説明

発光ユニット及び発光装置

【課題】簡便な構造でありながら、回転灯や点滅灯などの多様な振る舞いをする発光ユニット及び発光装置を提供する。
【解決手段】発光ユニット10は、LED40A〜40Cを取り付けるための頭部12と、頭部12を支持する脚部14A,14Bと、電気的接続を行うための引出部16A,16Bとを備えている。前記頭部12に形成された取付パターン20A〜20C,22A〜22Cのうち、取付パターン20A〜20Cは、LED40A〜40Cの共通端子となっており、配線パターン26を介して引出パターン28に接続される。取付パターン22A〜22Cは、配線パターン30A〜30Cを介して、引出パターン32A〜32Cに接続される。前記頭部12を折り曲げて三角柱を形成し、引出部16A,16Bに接続した駆動用回路により、前記LED40A〜40Cを順次点灯させると、灯が回転しているように観察できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を利用した発光ユニット及び発光装置に関し、特に、フレキシブル基板を利用した発光ユニット及び発光装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
回転灯としては、例えば、下記特許文献1記載の回転灯がある。これによれば、赤色や黄色などの着色材料で構成したグローブ内に光源と反射鏡とを収容し、反射鏡をケース内に収容した回転駆動機構により回転させることによって、着色された警告光を周囲に放光するように構成されている。
【特許文献1】実開平08−000849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した背景技術のような構成では、反射鏡を回転させるため、構造が複雑であり、例えば、ミニチュアのパトロールカーの赤色回転灯などの模型や玩具にそのまま適用することは現実的ではない。簡便な構造で回転灯の光る振る舞いを提供できれば、リアリティ溢れる模型や玩具を提供することができる。
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みたもので、簡便な構造でありながら、回転灯や点滅灯などの多様な振る舞いをする発光ユニット及び発光装置を提供することを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した目的を達成するための本発明の発光ユニットは、頭部に連続して脚部と引出部が形成された折り曲げ可能なフレキシブル基板と、このフレキシブル基板の頭部に並んで配置された複数のLEDと、前記フレキシブル基板上に形成されており、前記複数のLEDに通電するための導体パターンとを備えており、前記頭部を筒状に形成すると共に、前記脚部によって前記頭部及び前記複数のLEDを支持するものである。
【0006】
また、請求項2記載の発光ユニットは、請求項1記載の発光ユニットにおいて、前記導体パターンが、前記複数のLEDの一方の電極に共通する第1のパターンと、前記複数のLEDの他方の電極のそれぞれに対応する複数の第2のパターンとを備えたものである。
また、請求項3記載の発光ユニットは、請求項1又は請求項2記載の導体パターンに接続されており、前記複数のLEDの点灯を制御する制御回路を備えたものである。
また、請求項4記載の発光ユニットは、請求項3記載の発光ユニットにおいて、前記制御回路は、前記複数のLEDを隣接する順番に順次発光させるものである。
また、請求項5記載の発光ユニットは、請求項4記載の発光ユニットにおいて、前記制御回路は、発光中のLEDを暗くした状態で、次のLEDを点灯するものである。
【0007】
また、請求項6記載の発光装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の発光ユニットを利用したものである。
【0008】
また、請求項7記載の発光装置は、頭部に連続して脚部と引出部が形成された折り曲げ可能なフレキシブル基板と、このフレキシブル基板の頭部に並んで配置された複数のLEDと、前記フレキシブル基板上に形成されており、前記複数のLEDに通電するための導体パターンを備えており、前記頭部を筒状に形成すると共に、前記脚部によって前記頭部及び前記複数のLEDを支持する発光ユニットを利用した発光装置であって、前記複数のLEDは、赤色LEDであり、前記導体パターンに接続されており、前記複数のLEDの点灯を制御する制御回路と、前記導体パターンが、前記複数のLEDの一方の電極に共通する第1のパターンと、前記複数のLEDの他方の電極のそれぞれに対応する複数の第2のパターンとを備えており、前記制御回路は、前記複数のLEDを順次発光させ、前記発光ユニットを玩具の赤色回転灯の代替えに利用したものである。
