説明

皮膚外用剤、美白剤、抗老化剤および抗酸化剤

【課題】安全性が高く、優れたメラニン生成抑制作用または抗老化作用または抗酸化作用を有する皮膚外用剤、美白剤、抗老化剤および抗酸化剤を提供する。
【解決手段】クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のCinnamomum ilicioides、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のFagraea fragrans、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のLepisanthes fruticosa、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のBoesenbergia regalis、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のAquilaria crassna、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のPterocarpus indicusから選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の植物抽出物を配合した皮膚外用剤、並びに特定の植物抽出物を含む美白剤、抗老化剤および抗酸化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(1)美白剤について
従来より、美白剤の作用・効果に関する研究や、美白効果を高める研究が行われてきた。皮膚のしみ・そばかすなどの色素沈着は、紫外線暴露・ホルモンの異常・皮膚局所での炎症などにより過剰に生成されたメラニンが皮膚内に沈着した結果、生じるものと考えられている。皮膚の色素沈着の原因となるメラニンは、表皮基底層にある色素細胞(メラノサイト)内のメラノソームと呼ばれる小器官において生成される。メラノソームでは、酵素チロシナーゼの作用によりチロシンからドーパキノンが生成される。ドーパキノンは酵素的または非酵素的に酸化された後、重合することにより黒色のメラニンに変化する。したがって、第一段階の反応であるチロシナーゼの活性を抑制することが、メラニンの生成を抑制する上で重要である。
【0003】
上記のような色素異常の予防・改善を目的として、これまで種々の方法が開発されてきた。例えば、ビタミンCを大量に経口投与する方法、グルタチオン等を注射する方法、あるいはコウジ酸、ビタミンCおよびその誘導体、システイン等を軟膏、クリーム、ローション等の形態で局所に塗布する方法などが知られている。
【0004】
これらの既知の方法のうち、ハイドロキノンを除いてはその効果の発現がきわめて緩慢であり、皮膚色素沈着の改善効果が充分でない。一方、ハイドロキノンはある程度の改善効果を有するが、感作性を有するため、一般の使用が制限されている。そこで高級脂肪酸のモノエステルやアルキルモノエーテルなどの誘導体にして、その安全性を向上させる試みがなされている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このような高級脂肪酸のモノエステル類は体内の加水分解酵素によって分解されるため、必ずしも安全であるとは言えない。またエーテル類も安全性の面で充分に満足するものが得られていない。したがって、より安全で効果の高い美白剤が求められていた。
【0006】
(2)抗老化剤について
化粧料分野および皮膚科学分野では、皮膚に対する日光の照射をはじめとする外界環境の影響や加齢による損傷を軽減もしくは治療すべく多種多様な手段が提案され、また、試みられている。例えば、加齢に伴う皮膚変化としては、しわの形成、硬化もしくは弾力性の低下等が主なものとしてあげられる。このような皮膚変化の原因としては、皮膚真皮におけるコラーゲン、エラスチン、グルコサミノグリカンからなる膠原線維、弾性線維の機能低下が考えられており、ヒドロキシカルボン酸類の使用(例えば特許文献2)、リゾリン脂質の使用(例えば特許文献3)が提案されている。
【0007】
特許文献2には、コラーゲン線維減損の防止により角質やしわを根絶しうることが示唆されている。また特許文献3では、リゾリン脂質がヒト線維芽細胞におけるグリコサミノグリカン(具体的にはヒアルロン酸)の産生能を亢進することから、老化防止効果を奏することが示唆されている。
【0008】
種々の外界環境要因のなかで最も強く皮膚老化を引き起こすものは太陽光に含まれる紫外線であり、深いしわを特徴とする光老化と言われる皮膚変化を誘導したり(非特許文献1参照)、遺伝子DNAの損傷や、活性酸素の産生の誘導、そして最近ではマトリックス分解金属酵素の産生誘導にかかわっていることが知られている(非特許文献2参照)。
【0009】
紫外線のもつこの多能性のために、紫外線で誘導される光老化がどのような機構で起るかに関しては十分に解明されてこなかった。近年、ヘアレスマウスに紅斑を起こさない程度のエネルギーの紫外線を照射し続けることによって、マウス背部皮膚にヒトの光老化皮膚に対応するような深いしわが形成されることが明らかになり、このマウスモデルを用いてしわに影響を及ぼす物質の評価も行われてきた(非特許文献3)。しかし、しわ形成機構に関しては十分に解明されておらず、その解明が待たれていた。
【0010】
