという高濃度ではプロスタグランジンレセプターTP、DP、EP2又はEP4の機能的反応を顕著には阻害しないことが報告された(Griffin等, (1999) J. Pharmacol. Exp. Ther., 260(3): 1278-1284)。
AL−3138(11−デオキシ−16−フルオロPGF2α)はPGF2αの弱い部分的アゴニストであり、PGF2αレセプターの高度に選択的アンタゴニストであることが報告された(Sharif等, (2000) J. Pharm. Pharmacol., 52(12): 1529-1539)。
【0075】
フロレチンはPGF2αレセプターアンタゴニストであることが報告された(Kitanaka等 (1993) J Neurochem. 60(2): 704-708)。
スルホニル尿素グリベンクラミドはPGF2αレセプターアンタゴニストであることが報告された(Delaey及びVan de Voorde (1995), Eur. J. Pharmacol. 280(2): 179-184)。スルホニル尿素トルブタミド及びトラミドはFPレセプターの非常に弱いアンタゴニストであることが報告された(Sharif等 (2000) J. Pharm. Pharmacol., 52(12): 1529-1539)。
PGF2αジメチルアミンはPGF2αレセプターアンタゴニストであることが報告された(Stinger等 (1992), J. Pharmacol. Exp. Ther., 220: 521-525)。
【0076】
ジャンセン・ファーマシューテイカ(Jannsen.Pharmaceutica)から入手できる、(E)−5−[[[(3−ピリジニル)[3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチレン]アミノ]オキシ]ペンタン酸(リドグレルとしても知られている)はPGF2αレセプターアンタゴニストであることが報告された(Jannsens等, (1990), Thrombosis and Haemostasis, 64(1): 91-96)。
化合物PHG113は選択的PGF2αレセプターアンタゴニストであることが報告された(Quiniou等, (2001) Pediatric Research, 49(2): 452A)。
ヨーロッパ特許第128479号は、報告によるとPGF2αレセプターアンタゴニストであるピラゾリルーメチルーエルゴリン誘導体類を記載している。PGF2αレセプターインヒビターとしてのピラゾリル−メチル−エルゴリン誘導体に関するヨーロッパ特許第128479号の全ての開示は出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0077】
PGF2αアンタゴニスト(上述のように、FPレセプターアンタゴニストの用語に含む)はPGF2αに選択的であるのが好ましく、一般的にはPGF2αに対し、その他の分子類に対するよりも高い親和性を有する。他の分子類よりPGF2αに対してより高い親和性を有するアンタゴニストが好ましいとはいえ、より低い親和性を有するアンタゴニストも使用できる。しかしこれらはより高濃度で使用する必要がある。PGFαアンタゴニストはPGF2αに可逆的に結合するのが好ましい。
PGF2αアンタゴニストは、オックスフォード・ビオメディカル・リサーチ社、オックスフォード、英国(Arnould等, Am. J. Pathol. 2001 159(I): 345-357)から提供されるウサギポリクローナル抗PGF2α抗体などの抗−PGF2αを含む。アーノルド等は、製造者によると上記抗体の特異性は非常に高く、その他のプロスタノイド誘導体との交差反応は1%未満であると述べている。
【0078】
日本特許第04077480号;日本特許第08176134号;日本特許第01199958号;日本特許第01050818号;及び日本特許第63083081号はそれぞれPGF2αインヒビターであると報告されたフタリド誘導体類を記載している。PGF2αインヒビターとしてのフタリド誘導体に関連する日本特許第04077480号;日本特許第08176134号;日本特許01199958号;日本特許第01050818号;及び日本特許63083081号中の全ての開示は出典明示により本明細書に組み込まれる。
WO91/13875は、PGF2αインヒビターであると報告された(イソ)キノリン スルホンアミド化合物を記載している。PGF2αインヒビターとしての(イソ)キノリン スルホンアミドに関連するWO91/13875中の全ての開示は出典明示により本明細書に組み込まれる。
【0079】
PGF2αのインヒビター又はアンタゴニストであると報告された化合物類の幾つかは実際、ここに使用され定義されるPGF2α(FP)レセプターのアンタゴニストであり得る。したがってPGF2αのインヒビター又はアンタゴニストとしての、この種の化合物に関する参考文献はFPレセプターアンタゴニストに関する参考文献と考えなければならない。
FPアンタゴニスト又はインヒビターを記載しているここに挙げる特許及び非特許文書のすべては、その全体が出典明記によりここに組み込まれる。
【0080】
COX−2インヒビター
既に我々は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)合成がヒトの子宮の病的症状において上方制御されることを示した。例えば、ヒト子宮線癌では発現が微小血管系の上皮細胞だけでなく子宮癌の腫瘍性上皮細胞に局在していた。我々は既に、子宮の病的症状の治療又は予防において、一般的にPGES又はEP2又はEP4レセプターアンタゴニストと組み合わせてCOX−2インヒビターの使用を提言している(PCT/GB02/004549)。
更なる本発明の実施態様では、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤、及び場合によってはPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、又場合によってはFPレセプターのアンタゴニストである一作用剤に加えて、COX−2インヒビターを固体に投与する。
好ましくは、インヒビターはCOX−2に選択性がある。
化合物は何れのレベルででもCOX−2機能を選択的に阻害する。好適には、化合物はCOX−2酵素活性を選択的に阻害する。
【0081】
「COX−2酵素活性を選択的に阻害する」とは、化合物が好ましくは他のシクロオキシゲナーゼ酵素、特にCOX−1に優先してCOX−2を阻害することを意味する。COX−1遺伝子及びそのポリペプチド産物の配列は、Yokoyama及びTanabe (1989) Biochem. Biophys. Res. COMM. 165, 888-894に記載の通りであり、出典明記によりここに組み込まれる。COX−1はPGHS−1とも呼ばれる。COX−2遺伝子及びそのポリペプチド産物の配列は、O'Banion等 (1991) J Biol. Chem. 266,23261-23267に記載の通りであり、出典明記によりここに組み込まれる。COX−2はPGHS−2とも呼ばれる。
COX−2酵素活性を選択的に阻害する化合物は、COX−1よりもCOX−2を少なくとも10倍阻害するのがよい;好ましくは少なくとも50倍;好ましくは少なくとも100倍;さらにより好ましくは少なくとも1000倍及びより好ましくは少なくとも10000倍である。
COX−2インヒビター化合物は実質的にCOX−1酵素に対して阻害活性を持たないことが好ましい。
【0082】
COX−2酵素生成を選択的に阻害する化合物がよい。例えば、化合物はCOX−2の転写を選択的に阻害する、又はCOX−2メッセージの輸送を選択的に阻害する。
「COX−2酵素生成を選択的に阻害する」とは、化合物が好ましくは他のシクロオキシゲナーゼ酵素、特にCOX−1に優先してCOX−2の生成を阻害することを意味する。
COX−2酵素生成を選択的に阻害する化合物は、COX−1生成よりもCOX−2生成を少なくとも10倍阻害するのがよい;好ましくは少なくとも50倍;好ましくは少なくとも100倍;さらにより好ましくは少なくとも1000倍及びより好ましくは少なくとも10000倍である。
化合物は実質的にCOX−1酵素生成に対して阻害活性を持たないことが好ましい。
【0083】
特に好ましい実施態様では、COX−2インヒビター化合物がニメスリド(nimesulide)、4−ヒドロキシニメスリド(4-hydroxynimesulide)、フロスリド(flosulide)、メロキシカム(meloxicam)の何れか一つである。ニメスリドは、N-(4-ニトロ-2-フェノキシフェニル)メタンスルホン酸塩(4-ニトロ-2-フェノキシメタンスルホンアニリドとも称される)である。ニメスリドは、COX−1抑制よりもCOX−2抑制に対して100倍の特異性を有する。ニメスリドはBoehringerより製造される。
フロスリドは、6-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-5-メチルスルホニルアミノ-1-インダンオン(N-6-(2,4-ジフルオロフェノキシ)-1-オキソ-インダン-5-イルメタン-スルホンアミドとしても知られている)である。フロスリドは、COX−1抑制よりもCOX−2抑制に対して1000倍の特異性を有する。フロスリドはCiba Geigyより製造される。
メロキシカムは、4-ヒドロキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾールイル)-2H-1,2ベンゾチアジン-3-カルボキシアミド1,1-ジオキシドである。メロキシカムは、COX−1抑制よりもCOX−2抑制に対して1000倍の特異性を有する。メロキシカムはBoehringerより製造される。
【0084】
ニメスリドの合成は周知であり、US3,840,597に記載の通りである;フロスリドの合成は周知であり、GB2092144に記載の通りである;及びメロキシカムの合成は周知であり、US4,233,299に記載の通りである。
本発明の実施に有用な他のCOX−2特異的インヒビターは以下を含む:
L 475 L337は、COX−1抑制よりもCOX−2抑制に対して500倍の特異性を有する。これはMerck Frostより製造される。
また、Merckより市販されているビオックス(Vioxx)もCOX−2インヒビターに適する。
SC58125セレコキシブ(Celecoxib)は、COX−1抑制よりもCOX−2抑制に対して100倍の特異性を有する。セレコキシブはSearleより製造される。
NS398はTaishoにより製造されており、COX−2に対してとても高い選択性がある。
DuP697はCOX−2選択性を有し、DuPontにより製造される。ニメスリド、フロスリド及びメロキシカムはCOX−2酵素インヒビターであり、おそらく競合的インヒビターである。
COX−2インヒビターを記載しているここに挙げる特許及び非特許文書のすべては、その全体が出典明記によりここに組み込まれる。
【0085】
IPレセプターのアンタゴニスト及び/又はPGISインヒビターである一以上の作用剤を患者に投与するのが好ましい。
一般的に、IPレセプターのアンタゴニスト及び/又はPGISインヒビターである作用剤は、IPレセプターの少なくとも90%に効果的用量が運ばれるような(ED90)量と頻度で投与される。分子の作用強度は用量、剤形及び投与方法を示すであろう。
場合によっては、他の治療薬もまた前述のように患者に投与できる。これらはまた、本発明の治療薬とみなしうる。また、一以上の治療薬が患者に投与されるとき、それらは連続的にまたは組み合わせて投与されるのが好ましい。
望ましくない子宮の病理学的症状を克服するために治療薬を有効量で投与する。よって、治療薬は症状を緩和するため(すなわち対症的に用いる)にも用いられ、または症状を治療するためにも用いられ、または症状を防ぐために予防的に用いられる。治療薬は任意の好適な投与方法及び任意の好適な剤形で投与する。
【0086】
本発明に使用するための上記の治療薬又はその組成物は経口及び非経口(例えば皮下又は筋肉内)注射を含む一般的方法によって投与できる。治療は単一量の投与又はある期間にわたる複数回の投与からなる。投与すべき用量は年齢、体重、投与法、治療期間、及び治療薬(1種類又は複数種類)の薬物動態及び毒物学的特性を考慮して決められる。治療薬は患者に好ましい治療効果をもたらす量(又は複数回用量)が投与される。一般に、この治療薬は、別の医療適用に使用する量と同じか類似の用量が用いられる。とにかく、患者の治療に適した用量は医者によって決められるのがよい。
【0087】
本発明の治療薬はそれだけで、又はその他の治療薬と組み合わせて使用することができるが、一方ではそれ(又はそれら)を1種類以上の容認できる担体と組み合わせて医薬製剤として提供するのが好ましい。担体は本発明の治療薬と適合し、またそれを受ける人にとって有害でない、という点で、「容認でき」なければならない。一般的にはそれら担体は、無菌性及び無発熱物質である水又は食塩液である。
