説明

痛み軽減薬剤

本発明は、痛みの軽減に使用される医薬の製造において、熱ショック・ポリペプチドおよび/またはそれをコードする核酸配列の使用に関する。本発明はその熱ショック・ポリ
ペプチドがシャペロニンであり、それは特に細菌、好ましくはマイコバクテリウム、特に結核菌に由来するものであることを特徴としている。さらに本発明は、熱ショック・ポリペプチドを含有する医薬組成物を用いて痛みの軽減する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痛みを軽減する薬剤に関し、特に1つまたはそれ以上の熱ショック・ポリペプチドを含有する痛み軽減薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
熱ショック・ポリペプチドは、すべての生物体に見出される分子ファミリーである。その機能は、生体分子の生物的処理および安定化を支援することである(Zugel & Kauffman
(1999)「感染症の発生病理および防御における熱ショック・ポリペプチドの役割」 Clin. Microbiol. Rev. (12) 1 : 19-39; Ranford ら. (2000) 「シャペロニンは細胞の信号
伝達ポリペプチドである:シャペロン分子のアンフォールディング生物学」Exp. Rev. Mol. Med., 9月15日 www. ermn.cbcu. cam. ac. uk/00002015h. htm).
熱ショック・ポリペプチドは、あらゆる細胞内コンパートメントに見出され、広範な生体分子と相互作用をする能力を有する。熱ショック・ポリペプチドは、とりわけポリペプチドおよびそれらの複合体の集合から離散までの間、どんな時でも、ポリペプチドの折りたたみ(folding)ならびにポリペプチドの転位置を補助し、影響を及ぼしている。
【0003】
熱ショック・ポリペプチドのヘルパー特性は、分子シャペロンとしても知られるようになって来ている(Laskeyら(1978) 「ヌクレオソームは、ヒストンと結合してDNAに移行さ
せる酸性ポリペプチドによって構築される。」Nature (275): 416-420)。
【0004】
熱ショック・ポリペプチドは、周囲環境のストレスに応答して細胞により合成される。そのストレスとして、温度変化(上昇および降下のいずれも)およびサイトカインといった病態生理学的なシグナルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。熱ショック・ポリペプチドは、環境ストレスに応答し、ストレスの存在のために生起するかも知れない変性のいずれからも他のポリペプチドを保護するために該ポリペプチドを処置するようにその能力を用いる。その機構はそのタンパク質を含む細胞を保護するようにも作用する。
【0005】
シャペロニン・ポリペプチドは、熱ショック・ポリペプチドのサブグループであり、ポリペプチドの折りたたみにおけるその役割はよく知られている。シャペロニン・ポリペプチドには2つのファミリーがあり、シャペロニン60ファミリー(概ね60 kDa)およびシャペロニン10 (概ね10 kDa)ファミリーである(Ranford, 2000)。最もその特性が明らかにされたシャペロニンは、大腸菌に由来するものであり、それらからシャペロニン60およびシャペロニン10の特徴的な構造が確立されてきた。他の生物体からのシャペロニン複合体もまた、その特徴的な構造と本質的に一致している。
【0006】
シャペロニンの特徴的構造は、2つのヘプタマー環(7つのシャペロニン60モノマーで
構成)から形成される複合体である。その際、互いに向き合っており、シャペロニン10モ
ノマーからなるヘプタマー環によってキャップされている。
【0007】
通例としてシャペロニンは、標的ポリペプチドが環をなすヘプタマーの中心部に入って来ると、該ポリペプチドの折りたたみを補助する。ATPからエネルギーが放出されると、
シャペロニン構造におけるコンホメーション変化により標的ポリペプチドがその中心部から放出される。(Ransonら,(1998) 総説:「シャペロン」 Biochem. J (333): 233-242).