一方、1994年に Koivukangas らは紫外線を照射した皮膚において基底膜分解酵素であるゼラチナーゼの活性が高まることを報告している(非特許文献4)。また、日光曝露部位皮膚では、基底膜が構造変化を示し、特に多重化が頻繁に観察されることも報告されている(非特許文献5)。さらに、皮膚基底膜構造を詳細に観察した場合、20代後半から30代前半にかけて基底膜ダメージが高頻度に観察されることなどから、基底膜の構造変化が皮膚老化の誘導において重要な役割を担うと考えられる(非特許文献6)。
【0011】
基底膜は皮膚における表皮と真皮との間に存在するものであり、主要構成蛋白としてラミニン5、コラーゲン等を含むことが知られている。
したがって、ラミニン5、コラーゲン等の産生を促進する薬剤を開発することは、種々の細胞外マトリックスを保護し、しわ等の皮膚老化を防ぐうえで極めて重要である。
【0012】
(3)抗酸化剤について
紫外線により活性酸素が発生することは周知である。活性酸素のうち、フリーラジカル型のものは脂質などの酸化性基質と反応すると、連鎖的な酸化反応を誘発する。したがって、フリーラジカルとなる活性酸素は、皮膚等の身体組織に対するダメージを増幅する。
【0013】
皮膚は、常時、酸素や紫外線にさらされるため、フリーラジカルによる酸化ストレスのダメージが最も大きな組織と考えられる。近年では、紫外線により発生した種々の活性酸素が、皮脂や脂質の過酸化、蛋白変性、酵素阻害等を引き起こし、それが、短期的には皮膚の炎症などを誘発する。また、長期的には、老化やガンなどの原因となると考えられている。
【0014】
また、活性酸素や過酸化脂質は、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患にも関与すると考えられている。このように、皮膚老化や皮膚疾患には、活性酸素(フリーラジカル)が深く関与している。
【0015】
フリーラジカルを捕捉する能力を備える物質は、ラジカル連鎖反応を抑制したり、停止させたりすることができる。例えば、抗酸化剤である。
【0016】
したがって、抗酸化剤を配合した皮膚外用剤には、光酸化ストレスによる皮膚老化(例えば、シミ、しわ、たるみなど)に対する予防・改善効果が期待できる。また、フリーラジカルが関連する各種皮膚疾患用皮膚外用剤としても、予防・改善効果が期待できる。
【0017】
酸化防止剤として知られているビタミンEやビタミンCは、生体内におけるフリーラジカル捕捉型抗酸化物質である。また、BHTやBHAなどの合成抗酸化物質も知られている。
【0018】
また、天然の酸化防止剤としては、シイタケ、エノキタケ、シメジ、カワラタケ、マツタケ、マンネンタケ、ホウロクタケ、ナメコ、その他の担子菌類の抽出物が報告されている(特許文献4〜6)。
さらに、ゴマノハグサ科モウズイカ属植物の抽出物からなる抗酸化剤(特許文献7)、ムラサキ科カキバチシャノキ属植物の抽出物からなる抗酸化剤(特許文献8)が報告されている。
【0019】
【特許文献1】特開昭58−154507号公報
【特許文献2】特許第2533339号公報
【特許文献3】特開平8−67621号公報
【特許文献4】特開平5−317016号公報
【特許文献5】特開平6−65575号公報
【特許文献6】特開昭59−124984号公報
【特許文献7】特開平11−171723号公報
【特許文献8】特開平11−171720号公報
【非特許文献1】Scharffetter-Kochanek, Advance in Pharmacology, 1997, 58, 639-655
【非特許文献2】Fisherら、Nature, 1996, 379, 335-339
【非特許文献3】Moloneyら、Photochem. Photobiol. 1992, 56, 495-504
【非特許文献4】Acta Derm. Venereol. 1994, 74, 279-282
【非特許文献5】Lavker, J. Invest. Dermal. 1979, 73, 59-66
【非特許文献6】天野ら、IFSCC Magazine, 2000, 4, 15-23
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上記のような従来技術(1)〜(3)に鑑みて、さらに有効な薬剤を見出すべく鋭意研究の結果なされたものである。
本発明の目的は安全性が高く、優れたメラニン生成抑制効果を有する天然物由来の美白剤およびそれを配合した皮膚外用剤を提供することにある。
また本発明の目的は安全性が高く、優れた抗老化作用を有する天然物由来の抗老化剤およびそれを配合した皮膚外用剤を提供することにある。
また本発明の目的は安全性が高く、優れた抗酸化作用を有する天然物由来の抗酸化剤およびそれを配合した皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは種々の植物抽出物についてメラニン生成抑制作用やチロシナーゼ活性阻害作用に基づく美白作用を調べた結果、これまでに係る効果を有することが知られていなかった特定の植物抽出物が優れた美白作用を有していることを見出して本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは種々の植物抽出物についてコラーゲン産生促進作用等に基づく抗老化作用を調べた結果、これまでに係る効果を有することが知られていなかった特定の植物抽出物が優れた抗老化作用を有していることを見出して本発明を完成するに至った。
さらに、本発明者らは種々の植物抽出物について抗酸化作用を調べた結果、これまでに係る効果を有することが知られていなかった特定の植物抽出物にフリーラジカル捕捉能があり、抗酸化剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
すなわち本発明は、クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を配合してなることを特徴とする皮膚外用剤である。
