説明

発電装置

【課題】陸上走行車輛の車輪の上下運動によって発生する振動を電力に変える装置を、振動緩和装置の周囲に併設させる場合、同振動緩和装置よりの放熱と、長期使用によるオイル漏れに対する問題を解決する必要がある。
【解決手段】振動緩和装置の外周に空気流通空間28を置き、この外側に発電装置の内壁を置いて上部躯体保持部2の上下運動によって空気を流通させ、制震装置の外周にフィンを設置して流通空気によって温度を下げ、この空気流通空間28を通じて漏れ出たオイルを系外へ排出する形態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸上走行車輌の走行中に発生する車輪の上下運動による振動を電力に変換する発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在世界は地球温暖化防止のため、石化燃料削減の必要性に迫られている。 その一環として省エネルギーを目的としてハイブリットカー、電気自動車等の開発も急速に進められている。
本発明は、陸上走行車輛の制震装置へリニア発電装置を併設して車輛走行中に発生する振動を電力に変換し、その発生電力を利用して単位充電後の走行可能距離を延長する為の技術を提示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献2】特開2010−173630
【特許文献3】特開2009−287638
【特許文献4】特開2009−247102
【特許文献5】特開2009−179319
【特許文献6】特開2008−162333
【特許文献8】特開2007−320363
【特許文献13】特開2007−049865
【特許文献17】特開2005−130624
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、陸上走行車両が走行中に発生する車輪の上下運動による振動を抑制する為の制震装置としてのショックアブソーバーの外周へリニア発電装置を併設する場合に於いて、ショックアブソーバーの持つ問題点を指摘し、その解決手段を提示する。
ショックアブソーバーは、単筒式と複筒式があり、双方ともシリンダーの中にオイル層とエアー層を持ち、車輪の上下運動がストンロッドを介してピストンに伝えられ、ピストンの上下運動によって生ずる圧力差によって伸縮と膨張を繰り返すエアー層のクッション性を利用して車体本体に与える振動を抑制している。 最近は、車輛の使用年数も伸び、これに伴いショックアブソーバーも長い使用年数に耐えられる性能を要求されている。
本発明に於いては、そのショックアブソーバーに発電機を併設して発電する方法としてショックアブソーバーの外周にコイルと磁石を併設し、その何れかをショックアブソーバーのピストンロッドと同じ上下運動をさせ、リニア発電の原理に従って発電することを目途としている。
【0005】
問題となるのは、ショックアブソーバーが長期に渉って使用された時に、ピストンロッドが上下する摩擦によってオイルシールからのてオイル漏洩の可能性、及びショックアブソーバーはピストンの上下運動によって本体の外周に熱が発生する可能性があることである。 次に重要な問題はその装置の設置場所の環境への適応性である。 この装置の設置場所は車輛の床下で狭隘な場所で、異物の飛来、水の飛来、等に対応できるものでなければならない。 以上の問題を解決することが本発明の課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段として、ショックアブソーバーと発電装置の間を発電部内側円筒とその上部に設置する弾性皮膜体ベローズによって隔離し、ショックアブソーバーの外周と発電装置の内壁の間に空気が自由に上下出来る空気流通空間を作り、この空間を通じて冷却用空気の移動を行ってショックアブソーバー外周の温度を低下させ、負荷の高い重量車輛等の場合は、同ショックアブソーバーの外周へ前述の空気流通空間内に複数のフィンを設置して、冷却の効果を高めることを提案している。 この場合、ショックアブソーバー外周と発電装置とは発電装置の内側弾性皮膜体ベローズと発電部内側円筒によって隔離されるため、万一漏洩したオイルも前述の空気流通空間を通じて下方へ排出する事が可能となり、発電装置内部へは影響を及ぼさず、装置の安全性を高める効果を得ることが出来る。 結果的には、ショックアブソーバーとリニア発電機はピストンロッドを通じて同時に上下運動をするが、主要動作部分は完全に隔離されるものとなり、長期的且つ安全な使用期間を保証することが出来る形状となるものである。
【0007】
例1は、単筒式ショックアブソーバーの外周に空気が自由に流通できる空間を置き、その外側にリニア発電装置を設置し、上部躯体連結バーと下部躯体連結バーによって単筒式ショックアブソーバーとリニア発電装置を連結する形態である。 前記ショックアブソーバーのピストンロッド上部に発電装置も含めた装置全体の上部を覆う上部躯体保持部を設置し、その中心部外周に空気流通孔を設置する。 前記空気流通孔は飛来する異物の混入を防ぐためには格子等の設置も有効な手段となる。 次に、上記空気流通孔の外周へ下方に向けて垂直に内側弾性皮膜体のベローズを設置する。 その下部に発電部内側円筒を設置し、同円筒の外側に発電用内側コイルを複数配置し、上部を前記内側弾性皮膜体ベローズと連結する。 次に、前記上部躯体保持部の内側弾性皮膜体の外側に下方に向けて垂直に摺動套を設置する。 同摺動套に前記発電用内側コイルと対向する位置に、円形で断面がU字型で両面が作動面となる永久磁石の内側作動面を、前記発電用内側コイルと接触しない状態に設置する。 同摺動套下部の内部又は外部から摺動補助ロールを設置して摺動套の正確な上下運動を保持する。 次に、前記上部躯体保持部の最外周の下部に外側弾性皮膜体ベローズを設置する。 その下部に発電部外側円筒を設置して、同発電部外側円筒の内面に、発電用外側コイルを前記円形U字型永久磁石の外側作動面に対向する位置で同永久磁石と接触しない状態に設置する。 発電部の最低部は発電部底部中空円形板で発電部内側円筒と発電部外側円筒を連結し、同発電部底部中空円形板に下部通気口を配置する。 次に、上部躯体連結バーと下部躯体連結バーによって単筒式ショックアブソーバーと発電部を連結する。 以上によってショックアブソーバーと発電装置が上部は弾性皮膜体のベローズにより、下部は金属筒によって空気流通空間を置いて隔離され、ショックアブソーバーのピストンロッドの上下運動に付随して永久磁石も上下運動を行うこととなり、装置は車軸の上下運動によってリニア式の発電を行う。
