説明

発光表示装置及び薄膜トランジスタ

【課題】オフ電流を減らして駆動能力を改善させた薄膜トランジスタと、これを利用して画質をさらに高めることができる発光表示装置
【解決手段】データ信号を伝達する少なくとも一つのデータ線と、選択信号を伝達する少なくとも一つの走査線と、データ線及び走査線と電気的に連結され、選択信号に応答してデータ信号を発光素子に伝達する第1薄膜トランジスタM1と、第1薄膜トランジスタM1と連結されて伝達されたデータ信号に相応する電圧を充電するキャパシタと、キャパシタと連結されて選択信号によって選択されたデータ信号に相応する電流を発光素子に供給する第2薄膜トランジスタとを含む少なくとも一つの画素と、を含み、第1薄膜トランジスタM1のチャンネル領域502の両端部の幅が互いに異なるように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光表示装置及び薄膜トランジスタに関し、より詳細には、オフ電流を減らして駆動能力を改善させた薄膜トランジスタと、これを利用して画質をさらに高めることができる発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アクティブマトリックス(active matrix)型発光表示装置は、データ信号を伝達する少なくとも一本のデータ線と、選択信号を伝達する少なくとも一本の走査線と、データ線と走査線と電気的に連結される複数の画素を含む。
【0003】
一般に、各画素は、発光素子と、データ線から伝達されたデータ信号に相応する電圧を充電するキャパシタと、発光素子を制御する少なくとも二つの薄膜トランジスタと、を含む。
【0004】
前述したような二つの薄膜トランジスタと一つのキャパシタが含まれた画素構造は、2TR+1Cap構造と称される。
【0005】
2TR+1Cap構造において、二つの薄膜トランジスタのうち一つは選択信号に応答してデータ信号を発光素子に伝達するスイッチング素子として利用され、他の一つは選択されたデータ信号に相応する電流を発光素子に供給する駆動素子として利用される。
【0006】
これらの薄膜トランジスタは、半導体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、及びソース/ドレイン電極などの手順で製作され、通常、スタガードタイプ(staggered type)及びコプラナータイプ(coplanar type)などに分類することができる。
【0007】
また、薄膜トランジスタは、ソース/ドレイン電極に対するゲート電極の形成位置によって上部ゲート構造または下部ゲート構造に分類することができる。
【0008】
例えば、上部ゲート構造の薄膜トランジスタは、基板上に半導体層、半導体層上に形成されたゲート絶縁膜、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極、及びソース/ドレイン電極などを含む。
【0009】
半導体層は、所定濃度の不純物をドーピングされたソース及びドレイン領域と、ソース及びドレイン領域の間に形成されたチャンネル領域を持つ。ゲート電極は、一般的にチャンネル領域上部のゲート絶縁膜上に形成され、ソース/ドレイン電極は、ゲート電極上で層間絶縁膜を間に置いてコンタクトホールを通じてソース及びドレイン領域にそれぞれ接続される。
【0010】
このような二つの薄膜トランジスタ及びキャパシタ(2TR+1Cap)構造が具備された画素を含む発光表示装置において、駆動薄膜トランジスタのオン/オフ動作を担当するスイッチング薄膜トランジスタの漏洩電流が大きい場合、キャパシタがデータ電圧を一定に維持することができなくなるという短所がある。
【0011】
これによって、発光表示装置にはクロストーク現象(crosstalk)及びフリッカ現象(fliker)などが発生するようになって、ひいては発光表示装置の画質を落とす。
【0012】
このような問題点を解決し、2TR+1Cap構造の画素を持つ発光表示装置の画質を改善させるために、補償回路を画素に追加することが提案されている。
【0013】
しかしながら、画素構造に補償回路が追加される場合、複数の薄膜トランジスタが追加されるため、その駆動方式が既存の画素構造に比べて相対的に複雑になる。
【0014】
また、補償回路を含む画素構造は、キャパシタからいくつかの薄膜トランジスタ経路を介した漏洩電流の発生可能性が相対的に高くなるから、キャパシタの電圧維持能力が相対的に落ちるようになる。すなわち、画素構造に補償回路を追加しても発光表示装置の画質が低下する。
【0015】