また本発明は、前記植物抽出物を乾燥質量換算で0.00001〜1質量%配合することを特徴とする皮膚外用剤である。
【0023】
本発明は、クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有してなることを特徴とする美白剤である。
【0024】
本発明は、クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有してなることを特徴とする抗老化剤である。
【0025】
本発明は、クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有してなることを特徴とする抗酸化剤である。
【発明の効果】
【0026】
本発明で用いられる植物抽出物は優れたメラニン生成抑制作用を有する。本発明により、日焼け後の色素沈着・しみ・そばかす・肝斑等の淡色化、美白に優れた効果を有すると共に、安全性に優れた美白剤を提供できる。また、それを用いた皮膚外用剤を提供することができる。
【0027】
また本発明で用いられる植物抽出物は優れた抗老化作用を有する。本発明により、加齢に伴うしわの形成、皮膚の硬化もしくは弾力性の低下等を防ぐ効果を有すると共に、安全性に優れた抗老化剤を提供できる。また、それを用いた皮膚外用剤を提供することができる。
【0028】
さらに本発明で用いられる植物抽出物は優れたフリーラジカル捕捉能を有する。本発明により、優れた抗酸化作用を発揮すると共に、安全性に優れた抗酸化剤が提供できる。本発明の抗酸化剤は種々の分野において使用可能である。特に化粧料、医薬品、医薬部外品、食品等の分野において好適に用いることができる。
【0029】
また、本発明の抗酸化剤を配合した皮膚外用剤は、皮膚においてフリーラジカルを捕捉することによって、皮膚の酸化を抑制し、シミ、シワ、たるみなどの皮膚老化の予防・改善に有用である。また、フリーラジカル関連の皮膚疾患の予防・改善効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明の皮膚外用剤、美白剤および抗老化剤に用いられるクスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)の植物抽出物について、以下に詳述する。
なお、本発明の美白剤および抗老化剤は、好ましくは実質的に上記植物抽出物からなるものであるが、その他の天然物成分や合成化合物を含んでいても良い。また、植物抽出物は抽出後、必要に応じて精製して用いても良い。
【0031】
クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のCinnamomum ilicioides(Cinnamomum ilicioides Chevall.)はインド・中国からタイなどの東南アジアにかけて分布する。中国では八角樟と呼ばれる。同属植物にはCinnamomum cassia Blume(シナニッケイ)、Cinnamomum zeylanicum Blume(セイロンニッケイ)やCinnamomum sintok Blume(シントック)などがある。
【0032】
マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のFagraea fragrans(Fagraea fragrans Roxb.)は常緑の高木で、ビルマ・タイから西マレーシア地域に分布する。材は硬くてやや重く、耐朽性が高いため、家具、造船、彫刻、枕木などの重構造材に用いられる。
【0033】
ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のLepisanthes fruticosa(Lepisanthes fruticosa (Roxb.) Leenh.)はタイ、ミャンマー、インド、中国に分布する小木である。異名にOtophora cambodiana Pierre、Otophora fruticosa Blume、Otophora resecta Radlk、 Sapindus fruticosa Roxb.などがある。実と種子は食用にされ、根は熱さましや痛み止めの湿布として用いられる。近縁の植物としては、ムクロジ(Sapindus mukorossi Gaertn.)が挙げられる。
【0034】
ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のBoesenbergia regalis(Boesenbergia regalis Kharuk. & Tohdam)は近年タイ半島部で発見された花が桃色の新種の植物である(Folia Malaysiana 4(1): 20 (2003).)。同属植物にBoesenbergia Pandurata Schltr.やBoesenbergia rotunda ( L. ) Mansf.がある。花が黄色の異種オオバンガジュツ(Boesenbergia pandurata)には、養毛効果(特開平8−231352号公報)、メラニン生成抑制効果(特開平9−30945号公報)、血小板凝集因子(platelate activating factor;PAF)の作用を抑制する効果(特開平2001−261545号公報)があることは既に知られている。
【0035】
ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のAquilaria crassna(Aquilaria crassna Pierre)はタイ・ベトナムなど東南アジアを中心に分布する常緑の高木である。ベトナムでは他の成分と組み合わせてマラリアの治療薬としても用いられた。同属植物のAquilaria agallocha Roxb.は古来有名な香木の沈香や伽羅の原料植物であり、自然環境の下で微生物感染により樹脂が蓄積した木部が用いられる。また、Aquilaria sinensis (Lour.) Gilg.(白木香)も香木として用いられている。ジンコウ属植物に関しては、乱伐による絶滅やそれに伴う自然破壊が問題となっており、現在CITES(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora;絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約))にて取引が制限されている。なお、本発明では、樹脂が蓄積した部位ではなく、通常の枝や木部、あるいは葉など豊富に存在する材料を用いることができるため、自然環境に及ぼす影響が少ない。
【0036】
マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のPterocarpus indicusはタイ、ビルマなどの東南アジアからニューギニアに分布する。和名はインドシタンで、フィリピンではナーラ(Narra)、ミャンマーではパドウク(パドアウク)と呼ばれ、高級家具材などに用いられる。
【0037】
本発明に用いられる植物抽出物は、上記植物の葉、地下茎を含む茎、根、木部、樹皮、枝、果実、植物全草等を抽出溶媒で抽出した後、濾過し、濃縮して得られる。本発明に用いる抽出溶媒は、通常抽出に用いられる溶媒であれば何でも良く、メタノール・エタノール等のアルコール類および含水アルコール類、アセトン・酢酸エチルエステル・エーテル・ヘキサン等の有機溶媒、1,3−ブタンジオール・ジプロピレングリコール・グリセリンなどの保湿剤、水を単独あるいは組み合わせて用いることができる。さらには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、一般の化粧料で用いられる油分なども抽出溶媒として用いることができる。また、抽出の際には必要に応じて加温や攪拌、還流などの抽出促進のための手段を用いても良い。
1,3−ブタンジオール・ジプロピレングリコール・グリセリンなどの保湿剤やエタノール、水、およびそれらの混合物を溶媒として用いた場合、濃縮しないでそのまま製剤に添加することも可能である。また、エタノールやアセトンなど揮発性溶媒で抽出した場合、本発明の効果を損なわない範囲で、溶媒を除去した後に別の溶媒に溶解して用いても良い。さら本発明で用いられる抽出物は、本発明の効果を損なわない範囲で溶媒分画やカラム精製、活性炭処理、脱臭処理、脱色処理など処理を行ったものでも良い。
本発明の皮膚外用剤、美白剤および抗老化剤は好ましくは上記植物抽出物を含むものであり、上記植物を単独で用いた抽出物であっても、あるいは混合して用いた抽出物であっても良い。
【0038】
本発明に用いられるCinnamomum ilicioidesは、枝または葉を用いることが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0039】
本発明に用いられるFagraea fragransは、枝を用いることが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0040】
本発明に用いられるLepisanthes fruticosaは、枝または葉を用いることが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0041】
本発明に用いられるBoesenbergia regalisは、地上部あるいは全草を用いることができる。
【0042】
本発明に用いられるAquilaria crassnaは、枝または葉を用いることが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0043】
本発明に用いられるPterocarpus indicusは、小枝または葉を用いることが好ましいが、他の部位を用いることもできる。
【0044】
本発明においては、上記植物は自生あるいは栽培何れで得られたものでも使用できる。
【0045】
上記植物または上述のようにして得られた上記植物の抽出物は、何れも優れた美白作用、抗老化作用および抗酸化作用を有する。このような植物またはその抽出物は、水相または油相に添加することにより、優れた美白効果や抗老化効果や抗酸化効果を奏する皮膚外用剤を製造することができる。
【0046】
本発明の皮膚外用剤において、植物抽出物の配合量は、乾燥質量で組成物全量中0.00001〜1質量%、より好ましくは0.00001〜0.1質量%である。0.00001質量%未満であると本発明の効果が充分に発揮されない。
【0047】
本発明の皮膚外用剤には、上記植物抽出物以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分(直鎖型シリコーン油・環状シリコーン油・有機変性シリコーン油・フッ素油などを含む)、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0048】
またその他にも、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、火棘の果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸、ルシノール、エラグ酸、カモミラ等の他の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
【0049】