【0008】
前記空気流通空間は、前記上部躯体保持部の中心付近に設置された空気流通孔によって装置の上下で空気の出入が可能となる。 車輛走行中に発生する車軸の上下運動によって上部躯体保持部は上下運動を繰り返し、前記空気流通空間の気圧を変化させる。 これにより空気は流動し、ショックアブソーバー外周の温度上昇を防ぐ。 又、万一漏洩したオイルもこの空気流通空間を通過し、空気流通空間下部から外部へ放出され、発電装置への影響は回避される。
(図1、図2、図3、図4、図6、図7 参照)
【0009】
例2は、複筒式ショックアブソーバーの外周に空気が自由に流通できる空間を置き、その外側にリニア発電装置を設置し、上部躯体連結バーと下部躯体連結バーによって複筒式ショックアブソーバーとリニア発電装置を連結する形態である。 前記ショックアブソーバーのピストンロッド上部に発電装置も含めた装置全体の上部を覆う上部躯体保持部を設置し、その中心部外周に空気流通孔を設置する。 前記空気流通孔は飛来する異物の混入を防ぐためには格子等の設置も有効な手段となる。 次に上記空気流通孔の外周へ下方に向けて垂直に内側弾性皮膜体のベローズを設置する。 その下部に発電部内側円筒を設置し、同円筒の外側に発電用内側コイルを複数配置し、上部を前記内側弾性皮膜体ベローズと連結する。 次に前記上部躯体保持部の内側弾性皮膜体の外側に下方に向けて垂直に摺動套を設置する。 同摺動套に前記発電用内側コイルと対向する位置に、断面がU字型で両面が作動面となる円形永久磁石の内側作動面を、を前記発電用内側コイルと接触しない状態に設置する。 同摺動套下部の内部又は外部に摺動補助ロールを設置して摺動套の正確な上下運動を保持する。 次に、前記上部躯体保持部の最外周の下部に外側弾性皮膜体ベローズを設置する。 その下部に発電部外側円筒を設置して、同発電部外側円筒の内面に発電用外側コイルを前記円形U字型永久磁石外側作動面に対向する位置で前記永久磁石と接触しない状態に設置する。 発電部の最低部は発電部底部中空円形板で発電部内側円筒と発電部外側円筒を連結し、同発電部底部中空円形板に下部通気口を配置する。 次に、上部躯体連結バーと下部躯体連結バーによって複筒式ショックアブソーバーと発電部を連結する。 以上によってショックアブソーバーと発電装置が上部は弾性皮膜体のベローズにより、下部は発電部内側円筒筒によって空気流通空間を置いて隔離され、ショックアブソーバーのピストンロッドの上下運動に付随して永久磁石も上下運動を行うこととなり、装置は車軸の上下運動によってリニア式の発電を行う。
【0010】
次に、ショックアブソーバーの最外周壁に放熱用のフィンを縦に複数枚設置する。 ショックアブソーバーのピストンロッドに設置された前記装置の上部躯体保持部の上下運動によって空気が空気流通空間内を移動する。 この空気がフィンに触れて温度を下げ、ショックアブソーバーの外壁温度を下げる効果を齎す。 又、万一漏洩したオイルはこの空気流通空間を通過して空気流通空間下部より外部へ放出され、発電装置には影響を及ぼさないものとなる。
(図8、図9、図10、図11、図12 参照)
【0011】
例3は、狭隘な場所に設置する為に、単筒式ショックアブソーバーに併設する発電装置に於いて、全体の外径を少なくするための例を示すものである。
その方法は、例1と同じく上部躯体連結バーと下部躯体連結バーによって、単筒式ショックアブソーバーの外周に空気が自由に流通できる空間を置いて発電装置を併設する。 前記ショックアブソーバーのピストンロッドの上部に装置全体を覆う上部躯体保持部を設置し、その中心部の外周に空気流通孔を設置する。 次に上記空気流通孔の外周に下方に向けて垂直に内側弾性皮膜体のベローズを設置する。 その下部に発電部内側円筒を設置し、その外面に発電用コイルを複数配置し、上部を前記内側弾性皮膜体ベローズと連結する。 次に前記上部躯体保持部の内側弾性皮膜体の外側に下方に向けて垂直に摺動套を設置する。 同摺動套に断面がI字型で片面が作動面となる円形永久磁石を前記コイルと対向する位置で、同コイルと接触しない状態に設置する。 同摺動套下部の内部又は外部に摺動補助ロールを設置して摺動套の正確な上下運動を保持する。 前記上部躯体保持部の最外周の下部に下方に向けて垂直に外側弾性皮膜体ベローズを設置する。 その下部に金属の発電部外側円筒を設置する。発電部の最下部は発電部底部中空円形板で発電部内側円筒と発電部外側円筒を連結し、同発電部底部中空円形板に下部通気口を配置する。 次に、上部躯体連結バーと下部躯体連結バーによって単筒式ショックアブソーバーと発電部を連結する。 ショックアブソーバーと発電装置は上部が弾性皮膜体のベローズにより、下部が発電部内側円筒によって空気流通空間を置いて隔離され、ショックアブソーバーのピストンロッドの上下運動に付随して永久磁石も上下運動を行うこととなり、装置はリニア式の発電を行う。
又オイルシールから漏洩したオイルはこの空気流通空間を通過して空気流通空間下部より外部へ放出され、発電装置には影響を及ぼさないものとすることが出来る。
(図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19参照)
【0012】
例4は、狭隘な場所に設置する為に、複筒式ショックアブソーバーに併設する発電装置に於いて、全体の外径を少なくするための例を示すものである。