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、シャペロニン 60.1 (cpn 60.1)を産生し、このものは他の公知シャペロニンとのアミノ酸配列同一性に基づいて名づけられたポリペプチドである。さらに結核菌シャペロニン・ポリペプチドは、シャペロニン10(cpn 10)およ
びシャペロニン60.2(cpn 60.2)である。シャペロニン60.2は、cpn 60.1に対して59.6%の
アミノ酸配列同一性、ならびに65.6%の核酸配列同一性を示す。
【0008】
痛みの軽減は、通常、経口または非経口的な投薬によってなされる。ほとんどの場合、痛みの軽減は、周知の鎮痛剤、例えばパラセタモール(paracetamol)、アスピリンおよ
びイブプロフェンといった他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)およびシクロオキシゲナ
ーゼ-2-選択的阻害薬(CSI)などによって有効に達成される。麻薬性鎮痛剤は、中枢神経系(CNS)の特異的なレセプターに作用する。コデイン(Codeine)およびジヒドロコデインは、中程度に強力な麻薬性鎮痛剤であり、依存性の恐れは低い。さらに強力な他の麻薬性鎮痛剤、例えばモルヒネおよびメサドン(methadone)は、激痛を鎮めるために用いること
ができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在、痛みを軽減する公知の薬剤には様々な問題が存在している。そうした薬剤は、比較的短時間しか作用せず、鎮痛効果は僅か数時間しか続かない。痛みをコントロールするには、通常、薬剤の反復投与が必要とされる。
【0010】
痛みの不充分な軽減は、もう一つの一般的な問題であるが、患者は服用量を増やすか、または薬剤を変えたりする。NSAIDの場合、不快な胃腸系の副作用、例えば消化不良症、
潰瘍などがよくある副作用であり、使用者のおよそ3分の2が、少なくとも1度は副作用と効き目が悪いために、NSAIDのブランドを変更する(Steinfeld S および Bjorke PA. 「非ステロイド系抗炎症性薬物を用いる治療の胃腸への負担を評価するために患者サーベイからの結果;rofecoxibの満足を決めるためにEVAからのデータの再調査との対比」 Rheumatology (Oxford) 2002,41 (S1), 23-27.)。さらにNSAIDおよびCSIは、心血管系の併発症を起こす可能性もある(Hillis W S, (2000)「無痛覚症において高まる関心領域:心血管
系併発症」Am. J. Ther. 9 (3) 259- 69)。
【0011】
子供の中には、アスピリンでライ(Reye)症候群を引き起こす可能性がある者もあり、このためアスピリンは、子供に使用されることはない。パラセタモールは、過剰投与が肝臓毒性であるために注意して使用されなければならない(Cranswick,N., Coghlan D.「子
供におけるパラセタモールの効能および安全性: 当初40 年間」(2000) Am. J. Ther. 7 (2) 135-41)。麻薬性鎮痛薬は、眠気、便秘、吐き気、頭痛および眩暈を含む様々な副作用を有する。モルヒネといった強力な麻薬性鎮痛薬を繰り返し投与すると依存性となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、次のようにして上記課題の解決を希求するものである。痛みの軽減剤としてシャペロニンが、現行の鎮痛剤を超える利点は、不利な副作用がより少ないことである。20億人の人々が結核を発症させることなく、結核菌を保菌していると推定されている。結核菌を保菌することは、普通の鎮痛剤の投薬に見られる副作用、例えば胃腸の副作用、心臓血管系の併発症、肝臓毒性、Reye症候群または薬物依存などには関係がない。従来から知られている痛みの軽減薬を越える利点として、シャペロニンの鎮痛作用が長く続くことである。
【0013】
第一の面として本発明は、痛みの軽減に使用される医薬の製造において、熱ショック・ポリペプチドおよび/またはそれをコードする核酸配列の使用を提供する。
上記熱ショック・ポリペプチドがシャペロニンであることが好ましい。より好ましくは、該シャペロニンが細菌由来である。もっと好ましくは、該シャペロニンが、マイコバクテリウムに由来する。最も好ましくは、該シャペロニンが結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に由来することである。
【0014】
好ましくは、前記核酸が、以下を含む:
(i)図1および/または図2および/または図3のヌクレオチド配列、あるいは
(ii) 配列(i)に対し66%を超える同一性を有する配列、または
2×SSC (SCC=0.15M NaCl、0.15M クエン酸ナトリウム、pH 7.2)、65℃の条件下で、配列(i)にハイブリダイズする配列であり、図 1および/または 図2および/または図3のヌクレオチド配列によってコードされる配列に機能的に等価なポリペプチドをコードする配列、あるいは
(iii)配列(i)または(ii)のフラグメントで、機能的に等価なポリペプチド・フラグメントをコードするフラグメント。
【0015】
好ましくは熱ショック・ポリペプチドは、以下を含む:
(i) 図1および/または図2および/または図3のアミノ酸配列、あるいは
(ii) 配列(i)に対し、60%を超える同一性を有し、機能的に等価なポリペプチドを与える
配列、あるいは
(iii) 配列(i)または(ii)に機能的に等価なフラグメント。
【0016】
前記の機能的に等価なフラグメントが、3〜400残基の長さを有することが望ましい。より好ましくは、前記の機能的に等価なフラグメントが3〜100残基の長さを有する。
好ましくは前記核酸分子が、上記で定義した機能的に等価なフラグメントをコードする。
【0017】
前記医薬が、さらに製剤上許容される賦形剤、希釈剤または担体を含むことが望ましい。
より好ましくは、前記医薬が上記の核酸分子またはポリペプチドの作用を補助するか、または補強する少なくとも1つの付加剤と組み合わせて提供される。
【0018】
