説明

皮膚外用剤、化粧料及び保湿剤

【課題】皮膚外用剤等に応用が可能な、優れた保湿作用を有する植物成分の提供。
【解決手段】ユリ科(Liliaceous)チシマゼキショウ属(Tofieldia)のチシマゼキショウ属イワショウブ(Tofieldia japonica)及び/又はその溶媒抽出物を含有する皮膚外用剤及び化粧料を提供する。また、イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物を有効成分として含有する保湿剤と、これを含有する皮膚外用剤と化粧料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤、化粧料及び保湿剤に関する。より詳しくは、チシマゼキショウ属イワショウブ(Tofieldia japonica)及び/又はその溶媒抽出物を含有する皮膚外用剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚角質層の水分量が、皮膚の健康維持や、外界からの様々な刺激に対する防御機能に密接に関係し、皮膚の潤いや、滑らかさなどの感触に大きな役割を果たしていることが知られている。この角質層の水分保持は、通常、天然保湿因子(NMF)と皮脂膜によってコントロールされている。しかしながら、角質層の水分保持機能は、外界からの刺激などで容易に低下する。このため、従来、保湿作用を有する成分を配合した皮膚外用剤や化粧料が用いられてきている。
【0003】
保湿作用を有する成分としては、上記NMF成分のほか、多価アルコールや天然高分子などが一般的に使用されている。さらに、植物からの抽出成分も、角質層の水分保持機能を補い、潤いのある肌づくりをし、肌の恒常性維持に有効なことから、皮膚外用剤に広く配合されている。このような植物成分としては、ユリアニア科植物(特許文献1参照)、イヌカラマツ(特許文献2参照)、ラン科植物(特許文献3参照)などが検討されている。
【0004】
「イワショウブ(Tofieldia japonica)」は、ユリ科(Liliaceous)チシマゼキショウ属(Tofieldia)の多年草であり、亜高山帯の湿原に生育する日本特産の植物である。草丈は20〜30cm程度で、葉はショウブのように表面を内側に折り畳んだ形になって剣状である。花は、8月から9月に咲き、花茎に小さな白い花が多数咲く。イワショウブは、寒冷な氷河期などに分布していた植物がその後の温暖化によっても生き残ったもので、氷河時代の遺存植物であるとされる。なお、古くから菖蒲湯に用いられている「ショウブ(Acorus calamus)」は、ショウブ科(Acoraceae)のショウブ属(Acorus)に属し、イワショウブとは全く異なる植物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−209223号公報
【特許文献2】特開2000−226323号公報
【特許文献3】特開2002−205933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
植物由来成分は、様々な薬理作用や美容効果を有することが知られ、これまでにも数多くの植物が皮膚外用剤や化粧料に幅広く応用されている。しかし、植物成分の中には未だその効果が知られていないものも数多く存在し、優れた保湿作用を有する成分の発見が期待されていた。本発明は、このような保湿作用を有する成分を見出すためになされたものであり、皮膚外用剤等に応用が可能な植物成分を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、保湿作用を有する新規植物成分の探求を行う中で、氷河時代の遺存植物であり、水の少ない環境下でも生育可能と考えられるイワショウブに着目し、イワショウブ抽出物が優れた保湿作用を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、チシマゼキショウ属イワショウブ(Tofieldia japonica)及び/又はその溶媒抽出物を含有する皮膚外用剤及び化粧料を提供する。
また、本発明は、イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物を有効成分として含有する保湿剤と、これを含有する皮膚外用剤と化粧料を提供する。
本発明に係る皮膚外用剤、化粧料及び保湿剤において、イワショウブの溶媒抽出物は、イワショウブのあらゆる部位から抽出することができるが、特に地上部より得られた抽出物を用いることが好ましい。なお、地上部とは根を含まない部分であり、具体的には、葉、茎、花、種子等が含まれるが、好ましくは葉、茎からの抽出により得られたエキスである。これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0009】
本発明において、「保湿」の用語は、角質水分量の測定(後述の実施例参照)によって確認できる効果のほか、皮膚の乾燥による肌荒れ、並びに皮膚の潤い感、つや及びはり等の低下などを予防あるいは改善する効果などを含めて最も広義に解釈されるものとする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、皮膚外用剤等に応用が可能な、優れた保湿作用を有する植物成分が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】角質水分量測定による保湿効果の評価結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