その方法は、例2と同じく外周に空気が自由に流通できる空間を置いてリニア発電装置を設置する。 複筒式ショックアブソーバーのピストンロッドの上部に装置全体を覆う装置の上部躯体保持部を設置し、その中心部外周に空気流通孔を設置する。 次に上記空気流通孔の外周に下方に向けて垂直に内側弾性皮膜体のベローズを設置する。 その下部に発電部内側円筒を設置し、その外面に断面がI字型で片面が作動面となる円形永久磁石を複数配置し、上部は前記内側弾性皮膜体ベローズと連結する。 次に前記装置の上部躯体保持部の内側弾性皮膜体の外側に下方に向けて垂直に摺動套を設置する。 同摺動套に前記円形永久磁石と対向する位置で外側発電用コイルを同円形永久磁石と接触しない状態に設置する。 同摺動套下部に下部の内部又は外部に摺動補助ロールを設置して摺動套の正確な上下運動を保持する。 前記上部躯体保持部の最外周の下部に外側弾性皮膜体ベローズを設置する。 その下部に発電部外側円筒を設置する。 発電部の最下部は発電部底部中空円形板で発電部内側円筒と発電部外側円筒を連結し、同発電部底部中空円形板に下部通気口を配置する。 次に、上部躯体連結バーと下部躯体連結バーによって複筒式ショックアブソーバーと発電部を連結する。 ショックアブソーバーと発電装置が上部は弾性皮膜体のベローズにより、下部は発電部内側円筒によって空気流通空間を置いて隔離され、ショックアブソーバーのピストンロッドの上下運動に付随して発電用コイルも上下運動を行うこととなり、装置はリニア式の発電を行う。
【0013】
次に、ショックアブソーバーの外周で上記空気流通空間の中に放熱用のフィンを縦に複数枚設置する。 ショックアブソーバーのピストンロッドに設置された前記装置の上部躯体保持部の上下運動によって空気が前記空気流通空間内を移動する。 この空気がフィンに触れて温度を下げ、ショックアブソーバーの外周温度を下げることが出来る。 又万一オイルシールから漏洩したオイルはこの空気流通空間を通過して外部へ放出され、発電装置には影響を及ぼさないものとすることが出来る。
(図20、図21、図22、参照)
注:
図13、図14は単筒式ショックアブソーバーへ適用した例で、発電用コイルは内側に設置され、発電用永久磁石は外側に設置されている。この場合は、発電用永久磁石がコイルの外側を摺動する形式である。図20、図21は複筒式ショックアブソーバーに適用した例で、発電用コイルは外側に設置され、発電用永久磁石は内側に設置されている。この場合は、発電用コイルが発電用永久磁石の外側を摺動する形式である。
【発明の効果】
【0014】
車輛走行中の車輪の上下運動の衝撃を緩和させるショックアブソーバー外周にリニア発電装置を設置して発電させ、この電力をバックアップ電源を利用してメインバッテリーへ充電する技術は、本発明者が 特願2010−225196 によって特許申請済みである。
ショックアブソーバーとリニア発電機を併設して、車輛の走行中に発生する車輪の上下運動の振動を電力に変換する場合に、ショックアブソーバー側で問題となるのは、長期間に渉って使用することによってショックアブソーバーの内部で使用されるオイルがオイルシールの摩耗によって漏洩する可能性があること、及び、重量車輛に使用されるショックアブソーバーの外周が内部ピストンの上下動作によって温度上昇の可能性があることである。
本発明によってショックアブソーバーの機能部とリニア発電の機能部は空気流通空間によって隔離され、併せてショックアブソーバーの外周へのフィンの設置場合には、空気との接触面積が増し、これによってショックアブソーバー外周の温度上昇が抑制され、又、万一ショックアブソーバーのオイルが漏洩した場合には、上記の空気流通空間を通じてオイルは系外に排出されて発電装置への悪影響を避けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】陸上走行車輌緩衝装置に於ける単筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックアブソーバーの外周に空気流通空間を設置し、その外側にリニア発電装置を設置した図で、車輪が下降した場合を示す。
【0016】
【図2】陸上走行車輌緩衝装置に於ける単筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックアブソーバーの外周に空気流通空間を設置し、その外側にリニア発電装置を設置した図で、車輪が上昇した場合を示す
【0017】
【図3】同上装置の上部躯体保持部上部平面図で、空気流通孔の配置状況を示す。
【0018】
【図4】同上装置の下部平面図で、下部躯体連結バー、下部通気口、空気流通空間下部の配置を示す。
【0019】
【図5】図1のA−A断面図で、ピストンロッド、短筒式ショックアブソーバー、空気流通空間、ショックアブソーバーとリニア発電装置との上部躯体連結バーの配置断面を示す。
【0020】
【図6】図1のB−B断面図で、短筒式ショックアブソーバー、内側発電コイル、内側永久磁石、外側永久磁石、外側発電コイル、発電部外側円筒の配置断面を示す。
【0021】
【図7】図1のC−C断面図で、短筒式ショックアブソーバー、空気流通空間、発電部内側円筒、下部摺動套、摺動套下部摺動補助ロール、下部通気口、発電部外側円筒の配置断面を示す。
【0022】
【図8】陸上走行車輌緩衝装置に於ける複筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックブソーバーの外周に空気流通空間を設置し、ショックアブソーバーの外周に放熱用のフィンを設置し、その外側にリニア発電装置を設置した図で、車輪が下降した場合を示す。
【0023】
【図9】陸上走行車輌緩衝装置に於ける複筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックブソーバーの外周に空気流通空間を設置し、ショックアブソーバーの外周に放熱用のフィンを設置し、その外側にリニア発電装置を設置した図で、車輪が上昇降した場合を示す。