【0088】
上記製剤は単位投与型で提供されるのが都合がよく、薬学の当業者に公知の任意の方法によって作られる。このような方法は、1種類又は複数種類の治療薬を1種類以上の付属成分を構成する担体と組み合わせる工程を含む。概してこれら製剤は活性成分(すなわち1種類以上の治療薬)を液体担体又は微粉状固体担体又はそれら両方と均質によく混ぜ合わせ、必要ならばその生成物を形作ることによって作られる。
【0089】
経口投与に適する本発明による製剤はカプセル、カシェ剤(cachet)又は錠剤などのあらかじめ決められた活性成分量を含む個々の単位として、粉末又は顆粒として;水性液又は非水性液中の溶液又は懸濁液として;又は水中油液体エマルション又は油中水液体エマルションとして提供される。活性成分は巨丸剤、舐剤、又はペーストとしても提供される。
錠剤は任意に1種類以上の付属成分と共に圧縮又は成形によって作られる。圧縮錠剤は、任意に結合剤(例えばポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(グリコール酸ナトリウム澱粉、架橋ポビドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースなど)、界面活性剤又は分散剤と混合した粉末又は顆粒などの流動性の形の活性成分を適切な機械で圧縮することによって作られる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適切な機械で成形することによって作られる。錠剤は任意にコーティングしたり溝をつけたるすることができ、所望の放出プロフィールを得るためにヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを種々の比率で使用して、活性成分を徐々に又はコントロールして放出させることができる。
【0090】
口に適切に局所投与できる製剤には、通常はスクロース及びアカシア又はトラガントなどで風味を効かせた活性成分を含むトローチ剤;不活性ゼラチン及びグリセリンなど、又はスクロース及びアカシアをベースにした活性成分を含むパステル(pastille);及び適切な液体担体中に活性成分を含むマウス-ウォッシュがある。バッカル投与も好ましい。
非経口投与に適する製剤には、抗酸化剤、緩衝液、殺菌剤及び、製剤投与予定患者の血液と等張にする溶質を含む水性及び非水性滅菌注射溶液;及び懸濁剤及び濃化剤を含むことができる水性及び非水性無菌懸濁液がある。これら製剤は単位用量又は多数回用量の容器、例えば密封アンプル及びバイアルで提供され、凍結乾燥(親液させる)状態で保存し、使用直前に注射用水などの無菌液体担体を添加するだけで使用できる。即座に使用する注射溶液及び懸濁液を、上に記載した種類の無菌粉末、顆粒及び錠剤から作ることができる。
【0091】
好ましい単位用量組成物は活性成分を1日量又は単位、1日分服量(サブ用量)又はそれらの適切な部分を含むものである。
上に詳細に記載した成分類に加えて、本発明の製剤は、問題の製剤の種類に関心のある当業者には一般的な、その他の作用物質も含むことができることは当然である。例えば経口投与に適する組成物は香味剤を含むことができる。
【0092】
治療薬の幾つかは蛋白又はペプチドである。蛋白及びペプチドは、注射可能の持続的放出性ドラッグ・デリバリー・システムを使用して運搬できる。これらは特に注射回数を減らすために設計される。このようなシステムの一例は、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を生体内分解性ミクロスフェアに包み込んだニュートロピン・デポ(Nutropin Depot)であり、これは注射されるとrhGHを長時間にわたってゆっくりと放出する。
蛋白及びペプチドは、その薬剤を必要な部位に直接放出する外科的に移植されたデバイスによって投与できる。例えばヴィトラサート(Vitrasert)はガンシクロヴィルを眼に直接放出し、CMV網膜炎を治療する。この毒性作用物質の疾患部位への直接適応は、この薬の顕著な全身的副作用を起こさずに、効果的治療を可能とする。
【0093】
エレクトロポレーション治療システムも蛋白及びペプチドの投与に使用できる。パルス電場を細胞に与えるデバイスはその薬に対する細胞膜の透過性を高め、細胞内ドラッグ・デリバリーを顕著に高める。
蛋白及びペプチドはエレクトロインコーポレーション(EI)によって運搬することができる。EIは、皮膚表面の直径30ミクロンまでの小粒子が、エレクトロポレーションに使用するものと同じか又は類似の電気的パルスを経験する際に起きる。エレクトロインコーポレーションにおいて、これらの粒子は角質層を通過して皮膚のより深い層に押し込まれる。これら粒子は薬剤又は遺伝子を担うことができ、又は薬剤又は遺伝子でコーティングすることもでき、又は単に、薬剤が入るための孔を皮膚にあける「銃弾」として作用することができる。
【0094】
蛋白及びペプチドを運搬するための、また別の方法は、感熱性のReGel注射システムである。体温より低い温度では、ReGelは注射可能の液体であるが、体温ではそれは直ちにゲルリザーバ(ゲル貯め)を形成する。これは徐々に侵食され、溶解して公知の安全な生体内分解性ポリマーになる。治療薬は生体ポリマーが溶解するにつれて、時間をかけて運搬される。
蛋白及びペプチド医薬品は経口的に運搬することもできる。そのプロセスは、体内にビタミンB12を経口摂取するための自然のプロセスを利用し、蛋白及びペプチドを同時運搬する。ビタミンB12摂取システムに乗ることによって、蛋白及びペプチドは腸壁を通過して移動することができる。ビタミンB12類似体と、複合体のビタミンB12部分の固有因子(IF)に対する顕著な親和性及び複合体の薬剤部分の顕著な生体内活性を両方保有する薬剤との間で複合体を合成する。
【0095】
蛋白及びポリペプチドは「トロジャン(Trojan)ペプチド」によって細胞に導入される。これらはペネトラチンと呼ばれるポリペプチドのクラスに属し、移動特性を有し、親水性化合物を原形質膜を経て運ぶことができる。このシステムはオリゴヌクレオチド類を細胞質及び核に直接ターゲティングすることができ、非細胞型特異的で高度に効率的である。Derossi等(1998),Trebds Cell Biol 8,84-87ページを参照されたい。
上記の治療薬又は組成物は経皮的に、例えばパッチ、ゲル、ローション、クリーム又はオイルとして投与することもできる。
治療薬(1種類又は複数種類)は経口的に投与されるのが好ましい。
【0096】
治療薬(1種類又は複数種類)が女性の生殖系に投与されるならばさらに好ましい。例えば1種類又は複数種類の治療薬は、例えばゲル又はクリーム又は膣リング又はタンポンを使用して膣内に適切に投与できる。その治療薬は例えば当業者には公知の、子宮内デバイスなどの方法を使用して、子宮内デリバリーによっても好都合に投与できる。
一般的には、上記ゲル又はクリームは膣に投与するために成形されるものである。それは油性でも水性でもよい。一般的には1種類又は複数種類の治療薬がクリーム又はゲル内に、1回の(又は反復)投与で有効量が十分に投与されるような濃度で含まれる。
【0097】
一般的には、膣リングは膣にフィットする「ドーナツ」形に成形されたポリマーを含んでなる。1種類又は複数種類の治療薬がポリマー内に、一般的にはコアとして存在し、それはポリマーから放出され、コントロールされた仕方で膣及び/又は頸部に入る。膣リングは当業者には公知である。
一般的にはタンポンに1種類又は複数種類の治療薬をしみ込ませ、十分な量の治療薬(1種類又は複数種類)がタンポンに存在するようにする。
【0098】
一般的には子宮内デバイスは子宮内に長期間、例えば1ないし5年間置くためのものである。一般的には子宮内デバイスはプラスチック製フレーム(「T」形であることが多い)を有し、使用期間中放出するのに十分な量の治療薬(類)を含む。一般的にその薬剤は、そのデバイスの部分を構成している除放性ポリマー内に存在し、又は前記除放性ポリマーに封入される。上記デバイスの部分は、普通は除放性膜で覆われている「T」字形の長い方のアームの周囲を包む「ソーセージ」形薬剤のような形に構成されている。子宮内デバイスは当業者には公知である。
【0099】
本発明の第二の態様は女性個体の子宮の病的状態を克服するための医薬品の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターの使用を提供する。
本発明のこの態様の実施態様では、女性個体にIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを投与する。一般的にIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを医薬として同時に女性に投与する。あるいは、医薬を服用する前(又は後)にIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
この及び以降全ての本発明の態様では、IPレセプターのアンタゴニストである作用剤の優先度、及びPGISインヒビターの優先度は本発明の第一の態様に関する前述の記載のとおりであるのが好ましい。
【0100】
また、この及び以降全ての本発明の態様では、克服すべき子宮の病的症状の優先度は本発明の第一の態様に関する前述の記載のとおりであるのが好ましい。
一実施態様では、女性個体にPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターのうちの何れか一以上を投与する。一般的にこれら付加的薬剤のうちの何れか一以上を医薬として同時に女性に投与する。あるいは、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを含む医薬を服用する前(又は後)にこれら付加的薬剤のうちの何れか一以上を女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
さらに任意で、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターのうちの何れか一以上を女性に投与する場合、別々に投与してもよい。よって、例えば、COX−2インヒビターを医薬服用前に投与してもよいし、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストを医薬と一緒に投与してもよい。
【0101】
この及び以降全ての本発明の態様では、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストの優先度は本発明の第一の態様に関する前述の記載のとおりであるのが好ましい。
また、この及び以降全ての本発明の態様では、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤の優先度は本発明の第一の態様に関する前述の記載のとおりであるのが好ましい。
さらに、この及び以降全ての本発明の態様では、COX−2インヒビターの優先度は本発明の第一の態様に関する前述の記載のとおりであるのが好ましい。
【0102】
本発明の第三の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は防止するための医薬の製造におけるIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストの組合せ使用を提供する。
一実施態様では、その女性個体にはFPレセプターのアンタゴニストである作用剤の一以上、及びCOX−2インヒビターが投与される。この場合一般的には、女性には薬剤としてこれら付加的薬剤の一以上を同時に投与し、他方、これら付加的薬剤の一以上を医薬を服用する前(又は投与後)に上記女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
【0103】
本発明の第四の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造におけるIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びFPレセプターのアンタゴニストである作用剤の組合せ使用を提供する。
一実施態様では、その女性個体にはPGESのインヒビターの一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト及びCOX−2インヒビターが投与される。この場合一般的には、女性には薬剤としてこれら付加的薬剤の一以上を同時に投与し、他方、これら付加的薬剤の一以上を医薬を服用する前(又は投与後)に上記女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
【0104】
