説明

皮脂抑制剤

【課題】皮膚の皮脂腺からの過度な皮脂の分泌を抑制し、フケの増加、脱毛、皮膚炎、又はニキビなどの治療又は予防に有効な、皮脂分泌の高い抑制効果を有する皮脂抑制剤を提供する。
【解決手段】本発明の皮脂抑制剤は、植物体からの糖分、低分子脂質、及びワックス成分を除いた加水分解処理生成物、前記加水分解処理生成物を塩変換処理した塩、エステル化処理したエステル、又はアミド化処理したアミドを含むことができる。また、本発明の皮脂抑制剤は、有効成分としてトリヒドロキシ脂肪酸、又はトリヒドロキシ脂肪酸の塩、エステル、若しくはアミドを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮脂抑制剤に関する。本発明の皮脂抑制剤は、皮脂腺からの過度の皮脂の分泌を抑制し、フケの増加又はニキビなどの予防又は治療に有効である。
【背景技術】
【0002】
皮膚や頭皮の皮脂腺から分泌される皮脂は、皮膚や毛髪の保護のために重要であり、更に水分の損失を防ぐ役割も果たしている。しかし、皮脂腺の活動が過度となると、フケの増加、脱毛、皮膚炎、又はニキビなどの原因となる。このため、従来より石鹸等による洗浄によって皮脂を除去することが行われているが、この効果は一時的なものであるので、持続的な効果を得るため、皮脂合成抑制効果を有する化合物が研究されている。そして、例えば、モノヒドロキシカルボン酸又はジヒドロキシカルボン酸などの化合物を含む皮脂抑制剤が効果を有するものとして報告されている(特許文献1)。
【0003】
この他に、皮脂の分泌の抑制効果を持つものとして、雷公藤、キク科マリアアザミ属植物、又はパン酵母からの抽出物が、報告されている(特許文献2、特許文献3、及び特許文献4)。
【0004】
しかしながら、報告されている皮脂抑制剤の効果は未だ満足できる程度のものではなく、更に効果の優れた皮脂抑制剤が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開平8−48625号公報
【特許文献2】特開2005−187422公報
【特許文献3】特開2000−169332号公報
【特許文献4】特開平8−188517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、従来の皮脂抑制剤の有効成分よりも、より効果の優れた皮脂抑制剤の有効成分について鋭意研究をしたところ、驚くべきことに、植物体よりクチンやスベリンを多く含む画分を抽出し、この画分を加水分解して得られる生成物(以下、加水分解処理生成物と称す)に皮脂分泌抑制活性があることを見出した。本発明者らは、更に、前記加水分解処理生成物を塩変換処理して得られる生成物(以下、塩変換処理生成物と称す)、エステル化処理して得られる生成物(以下、エステル化処理生成物と称す)、又はアミド化処理して得られる生成物(以下、アミド化処理生成物と称す)にも同様の皮脂合成抑制活性があることを見出した。
【0007】
更に、本発明者らは、前記加水分解処理生成物には、
一般式(I):
HO−CH−R−COOH (I)
(式中、Rは2個の水酸基で置換された直鎖又は分岐鎖の炭素原子数10〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基である)
で表される化合物が含まれており、この化合物単独でも、皮脂合成抑制活性があることを見出した。またこの化合物の塩、エステル、又はアミドにも同様の皮脂分泌抑制活性があることを見出した。
本発明は、このような知見に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、
(1)植物体から水溶性画分を除去して水不溶性画分を得、前記水不溶性画分から極性有機溶媒の可溶性画分を除去して極性有機溶媒の不溶性画分を得、前記極性有機溶媒の不溶性画分から非極性有機溶媒の可溶性画分を除去して非極性有機溶媒の不溶性画分を得、前記非極性有機溶媒の不溶性画分を加水分解処理して得られた加水分解処理生成物、
(2)前記加水分解処理生成物の塩、
(3)前記加水分解処理生成物のエステル、又は
(4)前記加水分解処理生成物のアミド、
少なくとも1種以上を有効成分として含有することを特徴とする、皮脂抑制剤に関する。
本発明の皮脂抑制剤の好ましい態様においては、前記極性有機溶媒が、炭素原子数1〜6のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素化合物/低級アルコール混合物であり、特には、クロロホルム/メタノールである。
本発明の皮脂抑制剤の別の好ましい態様においては、前記非極性有機溶媒が、炭素原子数1〜10の飽和脂肪族炭化水素化合物又はエーテルであり、特にはヘプタンである。
本発明の皮脂抑制剤の更に別の好ましい態様においては、前記植物体がブドウ果実、サトウキビ又はピーマンである。
本発明の皮脂抑制剤の別の好ましい態様においては、前記植物体が、植物体由来の産業廃棄物である。
【0009】
また、本発明は、一般式(I):
HO−CH−R−COOH (I)