【0024】
【図10】図8のA−A断面図で、ピストンロッド、複筒式ショックアブソーバー、空気流通空間、リニア発電装置及び上部躯体連結バーの配置断面を示す。
【0025】
【図11】図8のB−B断面図で、複筒式ショックアブソーバー、内側発電コイル、内側永久磁石、外側永久磁石、外側発電コイル、発電部外側円筒の配置断面を示す。
【0026】
【図12】図8のC−C断面で、複筒式ショックアブソーバー、空気流通空間、放熱用のフィン、発電部内側円筒、下部摺動套、摺動套下部摺動補助ロール、下部通気口、複筒式ショックアブソーバー底部コントロールバルブ、発電部外側円筒の配置断面を示す。
【0027】
【図13】陸上走行車輌緩衝装置に於ける単筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックアブソーバーの外側に空気流通空間を置き、その外側に複数のコイルを設置し、ショックアブソーバーのピストンロッドに設置した装置の上部躯体本体保持部に摺動套を設置し、摺動套に前記コイルと対向する位置に円形の永久磁石を設置して、リニア発電機を形成させ全体を小径化した図で、車輪が下降した場合を示す。
【0028】
【図14】陸上走行車輌緩衝装置に於ける単筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックブソーバーの外側に空気流通空間を置き、その外側に複数のコイルを設置し、ショックアブソーバーのピストンロッドに設置した装置の上部躯体本体保持部に摺動套を設置し、摺動套に前記コイルと対向する位置に円形の永久磁石を設置して、リニア発電機を形成させ全体を小径化した図で、車輪が上昇した場合を示す。
【0029】
【図15】同上装置の上部躯体保持部上部平面図で、空気流通孔の配置断面を示す。
【0030】
【図16】同上装置の下部より見た平面図で、下部躯体連結バー及び下部通気口、車軸側への下部接合部の配置図を示す。
【0031】
【図17】図13のA−A断面図で、ピストンロッド短筒式ショックアブソーバー、ショックアブソーバーとリニア発電装置との上部躯体連結バーの配置断面を示す。
【0032】
【図18】図13のB−B断面図で、短筒式ショックアブソーバー、内側発電コイル、空気流通空間、内側永久磁石、発電部外側円筒の配置断面を示す。
【0033】
【図19】図13のC−C断面で、複筒式ショックアブソーバー、空気流通空間、発電部内側円筒、下部摺動套、摺動套下部摺動補助ロール、下部通気口、発電部外側円筒の配置断面を示す。
【0034】
【図20】陸上走行車輌緩衝装置に於ける複筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックブソーバーの外側に空気流通空間を置き、その外側に複数の永久磁石を設置し、ショックアブソーバーのピストンロッドに設置した装置の上部躯体本体保持部に摺動套を設置し、摺動套に前記永久磁石と対向する位置にコイルを設置して、リニア発電機を形成させ、小径化した図で、車輪が下降した場合を示す。
【0035】
【図21】陸上走行車輌緩衝装置に於ける複筒式ショックアブソーバーへの適用例で、ショックブソーバーの外側に空気流通空間を置き、その外側に複数の永久磁石を設置し、ショックアブソーバーのピストンロッドに設置した装置の上部躯体本体保持部に摺動套を設置し、摺動套に前記永久磁石と対向する位置にコイルを設置して、リニア発電機を形成させ、小径化した図で、車輪が上昇した場合を示す。
【0036】
【図22】図20B−B断面で、複筒式ショックアブソーバー、空気流通空間、放熱用のフィン、発電部内側円筒、下部摺動套、摺動套下部摺動補助ロール、下部通気口、発電部外側円筒の配置断面を示す。
【0037】
【図23】装置の上部躯体本体保持部を示すもので、上側図は空気流通孔を示し、下側図は空気流通孔への小異物の進入を防ぐ格子設置の設置状況を示す。
【0038】
【図24】発電装置によって発電された電力を整流し、コンデンサーに蓄電し、全コンデンサーに蓄電された電力を同時に被充電バッテリーへ充電する回路図。
【0039】
【図25】発電装置によって発電された電力を整流し、コンデンサーに蓄電し、発生電源毎に切り替えスイッチによって被充電バッテリーへ充電する回路図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
陸上走行車輛の走行中に発生する車輪の上下運動による振動を電力に変えると言う発想は、過去にも先行技術として紹介されている。然しながらその実現には多くの問題を克服する必要がある。 これらの装置の設置場所が車輛の本体の下部で多くの異物の飛来が予想され、且つ狭隘な場所に設置することが必要である。本発明は車輛走行中に車輪の上下運動による振動を吸収する緩衝装置としてのショックアブソーバーの外周にリニア発電装置を併設し、ショックアブソーバーのピストンロッドの上下運動によって前記リニア発電装置のコイル又は永久磁石が、前記ピストンロッドと同じ上下運動を起こすように結合させ、同永久磁石と同コイルの相対的位置変化によって発電させることを目途としている。 この場合に問題となるのが長期使用によるショックアブソーバーのオイル漏洩と、ショックアブソーバー外周の発熱である。 この問題を解決する為に、本発明ではショックアブソーバーの外周に空気の流通する空間を設置して空気を流通させて温度を下げ、更にはショックアブソーバーの外周にフィンを設置して流通する空気との接触面積を増やして温度低下の効果を高め、且つ万一漏洩したオイルはこの空気流通空間を通して外部へ排出させ、また、上部躯体保持部をピストンロッドに結合させ、ピストンロッドの上下運動と共に上下に振動して風圧の変動を起こし、前記空気流通空間における空気の停滞を防止する方式も提案している。
【実施例】
【0041】
実施例1.
