説明

発光装置の製造方法

【課題】製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】同一絶縁性基板400上に複数の発光素子を配置する配置工程と、絶縁性基板400上に配置された複数の発光素子の一部または全部を一括して配線する配線工程と、配置工程と配線工程の後、絶縁性基板400を複数の分割基板430A,430B,430C,430D,430Eに分割する基板分割工程とを有する。これによって、分割基板430A,430B,430C,430D,430E上に複数の発光素子が配置された発光装置を複数形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光装置としては、図45に示すように、リードフレーム901が実装されたパッケージ基板900に1個(または数個)のLEDチップ910を実装して、LEDチップ910のn型電極905とp型電極906をボンディングワイヤ911によりリードフレーム901に夫々接続した後、反射板921で囲まれたLEDチップ910上に蛍光体を含む樹脂922を充填し、さらにその蛍光体を含む樹脂922上に透明樹脂923を充填したものがある(例えば、非特許文献1参照)。上記LEDチップ910は、サファイア基板902上にGaNからなる半導体層903が積層され、その半導体層903に活性層904を有する。
【0003】
上記発光装置の製造方法では、1個(または数個)のLEDチップ910をパッケージ基板900上に実装した後の配線工程は、1パッケージに対して個々に行うので、コストが高くなるという問題がある。
【0004】
また、上記1個(または数個)のLEDチップが搭載された発光装置では、LEDチップ毎の明るさのばらつきがそのまま発光装置の明るさのばらつきになるため、発光装置の歩留まりが悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】村上元著、「第13回 LED・LD用 半導体パッケージ技術の変遷」、Semiconductor FPD World、プレスジャーナル社、2009年5月号、p.114〜117 (図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、同一基板上に配置された複数の発光素子を一括して配線することにより製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる発光装置の製造方法およびその発光装置の製造方法により製造された発光装置を提供することにある。
【0007】
また、この発明のもう一つの課題は、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる照明装置を提供することにある。
【0008】
また、この発明のもう一つの課題は、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できるバックライトを提供することにある。
【0009】
また、この発明のもう一つの課題は、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる液晶パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1の発明の発光装置の製造方法は、
同一基板上に複数の発光素子を配置する配置工程と、
上記基板上に配置された上記複数の発光素子の一部または全部を一括して配線する配線工程と、
上記配置工程と上記配線工程の後、上記基板を複数の分割基板に分割することによって、上記分割基板上に複数の発光素子が配置された発光装置を複数形成する基板分割工程と
を有すると共に、
上記複数の発光素子は、棒状であって、
上記複数の発光素子の長手方向が上記基板の実装面に対して平行になるように、上記複数の発光素子が上記基板の実装面上に配置されており、
上記棒状の発光素子は、第1導電型の棒状の半導体コアと、その半導体コアの外周を覆う第2導電型の筒状の半導体層と、上記棒状の半導体コアを同心状に囲む筒状の発光面とを有し、
上記棒状の発光素子の上記半導体コアの一端側が露出していることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、同一基板上に配置された複数の発光素子を一括して配線した後、基板を複数の分割基板に分割して、分割基板上に複数の発光素子が配置された発光装置を複数形成することによって、配線工程を簡略化して製造コストを低減できる。また、X%の明るさばらつきを有する発光素子をn個集合したとき、全体の明るさのばらつきは、Y=X/√n[%]となるので、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
また、棒状の複数の発光素子の長手方向が基板の実装面に対して平行になるように、複数の発光素子を基板の実装面上に配置することによって、径方向に対して軸方向(長手方向)の長さの比を大きくできるので、発光素子の発光面の面積が同じ条件では発光面が平坦な正方形のときよりも基板側への横方向の熱流出が効率よく行われ、発光時の温度上昇がさらに抑制され、より長寿命化、高効率化が図れる。
また、棒状の発光素子が、棒状のコアを同心状に囲む筒状の発光面を有することによって、同一体積で平坦な発光面を有する発光素子に比べて、発光素子1個あたりの発光面の面積が増大し、所定の明るさを得るための発光素子数を削減することができ、コストを削減できる。
また、棒状の発光素子が、第1導電型の棒状の半導体コアと、その半導体コアの外周を覆う第2導電型の筒状の半導体層とを有し、半導体コアの一端側が露出していることによって、半導体コアの一端側の露出部分に一方の電極を接続し、半導体コアの他端側の半導体層に電極を接続することが可能となり、両端に電極を離して接続でき、半導体層に接続する電極と半導体コアの露出部分が短絡するのを防ぐので、配線が容易にできる。
【0012】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記配置工程において、上記同一基板上に上記複数の発光素子を一括して配置する。
【0013】
上記実施形態によれば、上記配置工程において、同一基板上に複数の発光素子を一括して配置することによって、配線工程の簡略化と相俟って製造コストをさらに低減できる。
【0014】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記基板上に上記複数の発光素子を配線するための配線パターンが形成され、
上記基板分割工程における上記基板の切断領域には上記配線パターンが形成されていない。
【0015】
上記実施形態によれば、基板上に複数の発光素子を配線するために形成された配線パターンが、基板分割工程における基板の切断領域に形成されていないことによって、切断時に導電性の配線クズが散らばることがなく、導電性の配線クズによる短絡などの不具合を防止できる。
【0016】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記基板上に上記複数の発光素子を配線するための配線パターンが形成され、
上記基板の切断領域に、上記基板分割工程において切断されても電気接続に影響しない上記配線パターンが形成されている。
【0017】
上記実施形態によれば、基板の切断領域に、基板分割工程において切断されても電気接続に影響しない配線パターンが形成されていることによって、隣接する分割基板に跨って連続して配線パターンを形成でき、配線パターン形成が容易になると共に、基板分割時に切断されても回路動作に問題が生じない。
【0018】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記基板分割工程における上記基板の切断領域には上記発光素子が配置されていない。
【0019】
上記実施形態によれば、基板分割工程における基板の切断領域に発光素子を配置しないことによって、切断により破損する発光素子をなくし、発光素子を有効に活用できる。
【0020】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記複数の発光素子のうち、上記基板の切断領域には、上記基板分割工程において切断されても所望の発光量に影響しない発光素子が配置されている。
【0021】
上記実施形態によれば、上記複数の発光素子のうち、基板分割工程において切断されても所望の発光量に影響しない発光素子が基板の切断領域に配置されていることによって、切断により破損した発光素子が発光しなくとも、切断されていない他の複数の発光素子により発光が行われる。したがって、配置工程において発光素子が基板の切断領域に配置されないように考慮する必要がなくなり、配置工程を簡略化することができる。
【0022】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記配置工程と上記配線工程の後でかつ上記基板分割工程の前に、上記基板上に蛍光体を塗布する蛍光体塗布工程と、
上記蛍光体塗布工程の後に上記基板上に保護膜を塗布する保護膜塗布工程と
を有する。
【0023】
上記実施形態によれば、上記配置工程と配線工程の後でかつ基板分割工程の前に、基板上に蛍光体を塗布する蛍光体塗布工程と、その蛍光体塗布工程の後に上記基板上に保護膜を塗布する保護膜塗布工程とを、複数の発光素子が配置された1つの基板で一度に行うことによって、従来パッケージ毎に行っていた場合に比べて製造コストを大幅に低減できる。
【0024】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記蛍光体塗布工程において、上記蛍光体は上記複数の発光素子が配置された領域に選択的に塗布する。
【0025】
上記実施形態によれば、複数の発光素子が配置された領域に蛍光体を選択的に塗布することによって、材料費で大きな比率を占める蛍光体の使用量を減らしてコストを削減できる。
【0026】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記分割基板の夫々には上記発光素子が100個以上配置されている。
【0027】
上記実施形態によれば、分割基板の夫々に発光素子を100個以上配置することによって、明るさばらつきを有する複数の発光素子を集合したときの全体の明るさのばらつきを、1つの発光素子の明るさばらつきの1/10以下に低減できる。
【0028】
通常、発光素子毎の明るさばらつきは、順方向電圧(Vf)のばらつきにより50%に達することもある。従来は、点灯試験によりスペックを外れた発光素子を排除したり、同様な明るさの発光素子にグループ分けして使用したりしていた。しかしながら、X%の明るさばらつきを有する発光素子をn個集合したとき、全体の明るさのばらつきは、Y=X/√n[%]となる。すなわち、n=100のとき、夫々の発光素子が50%のばらつきをもっていても全体の明るさのばらつきは1/10の5%となってスペックを満たすことができる。これにより、夫々の発光素子の点灯試験が不要となり、コストを削減できる。
【0029】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記基板分割工程において、上記基板を少なくとも2種類以上の形状が異なる上記分割基板に分割する。
【0030】