本発明の第五の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造におけるIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びCOX−2インヒビターの組合せ使用を提供する。
一実施態様では、その女性個体にはPGESのインヒビターの一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト及びFPレセプターのアンタゴニストである作用剤が投与される。この場合一般的には、女性には薬剤としてこれら付加的薬剤の一以上を同時に投与し、他方、これら付加的薬剤の一以上を医薬を服用する前(又は投与後)に上記女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
【0105】
本発明の第六の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造におけるIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト及びFPレセプターのアンタゴニストである作用剤の組合せ使用を提供する。
一実施態様では、その女性個体にはCOX−2インヒビターが投与される。この場合一般的には、女性には薬剤としてCOX−2インヒビターを同時に投与し、他方、COX−2インヒビターを医薬を服用する前(又は投与後)に上記女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
【0106】
本発明の第七の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造におけるIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、及びCOX−2インヒビターの使用を提供する。
一実施態様では、その女性個体にはFPレセプターのアンタゴニストである作用剤が投与される。この場合一般的には、女性には薬剤としてFPレセプターのアンタゴニストである作用剤を同時に投与し、他方、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤を医薬を服用する前(又は投与後)に上記女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
【0107】
本発明の第八の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造におけるIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びFPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターの使用を提供する。
一実施態様では、その女性個体にはPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストが投与される。この場合一般的には、女性には薬剤としてPGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストを同時に投与し、他方、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストを医薬を服用する前(又は投与後)に上記女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
【0108】
本発明の第九の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造におけるIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターの組合せ使用を提供する。
【0109】
本発明の第十の態様は、女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造におけるPGESのインヒビターの一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターの組合せ使用を提供し、その女性個体にはIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターが投与される。この場合一般的には、女性には薬剤としてIPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを同時に投与し、他方、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを医薬を服用する前(又は投与後)に上記女性に投与しておいてもよい(又は投与してもよい)。
本発明の第二から第十の態様の何れかの好ましい実施態様では、医薬は腟リングまたはタンポン又は子宮内デバイスを介して投与するように成形される。
【0110】
本発明の第十一の態様では、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤の何れか一以上と、COX−2インヒビターを含む組成物を提供する。
【0111】
本発明の第十二の態様では、医薬の使用のための、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤の何れか一以上と、COX−2インヒビターを含む組成物を提供する。
【0112】
本発明の第十三の態様では、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤の何れか一以上と、COX−2インヒビター、及び薬学的容認性のある担体を含む医薬組成物を提供する。
【0113】
本発明の第十四の態様では、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤の何れか一以上と、COX−2インヒビターを含む腟リング又はタンポン又は子宮内デバイスを提供する。
【0114】
本発明は下記の図面及び実施例を参照してより詳細に説明される。
【実施例】
【0115】
実施例1:月経周期を通じてのヒト子宮内膜症におけるプロスタサイクリン(IP)レセプターの経時的発現、局在化、及びシグナル伝達
要約
我々は、月経周期を通じて妊娠していないヒト子宮におけるプロスタグランジンI合成酵素(PGIS)及びプロスタサイクリンレセプター(IP)の発現部位を研究した。量的RT−PCR法を用いて、後期増殖期と比較して初期増殖期のPGIS発現が著しく増加する(P<0.05)ことを示した。加えて、月経周期の後期増殖期及び初期ないし後期分泌期と比較して初期増殖期にIP発現が著しく高かった(すべての時期p<0.01)。さらに、完全な厚さのヒト子宮生検では、免疫組織化学により基底層及び機能的層の間質性細胞と共に腺性上皮細胞にPGISが局在していた。また、子宮筋の内皮細胞、平滑筋細胞、及び血管平滑筋細胞にも染色がみられた。インサイツハイブリダイゼーションにより、主に増殖期の子宮の子宮筋、血管、及び子宮内膜上皮及び間質性細胞にIPレセプターmRNAが検出された。プロスタサイクリン類似体のイロプロストは子宮内膜組織にcAMP生成を引き起こし、これは月経周期の分泌期と比較して増殖期から採取した試料で著しく増加する(p<0.05)。我々は、月経周期の初期増殖期におけるcAMP経路を介するレセプターのシグナル伝達の増加を有するPGIS及びIPの上方制御を証明した。
【0116】
序文
プロスタサイクリン(PGI)は、血管拡張因子および血小板凝集の強力な阻害剤として特徴づけられており(Smyth & Fitzgerald, 2002)、このように血管止血の持続において、必須的役割を果たす。血管内皮によって合成される主なプロスタノイドであって、平滑筋弛緩物質として作用する。脂質メディエーターのエイコサノイドファミリーの他のメンバーのように、シクロオキシゲナーゼ(COX)はプロスタグランジン合成の一般的中間体であるPGHを介したアラキドン酸からのPGI合成において重要な酵素である(Kniss,1999)。COX酵素には二つの主なイソ型があり、COX−1は多くの細胞型で恒常的に発現しており、COX−2はサイトカインや腫瘍プロモーターを含む多くの因子により誘導される。PGIの特異的なプロスタグランジン合成酵素PGI合成酵素(PGIS)はPGHからPGIを生成する。PGIはその典型的な7つの膜貫通構造を有するGタンパク質結合レセプター(IP)との相互作用によって標的細胞に対してその効果を引き出す(Narumiya et al, 1999)。IPレセプターは、Gタンパク質のGs及びGq種を刺激して、cAMP生成及びホスファチジルイノシトール応答の増加を引き起こしている。PGIは女性の性と生殖に関する健康の主な問題である月経過多の病因に関係しており、全ての婦人科受診の11%を占めており、1995年には総計700万ポンドにも達する薬費がかかっている(Cooper等,2001)。対照と比較して月経過多をもつ女性において、PGI(Smith等, 1981)の増強した合成またはPGI濃度の増加がトロンボキサンA (Makarainen & Ylikorkala 1986)と関連しているという証拠がある。しかしながら、月経周期を通じて子宮内膜においてPGIS又はIPの一時的又は空間的発現に関する情報がほとんどない。
【0117】
本研究では、量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、インサイツハイブリダイゼーション及び免疫組織化学法により妊娠していない子宮内膜及び子宮筋におけるPGIS及びIPの局在部位を研究した。加えて、子宮内膜組織試料におけるcAMP生成に対するプロスタサイクリン類似体のイロプロストの影響を研究することにより、子宮内膜細胞のシグナル伝達機能におけるPGIの役割を研究した。
【0118】
材料と方法
患者及び組織採集
月経周期の種々の段階の子宮内膜生検を、生検採取前の3ヶ月間にホルモン調製を受けていない月経周期が規則的な(25−35日)女性から集めた。試料は子宮内膜吸引キュレット(ピペット、ラボラトワレCCD(Laboratoire CCD)、フランス)を使って、又は婦人科的良性疾患のために子宮摘出を受けた女性から全厚の子宮内膜生検を採取した。採取後間もなく、組織をドライアイス中で急速に凍結し、−70℃で保存し(RNA抽出のため)、中性緩衝ホルマリン(NBF)中で固定し、ワックスに埋め込むか(免疫組織化学的分析のため)、又はRPMI1640(2mM L−グルタミン、100Uペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含む)中に置き、研究室に移してインビトロ培養を行った。
生検は申告された最終月経期(LMP)に従って日付が入れられ、Noyes及び共同者の基準に従って組織検査によって確認された(Noyes等,1975)。さらに生検時の循環エストラジオール及びプロゲステロン濃度は、申告されたLMPと月経周期段階の組織検査との両方で一致した。ロジアン・リサーチ倫理委員会(Lothian Research Ethics Committee)から倫理的承認を得、組織の採集前に全被験者から書面によるインフォームド・コンセントを得た。
【0119】
Taqman量的RT−PCR
製造者の指示書に従って、Tri−Reagent(Sigma, Poole, UK)を用いて月経周期を通して得た子宮内膜生検(n=35)からRNAを抽出した。RNA試料を定量して、5.5mM MgCl、0.5mMの各デオキシ(d)−NTPs、2.5μMランダムヘキサマー、リボヌクレアーゼインヒビター(0.4U/μl)及び1.25U/μlマルチスクラブ逆転写酵素(すべてApplied Biosystems, Warrington, UKより)を用いて逆転写を行った。各逆転写反応液にRNA(400ng)を加えて、25℃で90分、48℃で45分、及び95℃で5分で試料をインキュベートした。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の反応混合液は、1×マスターミックス、リボソーム18Sフォワード及びリバースプライマー、リボソーム18Sプローブ(50nM;すべてABIより)、PGIS又はIP (300nM)のフォワード及びリバースプライマー、及びPGIS又はIPプローブ(200nM)(すべてBiosource UK Ltdより)からなる。反応混合液(48μl)はチューブに等分割し、2μlのcDNAを加えた。分割した24μlの試料と、ポジティブ及びネガティブコントロールをPCRプレートに設置し、光学キャップでウェルを密閉した。ABI Prism.7700(Applied Biosystems)を用いてPCR反応を行った。すべてのプライマー及びプローブはPRIMERエクスプレスプログラム(ABI)により設定した。
【0120】