【0013】
1.イワショウブ及びその溶媒抽出物
本発明において、チシマゼキショウ属イワショウブ(Tofieldia japonica)は、生のままでも乾燥したものでも使用することができる。使用する部位は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、全草、あるいは種子、根茎、茎、葉、花などのあらゆる部位を選択し、適宜組み合わせて用いることができる。このうち、特に根を含まない部分である地上部が好適に用いられる。具体的には、地上部は、種子、葉、茎、花などであり、好ましくは葉、茎を用いる。各部位は、製剤時の取り扱い上の便宜のため、乾燥粉末や、好適には溶媒抽出物として用いられる。
【0014】
溶媒抽出物は、適当な溶媒を用いた常法の抽出方法によって調製することができる。例えば、全草、あるいは種子、根茎、茎、葉、花などの一箇所又は二箇所以上を、低温ないし加温下で溶媒中に所定の時間浸漬したり、加熱還流を行うことによって調製することができる。溶媒抽出物は、必要に応じてろ過を行い、さらに濃縮やイオン交換樹脂や液体クロマトグラフィー等による精製・分離、凍結乾燥を行ってもよい。
【0015】
溶媒には、通常、植物抽出に用いることができる溶媒を1種または2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、水、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭素類などを挙げることができる。アルコール類としては、エタノール、メタノール及びプロパノールなどが挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは水溶液として用いても良く、任意の2種または3種以上の混合溶媒用いた分配法も適宜採用され得る。
この中でも、本発明においては、親水性溶媒が好ましく、特に、水、エタノール、ブチレングリコールをそれぞれ単独、もしくはこれらを組み合わせて用いることが好ましい。
【0016】
溶媒抽出物は、液状、ペースト状、ゲル状等いずれの形態で用いることもできる。液状等の抽出物を、乾固させて固体状としたり、あるいは凍結乾燥やスプレードライ等により乾燥させて粉末として用いることもできる。
【0017】
このようにして得たイワショウブ及び/又はその溶媒抽出物は、優れた保湿作用を有し、安全性も高いため、角質層の水分保持機能を補い、潤いのある肌づくりをし、肌の恒常性を維持するために有効に用いられ得る。従って、イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物は、皮膚外用剤や化粧料に好適に配合され、保湿剤の有効成分として好適に用いられる。
【0018】
2.保湿剤
イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物を有効成分として保湿剤に配合する場合、保湿剤全量中に固形分として0.0001〜5.0質量%配合するのが好ましく、より好ましくは0.001〜3.0質量%、特に好ましくは0.01〜1.0質量%である。この範囲内であれば、成分を安定に配合して、優れた保湿作用を発揮させることができる。なお、溶液として抽出物を使用する場合は、溶質である固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出物溶液濃度は限定されない。
【0019】
保湿剤には、イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常使用される各種の成分、すなわち、水、アルコール、油剤、湿潤剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤動植物・微生物由来の抽出物、香料等を適宜添加することができる。
また、この保湿剤は、有効成分が天然由来成分であるため、他の各種薬効成分との併用を注意する必要性が低い。そのため、保湿剤には、必要に応じて他の薬効成分を自由に配合することができる。
【0020】
3.皮膚外用剤
イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物、あるいは上記保湿剤を皮膚外用剤に配合する場合、皮膚外用剤全量中に固形分として0.00001〜5.0質量%配合するのが好ましく、より好ましくは0.0001〜3.0質量%、特に好ましくは0.001〜1.0質量%である。この範囲内であれば、成分を安定に配合して、優れた保湿作用を発揮させることができる。なお、溶液として抽出物を使用する場合は、溶質である固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出物溶液濃度は限定されない。
【0021】
皮膚外用剤には、イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物、あるいは上記保湿剤に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常使用される各種の成分、すなわち、水、アルコール、油剤、湿潤剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、各種薬効剤、動植物・微生物由来の抽出物、香料等を適宜添加することができる。
【0022】