(式中、Rは、水酸基2つで置換された直鎖又は分岐鎖の炭素原子数10〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基である)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸、前記トリヒドロキシ脂肪酸の塩、前記トリヒドロキシ脂肪酸のエステル、又は前記トリヒドロキシ脂肪酸のアミド、の少なくとも一種を有効成分として含有することを特徴とする、皮脂抑制剤にも関する。
本発明の皮脂抑制剤の好ましい態様においては、前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸が、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸又は9,10,18−トリヒドロキシオクタデセン酸である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮脂抑制剤の有効成分である、前記の加水分解処理生成物若しくはその誘導体(例えば、塩、エステル、又はアミド)、又は前記一般式(I)で表される化合物若しくはその誘導体(例えば、塩、エステル、又はアミド)は、従来の皮脂抑制剤に含まれる有効成分と比較して、高い皮脂合成阻害活性を有している。そのため、本発明の皮脂抑制剤は、皮膚に対して皮脂分泌の抑制効果を有し、フケの増加、脱毛、皮膚炎、又はニキビなどの予防又は治療に有効である。また、本発明の皮脂抑制剤は、従来の皮脂抑制剤と比較して、皮膚に対して低刺激性であり、良好な使用感を有している。更に、本発明の皮脂抑制剤の有効成分は、ブドウ果実からブドウ果汁を搾取した残渣及び/又はサトウキビから糖汁を搾取した残渣などの、従来廃棄されていた植物由来の産業廃棄物から製造することができるため、産業廃棄物の有効利用の点で優れており、製造コストの点でも有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の皮脂抑制剤は、有効成分として植物体からの抽出画分の加水分解処理生成物を含むことができる。また、本発明の皮脂抑制剤は、有効成分として前記加水分解処理生成物を、塩変換処理した塩、エステル化処理したエステル、又はアミド化処理したアミドを含むことができる。また、本発明の皮脂抑制剤は、有効成分としてトリヒドロキシ脂肪酸、トリヒドロキシ脂肪酸の塩、トリヒドロキシ脂肪酸のエステル、又はトリヒドロキシ脂肪酸のアミドを含むことができる。
【0012】
前記の加水分解処理生成物を得るため、まず植物体から脂肪酸のポリエステル重合体であるクチン及びスベリンを多く含む画分を抽出する。抽出方法は、特に限定されるものではなく任意の公知の方法を使用可能であり、例えば、植物体から、糖分、低分子脂質、及びワックス成分を除くことによって、クチン及びスベリンを多く含む画分を抽出することができる。
【0013】
本発明の皮脂抑制剤の有効成分を得るための植物体は、特に限定されるものではないが、クチンやスベリンを多く含むものが望ましい。クチンは、植物組織の表皮細胞を覆うように植物体に存在する脂肪酸のポリエステル重合体であり、スベリンは植物体の表皮細胞内に存在する脂肪酸のポリエステル重合体である。クチン及びスベリンを多く含む植物としては、例えば、ピーマン、ブドウ、又はサトウキビなどを挙げることができる。特に、ブドウ果実からブドウ果汁を搾取した残渣や、サトウキビから糖汁を搾取した残渣は、従来、産業廃棄物として廃棄されており、利用価値がなかった。しかし、このような植物体の水分を回収した残渣には、植物組織の表皮細胞や表皮細胞付近に存在しているクチンやスベリンが多く含まれている。これらの残渣は、本発明の皮脂抑制剤の有効成分を得るための出発材料として、有効利用することが可能である。
【0014】
クチン及びスベリンを多く含む画分を抽出する方法としては、任意の公知の方法を用いることができる。植物体から、糖分、低分子脂質及びワックス成分を除くことにより、脂肪酸のポリエステル重合体であるクチン及びスベリンを多く含む抽出画分を得ることができる。植物体から糖分を除く方法も公知の方法を使用することができ、植物体から水溶性成分を除くことにより、糖分を除くことができる。また、低分子脂質を分離する方法も、公知の方法が使用可能であり、低分子脂質を溶解し、脂肪酸のポリエステル重合体を可溶化しない溶媒で、抽出することにより、低分子脂質を除くことができる。更に、ワックス成分を分離する方法も公知の方法を使用することができ、ワックス成分を可溶化し、脂肪酸のポリエステル重合体を可溶化しない溶媒で抽出することにより、分離可能である。また、糖分、低分子脂質及びワックス成分を除く順序も、それぞれの成分を充分に分離することができるかぎり、限定されないが、好ましくは、糖分、低分子脂質及びワックス成分の順に分離するのが望ましい。
【0015】