PGISプライマー及びプローブの配列は;フォワード、5’ACGCAGATGTGGAGATCCCT−3’(配列番号27);リバース、5’GTCGTGTTCCGGCTGCA−3’(配列番号28);及びプローブ(6−カルボキシ蛍光色素標識)5’−CCTCAGCAGGTACGGCTTCGGTCTG−3’(配列番号29)である。
IPプライマー及びプローブの配列は;フォワード、5’GCCCTCCCCCTCTACCAA−3’(配列番号30);リバース、5’TTTTCCAATAACTGTGGTTTTTGTG−3’(配列番号31);及びプローブ(6カルボキシ蛍光色素標識)5’−CCAAGAGCCAGCCCCCTTTCTGC−3’(配列番号32)である。
18Sプライマー及びプローブの配列は以前に記載されている通りである(Milne等, 2001)。
製造者の指示書に従って、データはSequence Detectorバージョン1.6.3(ABI)を用いて分析及び処理を行った。結果はすべての反応に含まれる内因性ポジティブ基準との相対で表す。
【0121】
非量的RT−PCR
0.5mMの各dNTP、50ng/μlオリゴ−dTプライマー、及び10ng/μlランダムヘキサマーを含む1×反応バッファー20μl中に1反応当たり4UのOmniscript逆転写酵素(Qiagen, Crawley, UK)を用いてRNA (1試料当たり1〜2μg)を逆転写した。93℃で2分間の後、37℃で1時間で逆転写を行った。製造者の指示書に従って、プライマー フォワード、’CAACGGCTCGGTCACCCTCAGC−3’(配列番号33)及びリバース、5’AAGGGGTGTCTGCGAGTCTCCG−3’(配列番号34)とHotStarTaq DNAポリメラーゼ(Qiagen, Crawley, UK)を用いて、ヒトIPレセプターmRNAの672〜1035塩基の364bpフラグメントが増幅された。2.5Uの酵素、200μMの各dNTP、及び各プライマー100ngを含む50mlの1×反応バッファーに5μlの各cDNAを加えた。95℃で15分を1サイクル、95℃で1分の変性、66℃で30秒のアニーリング、及び72℃で45秒の伸展を40サイクルの増幅反応とした。最終の伸展に続いて、72℃で10分間おいた。反応液を1%アガロースゲルにて分解し、エチジウムブロマイド透照により可視化した。産物ごとに代表の配列をカスタムシークエンス(MWG-Biotech AG, Ebersberg, Germany)によって確認した。
【0122】
インサイツハイブリダイゼーション
IPのために特別に合成されたオリゴヌクレオチド二重フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識cDNAプローブをBiognostik(Gottingen、ドイツ)から入手した。切片(5μM)をゼラチン被覆スライド上で、月経周期全体から集めた全厚ヒト子宮生検(n=12)から切り取った。切片のワックス除去を行い、再水和した後、プロテイナーゼK処理(50mM EDTAを含む100mMトリス−HClpH7.6中50μg/ml)を37℃で15分間行い、cDNAプローブのアクセスを高めた。切片をジエチルピロカルボネート処理水中で洗浄後、あらかじめ95℃で熱処理したプローブを加えたハイブリダイゼーションバッファー25μlを用いて30℃で4時間プレハイブリを行った。その後、6U/mlのcDNAプローブを含むハイブリダイゼーションバッファー中で30℃で一昼夜ハイブリダイズを行った。ハイブリダイゼーション後、39℃で1×標準的クエン酸生理食塩水(SSC)で5分間(2回)及び0.1×SSCで15分間(2回)の洗浄を行った。付加的増幅工程を有する標準的免疫組織化学的試薬を使用してFITC標的プローブを検出した(TSAビオチン系、NENライフ・サイエンシス、UK)。切片を30分間ブロッキングバッファーを用いてインキュベートした。共役抗−FITC−西洋わさびペルオキシダーゼ(Roche, Diagnostics Ltd.,Lewes, UK)を1/200の希釈率でブロッキング緩衝液に加え、切片を60分間インキュベートした。洗浄後、ビオチニルチラミド増幅試薬(1/50)を各スライドに加え、15分間インキュベートした。洗浄後ストレプトアビジン−西洋わさびペルオキシダーゼ(1/100)を加え、30分間インキュベートし、プローブの局在を3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)基質で可視化した。バックグラウンドハイブリダイゼーションを評価するために同じ比率のシステイン(C)及びグアニン(G)塩基をIPプローブとして含む二重FITC標識オリゴヌクレオチドプローブで対照を処理した。全処理は特に記載のない限り室温で行った。
【0123】
免疫組織化学
月経周期を通して採取した子宮内膜切片(n=12)(5μm)はキシレンでワックスを除去し、漸増濃度のエタノールを使用して再水和した。煮沸した0.1%クエン酸バッファー(pH 3.0)中で圧力機で5分間、切片を処理することによって抗原検索を行った。PBS中ですすいだ後、室温の10%Hを含むメタノールにより内在性のペルオキシダーゼ活性を失活した。ウサギ抗ウシPGISと共に4℃で一昼夜インキュベーションする前に、非免疫のブタ血清(20%血清PBS)を用いた。そして、色素原としてDABを用いてアビジン−ビオチンペルオキシダーゼ検出システムを適用した(DAKO Ltd.,Cambridge, UK)。Alexis Corporation (Nottingham, UK)より抗PGIS抗体を入手した。
そして、色素原としてDABを用いてアビジン−ビオチンペルオキシダーゼ検出システムを適用した(DAKO Ltd.,Cambridge, UK)。IPレセプターに対する抗体は以前に記載されている(Fortier等(2001) Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 65, 79-83)。非免疫ウサギ血清及びIPレセプターペプチドで前吸収させた抗体をIPレセプターのコントロールとして用い、非免疫ウサギ血清をPGISのコントロールとして用いた。上皮腺及び内皮にわたってまれに薄茶色の交差反応が見られる前吸収させた抗体及び非免疫ウサギ血清を用いた免疫反応は無視できた。
【0124】
全組織サイクリックAMPアッセイ
月経周期を通して得た子宮内膜生検(n=8)を最終的にはさみで刻み、3つに分けた。2 mmol/l L−グルタミン、100IUペニシリン、及び100μgストレプトマイシン及び3μg/mlインドメタシン(Sigma, Poole, UK)を含む2ml RPMI(Sigma, UK)培地中で加湿した5% CO培養槽で37℃一昼夜、組織をインキュベートした。一昼夜のインキュベーションの後、1−メチル−3−イソブチルキサンシン(Sigma)を含む同様の培地中で37℃30分間組織をインキュベーションした。そして、コントロール培地又は100nMイロプロスト(Schering Health Care, Burgess Hill, UKより入手)にて37℃で10分間処理し、0.1M HClですすぎ、分析まで凍結させた。製造者の指示書に従って、ELISA (Biomol, Affiniti, Exeter, UK)によりcAMP濃度を測定し、Lowry(Bio-Rad, Hemel Hempstead, UK)の法則を修飾して決定したタンパク質濃度に正規化した。
【0125】
細胞系のサイクリックAMP及び増殖アッセイ
イシカワ子宮内膜上皮細胞系(イシカワ細胞)及び子宮内膜間質性(ES)細胞を、10%胎仔ウシ血清(PAA Laboratories Ltd., Yeovil, UK)を添加したglutamax(Invitrogen Ltd., Paisley, UK)を含むDMEM F12培養液中で増やした。子宮内膜間質性細胞はR W Kelly教授より快くいただいたもので、以前に記載されているように(Dunn等 (2002) J Clin Endocrinol Metab 87, 1898-1901)、ヒト子宮内膜生検由来のものであった。サイクリックAMPアッセイのために、細胞を6ウェルプレートに70%集密度まで生育した。それらをインドメタシン(3μg/ml)存在下の無血清培地にて一昼夜飢えさせた。そして、1−メチル−3−イソブチルキサンシンを含む同様の培地中で37℃30分間細胞をインキュベートし、コントロール培地又は100nMイロプロストにて37℃で10分間処理した。処理後、0.1M HClですすぎ、分析まで凍結させた。組織試料のようにサイクリックAMPアッセイを行った。データは、コントロール試料に対して相対的増加が予測されるイロプロスト処理後に増加したcAMPの割合を平均値±SEMとして表した。増殖に対するイロプロストの影響を評価するために、細胞を96ウェルプレートに密閉し、70%集密度まで生育させた。それらをインドメタシン(3μg/ml)存在下の無血清培地にて一昼夜飢えさせた。コントロール培地又は100nMの濃度のイロプロストで37℃24時間細胞を処理した(各処理6ウェル;データは5又は6実験の平均として表した)。製造者の指示書に従って、比色定量法CellTiter 96 Aqueous One Solution細胞増殖アッセイ(Promega, Southampton, UK)を用いて増殖を評価した。20μlのアッセイ試薬(テトラゾリウム化合物、インナーソルト(inner salt)及び電子結合試薬を含む)を各ウェルに加え、試料を37℃で2時間インキュベートして、プレートを492nmで計測した。増殖を、無処理の細胞に対する相対的増殖割合として表し、平均値±SEMとしてプロットした。
【0126】
統計
適切な場合は、データをANOVA統計分析及びフィッシャーPLSD検定にかけ(Statview 4.0;Abacus Concepts Inc.,USA)、p<0.05の際に統計的に有意であるとした。
【0127】
結果
月経周期を通じてヒト子宮内膜におけるPGISmRNA発現のパターンを量的RT−PCR法により分析した。PGIS mRNAは実験したヒト子宮内膜のすべての試料において検出された(図1a)。月経周期の後期増殖期(1.74±0.51;n=7)より初期増殖期(10.36±4.58;n=6)において発現が相対的に高かった(p<0.05)。月経周期の初期分泌期(3.56+1.89;n=17)又は後期分泌期(1.42+0.29;n=4)ではPGIS発現が低かった。
また、月経周期を通じてIPレセプターmRNA発現の経時的パターンも量的RT−PCR法により評価した。IPmRNAはRT−PCRを行ったすべてのヒト子宮内膜試料において検出された(図1b)。しかし、月経周期の後期増殖期(2.09±0.57;n=7;p<0.01)、初期分泌期(3.16±0.56;n=17;p<0.01)又は後期分泌期(2.08+0.55;n=5;p<0.01)と比較して、初期増殖期(23.28±12.8;n=6)において相対的発現が著しく高かった。
【0128】
月経周期を通して採取した十分な厚さのヒト子宮生検についてPGISの免疫組織化学染色を行った。基質層(図2b)及び機能的層(図2c)の腺上皮細胞に細胞質及び核染色がみられた。間質性細胞反応も、微小血管系の内皮細胞染色と共に両層においてみられた(図2の矢印)。子宮筋平滑筋細胞は細胞質及び核反応の両方を示した(図2a挿入図)。
IP mRNAの発現部位についてインサイツハイブリダイゼーションにより分析した。月経周期の増殖期に採取した子宮試料にIP反応が検出され、子宮筋平滑筋細胞(図3a及びb)及び全子宮層の血管に並ぶ内皮細胞に局在していた(図3a及びc)。また、基底層及び機能的層の腺上皮細胞の主には細胞質だけでなく核にも非常に発現がみられた(図3b−d)。間質性細胞発現は基底層及び機能的領域にみられた(図3b−d)。
【0129】
全月経周期にわたって、基底層及び機能的層の両方の腺上皮細胞の細胞質及び核にIPレセプタータンパク質の免疫組織化学染色が検出された(図5a−c)。PGIS免疫反応と同様に、基底層(図5b)と比較して機能的層(図5c)においてIPレセプター間質性細胞染色がより強く、広範にみられた。また、IPレセプタータンパク質の発現は、全微小血管系の内皮細胞に局在し、子宮筋平滑筋細胞に存在した。
IPレセプターを介したシグナル伝達の研究のために、子宮内膜生検組織におけるイロプロスト処理に応答するcAMP生成を評価した(図4)。生検試料では、分泌期(4.83±0.74対2.07±0.39;各群n=4;p<0.05)と比較して、増殖期に採取した子宮内膜試料においてイロプロスト応答性のcAMP生成が著しく高かった。
【0130】