本発明に係る皮膚外用剤は、あらゆる剤型の外用剤に適用することができる。例えば、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、スプレー剤、点鼻液剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤、浴用剤などの外用剤に適用することができる。
【0023】
4.化粧料
イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物、あるいは上記保湿剤を化粧料に配合する場合、化粧料全量中に固形分として0.00001〜5.0質量%配合するのが好ましく、より好ましくは0.0001〜3.0質量%、特に好ましくは0.001〜1.0質量%である。この範囲内であれば、成分を安定に配合して、優れた保湿作用を発揮させることができる。なお、溶液として抽出物を使用する場合は、溶質である固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出物溶液濃度は限定されない。
【0024】
化粧料には、イワショウブ及び/又はその溶媒抽出物、あるいは上記保湿剤に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常使用される各種の成分、すなわち、基剤、保存剤、乳化剤、着色剤、防腐剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、紫外線吸収剤、香料、防腐防黴剤、体質顔料、着色顔料、アルコール、多価アルコール、水、油剤、増粘剤、粉体、キレート剤、酵素、pH調整剤等を適宜添加することができる。
【0025】
本発明に係る化粧料は、あらゆる形態の化粧料に適用することができる。例えば、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディクリーム、洗顔料等のスキンケア化粧料、シャンプー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリング剤、養毛剤、育毛剤等の頭髪化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、化粧用下地化粧料、白粉、コンシーラー、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー等のメーキャップ化粧料、日焼け止め料などに適用することができる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0027】
[製造例1:イワショウブ抽出物の製造例]
イワショウブの地上部1kgに、50vol%含水エタノール25Lを加え、室温又は加温して1日間抽出を行った後、濾過した。得られた濾液中の溶媒を留去して濃縮し、1,3−ブチレングリコール及び精製水を加えた後、イワショウブの50vol%含水1,3−ブチレングリコール抽出物を得た。本抽出物の固形分濃度は、0.1%であった。
【0028】
[製造例2:イワショウブ抽出物の製造例]
イワショウブの地上部1kgに、1,3−ブチレングリコール25Lを加え、40℃加温状態にて12時間抽出を行った後、濾過した。得られた濾液中の溶媒を留去して濃縮し、1,3−ブチレングリコール及び精製水を加えた後、イワショウブの50vol%含水1,3−ブチレングリコール抽出物を得た。本抽出物の固形分濃度は、0.05%であった。
【0029】
[試験例1:角質水分量測定による保湿効果の評価]
<試験方法>
上記製造例1の抽出物を用いて、角質水分量測定による保湿効果の評価を行った。モニターとして、25〜56歳、6名の左右前腕部、3×3cmの範囲に「表1」に示した試料を20μL塗布し、塗布前および塗布後10分、30分、60分、120分後の電気伝導度による角層水分量の経時変化をSKICON−200EX(アイ・ビイ・エス社製)により測定した。なお、比較例として精製水、50vol%含水1,3−ブチレングリコール、50vol%含水グリセリンを同様に塗布した。試料塗布前の測定値に対して、時間経過後における各測定値の相対値(水分量変化率)として記載した。結果を「表1」及び「図1」に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
<結果>
精製水、50vol%含水1,3−ブチレングリコール、50vol%含水グリセリンを塗布した比較例に比して、製造例1のイワショウブ抽出物を塗布した実施例では、塗布後30分以降で優位な角質水分量の増加が確認された。
【0032】
[試験例2:官能試験による保湿効果の評価]
<試験方法>
上記製造例1の抽出物を用いて、官能試験による保湿効果の評価を行った。まず、「表2」に示す組成に従って化粧水を調製した。成分(1)〜(6)を混合溶解した溶液と、成分(7)〜(10)を混合溶解した溶液とを均一に混合し、化粧水を調製した。次に、26〜54歳の女性パネル10名に対し、顔の左右に分けて化粧水を使用する試験を実施した。左顔に実施例、右顔に比較例の化粧水をブラインドにて朝夜2回、1ヶ月間の使用試験を実施した。
【0033】
【表2】

【0034】
<結果>
結果を、各評価基準を得たパネル数によって「表3」に示す。イワショウブ抽出物を含まない化粧水を使用した比較例に比して、製造例1のイワショウブ抽出物を含む化粧水を使用した実施例では、1ヶ月間の使用後の肌のしっとり感が良く、カサカサ感や肌荒れが改善していることが確認された。
【0035】
【表3】

【0036】
以下に、イワショウブ抽出物を配合した化粧料、あるいは皮膚外用剤の製剤例を示す。
【0037】
[製剤例1:化粧水]
化 粧 水 :
( 成 分 ) (%)
1 グリセリン 5.0