上記実施形態によれば、基板分割工程において、基板を少なくとも2種類以上の形状が異なる分割基板に分割することによって、様々な形態に対応した発光装置を容易に提供できる。
【0031】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記基板上に上記複数の発光素子を配置する配置工程は、
少なくとも第1の電極および第2の電極を実装面に有する上記基板を作成する基板作成工程と、
上記基板上に上記複数の発光素子を含んだ溶液を塗布する塗布工程と、
少なくとも上記第1の電極と上記第2の電極に電圧を印加して、上記複数の発光素子を少なくとも上記第1の電極および上記第2の電極により規定される位置に配列させる配列工程と
を含む。
【0032】
上記実施形態によれば、少なくとも第1の電極および第2の電極を実装面に有する基板を作成し、その基板上に複数の発光素子を含んだ液体を塗布する。その後、少なくとも第1の電極と第2の電極に電圧を印加して、複数の発光素子を少なくとも第1の電極および第2の電極により規定される位置に配列させる。これにより、上記複数の発光素子を基板上の所定の位置に容易に配列させることができる。したがって、従来のように発光ダイオードを1つ1つ基板上の所定の位置に配置する必要がなく、多数の微細な発光ダイオードを精度よく所定の位置に配置させることができる。
【0033】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
少なくとも上記第1の電極および上記第2の電極は、上記複数の発光素子を駆動するための電極として用いられる。
【0034】
上記実施形態によれば、少なくとも第1の電極および第2の電極を、複数の発光素子を駆動するための電極として用いることによって、配線工程を簡略化してコストを削減できる。
【0035】
また、一実施形態の発光装置の製造方法では、
上記複数の発光素子は、エピタキシャル基板上に形成された複数の素子であって、上記エピタキシャル基板上から上記各素子を分離したものである。
【0036】
上記実施形態によれば、エピタキシャル基板上に形成された複数の素子を形成し、そのエピタキシャル基板上から分離した複数の発光素子を用いることによって、発光素子ごとエピタキシャル基板を分断して使用するのに比べて、エピタキシャル基板を再利用できるので、コストを低減できる。
【0037】
また、第2の発明の発光装置では、
1つの基板から分割された分割基板と、
上記分割基板に配置された複数の発光ダイオードと、
上記分割基板上に所定の間隔をあけて形成されると共に、上記複数の発光ダイオードが接続された第1の電極と第2の電極と
を備え、
上記複数の発光ダイオードは、上記第1の電極にアノードが接続されると共に上記第2の電極にカソードが接続された発光ダイオードと、上記第1の電極にカソードが接続されると共に上記第2の電極にアノードが接続された発光ダイオードとが混在しており、
交流電源によって上記第1の電極と上記第2の電極との間に交流電圧を印加して上記複数の発光ダイオードが駆動されることを特徴とする。
【0038】
上記構成によれば、上記第1,第2の電極間に接続する複数の発光ダイオードの極性を揃えて配列する必要がないので、製造時に複数の発光ダイオードの極性(向き)を揃える工程が不要となり工程を簡略化できる。また、発光ダイオードの極性(向き)を識別するために、発光ダイオードにマークを設ける必要がなく、極性識別のために発光ダイオードを特別な形状にする必要がなくなるので、発光ダイオードの製造工程を簡略化でき、製造コストも抑えることができる。なお、発光ダイオードのサイズが小さな場合や発光ダイオードの個数が多い場合、極性を揃えて発光ダイオードを配列するものに比べて、上記配置工程を格段に簡略化できる。
【0039】
また、一実施形態の発光装置では、
上記分割基板が放熱板上に取り付けられている。
【0040】
上記実施形態によれば、分割基板を放熱板上に取り付けることによって、さらに放熱効果が向上する。
【0041】
また、第3の発明の照明装置では、
上記発光装置を備えたことを特徴とする。
【0042】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【0043】
また、第4の発明のバックライトでは、
上記発光装置を備えたことを特徴とする。
【0044】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【0045】
また、第5の発明の液晶パネルでは、
上記発光装置を備えたことを特徴とする。
【0046】
上記構成によれば、上記発光装置を用いることにより、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【0047】
また、第6の発明の液晶パネルでは、
透明基板と、
上記透明基板の一方の面に配置され、上記透明基板の一方の面に形成された配線に接続された複数の発光素子と、
上記透明基板の他方の面に形成された複数の薄膜トランジスタと
を備えたことを特徴とする。
【0048】
上記構成によれば、液晶パネル基板とバックライト基板を1つにした透明基板を用いることにより、部品コストと製造コストを低減できると共に、より薄型の液晶パネルを得ることができる。
【0049】
また、第7の発明の液晶パネルでは、
透明基板と、
上記透明基板の一方の面に配置され、上記透明基板の一方の面に形成された配線に接続された複数の発光素子と、
上記透明基板の他方の面に形成されたカラーフィルタと
を備えたことを特徴とする。
【0050】
上記構成によれば、カラーフィルタとバックライト基板を1つにした透明基板を用いることにより、部品コストと製造コストを低減できると共に、より薄型の液晶パネルを得ることができる。
【発明の効果】
【0051】
以上より明らかなように、この発明の発光装置の製造方法、発光装置、照明装置、バックライトおよび液晶パネルによれば、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の発光装置に用いられる第1の発光素子の製造方法の工程図である。
【図2】図2は図1に続く工程図である。
【図3】図3は図2に続く工程図である。
【図4】図4はこの発明の第1実施形態の発光装置に用いられる第2の発光素子の製造方法の工程図である。
【図5】図5は図4に続く工程図である。
【図6】図6は図5に続く工程図である。
【図7】図7は図6に続く工程図である。
【図8】図8は図7に続く工程図である。
【図9】図9は図8に続く工程図である。
【図10】図10は図9に続く工程図である。
【図11】図11は図10に続く工程図である。
【図12】図12は図11に続く工程図である。
【図13】図13は図12に続く工程図である。
【図14】図14は図13に続く工程図である。
【図15】図15は図14に続く工程図である。
【図16】図16は図15に続く工程図である。
【図17】図17は図16に続く工程図である。
【図18】図18はこの発明の第1実施形態の発光装置に用いる絶縁性基板の平面図である。
【図19】図19は図18のXIX−XIX線から見た断面模式図である。
【図20】図20は上記棒状構造発光素子を配列する原理を説明する図である。
【図21】図21は上記棒状構造発光素子を配列するときに電極に与える電位を説明する図である。
【図22】図22は上記棒状構造発光素子を配列した絶縁性基板の平面図である。
【図23】図23はこの発明の第1実施形態の他の発光装置の製造方法の工程図である。
【図24】図24は図23に続く工程図である。
【図25】図25は図24に続く工程図である。
【図26】図26はこの発明の第1実施形態の他の発光装置の製造方法の工程図である。
【図27】図27は図26に続く工程図である。
【図28】図28は図27に続く工程図である。
【図29】図29は図28に続く工程図である。
【図30】図30は図29に続く工程図である。
【図31】図31はこの発明の第1実施形態の発光装置の製造方法の基板分割工程を説明するための図である。
【図32】図32はこの発明の第2実施形態の照明装置に用いられる発光装置の平面図である。
【図33】図33は上記発光装置の側面図である。
【図34】図34は上記発光装置を用いた照明装置の一例としてのLED電球の側面図である。
【図35】図35はこの発明の第3実施形態の発光装置を用いたバックライトの平面図である。
【図36】図36はこの発明の第4実施形態の発光装置を用いたバックライトの平面図である。
【図37】図37はこの発明の第5実施形態の発光装置を用いた液晶パネルの平面図と側面図である。
【図38】図38はこの発明の他の実施形態の発光装置の製造方法に用いられる棒状構造発光素子の側面図と端面図である。
【図39】図39は上記発光装置の製造方法の棒状構造発光素子を含む溶液を絶縁性基板上に塗布する工程を示す図である。
【図40】図40は上記絶縁性基板上に塗布された溶液をラビング処理する工程を示す図である。
【図41】図41はラビング処理された絶縁性基板を乾燥する工程を示す図である。
【図42】図42は上記棒状構造発光素子が配列された絶縁性基板の棒状構造発光素子の長手方向に対して直交する直線領域をエッチングしてp型の半導体コアの一部を露出させる工程を示す図である。
【図43】図43は上記絶縁性基板に金属配線を形成する工程を示す図である。
【図44】図44はこの発明の他の実施形態の発光装置を用いた液晶パネルの側面図である。
【図45】図45は従来の発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、この発明の発光装置の製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。この実施形態では、Siをドープしたn型GaNとMgをドープしたp型GaNとを発光素子に用いるが、GaNにドーピングする不純物はこれに限らない。
【0054】
〔第1実施形態〕
この発明の第1実施形態の説明では、まず、発光装置の製造方法および発光装置に用いられる発光素子として、次の(1)において第1の発光素子の製造方法(図1〜図3に示す)について説明すると共に、(2)において第2の発光素子(図4〜図17に示す)の製造方法について説明し、さらに、(3)〜(5)において同一基板上への発光素子の配置工程,配線工程について説明した後、(6)において基板分割工程(図31に示す)を説明する。
【0055】
(1) 第1の発光素子の製造方法
図1〜図3はこの発明の第1実施形態の発光装置に用いられる第1の発光素子の製造方法の工程図を示している。以下に、図1〜図3を参照して第1の発光素子の製造方法を説明する。
【0056】
まず、図1に示したように、n型GaN基板20上にn型GaN層1を形成する。MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、棒状n型GaNを結晶成長させる。この棒状のn型GaN1は、成長温度を700℃〜800℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH)を、さらにキャリアガスとして水素(H)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaN層1を成長させることができる。一方、低温(例えば600℃またはそれ以下)や高温(例えば、1000℃またはそれ以上)でGaNを成長させると、低温の場合、形成されるGaNが上方向に偏った成長をして先細り形状に、また、高温の場合、形成されるGaNが側方に偏った成長をして棒状ではなく薄膜状になる。