子宮内膜の上皮及び間質性細胞の増殖におけるIPレセプターの潜在的役割を研究するために、イシカワ細胞及びES細胞をIPレセプター発現及びシグナル伝達について評価し、そして、更なる機能的研究に利用した。従来技術を用いたIPレセプターの364bpフラグメントの増幅及び配列決定により両細胞型でのIPレセプターの発現が確認された(図6a)。さらに、イシカワ細胞及びES細胞でのcAMP生成は100nMイロプロスト処理後に著しく上昇した(コントロール値のそれぞれ166%±27.6%及び37,936%±18,464%;n=3;p<0.05) (図6b)。
最終的に、増殖に対するイロプロストの影響はイシカワ細胞及びES細胞で評価した(図7)。イロプロスト処理によりイシカワ細胞及びES細胞両方の増殖は著しく増加した(コントロール値のそれぞれ109.4%±2.4%及び112%±3.8%;p<0.05)。
【0131】
検討
この研究により、ヒト子宮内膜におけるPGIS及びIPレセプター遺伝子の発現が明らかとなり、月経中に両者が著しく上方制御されることが示された。PGISは標的組織でのPGI合成を引き起こす終末酵素である(Kniss, D.A. (1999) J Soc Gynecol Investig 6, 285-292)。月経中のPGIS発現レベルの上昇により、今回の所見が月経周期を通じてヒト子宮内膜によりPGI分泌に経時的パターンがあることを示すことが証明される;PGI濃度は月経中の子宮静脈血中で最大となる(Goodfellow 等(1952) Thromb Haemost 48, 9-12)。月経中のIPレセプター発現の上昇によりPGI合成及びIPレセプターが経時的に制御されて標的細胞にその効果を誘導することが示唆される。これは月経/増殖期に採取した子宮内膜にみられた最大イロプロスト誘導性cAMP応答により立証される。IPレセプターはGタンパク質に結合してcAMP生成の増加に関連していることが示されている(Narumiya等 (1999) Physiol Rev 79, 11931226)。この研究でプロテインキナーゼAのみが研究されているにもかかわらず、近年他のプロスタグランジンレセプターで示されているように、IPレセプターがヒト子宮内膜での他のシグナル伝達経路を活性化していると予測される(Milne等 (2003) J Clin Endocrinol Metab 88, 1825-1832;Jabbour等 (2003) J Soc Gynaecol Invest (Supplement) 10, 75)。このような多様なシグナル伝達経路が、標的細胞に様々な表現形質変化をもたらす標的遺伝子の異なる活性化を引き起こすのであろう。
【0132】
ヒト子宮内膜において月経中にPGIS及びIPレセプターの発現を調節する因子は明らかでない。他のプロスタノイド及びそれらのレセプターで推論されているように、この経時的発現はステロイドホルモンにより調節されているようである(Milne等 (2001) J Clin Endocrinol Metab 86, 4453-4459;Milne等 (2003) J Clin Endocrinol Metab 88, 1825-1832)。エストラジオール−17βは子宮内膜間質性細胞においてPGIの分泌を刺激することが示されている(Levin等 (1992) Fertil Steril 58, 530-536)。これがIPレセプターの発現の上方制御に関与しているかどうかは不明である。また、IPレセプターの発現はPGI又は他のプロスタグランジンにより調節されうる。PGISの発現とPGIの合成はCOX−2により引き起こされており(Caughey等 (2001) J lmmunol 167, 2831-2838)、月経期間中上方制御される(Jones等 (1997) Hum Reprod 12, 1300-1306)。また、子宮内膜内の局所メディエーターがPGI合成の調節及び/又はそのレセプターの発現に関与しうることはもっとものように思われる。例えば、プロスタサイクリンは脈管構造に対してVEGFの保護的効果を示すメディエーターであり(Zachary, I. (2001) Am J Physiol Cell Physiol 280, C1375-1386)、PGI生合成はERK媒介性cPLA活性及びアラキドン酸流動化を介したVEGFにより上方制御される(Zachary & Gliki (2001) Cardiovasc Res 49, 568-581)。
【0133】
PGIS及びIPレセプターの発現は共にヒト子宮内膜の多細胞区画に局在していた。これらは、間質性、腺上皮性、内皮性及び平滑筋細胞を含む。このことは、プロスタサイクリンがヒト子宮内膜内の自己分泌/傍分必様式に作用してその細胞内効果を誘導していることを示す。妊娠中及び妊娠していないヒト子宮筋の筋細胞、血管平滑筋細胞及び内皮細胞におけるPGIS及びIPレセプターの免疫反応は既に証明されている(Moonen等 (1986) Br J Obstet Gynaecol 93, 255-259;Chegini & Rao (1988) J Clin Endocrinol Metab 66, 76-87;Giannoulias等 (2002) J Clin Endocrinol Metab 87, 5274-5282)。我々の知る限り、これがヒト子宮内膜内の腺上皮性及び間質性細胞におけるPGIS及びIPレセプター局在化についての初めての報告である。[H]PGIを用いたオートラジオグラフィーによるヒト子宮組織についての以前の研究では、子宮筋平滑筋内のPGI結合部位を明らかにしたものの、上皮細胞内のPGI結合部位を明らかにできなかった(Chegini & Rao (1988) J Clin Endocrinol Metab 66, 76-87)。ここで示された所見の矛盾は用いた方法の感度における差異を反映している。興味深いことに、PGIS及びIPレセプターの間質性発現は子宮内膜の機能的層で最も高い。閉経前の女性では、連続的月経周期の間にヒト子宮内膜に増殖とアポトーシスの期間が生じる。この期間は子宮内膜の機能的層に優先的にみられ、続く月経周期の増殖期の間に再生成される前の月経期で減少する。ゆえに、このPGIS及びIPレセプターの空間的-経時的発現は、調和を保つ際に月経中のその予測される役割にとって重要である。
【0134】
Baird等 ((1996) Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 70, 15-17)は、子宮筋平滑筋と血管弛緩効果と血小板凝集阻害に基づいた月経期のPGI2の役割を仮定している。これはPGF2α等の他のプロスタグランジンの効果を弱め、血管収縮及び子宮筋平滑筋収縮を引き起こす(Crankshaw & Dyal (1994) Can J Physiol Pharmacol 72, 870-874)。また、PGIは血管平滑筋増殖の抑制及び内皮細胞生存亢進により内皮細胞に対して保護的効果を有するため、血管床の修復にも関与しているようである(Zachary, I. (2001) Am J Physiol Cell Physiol 280, C1375-1386)。また、月経中のPGIS及びIPレセプター発現の増加は、月経過多の原因におけるPGIの役割と一致している。月経出血機能不全の研究により既にこのことが証明され、コントロールに対して相対的に過剰出血欠損を示す女性の子宮組織において、PGI合成の増加(Smith等 (1981) Lancet 1, 522-524)、又はスロンボキサンAに対してPGIの相対的な合成増加(Makarainen & Ylikorkala (1986) Br J Obstet Gynaecol 93, 974-978)が明らかとなった。IPレセプター発現及びシグナル伝達もまた月経機能不全女性の子宮内膜において亢進しているかどうかは確立されていない。
【0135】
子宮内膜間質性及び上皮性細胞におけるプロスタサイクリンの役割は不明である。これらの細胞は機能的IPレセプターを発現することが示され、イロプロストで両細胞を処理するとわずかに細胞増殖が増加した。プロスタサイクリンは細胞の種類に応じて増殖抑制及び増殖刺激の両方の効果を有することが示されている(Clapp等 (2002) Am J Respir Cell Mol Biol 26, 194-201;Murphy & Fitzgerald (2001) Faseb J 15, 1667-1669)。しかし、子宮内膜上皮及び間質性細胞にみられたイロプロスト誘導性増殖は、他のプロスタグランジンで既に報告されているもの、例としてPGE(25%増加) (Jabbour & Boddy (2003) J Soc Gynaecol Invest (Supplement) 10, 75)及びPGF2α(31%増加) (Milne & Jabbour (2003) J Clin Endocrinol Metab 88, 1825-1832)よりはるかに低い。この違いはEP及びFPレセプターと比較してIPレセプター発現の経時的パターンに反映される。IPレセプターの発現は月経期に最も高くなるのに対して、PGE(すなわちEP4)及びPGF2α(FP)のレセプターの発現は中−後期増殖期に最大に検出される(Milne等 (2001) J Clin ,Endocrinol Metab 88, 4453-4459;Milne & Jabbour (2003) J Clin .Endocrinol Metab 88, 18251832)。間質性及び上皮性細胞におけるIPレセプターの発現により月経期に子宮内膜の血管機能に関与する遺伝子が誘導されると推測できる。ヒト子宮内膜の腺性及び/又は間質性細胞においてこれら遺伝子の多く、例としてVEGF、アンギオポイエチン、bFGF、又は一酸化窒素が発現している(Gargett & Rogers (2001) Reproduction 121, 181-186;Hewett等 (2002) Am J Pathol 160, 773-780)。
【0136】
要約すれば、この研究により月経周期を通して妊娠していないヒト子宮内膜においてPGIS及びIPレセプターの経時的発現が明らかとなった。両遺伝子の発現は、月経期に最も高くなり、子宮内膜及び子宮筋内の多細胞区画に局在している。ヒト子宮内膜のプロスタサイクリンの機能は月経中のプロテインキナーゼAに関連している。さらに、子宮内膜間質性及び上皮性細胞をプロスタサイクリン類似体で処理すると増殖がわずかに増加する。将来的研究により、月経におけるプロスタサイクリンの役割とヒト子宮内膜におけるそのシグナル伝達機構が明らかにされるであろう。
【0137】
実施例2:月経過多のない女性と比較した月経過多女性の子宮組織におけるIPレセプターの発現。
月経周期の増殖期に正常な子宮機能を有する女性及び月経過多である女性からの生検から内皮組織を採取した。IPレセプター抗体を用いて実施例1に記載の方法による免疫組織化学により1/500の希釈率で組織を測定した(Fortier等(2001) Prostaglandins Leukol Essent Fatty Acids 65, 79-83)。
図8に示すように、正常な血液欠損の女性(B)と比較して月経過多の病歴を持つ女性(A)の内皮組織でIPレセプターの発現が上昇した。
子宮内膜の血管及び腺性上皮性細胞の両方に染色がみられた。血管での染色により、プロスタサイクリンは血管機能への直接的影響、例として血液漏出の増加を引き起こす脈管構造の透過性増加があることを示唆した。
ゆえに、月経過多女性では、血管機能/機能欠損及び過剰出血を介するシグナル伝達及び標的遺伝子の最終的転写を遮断するためにIPレセプターアンタゴニストを用いて治療することの有用性が証明された。
【0138】
実施例3:IPレセプターアンタゴニストを用いた子宮癌の治療
子宮癌にかかった患者に、3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸又は2-[5-(4-フルオロ-フェニル)ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0139】
実施例4:IPレセプターアンタゴニスト及びEP2レセプターアンタゴニストを用いた子宮癌の治療
子宮癌にかかった患者に、4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボキシル酸エチルエステル又は2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリンと、AH6809を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0140】
実施例5:IPレセプターアンタゴニスト及びEP4レセプターアンタゴニストを用いた子宮癌の治療
子宮癌にかかった患者に、(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオニン酸又は3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸と、AH23848Bを、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0141】