また、画素を構成する各素子の端子は、一つの画素内に使われるゲート信号のピーク対ピーク、すなわち、ELVDDからELVSSまでの電圧差によって発生するキックバック(kickback)電圧の影響を受ける。さらに、キャパシタが連結された端子で発生するキックバック電圧が大きくなる場合には、発光素子を駆動する電圧に影響を与えるようになって、画質低下を誘発させることがある。
【0016】
一方、一般的な発光表示装置及び薄膜トランジスタに関する技術を記載した文献としては、下記の特許文献1等がある。
【特許文献1】韓国特許出願公開第2005−0067803号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、画素を構成するスイッチング薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部の幅を異なるように形成することで、オフ電流を減らして駆動能力を高めることができる薄膜トランジスタ及び画質を高めることができる発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した目的を達成するために、本発明の一側面によれば、データ信号を伝達する少なくとも一つのデータ線と、選択信号を伝達する少なくとも一つの走査線と、前記データ線及び前記走査線と電気的に連結され、前記選択信号に応答して前記データ信号を発光素子に伝達する第1薄膜トランジスタと、前記第1薄膜トランジスタと連結されて前記伝達されたデータ信号に相応する電圧を充電するキャパシタと、前記キャパシタと連結されて前記選択信号によって前記選択されたデータ信号に相応する電流を前記発光素子に供給する第2薄膜トランジスタとを含む少なくとも一つの画素を含み、前記第1薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部の幅が互いに異なるように形成されることを特徴とする。
【0019】
望ましくは、前記第1薄膜トランジスタチャンネル領域の両端部のうち、小さい幅を持つ一の端部が、前記キャパシタの一つの電極に電気的に連結される。
【0020】
また、前記第1薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部のうち、小さい幅を持つ一の端部が、前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に電気的に連結される。
【0021】
また、前記第1薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部のうち、小さい幅を持つ一の端部が、前記第1薄膜トランジスタのドレイン電極側である。
【0022】
また、前記画素は、前記第2薄膜トランジスタのしきい値電圧を補償するしきい値電圧補償回路をさらに含む。
【0023】
また、前記画素は、前記画素に供給される第1電源の電圧降下を補償する電圧降下補償回路をさらに含む。
【0024】
また、前記第1薄膜トランジスタはコプラナー構造、スタガード構造、上部ゲート構造、及び下部ゲート構造のうち少なくともいずれか一つの構造からなる。
【0025】
また、本発明の一側面による薄膜トランジスタは、基板上に形成され、両端部の幅のうち一の端部の幅が他の端部の幅よりも広いチャンネル領域と、前記チャンネル領域の両端部にそれぞれ形成されるソース及びドレイン領域を含む半導体層と、前記半導体層と電気的に接続されるソース及びドレイン電極と、前記チャンネル領域に接して形成される絶縁層と、前記絶縁層を介して前記チャンネル領域と対向するゲート電極と、を含むことを特徴とする。
【0026】
望ましくは、前記チャンネル領域のうち幅が狭い他の端部が、前記ドレイン領域と接続される。
【0027】
また、前記チャンネル領域と前記ゲート電極が、それぞれ第1及び第2チャンネル領域と第1及び第2ゲート電極とを有するデュアルゲート構造である。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部の幅を異なるように形成することで、薄膜トランジスタのキックバック電圧とオフ電流を減らすことができる。これによって、上記薄膜トランジスタを採用した発光表示装置の画質を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態による発光表示装置の回路図であり、図2は、図1の発光表示装置の部分拡大図である。
【0031】