また、本発明の前記及び他の目的、特徴、利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、頭部に連続して脚部と引出部が形成された折り曲げ可能なフレキシブル基板と、該フレキシブル基板の頭部に並んで配置された複数のLEDと、前記フレキシブル基板上に形成されており、前記複数のLEDに通電するための導体パターンを備えるとともに、前記脚部によって前記頭部及び前記複数のLEDを支持することとしたので、簡便な構造で多様な振る舞いをする発光ユニット及び発光装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
最初に、図1〜図4を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1には、本実施例にかかる発光ユニットが示されている。同図(A)は平面図、(B)は折り曲げた状態を示す斜視図である。これらの図において、発光ユニット10は、LEDを取り付けるための頭部12と、この頭部12を支持するための脚部14A、14Bと、この脚部14A、14Bから電気的接続を行うための引出部16A、16Bとを備えている。脚部14A、14Bは、頭部12の両端からそれぞれ延設されており、これら脚部14A、14Bの両端にそれぞれ引出部16A、16Bが設けられている。これらの各部は、例えば、ポリプロピレンなどのフレキシブルな樹脂フィルムによって形成されている。
【0012】
上述した各部には、配線パターンが形成されている。まず、頭部12には、両端に電極を供えたチップ型LEDを取り付けるための取付パターン20A〜20C、22A〜22Cが形成されている。これらのうち、取付パターン20A〜20Cは各LEDの共通端子となっており、脚部14Aの配線パターン26を介して、引出部16Aの引出パターン28に接続されている。取付パターン22Aは、脚部14Aの配線パターン30Aを介して、引出部16Aの引出パターン32Aに接続されている。同様に、取付パターン22Bは、脚部14Bの配線パターン30Bを介して、引出部16Bの引出パターン32Bに接続されている。また、取付パターン22Cは、脚部14Bの配線パターン30Cを介して、引出部16Bの引出パターン32Cに接続されている。
【0013】
取付パターン20A、22A間にはLED40Aが半田付けされ、取付パターン20B、22B間にはLED40Bが半田付けされ、取付パターン20C、22C間にはLED40Cが半田付けされる。発光ユニット10の頭部12は、図1(A)に矢印FA〜FCで示す位置で折り曲げ自在となっており、同図(B)に示すように筒状(より具体的には、三角筒状)を形成するように折り曲げられる。また、折り曲げた状態では、脚部14A、14Bや引出部16A、16Bが重なるようになると共に、複数のLED40A、40B、40Cは、頭部12に並んで環状に配置される。
【0014】
以上のような発光ユニット10は、例えば、玩具の赤色回転灯の代替えとして、模型のパトロールカーの上部に取り付けられる。かかる場合、複数のLED40A、40B、40Cは、複数の赤色LEDとなる。図2には、その取り付けの様子が示されている。
まず、模型の天井に設けられた取付用基部100に、予め穴102を空けておく。そして、この穴102に、図2(A)に示すように、前記発光ユニット10の脚部14A、14Bを、引出部16A、16Bから挿通する。次に、同図(B)に示すように、基部100に赤色カバー104を被せ、蓋をして接着する。
このとき、基部100の穴102や赤色カバー104の内側を、発光ユニット10の各部の大きさに対してぎりぎりの寸法に設定することで、基部100と赤色カバー104で発光ユニット10の頭部12を押さえるようにして固定し、頭部12の動きを拘束することができる。図2(D)には、上述した方法によって模型110の上部に赤色回転灯112を取り付けた様子が示されている。発光ユニット10の脚部14A、14Bは、模型110の内部で折り曲げられ、引出部16A、16Bに駆動用の回路が接続される。
【0015】
図3には、それら駆動回路の一例が示されている。上述した発光ユニット10の引出部16A、16Bの引出パターン28、32A〜32Cは、リード線200を介して制御回路202にそれぞれ接続されている。制御回路202には、駆動用の電池204が設けられており、更に、リード線206を介してスイッチ208が接続されている。制御回路202は、引出パターン32A〜32Cに対して、図4に示すような駆動電流を流すための回路であり、スイッチ208がONとなると動作する構成となっている。各引出パターン32A〜32Cに印加された電流は、配線パターン30A〜30C,取付パターン22A〜22Cを介してLED40A〜40Cにそれぞれ印加され、更に、取付パターン20A〜20C,配線パターン26、引出パターン28を介して制御回路202に戻る。