実施例6:IPレセプターアンタゴニスト及びFPレセプターアンタゴニストを用いた子宮癌の治療
子宮癌にかかった患者に、2-[5-(4-フルオロ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸又は4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-l-カルボキシル酸エチルエステルと、AL-313 S又はAL-8810を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0142】
実施例7:IPレセプターアンタゴニスト及びCOX−2インヒビターを用いた子宮癌の治療
子宮癌にかかった患者に、2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリン又は(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオン酸と、ニメスリドを、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0143】
実施例8:IPレセプターアンタゴニストを用いた子宮筋腫の治療
子宮筋腫にかかった患者に、4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボキシル酸エチルエステル又は2-[5-(4-フルオロ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0144】
実施例9:IPレセプターアンタゴニスト及びEP2レセプターアンタゴニストを用いた子宮筋腫の治療
子宮筋腫にかかった患者に、3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸又は2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリンと、AH6809を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0145】
実施例10:IPレセプターアンタゴニスト及びEP4レセプターアンタゴニストを用いた子宮筋腫の治療
子宮筋腫にかかった患者に、(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオニン酸又は3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸と、AH22921を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0146】
実施例11:IPレセプターアンタゴニスト及びFPレセプターアンタゴニストを用いた子宮筋腫の治療
子宮筋腫にかかった患者に、2-[5-(4-フルオロ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸又は(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオニン酸と、AL-3138又はAL-8810を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0147】
実施例12:IPレセプターアンタゴニスト及びCOX−2インヒビターを用いた子宮筋腫の治療
子宮筋腫にかかった患者に、2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリン又は2-[5-(4-フルオロ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸と、ニメスリドを、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0148】
実施例13:IPレセプターアンタゴニストを用いた子宮内膜症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸又は4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボキシル酸エチルエステルを、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0149】
実施例14:IPレセプターアンタゴニスト及びEP2レセプターアンタゴニストを用いた子宮内膜症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボキシル酸エチルエステル又は(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオニン酸と、AH6809を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0150】
実施例15:IPレセプターアンタゴニスト及びEP4レセプターアンタゴニストを用いた子宮内膜症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリン又は3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸と、AH2291を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0151】
実施例16:IPレセプターアンタゴニスト及びFPレセプターアンタゴニストを用いた子宮内膜症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、2-[5-(4-フルオロ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸又は2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリンと、AL-3138又はAL-8810を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0152】
実施例17:IPレセプターアンタゴニスト及びCOX−2インヒビターを用いた子宮内膜症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボキシル酸エチルエステル又は(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオン酸と、ニメスリドを、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0153】
実施例18:IPレセプターアンタゴニストを用いた月経過多の治療
子宮内膜症にかかった患者に、3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸又は2-[5-(4-フルオロ-フェニル)ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0154】
実施例19:IPレセプターアンタゴニスト及びEP2レセプターアンタゴニストを用いた月経過多の治療
子宮内膜症にかかった患者に、4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボキシル酸エチルエステル又は2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリンと、AH6809を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0155】
実施例20:IPレセプターアンタゴニスト及びEP4レセプターアンタゴニストを用いた月経過多の治療
子宮内膜症にかかった患者に、(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオニン酸又は3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸と、AH2291を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0156】
実施例21:IPレセプターアンタゴニスト及びFPレセプターアンタゴニストを用いた月経過多の治療
子宮内膜症にかかった患者に、2-[5-(4-フルオロ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸又は4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-l-カルボキシル酸エチルエステルと、AL-3138又はAL-8810を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0157】
実施例22:IPレセプターアンタゴニスト及びCOX−2インヒビターを用いた月経過多の治療
子宮内膜症にかかった患者に、2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリン又は(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオン酸と、ニメスリドを、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0158】
実施例23:IPレセプターアンタゴニストを用いた月経困難症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸又は2-[5-(4-フルオロ-フェニル)ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0159】
実施例24:IPレセプターアンタゴニスト及びEP2レセプターアンタゴニストを用いた月経困難症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、2-[5-(4-フルオロ-フェニル)ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸又は4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-1-カルボキシル酸エチルエステルと、AH6809を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0160】
実施例25:IPレセプターアンタゴニスト及びEP4レセプターアンタゴニストを用いた月経困難症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリン又は(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオニン酸と、AH2291を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0161】
実施例26:IPレセプターアンタゴニスト及びFPレセプターアンタゴニストを用いた月経困難症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、3-(5-フェニル-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニル-アミノ)-イソニコチン酸又は2-[5-(4-フルオロ-フェニル)-ベンゾフラン-2-イルメトキシカルボニルアミノ]-5-メタンスルホニルアミノ-安息香酸又は4-(4-{3-[4-(4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-イルアミノ)-フェニル]-プロピオニル}-3-フルオロ-フェニル)-ピペラジン-l-カルボキシル酸エチルエステルと、AL-3138又はAL-8810を、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0162】
実施例27:IPレセプターアンタゴニスト及びCOX−2インヒビターを用いた月経困難症の治療
子宮内膜症にかかった患者に、2-[4-(4-イソプロキシベンゾイル)フェニル]アミノ-イミダゾリン又は(R)-3-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(ビフェニル-4-イルメトキシカルボニルアミノ)-プロピオン酸と、ニメスリドを、治療部位の活性作用物質の治療的濃度が治療期間を通じて理想的にはEC90の濃度に維持され、好ましくはEC50以下にならないような用量及び頻度で投与する。この治療は、患者の容認性、副作用の回避及び全身的バイオアベイラビリティに応じて、経口的に、あるいはより局所的に行われる。
【0163】
参考文献
Smyth EM, FitzGerald GA (2002) Human prostacyclin receptor. Vitam Horm 65: 149-165.