さらに好ましくは、その付加剤が、パラセタモール、アスピリン、イブプロフェンなどの他の非ステロイド系抗炎症性薬剤(NSAID)、シクロオキシゲナーゼ-2-選択的阻害薬(CSI)、ならびにモルヒネおよびヘロインといったアヘン剤の少なくとも1つが選ばれて含ま
れる。
【0019】
上記医薬が延長された、または持続性の痛みの軽減をもたらすことが望ましい。
好ましくは1日あたりの投与レベルが、0.0001〜100,000 mgで、1回もしくは分けて投
与される。より好ましくは1日あたりの投与レベルが、0.0001〜1000 mgである。
【0020】
好ましい態様において、患者へ用量投与する時間間隔は、6時間と12時間の間にある。
患者への用量投与する時間間隔が、前回投与の後、9時間と12時間の間であることが望ましい。
【0021】
さらに好ましい態様において、患者へ用量投与する時間間隔は、12日と6ヶ月の間にあ
る。より好ましくは患者への用量投与する時間間隔は、12時間と12日の間である。
本発明の組成物は、鼻腔内、口腔内、腸管外、局所、眼、座薬、ペッサリーまたは吸入の経路から選択される少なくとも1つの経路による投与を可能とするように製剤化されることが望ましい。
【0022】
本発明の組成物は、吸入による投与を可能とするように製剤化されることがより好ましい。
好ましくは上記医薬は、ヒトまたは動物の患者の痛み軽減に使用される。最も好ましくは、該患者がヒトである。
【0023】
第二の態様における本発明は、第一の態様に基づいて患者に痛みを軽減するための医薬をある量を投与することを含む方法をさらに提供する。
定義
「痛みの軽減に使用する」ことには、一個体によって感じられる痛みに影響を与える治療すべてが包含される。そのような影響には、痛みの開始の遅延、過酷さの減少、持続時間の短縮、および/または痛みの感覚の除去を含むものである。「付加剤」とは、主薬と
は別個に、またはそれとの組み合わせで薬理活性があり、主薬とともに投薬される成分を意味し、これにより医薬におけるその存在が、主薬の作用を補助するか、または増強する。
【0024】
「痛覚過敏(症)(hyperalgesia)」とは、痛みのより早い開始、苦痛の増大、その持続時間の増加、および/または痛みの感覚に対する感受性の上昇をいう。
「機能的に等価」により、痛みを軽減する活性を有するポリペプチドおよびポリペプチド・フラグメントを意味する。かかる活性は、結核菌に由来するシャペロニンの軽減活性と好ましくは実質的に同一であるか、より好ましくはそれ以上の軽減活性を有する。機能等価性は、実施例に記載された方法、例えば加熱プレート上での足・潜時(Paw latency
)を用いて測定することができる。
【0025】
「ポリペプチド」には、ペプチド、タンパク質、およびぺプチド様擬似化合物が含まれる。この「ペプチド様擬似(peptidomimetic)」なる用語は、治療作用剤である特定のペプチドのコンホメーションおよび好ましい特徴を模倣するとともに、望ましくない特性を除外している化合物のことを言う。
【0026】
「同一性」とは、配列を並べて、必要であれば最大のパーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後に、関心を向ける配列の核酸残基と同一である、候補配列の核酸残基の数またはパーセンテージ(結果の提示様式に依存する)を意味しており、配列同一性の一部として保存的な置換は一切考慮しない。
【0027】
2個のポリペプチド間のパーセント配列同一性は、 適切なコンピュータプログラム、
例えばウィスコンシン大学“Genetic Computing”グループのGAPプログラムを用いて決定される。パーセント配列同一性は、その配列が最適に並べられたポリペプチドに関して計算されることが理解されるだろう。
【0028】
アライメントは、代わりにClustalW プログラム(Thompsonら.,(1994) Nucleic Acids Res. 22, 4673-4680)を用いて行なってもよい。使用パラメーターは次のとおりである:
Fast ペアワイズアライメント・パラメーター: K-tuple (word) サイズ; 1, ウィンドウ
サイズ; 5, gap penalty; 3, number of top diagonals; 5. Scoring方法: x percent.
マルチプルアライメント パラメーター: gap open penalty; 10, gap extension penalty; 0.05.
Scoringマトリックス: BLOSUM.
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい態様を具現する実施例を、図面を参照しながら記載する。
PWL =足・逃避の潜時(Paw withdrawal latency)
PWD =足・逃避の持続時間(Paw withdrawal duration)
VFF 4.31 = Von Frey モノフィラメント-直径4.31
VFF 5.07 = Von Frey モノフィラメント-直径5.07
【実施例1】
【0030】
インビボでの熱ショック・ポリペプチドの実験的検証
熱ショック・ポリペプチドの実験的な試験を、複数の群に分けた試験動物で研究した。ある群に痛覚過敏 (すなわち、痛みに対する感覚の鋭敏化)を誘発し、熱ショック・ポリ
ペプチドの作用を正常および痛覚過敏症の動物について観察し、測定した。
方法および材料
シャペロニンの鎮痛作用は、Kanaanら(1996) Pain 66, p373-379,(その開示は参照に
より本明細書に取り込まれる。)に記載された、炎症性の痛みモデルを用いて測定できる。このモデルは、ラットおよびマウスにおいてエンドトキシン(ET)により誘発された炎症性痛覚過敏症に基づいている。使用したその方法の簡単な説明を以下に示す。
【0031】
成熟した雄性Sprague-Dawleyラット(200-250g)および成熟した雄性Balb/c マウス(20-30g)が使用された。これらの動物は4群に分けられた。
群 1-注射なし.
群 2-エンドトキシンのみ.
群 3-エンドトキシンおよび熱ショック・ポリペプチド.
群 4-熱ショック・ポリペプチドのみ.