図1を参照すれば、本実施の形態の発光表示装置100は、画像を表示する複数の画素120を具備した画像表示部110と、複数の走査線S1,S2,…,Snを通じて画像表示部110に選択信号を伝達する走査駆動部130と、複数のデータ線D1,D2,D3,…,Dmを通じて画像表示部110にデータ信号を伝達するデータ駆動部140と、を含む。
【0032】
画像表示部110は、赤R、緑G、及び青Bを表示する副画素120R,102G,120Bが含まれた複数の画素120からなる。
【0033】
各画素120は、走査信号などの選択信号が印加される走査線S1,…,Snと、データ信号が印加されるデータ線D1,…,Dm、第1電源電圧ELVDDを供給する第1電源電圧線150、及び第2電源電圧ELVSSを供給する第2電源電圧線160に連結される。
【0034】
図2を参照すれば、画素120を構成する副画素120Rは、発光素子OLED、第1薄膜トランジスタM1、キャパシタCst、及び第2薄膜トランジスタM2を含む。また、副画素120Rには、第1薄膜トランジスタM1、キャパシタCst、及び第2薄膜トランジスタM2のうち、少なくとも一つに連結される走査線Sn−1、データ線D1、及び電源線ELVDDが連結されている。
【0035】
ここで、走査線Sn−1は行方向に形成され、データ線D1及び電源線ELVDDは列方向に形成される。第1薄膜トランジスタM1は、選択信号に応答してデータ信号を発光素子OLEDに伝達するスイッチング素子として利用されて、第2薄膜トランジスタM2は、選択信号によって選択されたデータ信号に相応する電流を発光素子OLEDに供給する駆動素子として利用される。
【0036】
前述した副画素120Rは、次のような駆動原理によって画像を表示する。
【0037】
まず、第1薄膜トランジスタM1のゲート電極に走査信号が印加されれば、第1薄膜トランジスタM1がオン状態になる。第1薄膜トランジスタM1がオンになれば、データ信号に対応する電圧がキャパシタCstに充電され、キャパシタCstに充電された電圧は、第2薄膜トランジスタM2のゲート電極に印加される。これによって、第2薄膜トランジスタM2が発光素子OLEDに電流を流せるようにすることにより、各副画素120aに含まれた各発光素子OLEDを発光させる。
【0038】
図3は、本発明の他の実施形態による発光表示装置の回路図である。図3を参照すれば、図3には、図2に開示された実施形態である2Tr+1Cap構造にしきい値電圧を補償するしきい値電圧補償回路が含まれている。
【0039】
図3においての副画素120Rは、発光素子OLED、スイッチング素子の役割を果たす第1薄膜トランジスタM1、駆動素子の役割を果たす第2薄膜トランジスタM2、キャパシタCst、及びしきい値電圧補償回路300を含む。
【0040】
しきい値電圧補償回路300は、第3薄膜トランジスタM3、第4薄膜トランジスタM4、第5薄膜トランジスタM5、及び第6薄膜トランジスタM6を含む。
【0041】
第1ないし第6薄膜トランジスタM1,M2,M3,M4,M5,M6はそれぞれゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極を具備し、キャパシタCstは第1電極と第2電極を具備する。
【0042】
第1薄膜トランジスタM1のゲート電極は、n番目走査線Snに連結され、ソース電極はデータ線Dmに連結され、ドレイン電極は第1ノードAに連結される。
【0043】
したがって、走査線Snを通じて入力されるn番目走査信号によってデータ信号が第1ノードAに伝達される。
【0044】
第2薄膜トランジスタM2のソース電極は、第1ノードAに連結され、ドレイン電極は第3ノードCに連結され、ゲート電極は第2ノードBに連結される。
【0045】
これにより、第4薄膜トランジスタM4の動作によって第2ノードBと第3ノードCの電位が同じになれば、第2薄膜トランジスタM2はダイオード結合をするようになって、これにより、第1ノードAに伝達されたデータ信号が第2薄膜トランジスタM2を通じて第2ノードBに到達される。
【0046】
そして、第1ノードAに画素電源線ELVDDから画素電源が伝達されれば、ゲート電極に印加される電圧に対応する電流がソース電極からドレイン電極を通じて流れる。すなわち、第2ノードBの電位によって流れる電流量が決まる。
【0047】
第3薄膜トランジスタM3のゲート電極は、n−1番目走査線Sn−1に連結され、ドレイン電極は第2ノードBに連結される。したがって、n−1番目走査線Sn−1を通じて入力されるn番目走査信号を第2ノードBに伝達する。
【0048】