Kniss DA (1999) Cyclooxygenases in reproductive medicine and biology. J Soc Gynecol Investig 6: 285-292.
Narumiya S, Sugimoto Y, Ushikubi F (1999) Prostanoid receptors: structures, properties, and functions. Physiol Rev 79: 1193-1226.
Cooper KG, Jack SA.. Parkin DE, Grant AM (2001) Five-year follow up of women randomised to medical management or transcervical resection of the endometrium for heavy menstrual loss: clinical and quality of life outcomes. Bjog 108: 1222-1228.
Smith SK, Abel MH, Kelly RW, Baird DT (1981) A role for prostacyclin (PGi2) in excessive menstrual bleeding. Lancet 1: 522-524.
Makarainen L, Ylikorkala O 1986 Primary and myoma-associated menorrhagia: role of prostaglandins and effects of ibuprofen. Br J Obstet Gynaecol 93: 974978.
Noyes RW, Hertig AT, Rock J 1975 Dating the endometrial biopsy. Am J Obstet Gynecol 122: 262-263.
Milne SA, Perchick GB, Boddy SC, Jabbour HN (2001) Expression, localization; and signaling of PGE(2) and EP2/EP4 receptors in human nonpregnant endometrium across the menstrual cycle. J Clin Endocrinol Metab 86:4453-4459.
Ashby, B. (1998) Co-expression of prostaglandin receptors with opposite effects: a model for homeostatic control of autocrine and paracrine signalling. Biochem Pharmacol 55: 239-246.
Coleman, RA, Smith, WL, Narumiya, S. (1994) International Union of Pharmacology classification of prostanoid receptors: properties, distribution, and structure of the receptors and their subtypes. Pharmacol Rev 46: 205-229.
DeWitt, DL. (1991) Prostaglandin endoperoxide synthase: regulation of enzyme expression. Biochim Biophys Acta 1083: 1.21-134.
Gordon, MD, Ireland, K. (1994) Pathology of hyperplasia and carcinoma of the endometrium. Semin Oncol 21: 64-70.
Herschman, HR. (1996) Prostaglandin synthase 2. Biochim Biophys Acta 1299: 125-140.
Mant, JW, Vessey, MP. (1994) Ovarian and endometrial cancers. Cancer Surv 20: 287-307.
Subbaramaiah, K, Telang, N, Ramonetti, JT, Araki, R, DeVito, B, Weksler, BB, Dannenberg, A.J. (1996) Transcription of cyclooxygenase-2 is enhanced in transformed mammary epithelial cells. Cancer Res 56: 4424-4429.
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】図1a;月経周期を通じて得た子宮内膜生検でのPGI合成酵素mRNA発現の変化。相対的発現は、周期の増殖初期(10.36±4.58; n=6)と比較して、増殖後期(1.74±0.51; n=7; p<0.05)において著しく低かった。分泌初期(3.56±1.89; n=17; p=0.06)及び分泌後期(1.42±0.29;n=4; p=0.068)においては発現が低かった。図1b;月経周期を通じて得た子宮内膜生検でのIPレセプターmRNA発現の経時的変化。相対的発現は、増殖初期(23.28±12.8; n=6)と比較して、増殖後期(2.09±0.57; n=7; p<0.01)、分泌初期(3.16±0.56; n=17; p<0.005)及び分泌後期(2.08±0.55; n=5; p<0.01)において著しく低かった。
【図2】月経周期の増殖初期、増殖後期(b)、及び分泌初期(a)に採取した十分な厚さを有した子宮内膜組織におけるPGI合成酵素の免疫組織学的局在。線上皮性細胞(G)、基底部(B)、機能性部分(F)層、及び表面上皮(SE)において強い染色がみられた。機能的層(c)及び基底層(b)に間質性染色がみられた。Strong staining was present in smooth muscle cells in the 子宮筋層(Myo)の平滑筋細胞に強い染色がみられ、全ての層の血管に内皮性反応がみられた(a、b及びc挿入図の矢印)。
【図3】月経周期の増殖中期に採取したヒト子宮内膜組織部位に対するIPレセプタープローブを用いたインサイツハイブリダイゼーション。(a)平滑筋細胞及び血管の反応が見られる子宮筋層にIPレセプターが発現した(矢印)。基底層(b)及び機能的層(cおよびd)の上皮細胞(G)及び間質細胞ではいくらかの染色がみられたが、その染色は子宮筋層(M)よりも弱かった。また、基底層及び機能的層の間質性細胞及び子宮内膜中の血管(BV)の上皮細胞にもIPレセプター発現がみられた(矢印)。
【図4】100nMのイロプロストに対する子宮内膜生検組織でのサイクリックAMP生成。月経周期の増殖期に採取した試料にイロプロストを加えて10分間インキュベーションした結果、cAMPの生成は、分泌期に採取した試料(各群n=4 ; p<0.05)が2.07±0.38倍に対して、4.83±0.74倍であった。
【図5】月経周期の増殖期に採取したヒト子宮内膜組織(機能的層及び基底-子宮筋層結合)におけるIPレセプターの免疫組織学的局在。基底層(B)及び機能的層(F)の両方に腺性上皮性染色(G)がみられ、子宮筋層(M)の平滑筋細胞に反応が検出された(図5a−c)。子宮内膜中の間質性細胞に染色がみられたが、基底層(図5b)と比較して機能的層におけるものが強かった(図5c)。子宮内膜中及び基底層−子宮筋層結合部の内皮細胞にもIPレセプターに対するポジティブな反応を示した(図4b及びcに矢印で示す)。NEG=ネガティブコントロール;大きさの基準=50 μEm。
【図6】イシカワ及びES細胞におけるIPレセプターの発現及びシグナル伝達。図6a;子宮内膜組織(レーンA)、ES細胞(レーンB)、及びイシカワ細胞(レーンC)におけるヒトIPレセプターの364bpフラグメントのPCR増幅。レーンDはwater blank及びMはDNAマーカーである。図6b;100nMのイロプロストに対するイシカワ及びES細胞におけるサイクリックAMP生成(n=3)。結果をcAMP誘発での増加割合を平均値±SEMとして表す。
【図7】24時間の100nMのイロプロストに反応するイシカワ細胞(n=5)及びES細胞(n=6)での増殖。結果を増殖での増加割合を平均値±SEMとして表す。
【図8】過剰な血液欠損(A)または正常な血液欠損(B)の女性から回収したヒト子宮内膜でのIPレセプター発現の免疫組織化学。切片CはDAB染色した組織のネガティブコントロールである。矢印は血管を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性個体の子宮の病的症状を克服する方法において、IPレセプターのアンタゴニストの少なくとも一作用剤及び/又はプロスタグランジンI合成酵素(PGIS)インヒビターを個体に投与することを含む方法。
【請求項2】
子宮の病的症状が子宮筋層または子宮内膜の異常な細胞成長に関する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
子宮の病的症状が子宮癌、月経過多、月経困難症、あるいは子宮内膜又は子宮筋層病的症状から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
子宮内膜病的症状が子宮内膜症である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
子宮筋層病的症状が子宮筋腫である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
IPレセプターのアンタゴニストがIPレセプターに対するPGIの結合を予防又は減少させる、請求項1ないし5の何れかに記載の方法。
【請求項7】
IPレセプターのアンタゴニストがPGIおよびIPレセプター間の相互作用、又はIPレセプターおよび関連Gタンパク質間の相互作用に影響を及ぼし、よってPGI−IP媒介シグナル伝達経路を阻害又は中断する、請求項1ないし6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
IPレセプターアンタゴニストが、EP09020l8A2に記載の2−(アリルフェニル)アミノ−イミダゾリン誘導体;US6,184,242に記載の2−(置換されたフェニル)アミノ−イミダゾリン誘導体;WO02/070514に記載のアルコキシカルボニルアミノ・ヘテロアリール・カルボン酸誘導体;WO02/070500に記載のアルコキシカルボニルアミノ安息香酸またはアルコキシカルボニルアミノ・テトラゾリル・フェニル誘導体;WO02/40453に記載の2−フェニルアミノイミダゾリン・フェニルケトン誘導体;WO01/68591に記載のカルボン酸誘導体;WO01/10433に記載のアミノ−又はアミド−プロスタサイクリン誘導体合成物;WO01/10445に記載の15(R)イソカルバサイクリン又は15−デオキシイソカルバサイクリン誘導体;WO79/00744に記載の6,9-チアプロスタサイクリン類似体または誘導体;(5Z)-カルバサイクリン;FCE22176((5Z)-13,14−ジデヒドロ-20-メチル-カルボプロスタサイクリン);及び、抗IPレセプター抗体のうちの一以上の何れかである、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
作用剤がPGIのアンタゴニストである、請求項1ないし7の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
作用剤がPGISのインヒビターである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
PGISインヒビターが抗PGIS抗体、U−51605、ペリオキシナイトライド、3−モルホリノシドノニミンN−エチルカルバミド又はトランス2−フェニルシクロプロピルアミンHClである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
また、PGESインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストを個体に投与する、請求項1ないし11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
