説明

発振回路および発振器

【課題】低消費電流化した発振回路および発振器を提供すると共に、外部との通信による誤動作の防止および高精度な発振回路および発振器を提供する。
【解決手段】発振回路10は、外部との通信を行うインターフェース回路12と、発振段20とを備えたものであって、インターフェース回路12に接続し、インターフェース回路12に入力または出力する通信信号の外部通信端子40と、インターフェース回路12の制御信号入力端子に接続し、インターフェース回路12をアクティブ状態またはスリープ状態に切り替える制御信号を入力する外部制御端子38とを備えた構成である。そしてインターフェース回路12は、外部制御端子38および制御信号入力端子を介してインターフェース回路12に入力した制御信号にしたがってアクティブまたはスリープのいずれかの状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振回路および発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発振回路や発振器等の電子デバイスは、他の集積回路(IC)や演算処理装置(CPU)等の電子デバイスと共に実装基板に実装され、電子機器は、この実装基板を搭載している。なお各電子デバイス1は、図6に示すように、信号線で相互に接続している。また図6に示すリアルタイムクロック2は発振回路や発振器を備えており、これから出力される源振を利用して計時を行っている。そして電子デバイス1の相互通信に用いられる信号線の数が多くなると、この信号線が実装基板の面積に占める割合が大きくなる。このため電子機器が特に小型の場合には、実装基板上に信号線が占める割合を小さくするために、データラインとクロックラインの信号線を2本だけ用いて相互通信を行えるICバスがしばしば用いられる。
【0003】
なお特許文献1には、ICインターフェースを備えたEEPROM等を有し、このEEPROMには、SDA端子からの制御のみで書き込みが可能になってしまうのを防止するために、書き込みを制御できる書き込み制御端子を設けたことが記載されている。
【0004】
また特許文献2には、ICバスにつながるスレイブICは、このICバスに流れるデータの中から自身に必要なデータを見つけるために、常にデータを受信可能な状態になっていなければならないので、スレイブICをICバスに接続する制御を行うスイッチを設けて、スレイブICがバス上のデータを必要なときだけスイッチを制御して、スレイブICとICバスとを接続することが記載されている。
【特許文献1】特開平10−150143号公報
【特許文献2】特開2000−59410号公報(5〜6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、信号線には、複数の電子デバイスが接続している。このため信号線が2本だけでは、ある1つの電子デバイスから他の1つの電子デバイスに信号を出力した場合でも、これら以外の電子デバイスにとってこの信号がスタート条件やストップ条件等のシンプルなコマンドと誤認識する可能性がある。このため信号線が2本だけでは、誤認識される可能性のある信号が意図せず生成される可能性が極めて高かった。この結果、相互に接続された電子デバイスがIC(Inter-Integrated Circuit)コマンドを誤認識して、動作モードが変化してしまうことがあった。
【0006】
すなわち図7に一例を示すように、リアルタイムクロック2とDSP(Digital Signal Processor)3が信号線で接続している場合において、DSP3からリアルタイムクロック2以外の他の電子デバイスに対して信号を出力したときであっても、リアルタイムクロック2がこの信号を自身への信号と誤認識して、動作状態等を変えてしまうことがあった。また、この誤動作は一般的に再現性が低いので、原因の特定が困難である。このため誤動作対策の実施が困難となり、システムの信頼性を高める事が困難であった。
【0007】
またICコマンドの誤認識を原因とする不具合現象が発生しても、再現性の低いエラーであるため、そのエラーの原因が特定できない場合がある。その結果、誤認識の対策実施が行われないので、システムの信頼性を向上できないという課題があった。
【0008】
またリアルタイムクロック等に利用される発振回路や発振器は、図8に示すように、発振段4と、この発振段4に接続した外部振動子5と、発振段4に電気信号を供給するレギュレータ6と、外部とデータの入出力を行うICバス用の回路ブロック7とを備えている。このレギュレータ6やICバス用の回路ブロック7には主電源が供給されている。このレギュレータ6は、主電源をこれよりも低い電圧や電流に落として安定化し、発振段4に供給している。
【0009】