第4薄膜トランジスタM4のゲート電極は、n番目走査線Snに連結され、ソース電極は第3ノードCに連結され、ドレイン電極は第2ノードBに連結される。したがって、n番目走査線Snを通じて入力されるn番目走査信号によって第2ノードBと第3ノードCの電位を同じにする。
【0049】
第5薄膜トランジスタM5のソース電極は、画素電源線ELVDDに連結され、ドレイン電極は第1ノードAに連結され、ゲート電極は発光制御線Enに連結される。したがって、画素電源は、発光制御線Enを通じて伝達される発光制御信号によって選択的に第2薄膜トランジスタM2に伝達される。
【0050】
第6薄膜トランジスタM6のソース電極は、第3ノードCに連結され、ドレイン電極はOLEDに連結され、ゲート電極は発光制御線Enに連結される。したがって、発光制御線Enを通じて伝達される発光制御信号によって選択的に電流をOLEDに伝達する。
【0051】
ストリッジキャパシタCstの第1電極は、画素電源線ELVDDに連結され、第2電極は、第2ノードBに連結される。したがって、第3薄膜トランジスタM3によって初期化信号が第2ノードBに提供されれば、キャパシタCstに伝達され、信号の伝達を受けたキャパシタCstは初期化電圧を充電し、第1薄膜トランジスタM1と第4薄膜トランジスタM4によってデータ信号が第2薄膜トランジスタM2に伝達すればデータ信号に対応する電圧を充電する。
【0052】
キャパシタCstは、充電された電圧を第2ノードBに伝達して第2薄膜トランジスタM2のゲート電極にストリッジキャパシタCstに充電された電圧が印加されるようにする。
【0053】
以下では、図2の発光表示装置の回路図を概略的に図示した側断面図である図4を参照して副画素120Rの構成要素をより具体的に説明する。
【0054】
図4を参照すれば、副画素120Rの断面構造は、まず、硝子などの絶縁基板400上に窒化膜または酸化膜で形成されたバッファ層401を含む。
【0055】
バッファ層401は、金属イオンなどの不純物が半導体層内のアクティブチャンネルに拡散することを防止するために形成される。
【0056】
次に、バッファ層401が形成された基板400上にはCVD及びスパッタリングなどの工程を通じて非晶質シリコン層が形成される。非晶質シリコン層は、固相結晶化方法(SPC、MIC、MICC、及びSGSなど)及び液状結晶化方法(ELAなど)によって半導体層402,404に形成される。
【0057】
この時、ストリッジキャパシタCstの下部電極403aが一緒に形成される。半導体層402,404は非晶質シリコン層を基板上に蒸着した後、ポリシリコン層に結晶化する方法以外にも、バッファ層401上部に直接ポリシリコン層を蒸着した後、パターニングする方法を利用して形成することができる。
【0058】
一方、本発明においてスイッチング素子で利用される第1薄膜トランジスタM1が駆動素子である第2薄膜トランジスタM2と異なる転移特性を持つようにするために、半導体層402,404を所定の模様にパターニングすることができる。
【0059】
発光素子OLEDの発光能力は、発光素子OLEDに供給される電流によって輝度差を現わす。つまり、発光能力の優秀な発光素子OLEDは、同じ電流が供給される場合、他の発光素子に比べてより高い輝度を現わすことができる。
【0060】
発光素子OLEDの発光効率を高めるために、パターニングされた半導体層402の具体的な形状については、図5及び図6を参照して後述する。
【0061】
半導体層402,404上には、ゲート絶縁膜405が形成され、ゲート絶縁膜405上にはゲート電極406a,408aが形成される。この時、ストリッジキャパシタCstの上部電極407aは、ゲート電極406a,408aと一緒に形成される。
【0062】
その後、ゲート電極406a,408aにマスクをして不純物をドーピングすることにより、ソース及びドレイン領域402a,402b,404a,404bが形成される。ここで、ゲート電極406a,408aの下部に位置する半導体層402,404はチャンネル領域になって、チャンネル領域の両側に形成されたドーピング領域はソース領域402a,404aとドレイン領域402b,404bになる。
【0063】
次に、前記構造の上部には層間絶縁膜409が形成され、層間絶縁膜409には第1及び第2コンタクトホール410a,411a,410b,411bが形成される。第1及び第2コンタクトホール410a,411a,410b,411bは、第1薄膜トランジスタM1及び第2薄膜トランジスタM2のソース領域402a,404a及びドレイン領域402b,404bをそれぞれ露出させる。
【0064】