EP2またはEP4のアンタゴニストが、AH6809、WO 00/15608(小野薬品工業)に記載のω置換プロスタグランジンE誘導体、AH23848B、AH22921X、IFTSYLECL、IFASYECL、IFTSAECL、IFTSYEAL、ILASYECL、IFTSTDCL、TSYEAL(4-2フェニルアラニンと共に)、TSYEAL(ホモ・フェニルアラニンと共に)、WO 00/03980(小野薬品工業)に記載の5チア-プロスタグランジンE誘導体、5-ブチル-2,4-ジヒドロ-4-[[2'-[N(3-クロロ-2-チオフェンカルボニル)スルファモイル]2フェニル-4-イル]]-2メチル{2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,4-トリアゾル-3-1カリウム塩、5-ブチル-2,4-ジヒドロ-4-[[2'-[N-(2-メチル-3-フロニル)スルファモイル]ビフェニル-4-イル]メチル]-2-{2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,4-トリアゾル-3-1、5-ブチル-2,4-ジヒドロ-4-[[2'-[N-(3-メチル-2-チオフェンカルボニル)スルファモイル]ビフェニル-4-イル]メチル]-2-{2(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,4-トリアゾル-3-1、5-ブチル-2,4-ジヒドロ-4-[[2'-[N-(2-チオフェンカルボニル)スルファモイル]ビフェニル-4-イル]メチル]-2-{2(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,4-トリアゾル-3-1、及び、5-ブチル-2,4-ジヒドロ-4-[[2'-[N-[2-(メチルピルロル)カルボニル]スルファモイル]ビフェニル-4イル]メチル]-2-{2-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,4-トリアゾル-3-1のうちの一以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
また、FPレセプターのアンタゴニストを個体に投与する、請求項1ないし13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
FPレセプターアンタゴニストが、PGF2αジメチルアミド;PGF2αジメチルアミン;AL−8810((5Z,13 E)-(9S,11S ,15R)-9,15-ジヒドロキシ-11-フルオロ-15-(2-インダニル)-16,17,18,19,20-ペンタノール-5,13-プロスタジエン酸);AL−3138(11-デオキシ-16-フルオロPGF);フロレチン;グリベンクラミド;リドグレル;PHG113;PCP−1(rvkfksqqhrqgrshhlem);PCP−2(rkavlknlyklasqccgvhvislhiwelssiknslkvaaisespvaeksast);PCP−3(clseeakearrindeierqlrrdkrdarre-NH2);PCP−4(kdtilqlnlkeynlv-NH2);PCP−8(ilghrdyk);PCP−10(wedrfyll);PCP−13(ILGHRDYK);PCP−14(YQDRFYLL);(ILAHRDYK);PCP−13.7(ILAHRDYK);PCP−13.8(ILaHRDYK);PCP−13.11(ILGFRDYK);PCP−13.13(ILGHKDYK);PCP−13.14(ILGHRNYK);PCP13.18(ILGHQDYK);PCP−13.20(ILGHRDY-アミド);PCP−13.21(ILGHRDYK-アミド);PCP−13.22(ILGWRDYK);PCP−13.24(ILGXRDYK);及び、PCP−15(SNVLCSIF)のうちの一以上である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
作用剤がPGF2αのアンタゴニストである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
PGF2αアンタゴニストが抗PGF2α抗体である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)インヒビターが個体に投与される、請求項1ないし17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
COX−2インヒビターがニメスリド、4-ヒドロキシニメスリド、フロスリド、及びメロキシカムの何れか一つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
女性個体の子宮の病的症状を克服するための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストの少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターの使用。
【請求項21】
アンタゴニストである少なくとも一作用剤、IPレセプター及びPGISインヒビターを個人に投与する、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
PGESインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニスト、ないしはCOX−2インヒビターのうちの何れか一以上を個体に投与する、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
女性個体の子宮の病的症状の治療又は予防をするための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストの組合せの使用。
【請求項24】
FPレセプターのアンタゴニストである一以上の作用剤、及びCOX−2インヒビターを個体に投与する、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤び/又はPGISインヒビターと、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤の組合せの使用。
【請求項26】
PGESインヒビターの一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、及びCOX−2インヒビターを個体に投与する、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、COX−2インヒビターの組合せの使用。
【請求項28】
PGESのインヒビターの一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、及びFPレセプターのアンタゴニストである作用剤を個体に投与する、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストと、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤の組合せの使用。
【請求項30】
COX−2インヒビターを個体に投与する、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストと、COX−2インヒビターの組合せの使用。
【請求項32】
FPレセプターのアンタゴニストである作用剤を個体に投与する、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターと、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤と、COX−2インヒビターとの組合せの使用。
【請求項34】
PGESインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストを個体に投与する、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造における、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤と、COX−2インヒビターとの組合せの使用。
【請求項36】
女性個体の子宮の病的症状を治療又は予防するための医薬の製造における、PGESのインヒビターの一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターの使用であって、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターを個体に投与する使用。
【請求項37】
PGESのインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストが請求項13に定義したものである、請求項22ないし24、26、28ないし32及び34ないし36の何れか一項に記載の使用。
【請求項38】
FPレセプターのアンタゴニストである作用剤が請求項15ないし17の何れかに定義したものである、請求項22、24ないし26、28ないし30及び32ないし36の何れか一項に記載の使用。
【請求項39】
COX−2インヒビターが請求項19に定義したものである、請求項22、24、26ないし28及び30ないし36の何れか一項に記載の使用。
【請求項40】
IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISのインヒビターが請求項6ないし11の何れかに定義したものである、請求項20ないし39の何れか一項に記載の使用。
【請求項41】
子宮の病的症状が請求項2ないし5の何れかに定義したものである、請求項20ないし40の何れか一項に記載の使用。
【請求項42】
膣リング又はタンポン又は子宮内避妊器具経由で投与するように形成された医薬である、請求項20ないし41の何れか一項に記載の使用。
【請求項43】
IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びPGESのインヒビターの何れか一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターを含む組成物。
【請求項44】
医薬への使用のための、IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びPGESのインヒビターの何れか一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターを含む組成物。
【請求項45】
IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びPGESのインヒビターの何れか一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターと、薬学的受容性のある担体を含む医薬組成物。
【請求項46】
IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビター、及びPGESのインヒビターの何れか一以上及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニスト、FPレセプターのアンタゴニストである作用剤、及びCOX−2インヒビターを含む膣リング又はタンポン又は子宮内避妊器具。
【請求項47】
IPレセプターのアンタゴニストである少なくとも一作用剤及び/又はPGISインヒビターが請求項6ないし11の何れか一項に定義のものである、請求項43に記載の組成物又は請求項45に記載の医薬組成物又は請求項46に記載の膣リング又はタンポン又は子宮内避妊器具。
【請求項48】
PGESインヒビター及び/又はEP2又はEP4のアンタゴニストが請求項13に定義のものである、請求項43に記載の組成物又は請求項45に記載の医薬組成物又は請求項46に記載の膣リング又はタンポン又は子宮内避妊器具。
【請求項49】
FPレセプターのアンタゴニストである作用剤が請求項15ないし17の何れか一項に定義のものである、請求項43に記載の組成物又は請求項45に記載の医薬組成物又は請求項46に記載の膣リング又はタンポン又は子宮内避妊器具。
【請求項50】
COX−2インヒビターが請求項19に定義のものである、請求項43に記載の組成物又は請求項45に記載の医薬組成物又は請求項46に記載の膣リング又はタンポン又は子宮内避妊器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2006−517576(P2006−517576A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502277(P2006−502277)
【出願日】平成16年2月16日(2004.2.16)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000588
【国際公開番号】WO2004/071508
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504171433)メディカル リサーチ カウンシル (16)
【Fターム(参考)】