【0057】
次に、図2に示したように、n型GaN層1上にInGaN量子井戸層2を成長させる。量子井戸層2は、発光波長に応じて設定温度を750℃にし、キャリアガスに窒素(N)、成長ガスにTMGおよびNH、トリメチルインジウム(TMI)を供給することで、n型GaN層1上にp型InGaNからなる量子井戸層2を形成することができる。なお、この量子井戸層は、InGaN層とp型GaN層の間に電子ブロック層としてp型AlGaN層を入れてもよい。また、GaNの障壁層とInGaNの量子井戸層を交互に積層した多重量子井戸構造であってもよい。
【0058】
次に、InGaN量子井戸層2上にp型GaN層3を形成する。このp型GaN層3は、設定温度を800℃にし、成長ガスとしてTMGおよびNHを使用し、p型不純物供給用にCpMgを用いることによってp型GaN層3を形成できる。
【0059】
次に、図3に示すように、n型GaN層1と量子井戸層2とp型GaN層3からなる複数の棒状構造発光素子10を、IPAなどの溶液中で超音波振動を加えることにより複数の棒状構造発光素子10を基板から分離する。
【0060】
上記第1実施形態の発光装置に用いられる第1の発光素子の製造方法では、エピタキシャル基板であるn型GaN基板20上に形成された複数の素子を形成し、そのn型GaN基板20上から分離した複数の棒状構造発光素子10を用いることによって、発光素子ごと基板を分断して使用するのに比べて、n型GaN基板20を再利用できるので、コストを低減することができる。
【0061】
この実施形態では、棒状の発光素子として棒状構造発光素子10を用いたが、棒状の発光素子はこれに限らず、例えばn型GaN基板上に成長穴を有する成長マスクや金属種などを用いて複数の棒状の発光素子を成長させた後、基板から切り離したものでもよい。
【0062】
上記第1実施形態では、棒状の発光素子を用いたが、この発明の発光素子はこれに限らず、円形状、楕円状、正方形状、矩形状、多角形状などの平坦な発光面を有し、その発光面が基板に対して平行になるように実装面上に配置される形態の発光素子でもよい。
【0063】
(2) 第2の発光素子の製造方法
また、図4〜図17はこの発明の第1実施形態の発光装置に用いられる第2の発光素子の製造方法を順に示す工程図である。
【0064】
この第2実施形態では、まず、図4に示すように、用意したサファイア基板101を洗浄する。
【0065】
次に、図5に示すように、サファイア基板101上にn型GaN膜102を成膜する。
【0066】
次に、図6に示すように、n型GaN膜102上にマスク層103をデポジションによって形成する。このマスク層103は、例えば、SiNまたはSiOで作製される。
【0067】
次に、上記マスク層103上にレジスト層105を塗布し、露光および現像(デベロップ)を行い、さらに、ドライエッチングを行って、図7に示すように、レジスト層105およびマスク層103に穴105A,103Aを形成する。この穴105A,103Aによって、n型GaN膜102の一部102Aが露出している。上記マスク層103が成長マスクとなり、マスク層103に形成された穴103Aが成長穴となる。
【0068】
次に、触媒金属形成工程において、図8に示すように、レジスト層105上および穴103Aに露出したn型GaN膜102の一部102A上に触媒金属106を蒸着(デポジション)させる。この触媒金属106としては、例えば、Ni、Feなどを採用できる。
【0069】
次に、リフトオフにより、レジスト層105およびレジスト層105上の触媒金属106を除去し、図9に示すように、n型GaN膜102の一部102A上の触媒金属106を残し、次に、洗浄を行う。
【0070】
次に、半導体コア形成工程において、図10に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて触媒金属106の存在下で断面ほぼ六角形の棒状の半導体コア107を形成する。この棒状の半導体コア107は、例えば、長さ25μmに成長させる。成長温度を800℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH)を、さらにキャリアガスとして水素(H)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNの半導体コア107を成長させることができる。ここで、n型GaNは、六方晶系の結晶成長となり、サファイア基板101表面に対して垂直方向をc軸方向にして成長させることにより、六角柱形状の半導体コアが得られる。成長方向や成長温度などの成長条件に依存するが、成長させる半導体コアの直径が数10nmから数100nm程度の小さい場合に断面がほぼ円形に近い形状になりやすい傾向があり、直径が0.5μm程度から数μmに大きくなると断面がほぼ六角形で成長させることが容易になる傾向がある。
【0071】
上記レジスト層105の穴105A,マスク層103の穴103Aを複数個形成し、この複数個の穴105A,103Aに露出した複数箇所のn型GaN膜102の一部102Aに触媒金属106を形成して、複数本の棒状の半導体コア107を形成する。
【0072】
次に、図11に示すように、MOCVDにより、n型GaNからなる半導体コア107およびマスク層103を覆うように、p型InGaNからなる量子井戸層108を成膜する。この量子井戸層108は、発光波長に応じて設定温度を750℃にし、キャリアガスに窒素(N)、成長ガスにTMGおよびNH、トリメチルインジウム(TMI)を供給することで、n型GaNの半導体コア107上およびマスク層103上にp型InGaNからなる量子井戸層108を形成することができる。なお、この量子井戸層は、InGaN層とp型GaN層の間に電子ブロック層としてp型AlGaN層を入れてもよい。また、GaNの障壁層とInGaNの量子井戸層を交互に積層した多重量子井戸構造であってもよい。
【0073】
次に、半導体層形成工程において、図11に示すように、MOCVDにより、量子井戸層108の全面にp型GaNからなる半導体層110を形成する。この半導体層110は、設定温度を900℃にし、成長ガスとしてTMGおよびNHを使用し、p型不純物供給用にCpMgを用いることによってp型GaNからなる半導体層110を形成できる。
【0074】
上記MOCVDによる量子井戸層108および半導体層110の成長において、触媒金属106を付けた状態で成膜するので、半導体コア107の側面107Bを覆う部分の成長速度に比べて、触媒金属106と半導体コア107の先端面107Aとの間の部分の成長速度が速く、例えば10〜100倍になる。具体的一例として、触媒金属106が付着した箇所のGaNの成長速度が50〜100μm/時であるのに対して、触媒金属が付着していない箇所のGaNの成長速度は1〜2μm/時になる。よって、量子井戸層108,半導体層110は、その先端部108A,110Aの膜厚が、側面部108B,110Bの膜厚に比べて厚くなる。
【0075】
次に、図12に示すように、触媒金属除去工程において、半導体コア107上の触媒金属106をエッチングにより除去した後に洗浄を行い、アニールにより半導体層110を活性にする。ここで、上記半導体コア107の先端面107Aを覆う量子井戸層108,半導体層110の先端部108A,110Aの肉厚が半導体コア107の側面107Bを覆う量子井戸層108,半導体層110の側面部108B,110Bの肉厚よりも厚いので、金属除去面のダメージや欠陥がPN接合に悪影響を及ぼし難くなる。また、エッチングの際に半導体コア107が半導体層110から露出することを防止できる。
【0076】
次に、図13に示すように、p型GaNからなる半導体層110の全面に導電膜111を形成する。この導電膜111の材質は、ポリシリコン,ITO(錫添加酸化インジウム)等を採用できる。この導電膜111の膜厚は例えば200nmとする。そして、上記導電膜111を成膜後、500℃から600℃で熱処理を行うことで、p型GaNからなる半導体層110と導電膜111とのコンタクト抵抗を下げることができる。なお、導電膜111は、これに限らず、例えば厚さ5nmのAg/NiまたはAu/Niの半透明の積層金属膜などを用いてもよい。この積層金属膜の成膜には蒸着法あるいはスパッタ法を用いることができる。さらに、より導電層の抵抗を下げるために、ITOによる導電膜上にAg/NiまたはAu/Niの積層金属膜を積層してもよい。
【0077】
次に、図14に示すように、ドライエッチングのRIE(反応性イオンエッチング)により、半導体コア107上およびマスク層103上で横方向に延在する部分の導電膜111を除去する。また、上記RIEにより、半導体コア107の先端面107A上を覆う半導体層110の先端部110Aを或る厚さ分だけ除去する。また、上記RIEにより、マスク層103上で導電膜111を越えて横方向に延在する領域の半導体層110を除去する。また、上記RIEにより、マスク層103上で導電膜111を越えて横方向に延在する領域の量子井戸層108を除去する。
【0078】
前述の如く、上記RIEの前には、量子井戸層108の先端部108Aの膜厚は、側面部108Bの膜厚に比べて十分に厚く、半導体層110の先端部110Aの膜厚が側面部110Bの膜厚に比べて十分に厚いので、上記RIEの後に、先端部で半導体コア107が露出することはない。したがって、上記RIEにより、半導体コア107の先端面を覆う量子井戸層108,半導体層110と、半導体コア107の側面を覆う量子井戸層108,半導体層110,導電膜111とが残る。
【0079】
次に、図15に示すように、エッチングにより、マスク層103(図14に示す)を除去する。このマスク層103が酸化シリコン(SiO)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、容易に半導体コア107および半導体コア107を覆う半導体層110,導電膜111の部分に影響を与えずにマスク層103をエッチングできる。また、CFを用いたドライエッチングにより、容易に半導体コア107および半導体コア107を覆う半導体層110,導電膜111の部分に影響を与えずにマスク層103をエッチングすることができる。これにより、半導体コア107は、サファイア基板101側の露出部分107Cの外周面が露出する。
【0080】
次に、図16に示すように、RIE(反応性イオンエッチング)により、下地n型GaN膜102をエッチングして、サファイア基板101表面を露出させる。これにより、半導体コア107に連なるn型GaNからなる段部102Bが形成される。ここで、先端面107A上の半導体層110と量子井戸層108の厚さが下地n型GaN膜102の厚さに比べて十分に厚くなるようにしているので、上記RIEにより、半導体コア107の先端面107Aが露出しないようにできる。
【0081】
これにより、上記n型GaNからなる半導体コア107とp型InGaNからなる量子井戸層108とp型GaNからなる半導体層110および導電膜111,n型GaNからなる段部102Bで構成される棒状構造の発光素子がサファイア基板101上に形成される。
【0082】
次に、切り離し工程において、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板を浸し、超音波(例えば数10KHz)を用いて下地基板(サファイア基板101)を基板平面に沿って振動させることにより、下地基板上に立設する半導体コア107を折り曲げるように、量子井戸層108と半導体層110,導電膜111に覆われた半導体コア107に対して応力が働いて、図17に示すように、量子井戸層108と半導体層110,導電膜111に覆われた半導体コア107が下地基板から切り離される。