このような発振器では、ICバス用の回路ブロック7が動作するのに伴って電流が消費されるので、レギュレータ6に供給される主電源が減少することになる。すなわちICバス用の回路ブロック7がデータを送受信する等して動作する度に電流が消費されると、この電流消費に伴ってレギュレータ6に供給される主電源が変動してしまう。そして主電源が極端に変動すると、この変動にレギュレータ6が追従できなくなって、発振器全体の電圧が変動してしまう。またICバス用の回路ブロック7で消費する電流が定常的に変動すると、レギュレータ6等に供給される主電源も定常的に変動するので、発振周波数が所望の周波数からずれてしまい、発振周波数の精度を維持できない。
【0010】
また、このような発振周波数の精度の悪化を防止するには、レギュレータ6から発振段4に供給する電力を増加すればよいが、このためには主電源を大きくしなければならず、レギュレータ6の消費電力が大きくなってしまう。またICバス用の回路ブロック7がデータを送受信していないときであっても、非同期的に発生する通信開始に備えてICバス用の回路ブロック7を起動させておかなければならないので、この回路ブロック7が電力をムダに消費しているという課題があった。
【0011】
また特許文献1は、誤書き込みを防止するものであり、低消費電流化をするものでない。さらに特許文献2ではノイズの影響を防止するものであり、低消費電流化をするものでない。
【0012】
本発明は、低消費電流化した発振回路および発振器を提供することを目的とする。
また本発明は、前記の目的に加えて、外部との通信による誤動作を防止すると共に、高精度な発振回路および発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0014】
[適用例1]発振段を備えた発振回路であって、外部通信端子と、前記外部通信端子を介して外部との通信を行うインターフェース回路と、前記インターフェース回路に接続し、前記インターフェース回路をアクティブ状態またはスリープ状態に切り替える前記制御信号が外部から入力される外部制御端子と、を備え、前記外部制御端子を介して前記インターフェース回路に入力される前記制御信号にしたがって、前記インターフェース回路は前記アクティブ状態または前記スリープ状態のいずれかの状態になることを特徴とする発振回路。
インターフェース回路は、制御信号にしたがって通信を行う処理を停止するスリープ状態にできるので、通信を可能な状態を維持する場合に比べて、消費電流を低減できる。また通信処理が不要なときにスリープ状態にすれば、不要な通信信号を入力しないので、誤作動が発生するのを防止できる。さらにスリープ状態になったときには、不要な通信信号を入力して主電源が変動することがないので、発振周波数が変動するのを防止できる。
【0015】
[適用例2]前記インターフェース回路は、前記外部通信端子に接続された信号線上に、前記外部制御端子に接続され前記制御信号によって開閉が制御されるスイッチ部を設けたことを特徴とする適用例1に記載の発振回路。
これによりスイッチ部が開放になると、スイッチ部の後段に通信信号が伝送されないので、この後段に接続する回路の動作を停止できる。したがって発振回路は低消費電流化できる。
【0016】
[適用例3]前記インターフェース回路は、前記外部通信端子に接続された信号線上に、前記外部制御端子に接続され前記制御信号によって動作が制御されるトライステートバッファを設けたことを特徴とする適用例1に記載の発振回路。
これによりトライステートバッファは、制御信号にしたがってオン/オフの制御がされる。そしてスリープ状態のときには、トライステートバッファを構成するバッファが動作しないので、発振回路は低消費電流化できる。
【0017】
[適用例4]前記発振段に電源を供給し、前記外部制御端子に接続されたレギュレータを備え、前記レギュレータは、前記インターフェース回路を前記スリープ状態にする前記制御信号が入力された場合、前記インターフェース回路が前記アクティブ状態のときに前記レギュレータから前記発振段に供給する電圧よりも低い電圧を、前記発振段に供給することを特徴とする適用例1ないし3のいずれかに記載の発振回路。
これによりレギュレータは、インターフェース回路が制御信号にしたがってスリープ状態になっているときには主電源の変動がなくなるので、発振段への電力供給を低電力にできる。すなわちレギュレータでの消費電流を低減できる。また発振周波数の変動を防止できる。
【0018】
[適用例5]前記発振回路内で伝送される信号の電圧を変えるレベルシフト回路を備え、前記レベルシフト回路は、前記外部制御端子に接続され、前記制御信号にしたがって動作するか否かを切り替えることを特徴とする適用例1ないし4のいずれかに記載の発振回路。
これにより制御信号にしたがってレベルシフト回路を動作させれば、発振回路を低消費電流化できる。
【0019】
[適用例6]前記外部制御端子に接続され、前記制御信号にしたがって前記発振段の出力信号を外部に出力するか否かを切り替える外部出力用スイッチ部を前記発振段の出力側に設けたことを特徴とする適用例1ないし5のいずれかに記載の発振回路。
これにより発振回路は、アウトプットイネーブル機能を備えることができ、制御信号にしたがって出力信号の出力を停止することによって低消費電流化できる。
【0020】