2 1,3−ブチレングリコール 5.0
3 乳酸 0.05
4 乳酸ナトリウム 0.1
5 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
6 エタノール 7.0
7 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8 香料 0.05
9 製造例1のイワショウブ抽出物 0.01
10 エタノール 1.0
11 水溶性コラーゲン 0.1
12 カミツレエキス 0.05
13 マロニエエキス 0.05
14 精製水 残 量
【0038】
( 製造方法 )
A:成分(5)〜8を混合溶解する。
B:成分(1)〜(4)及び9〜(14)を混合溶解する。
C:BにAを添加混合し、化粧水を得た。
【0039】
[製剤例2:化粧水]
化 粧 水 :
( 成分 ) (%)
1 グリセリン 5.0
2 1,3−ブチレングリコール 5.0
3 乳酸 0.05
4 乳酸ナトリウム 0.1
5 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
6 エタノール 7.0
7 1,2−ペンタンジオール 0.05
8 香料 0.05
9 製造例1のイワショウブ抽出物 0.05
10 グリチルリチン酸ジカリウム 1.0
11 チャ葉エキス 0.05
12 ダイズエキス 0.05
13 ユリエキス 0.05
14 エタノール 1.0
15 精製水 残 量
【0040】
( 製造方法 )
A:成分(5)〜8を混合溶解する。
B:成分(1)〜(4)及び9〜(15)を混合溶解する。
C:BにAを添加混合し、化粧水を得た。
【0041】
[製剤例3:乳液]
乳 液 :
( 成 分 ) (%)
1 モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.0
2 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.5
3 グリセリルモノステアレート 1.0
4 ステアリン酸 0.5
5 ベヘニルアルコール 0.5
6 スクワラン 8.0
7 水素添加大豆リン脂質 0.01
8 カルボキシビニルポリマー 0.1
9 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10 水酸化ナトリウム 0.05
11 エタノール 5.0
12 製造例2のイワショウブ抽出物 0.01
13 海藻エキス 0.05
14 ニンジンエキス 0.05
15 精製水 5.0
16 香料 0.05
17 精製水 残 量
【0042】
( 製造方法 )
A:成分(17)に成分(8)〜(10)を加えて70℃で均一に混合する。
B:成分(1)〜(7)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:Cに成分(12)〜(16)を加えて均一に混合し、乳液を得た。
【0043】
[製剤例4:乳液]
乳 液 :
( 成分 ) (%)
1 モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.0
2 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.5
3 グリセリルモノステアレート 1.0
4 ステアリン酸 0.5
5 ベヘニルアルコール 0.5
6 スクワラン 8.0
7 カルボキシビニルポリマー 0.1
8 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9 水酸化ナトリウム 0.05
10 エタノール 5.0
11 製造例1のイワショウブ抽出物 5.0
12 イガイグリコーゲン 0.05
13 セラミド2 0.001
14 N−ラウロイル−L−グルタミン酸
ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル) 0.1
15 グリチルレチン酸ステアリル 0.1
16 精製水 5.0
17 香料 0.05
18 精製水 残 量
【0044】
( 製造方法 )
A:成分(18)に成分(7)〜(9)を加えて70℃で均一に混合する
B:成分(1)〜(6)、(13)〜(15)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加えて乳化し、室温まで冷却する。
D:Cに成分(10)〜(12)、(16)、(17)を加えて均一に混合し、
乳液を得た。
【0045】
[製剤例5:リキッドファンデーション]
リキッドファンデーション(水中油型クリーム状):
( 成 分 ) (%)
1 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合物(注1) 0.5
2 トリエタノールアミン 1.5
3 精製水 残 量
4 グリセリン 5.0
5 パラオキシ安息香酸エチル 0.1
6 1,2−ペンタンジオール 1.0
7 水素添加大豆リン脂質 0.5
8 酸化チタン 5.0
9 ベンガラ 0.1
10 黄酸化鉄 1.0
11 黒酸化鉄 0.05
12 ステアリン酸 0.9
13 モノステアリン酸グリセリルエーテル 0.3
14 セトステアリルアルコール 0.4
15 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
16 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