キャパシタCstの上部電極407aを露出させる第3コンタクトホール412a,412bは、第1及び第2コンタクトホール410a,411a,410b,411bと一緒に形成されることができる。
【0065】
層間絶縁膜409上には、第1及び第2コンタクトホール410a,411a,410b,411bを通じてソース及びドレイン領域402a,404a,402b,404bにそれぞれ連結されるソース電極406b,408b及びドレイン電極406c,408cが形成される。
【0066】
その後、ソース及びドレイン電極406b,408b,406c,408c上には保護膜413が形成される。保護膜413には第2薄膜トランジスタM2のドレイン電極408cを露出させる第4コンタクトホール414が形成される。
【0067】
その後、保護膜413上には発光素子OLEDの第1電極(以下、アノード電極415)が形成される。アノード電極415は、第4コンタクトホール414を通じて第2薄膜トランジスタM2のドレイン電極408cに電気的に連結される。
【0068】
アノード電極415の上部には画素定義膜418が形成され、画素定義膜418にはアノード電極415を露出させる開口部419が形成される。
【0069】
その後、開口部419には発光層416が形成される。そして、発光層416上には発光素子OLEDの第2電極(カソード電極417)が形成される。
【0070】
上述した積層手順の構成により、半導体層402のソース領域402aに連結されたソース電極406b、ドレイン領域402bに連結されたドレイン電極406c、及び半導体層402上部に形成されているゲート電極406aを具備したスイッチング用第1薄膜トランジスタM1が形成される。
【0071】
また、半導体層404のソース領域404aに連結されたソース電極408bと、ドレイン領域404bに連結されたドレイン電極408c、及び半導体層404上部に形成されているゲート電極408aを具備した駆動用第2薄膜トランジスタM2が形成される。
【0072】
そして、下部電極403aと上部電極407aによってストリッジキャパシタCstが形成される。また、アノード電極415、発光層416、及びカソード電極417によって有機発光素子OLEDが形成される。
【0073】
一方、本実施形態ではPMOS構造の薄膜トランジスタを含む画素の製造方法について開示したが、本発明はこのような構成に限定されず、NMOS構造及びCMOS構造などの他の薄膜トランジスタ構造を含む画素の製造方法に容易く適用することができる。
【0074】
図4では上部ゲート構造(タイプ)またはコプラナー構造のスイッチング用第1薄膜トランジスタM1を含む副画素120Rの断面構造に対して言及するが、このような断面構造は他の副画素120G,120Bの断面構造とほとんど同一に適用することができる。また、本発明の薄膜トランジスタは、スタガード構造及び下部ゲート構造を有することもできる。
【0075】
また、本実施形態では2Tr+1Cap構造の回路図である図2の側断面図を開示しているが、しきい値電圧補償回路が含まれた図4を参照して発光表示装置の側断面図を説明することができることは勿論である。
【0076】
以下では、本発明による発光表示装置を構成する薄膜トランジスタの平面図である図5及び図6を参照し、スイッチング素子で動作する第1薄膜トランジスタM1のパターンを具体的に説明する。
【0077】
図5を参照すれば、第1薄膜トランジスタM1のチャンネル領域は、第1幅W1と第2幅W2を持っており、チャンネル領域の長さLは、第1チャンネル長さL1と第2チャンネル長さL2を含み、有効チャンネル長さを現わす。
【0078】
第1薄膜トランジスタM1のチャンネル領域の両端部W1,W2のうち、小さい幅W2を持つ一の端部がキャパシタCstの一の電極と第2薄膜トランジスタM2のゲート電極に電気的に連結され、チャンネル領域のうち小さい幅W2が第1薄膜トランジスタM1のドレイン電極側である。
【0079】
より具体的には、第1薄膜トランジスタM1は、半導体層500、ゲート電極508、ソース電極510、及びドレイン電極512からなる。
【0080】
半導体層500は、ゲート電極508の下部に形成されるチャンネル領域502(502a,502b)とチャンネル領域502の両側に形成されるソース領域504及びドレイン領域506を含む。
【0081】
ソース電極510は、少なくとも一つの第1コンタクトホール514を通じてソース領域504に電気的に連結され、ドレイン電極512は、少なくとも一つの第2コンタクトホール516を通じてドレイン領域506に電気的に連結される。なお、図5に示されるとおり、本実施の形態において、第1コンタクトホール514の数(たとえば、4個)は、第2コンタクトホール516の数(たとえば、2個)よりも多い。