[適用例7]適用例1ないし6のいずれかに記載の発振回路を備え、前記発振段に接続された振動子を設け、前記発振回路と前記振動子とをパッケージ内に設けたことを特徴とする発振器。
これにより低消費電流化された発振器を得ることができる。また発振器は、誤動作を防止できると共に、主電源の変動を低下できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る発振回路および発振器の最良の実施形態について説明する。まず第1の実施形態として、発振回路について説明する。図1は発振回路の構成を説明するブロック図である。発振回路10は、インターフェース回路12、発振段20、レギュレータ22、レベルシフト回路24、機能ブロック36を主に備えた構成である。
【0022】
インターフェース回路12は、外部との間で通信を行う回路であり、データの入出力を行っている。そしてインターフェース回路12は、例えばICバス用の回路になっていればよいので、発振回路10に設けた2つの外部通信端子40と信号線によって接続している。この場合、2つの信号線のうちの一方はデータライン(SDA)となり、他方はクロックライン(SCL)となり、これらの信号線で通信信号が伝送される。
【0023】
またインターフェース回路12は、外部から制御信号を入力する制御信号入力端子14(図2を参照)を備えており、この制御信号入力端子14が発振回路10に設けた外部制御端子38と信号線によって接続している。インターフェース回路12は、制御信号を入力することによってアクティブまたはスリープのいずれかの状態に切り替わる。
【0024】
図2はインターフェース回路をアクティブ状態またはスリープ状態に切り替える手段の説明図である。図2(A)に示すインターフェース回路12は、アクティブ状態またはスリープ状態を切り替える手段としてスイッチ部16(16a,16b)を有している。そしてSDAの信号線は、第1スイッチ部16aを介して、第1入力用バッファ18aおよび出力用バッファ18bに接続している。またSCLの信号線は、第2スイッチ部16bを介して、第2入力用バッファ18cに接続している。これらのスイッチ部16を制御する信号(制御信号)は、制御信号入力端子14を介して入力するようになっており、制御信号を入力するとスイッチが開くようになっている。したがってスイッチ部16は、入力した制御信号によって、信号線を接続または開放することができるものであればよく、例えばC−MOS回路で構成することができる。これによりインターフェース回路12は、制御信号にしたがってスイッチ部16を開放していれば、外部通信端子40を介してデータ信号を入力しても各バッファ18が動作しない。
【0025】
また図2(B)に示すインターフェース回路12は、これに設けられたバッファ18がインターフェース回路12をアクティブ状態またはスリープ状態に切り替える手段を備えた構成(トライステートバッファ)になっている。そしてSDAの信号線は、第1入力用トライステートバッファ18dおよび出力用トライステートバッファ18eに接続している。またSCLの信号線は、第2入力用トライステートバッファ18fに接続している。これらのトライステートバッファ18d〜18fを制御する信号(制御信号)は、制御信号入力端子14を介して入力するようになっており、制御信号を入力するとトライステートバッファ18d〜18fが動作しないようになっている。これによりインターフェース回路12は、制御信号を入力すれば、外部通信端子40を介してデータ信号を入力してもバッファ18が動作しない。
【0026】
さらにインターフェース回路12は、制御信号を入力すると、このインターフェース回路12の電源を停止するように構成することもできる。このような構成であってもインターフェース回路12は、制御信号を入力すれば、外部通信端子40を介してデータ信号を入力してもバッファ18が動作しない。
したがってインターフェース回路12は、入力した制御信号にしたがってデータ信号の入力動作を行わなくなるので、低消費電流化できる。また誤動作を防止でき、主電源の変動を低下できる。
【0027】
また図1に示す発振段20は、発振回路10の外部に設けた振動子である外部振動子54(図5を参照)と接続して、この外部振動子54との間でループを構成している。そして発振段20は、外部振動子54に電気信号を供給することで振動させ、外部振動子54の出力信号を入力して増幅を行うことで発振する。外部振動子54は、例えば圧電体に励振電極を形成して構成される圧電振動子である。
【0028】
レギュレータ22は、発振段20に接続して電力を供給すると共に、外部制御端子38に接続して制御信号を入力するようになっている。このレギュレータ22は、発振段20に対して高電圧または高電流を供給する場合と、低電圧または低電流を供給する場合とを、制御信号によって選択できるようになっている。なお高電圧または高電流は、インターフェース回路12に制御信号が入力されてなく、このインターフェース回路12が動作している場合(通信状態がアクティブな状態)において、主電源が変動したときでも発振段20に供給する電力が変動しない値に設定してあればよい。また低電圧または低電流は、前述した高電圧と低電流よりも低い値となっており、且つ、前記外部振動子54に接続した発振段20が発振できる最低限の値以上に設定してあればよい。そしてレギュレータ22は、制御信号を入力しない場合に発振段20へ高電圧または高電流を供給し、制御信号を入力した場合に発振段20へ低電圧または低電流を供給する構成になっている。