17 パラメトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル 5.0
18 製造例2のイワショウブ抽出物 5.0
19 トウキエキス 0.1
20 アルニカエキス 0.05
21 コメヌカエキス 0.05
22 香料 0.02
(注1)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
【0046】
( 製造方法 )
A:成分(6)〜(11)を分散する。
B:Aに成分(12)〜(17)を加え70℃で均一に混合する。
C:成分(1)〜(5)を70℃で均一に混合する。
D:CにBを加え乳化し、室温まで冷却する。
E:Dに成分(18)〜(22)を添加し均一に混合して水中油型クリーム状リキッドファンデーションを得た。
【0047】
[製剤例6:リキッドファンデーション]
リキッドファンデーション(水中油型クリーム状):
( 成分 ) (%)
1 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(注2) 0.5
2 トリエタノールアミン 1.5
3 精製水 残 量
4 グリセリン 5.0
5 パラオキシ安息香酸エチル 0.1
6 1,2−ペンタンジオール 2.0
7 水素添加大豆リン脂質 0.5
8 酸化チタン 5.0
9 ベンガラ 0.1
10 黄酸化鉄 1.0
11 黒酸化鉄 0.05
12 ステアリン酸 0.9
13 モノステアリン酸グリセリン 0.3
14 セトステアリルアルコール 0.4
15 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
16 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
17 パラメトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル 5.0
18 パルミチン酸レチノール 0.5
19 製造例1のイワショウブ抽出物 0.05
20 ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
21 メリッサエキス 0.05
22 ホホバ油 0.1
23 香料 0.02
(注2)ペミュレンTR−1(NOVEON社製)
【0048】
( 製造方法 )
A:成分(6)〜(11)を分散する。
B:Aに成分(12)〜(18)、(22)を加え70℃で均一に混合する。
C:成分(1)〜(5)を70℃で均一に混合する。
D:CにBを加え乳化し、室温まで冷却する。
E:Dに成分(19)〜(21)、(23)を添加し均一に混合して水中油型クリーム状リキッドファンデーションを得た。
【0049】
[製剤例7:日焼け止め化粧料]
日焼け止め化粧料(油中水型クリーム状):
( 成 分 ) (%)
1 モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
2 POE(60)硬化ヒマシ油 0.1
3 精製水 残 量
4 ジプロピレングリコール 10.0
5 硫酸マグネシウム 0.5
6 アスコルビルリン酸マグネシウム 3.0
7 シリコーン化合物(注3) 3.0
8 デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
9 イソノナン酸イソトリデシル 5.0
10 パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8.0
11 製造例1のイワショウブ抽出物 0.2
12 ローズマリーエキス 0.05
13 シナノキエキス 0.05
14 マカデミアナッツ油 0.1
15 ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
(注3)KF−6028(信越化学工業社製)
【0050】
( 製造方法 )
A:成分(1)〜(6)、(11)〜(13)を均一に分散する。
B:成分(7)〜(10)、(14)、(15)を均一に分散する。
C:Bを攪拌しながら徐々にAを加えて乳化し、油中水型クリーム状日焼け止め化粧料を得た。
【0051】
[製剤例8:軟膏剤]
軟 膏 剤 :
( 成 分 ) (%)
1 ステアリン酸 18.0
2 セタノール 4.0
3 トリエタノールアミン 2.0
4 グリセリン 5.0
5 グリチルリチン酸ジカリウム(注4) 0.5
6 製造例1のイワショウブ抽出物 10.0
7 イチョウエキス 0.05
8 酵母エキス 0.05
9 オリブ油 0.1
10 酢酸dl−α―トコフェロール(注5) 0.2
11 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12 精製水 残 量
(注4) 和光純薬工業社製
(注5) エーザイ社製
【0052】
( 製造方法 )
A:成分(3)、(4)および(12)の一部を加熱混合し、75℃に保つ。
B:成分(1)、(2)、(9)〜(11)を加熱混合し、75℃に保つ。
C:AにBを徐々に加え、これを冷却しながら成分(12)の残部で溶解した(5)〜(8)を加え、軟膏剤を得た。
【0053】
[製剤例9:軟膏剤]
軟 膏 剤 :
( 成分 ) (%)
1 ステアリン酸 18.0
2 セタノール 4.0
3 トリエタノールアミン 2.0
4 グリセリン 5.0
5 アスコルビルエチル 0.5
6 製造例1のイワショウブ抽出物 5.0
7 尿素 0.05
8 アボカド油 0.1
9 アルモンド油 0.1
10 酢酸dl−α―トコフェロール(注6) 0.2
