説明

白ねぎのぼけ部検出方法およびその装置

【課題】 本発明は、白ねぎのぼけ部の端部の検出を定量的に行うことができる白ねぎのぼけ部検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 白ねぎ3を拡散照明する蛍光管7および拡散板8と、赤外線を吸収し青色の光のみ透過する光学フィルタ4と、拡散照明された白ねぎ3の反射光を光学フィルタ4を介して入力し、白ねぎのぼけ部3Bおよびその近傍を撮影するCCDカメラ5と、CCDカメラ5の画像信号により、白ねぎの軟白部3Aよりぼけ部3Bに移るぼけ部端部を検出する検出装置11を備える。この構成によれば、ぼけ部3Bの輝度データから、常に同一のしきい値によりぼけ部3Bの端部が検出されることにより、選別過程で等級選別に大きく係る軟白部3Aの長さLが自動で定量的に検出され、人間の主観に依存することなく、均一な白ねぎ3の等級の判定が可能となり、白ねぎ3の品質を安定して均一に維持できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白ねぎの等級の判断に使用される白ねぎのぼけ部検出方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】青果物の選別は自動選別が主流となってきているが、白ねぎでは自動化が遅れ、人間による手選別に頼っているのが現状である。この白ねぎの選別において、特に検査する上で難しく、人間の主観に依存しているのが、白ねぎのぼけ部を判定する部分である。
【0003】すなわち、白ねぎの白い部分から緑の部分へ移る、一般に“ぼけ”と呼ばれる色のはっきりしない部分(以下、ぼけ部と称す)の端部の判断が人間の主観に依存しており、ぼけ部の端部までの白ねぎの白い部分(以下、軟白部と称す)の長さの判定が行われている。そして、この人間の主観によるこの軟白部の長さの判定により、白ねぎの等級が決定され、白ねぎの選別が行われる。
【0004】白ねぎでは、軟白部の長さが長い程価値は高くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記白ねぎの選別は、人間の主観に依存しており、個人によって軟白部の長さの判定が異なるため、安定して均一な品質(等級)を得ることができなかった。そこで、本発明は、選別過程で等級選別に大きく係る、白ねぎのぼけ部の端部の検出を定量的に行うことができ、軟白部の長さの均一な判断を可能とし、安定した均一な品質を維持でき、さらに高速選別を可能とする、白ねぎのぼけ部検出方法およびその装置を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、ねぎの白い部分から緑の部分へ移るぼけ部およびその近傍の輝度を求め、この求めたぼけ部およびその近傍の輝度データの濃度階調変換を行い、濃度階調変換が実行された輝度データより所定のしきい値により白ねぎの白い部分の軟白部を抽出し、次に抽出された軟白部の輝度データと、軟白部に接する部分の輝度データの明度変換を行い、この明度変換された輝度データに基づいて、ねぎの軟白部よりねぎの長さ方向へスキャンし、ねぎの軟白部の輝度データからはじめて軟白部に接する部分の輝度データが検出された位置をぼけ部の端部として検出することを特徴とするものである。
【0007】上記方法によれば、輝度データの濃度階調変換によりコントラストが強調されて所定のしきい値により軟白部が抽出され、明度変換により軟白部とぼけ部の境界が明瞭とされ、スキャンによりぼけ部の端部が検出される。このように、ぼけ部の端部が輝度データに基づいて定量的に検出されることにより、軟白部の長さが自動で定量的に検出され、人間の主観によることなく、均一な白ねぎの等級の判定が可能となる。
【0008】また請求項2に記載の発明は、白ねぎを照明する照明手段と、赤外線を吸収する赤外線吸収フィルタおよび青色の光のみ透過するブルーフィルタを重ねて形成され、白ねぎの白い部分から緑の部分へ移るぼけ部の上方位置に配置された光学フィルタと、前記照明手段により照明された白ねぎの反射光を前記光学フィルタを介して入力し、白ねぎのぼけ部およびその近傍を撮影する撮像手段と、前記撮像手段の画像信号により、白ねぎの白い部分の軟白部より前記ぼけ部に移るぼけ部端部を検出する検出装置を備えたことを特徴とするものである。