【0016】
次に、図4を参照して、通電の様子を詳述すると、まずLED40Aに対して、図4(A)に示すような電流Iaを、時間Ta流す。その後、制御回路202は、時間Tbの間、電流をチョップする。これにより、LED40Aには、パルス状に電流が印加されるようになる。電流がパルス状になると、結果的に平均の電流値が当初のIaからIbに下がるようになり、LED40Aの光量が減少する。この状態で、制御回路202は、同図(B)に示すように、隣のLED40Bに対して、電流Iaを流す。このため、LED40Bが発光する。すなわち、最初LED40Aが発光し、その光量が低くなると、隣のLED40Bが発光する。以上の動作がLED40A〜40Cに対して順次繰り返し行われる。
【0017】
以上のように、本実施例によれば、次のような効果がある。
(1)LED40A〜40Cが順次発光するので、外部からは、あたかも赤色灯が回転しているかのごとく観察することができる。
(2)一つのLEDが発光し、それが少し暗くなると隣のLEDが発光するという動作が順次行われるので、赤色灯の回転が滑らかに見える。
(3)回転部分がないので、構成を大幅に簡略化できる。
(4)フレキシブルプリント基板によって発光ユニット10を構成しており、LED40A〜40Cを支持しているので、組立も容易である。
(5)リアリティ溢れるミニチュア模型や玩具を提供することができる。
【0018】
なお、本発明は、何ら上記実施例に限定されるものではなく、例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例では、複数のLEDを順次点灯して回転しているように見せかけたが、全体を点滅させるなど、多様な応用が可能である。また、電流の印加順序を変更することで、回転方向を簡単に変更することができ、ミニ看板などの各種のディスプレイに好適である。なお、電流の印加順序の変更は、リード線の接続変更のみならず、制御回路のプログラム変更などの方法でも可能である。点滅,常時点灯に切り換えられるようにしてもよい。
(2)前記実施例は、LEDを3個使用したが、更に複数のLEDを使用することを妨げるものではない。
【0019】
(3)前記実施例1では、赤色カバー104で発光ユニット10の頭部12を押さえるようにして固定することとしたが、これも一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。例えば、図5に示す例のように、発光ユニット10の脚部14A、14Bを、引出部16A、16Bから挿通し(図5(A))、次に、図5(B)に示すように、穴102から引き出した脚部14A,14Bを折り曲げ、テープ50A,50Bによって上又は下の任意の部材(図示せず)へ貼付するようにしてもよい。このようにすると、発光ユニット10の位置合わせが容易であり、底面を平らにすることもできる。また、図6に示す例のように、フランジ状の取付用基部120の固定部122の穴124に、図6(B)に示すように脚部14A及び14Bを通してカバー126を被せることにより、発光ユニット10を固定するようにしてもよい。なお、カバー126に設けた押さえ部128は、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0020】
更に、前記実施例1では、発光ユニット10の頭部12を折り曲げたときに、脚部14Aと14Bが重なる構成としたが、これも一例であり、図7(A)に示す発光ユニット10Aのように、頭部12Aを、矢印FDとFEの2ヶ所で折り曲げるような構成としてもよい。
この場合、図7(B-1)及び(B-2)に示すように、透明の略円筒状のカバー60を折り曲げた頭部12Aに被せることにより、頭部12Aの広がりを抑えるようにしてもよいし、あるいは、図7(C)に示す例のように、頭部12Aを折り曲げることなく略筒状に丸めてカバー60を被せるようにしてもよい。いずれの場合も、前記カバー60を被せた発光ユニット10Aをそのまま使用してもよいし、上述した実施例1のような着色カバー104を被せるようにしてもよい。
【0021】