【0029】
このような構成にすると、インターフェース回路12が制御信号を入力して動作を停止している(スリープ状態)ときには主電源の変動がなくなるので、レギュレータ22から発振段20への電力供給を低電圧または低電流にできる。そしてレギュレータ22での消費電流を低減できる。なお、このようなレギュレータ22では、従来の発振回路に用いられているレギュレータ、すなわち高電圧のみを発振段に出力するレギュレータに比べて、消費電力を70%に低減できた。
またレギュレータ22が発振段20に供給する電力を高くした場合または低くした場合のいずれであっても、発振段20の発振周波数が所望の周波数からずれてしまうことを防止できる。
【0030】
またレベルシフト回路24は、外部制御端子38に接続し、制御信号を入力するようになっている。図3はレベルシフト回路を説明するための発振回路の概略ブロック図である。図3に示すように発振回路10は、低電圧回路26と高電圧回路28を備えており、これらの回路26,28の間にレベルシフト回路24を接続している。低電圧回路26を構成する回路は、例えば発振段20や、この発振段20の出力信号を分周する分周段30(図4を参照)等である。また高電圧回路28を構成する回路は、例えばインターフェース回路12等である。そしてレベルシフト回路24は、低電圧回路26と高電圧回路28で使用される電圧が異なっているので、これらの回路26,28の間のインターフェースとなっている。したがってレベルシフト回路24は、低電圧回路26から高電圧回路28へ、または高電圧回路28から低電圧回路26へ信号が伝送されるときに、この信号レベルを調整している。
【0031】
このようなレベルシフト回路24は、制御信号を入力するとその動作を停止してスリープ状態になり、制御信号を入力しないと低電圧回路26と高電圧回路28との間を伝送する信号のレベルを調整する構成になっている。このためレベルシフト回路24は、インターフェース回路12が制御信号を入力して動作を停止しているのに連動して、信号レベルの調整を停止することもできる。これによりレベルシフト回路24での消費電流を低減できる。
【0032】
また発振段20の出力信号は、クロック信号として発振回路10の外部に出力できる。そして発振回路10は、アウトプットイネーブル(OE)機能を備えることにより、このクロック信号を外部に出力するか否か選択できる構成になっている。図4は発振段の出力側に接続する回路構成を説明するブロック図である。発振段20の出力信号は、分周されることなくそのままの周波数で発振回路10から出力することができ、また発振段20の後段に分周段30を接続して出力信号を分周することで、出力信号の周波数を変えて発振回路10から出力することもできる。
【0033】
なお出力信号を分周する分周比は、予め設定してあってもよく、外部から入力された信号によって適宜設定してもよい。そして発振段20の出力信号をそのまま出力するか、または分周して出力するかは、発振段20や分周段30に接続した切替手段32を用いて切り替えている。この切替手段32は、入力される切替信号に基づいて、いずれかの信号を出力するか選択している。
【0034】
そして切替手段32には、クロック信号を外部に出力するか否かを選択する外部出力用スイッチ部34が接続している。この外部出力用スイッチ部34は、図4に示すように外部出力用バッファをトライステートバッファで構成し、さらに動作をするか否かを制御する信号(制御信号)を入力するために、外部制御端子38に接続した構成であればよい。これは、外部出力用スイッチ部34が制御信号を入力しないと、外部出力用バッファを動作させてクロック信号を外部出力できる構成にし、また制御信号を入力すると、外部出力用バッファの動作を停止させてクロック信号を外部出力できない構成にしておけばよい。
【0035】
また外部出力用スイッチ部34は、図4に示す形態の他に、切替手段32と外部出力用バッファの間に、信号線を接続または開放するスイッチを設け、これの接続または開放を制御信号によって制御する構成にしてもよい。このような外部出力用スイッチ部34は、例えばC−MOS回路で構成することができる。このような外部出力用スイッチ部34であっても制御信号が入力することにより、外部出力用バッファが停止して、クロック信号の外部出力を停止できる。
よって外部出力用スイッチ部34は、インターフェース回路12が制御信号を入力して動作を停止するのに連動して、外部出力用バッファが停止するので、この外部出力用バッファの消費電流を低減できる。
【0036】