出発材料としての植物体の形状は特に限定されず、水分を含んだままでも、乾燥した状態でもよい。また、細かく破砕されたものでも、破砕されていないものでも構わないが、糖分、低分子脂質及びワックスの各成分を効率よく抽出するためには、細かく破砕されたものから抽出する方が好ましい。
【0016】
次に、前記加水分解処理生成物を得るために、植物体から糖分、低分子脂質及びワックスを除く為の具体的態様を、ソクスレー抽出器を用いた方法を例として説明する。例えば、まず植物体を乾燥させ、ミキサーなどを用いて、粉砕する。ソクスレー抽出器を用い、粉砕物を水で還流し、残留した残渣である水不溶性画分Aを得る。次にこの水不溶性画分Aを極性有機溶媒[好ましくは炭素原子数1〜6のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素化合物/低級アルコール混合物、例えば、クロロホルム:メチルアルコール混合物(特に2:1混合物)などがよい]で還流し、残留した残渣である極性有機溶媒不溶性画分Bを取得する。次にこの極性有機溶媒不溶性画分Bを、非極性有機溶媒(好ましくは、炭素原子数1〜6の飽和脂肪族炭化水素化合物又はエーテル、例えば、へプタン)で還流し、残留した残渣である非極性有機溶媒不溶性画分Cを取得する。
【0017】
前記の炭素原子数1〜6のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素化合物としては、クロロホルム等を例示することができる。また前記低級アルコールとしては、メチルアルコール、又はエチルアルコール等を例示することができる。この炭素原子数1〜6のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素化合物/低級アルコール混合物の混合比は、低分子脂質が溶解される混合比であれば、特に限定されないが、好ましくは1:0.1〜1:1、より好ましくは、1:0.2〜1:0.8、もっとも好ましくは、1:0.4〜1:0.6である。さらに前記炭素原子数1〜6の飽和脂肪族炭化水素化合物としては、ペンタン、ヘキサン、へプタン、又はオクタン等を例示することができる。還流は常温で行なうが、10〜60℃で行なうこともできる。また抽出法は、ソクスレー抽出器を用いる方法に限定されず、各溶媒の可溶性画分と不溶性画分(残渣)を分離することができる方法、例えば、遠心、又は濾過等を用いる方法も可能である。
【0018】
植物体から得られた前記の非極性有機溶媒不溶性画分Cを、加水分解することによって、本発明の皮脂抑制剤の有効成分をとして用いる加水分解処理生成物を得ることができる。加水分解は、酸やアルカリを触媒として加えることによって促進されるが、例えば10%(w/v)KOH/95%(v/v)メチルアルコール中で加水分解することにより、加水分解処理生成物を得ることができる。好ましくは、更に、得られた加水分解処理生成物を、例えば、塩酸などで酸性(好ましくはpH3以下)とした後に、前記の非極性有機溶媒で処理して可溶性画分を除去するとよい。
【0019】
前記の加水分解処理生成物は、
一般式(I):
HO−CH−R−COOH (I)
(式中、Rは水酸基2つで置換された直鎖又は分岐鎖の炭素原子数10〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基である)
で表されるトリヒドロキシ脂肪酸を主要成分として含んでおり、このトリヒドロキシ脂肪酸は、それ単独で、本発明の皮脂抑制剤の有効成分として用いることもできる。
【0020】
このようなトリヒドロキシ脂肪酸としては、前記一般式(I)で表されたトリヒドロキシ脂肪酸であれば、特に限定されるものではないが、Rが、2個の水酸基で置換された炭素原子数14〜18の飽和若しくは不飽和の直鎖炭化水素基である、トリヒドロキシ脂肪酸であることが好ましい。不飽和炭化水素基は、二重結合1〜4つをもつことが好ましく、具体的には例えば、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸、又は9,10,18−トリヒドロキシオクタデセン酸などをより好ましいものとして例示することができる。
【0021】
さらに、前記の加水分解処理生成物の塩、エステル、又はアミドなどの誘導体も、本発明の皮脂抑制剤の有効成分として利用することができる。前記の加水分解処理生成物の塩は、遊離酸をその相当する塩に変換することのできる反応によって得ることができる。この変換反応は、例えば、加水分解処理生成物中の酸に塩基としてNaOHを加えればよい。また前記の加水分解処理生成物をエステル化処理する方法としては、酸とアルコール又はフェノールから、脱水して、エステルを生成する方法であれば、限定されず、生成されたエステルも特に限定されるものではないが、例えば、前記の加水分解処理生成物中の酸にアルコールとして、メタノールを加え、加熱することによって生成される。加熱は、エステルが生成される温度であれば、特に限定されない。更に、前記の加水分解処理生成物をアミド化処理する方法としては、酸基をアミノ基と反応させてアミドを生成する方法であれば特に限定されず、生成されたアミドも限定されない。例えば、前記の加水分解処理生成物中の酸に、アミノ基(−NH)をもつ第一アミン、例えば、ジエタノールアミンを加え、加熱することにより生成することができる。加熱は、アミドが生成される温度であれば、特に限定されない。