【0083】
こうして、下地基板から切り離なされた微細な棒状構造発光素子100を製造することができる。
【0084】
また、上記半導体コア107を超音波を用いて基板から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に折り曲げることによって切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
【0085】
さらに、上記棒状構造発光素子100は、半導体層110が半導体コア107の外周面から半径方向外向に結晶成長し、径方向の成長距離が短くかつ欠陥が外向に逃げるため、結晶欠陥の少ない半導体層110により半導体コア107を覆うことができる。したがって、特性の良好な棒状構造発光素子を実現することができる。
【0086】
この発光素子の製造方法によれば、下地基板から切り離された微細な棒状構造発光素子100を製造することができる。また、上記サファイア基板101を再利用できる。また、上記棒状構造発光素子100は、使用する半導体の量を少なくでき、発光素子を用いた装置の薄型化と軽量化が可能となると共に、半導体層110で覆われた半導体コア107の全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な発光装置,バックライト,照明装置および表示装置などを実現することができる。また、図16に示すように、RIE(反応性イオンエッチング)により、下地n型GaN膜102をエッチングして段部102Bを形成したが、この下地n型GaN膜102のエッチングを省略して段部102Bのない下地n型GaN膜102から半導体コア107を切り離して、段部102Bを有していない棒状構造発光素子を作製してもよい。
【0087】
ここで、棒状構造発光素子100の直径を1μm、長さを25μmとしているので、1個当たりの棒状構造発光素子100の発光面積すなわち量子井戸層108の面積は、略(25×π×(0.5)μm−(露出部分107Cの外周面積))となる。
【0088】
また、棒状構造発光素子100が、棒状の半導体コア107を同心状に囲む筒状の発光面(量子井戸層108)を有することによって、同一体積で平坦な発光面を有する発光素子に比べて、棒状構造発光素子100の1個あたりの発光面の面積が増大し、所定の明るさを得るための発光素子数を削減することができ、コストを削減できる。
【0089】
また、棒状構造発光素子100が、p型の棒状の半導体コア107と、その半導体コア107の外周を覆うn型の筒状の半導体層110とを有し、半導体コア107の一端側が露出していることによって、半導体コア107の一端側の露出部分107Cに一方の電極を接続し、半導体コア107の他端側の導電膜111に電極を接続することが可能となり、両端に電極を離して接続でき、導電膜111に接続する電極と半導体コア107の露出部分107Cが短絡するのを防ぐので、配線が容易にできる。
【0090】
なお、上記半導体コア107の露出部分107Cと半導体層110に覆われた被覆部分のそれぞれの断面は六角形状に限るものではなく、他の多角形や円形の断面形状でもよく、また、半導体コアの露出部分と被覆部分とが異なる断面形状であってもよい。
【0091】
また、この第1実施形態の第2の発光素子の製造方法によれば、n型の半導体コア107の先端面107Aだけでなく側面107Bにもp型の半導体層110を形成するので、pn接合の面積を大きくでき、発光面積を大きくすることができ、発光効率を向上できる。また、上記触媒金属106を用いてn型の半導体コア107を形成するので、n型の半導体コア107の成長速度を速くできる。このため、半導体コア107を従来に比べ短時間で長くでき、n型の半導体コア107の長さと比例関係になる発光面積を一層大きくすることができる。また、上記n型の半導体コア107の先端面107Aおよび側面がp型の半導体層110で覆われるので、p型の半導体層110のための電極がn型の半導体コア107に短絡することを防止できる。
【0092】
また、この第1実施形態の第2の発光素子の製造方法によれば、触媒金属106を残した状態でp型の量子井戸層108,p型の半導体層110を形成するので、n型の半導体コア107の形成とp型の量子井戸層108,p型の半導体層110の形成とを同一製造装置内で連続して行うことができる。よって、工程削減、製造時間の短縮ができる。また、上記n型の半導体コア107を形成後、この半導体コア107を製造装置外に出す必要が無いので、n型の半導体コア107の表面にコンタミが付着しないようにでき、素子特性を改善できる。また、上記n型の半導体コア107の形成とp型の量子井戸層108,p型の半導体層110の形成とを連続して行うことができるので、大きな温度変化や成長の停止などを回避して結晶性を改善でき、素子特性を改善できる。また、上記n型の半導体コ10ア7を形成した直後に触媒金属106を除去するエッチングを行わないことで、n型の半導体コア107の表面(すなわち、p型の半導体層110との界面)へのダメージを無くすることができ、素子特性を改善できる。
【0093】
また、この第1実施形態の第2の発光素子の製造方法では、サファイア基板101上に触媒金属106を付けたままでn型の半導体コア107とp型の半導体層110を順に形成するので、触媒金属106に接する部分の成長速度が触媒金属106に接しない部分の成長速度に比べて格段に(例えば10〜100倍)速くなる。したがって、寸法の縦横比が高い発光素子を作製できる。この第2実施形態では、一例として、棒状構造発光素子100の直径を1μm、長さを25μmとしている。また、上記触媒金属106下でn型の半導体コア107とp型の半導体層110とを連続して積層できるので、PN接合部の欠陥を少なくすることができる。
【0094】
また、この第1実施形態の第2の発光素子の製造方法によれば、マスク層103を除去して、半導体コア107のサファイア基板101側の露出部分107Cを露出させるので、半導体層110のエッチング量を少なくできる。また、上記棒状構造発光素子100は、半導体コア107に連なるn型GaNからなる段部102Bによって、半導体コア107に対して容易にコンタクトを取ることができる。また、上記棒状構造発光素子100は、量子井戸層108により発光効率を向上できる。
【0095】
また、上記第2の発光素子の製造方法では、サファイア基板101上にn型GaN膜102を成膜したが、サファイア基板101上にn型GaN膜102を成膜する工程をなくして、サファイア基板101上に直接にマスク層103を形成してもよい。また、上記触媒金属除去工程において、半導体コア107上の触媒金属106をエッチングにより除去したが、この触媒金属除去工程をなくして、触媒金属106を残したままで導電膜111を形成してもよい。また、上記実施形態では、図14に示すように、RIEによって、導電膜111,p型GaNからなる半導体層110,量子井戸層108をエッチングしたが、このRIEによるエッチング工程をなくし、次のマスク層103を除去する工程において、各層一斉リフトオフによりマスク層103を除去してもよい。
【0096】
また、上記第2の発光素子の製造方法では、MOCVD装置を用いて半導体コア107を結晶成長させたが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアを形成してもよい。また、成長穴を有する成長マスクを用いて半導体コアを基板上に結晶成長させたが、基板上に金属種を配置して、金属種から半導体コアを結晶成長させてもよい。
【0097】
また、上記第2の発光素子の製造方法では、半導体層110に覆われた半導体コア107を、超音波を用いてサファイア基板101から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて半導体コアを基板から機械的に折り曲げて切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
【0098】
(3) 発光素子の配置工程
図18はこの発明の第1実施形態の発光装置の製造方法に用いる絶縁性基板の平面図を示している。なお、この発光装置に用いられる棒状構造発光素子は、図3に示す棒状構造発光素子10または図17に示す棒状構造発光素子100いずれかを用いているが、他の棒状の発光素子を用いてもよい。
【0099】
この第1実施形態の発光装置では、図18に示すように、まず、基板作成工程において、実装面に、第1,第2の電極および配線パターンの一例としての金属電極201,202を形成した絶縁性基板200を作成する。絶縁性基板200はガラス、セラミック、酸化アルミニウム、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
【0100】
上記金属電極201,202は、印刷技術を利用して所望の電極形状に形成している。なお、金属膜および感光体膜を一様に積層し、所望の電極パターンを露光し、エッチングして形成してもよい。
【0101】
図18では省略されているが、金属電極201,202には外部から電位を与えられるように、パッドを形成している。
【0102】
次に、配列工程において、金属電極201,202が対向する部分(配列領域)に棒状構造発光素子を配列する。図18では、図を見やすくするため、棒状構造発光素子を配列する配列領域を9×3個としているが、実際は100個以上の任意の個数の配列領域とする。
【0103】
上記基板作成工程と塗布工程および配列工程で、基板上に複数の発光素子を配置する配置工程を構成している。
【0104】
図19は図18のXIX−XIX線から見た断面模式図である。
【0105】
まず、塗布工程において、図19に示すように、絶縁性基板200上に、棒状構造発光素子210を含んだイソプロピルアルコール(IPA)211を薄く塗布する。IPA211の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよい。あるいは、IPA211は、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。
【0106】
ただし、液体を通じて金属電極201,202間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極201,202間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極201,202を覆うように、絶縁性基板200表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
【0107】
棒状構造発光素子210を含むIPA211を塗布する厚さは、次に棒状構造発光素子210を配列する工程で、棒状構造発光素子210が配列できるよう、液体中で棒状構造発光素子210が移動できる厚さである。したがって、IPA211を塗布する厚さは、棒状構造発光素子210の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、棒状構造発光素子210が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。また、IPAの量に対して、棒状構造発光素子210の量は、1×104本/cm3〜1×107本/cm3が好ましい。