試験基質の注射
群2および3には、左後肢にSalmonella typhosa 0901から調製された エンドトキシン (Difco,デトロイト,ミシガン州,米国)、1.25μgが皮下注射された。群1および4は、エンドトキシン(ET)を投与されなかったが、代わりに無菌の生理食塩水を同様に注射された。群3および4は、さらに1 μg/ip の熱ショック・ポリペプチドを同様に注射投与されたが
、同一混合物としてではなかった。
行動の観察
注射後、各動物は48時間観察された。
温度プレート試験
動物は、温度を52.8℃と53.3℃との間に調整した、表面が熱いプレート上、または4.8
℃と5.3℃の間に調整した、低温表面のプレート上に1匹ずつ置いた。熱い苦痛を避ける
ために足を舌でなめるか、飛び跳ねるといった最初の兆候までの潜時を、痛みの閾値の指標として採用した。
機械的異疼痛についてVon Frey モノフィラメント(monofilament)試験
Von Frey試験の方法が、El-Khoury Cら、Neuroscience 2002, 112: 541-553 (その開
示は参照により本明細書に取り込まれる。)に記載されている。
【0032】
簡単に述べると、金網でできた床を持つ高架ケージの個室にラットを収容する。Von Frey モノフィラメント(VFF)により、後肢の足裏表面を加重を増大させながら刺激する。異なる直径(VFF 4.31(最低)およびVFF 5.07(最高))からなる2つの異なるモノフィラメントを、それぞれ15〜18.5 mN および100〜110mNの範囲で使用した。10試行当りの足・逃避反応の回数を記録した。
実験プロトコルおよびデータ解析
ETおよび/または熱ショック・ポリペプチドの作用を調べるために、各群(群1〜群4)の
代表を有する一組の動物(n=5)は、3日間連続で痛みの試験を受けた。各動物は、ET注射の後、3、6、9および24時間の時間間隔で痛みの試験を受けた。痛みの試験各々について、
コントロール値と実験値との間で、変動の有意性の程度は、ANOVA検定により評価した。
検証した熱ショック・ポリペプチド
好適な方法が、結核菌シャペロニン・ポリペプチド、Cpn 60.1、Cpn 60.2およびCpn10
を用いて検証された。
【0033】
本明細書で開示するように、これらのタンパク質の合成は、本発明の化合物を構成するポリペプチドをコードする配列を用いて、本明細書に含まれる教示を考慮して適切に改変された公知技術に従い、達成することができる。これにより発現ベクターが構築され、こ
のものは、その後本発明に係るポリペプチドの発現および産生のために、適切な宿主細胞を形質転換するために用いられる。
【0034】
そうした技術は、米国特許の、特許番号4,440, 859号(1984年4月3日発行、Rutter ら
)、特許番号4,530, 901号(1985年7月23日発行、Weissman)、特許番号4,582, 800号(1986年4月15日発行Crowl)、特許番号4,677, 063号(1987年6月30日発行、Markら)、 特
許番号4,678, 751号(1987年7月7日発行、 Goeddel)、特許番号4,704, 362号(1987年11月3日発行、Itakuraら)、特許番号4,710, 463号(1987年12月1日発行、Murray)、特許
番号4,757, 006号(1988年7月12日発行、Toole,Jr.ら)、特許番号4,766, 075号(1988年8月23日発行、Goeddel ら)号および特許番号4,810, 648(1989年3月7日発行、Stalker)に開示された技術を含むものである。これらの開示すべてが、参照により本明細書に取り込まれる。
結果
結果が図4〜図9に示されており、明らかに試験されたシャペロニン、3つとも強力な鎮痛作用を示している。
【実施例2】
【0035】
cpn 60. 1の鎮痛作用
図4は、結核菌cpn60. 1が存在する場合および存在しない場合、2つの異なるVon Frey モノフィラメント(4.31 および 5.07)を用いて、10試行当りの足・逃避の回数を示す。両試験とも大雑把に同じであるパターンの結果を与えた。
【0036】
各時点のトラック1において、ネガティブ・コントロールは、およそ1PWDのバックグラウンドを有していた。トラック2では、ポジティブ・コントロール (ETまたはリポポリサッカライドの注入)は、約6 (VFF4.31)および9.5 (VFF5.07) PWDの最大値まで増大した。
トラック3では、ETにより誘発された痛覚過敏症のcpn60.1による治療作用が現れ、3〜9
時間の時点で、PWDがバックグラウンドのレベルまで減少したことを示す。トラック4で
は、注入cpn60.1の作用がそれだけによる固有のもの、つまり注入されないコントロール
群に見られるものをしのぐほどの差異がないことを示す。
【0037】
これらの結果から、cpn60.1は、エンドトキシンにより誘発される痛覚過敏症を軽減す
ることを示している。
図5は、加熱プレート(PWL/Heat)および低温プレート(PWD/Cold)上にいる動物の足
・逃避反応の持続時間(duration of the responses of paw withdrawal)を示す。加熱プ
レートでの結果は、潜伏の持続時間(duration of latency)が4〜5秒に短縮された3〜9
時間の時点でのET処置動物を除いて、時点および処置が異なってもそれらの間には差異がないことを示している。低温プレートの結果は、エンドトキシン注射(3〜9時間の時点でPWD上昇を示す。)を例外として、バックグラウンドより上のPWDを示すものがないことを表している。エンドトキシンにより誘発される痛覚過敏症をCpn 60.1が軽減することが示された。
【実施例3】
【0038】
cpn 60. 2の鎮痛作用
図6は、M. tuberculosis cpn60.2が存在する場合および存在しない場合、直径が異なる2つのVon Frey モノフィラメント(VFF 4.31およびVFF 5.07)を用いて、10試行当りの足
・逃避の回数を示す。両結果は、大ざっぱに同じパターンの結果を示す。