図1、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図23、は請求項1に関連する。
本例は、単筒式ショックアブソーバーの外周にリニア発電装置を併設したものである。
単筒式ショックアブソーバーは、車輛本体側への上部接合部(1)によって車体本体と接合され、底部は車軸側への下部接合部(33)によって車軸と接合される。 ショックアブソーバーと発電装置は、上部は上部躯体連結バー(9)下部は下部躯体連結バー(32)によってショックアブソーバーのピストンシリンダー(21)外壁と発電部内側円筒(10)との間に空気流通空間(28)を隔てて連結させる。
装置の車輛本体側へ接合させる上部接合部(1)は、その下部のショックアブソーバーのピストンロッド(4)によってショックアブソーバーのピストン(23)と連結される。 同ショックアブソーバーのピストン(23)は、車輛走行中に生ずる車輪の上下運動による振動によって上記ショックアブソーバーのピストンシリンダー(21)のオイル層の中で上下運動を行う。 ショックアブソーバーのストン(23)にはショックアブソーバーのピストンオリフィス(24)が設置され、ショックアブソーバーの上部オイル層(22)とショックアブソーバーの下部オイル層(25)の間のオイルの流れの量をショックアブソーバーのピストンオリフィス(24)の調節弁によって調節する。 ショックアブソーバー下部オイル層(25)の下部にショックアブソーバーのフリーピストン(26)があり、その下部にショックアブソーバー下部の気層(27)がある。 同ショックアブソーバー下部の気層(27)は車輪の上下運動による振動によって圧縮とその反発による膨張を繰り返す。以上の動作によって振動を吸収する。
【0042】
本例では、単筒式ショックアブソーバーのピストンシリンダー(21)の外周に空気流通空間(28)を配置し、その外側に発電部内側円筒(10)を配置し、前記発電部内側円筒(10)の外側に複数の内側発電用コイル(12)を内側コイル支持材(11)によって設置する。 上記発電部内側円筒(10)は、上部を内側弾性皮膜体ベローズ(5)によってショックアブソーバーのピストンロッド(4)の上部に接合された上部躯体保持部(2)に接合し、下部は発電部底部中空円形板(30)に接合する。 次に、前記内側発電用コイル(12)の外周に同内側発電用コイルと対向する位置に円形で両面が作動面となる断面がU字型の発電用永久磁石の内側作動面(13)を前記内側発電用コイル(12)と接触しない状態に配置する。 上記の各永久磁石は磁石保持材(14)によって発電用磁石保持金具(15)に接合され、同発電用磁石保持金具(15)の上部は上部摺動套(6)に連結され、同上部摺動套(6)の最上部は上部躯体保持部(2)に接合され、下部は下部摺動套(19)に接合され、同下部摺動套(19)は発電部内側円筒(10)又は発電部外側円筒(20)に設置された摺動補助ロール((29)によって上下運動の精度を保持し、次に、前記円形で両面が作動面となる永久磁石の外側側作動面(16)と対向する位置に外側発電用コイル(17)を同作動面と接触しない位置で発電部外側円筒(20)の内側に外側コイル支持材(18)よって設置する。 次に、発電部外側円筒(20)を上部を外側弾性皮膜体ベローズ(7)によって装置の上部躯体保持部(2)に接合させ、下部を発電部底部中空円形板(30)と結合させる。 以上によってショックアブソーバーと発電装置は空気流通空間(28)によって隔離された状態となる。 ショックアブソーバーのピストンロッド(4)は、車軸の振動によって上下運動を繰り返す。 この上下運動は、連結された上部躯体保持部(2)の上下運動となり、これに接合した上部摺動套(6)に設置された永久磁石の内側作動面(13)、永久磁石の外側作動面(16)は同時に上下運動を行う。 その結果、対向する位置に設置された内側発電用コイル(12)及び外側発電用コイル(17)には電力が発生する。 この発電装置は永久磁石の内側作動面(13)と、永久磁石の外側作動面(16)の2面が作動面となり、その双方の対向する位置に内側発電用コイル(12)及び外側発電用コイル(17)を配置している為に、発電装置の発電能力は後述の片面のみが作動面となる発電装置と比較して約2倍の電力を発生するものとなる。
【0043】
次に、 装置の上部躯体保持部(2)はショックアブソーバーのピストンロッド(4)と連結されている為に同ショックアブソーバーのピストンロッド(4)と同じ上下運動を繰り返して空気流通孔(3)から空気を吸入或いは排出させ、空気流通空間(28)内の空気の移動作用を引き起こす。 これによってショックアブソーバーの外周は冷却される。 同時に、万一ショックアブソーバーのオイルが漏洩した場合でも空気流通空間(28)を通じて空気流通空間下部(34)から系外へ排出され、発電装置へ影響は及ぼすものとはならない。 また、発電装置の上下運動に伴う発電部内の空気の吸入或いは排出は、発電部底部円形板(30)に設置された 下部通気口(31)によって行うことが出来る。
図23は、装置の上部躯体保持部の形態を示した参考例である。 同図の中の装置の上部躯体保持部空気流通孔(40)に於いて、車輛走行中に同装置の躯体保持部に設けられた空気流通孔から微細な異物が空気流通空間(28)の中に進入するのを避ける為に、装置の上部躯体保持部空気流通孔の格子(40)を配置した例である。
【0044】
図8.図9、図10、図11、図12、図23、は請求項1に関連する。
本例は、複筒式ショックアブソーバーの外周にリニア発電装置を併設した例である。
複筒式ショックアブソーバーは、装置の車輛本体側への上部接合部(1)によって車体本体と接合され、底部は装置の車軸側への下部接合部(33)によって車軸と接合される。 ショックアブソーバーと発電装置は、上部は上部躯体連結バー(9)下部は下部躯体連結バー(32)によってショックアブソーバーのピストンシリンダー(21)と発電部内側円筒(10)との間に空気流通空間(28)を隔てて連結させる。