【0108】
棒状構造発光素子210を含むIPA211を塗布するために、棒状構造発光素子210を配列させる金属電極の外周囲に枠を形成し、その枠内に棒状構造発光素子210を含むIPA211を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、棒状構造発光素子210を含むIPA211が粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。
【0109】
IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、…、またはそれらの混合物、あるいは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、棒状構造発光素子210の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
【0110】
次に、金属電極201,202間に電位差を与える。この第1実施形態では、1Vの電位差とするのが適当であった。金属電極201,202の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では棒状構造発光素子210の配列が悪くなり、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、1〜5Vが好ましく、更には1V程度とするのが好ましい。
【0111】
図20は上記棒状構造発光素子210が金属電極201,202上に配列する原理を示している。図20に示すように、金属電極201に電位VLを印加し、金属電極202に電位VR(VL<VR)を印加すると、金属電極201には負電荷が誘起され、金属電極202には正電荷が誘起される。そこに棒状構造発光素子210が接近すると、棒状構造発光素子210において、金属電極201に近い側に正電荷が誘起され、金属電極202に近い側に負電荷が誘起される。この棒状構造発光素子210に電荷が誘起されるのは静電誘導による。すなわち、電界中に置かれた棒状構造発光素子210は、内部の電界が0となるまで表面に電荷が誘起されることによる。その結果、各電極と棒状構造発光素子210との間に静電力により引力が働き、棒状構造発光素子210は、金属電極201,202間に生じる電気力線に沿うと共に、各棒状構造発光素子210に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。しかしながら、例えば、図17に示す棒状構造発光素子100では、半導体層110に覆われた半導体コア107の露出部分側の向きは一定にならず、ランダムになる。
【0112】
以上のように、棒状構造発光素子210が金属電極201,202間に発生した外部電場により、棒状構造発光素子210に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極201,202に棒状構造発光素子210を吸着させるので、棒状構造発光素子210の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、棒状構造発光素子210の大きさは、液体の塗布量(厚さ)により変化する。液体の塗布量が少ない場合は、棒状構造発光素子210はナノオーダーサイズでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、マイクロオーダーサイズであってもかまわない。
【0113】
棒状構造発光素子210が電気的に中性ではなく、正または負に帯電している場合は、金属電極201,202間に静的な電位差(DC)を与えるだけでは、棒状構造発光素子210を安定して配列することができない。例えば、棒状構造発光素子210が正味として正に帯電した場合は、正電荷が誘起されている金属電極202との引力が相対的に弱くなる。そのため、棒状構造発光素子210の配列が非対象になる。
【0114】
そのような場合は、図21に示すように、金属電極201,202間にAC電圧を印加することが好ましい。図21においては、金属電極202に基準電位を、金属電極201には振幅VPPL/2のAC電圧を印加している。こうすることにより、棒状構造発光素子210が帯電している場合でも、配列を対象に保つことができる。なお、この場合の金属電極202に与える交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが最も配列が安定し、より好ましい。さらに、金属電極201,202間に印加するAC電圧は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、VPPLは1V程度とするのが好ましかった。
【0115】
次に、金属電極201,202上に、棒状構造発光素子210を配列させた後、絶縁性基板200を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子210を金属電極201,202間の電気力線に沿って等間隔に配列させて固着させる。
【0116】
図22は上記棒状構造発光素子210を配置した絶縁性基板200の平面図を示している。なお、図22では、図を見やすくするために棒状構造発光素子210の数を少なくしているが、実際は100個以上の棒状構造発光素子210が同一の絶縁性基板200上に配置されている。
【0117】
図22に示す棒状構造発光素子210を配置した絶縁性基板200を、液晶表示装置などのバックライトに用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力なバックライトを実現することができる。また、この棒状構造発光素子210を配置した絶縁性基板200を照明装置として用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な照明装置を実現することができる。
【0118】
上記棒状構造発光素子210のpnの極性は、一方に揃っておらず、ランダムに配列されている。このため、駆動時は交流電圧により駆動されて、異なる極性の棒状構造発光素子210が交互に発光することになる。
【0119】
また、上記発光装置の製造方法によれば、独立した電位が夫々与えられる2つの金属電極201,202を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板200を作成し、その絶縁性基板200上に複数の棒状構造発光素子210を含んだ液体を塗布する。その後、2つの金属電極201,202に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子210を2つの金属電極201,202により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子210を所定の絶縁性基板200上に容易に配置させることができる。
【0120】
したがって、従来のように発光ダイオードを1つ1つ基板上の所定の位置に配置する必要がなく、多数の微細な発光ダイオードを精度よく所定の位置に配置させることができる。
【0121】
この発光装置の製造方法によって、発光時の温度上昇を抑制しつつ発光を分散させることにより、明るさのばらつきが少なくかつ長寿命化と高効率化が可能な発光装置を製造することができる。
【0122】
また、上記発光装置の製造方法では、使用する半導体の量を少なくできる。さらに、上記棒状構造発光素子210は、半導体層で覆われた半導体コアの側面全体から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な発光装置を実現することができる。
【0123】
また、上記発光装置では、絶縁性基板200の実装面上に複数の発光素子を略均等に分散して配置することによって、発光により発光素子に生じた熱の横方向への流出が効率よく行われるため、発光時の温度上昇がさらに抑制され、より長寿命化、高効率化が図れる。
【0124】
また、複数の棒状構造発光素子210の長手方向が絶縁性基板200の実装面に対して平行になるように、棒状構造発光素子210を絶縁性基板200の実装面上に配置することによって、径方向に対して軸方向(長手方向)の長さの比を大きくできるので、発光面の面積が同じ条件では発光面が正方形のときよりも絶縁性基板200への横方向の熱流出が効率よく行われ、発光時の温度上昇がさらに抑制され、より長寿命化、高効率化が図れる。また、この発光装置の製造方法は、電極間に電圧を印加することによる物体の分極を利用しているため、棒状構造発光素子の両端を分極させるのに都合がよく、棒状構造発光素子に対して相性がよい。
【0125】
また、上記棒状構造発光素子210は、発光ダイオードであって、金属電極201(第1の電極)にアノードが接続されると共に金属電極202(第2の電極)にカソードが接続された発光ダイオードと、金属電極201(第1の電極)にカソードが接続されると共に金属電極202(第2の電極)にアノードが接続された発光ダイオードとが混在して絶縁性基板200上に配置されることになる。そして、この発光装置では、交流電源によって金属電極201(第1の電極)と金属電極202(第2の電極)との間に交流電圧を印加して複数の発光ダイオードを駆動することによって、多数の発光ダイオードに対してアノードとカソードの向きを揃えて配置する必要がなく、配置工程を簡略化できる。
【0126】
また、少なくとも金属電極201(第1の電極)および金属電極202(第2の電極)を、複数の棒状構造発光素子210を駆動するための電極として用いることによって、配線工程を簡略化してコストを削減できる。
【0127】
図18〜図22に示す発光装置の製造方法では、棒状構造発光素子を用いたが、発光素子はこれに限らず、円形状、楕円状、正方形状、矩形状、多角形状などの平坦な発光面を有し、その発光面が基板に対して平行になるように実装面上に配置される形態の発光素子でもよい。しかしながら、この発光装置の製造方法では、電極間に電圧を印加することによる物体の分極を利用するので、分極させるのに好都合な棒状の発光素子が望ましい。
【0128】
(4) 配線工程
図23〜図25はこの発明の第1実施形態の他の発光装置の製造方法の工程図を示している。なお、この発光装置の製造方法は、棒状構造発光素子を同一基板の実装面上に100個以上配置するものである。この発光装置の製造方法に用いる棒状構造発光素子は、第1導電型の棒状の半導体コアと、その半導体コアの外周を覆う第2導電型の筒状の半導体層とを有し、棒状の発光素子の半導体コアの一端側が露出しているものであればよい。
【0129】
この発光装置の製造方法では、図23に示すように、まず、基板作成工程において、実装面に第1,第2の電極および配線パターンの一例としての金属電極301,302を形成した絶縁性基板300を作成する。
【0130】
次に、配置工程において、絶縁性基板300上に、長手方向が絶縁性基板300の実装面に対して平行になるように100個以上の棒状構造発光素子310を配置させる。この配置工程では、第1実施形態の発光装置の製造方法と同様の方法を用いて、金属電極301,302上に、液体中の棒状構造発光素子310を配列させた後、絶縁性基板300を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子310を金属電極301,302間の電気力線に沿って等間隔に配列させて固着させる。