本発明の皮膚外用剤とは、通常医薬品、医薬部外品、化粧品等の分野で用いられるものを指し、その剤型は本発明の効果が発揮される限り、特に限定されるものではない。例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外用剤に用いられるものであれば何れでも良く、剤型は特に問わない。
【実施例】
【0050】
まず実施例に先立ち本発明の皮膚外用剤、美白剤および抗老化剤に用いられる植物抽出物の有効性評価、すなわち美白効果、抗老化効果、および潤いアミノ酸産生効果、痩身効果、抗酸化効果に関する試験方法とその結果について説明する。
【0051】
1. 試料の調製
本発明の実施例では全てタイ国内で採取された植物を用いたが、本発明の権利範囲はこれになんら限定されるものではない。また、メタノールの代わりに含水エタノールや含水1,3−ブタンジオールや含水ジプロピレングリコールなどを抽出溶媒に用いた場合でも、同様な結果を得ることが可能である。
(1)Cinnamomum ilicioides
(1−1)Cinnamomum ilicioidesの枝抽出液の調製
Cinnamomum ilicioidesの枝20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物1.11gを得た。この抽出物をDMSO(ジメチルスルホキシド)に2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0052】
(1−2)Cinnamomum ilicioidesの葉抽出液の調製
Cinnamomum ilicioidesの葉20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物2.10gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%溶かし、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0053】
(2)Fagraea fragransの枝抽出液の調製
Fagraea fragransの枝20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.31gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0054】
(3)Lepisanthes fruticosa
(3−1)Lepisanthes fruticosaの枝抽出液の調製
Lepisanthes fruticosaの枝20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.44gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0055】
(3−2)Lepisanthes fruticosaの葉抽出液の調製
Lepisanthes fruticosaの葉20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.98gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0056】
(4)Boesenbergia regalisの全草抽出液の調製
Boesenbergia regalisの全草20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物1.58gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0057】
(5)Aquilaria crassna
(5−1)Aquilaria crassnaの枝抽出液の調製
Aquilaria crassnaの枝20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.44gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0058】
(5−2)Aquilaria crassnaの葉抽出液の調製
Aquilaria crassnaの葉20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物1.48gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0059】
(6)Pterocarpus indicus
【0060】
(6−1)Pterocarpus indicusの小枝抽出液の調製
Pterocarpus indicusの枝20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物0.40gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0061】
(6−2)Pterocarpus indicusの葉抽出液の調製
Pterocarpus indicusの葉20gを、室温で1週間メタノール200mlに浸漬し、抽出液を濾過した後、溶媒を留去し、メタノール抽出物1.08gを得た。この抽出物をDMSOに2質量%になるように溶解させ、この溶液を希釈して濃度を調整して得た希釈液を用いて以下の実験を行った。
【0062】
2.試験方法およびその結果
(A)美白試験
(A−1)美白試験法1(マウスB16メラノーマ細胞)