【0082】
図6を参照すれば、第1薄膜トランジスタM1のチャンネル領域は、第1幅W1と第2幅W2を持っており、チャンネル領域は二つの有効チャンネル長さL1,L2を持つ。本実施形態における第1薄膜トランジスタM1は、デュアルゲート構造である。
【0083】
デュアルゲート構造である第1薄膜トランジスタM1もやはりチャンネル領域の両端部W1,W2のうち小さい幅W2がキャパシタCstの一の電極と第2薄膜トランジスタM2のゲート電極に電気的に連結され、第2幅W2は第1薄膜トランジスタM1のドレイン電極側である。
【0084】
具体的には、図6に開示された第1薄膜トランジスタM1は、半導体層600、ゲート電極608、ソース電極610、及びドレイン電極612からなる。より具体的には、チャンネル領域は、第1及び第2チャンネル領域を有し、ゲート電極は、第1及び第2ゲート電極を有する。
【0085】
半導体層600は、ゲート電極608の下部に形成されるチャンネル領域602(602a,602b)とチャンネル領域602の両側に形成されるソース領域604及びドレイン領域606を含む。
【0086】
ソース電極610は、少なくとも一つの第1コンタクトホール614を通じてソース領域604に電気的に連結され、ドレイン電極612は、少なくとも一つの第2コンタクトホール616を通じてドレイン領域606に電気的に連結される。なお、図6に示されるとおり、本実施の形態において、第1コンタクトホール614の数(たとえば、4個)は、第2コンタクトホール616の数(たとえば、2個)よりも多い。
【0087】
図5及び図6に図示されたように、それぞれの第1薄膜トランジスタM1のチャンネル領域502,602の幅W1,W2は多段構造(複数段構造)に形成されている。このように、第1薄膜トランジスタM1のチャンネル領域502,602の両端部の幅を互いに異なるように、いずれか一側の幅を小さい多段構造に形成することによって、オフ電流を減らし、キックバック電圧を減らすことができる。
【0088】
一般に、キックバック電圧は、チャンネル領域502,602中央を基準にしてチャンネル領域502,602とゲート電極508,608とのオーバーラップ面積に影響を受けるので、キックバックを起こす端子に接するチャンネル領域の幅を減らすことによってキックバック電圧を減らすことができる。
【0089】
特に、キックバック電圧は、駆動素子の役割を果たす第2薄膜トランジスタM2のゲートに連結されたチャンネル領域の幅を小さくすることによって減らすことができる。
【0090】
勿論、スイッチング用薄膜トランジスタをこのように構成する場合には、複数の薄膜トランジスタ経路に漏洩電流発生可能性の高い補償回路を含む画素構造においてもキックバック電圧及びオフ電流を減らすことができる。
【0091】
上記実施形態では、二つの薄膜トランジスタと一つのキャパシタを含む画素構造2Tr+1Capと、2Tr+1Cap構造を成す第2薄膜トランジスタのしきい値電圧を補償するしきい値電圧補償回路をさらに含む画素構造に適用しているが、ここに限定されず、第1電源の電圧降下を補償する電圧降下補償回路をさらに含む画素構造に適用可能であることは勿論であり、他の多様な画素構造にも適用することができる。
【0092】
また、上記実施形態ではチャンネル領域を構成する第1チャンネル領域及び第2チャンネル領域の長さが同じであるのが開示されているが、第1チャンネル領域及び第2チャンネル領域の長さを異なるように形成することもできる。
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態について例をあげて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で当該分野において通常の知識を有する者によってさまざまな変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態による発光表示装置の回路図である。
【図2】図1の発光表示装置の部分拡大図である。
【図3】本発明の他の実施形態による発光表示装置の回路図である。
【図4】図2の発光表示装置の概略的な側断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの平面図である。
【符号の説明】
【0095】
500,600 半導体層、
502,602 チャンネル領域、
504,604 ソース領域、