【0131】
上記棒状構造発光素子310は、棒状のn型GaNからなる半導体コア311と、上記半導体コア311の一端側の部分を覆わないで露出部分311aとするように、半導体コア311の露出部分311a以外の被覆部分311bを覆うp型GaNからなる半導体層312とを備えている。上記棒状構造発光素子310の一端側の露出部分311aを金属電極301に接続すると共に、棒状構造発光素子310の他端側の半導体層312を金属電極302に接続する。
【0132】
次に、配線工程において、図24に示すように、絶縁性基板300上に層間絶縁膜303を形成し、その層間絶縁膜303をパターンニングして金属電極301上と金属電極302上にコンタクトホール303aを夫々形成する。
【0133】
次に、図25に示すように、2つのコンタクトホール303aを埋めるように金属配線304,305を形成する。
【0134】
このようにして、絶縁性基板300の実装面上に配置された100個以上の棒状構造発光素子310を一括して配置すると共に、複数の棒状構造発光素子310に金属配線304,305を一括して接続することができる。また、図23〜図25では、棒状構造発光素子310の中央部が絶縁性基板300から浮いた状態で示されているが、実際は、棒状構造発光素子310は、図18〜図22に示す棒状構造発光素子の配置方法におけるIPA水溶液の乾燥時に、絶縁性基板300表面と棒状構造発光素子310の隙間の液滴が蒸発により縮小するときに発生するスティクションにより中央部分が撓んで絶縁性基板300上に接している。なお、棒状発光素子310が直接絶縁性基板300上に接しない場合であっても、層間絶縁膜303を介して絶縁性基板300と接することとなる。
【0135】
また、棒状構造発光素子310の中央部分と絶縁性基板300との間に、棒状構造発光素子310を支持するように金属部を設けて、棒状構造発光素子310の中央部分が金属部を介して絶縁性基板300に接するようにしてもよい。
【0136】
上記発光装置の製造方法によれば、従来のように発光ダイオードを1つ1つ基板上の所定の位置に配置する必要がなく、多数の微細な発光ダイオードを精度よく所定の位置に配置させることができ、発光時の温度上昇を抑制しつつ発光を分散させることにより、明るさのばらつきが少なくかつ長寿命化と高効率化が可能な発光装置を製造することができる。
【0137】
上記発光装置では、絶縁性基板300の実装面上に複数の棒状構造発光素子310を略均等に分散して配置することによって、発光により発光素子に生じた熱の基板側への横方向の流出が効率よく行われるため、発光時の温度上昇がさらに抑制され、より長寿命化、高効率化が図れる。
【0138】
また、複数の棒状構造発光素子310の長手方向が絶縁性基板300の実装面に対して平行になるように、棒状構造発光素子310を絶縁性基板300の実装面上に配置することによって、径方向に対して軸方向(長手方向)の長さの比を大きくできるので、発光面の面積が同じ条件では発光面が正方形のときよりも絶縁性基板300側への横方向の熱流出が効率よく行われ、発光時の温度上昇がさらに抑制され、より長寿命化、高効率化が図れる。
【0139】
また、上記複数の棒状構造発光素子310は、露出部分311aがアノード、被覆部分311bがカソードの発光ダイオードであって、金属電極301(第1の電極)にアノードが接続されると共に金属電極302(第2の電極)にカソードが接続された発光ダイオードと、金属電極301(第1の電極)にカソードが接続されると共に金属電極302(第2の電極)にアノードが接続された発光ダイオードとが混在して絶縁性基板300上に配置されことになる。そして、この発光装置では、交流電源によって金属電極301(第1の電極)と金属電極302(第2の電極)との間に交流電圧を印加して複数の発光ダイオードを駆動することによって、多数の発光ダイオードに対してアノードとカソードの向きを揃えて配置する必要がなく、配置工程を簡略化できる。
【0140】
(5) 他の発光装置の製造方法
図26〜図30はこの発明の第1実施形態の他の発光装置の製造方法の工程図を示している。なお、図26〜図30では、発光装置の一部のみを示しており、この発光装置の製造方法は、棒状構造発光素子を同一基板の実装面上に100個以上配置するものである。この発光装置の製造方法に用いる棒状構造発光素子は、第1導電型の棒状の半導体コアと、その半導体コアの外周を覆う第2導電型の筒状の半導体層とを有し、棒状の発光素子の半導体コアの一端側が露出しているものであればよい。
【0141】
この発光装置の製造方法では、図26の断面図および図27の平面図に示すように、まず、基板作成工程において、実装面に第1,第2の電極および配線パターンの一例としての金属電極401,402が形成された絶縁性基板400を作成する。
【0142】
次に、配置工程において、絶縁性基板400上に、長手方向が絶縁性基板400の実装面に対して平行になるように複数の棒状構造発光素子410を配置する。この配置工程では、図18〜図22に示す発光装置の製造方法と同様の方法を用いて、金属電極401,402上に、液体中の棒状構造発光素子410を配列させた後、絶縁性基板400を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子410を金属電極401,402間の電気力線に沿って等間隔に配置させる。
【0143】
上記棒状構造発光素子410は、棒状のn型GaNからなる半導体コア411と、上記半導体コア411の一端側の部分を覆わないで露出部分411aとするように、半導体コア411の露出部分411a以外の被覆部分411bを覆うp型GaNからなる半導体層412とを備えている。上記棒状構造発光素子410の一端側の露出部分411aを金属電極401に導電性接着剤などの金属インクからなる接着部403により接続すると共に、棒状構造発光素子410の他端側の半導体層412を金属電極402に導電性接着剤などの金属インクからなる接着部404により接続する。ここで、金属インクは、インクジェット法などにより絶縁性基板400上の所定の箇所に塗布する。
【0144】
次に、図28の平面図および図29の断面図に示すように、絶縁性基板400上の複数の棒状構造発光素子410が配置された領域に蛍光体420を選択的に塗布する(蛍光体塗布工程)。ここで、蛍光体は、インクジェット法などにより絶縁性基板400上の所定の領域に塗布する。なお、絶縁性基板400上の複数の棒状構造発光素子410が配置された領域に、蛍光体を含む透明樹脂を選択的に塗布してもよい。
【0145】
次に、図30に示すように、蛍光体420の塗布後に、絶縁性基板400上に透明樹脂からなる保護膜421を形成する。
【0146】
このようにして、絶縁性基板400の実装面上に複数の棒状構造発光素子410を一括して配置すると共に、複数の棒状構造発光素子410に金属配線を一括して接続することができる。
【0147】
次に、絶縁性基板400上に蛍光体420を塗布する蛍光体塗布工程と、その蛍光体塗布工程の後に絶縁性基板400上に保護膜421を塗布する保護膜塗布工程とを、複数の棒状構造発光素子410が配置された1つの絶縁性基板400で一度に行う。これによって、従来パッケージ毎に行っていた場合に比べて製造コストを大幅に低減できる。
【0148】
(6) 基板分割工程
次に、この発明の第1実施形態の発光装置の製造方法の基板分割工程を図31により説明する。この基板分割工程では、図26〜図30に示す工程により作成された絶縁性基板400を用いたが、図18〜図22に示す工程により作成された絶縁性基板200や、図23〜図25に示す工程により作成された絶縁性基板300を用いてもよい。
【0149】
図31の平面図に示すように、基板分割工程において、絶縁性基板400を形状が異なる複数の分割基板430A,430B,430C,430D,430Eに分割する。ここで、複数の分割基板430A,430B,430C,430D,430Eの夫々は、この発明の発光装置であって、棒状構造発光素子410が100個以上有するように、絶縁性基板400から分割される。上記分割基板430Aは正方形状、分割基板430Bは分割基板430Aよりも大きい正方形状、分割基板430Cは分割基板430Bよりも大きい正方形状、分割基板430Dは円形状、分割基板430Eは直角三角形状をしている。
【0150】
上記基板分割工程において、形状が異なる複数の分割基板430A,430B,430C,430D,430Eに絶縁性基板400を分割することによって、様々な形態に対応した発光装置を容易に提供することができる。
【0151】
なお、絶縁性基板400上に複数の棒状構造発光素子410を配線するために形成された配線パターンを、基板分割工程における基板切断領域に形成しないことによって、切断時に導電性の配線クズが散らばることがなく、導電性の配線クズによる短絡などの不具合を防止できる。
【0152】
あるいは、絶縁性基板400の切断領域に、基板分割工程において切断されても電気接続に影響しない配線パターンを形成することによって、隣接する分割基板に跨って連続して配線パターンを形成でき、配線パターン形成が容易になると共に、基板分割時に切断されても回路動作に問題が生じることがない。
【0153】
また、基板分割工程における絶縁性基板400の切断領域に棒状構造発光素子410を配置しないことによって、切断により破損する棒状構造発光素子410をなくし、棒状構造発光素子410を有効に活用できる。
【0154】
この発光装置の製造方法では、図26, 図29,図30では、棒状構造発光素子410の中央部が絶縁性基板400から浮いた状態で示されているが、実際は、棒状構造発光素子410は、第1実施形態の棒状構造発光素子の配置方法におけるIPA水溶液の乾燥時に、絶縁性基板400表面と棒状構造発光素子410の隙間の液滴が蒸発により縮小するときに発生するスティクションにより中央部分が撓んで絶縁性基板400上に接している。なお、棒状発光素子410が直接絶縁性基板400上に接しない場合であっても、蛍光体を介して絶縁性基板400と接することとなる。
【0155】
なお、棒状構造発光素子410の中央部分と絶縁性基板400との間に、棒状構造発光素子410を支持するように金属部を設けて、棒状構造発光素子410の中央部分が金属部を介して絶縁性基板400に接するようにしてもよい。
【0156】
上記構成の発光装置の製造方法によれば、同一の絶縁性基板400上に配置された複数の棒状構造発光素子410を一括して配線した後、絶縁性基板400を複数の分割基板430A,430B,430C,430D,430Eに分割して、分割基板430A,430B,430C,430D,430E上に複数の棒状構造発光素子410が配置された発光装置を複数形成することによって、配線工程の簡略化して製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【0157】
また、上記配置工程において、同一絶縁性基板400上に複数の棒状構造発光素子410を一括して配置することによって、配線工程の簡略化と相俟って製造コストをさらに低減できる。
【0158】
また、分割基板430A,430B,430C,430D,430Eの夫々に棒状構造発光素子410を100個以上配置することによって、明るさばらつきを有する複数の発光素子を集合したときの全体の明るさのばらつきを、1つの発光素子の明るさばらつきの1/10以下に低減できる。
【0159】