【0022】
さらに、前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸を、塩変換処理、エステル化処理、又はアミド化処理して得られた塩、エステル、又はアミドもまた本発明の皮脂抑制剤の有効成分である。
【0023】
また、前記加水分解処理生成物を塩に変換するための塩基としては、ナトリウム塩基、又はカリウム塩基などのアルカリ金属塩基、カルシウム塩基、又はマグネシウム塩基などのアルカリ土類金属塩基、アンモニウム塩基、トリメチルアミン塩基、又はトリエチルアミン塩基などのアルキルアミン塩基、トリメタノールアミン塩基、トリエタノールアミン塩基、又はトリイソプロパノールアミン塩基などのアルカノールアミン塩基、リジン塩基、又はアルギニン塩基などのアミノ酸塩基、グアニジン塩基、又はグルコサミン塩基などの糖アミン塩基、などを例示することができる。
また、前記一般式(I)で表されたトリヒドロキシ脂肪酸を塩に変換するための塩基としては、前記の塩基を使用することができる。
【0024】
また、前記加水分解処理生成物をエステル化するためのアルコール又はフェノールとしては、メチルアルコール、又はエチルアルコールなどのアルキル基を持つアルコール、ベンゼンなどのアリール基を持つ炭化水素、グリセリン、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコールなどの多価アルコールなどを例示することができる。
また、前記一般式(I)で表されたトリヒドロキシ脂肪酸をエステル化するためのアルコール又はフェノールとして、前記のアルキル基をもつアルコール、アリール基をもつ炭化水素、又は多価アルコールを例示することができる。
【0025】
また、前記加水分解処理生成物をアミド化処理するための化合物としては、アンモニア、アルキル基をもつアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、又はプロピルアミン、ヒドロキシ基もつアミン、例えば、モノエタノールアミン、又はジエタノールアミン、アミノ酸、例えば、グリシン、又はフェニルアラニンなどを例示することができる。
また、前記一般式(I)で表されたトリヒドロキシ脂肪酸をアミド化するための化合物としても前記の化合物を例示することができる。
【0026】
前記の一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸の製造方法は何ら限定されるものではなく、例えば植物体から抽出した粗精製の非極性有機溶媒不溶性画分Cを加水分解して粗精製物を得るような製造方法でもよい。また、精製度の高いトリヒドロキシ脂肪酸を得るために、化学合成でもよい。また、一般式(I)のトリヒドロキシ脂肪酸の塩、エステル、又はアミドから選ばれる化合物の製造方法も、何ら限定されるものではなく、前記の精製度の低い植物体の加水分解処理生成物から製造しても構わないし、化学合成で得られた精製度の高いトリヒドロキシ脂肪酸から、製造しても構わない。しかし好ましくは、植物体のクチン及び/又はスベリン由来の非極性有機溶媒不溶性画分Cから製造されたトリヒドロキシ脂肪酸や、その誘導物を用いることが、皮膚又は頭皮に対する安全性の点からは好ましい。
【0027】
植物体からの前記非極性有機溶媒不溶性画分Cを加水分解して得られた、加水分解処理生成物、又はこの加水分解処理生成物の塩、エステル、若しくはアミドについて、皮脂合成に関わる酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼの阻害活性を調べた後、モニター試験による効果の確認試験を行なった。前記生成物及びその誘導体の全てで、高い皮脂合成阻害効果が確認された。この効果は、従来、皮脂合成抑制活性があると報告されていたモノヒドロキシ脂肪酸と比較しても、非常に高いものであった。また、この加水分解処理生成物に含まれる主要な化合物である9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸、又は9,10,18−トリヒドロキシオクタデセン酸にも、それら単独で、皮脂合成阻害効果が確認された。
【0028】
本発明の皮脂抑制剤は、前記の有効成分以外に、担体などとして、本発明の効果を阻害しない範囲内で、所望により他の成分を配合することができる。他の成分としては、従来より、医薬品、又は化粧品等の担体及び添加剤として使用可能であることが知られているものを用いることができる。例えば、界面活性剤、油分、保湿剤、清涼剤、酸化防止剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調整剤、色素、香料、抗炎症剤、角解剤、抗菌剤、又は殺菌剤などを挙げることができる。これらの成分はそれぞれ一種を用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0029】