【0039】
各時点のトラック1では、ネガティブ・コントロールは、VFF4. 31において1 PWDより
やや小さく、VFF 5.07において、2.5 PWDより小さいバックグラウンドを有していた。
トラック2では、ポジティブ・コントロール (ETまたはリポポリサッカライドの注入)
は、約6 (VFF4. 31)および7.5 (VFF5.07) PWDの最大値まで増加した。
【0040】
トラック3では、ETにより誘発された痛覚過敏症に対するcpn60.2による治療作用が示
され、これは3〜9時間の時点でPWDがバックグラウンドレベル (コントロールレベル)まで減少することを表している。
【0041】
トラック4では、注射されたcpn60.2の単独でのそのものの効果が現れ、その結果、注
入されなかったコントロール群に見られるもの以上の効果がないことを示している。
これらの結果から、エンドトキシンにより誘発された痛覚過敏症をcpn60.2が軽減する
ことがわかる。
【0042】
図7は、加熱プレート(PWL/Heat)および低温プレート(PWD/Cold)上にいる動物の足・逃
避応答の持続時間を示す。
加熱プレートでの結果は、潜伏の持続時間が4〜5秒まで短縮された3時間および6時間
の時点でのET処置動物を除き、時点および処置が異なってもそれらの間には差異がないことを示している。低温プレートの結果は、エンドトキシン注射(3〜9時間の時点で顕著に上昇を示す。)を例外として、バックグラウンドより上のPWDを示すものがないことを表
している。これらの結果から、エンドトキシンにより誘発された痛覚過敏症をこのcpn60.2が軽減することがわかる。
【実施例4】
【0043】
cpn 10の鎮痛作用
図8は、M. tuberculsosis cpn 10が存在する場合および存在しない場合、異なる直径
の2つのVon Frey モノフィラメント(VFF 4.31およびVFF 5.07)を用いて、10試行当りの
足・逃避の回数を示す。両結果は、大ざっぱに同じパターンの結果を示す。
【0044】
各時点のトラック1では、ネガティブ・コントロールは、1 PWDよりもやや小さいバッ
クグラウンドを有していた。
トラック2では、ポジティブ・コントロール (ETまたはリポポリサッカライドを注入)
が、約6 (VFF4.31)および8(VFF5.07) PWDの最大値まで増加した。
【0045】
トラック3では、ETにより誘発された痛覚過敏症に対する cpnl0の治療作用がPWDにつ
いて示されている。VFF4.31については、3時間の時点でPWDのバックグラウンドレベルま
での減少があり、6および9時間の時点ではバックグラウンドよりも少しだけ上であった。VFF 5.07については、cpnl0はより少ない減少となり、具体的には3時間の時点で3.5まで
、6時間の時点で3まで、9時間の時点で2.5の減少があり、24時間では減少がなかった。
【0046】
トラック4では、cpnl0が3時間の時点でおおよそ1PWDを誘導したVFF 4.31の場合を除いて、注射されたcpn10の単独による効果が、注入されなかったコントロール群に見られ
るものをしのぐ効果がないことを示している。
【0047】
これらの結果から、エンドトキシンにより誘発された痛覚過敏症をcpn l0が軽減することがわかる。
図9は、加熱プレート(PWL/Heat)および低温プレート(PWD/Cold)上にいる動物の足・逃
避応答の持続時間を示す。加熱プレートの結果は、潜伏の持続時間(duration of latency)が4〜5秒まで短縮される3〜9時間の時点でのET処置動物を除き、時点および処置が異なってもそれらの間には顕著な差異がないことを示している。低温プレートの結果は、エンドトキシン注入の場合ならびにエンドトキシンとcpn 10との併用の場合を例外として(3〜9時間の時点で 顕著に上昇を示す。)、バックグラウンドより上のPWDを示すものがないことを表している。これらの時点でcpn l0は、それでも持続時間を約50%減少させた。
これらの結果から、cpn 10がエンドトキシンにより誘発された痛覚過敏症の軽減に有効であることがわかる。
【実施例5】
【0048】
医薬組成物
本発明の別の面から、意図された投与経路および標準的な製薬上のプラクティスの点から選択され、製薬学的または獣医学的に許容できる補助剤、希釈剤または担体との混合において、熱ショック・ポリペプチド(医薬物質)を含む医薬用処方製剤が提供される。
【0049】
担体(類)は、本発明の化合物と適合的でなければならず、かつそれを投与される者にとり害毒ではないという意味において「許容できるもの」でなければならない。代表的な担体として、無菌でありおよび発熱物質を含まない水または生理食塩水が挙げられる。
【0050】
上記処方製剤は、前記医薬に関して毎日の投与の用量または単位、あるいはそれらの適当な分量を含む単位投与形態で便利なように提供され、公知の製薬技術によるいずれかの方法によって調製してもよい。そうした方法は、該医薬物質と1またはそれ以上の付随的な成分から構成される担体とを合体させるための工程を含む。一般には処方製剤は、該医薬物質を液体担体または微細に粉砕した固体担体またはそれらの両方と均一かつ緊密に結合させるようにし、必要であれば生成物を成型して調製される。
【0051】
本発明の化合物は、経口的または非経口的な何らかの経路により、該医薬物質を含む医薬処方製剤の態様で投与することができる。その製剤は、前記医薬物質を、必要ならば非毒性の有機もしくは無機の酸または塩基、付加塩の形態で、製薬上許容される投与の形態で含むものである。該製剤は、投与経路のみならず、治療を受ける疾患および患者に基づいて、様々な用量で投与してもよい。
【0052】
本発明の化合物は単独でも投与できるが、通常は意図された投与経路および標準的な製薬プラクティスの点から選択された、適切な医薬用の賦形剤、希釈剤または担体との混合物で投与される。
【0053】
例えば本発明の化合物は、錠剤、カプセル剤、 膣座剤、エリキシル剤、溶液剤または