また、上記棒状構造発光素子410は、露出部分411aがアノード、被覆部分411bがカソードの発光ダイオードであって、金属電極401(第1の電極)にアノードが接続されると共に金属電極402(第2の電極)にカソードが接続された発光ダイオードと、金属電極401(第1の電極)にカソードが接続されると共に金属電極402(第2の電極)にアノードが接続された発光ダイオードとが混在して絶縁性基板400上に配置されことになる。そして、この発光装置では、交流電源によって金属電極401(第1の電極)と金属電極402(第2の電極)との間に交流電圧を印加して複数の発光ダイオードを駆動することによって、多数の発光ダイオードに対してアノードとカソードの向きを揃えて配置する必要がなく、配置工程を簡略化できる。
【0160】
また、上記発光装置の製造方法において、複数の棒状構造発光素子410を絶縁性基板400上に配置させる配置工程の後、基板分割工程において絶縁性基板400を、100個以上の棒状構造発光素子410が夫々配置された複数の分割基板430に分割することにより、各工程を流動する基板数を少なくして大幅にコストを削減できる。
【0161】
また、上記発光装置の製造方法によれば、従来のように発光素子を1つ1つ基板上の所定の位置に配置する必要がなく、多数の微細な発光素子を精度よく所定の位置に配置させることができ、発光時の温度上昇を抑制しつつ発光を分散させることにより、明るさのばらつきが少なくかつ長寿命化と高効率化が可能な発光装置を製造することができる。
【0162】
上記発光装置では、絶縁性基板400の実装面上に複数の棒状構造発光素子410を略均等に分散して配置することによって、発光により棒状構造発光素子410に生じた熱の基板側への横方向の流出が効率よく行われるため、発光時の温度上昇がさらに抑制され、より長寿命化、高効率化が図れる。
【0163】
また、絶縁性基板400上に複数の棒状構造発光素子410を配置した後、絶縁性基板400上の複数の棒状構造発光素子410が配置された領域に蛍光体420を選択的に塗布することによって、材料費で大きな比率を占める蛍光体の使用量を減らしてコストを削減できる。
【0164】
〔第2実施形態〕
図32はこの発明の第2実施形態の照明装置に用いられる発光装置の平面図を示し、図33は上記発光装置の側面図を示している。
【0165】
この第2実施形態の照明装置に用いられる発光装置500は、図32,図33に示すように、正方形状の放熱板501上に、100個以上の棒状構造発光素子(図示せず)が配置された円形状の絶縁性基板502が実装されている。ここで、円形状の絶縁性基板502は、第1実施形態の発光装置の製造方法を用いて製造された100個以上の棒状構造発光素子が配置された分割基板である。
【0166】
図34は図32,図33に示す発光装置500を用いた照明装置の一例としてのLED電球510の側面図を示している。このLED電球510は、図34に示すように、外部のソケットに嵌めて商用電源に接続するための電源接続部としての口金511と、その口金511に一端が接続され、他端が徐々に拡径する円錐形状の放熱部512と、放熱部512の他端側を覆う透光部513とを備えている。上記放熱部512内に、絶縁性基板502を透光部513側に向けて発光装置500を配置している。この発光装置500は、上記第1実施形態の発光装置の製造方法により製造されたものを用いている。
【0167】
上記構成の照明装置によれば、発光装置500を用いることにより、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【0168】
また、図32,図33に示す発光装置500を用いることにより、明るさのばらつきが少なくかつ長寿命化と高効率化が図れる照明装置を実現することができる。
【0169】
また、上記複数の棒状構造発光素子が配置された絶縁性基板502を放熱板501上に取り付けることによって、さらに放熱効果が向上する。
【0170】
〔第3実施形態〕
図35はこの発明の第3実施形態の発光装置を用いたバックライトの平面図を示している。
【0171】
この第3実施形態のバックライト600は、図35に示すように、放熱板の一例としての長方形状の支持基板601上に、複数の発光装置602が互いに所定の間隔をあけて格子状に実装されている。ここで、発光装置602は、第1実施形態の発光装置の製造方法を用いて製造された100個以上の棒状構造発光素子が配置された分割基板である。
【0172】
上記構成のバックライト600によれば、発光装置602を用いることにより、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【0173】
また、発光装置602を用いることにより、明るさのばらつきが少なくかつ長寿命化と高効率化が図れるバックライトを実現することができる。
【0174】
また、上記発光装置602を支持基板601上に取り付けることによって、さらに放熱効果が向上する。
【0175】
〔第4実施形態〕
図36はこの発明の第4実施形態の発光装置を用いたバックライトの平面図を示している。
【0176】
この第4実施形態のバックライト610は、図36に示すように、放熱板の一例としての長方形状の支持基板611上に、1つの大きな発光装置612が実装されている。この発光装置612は、上記第1実施形態の発光装置の製造方法により製造されたものを用いている。
【0177】
上記構成のバックライト610によれば、発光装置612を用いることにより、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。
【0178】
また、上記発光装置612を支持基板611上に取り付けることによって、さらに放熱効果が向上する。
【0179】
〔第5実施形態〕
図37はこの発明の第5実施形態の発光装置を用いた液晶パネルの平面図と側面図を示している。
【0180】
この第5実施形態の液晶パネル620は、図37に示すように、放熱板の一例としての長方形状の透明基板622の一方の面に、第1,第2の電極および配線パターンの一例としての金属電極(図示せず)が形成され、その金属電極に接続された複数の発光素子(図示せず)が配置されている。この金属電極と発光素子からなる発光部分621と、透明基板622で1つの大きな発光装置を形成している。また、透明基板622の他方の面に、図示しない画素電極とTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)がマトリックス状に形成されている。そして、透明基板622の他方側に所定の間隔をあけて液晶封止板624が配置され、液晶封止板624と透明基板622との間に液晶623を封止している。
【0181】
通常の液晶パネルは、液晶駆動基板とバックライトは分離されており、バックライトの光量ムラや発熱などの問題により、導光管や放熱素子の使用することでコストが上昇したり、液晶パネルを厚くなったりしていた。これに対して、上記構成の液晶パネル620によれば、従来の発光素子1個から得られる光量に対して複数の発光素子で構成されているので、光量ムラや発熱の問題が無いので、導光管や放熱素子を必要としない。そこで、液晶パネル大に分断された分割基板である発光装置が液晶を有する面と反対の側に配置して、直接液晶基板として用いることにより、低コストかつ薄型の液晶パネルを得ることができる。
【0182】
このように、上記構成の液晶パネル620によれば、発光部分621と透明基板622からなる発光装置を用いることにより、製造コストを低減でき、特性ばらつきを小さくして歩留まりを向上できる。また、液晶パネル基板とバックライト基板を1つにした透明基板622を用いることにより、部品コストと製造コストを低減できると共に、より薄型の液晶パネルを実現することができる。
【0183】
なお、透明基板と、その透明基板の一方の面に配置され、透明基板の一方の面に形成された配線に接続された複数の発光素子と、上記透明基板の他方の面に形成されたカラーフィルタとを備えた液晶パネルにこの発明を適用してもよい。
【0184】
例えば、このような構成例の液晶パネル820を図44に示している。図44の側面図に示すように、放熱板の一例としての長方形状の透明基板822の一方の面に、第1,第2の電極および配線パターンの一例としての金属電極(図示せず)が形成され、その金属電極に接続された複数の発光素子(図示せず)が配置されている。この金属電極と発光素子からなる発光部分821と、透明基板822で1つの大きな発光装置を形成している。また、透明基板822の他方の面に、カラーフィルタ823が形成され、カラーフィルタ823上に保護膜824が形成されている。そして、透明基板822の他方側に所定の間隔をあけてガラス基板827が配置され、ガラス基板827と透明基板822との間に液晶825を封止している。上記ガラス基板827の液晶825に対向する面に、図示しない画素電極とTFT826がマトリックス状に形成されている。
【0185】
この液晶パネルでは、カラーフィルタとバックライト基板を1つにした透明基板を用いることにより、部品コストと製造コストを低減できると共に、より薄型の液晶パネルを実現することができる。
【0186】
上記第1〜第5実施形態では、発光ダイオードを発光素子として用いた発光装置、発光装置の製造方法、照明装置、バックライトおよび液晶パネルについて説明したが、この発明の発光素子は発光ダイオードに限らず、半導体レーザー、有機EL(Electro Luminescence:エレクトロ・ルミネッセンス)、無機EL(真性EL)などの発光素子を用いた発光装置、発光装置の製造方法、照明装置、バックライトおよび液晶パネルにこの発明を適用してもよい。
【0187】
また、上記第1実施形態の第1,第2の発光素子の製造方法では、半導体コアおよび半導体層に、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いた発光素子にこの発明を適用してもよい。また、半導体コアをn型とし、半導体層をp型としたが、導電型が逆の棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。
【0188】
また、上記第1実施形態の第2の発光素子の製造方法では、断面が六角形の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子について説明したが、これに限らず、断面が円形や楕円の棒状であってもよいし、断面が他の多角形状の棒状の半導体コアを有する棒状構造発光素子にこの発明を適用してもよい。
【0189】
また、上記第1実施形態の第2の発光素子の製造方法では、棒状構造発光素子の直径を1μmとし長さを10μm〜30μmのマイクロオーダーサイズとしたが、直径または長さのうちの少なくとも直径が1μm未満のナノオーダーサイズの素子でもよい。上記棒状構造発光素子の半導体コアの直径は500nm以上かつ100μm以下が好ましく、数10nm〜数100nmの棒状構造発光素子に比べて半導体コアの直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
【0190】
なお、棒状構造発光素子の発光面積の下限を規定するとすれば、3.14×10−3μmである(直径1nm、長さ1μmの棒状の半導体コアの外周に筒状に発光面を形成したときの面積)。または、発光素子が正方形の板状であれば、一辺が56nmである。いずれの形状の発光素子もこれ以下のサイズは形成が困難である。また、同一基板の実装面上に配置する発光素子の個数の上限を規定するとすれば、1億個であり、これ以上は歩留まりを保って配置させるのが困難である。