【0009】上記構成によれば、照明手段により照明された白ねぎの反射光のうち、光学フィルタにより赤外線が吸収され、青色の光のみが透過され、白ねぎのぼけ部とその近傍が撮影され、この画像信号、すなわち青色の光の輝度データにより、白ねぎの白い部分の軟白部よりぼけ部に移るぼけ部端部が検出される。また請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明であって、撮像手段は、モノクロCCDカメラであることを特徴とするものである。
【0010】上記構成によれば、青色の光のみ検出すればよいことから、安価なモノクロCCDカメラを使用でき、カラー処理が不要となることから、処理スピードを向上でき、さらにコストを低減できる。また請求項4に記載の発明は、上記請求項2または請求項3に記載の発明であって、照明手段は、蛍光管と、この蛍光管の照明光を拡散する拡散板と、この拡散板の表面に貼り付けられた、350〜650nmの波長の光のみを透過するカラーフィルタから構成されていることを特徴とするものである。
【0011】上記構成によれば、蛍光管の照明光は拡散板により拡散され、カラーフィルタにより350〜650nmの波長の光のみ透過され、白ねぎに照射される。この光により白ねぎの各部(軟白部とぼけ部と葉部)の反射率に差が生じ、各部の輝度に差が生じ、画像処理による判定が容易に、確実になる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態における白ねぎのぼけ部検出方法を実施する測定装置の構成図である。図1において、1は外部の光を遮断する遮断材であり、この遮断材1に囲まれた空間2に被測定物の白ねぎ3が載置される。白ねぎ3は、図2に示すように、軟白部3Aとぼけ部3Bと葉部3Cから構成される。
【0013】また図1に示すように、前記空間2内には、白ねぎ3のぼけ部3Bの上方位置に、光学フィルタ4が配置され、この光学フィルタ4の上方位置に、光学フィルタ4によりフィルタリングされた白ねぎ3のぼけ部3Bおよびその近傍の画像を撮影するモノクロのCCDカメラ(撮像手段の一例)5が配置され、さらに白ねぎ3の中央位置の上方に、高周波点灯の蛍光管7が配置され、この蛍光管7のケースに蛍光管7の照明光を拡散する拡散板8が設けられている。
【0014】この拡散板8によって、蛍光管7により直接照明したときに白ねぎ3の光沢により発生するハレーションが防止されており、拡散照明を実現している。また、拡散板8の白ねぎ3に対向する位置に、350〜650nmの波長の光のみを透過するカラーフィルタ9が配置されている。このカラーフィルタ9の波長350〜650nmは、図3に示すように、複数箇所にて測定された軟白部3Aとぼけ部3Bと葉部3Cの各部における反射率が離れて異なり、CCDカメラ5により検出される各部の輝度に差が出るように選定されている。これにより、画像処理による各部の判定が容易になるようにしている。
【0015】照明手段は、蛍光管7と拡散板8とカラーフィルタ9より形成される。また上記光学フィルタ4として、可視光線を透過し、赤外線を吸収する赤外線吸収フィルタと、光の三原色のうち、青色の光のみ透過するブルーフィルタを重ねてものを使用している。これにより、ねぎ3の反射光以外の光の影響が防止され、ぼけ部3Bとその近傍の反射光の周波数領域の光が透過され、入力画像の画像処理を扱いやすいデータとしている。またこの光学フィルタ4の採用により、上記モノクロCCDカメラ5を使用することができ、カラー処理が不要となることから、システム構成が簡単となるとともに、オンライン計測では大事な要因である処理スピードを向上させることができ、さらにコストを低減できる。
【0016】また白ねぎ3は、照明光を吸収する下地10上に載置されており、白ねぎ3による反射光の輝度との差を最大としている。上記モノクロのCCDカメラ5により撮影された画像信号(輝度信号)は、コンピュータからなる検出装置11へ入力される。この検出装置11は、画像信号の画像処理を行い、白ねぎ3のぼけ部3Bの端部の検出を行う。この検出装置11の動作を図4に示す手順と図5の説明図に基づいて詳細に説明する。
ステップ−1順に入力された各画素の輝度データより輝度変化(0〜255)を求め、白ねぎ3を下地10(背景)より切り出す。図5に入力画像として示す。
ステップ−2切り出した各画素の濃度階調変換を行い、コントラストを改善する。図5に階調変換画像として示す。
ステップ−3階調変換が実行された輝度データより、所定のしきい値により軟白部3Aを抽出する(切り出す)。図5に正常果(軟白部)抽出画像として示す。
ステップ−4次に、抽出された軟白部3Aの輝度データを「黒」に、軟白部3Aに接するぼけ部3Bの輝度データを「白」に明度変換を行う。図5にぼけ部と軟白部境界抽出画像として示す。