懸濁剤の形態で、経口的に、頬側または舌下より投与することができる。これらはフレーバー剤または着色剤を含んでもよく、急速な放出または徐放出、制御された放出の適用のために投与される。本発明の化合物は空洞内への注射によっても投与できる。
【0054】
上述の錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二塩基性カルシウムおよびグリシンのような賦形剤、デンプン(好ましくはトウ
モロコシ、ジャガイモまたはタピオカのデンプン)、デンプングリコレートナトリウム、
クロスカルメローセナトリウム(croscarmellose sodium)およびある複合ケイ酸塩のよ
うな崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、シュクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムの
ような造粒結合剤を含んでもよい。さらに潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル(glyceryl behenate)およびタルクを含めてもよい。
【0055】
似た種類の固形組成物が、ゼラチンカプセル剤における充填剤として用いられる。この点からの好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性の懸濁剤および/またはエリキシル剤用には
、本発明の化合物を、様々な甘味剤または香味剤、着色物質または色素と一緒にしてもよく、乳化剤および/または懸濁化剤とともに、水、エタノール、プロピレングリコールお
よびグリセリンのような希釈剤、あるいはそれらを併用して一緒にしてもよい。
【0056】
本発明の化合物は非経口的に投与できる。例えば静脈内に、動脈内に、腹腔内に、髄腔内に、心室内に、胸骨内に、頭蓋内に、筋肉内にまたは皮下に投与することができる。あるいは注入技術を用いて投与してもよい。
【0057】
上記化合物は、無菌の水溶液の形態で最も良好に用いられる。それには他の物質、例えば溶液を血液と等張にするのに充分な塩またはグルコースを含めてもよい。そうした水溶液は、必要ならば適切に(好ましくは3〜9のpHに)緩衝化されるべきである。適切な非経口的処方製剤の調製は、無菌条件の下、当業者によく知られた標準的な製薬技術により容易に実施できる。
【0058】
非経口的投与のための適切な処方物は、水性および非水性の無菌注射溶液を含む。その溶液は、抗酸化剤、緩衝化剤、静菌剤、さらに該処方製剤を意図された被投与者の血液と等張にする溶質を含んでもよい。水性および非水性の無菌懸濁液剤は、懸濁化剤および増粘剤を含有してもよい。上記処方製剤は、単位量投与用の容器または反復投与用の容器、例えば密封されたアンプル、バイアルで提供される。さらに使用に先立ち、速やかに無菌性の液体担体、例えば注射用水を添加することのみ必要とする凍結乾燥の条件で保存してもよい。
【0059】
即席の注射溶液および懸濁液剤は、既に記載した種類の無菌の粉末、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
ヒト患者に対する経口および非経口的な投与について、本発明の化合物は毎日の投与レベルとして、通常、成人には0.0001〜100,000 mgを一回または複数回に分けて投与される。
【0060】
したがって、例えば本発明の化合物の錠剤またはカプセル剤では、活性化合物0.0001 mg〜100,000 mgを、一回の投与のために、または2回またはそれ以上の回数での投与のた
めに含有してもよい。500mgの錠剤またはカプセルは、1個またはそれ以上の錠剤または
カプセル剤を、一回、繰り返し投与するのに適当であるだろうと考察される。いずれにしても医師は、個々の各患者にとり最も適切である実際の投与量を決定することになる。それは個別の患者の年齢、体重および応答で変化するであろう。上記の用量は、平均的な患者の典型例である。もちろん個々には、より多い投与またはより少ない投与が有益である事例もあり得るわけで、そうしたことは本発明の範囲内に含まれる。
【0061】
本発明の化合物は、経鼻的にまたは吸入により投与することができる。そのためには、適当な高圧ガス、具体的にはジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134A)または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA)のようなハイドロフルオロアルカン、
二酸化炭素または他の適当なガスを使用して、乾燥粉末吸入器、あるいは加圧容器、ポンプ、スプレー、噴霧器から与えられるエアゾールスプレーの形態で便利に適用することができる。
【0062】
加圧エアゾールの場合、その投与量の単位は、計量した分量を送り込むバルブを備えることにより決定されるかも知れない。加圧容器、ポンプ、スプレーまたは噴霧器は、活性のある化合物の溶液もしくは懸濁液を収容してもよい。例えば溶媒としてエタノールおよび推進剤の混合物を用いることによる。これはさらに潤滑剤、例えばソルビタントリオレエート(sorbitan trioleate)を含んでもよい。
【0063】
吸入器もしくは吹き付け器(insufflator)に用いられるカプセルおよび薬包(例えばゼラチンから作られる)は、本発明の化合物とラクトースまたはデンプンといった適当な粉
末基材との粉末混合物を含むように調製される。
【0064】
エアゾールまたは乾燥粉末の処方製剤は、好ましくは患者に投与する、規定の投与量または「一吹き(puff)」のそれぞれが、本発明の化合物を0.001mgと2gとの間で含有する
ように配合される。エアゾールを用いる毎日の全投与量は、患者から患者へと変動し、一度の投与で、あるいは通常は1日を通じて分割された分量で投与されることが認識される
だろう。
【0065】
代わりに、本発明の化合物は座薬またはペッサリーの形態で投与することができる。あるいは該化合物は、ローション、溶液、クリーム、軟膏または粉末の形態で局所的に適用してもよい。本発明の化合物は、経皮的に投与することもでき、例えば皮膚パッチの使用により可能となる。さらに眼球の経路により、具体的には眼疾患の治療のために投与してもよい。