【0191】
また、上記第1実施形態の第2の発光素子の製造方法では、MOCVD装置を用いて半導体コアやキャップ層を結晶成長させているが、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いて半導体コアやキャップ層を形成してもよい。
【0192】
また、上記第1実施形態の発光装置の製造方法では、電極間に電圧を印加することによる棒状の発光素子の分極を利用して、棒状の発光素子を基板上に配置して電極間に接続したが、同一基板上に複数の発光素子を配置する配置方法や、基板上に配置された複数の発光素子の一部または全部を一括して配線する配線方法はこれに限らず、他の方法を用いてもよい。
【0193】
例えば、図38はこの発明の他の実施形態の発光装置の製造方法に用いられる棒状構造発光素子の側面図と端面図を示し、図39〜図43は上記発光装置の製造方法における各工程を示している。なお、図39〜図43では、発光装置の一部のみを示しており、この発光装置の製造方法は、棒状構造発光素子を同一基板の実装面上に100個以上配置するものである。
【0194】
この棒状構造発光素子710は、図38に示すように、n型GaNからなる断面ほぼ円形の棒状の半導体コア701と、その半導体コア701の外周を覆う円筒状のp型GaNからなる半導体層702とを有する。上記半導体コア701は、両側の端面のみが露出している。このとき、半導体コア701と半導体層702の間に量子井戸層を有していても良い。
【0195】
まず、このような棒状構造発光素子710を含む溶液を図39に示すように絶縁性基板720上に塗布する。
【0196】
次に、図40に示すように、ラビング装置721を用いて、絶縁性基板720上に塗布された溶液(主に棒状構造発光素子710)を基板側に擦りつけるラビング処理を行うことにより、棒状構造発光素子710の長手方向が同一方向に向くように、複数の棒状構造発光素子710を配列する。
【0197】
次に、図41に示すように、ラビング処理された絶縁性基板720を乾燥する。
【0198】
次に、図42に示すように、複数の棒状構造発光素子710が配置された絶縁性基板720の棒状構造発光素子710の長手方向に対して直交する直線領域Sをエッチングして、直線領域Sが重なる棒状構造発光素子710の半導体コア701の一部を露出させる。これにより、一部の棒状構造発光素子710は、n型の半導体コア701が露出した露出部分710aと、p型の半導体層702に被覆された被覆部分710bとを有する。
【0199】
そして、図43に示すように、絶縁性基板720の直線領域Sに金属配線731を形成すると共に、金属配線731に所定の間隔をあけて略平行に金属配線732を形成する。
【0200】
これによって、金属配線731は、複数の棒状構造発光素子710のうちの一部のn型の半導体コア701に接続され、金属配線732は、複数の棒状構造発光素子710のうちの一部のp型GaNからなる半導体層702に接続される。そして、例えば図43では、4つの棒状構造発光素子710A〜710Dのn型の半導体コア701に金属配線731が接続され、p型の半導体層702に金金属配線732が接続されている。したがって、p型の半導体層702側からn型の半導体コア701側に電流が流れるように、金属配線731と金属配線732との間に電圧を印加することにより、4つの棒状構造発光素子710A〜710Dが発光する。
【0201】
そして、基板分割工程において、絶縁性基板720を複数の分割基板に分割することによって、分割基板上に複数の棒状構造発光素子710が配置された発光装置を複数形成する。
【0202】
このようにして、複数の発光素子のうち、基板分割工程において切断されても所望の発光量に影響しない棒状構造発光素子710が絶縁性基板720の切断領域に配置され、切断により破損した棒状構造発光素子710が発光しなくとも、切断されていない他の複数の棒状構造発光素子710により発光が行われるので、配置工程において棒状構造発光素子710が絶縁性基板720の切断領域に配置されないように考慮する必要がなくなり、配置工程を簡略化することができる。ここで、「所望の発光量」とは、発光装置に要求されるスペックのうちの1つである。
【0203】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0204】
1…n型GaN層
2…量子井戸層
3…p型GaN層
20…n型GaN基板
10…棒状構造発光素子
100…棒状構造発光素子
101…サファイア基板
102…n型GaN膜
103…マスク層
105…レジスト層
106…触媒金属
107…半導体コア
108…量子井戸層
110…半導体層
111…導電膜
200…絶縁性基板
201,202…金属電極
210…棒状構造発光素子
211…IPA
300…絶縁性基板
310…棒状構造発光素子
301,302…金属電極
303…層間絶縁膜
304,305…金属配線
311…半導体コア
311a…露出部分
311b…被覆部分
312…半導体層
400…絶縁性基板
410…棒状構造発光素子
401,402…金属電極
403,404…接着部
411…半導体コア
411a…露出部分
411b…被覆部分
412…半導体層
420…蛍光体
421…保護膜
430…発光装置
500…発光装置
510…LED電球
511…口金
512…放熱部
513…透光部
600…バックライト
601…支持基板
602…発光装置
610…バックライト
611…支持基板
612…発光装置
620…液晶パネル
621…発光部分
622…透明基板
623…液晶
624…液晶封止板
701…半導体コア
702…半導体層
710…棒状構造発光素子
720…絶縁性基板
721…ラビング装置
731,732…金属配線
820…液晶パネル
821…発光部分
822…透明基板
823…カラーフィルタ
824…保護膜
825…液晶
826…TFT
827…ガラス基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一基板上に複数の発光素子を配置する配置工程と、
上記基板上に配置された上記複数の発光素子の一部または全部を一括して配線する配線工程と、
上記配置工程と上記配線工程の後、上記基板を複数の分割基板に分割することによって、上記分割基板上に複数の発光素子が配置された発光装置を複数形成する基板分割工程と
を有すると共に、
上記複数の発光素子は、棒状であって、
上記複数の発光素子の長手方向が上記基板の実装面に対して平行になるように、上記複数の発光素子が上記基板の実装面上に配置されており、
上記棒状の発光素子は、第1導電型の棒状の半導体コアと、その半導体コアの外周を覆う第2導電型の筒状の半導体層と、上記棒状の半導体コアを同心状に囲む筒状の発光面とを有し、
上記棒状の発光素子の上記半導体コアの一端側が露出していることを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置の製造方法において、
上記配置工程において、上記同一基板上に上記複数の発光素子を一括して配置することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光装置の製造方法において、
上記基板上に上記複数の発光素子を配線するための配線パターンが形成され、
上記基板分割工程における上記基板の切断領域には上記配線パターンが形成されていないことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の発光装置の製造方法において、
上記基板上に上記複数の発光素子を配線するための配線パターンが形成され、
上記基板の切断領域に、上記基板分割工程において切断されても電気接続に影響しない上記配線パターンが形成されていることを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の発光装置の製造方法において、
上記基板分割工程における上記基板の切断領域には上記発光素子が配置されていないことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の発光装置の製造方法において、
上記複数の発光素子のうち、上記基板の切断領域には、上記基板分割工程において切断されても所望の発光量に影響しない発光素子が配置されていることを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の発光装置の製造方法において、
上記配置工程と上記配線工程の後でかつ上記基板分割工程の前に、上記基板上に蛍光体を塗布する蛍光体塗布工程と、
上記蛍光体塗布工程の後に上記基板上に保護膜を塗布する保護膜塗布工程と
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の発光装置の製造方法において、
上記蛍光体塗布工程において、上記蛍光体は上記複数の発光素子が配置された領域に選択的に塗布することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1つに記載の発光装置の製造方法において、
上記分割基板の夫々には上記発光素子が100個以上配置されていることを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1つに記載の発光装置の製造方法であって、
上記基板分割工程において、上記基板を少なくとも2種類以上の形状が異なる上記分割基板に分割することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1つに記載の発光装置の製造方法において、
上記基板上に上記複数の発光素子を配置する配置工程は、
少なくとも第1の電極および第2の電極を実装面に有する上記基板を作成する基板作成工程と、
上記基板上に上記複数の発光素子を含んだ溶液を塗布する塗布工程と、
少なくとも上記第1の電極と上記第2の電極に電圧を印加して、上記複数の発光素子を少なくとも上記第1の電極および上記第2の電極により規定される位置に配列させる配列工程と
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の発光装置の製造方法において、
少なくとも上記第1の電極および上記第2の電極は、上記複数の発光素子を駆動するための電極として用いられることを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法において、
上記複数の発光素子は、エピタキシャル基板上に形成された複数の素子であって、上記エピタキシャル基板上から上記各素子を分離したものであることを特徴とする発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2012−19241(P2012−19241A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227681(P2011−227681)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2010−55953(P2010−55953)の分割
【原出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】