506,606 ドレイン領域、
508,608 ゲート電極、
510,610 ソース電極、
512,612 ドレイン電極、
M1 第1薄膜トランジスタ、
M2 第2薄膜トランジスタ、
W1 第1幅、
W2 第2幅、
CST キャパシタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号を伝達する少なくとも一つのデータ線と、
選択信号を伝達する少なくとも一つの走査線と、
前記データ線及び前記走査線と電気的に連結され、前記選択信号に応答して前記データ信号を発光素子に伝達する第1薄膜トランジスタと、前記第1薄膜トランジスタと連結されて前記伝達されたデータ信号に相応する電圧を充電するキャパシタと、前記キャパシタと連結されて前記選択信号によって前記選択されたデータ信号に相応する電流を前記発光素子に供給する第2薄膜トランジスタとを含む少なくとも一つの画素と、を含み、
前記第1薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部の幅が互いに異なるように形成されることを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記第1薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部のうち、小さい幅を持つ一の端部が、前記キャパシタの一の電極に電気的に連結されることを特徴とする請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記第1薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部のうち、小さい幅を持つ一の端部が、前記第2薄膜トランジスタのゲート電極に電気的に連結されることを特徴とする請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記第1薄膜トランジスタのチャンネル領域の両端部のうち、小さい幅を持つ一の端部が、当該第1薄膜トランジスタのドレイン電極側であることを特徴とする請求項2または3に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記第1薄膜トランジスタが、デュアルゲート構造であることを特徴とする請求項4に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記画素は、
前記第2薄膜トランジスタのしきい値電圧を補償するしきい値電圧補償回路をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。
【請求項7】
前記画素は、
前記画素に供給される第1電源の電圧降下を補償する電圧降下補償回路をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。
【請求項8】
前記第1薄膜トランジスタは、
コプラナー構造、スタガード構造、上部ゲート構造、及び下部ゲート構造のうち少なくともいずれか一つの構造を有することを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。
【請求項9】
基板上に形成され、
両端部の幅のうち一の端部の幅が他の端部の幅よりも広いチャンネル領域と、
前記チャンネル領域の両端部にそれぞれ形成されるソース及びドレイン領域を含む半導体層と、
前記半導体層と電気的に接続されるソース及びドレイン電極と、
前記チャンネル領域に接して形成される絶縁層と、
前記絶縁層を介して前記チャンネル領域と対向するゲート電極と、
を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記チャンネル領域のうち幅が狭い他の端部が、前記ドレイン領域と接続されることを特徴とする請求項9記載の薄膜トランジスタ。
【請求項11】
前記チャンネル領域と前記ゲート電極が、それぞれ第1及び第2チャンネル領域と第1及び第2ゲート電極とを有するデュアルゲート構造であることを特徴とする請求項10記載の薄膜トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−5766(P2007−5766A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111114(P2006−111114)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】