本試験法においては、マウスB16メラノーマ細胞を使用した。イーグルMEMにFBS(Fetal Bovine Serum、10%)とαMSH(Melanocyte Stimulatimg Hormone、10ng/ml)を含む培地を試験培地とした。細胞は75cm2のフラスコにFBS(10%)を含むイーグルMEM培地を用いてCO2インキュベーター内で培養し増殖させた。細胞をトリプシン溶液で剥がし、FBS(10%)を含むイーグルMEM培地を加え、1,100rpmで遠心分離して細胞を集めた。ディシュ(100×20mm)に細胞300,000になるように播種し、5mlのFBS(10%)を含むイーグルMEM培地で1日間培養後、試験試料を所定の濃度の植物抽出物を含む試験培地で培養を続け、以下の方法で細胞あたりのメラニン量の測定を行った。
【0063】
上記培養後の細胞を5mlのトリプシン溶液で剥がし、15mlの遠心チューブに移した。ディシュに5mlのPBS(Phosphate Bufferd Saline)を加え、同じ遠心チューブに移した。細胞数をCoulterZ1で測定した後に、1,100rpmで遠心して細胞を集めた。風乾後、2Mの水酸化ナトリウム溶液を細胞数10,000/100μlになるように加え、60℃で3分間温め、次いで攪拌してメラニンを溶解した。攪拌後の溶液50μlを水150μlで希釈し、マイクロプレートリーダーで500nmの吸光度を測定した。結果は被験植物エキス無添加群に対する抑制率(%)で求め、また、参考例としてすでにメラニン生成抑制作用のあることが知られているアルブチンについても上記と同様の試験を行い、抑制率を求めた。上記植物抽出物での試験結果と、アルブチンでの試験結果とを併せて表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
(A−2)美白試験法2(チロシナーゼ活性阻害作用試験方法)
マウスのメラノーマ細胞B16由来のチロシナーゼを酵素源として、本発明の植物抽出物の酵素阻害作用を以下の試験法を用いて試験した。
まず、0.75mmolのL−Tyrosineと0.03mmolのドーパに被験植物抽出物および酵素を添加し、37℃でインキュベーションした。反応停止後、生成された赤紫色の反応溶液を475nmにて吸光度を測定した。結果は被験植物抽出物無添加分からの抑制率(%)で求めた。また、それらの効果と、優れたチロシナーゼの活性抑制効果を持つ油溶性甘草抽出物の効果とを比較した。結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】
(B)抗老化試験
(B−1)抗老化試験1(III型コラーゲン産生促進効果に関する試験方法)
(1)ヒト皮膚繊維芽細胞の培養
10%FBS含有DMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Medium)培地で培養したヒト皮膚繊維芽細胞を24穴プレートに播種した後、0.25%FBSおよび250μmol/lアスコルビン酸リン酸マグネシウム含有DMEM培地に置換し、被験物質を添加した。3日後、培地上清を回収、遠心分離し、得られた上清中のIII型コラーゲン測定および、細胞についてDNA量を測定し、細胞数の指標とした。
【0068】
(2)DNA定量
DNA量はHoechst社のH33342を用いた蛍光測定法により定量した。
【0069】
(3)III型コラーゲンの測定
細胞のIII型コラーゲン生合成能は、培養上清中に分泌されるIII型プロコラーゲンの末端ペプチド(Procollagen type III−peptide:PIIIPと略す)量を測定することにより評価した。具体的には、リアグノストPIIIP測定キット(CISバイオインターナショナル社製)を用いて測定した。
III型コラーゲンの産生量は、DNA量で割り、被験物質を添加していない試料(コントロール)に対する相対的な値をもって評価した。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
(B−2)抗老化試験2(Laminin 5 産生促進効果)
(1)表皮角質細胞の培養
表皮角質細胞はヒト包皮より単離し、カルシウム濃度の低い表皮細胞増殖培地(KGM)にて培養した。この培地に牛脳下垂体抽出液とEGF(Epidermal Growth Factor)を添加した。細胞は第4代までKGMで培養後、トリプシン−EDTA処理によって接着細胞を浮遊させ、濾過によって細胞のアグリゲートを除き、均一な細胞懸濁液を得た。次いで細胞懸濁液から遠心分離によって細胞を集め、DMEM−F12(2:1)−0.1%BSA(Bovine Serum Albumin)に細胞密度が4×104/mlになるように再懸濁させ、任意の濃度の薬剤と共存下で37℃にて24時間培養した。なお、培養には24穴プレートを用い、各穴の培地量を1mlとした。培養終了後に培養上清をエッペンドルフチューブに移し、10,000rpmで5分間遠心した後、その上清を新たなチューブに移し、ラミニン5の測定の日まで−20℃で保存した。
また細胞内と培養プラスチック上に結合したラミニン5を可溶化するため、各種の界面活性剤を含むトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を各穴に添加し、一晩−20℃で保存した。翌日、超音波処理を行い、再度凍結した。さらに翌日、再度溶解後、10,000rpmで5分間遠心分離し、上清をチューブに移し、ラミニン5の測定の日まで−20℃にて保存した。
【0072】
(2)抗老化試験2(サンドイッチELISA法によるラミニン5の測定)