また発振回路10は、図1に示すように機能ブロック36を備えている。この機能ブロック36は、発振段20に接続しており、発振段20の出力信号を入力するようになっている。この機能ブロック36は、例えば計時回路やメモリ等であればよい。そして計時回路は、例えば、図4に示すような分周段30を介して発振段20に接続してあればよい。より具体的には、計時回路は、発振段20が約32[kHz]の発振周波数を有し、これを源振として出力する場合には、分周段30で源振を1[Hz]に分周し、この1[Hz]のクロック信号を用いて計時を行えばよい。これにより計時回路では、[秒]、[分]、[時]、[日]、[曜日]、[月]、[年]等の時刻データを得ることができる。したがって発振回路10は、リアルタイムクロックに利用されることができる。なお、この場合、外部通信端子40を介してインターフェース回路12に入力するデータは、例えば、時刻データや修正データ、メモリに記憶するデータ等となる。
【0037】
以上に説明した発振回路10によれば、各回路12,22,24,34等が制御信号を入力したときにそれぞれが動作を停止しているので、低消費電流化できる。
またインターフェース回路12は、外部通信端子40を介してデータ信号を入力するときにアクティブ状態になり、データ信号を入力しないときに制御信号を入力してスリープ状態になる。このためインターフェース回路12は制御信号を入力してスリープ状態になれば、データ信号の入力処理が行われないので、誤作動が起こるのを防止でき、システムの信頼性を向上できる。そしてインターフェース回路12においてデータ信号の入力処理が行われないと、主電源の変動が生じないので、発振段20における発振周波数の変化が生じるのを防止できる。したがって高精度な発振回路10が得られる。
【0038】
なお発振回路10は、ICチップ化することができる。この場合、外部通信端子40や外部制御端子38をICチップの表面に設けて能動面を構成しておけばよい。
【0039】
次に第2の実施形態として、発振器について説明する。図5は発振器の説明図である。発振器50は、ICチップ52にした前記発振回路10と、このICチップ52に導通した外部振動子54とをパッケージ56内に設けた構成である。
図5(A)に示す発振器50aは、シングルシールタイプであり、ICチップ52と外部振動子54を1つの凹陥部72に収容した構成である。すなわち発振器50aはパッケージベース70を備えており、このパッケージベース70は凹陥部72を備えている。この凹陥部72の側面は階段状に形成してあり、下側の階段部74aの上面にパッド電極58を設け、上側の階段部74bの上面にパッケージ側マウント電極60を設けている。そして複数のパッド電極58のうちの2つは、パッケージ側マウント電極60と1対1に導通している。また他のパッド電極58は、パッケージベース70の外面に設けた外部端子62と導通している。
【0040】
このような凹陥部72の底面には、能動面を上方に向けたICチップ52が固着しており、外部通信端子40や外部制御端子38等のパッド52aとパッド電極58にワイヤ64を接合してこれらが導通している。またパッケージ側マウント電極60の上に導電性接着剤66を塗布しており、この導電性接着剤66の上に外部振動子54を配設している。これにより外部振動子54とICチップ52が導通する。そしてパッケージベース70の上面に蓋体68を接合して、凹陥部72を気密封止している。このような発振器50aは、前述した発振回路10を備えているので低消費電流化できる。また発振器50aは、誤動作を防止できると共に、主電源の変動を低下できる。すなわち発振器50bは、高精度にできる。
【0041】
また図5(B)に示す発振器50bは、ダブルシールタイプであり、ICチップ52と外部振動子54をそれぞれ別の凹陥部78に収容した構成である。すなわち発振器50bはパッケージベース76を備えており、このパッケージベース76は上方に向けて開口した凹陥部78(上側凹陥部78a)と、下方に向けて開口した凹陥部78(下側凹陥部78b)とを備えている。上側凹陥部78aにパッケージ側マウント電極60が設けてあり、下側凹陥部78bにパッド電極58が設けてある。複数のパッド電極58のうちの2つは、パッケージ側マウント電極60と1対1に導通している。また他のパッド電極58は、パッケージベース76の外面に設けた外部端子62と導通している。そしてパッケージ側マウント電極60の上には導電性接着剤66を塗布しており、この導電性接着剤66の上に外部振動子54を配設している。このパッケージベース76の上面に蓋体68を接合して、上側凹陥部78aを気密封止している。
【0042】
また下側凹陥部78bには、能動面を下方に向けたICチップ52が固着しており、外部通信端子40や外部制御端子38等のパッド52aとパッド電極58にワイヤ64を接合してこれらが導通している。これにより外部振動子54とICチップ52が導通する。なお下側凹陥部78bに封止材80を注入すれば、ICチップ52やワイヤ64等を保護できる。このような発振器50bは、前述した発振回路10を備えているので低消費電流化できる。また発振器50bは、誤動作を防止できると共に、主電源の変動を低下できる。すなわち発振器50bは、高精度にできる。