また、本発明の皮脂抑制剤の剤型は、皮膚に適用できる剤型であり、例えば、化粧料、パック、皮膚外用剤、ニキビ治療剤、ニキビ予防剤、シャンプー、ヘアートニック、育毛料、又は養毛料等であることができる。
【0030】
本発明の皮脂抑制剤においては、前記植物体からの抽出分画の加水分解処理生成物、その塩、エステル、若しくはアミドの少なくとも1種、又はトリヒドロキシ脂肪酸、その塩、エステル、若しくはアミドの少なくとも1種を有効成分として皮脂抑制剤に含有させればよい。前記有効成分の含有量は特に限定されるものではなく、皮脂分泌を抑制することのできることのできる有効量を使用すればよいが、皮膚若しくは頭皮に適用される時点の割合として前記一般式(I)のトリヒドロキシ脂肪酸の含有量として、好ましくは、概ね0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%であればよい。この含有量が0.05質量%未満では皮脂分泌抑制剤の皮脂抑制効果が乏しくなる傾向にあり、逆に、20質量%を超えて配合しても効果の増加は実質上望めないし、皮脂分泌抑制剤への配合も難しくなる傾向にある。
また、前記の有効成分は、本発明の皮脂抑制剤に1種で含まれていてもよいし、2種以上の混合物として含まれてもよい。
【0031】
前記の生成物若しくは化合物又はそれらの誘導体を有効成分として含んだ本願発明の皮脂抑制剤を乳液として調製した。この乳液を実際に使用し、肌に対する使用感を検査した。その結果、従来の皮脂抑制効果のある化合物として報告されているモノヒドロキシ脂肪酸を含んだ乳液と比較すると、肌に対する刺激感などがなく、非常に良好な使用感が得られることがわかった。
【0032】
前記植物体からのクチン・スベリン抽出画分の加水分解処理生成物、又はその塩、エステル、又はアミドを有効成分として本発明の皮脂抑制剤に含ませる場合、前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸以外のヒドロキシ脂肪酸(例えば、ジヒドロキシ脂肪酸、又はモノヒドロキシ脂肪酸)や、その他の脂肪酸などが含有されることになるが、前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸が、前記の含有量で含まれていれば、それ以外の脂肪酸を含有していても差し支えない。勿論、抽出分画由来の生成物を精製してトリヒドロキシ脂肪酸を精製し、その精製物として使用してよいことは言うまでもない。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0034】
《調製例1》
ブドウ果実からブドウ果汁を搾取した後の残渣を乾燥した後、ミキサーで粉砕した。得られた粉末100gをステンレススチール容器に入れ、水1Lを加えて2時間煮沸した。濾別して得られた水抽出残渣をソクスレー抽出器の抽出管に挿入し、クロロホルム:メタノール(2:1)1Lで20時間、還流下で抽出処理を行なった。次いで、抽出溶媒をヘプタンに代えて、同様にソクスレー抽出処理を行なった。抽出管に残留したヘプタン抽出残渣約65gを取り出した。
水、クロロホルム:メタノール(2:1)、及びヘプタンによる前記の抽出処理により、それぞれ糖分、低分子脂質及びワックス成分を取り除いた。前記へプタン抽出残渣60gに10%(w/v)KOH/95%(v/v)メタノール200mLを加え、24時間還流して、加水分解(ケン化分解)処理を行なった。この処理液を濾別して、得られた濾液に塩酸を加えて酸性とした後、ジメチルエーテル抽出を行ない、エーテル可溶分を除去した。滅圧下にて、溶媒を留去して、加水分解処理生成物16gを得た。
【0035】
得られた加水分解処理生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。その結果、加水分解処理生成物は、9,10,18−トリヒドロキシオクタデセン酸を42質量%、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸を15質量%、及び10,18−ジヒドロキシオクタデカン酸を11質量%の量含んでいた。前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸含量は57質量%であった。この加水分解処理生成物を加水分解処理生成物Aとした。
【0036】
《調製例2》
サトウキビから糖汁を搾取した後の残渣を乾燥した後、この乾燥粉末200gを前記調製例1と同様に、水抽出、クロロホルム:メタノール(2:1)を抽出溶媒としたソクスレー抽出、及びへプタンを溶媒としたソクスレー抽出を順次行い、へプタン抽出残渣約110gを取り出した。前記へプタン抽出残渣55gに10%(w/v)KOH/95%(v/v)メタノール200mLを加え、24時間還流して、加水分解(ケン化分解)処理を行なった。この処理液を濾別して、得られた濾液に塩酸を加えて酸性とした後、ジメチルエーテル抽出を行ない、エーテル可溶分を除去した。滅圧下にて、溶媒を留去して、加水分解処理生成物4gを得た。