【0066】
眼への使用について、本発明の化合物は、等張に、かつpHが調整され、無菌の生理食塩水中に微細化された懸濁剤として製剤化され、あるいは好ましくは等張に、かつpHが調整され、無菌の生理食塩水中に溶液として製剤化され、必要に応じて、塩化ベンザルコニウムといった保存剤がさらに組み合わされる。あるいはその代替として上記化合物は、ワセリンのような軟膏に製剤化される。
【0067】
皮膚への局所的適用について、本発明の化合物は、次の混合物に懸濁または溶解された活性のある化合物を含有する適切な軟膏として処方製剤化することができる。その混合物とは、例えば以下のうちの1つ以上を有する混合物である:鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水である。代わりに本発明の化合物は、次の混合物に懸濁または溶解された適切なローションまたはクリームとして処方製剤化できる。該混合物は、例えば次のうちの1つ以上を有する混合物である:鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水である。
【0068】
口腔内への局所的投与のために好適な処方製剤として、上記医薬物質を芳香性の基剤、通常はシュクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントを含むトローチ剤;ゼラチンおよびグリセリン、あるいはシュクロースおよびアラビアゴムといった不活性な基剤の中に上記医薬物質を含有する香錠(pastilles);上記医薬物質を適切な液状担体中に含む
口腔洗浄剤が挙げられる。
【0069】
本発明の化合物は、一般的にはヒトにとり経口的、局所的または吸入による投与が簡便であるために好ましい。被投与者が経口投与後に飲み込むことの不調、または薬物吸収障害などに苦しむ状況にある場合には、該薬物は非経口的に、例えば舌下、頬側から投与される。
【0070】
獣医的な使用について、本発明の化合物は、通常の獣医学プラクティスに従い、適切に許容できる処方製剤として投与することができ、獣医師が特定の動物に対して最も適切となる投与計画および投与経路を決定するであろう。
【実施例6】
【0071】
痛みの軽減方法
本発明の化合物は、次のような痛みの発生;腰痛、頭痛、歯痛、耳の痛み、関節炎、痛風、軟組織損傷、靱帯/腱の外傷性損傷、骨折、ガン、手術後の痛み、月経生理痛、分娩
痛、腎路尿管痛、内臓痛、火傷、膿瘍および他の感染において、痛みを有効に軽減する。
【0072】
これらの症状のいずれかを治療するため、示唆される治療経路および治療計画は、吸入器を介して送達される吸入により、12 時間毎に1回、0.1mg〜1gを投与することである。しかしながら、当業者ならば、最も適切な治療計画は、個々の患者、知覚される苦痛の酷さに依存することを承知しているであろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1−1】図1-1は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)シャペロニン60.1のアミノ酸および核酸配列を示す。
【図1−2】図1-2は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)シャペロニン60.1のアミノ酸および核酸配列を示す。
【図2−1】図2-1は、結核菌シャペロニン60.2のアミノ酸および核酸配列を示す。
【図2−2】図2-2は、結核菌シャペロニン60.2のアミノ酸および核酸配列を示す。
【図3】図3は、結核菌シャペロニン10のアミノ酸および核酸配列を示す。
【図4】図4は、Cpn 60.1のVon Frey試験結果である。Mt cpn60.1が存在する場合および存在しない場合、2つの異なるVon Freyモノフィラメント(4.31および5.07)を用いて、10試行当りの足・逃避の回数を示す。
【図5】図5は、Cpn 60.1のPWL/PWD試験結果である。加熱プレート(上図)および低温プレート(下図)上にいる動物の足・逃避応答の持続時間を示す。
【図6】図6は、Cpn 60.2のVon Frey試験結果である。Mt cpn60.2が存在する場合および存在しない場合、2つの異なる直径のVon Freyモノフィラメント(4.31および5.07)を用いて、10試行当りの足・逃避の回数を示す。
【図7】図7は、Cpn 60.2のPWL/PWD試験結果である。加熱プレート(上図)および低温プレート(下図)上にいる動物の足・逃避応答の持続時間を示す。
【図8】図8は、Cpn 10のVon Frey試験結果である。Mt cpn10が存在する場合および存在しない場合、2つの異なるVon Freyモノフィラメントを用いて、10試行当りの足・逃避の回数を示す。
【図9】図9は、Cpn 10のPWL/PWD試験結果である。加熱プレート(上図)および低温プレート(下図)上にいる動物の足・逃避応答の持続時間を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛みの軽減に使用される医薬の製造において、熱ショック・ポリペプチドおよび/また
はそれをコードする核酸配列の使用。
【請求項2】
前記熱ショック・ポリペプチドは、シャペロニンであることを特徴とする請求項1に記
載の使用。
【請求項3】
前記熱ショック・ポリペプチドが、細菌由来であることを特徴とする請求項2に記載の
使用。
【請求項4】
前記熱ショック・ポリペプチドが、マイコバクテリウムに由来することを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記熱ショック・ポリペプチドが、Mycobacterium tuberculosisに由来することを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記核酸が、
(i)図1および/または図2および/または図3のヌクレオチド配列、あるいは
(ii) 配列(i)に対し66%を超える同一性を有する配列、または