装置の車輛本体側への上部接合部(1)は、その下部のショックアブソーバーのピストンロッド(4)によってショックアブソーバーのピストン(23)と連結される。 同ショックアブソーバーのピストン(23)は、車輛走行中に生ずる車輪の上下運動による振動によって上記ショックアブソーバーのピストンシリンダー(21)のオイル層の中で上下運動を行う。 ショックアブソーバーのピストン(23)にはショックアブソーバーのピストンオリフィス(24)が設置され、ショックアブソーバーの上部オイル層(22)とショックアブソーバーの下部オイル層(25)の間のオイルの流れの量をショックアブソーバーのピストンオリフィス(24)の調節弁によって調節する。 ショックアブソーバーのピストンシリンダー(21)の底部に複筒式ショックアブソーバーの内筒底部コントロールバルブ(36)があり、ここで複筒式ショックアブソーバーの外筒(35)への流入量のコントロールを行う。 同複筒式ショックアブソーバーの外筒(35)には上部に複筒式ショックアブソーバー外筒の気層(38)があり、下部にはショックアブソーバーの外筒のオイル層(37)がある。 同複筒式ショックアブソーバー外筒の気層(38)は車輪の上下運動による振動によって圧縮とその反発による膨張を繰り返す。 これによって振動を吸収する。
【0045】
本例では、複筒式ショックアブソーバーの外筒(35)の外周に空気流通空間(28)を配置し、更に複筒式ショックアブソーバーの外筒(35)の外周に複数のフィン(39)を設置して空気流通空間内(28)を移動する空気との接触面の面積を拡大して放熱効果を高め、その外側に発電部内側円筒(10)を配置し、前記発電部内側円筒(10)の外側に複数の内側発電用コイル(12)を内側コイル支持材(11)によって設置する。 上記発電部内側円筒(10)は、上部を内側弾性皮膜体ベローズ(5)によってショックアブソーバーのピストロッド(4)上部に設置された上部躯体保持部(2)に接合し、下部は発電部底部円形板(30)に接合する。 次に、同内側発電用コイル(12)の外周で同内側発電用コイルと対向する位置に、円形で両面が作動面となる断面がU字形の永久磁石の内側作動面(13)を同内側発電用コイルと接触しない位置に配置する。 上記の各永久磁石は磁石保持材(14)によって発電用磁石保持金具(15)に接合され、同発電用磁石保持金具(15)の上部は上部摺動套(6)に連結され、その最上部は上部躯体保持部(2)に接合し、下部は下部摺動套(19)に連結され、同下部摺動套(19)は発電部内側円筒(10)又は発電部外側円筒(20)に設置された摺動補助ロール(29)によって上下運動の精度を保持し、次に、永久磁石の外側作動面(16)と対向する位置で外側発電用コイル(17)を前記外側発電用永久磁石に対向する位置に同永久磁石の外側作動面(16)と接触しない位置で発電部外側円筒(20)の内側に外側コイル支持材(18)よって配置する。 発電部外側円筒(20)は上部を外側弾性皮膜体ベローズ(7)によって上部躯体保持部(2)に連結させ、下部は発電部底部中空円形板(30)と結合させる。 以上によってショックアブソーバーと発電装置は空気流通空間(28)によって隔離された状態となる。 ショックアブソーバーのピストンロッド(4)は、車軸の振動によって上下運動を繰り返す。 この上下運動は、連結された上部躯体保持部(2)の上下運動となり、これに接合した上部摺動套(6)に設置された永久磁石の内側作動面(13)、永久磁石の外側作動面(16)は同時に上下運動を行う。 その結果、対向する位置に設置された内側発電用コイル(12)及び外側発電用コイル(17)には起電力が発生する。 この発電装置は永久磁石の内側作動面(13)と、永久磁石の外側作動面(16)の2面が作動面となり、その双方の対向する位置に内側発電用コイル(12)及び外側発電用コイル(17)を配置している為に、発電装置の発電能力は後述の片面のみが作動面となる発電装置と比較して約2倍の電力を発生するものとなる。
次に、 装置の上部躯体保持部(2)はショックアブソーバーのピストンロッド(4)と連結されている為に同ショックアブソーバーのピストンロッド(4)と同じ上下運動を繰り返し、空気流通孔(3)から空気を吸入或いは排出し、空気流通空間(28)内の空気の上下運動を引き起こす。 これによってショックアブソーバーの外周は冷却される。 本例では、複筒式ショックアブソーバーの外壁(35)にフィン(39)を設置して流動する空気との接触面積を拡大して冷却効果を高め、同時に、万一ショックアブソーバーのオイルが漏洩した場合でも空気流通空間(28)を通じて空気流通空間下部(34)から系外へ排出され、発電装置へ影響は及ぼすものとはならない。 また、装置の上部躯体保持部の上下運動に伴う発電装置内の空気の移動或いは排出は、発電部底部円形板(30)に設置された 下部通気口(31)によって行うことが出来る。
【0047】
図13、図14、図15、図16、図17、図18、図19、は請求項2に関連する。
本例は、装置を狭隘な場所に設置する為に装置を小径化する方法として単筒式ショックアブソーバーの外周に配置するリニア発電装置の永久磁石の1面のみを作動面とて対向するコイルも1列の形状としたものである。単筒式ショックアブソーバーは前述実施例1と同一の作動を行う。
【0048】
本例では、短筒式ショックアブソーバーのピストンシリンダー(21)の外周に空気流通空間(28)を配置し、その外側に発電部内側円筒(10)を配置し、同発電部内側円筒(10)の外側に複数の内側発電用コイル(12)を内側コイル支持用材(11)によって配置する。 上記発電部内側円筒(10)は、上部を内側弾性皮膜体ベローズ(5)によってピストロッド(4)上部に接合された上部躯体保持部(2)に接合し、下部は発電部底部円形板(30)に接合する。 次に、同内側発電用コイル(12)の外周に同コイルと対向する位置に、円形で片面が作動面となる断面がI字形の永久磁石の内側発電用磁石(13)を同コイルと接触しない位置に配置する。 各永久磁石は磁石保持用材(14)によって発電用磁石保持金具(15)に接合され、同発電用磁石保持金具(15)の上部は上部摺動套(6)に連結され、その最上部は装置の上部躯体保持部(2)に接合し、下部は下部摺動套(19)に連結され、同下部摺動套(19)は発電部内側円筒(10)又は発電部外側円筒(20)に設置された摺動補助ロール(29)によって上下運動の精度を保持し、発電部外側円筒(20)は上部を外側弾性皮膜体ベローズ(7)によって装置の上部躯体保持部(2)に連結させ、下部は発電部底部円形板(30)と結合する。 以上によってショックアブソーバーと発電装置は空気流通空間(28)によって隔離された状態となる。 車輛走行中に車軸の振動によってショックアブソーバーのピストンロッド(4)は上下運動をする。 同ショックアブソーバーのピストンロッドに設置された装置の上部躯体保持部(2)も上下運動をする。 前記装置の上部躯体保持部(2)に接続された永久磁石の内側発電用磁石(13)を保持する摺動套(6)も同じく上下運動をする。これによって発電用コイル(12)に近接した位置で永久磁石の内側発電用磁石(13)が上下運動を行い、リニア発電の効果によって発電用コイル(12)には起電力が発生する。