【0037】
得られた生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。その結果、加水分解生成物は、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸を20質量%、18−ヒドロキシオクタデセン酸を19質量%、及び9,15−ジヒドロキシオクタデセン酸を16質量%の量で、含んでいた。前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸含量は20質量%であった。この加水分解処理生成物を加水分解処理生成物Bとした。
【0038】
《調製例3》
前記調製例2で得られた前記加水分解処理生成物Bを、水酸化ナトリウムを用いて中和してナトリウム塩とする処理を行なった。具体的には、加水分解処理生成物Bの50gをエタノール200mLに溶解し、10%水酸化ナトリウム溶液60mLを加え、中和した後、滅圧下にて、溶媒を留去した。この処理により、前記加水分解処理生成物Bの塩変換処理生成物53gを得た。この生成物を塩変換処理生成物Cとした。
【0039】
《調製例4》
前記調製例2で得られた前記加水分解処理生成物Bの100gをプロピレングリコール200g、水酸化ナトリウム0.4gと混合し、40mmHgの滅圧下にて、170℃に加熱して反応させ、プロピレングリコールによる脂肪酸エステル化処理生成物108gを得た。この生成物をエステル化処理生成物Dとした。
【0040】
《調整例5》
前記調整例2で得られた前記加水分解処理生成物Bの160gをジエタノールアミン100g、水酸化ナトリウム0.6gと混合、40mmHgの滅圧下にて、140℃に加熱して反応させ、ジエタノールアミンによる脂肪酸アミド化処理生成物248gを得た。この生成物をアミド化処理生成物Eとした。
【0041】
《調製例6》
ピーマンの外皮を乾燥した後、この乾燥粉末50gを前記調製例1と同様に、水抽出、クロロホルム:メタノール(2:1)を抽出溶媒としたソクスレー抽出、及びへプタンを溶媒としたソクスレー抽出を順次行い、へプタン抽出残渣約32gを取り出した。前記へプタン抽出残渣55gに10%(w/v)KOH/95%(v/v)メタノール200mLを加え、24時間還流して、加水分解(ケン化分解)処理を行なった。この処理液を濾別して、得られた濾液に塩酸を加えて酸性とした後、ジメチルエーテル抽出を行ない、エーテル可溶分を除去した。滅圧下にて、溶媒を留去して、加水分解処理生成物6gを得た。
【0042】
得られた生成物をガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。その結果、加水分解生成物は、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸を13質量%、9,10,18−トリヒドロキシオクタデセン酸を10質量%、及び10,16−ジヒドロキシオクタデセン酸を75質量%の量で、含んでいた。前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸含量は23質量%であった。この生成物を加水分解処理生成物Fとした。
【0043】
《薬理試験例:皮脂合成阻害試験》
前記の調製例1〜6で得られた各生成物、及び比較用として、モノヒドロキシ脂肪酸(11−ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム)を用いて皮脂合成阻害能を評価した。
皮脂合成阻害能は、Tanabeらの報告〔Methods in Enzymology,71,5(1981)〕に従い、皮脂合成に関わる酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼの阻害活性から求めた。測定方法は以下の通りである。
【0044】
[1]アセチルCoAカルボキシラーゼ溶液の調製
(1)粗酵素溶液の調製
体重250〜300gの雄ラットを48時間断食させた後、給餌〔56%グルコース、22%ビタミンフリー・カゼイン、6%ミネラル(AIN−93G)、4%ビタミン(AIN−93−VX)、12%セルロース〕を48時間与えた。このラットを断頭し、肝臓を摘出し、肝臓重量の2.5倍量の0.25Mショ糖溶液を加え、氷冷下、ホモジナイザーにて破砕した。更に遠心分離(100,000×g)して得られた上清を粗酵素溶液とした。
【0045】
(2)硫安沈殿(1回目)
前記(1)で得られた粗酵素溶液に、30%飽和となるように固体硫酸アンモニウム(硫安)を加えた後、生成した沈殿を遠心分離により集め、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)300mLに溶解した。以下、特に断らない限り、リン酸緩衝液として5mMの2−メルカプトエタノール及び1mMのEDTAを含むものを用いた。
【0046】
(3)カルシウム−リン酸ゲル分画及び硫安沈殿(2回目)