【0043】
また発振器50は、図5に示す構成に限定されることはない。このため発振器50は、例えば外部振動子54を収容したパッケージとICチップ52とをリードフレームで接合し、パッケージ、ICチップ52およびリードフレームを樹脂封止材でモールドした構成であってもよい。これによりICチップ52と外部振動子54がモールドのパッケージ56内に設けられる。このような発振器50であっても、前述した発振回路10を備えているので低消費電流化できる。また発振器50は、誤動作を防止できると共に、主電源の変動を低下できる。すなわち発振器50bは、高精度にできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】発振回路の構成を説明するブロック図である。
【図2】インターフェース回路をアクティブ状態またはスリープ状態に切り替える手段の説明図である。
【図3】レベルシフト回路を説明するための発振回路の概略ブロック図である。
【図4】発振段の出力側に接続する回路構成を説明するブロック図である。
【図5】発振器の説明図である。
【図6】従来技術に係り、電子デバイスの接続を説明する図である。
【図7】従来技術に係り、2本の信号線で接続された電子デバイスの説明する図である。
【図8】従来技術に係り、発振器の概略構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
10………発振回路、12………インターフェース回路、14………制御信号入力端子、16………スイッチ部、18………バッファ、20………発振段、22………レギュレータ、24………レベルシフト回路、34………外部出力用スイッチ部、36………機能ブロック、38………外部制御端子、40………外部通信端子、50………発振器、52………ICチップ、54………外部振動子、56………パッケージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振段を備えた発振回路であって、
外部通信端子と、
前記外部通信端子を介して外部との通信を行うインターフェース回路と、
前記インターフェース回路に接続し、前記インターフェース回路をアクティブ状態またはスリープ状態に切り替える前記制御信号が外部から入力される外部制御端子と、
を備え、
前記外部制御端子を介して前記インターフェース回路に入力される前記制御信号にしたがって、前記インターフェース回路は前記アクティブ状態または前記スリープ状態のいずれかの状態になる
ことを特徴とする発振回路。
【請求項2】
前記インターフェース回路は、前記外部通信端子に接続された信号線上に、前記外部制御端子に接続され前記制御信号によって開閉が制御されるスイッチ部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項3】
前記インターフェース回路は、前記外部通信端子に接続された信号線上に、前記外部制御端子に接続され前記制御信号によって動作が制御されるトライステートバッファを設けたことを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
【請求項4】
前記発振段に電源を供給し、前記外部制御端子に接続されたレギュレータを備え、
前記レギュレータは、前記インターフェース回路を前記スリープ状態にする前記制御信号が入力された場合、前記インターフェース回路が前記アクティブ状態のときに前記レギュレータから前記発振段に供給する電圧よりも低い電圧を、前記発振段に供給する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の発振回路。
【請求項5】
前記発振回路内で伝送される信号の電圧を変えるレベルシフト回路を備え、
前記レベルシフト回路は、前記外部制御端子に接続され、前記制御信号にしたがって動作するか否かを切り替える
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の発振回路。
【請求項6】
前記外部制御端子に接続され、前記制御信号にしたがって前記発振段の出力信号を外部に出力するか否かを切り替える外部出力用スイッチ部を前記発振段の出力側に設けたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の発振回路。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の発振回路を備え、前記発振段に接続された振動子を設け、前記発振回路と前記振動子とをパッケージ内に設けたことを特徴とする発振器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−177491(P2009−177491A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13976(P2008−13976)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】