【0049】
次に、装置の上部躯体保持部(2)はショックアブソーバーのピストンロッド(4)と連結されている為に同ショックアブソーバーのピストンロッド(4)と同じ上下運動を繰り返して空気流通孔(3)から空気を吸入或いは排出し、空気流通空間(28)内の空気の上下運動を引き起こす。これによってショックアブソーバーの外周は冷却される。 同時に、万一ショックアブソーバーのオイルが漏洩した場合でも空気流通空間(28)を通じて空気流通空間下部(34)から系外へ排出され、発電装置へ影響は及ぼすものとはならない。 また、装置の上部躯体保持部(2)の上下運動に伴う発電装置内の空気の移動或いは排出は、発電部底部円形板(30)に設置された 下部通気口(31)によって行うことが出来る。
【0050】
図20、図21、図22、は請求項2に関連する。
本例は、装置を狭隘な場所に設置する為の装置を小径化する方法として、複筒式ショックアブソーバーの外周に配置するリニア発電装置の永久磁石の1面のみを作動面とし、対向するコイルも1列の形状としたものである。複筒式ショックアブソーバーは前述実施例2と同一の作動を行う。
【0051】
本例では、複筒式ショックアブソーバーの外筒(35)の外周に空気流通空間(28)を配置し、その外側に発電部内側円筒(10)を配置し、前記発電部内側円筒(10)の外側に複数の断面がI字形の永久磁石の外側作動面(16)を磁石保持用材(14)によって設置し、上部を内側弾性皮膜体ベローズ(5)によってピストロッド(4)上部に接合された上部躯体保持部(2)に接合し、下部は発電部底部中空円形板(30)に接合する。 次に上部躯体保持部に上部摺動套(6)を設置しその下部に上記永久磁石の外側作動面(16)に対向し、同永久磁石に接触しない位置の外周に外側発電用コイル(17)を外側コイル支持材(18)によって上記上部摺動套(6)に設置する。下部は下部摺動套(19)に連結し、同下部摺動套(19)は発電部内側円筒(10)、又は発電部外側円筒(20)に設置された摺動補助ロール((29)によって上下運動の精度を保持する。 発電部外側円筒(20)の上部を外側弾性皮膜体ベローズ(7)によって装置の上部躯体保持部(2)の最外周に連結させ、下部は発電部底部円形板(30)と結合する。
以上によってショックアブソーバーと発電装置は空気流通空間(28)によって隔離された状態となる。 車輛走行中に車軸の振動によってショックアブソーバーのピストンロッド(4)は上下運動をする。同ショックアブソーバーのピストンロッド(4)に設置された上部躯体保持部(2)も上下運動をする。 同装置の上部躯体保持部(2)接続された摺動套に設置された外側発電用コイル(17)も永久磁石の外側作動面(16)の外周で上下運動を行う。 これによって、リニア発電の効果により発電用コイルには起電力が発生する。
【0052】
次に、装置の上部躯体保持部(2)はショックアブソーバーのピストンロッド(4)と連結されている為にショックアブソーバーのピストンロッド(4)と同じ上下運動を繰り返して空気流通孔(3)から空気を吸入或いは排出をし、空気流通空間(28)内の空気の上下運動を引き起こす。これによってショックアブソーバーの外周は冷却される。 同時に、万一ショックアブソーバーのオイルが漏洩した場合でも空気流通空間(28)を通じて空気流通空間下部(34)から系外へ排出され、発電装置へ影響を及ぼすものとはならない。 また、発電装置の上下運動に伴う系内の空気の移動或いは排出は、発電部底部円形板(30)に設置された 下部通気口(31)によって行うことが出来る。本例では、複筒式ショックアブソーバーの外壁(35)にフィン(39)を設置して流動する空気との接触面積を拡大して冷却効果を高めている。
【0053】
上記の請求項1に関連する技術は、発電装置内の永久磁石の形態を円形で両面が作動面となるものとし、その両作動面に対向する位置に発電用コイルを配置し、同永久磁石が車輛の振動によって上下運動することによってコイルの両端に電力が発生するする方式である。
請求項2に関連する技術は、狭隘な場所に設置する為に装置全体を細くするべく、発電装置内の永久磁石の形態を円形で片面が作動面となるものとし、その作動面に対向する位置に発電用コイルを配置し、同永久磁石が車輛の振動によって上下運動することによってコイルの両端に電力が発生するする方式である。
請求項1に関連する技術によって発生する電力は、請求項2に関連する技術によって発生する電力の約2倍の電力となる。 然し、形状に於いては、請求項2の技術による発電装置の直径は大幅に減り、狭隘な設置環境への対応が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
現在世界は環境保護の為に石化エネルギーの削減の為の努力をしようとしている。 ハイブリッドカーや電気自動車の普及はその一環として浮上してきた。 然るに現在は電気自動車の単位充電時間当たりの走行距離は短く、実用上の問題として指摘されている。 本発明は車輛の走行中に発生する振動を電気エネルギーに変換し、これをメインバッテリーへ充電して再利用を図るものであり、その利用可能性は大きい。 また、実際に使用する場合には、車輛本体の床下に設置する装置であり、環境的には最も厳しい場所である。 本発明はそれを解決するための技術であり、利用価値は高いものである。
【符号の説明】
【0055】
(1)車輛本体側への上部接合部
(2)上部躯体保持部
(3)空気流通孔
(4)ショックアブソーバーのピストンロッド
(5)内側弾性皮膜体ベローズ
(6)上部摺動套
(7)外側弾性皮膜体ベローズ
(8)オイルシール
(9)上部躯体連結バー
(10)発電部内側円筒
(11)内側コイル支持材
(12)内側発電用コイル
(13)永久磁石の内側作動面
(14)磁石保持用材
(15)発電用磁石保持金具
(16)永久磁石の外側作動面
(17)外側発電用コイル
(18)外側コイル支持材
(19)下部摺動套
(20)発電部外側円筒
(21)ショックアブソーバーのピストンシリンダー
(22)ショックアブソーバーの上部オイル層
(23)ショックアブソーバーのピストン