培養上清、細胞層に存在するラミニン5はサンドイッチELISA法にて測定した。96穴ELISAプレートの固層にラミニン5のラミニンα3鎖に対するモノクローナル抗体、BM165を結合させた。ラミニン5をサンドイッチして測定するため、もう一種の抗体としてラミニンβ3鎖に対するモノクローナル抗体である6F12を予めビチオン化(b−6F12)して用いた。本試験法では、機能を発揮し得るヘテロトリマー体(α3β3γ2)のみを測定し、ヘテロダイマー(β3γ2)を検出しない。b−6F12を含む3%ゼラチン・リン酸緩衝溶液を予め入れておいた各穴に試料を添加する。試料の穴内での最終希釈率は培養液が1/4、細胞層が1/10とした。抗原抗体反応は37℃で2時間行い、プレートを洗浄した後アビヂンHRP(ホースラディシュパーオキシダーゼ)溶液を添加し、さらに30分から1時間反応させた。洗浄後、HRPの基質であるABTS溶液を加え、ELISAプレートリーダーを用いて405nmの吸光度を測定した。検量線は0〜45ng/mlの範囲で作成した。ラミニン5の産生量は、培地中に遊離された量と細胞層に残った量との総和をもって評価した。結果を表4に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
(B−3)抗老化試験3(エラスターゼ阻害効果)
96穴プレートに、エラスターゼ基質として8mmol/lのMethoxy−succinyl−alanyl−alanyl−prolyl−valine−p−nitroanilideを25μlずつ分注し、さらに50μlの被験物質を添加した。次に、氷上で5μg/mlヒト白血球由来エラスターゼを25μl加えて、直ちに37℃で20分間インキュベーションした。その後、415nmで吸光度を測定し、コントロールと比較してエラスターゼ阻害率(%)を求めた。結果を表5に示す。
【0075】
【表5】

【0076】
(B−4)抗老化試験4(表皮ヒアルロン酸産生促進効果)
(1)ヒアルロン酸産生促進効果試験方法
24穴シャーレにヒト皮膚由来不死化表皮細胞を1wellあたり2万播種し、増殖因子入りのKGB培地で4日間培養した。この後、培地を、被験物質を含むKGB培地2mlに交換し、さらに4日間培養した。なお、培地中での被験物質濃度は1×10-3質量%、3×10-3質量%、1×10-2質量%とした。
培養後、培地を採取し、ヒアルロン酸の測定を行った。ヒアルロン酸の測定は、市販のヒアルロン酸測定キット(中外製薬(株)製)を用いて行った。またシャーレ中のDNA量を測定し、細胞数の指標とした。
ヒアルロン酸産生促進作用の評価は、ヒアルロン酸産生促進率(%)により行った。ヒアルロン酸産生促進率(%)は被験物質を添加しない培地で培養したヒト皮膚由来不死化表皮細胞(コントロール)のDNAあたりのヒアルロン酸量を100とした時の、被験物質含有培地で培養したヒト皮膚由来不死化表皮細胞のDNAあたりのヒアルロン酸量と定義した。
【0077】
(2)DNA定量
DNA量の測定は、Hoechst社のH33342を用いた蛍光測定法で実施した。なお、被験物質の濃度を1×10-3質量%、3×10-3質量%、1×10-2質量%としたいずれのサンプルにおいても細胞増殖には全く影響がなく、細胞毒性はないことが確かめられた。DNA量の測定から得られたヒアルロン酸産出促進率の結果を図1に示す。
【0078】
(C)潤いアミノ酸産生試験(Arginase活性促進効果)
表皮角化細胞を96穴プレートに播種し、5日間培養した。次いで、培地を高Ca培地に交換し、さらに1日培養した後、さらに被験物質を含む培地に交換し2日間培養した。培養後well中の培地を除去し、PBSで洗浄し、5mmolのMnCl2を100μl添加し、55℃で20分間インキュベートし、さらに0.1mmol/mlのCarbonate buffer(pH 9.5)を100ml加え、37℃で2時間インキュベートした。その後、上清中の尿素を尿素窒素B−テストワコー(和光純薬工業)を用いて定量した。潤いアミノ酸産生試験の評価は、Arginase活性促進率(%)により行った。Arginase活性促進率(%)は被験物質を添加しない培地で培養した表皮角化細胞の定量された尿素の量を100とした時の、被験物質含有培地で培養した表皮角化細胞の定量された尿素の量と定義した。Arginase活性促進率(%)の結果を図2に示す。
【0079】
(D)痩身(脂肪分解)試験
96穴プレートにリポプロテイン基質2μlと緩衝液(Buffer)48μlとを入れて良く攪拌した。そこに被験物質あるいは溶媒50μlを加え、さらに100units/mlのリポプロテインリパーゼを50μl添加した。その後37℃でインキュベートし、反応液の蛍光(Ex360/Em460)を測定した。結果を図3に示す。
【0080】
(E)抗酸化試験法(DPPH radical quenching assay)
抗酸化能の評価にはDPPH法を用いた。Dimethyl Sulfoxideで溶解した被験物質を96wellプレートに10μl/wellずつ注入した後、0.1mmol/lの1,1−Diphenyl−2−picrylhydrazyl溶液を90μl/well添加した。室温にて10分間放置した後、517nmにおける吸光度を測定した。抽出物を含まない溶媒(Dimethyl Sulfoxide)のみを被験物質として用いたコントロール(C)との比較により、ラジカル消去率(%)を求めた。その結果を表6に示す。
ラジカル消去率の計算方法は以下のとおりである。
ラジカル消去率(%)=(C−S)/C×100
S :抽出物を含む実験区の波長517nmにおける吸光度
C :コントロール実験区の波長517nmにおける吸光度
【0081】
【表6】

【0082】
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。ただし、これにより、本発明の技術的範囲が限定解釈されるべきものではない。ここで言う配合量とは質量%を意味する。尚、植物抽出物の配合量は当該植物自体に由来する成分の配合量として、溶媒を除去した後の乾燥質量で示した。