2×SSC (SCC=0.15M NaCl、0.15M クエン酸ナトリウム、pH 7.2)、65℃の条件下で、配列(i)にハイブリダイズする配列であり、図 1および/または 図2および/または図3のヌクレオチド配列によってコードされる配列に機能的に等価なポリペプチドをコードする配列、あるいは
(iii)配列(i)または(ii)のフラグメントで、機能的に等価なポリペプチド・フラグメントをコードするフラグメント
を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記ポリペプチドは、
(i) 図1および/または図2および/または図3のアミノ酸配列、あるいは
(ii) 配列(i)に対し、60%を超える同一性を有し、機能的に等価なポリペプチドを与える
配列、あるいは
(iii) 配列(i)または(ii)に機能的に等価なフラグメント
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の使用。
【請求項8】
前記の機能的に等価なフラグメントが、3〜400 残基の長さを有することを特徴とする
請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記の機能的に等価なフラグメントが3〜100残基の長さを有することを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記核酸が、請求項7、8または9で定義された機能的に等価なフラグメントをコードすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
前記医薬が、さらに製剤上許容される賦形剤、希釈剤または担体を含むことを特徴とする請求項1〜10にいずれかに記載の使用。
【請求項12】
前記医薬が、前記の核酸またはポリペプチドの作用を補助するか、または補強する少なくとも1つの付加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜11にいずれかに記載の使用

【請求項13】
前記付加剤が、パラセタモール、アスピリン、イブプロフェン、その他の非ステロイド系抗炎症性薬剤(NSAID)、シクロオキシゲナーゼ-2-選択的阻害剤(CSI)、ならびにアヘン
剤の少なくとも1つが選ばれることを特徴とする請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記医薬が、延長された、または持続性の痛みの軽減をもたらすことを特徴とする請求項1〜13にいずれかに記載の使用。
【請求項15】
1日あたりの投与レベルは、0.0001〜100,000 mgで、1回もしくは分けて投与されることを特徴とする請求項1〜14にいずれかに記載の使用。
【請求項16】
1日あたりの投与レベルは、0.0001〜1000 mgであることを特徴とする請求項15に記載
の使用。
【請求項17】
患者へ用量投与する時間間隔は、6時間と12時間の間にあることを特徴とする請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
患者への用量投与する時間間隔は、前回投与の後、9時間と12時間の間であることを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
患者へ用量投与する時間間隔は、12時間と12日の間にあることを特徴とする請求項15または16に記載の使用。
【請求項20】
患者へ用量投与する時間間隔は、12日と6ヶ月の間にあることを特徴とする請求項15ま
たは16に記載の使用。
【請求項21】
前記組成物が、鼻腔内、口腔内、腸管外、局所の、眼の、座薬、ペッサリーまたは吸入の経路から選択される少なくとも1つの経路による投与を可能とするように製剤化されることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
前記組成物が、吸入による投与を可能とするように製剤化されることを特徴とする請求項21のいずれかに記載の使用。
【請求項23】
前記医薬は、ヒトまたは動物の患者の痛み軽減に使用されることを特徴とする請求項1
〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
前記患者がヒトであることを特徴とする請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記の痛みが、腰痛、頭痛、歯痛、耳の痛み、関節炎、痛風、軟組織損傷、靱帯/腱の
外傷性損傷、骨折、ガン、手術後の痛み、月経生理痛、分娩痛、腎路尿管痛、内臓痛、火傷、膿瘍および他の感染から、少なくとも1つ選択されるものであることを特徴とする、請求項1〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかで定義された、痛みの軽減のための医薬をある量を患者に投与
することを含む方法。
【請求項27】
痛みの軽減のために、付随する実施例および図を参照して本明細書に記載された熱ショック・ポリペプチドまたはそれをコードする核酸配列の使用。
【請求項28】
付随する実施例および図を参照して本明細書に記載された、熱ショック・ポリペプチド
またはそれをコードする核酸配列を投与することにより痛みを軽減する方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−514001(P2006−514001A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549345(P2004−549345)
【出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004774
【国際公開番号】WO2004/041304
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(503469360)ヘルパーバイ セラピューティクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】