ステップ−5この明度変換された輝度データに基づいて、ねぎ3の軟白部よりねぎ3の長さ方向へスキャン(図5に縦線で示す)し、「黒」のデータから「白」のデータが検出された位置、すなわちぼけ部3Bの端部(終端)を検出する。図5にぼけ部終端抽出画像として示す。
ステップ−6次に、ぼけ部3Bの終端位置より、軟白部3Aの長さL(図1)を求める。
ステップ−7軟白部3Aの長さLよりねぎ3の等級を判定し、その判定信号(等級)を出力する。
【0017】白ねぎはこの判定信号(等級)に基づいて選別され、等級毎にまとめて出荷される。上記手順により、ぼけ部3Bとその近傍の輝度データから、常に同一のしきい値によりぼけ部3Bの端部が定量的に検出される。よって、選別過程で等級選別に大きく係る軟白部3Aの長さLを自動で定量的に検出することができ、人間の主観に依存することなく、均一な白ねぎ3の等級の判定が可能となり、白ねぎ3の品質を安定して均一に維持することができる。また高速選別が可能となる。
【0018】なお、本実施の形態では、光学フィルタ4に赤外線吸収フィルタとブルーフィルタを使用しているが、ブルーフィルタに代わって、グリーンフィルタを使用することもできる。このとき、緑の光のみが透過され、CCDカメラ5により撮影される。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、白ねぎの軟白部の長さが定量的に検出され、人間の主観に依存することなく、均一な白ねぎの等級の判定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における白ねぎのぼけ部検出方法を実施する測定装置の構成図である。
【図2】白ねぎの各部の説明図である。
【図3】白ねぎの各部の光波長と分光反射率の特性図である。
【図4】白ねぎのぼけ部検出方法の手順を説明するフローチャートである。
【図5】白ねぎのぼけ部検出方法の説明図である。
【符号の説明】
1 遮断材
2 空間
3 白ねぎ
4 カラーフィルタ
5 CCDカメラ
7 蛍光管
8 拡散板
9 光学フィルタ
10 下地
11 検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 白ねぎの白い部分から緑の部分へ移るぼけ部およびその近傍の輝度を求め、この求めたぼけ部およびその近傍の輝度データの濃度階調変換を行い、濃度階調変換が実行された輝度データより所定のしきい値により白ねぎの白い部分の軟白部を抽出し、次に抽出された軟白部の輝度データと、軟白部に接する部分の輝度データの明度変換を行い、この明度変換された輝度データに基づいて、ねぎの軟白部よりねぎの長さ方向へスキャンし、ねぎの軟白部の輝度データからはじめて軟白部に接する部分の輝度データが検出された位置をぼけ部の端部として検出することを特徴とする白ねぎのぼけ部検出方法。
【請求項2】 白ねぎを照明する照明手段と、赤外線を吸収する赤外線吸収フィルタおよび青色の光のみ透過するブルーフィルタを重ねて形成され、白ねぎの白い部分から緑の部分へ移るぼけ部の上方位置に配置された光学フィルタと、前記照明手段により照明された白ねぎの反射光を前記光学フィルタを介して入力し、白ねぎのぼけ部およびその近傍を撮影する撮像手段と、前記撮像手段の画像信号により、白ねぎの白い部分の軟白部より前記ぼけ部に移るぼけ部端部を検出する検出装置を備えたことを特徴とする白ねぎのぼけ部検出装置。
【請求項3】 撮像手段は、モノクロCCDカメラであることを特徴とする請求項2に記載の白ねぎのぼけ部検出装置。
【請求項4】 照明手段は、蛍光管と、この蛍光管の照明光を拡散する拡散板と、この拡散板の表面に貼り付けられた、350〜650nmの波長の光のみを透過するカラーフィルタから構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の白ねぎのぼけ部検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−308479(P2000−308479A)
【公開日】平成12年11月7日(2000.11.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−118863
【出願日】平成11年4月27日(1999.4.27)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】