(24)ショックアブソーバーのピストンオリフィス
(25)ショックアブソーバーの下部オイル層
(26)ショックアブソーバーのフリーピストン
(27)ショックアブソーバーのフリーピストン下部気層
(28)空気流通空間
(29)摺動補助ロール
(30)発電部底部中空円形板
(31)下部通気口
(32)下部躯体連結バー
(33)車軸側への下部接合部
(34)空気流通空間下部
(35)複筒式ショックアブソーバーの外筒
(36)複筒式ピストンシリンダー底部コントロールバルブ
(37)複筒式ショックアブソーバー外筒の液層
(38)複筒式ショックアブソーバー外筒の気層
(39)放熱用フィン
(40)空気流通孔の格子
(41)バックアップ電源による充電装置の受電端子
(42)バックアップ電源による充電装置の全波整流器
(43)バックアップ電源による充電装置のコンデンサー
(44)バックアップ電源による充電装置一斉送電用切り替えスイッチ
(45)バックアップ電源による充電装置個別送電用切り替えスイッチ
(46)バックアップ電源による充電装置のプラグイン電源との切り替えスイッチ
(47)被充電バッテリー
(48)バックアップ電源用バッテリー
(49)プラグイン充電用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上走行車輌に於ける車体本体と、車輪の上下運動によって振動が発生する車軸との間に介装する単筒式又は複筒式ショックアブソーバーの振動緩和装置に於いて、ショックアブソーバーのピストンロッドの最上部に円形の上部躯体保持部を設置し、単筒式に於いてはピストンシリンダーの外周の外側、複筒式に於いては外筒の外周の外側に空気流通空間を作り、その空間を隔てた外側に上部を上部躯体保持部と弾性皮膜体のベローズで接合した発電部内側円筒を設置し、その外側に複数の内側発電用コイルを設置し、同発電部内側円筒の下部は発電部底部中空円形板の内側に接合させ、前記上部躯体保持部の外周との中間の下部に摺動套を設置し、同摺動套に前記コイルと対向して同コイルと接触しない位置に、両面が作動面となる永久磁石の内側作動面が前記内側発電用コイルと対向する如くに設置し、前記上部躯体保持部の外周に弾性皮膜体ベローズで接合した発電装置の発電部外側円筒を設置し、その内側に複数の外側発電用コイルを前記両面が作動面となる永久磁石の外側作動面に対向する位置でコイルが永久磁石に接触しない位置に設置し、同発電部外側円筒の下部は発電部底部中空円形板の外側に接合させて発電部を形成し、振動緩和装置と発電部を上部は上部躯体連結バー、下部は下部躯体連結バーによって連結させ、大形乗用車等における横揺れ発生による苛酷な使用条件の場合は発電部内側円筒又は、発電部外側円筒と摺動套下部の間に摺動補助ロールを設置して摺動の精度を保持し、前記上部躯体保持部の発電装部内側円筒と接続する弾性皮膜体ベローズとピストンロッドの中間に空気流通孔を設置して前記空気流通空間と連結させ、車輛走行中に発生する車軸の上下運動によるショックアブソーバーのピストンロッドの上下運動によって空気流通空間中の空気圧を変動させてショックアブソーバー外周の温度上昇を抑え、更に大型車輛等への苛酷な使用条件の場合は、ショックアブソーバー外壁へフィンを設置して流動する空気との接触面積を拡大させて放熱効果を高め、長期間使用によるショックアブソーバーのオイルシール摩耗による万一のオイル漏洩時には、上記空気流通空間を経て空気流通空間下部から系外へ排出させて安全を確保し、車輛走行時の車輪の上下運動に伴う永久磁石のコイルに対向する位置での上下運動によってコイル内に起電力を発生させ、この電力をバックアップ電源を使用して被充電バッテリーへ充電することを特徴とし、前記コイルと永久磁石の配置は互いに反対位置に設置することも可能とする発電装置。
【請求項2】
陸上走行車輌に於ける車体本体と、車輪の上下運動によって振動が発生する車軸との間に介装する単筒式又は複筒式ショックアブソーバーの振動緩和装置に於いて、ショックアブソーバーのピストンロッドの最上部に円形の上部躯体保持部を設置し、単筒式に於いてはピストンシリンダーの外周の外側、複筒式に於いては外筒の外周の外側に空気流通空間を作り、その空間を隔てた外側に上部は上部躯体保持部と弾性皮膜体のベローズで接合した発電部内側円筒設置し、その外側に複数の円形で片面が作動面となる複数の永久磁石を設置し、下部は発電部底部中空円板に接合させ、上記上部躯体保持部の下部で上記発電部内側円筒の外側に摺動套を下方に向けて設置し、同
摺動套内部に前記永久磁石と対向して同永久磁石と接触しない位置に外側発電用コイルを設置して摺動套下部に連結させ、前記上部躯体保持部の最外周に弾性皮膜体ベローズを設置し、その下部へ発電部外側円筒を接続させ、最下部は発電部底部中空円形板に連結させ、大形乗用車等における横揺れ発生による苛酷な使用条件の場合は、発電部内側円筒又は発電部外側円筒と摺動套下部の間に摺動補助ロールを設置して摺動の精度を保持し、前記上部躯体保持部の発電装部内側円筒と接続させた弾性皮膜体ベローズとピストンロッドの間に空気流通孔を設置して前記空気流通空間と連結させ、車輛走行中に発生する車軸の上下運動によるショックアブソーバーのピストンロッドの上下運動によって空気流通空間中の空気圧を変動させてショックアブソーバー外周の温度上昇を抑え、更に大型車輛等への苛酷な使用条件の場合は、ショックアブソーバー外周へフィンを設置して流動する空気との接触面積を拡大させて放熱効果を高め、長期間使用によるショックアブソーバーのオイルシール摩耗による万一のオイル漏洩時には、上記空気流通空間を経て空気流通空間下部から系外へ排出させて安全を確保し、車輛走行時の車輪の上下運動に伴うコイルの永久磁石に対向する位置での上下運動によってコイル内に起電力を発生させ、この電力をバックアップ電源を使用して被充電バッテリーへ充電することを特徴とし、前記コイルと永久磁石の配置は互いに反対位置に設置することも可能とする発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−236582(P2012−236582A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119694(P2011−119694)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(308016747)有限会社 加納 (6)
【Fターム(参考)】