11 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12 精製水 残 量
【0054】
( 製造方法 )
A:成分(3)、(4)および(12)を加熱混合し、75℃に保つ。
B:成分(1)、(2)、(5)、(8)〜(11)を加熱混合し、75℃に保つ。
C:AにBを徐々に加え、これを冷却しながら(6)、(7)を加え、軟膏剤を得た。
【0055】
[製剤例10:ローション剤]
ローション剤:
( 成分 ) (%)
1 グリセリン 5.0
2 1,3−ブチレングリコール 6.5
3 ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタンモノラウリン酸 1.2
エステル
4 エタノール 8.0
5 製造例1のイワショウブ抽出物 0.05
6 クレマティスエキス 0.05
7 ブドウ糖 0.01
8 L−セリン 0.01
9 パラオキシ安息香酸メチル 0.2
10 精製水 残 量
【0056】
( 製造方法 )
A:成分(3)、(4)、(9)を混合溶解する。
B:成分(1)、(2)、(5)〜(8)、(10)を混合溶解する。
C:AとBを混合して均一にし、ローション剤を得た。
【0057】
[製剤例11:ローション剤]
ローション剤:
( 成分 ) (%)
1 グリセリン 5.0
2 1,2−ペンタンジオール 1.0
3 ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタンモノラウリン酸 1.2
エステル
4 エタノール 8.0
5 製造例1のイワショウブ抽出物 0.05
6 アスコルビン酸2−グルコシド 1.0
7 乳酸ナトリウム 0.1
8 ハチミツ 0.01
9 L−アルギニン 0.05
10 パラオキシ安息香酸メチル 0.2
11 精製水 残 量
【0058】
( 製造方法 )
A:成分(3)〜(6)を混合溶解する。
B:成分(1)、(2)、(7)〜(11)を混合溶解する。
C:AとBを混合して均一にし、ローション剤を得た。
【0059】
[製剤例12:洗顔料]
洗顔料:
( 成分 ) (%)
1 ラウリン酸 5.0
2 ミリスチン酸 18.5
3 ステアリン酸 6.0
4 グリセリン 12.0
5 1,2−ペンタンジオール 1.0
6 ポリエチレングリコール400 5.0
7 水酸化カリウム 6.5
8 精製水 残 量
9 ポリオキシエチレンラウリルエーテル(7.5E.O.) 2.0
10 モノステアリン酸グリセリルエーテル 0.5
11 サリチル酸 0.2
12 製造例1のイワショウブ抽出物 0.1
13 イソプロピルメチルフェノール 0.1
14 水素添加大豆リン脂質 0.1
15 香料 0.01
【0060】
( 製造方法 )
A:成分(1)〜(6)、(9)〜(11)、(13)、(14)を加熱溶解する。
B:成分(7)〜(8)を加熱溶解する。
C:AとBを混合して均一にし、(12)、(15)を加え混合し、洗顔料を得た。
【0061】
上記各実施例で調製した化粧水、乳液、リキッドファンデーション、日焼け止め化粧料、軟膏剤、ローション剤、洗顔料は、いずれも変色・変臭および沈殿・分離などがなく、安定であり、皮膚に適用可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る皮膚外用剤、化粧料及び保湿剤は、優れた保湿作用を有し、安全性も高いため、角質層の水分保持機能を補い、潤いのある肌づくりをし、肌の恒常性を維持するために有効に用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チシマゼキショウ属イワショウブ(Tofieldia japonica)及び/又はその溶媒抽出物を含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
前記溶媒抽出物は、前記チシマゼキショウ属イワショウブの地上部より得られる抽出物である請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
チシマゼキショウ属イワショウブ(Tofieldia japonica)及び/又はその溶媒抽出物を含有する化粧料。
【請求項4】
前記溶媒抽出物は、前記チシマゼキショウ属イワショウブの地上部より得られる抽出物である請求項3記載の化粧料。
【請求項5】
チシマゼキショウ属イワショウブ(Tofieldia japonica)及び/又はその溶媒抽出物を有効成分として含有する保湿剤。
【請求項6】
前記溶媒抽出物は、前記チシマゼキショウ属イワショウブの地上部より得られる抽出物である請求項5記載の保湿剤。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の保湿剤と、薬理学的に許容され得る添加剤と、を含有する皮膚外用剤。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の保湿剤を含有する化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2011−207773(P2011−207773A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74249(P2010−74249)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(592042750)株式会社アルビオン (20)
【Fターム(参考)】