(4)前記実施例は、本発明をミニチュア模型や玩具に応用した例であるが、産業機器や家庭用機器の表示手段として使用してもよい。例えば、警告ランプ、状態表示ランプ、照明ランプなどである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、頭部に連続して脚部と引出部が形成された折り曲げ可能なフレキシブル基板と、該フレキシブル基板の頭部に並んで配置された複数のLEDと、前記フレキシブル基板上に形成されており、前記LEDに通電するための導体パターンを備えるとともに、前記脚部によって前記頭部及びLEDを支持することとしたので、発光ユニット及び発光装置の用途に適用できる。特に、簡便な構造で回転灯や点滅灯のような多様な振る舞いをすることから、模型や玩具向けの発光ユニット及び発光装置の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施例1の発光ユニットを示す図であり、(A)は平面図,(B)は折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、前記実施例1の発光ユニットの取り付けの様子を示す斜視図である。
【図3】図3は、前記実施例1の発光ユニットの駆動回路の一例を示す図である。
【図4】図4は、前記実施例1の駆動電流波形の一例を示す図である。
【図5】図5は、本考案の変形例の発光ユニットの取り付けの様子を示す斜視図である。
【図6】図6は、本考案の他の変形例の発光ユニットの取り付けの様子を示す斜視図及び断面図である。
【図7】図7は、本発明の他の変形例の発光ユニットを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10,10A:発光ユニット
12,12A:頭部
14A,14B:脚部
16A,16B:引出部
20A〜20C,22A〜22C:取付パターン
26,30A〜30C:配線パターン
28,32A〜32C:引出パターン
40A〜40C:LED
50A,50B:テープ
60:カバー
100:取付用基部
102:穴
104:赤色カバー
110:模型
112:赤色回転灯
120:取付用基部
122:固定部
124:穴
126:カバー
128:押さえ部
200,206:リード線
202:制御回路
204:電池
208:スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に連続して脚部と引出部が形成された折り曲げ可能なフレキシブル基板と、
このフレキシブル基板の頭部に並んで配置された複数のLEDと、
前記フレキシブル基板上に形成されており、前記複数のLEDに通電するための導体パターンとを備えており、
前記頭部を筒状に形成すると共に、前記脚部によって前記頭部及び前記複数のLEDを支持する
ことを特徴とする発光ユニット。
【請求項2】
前記導体パターンが、
前記複数のLEDの一方の電極に共通する第1のパターンと、前記複数のLEDの他方の電極のそれぞれに対応する複数の第2のパターンとを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の発光ユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の導体パターンに接続されており、前記複数のLEDの点灯を制御する制御回路を備えた
ことを特徴とする発光ユニット。
【請求項4】
前記制御回路は、前記複数のLEDを隣接する順番に順次発光させることを特徴とする請求項3記載の発光ユニット。
【請求項5】
前記制御回路は、発光中のLEDを暗くした状態で、次のLEDを点灯することを特徴とする請求項4記載の発光ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の発光ユニットを利用したことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
頭部に連続して脚部と引出部が形成された折り曲げ可能なフレキシブル基板と、
このフレキシブル基板の頭部に並んで配置された複数のLEDと、
前記フレキシブル基板上に形成されており、前記複数のLEDに通電するための導体パターンを備えており、前記頭部を筒状に形成すると共に、前記脚部によって前記頭部及び前記複数のLEDを支持する発光ユニットを利用した発光装置であって、
前記複数のLEDは、赤色LEDであり、
前記導体パターンに接続されており、前記複数のLEDの点灯を制御する制御回路と、
前記導体パターンが、前記複数のLEDの一方の電極に共通する第1のパターンと、前記複数のLEDの他方の電極のそれぞれに対応する複数の第2のパターンとを備えており、
前記制御回路は、前記複数のLEDを順次発光させ、
前記発光ユニットを玩具の赤色回転灯の代替えに利用したことを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−109030(P2008−109030A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292567(P2006−292567)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(391011146)株式会社青島文化教材社 (1)
【Fターム(参考)】