前記(2)で得られた溶液をリン酸カルシウムゲル懸濁液170mLに攪拌しながら加え、そのまま20分間攪拌後、遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿部に33mMリン酸緩衝液(pH7.5)を加え、沈殿物の洗浄を3回繰り返した。次いで、沈殿に0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)120mLを加え、タンパク質(酵素)を溶出した。この操作を2回繰り返した後、溶液に対して、前記(2)と同様に硫安沈殿を行い、得られた沈殿物を10mMリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解した。
【0047】
(4)DEAE−セルロースカラムクロマトグラフィー
前記(3)で得られた溶液を、10mMリン酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したDEAE−セルロース(DEAE−sephacel、アマシャム社)カラムに流した。10mMリン酸緩衝液でカラムを洗浄した後、リン酸濃度を10mM〜50mMの間で塩勾配をかけたグラジエント溶出を行った。塩濃度が約150mMになったときの溶出液を集め、飽和硫安溶液を溶出液の0.67倍量加えた後、生成した沈殿を遠心分離により集めた。
【0048】
(5)セファロース2Bカラムクロマトグラフィー
前記(4)で得られた沈殿を、10mMクエン酸カリウム及び0.25Mショ糖を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に溶解した。同緩衝液で平衡化したセファロース2Bカラムに、得られた溶液を流し、同緩衝液で溶出を行った。溶出液を、0.25Mショ糖及び50%飽和で平衡となるような量の硫安を加えた0.1Mリン酸緩衝液にて透析した。生成した沈殿を遠心分離により集めた後、0.25Mショ糖を含む0.1Mリン酸緩衝液に溶解し、これを酵素溶液とした。
【0049】
[2]試料溶液の調製
前記加水分解処理生成物Aを、エタノールに、前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸の濃度として、1.05M濃度となるように溶解した。同様に前記加水分解処理生成物B、及びCについても、前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸の濃度として、1.05M濃度となるように、エタノールに溶解した。前記塩変換処理生成物C、エステル化処理生成物D、及びアミド化処理生成物Eについては、それぞれの処理を行なう前の、前記加水分解処理生成物Bの前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸の濃度として1.05M濃度となるように、エタノールに溶解した。
【0050】
[3]アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害活性の測定
50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に、10mM塩化マグネシウム、3.75mMグルタチオン、0.75mg/mL牛血清アルブミン、0.125mMアセチルCoA、0.5mMホスホエノールピルビン酸カリウム、0.125mM NADH、15μg/mLピルビン酸キナーゼ、及び6μg/mL乳酸デヒドロゲナーゼを加え、更に前記工程[1]で調製した酵素溶液をアセチルCoAカルボキシラーゼを5mUとなるように加えた。こうして得られた溶液760μLを分光光度計用セルに移し、Triton−X100を4μLの量で、加えて溶解させた後、前記工程[2]で調製した試料溶液40μLを添加した。37℃で10分間インキュベートした後、150mM ATP 20μL、1M炭酸水素カリウム20μLを添加して反応を開始し、経時的に340nmの吸光度(NADHの酸化による吸光度の減少)を測定した。吸光度の変化量からアセチルCoAカルボキシラーゼ活性を求めた。酵素活性は1分間に1μmolのNADHが酸化される量を1Uとした。この際、試料溶液の代わりにエタノールを加えたものをブランクとし、また反応液中に前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸を50mM濃度の量で含む場合と比較して、下記一般式(2)によりアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害活性を求めた。
X(%)=100−(A/B)x100 (2)
前記一般式(2)のXは、酵素活性阻害率(%)であり、Aは試料存在下の酵素活性であり、及びBは試料非存在下の酵素活性である。
結果を表1に示す。
【表1】

【0051】
《実施例1》
前記の調製例1で得られた加水分解処理生成物Aを有効成分として用い、表2の配合で乳液を調製した。前記加水分解処理生成物Aは、一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸としての量として1質量%を加えた。
【0052】
【表2】

【0053】
《実施例2》
加水分解処理生成物Aに代えて、前記調製例2で得られた加水分解処理生成物Bを用いること以外は、前記実施例1と同様の操作を繰り返して、乳液を調製した。
【0054】
《実施例3》
加水分解処理生成物Aに代えて、前記調製例3で得られた塩変換処理生成物Cを用いること以外は、前記実施例1と同様の操作を繰り返して、乳液を調製した。
【0055】
《実施例4》
加水分解処理生成物Aに代えて、前記調製例4で得られたエステル化処理生成物Dを用いること以外は、前記実施例1と同様の操作を繰り返して、乳液を調製した。
【0056】
《実施例5》
加水分解処理生成物Aに代えて、前記調製例5で得られたアミド化処理生成物Eを用いること以外は、前記実施例1と同様の操作を繰り返して、乳液を調製した。
【0057】
《実施例6》
加水分解処理生成物Aに代えて、前記調製例6で得られた加水分解処理生成物Fを用いること以外は、前記実施例1と同様の操作を繰り返して、乳液を調製した。
【0058】
《比較例1》
加水分解処理生成物Aに代えて、11−ヒドロキシウンデカン酸ナトリウムを用いること以外は、前記実施例1と同様の操作を繰り返して、乳液を調製した。
【0059】
《使用感試験》
成人男女各10名のパネラーの額部に、前記の実施例1〜6及び比較例1で調製した乳液を塗布し、使用感を試験した。評価は、以下の3段階で行った。
良好な使用感:2点
やや不快な使用感:1点
不快な使用感:0点。
不快と感じる評価は、具体的には、「肌に刺激がある」、又は「肌が赤くなる」などの場合である。パネラー20人の合計点を表3に示す。
【0060】
【表3】

【0061】
前記実施例1〜6の乳液は、前記比較例1の乳液と比較して、刺激性が少なく、良好な使用感が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の皮脂抑制剤は、皮脂合成抑制効果を有し、皮脂腺の過度の活動を抑え、フケの増加、脱毛、皮膚炎、又はニキビなどの予防又は治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)植物体から水溶性画分を除去して水不溶性画分を得、前記水不溶性画分から極性有機溶媒の可溶性画分を除去して極性有機溶媒の不溶性画分を得、前記極性有機溶媒の不溶性画分から非極性有機溶媒の可溶性画分を除去して非極性有機溶媒の不溶性画分を得、前記非極性有機溶媒の不溶性画分を加水分解処理して得られた加水分解処理生成物、
(2)前記加水分解処理生成物の塩、
(3)前記加水分解処理生成物のエステル、又は
(4)前記加水分解処理生成物のアミド、
少なくとも1種以上を有効成分として含有することを特徴とする、皮脂抑制剤。
【請求項2】
前記極性有機溶媒が、炭素原子数1〜6のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素化合物/低級アルコール混合物である請求項1に記載の皮脂抑制剤。
【請求項3】
前記極性有機溶媒物が、クロロホルム/メタノール混合物である請求項2に記載の皮脂抑制剤。
【請求項4】
前記非極性有機溶媒が、炭素原子数1〜10の飽和脂肪族炭化水素化合物又はエーテルである請求項1〜3のいずれか一項に記載の皮脂抑制剤。
【請求項5】
前記非極性有機溶媒がヘプタンである請求項4に記載の皮脂抑制剤。
【請求項6】
前記植物体がブドウ果実、サトウキビ又はピーマンである請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮脂抑制剤。
【請求項7】
前記植物体が、植物体由来の産業廃棄物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮脂抑制剤。
【請求項8】
一般式(I):
HO−CH−R−COOH (I)
(式中、Rは、水酸基2つで置換された直鎖又は分岐鎖の炭素原子数10〜20の飽和又は不飽和の炭化水素基である)
で表されるトリヒドロキシ脂肪酸、前記トリヒドロキシ脂肪酸の塩、前記トリヒドロキシ脂肪酸のエステル、又は前記トリヒドロキシ脂肪酸のアミド、の少なくとも一種を有効成分として含有することを特徴とする、皮脂抑制剤。
【請求項9】
前記一般式(I)で表されるトリヒドロキシ脂肪酸が、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸又は9,10,18−トリヒドロキシオクタデセン酸である、請求項8に記載の皮脂抑制剤。

【公開番号】特開2007−161630(P2007−161630A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358499(P2005−358499)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】