【0083】
〔実施例1〕クリーム
以下に示す処方でクリームを調製した。
(処方)
(1)ステアリン酸 5.0 質量%
(2)ステアリルアルコール 4.0
(3)イソプロピルミリステート 18.0
(4)グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0
(5)プロピレングリコール 10.0
(6)Boesenbergia regalis全草エタノール抽出物 0.0001
(7)Cinnamomum ilicioides枝エタノール抽出物 0.0001
(8)Aquilaria crassna枝エタノール抽出物 0.0001
(9)Lepisanthes fruticosa枝エタノール抽出物 0.0001
(10)苛性カリ 0.2
(11)亜硫酸水素ナトリウム 0.01
(12)防腐剤 適量
(13)香料 適量
(14)イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールと各種植物抽出物(6)〜(9)と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水相)。さらに前記水相とは別に、他の成分(1)〜(5)および(11)〜(13)を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。次いで、水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却してクリームを調製した。
【0084】
〔実施例2〕クリーム
以下に示す処方でクリームを調製した。
(処方)
(1)ステアリン酸 2.0 質量%
(2)ステアリルアルコール 7.0
(3)水添ラノリン 2.0
(4)スクワラン 5.0
(5)2−オクチルドデシルアルコール 6.0
(6)ポリオキシエチレン(25モル)セチルアルコールエーテル 3.0
(7)グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
(8)プロピレングリコール 5.0
(9)Boesenbergia regalis全草50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.001
(10)Cinnamomum ilicioides枝50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.001
(11)Fagraea fragrans枝1,3−ブタンジオール抽出物 0.01
(12)亜硫酸水素ナトリウム 0.03
(13)エチルパラベン 0.3
(14)香料 適量
(15)イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。さらに前記水相とは別に、他の成分(1)〜(7)および(9)〜(14)を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。次いで水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却してクリームを調製した。
【0085】
〔実施例3〕クリーム
以下に示す処方でクリームを調製した。
(処方)
(1)固形パラフィン 5.0 質量%
(2)ミツロウ 10.0
(3)ワセリン 15.0
(4)流動パラフィン 41.0
(5)グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
(6)ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
(7)石けん粉末 0.1
(8)硼砂 0.2
(9)Boesenbergia regalis全草アセトン抽出物 0.05
(10)Cinnamomum ilicioides枝70%1,3−ブタンジオール抽出物 0.05
(11)Aquilaria crassna枝70%1,3−ブタンジオール抽出物 0.01
(12)Lepisanthes fruticosa枝70%1,3−ブタンジオール抽出物 0.05
(13)亜硫酸水素ナトリウム 0.03
(14)エチルパラベン 0.3
(15)香料 適量
(16)イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。さらに、前記水相とは別に、他の成分(1)〜(6)および(9)〜(15)を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。次いで、水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却してクリームを調製した。
【0086】
〔実施例4〕乳液
以下に示す処方で乳液を調製した。
(処方)
(1)ステアリン酸 2.5 質量%
(2)セチルアルコール 1.5
(3)ワセリン 5.0
(4)流動パラフィン 10.0
(5)ポリオキシエチレン(10モル)モノオレイン酸エステル 2.0
(6)ポリエチレングリコール1500 3.0
(7)トリエタノールアミン 1.0
(8)カルボキシビニルポリマー 0.05
(9)Boesenbergia regalis全草酢酸エチル抽出物 0.01
(10)Cinnamomum ilicioides葉50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.01
(11)亜硫酸水素ナトリウム 0.01
(12)エチルパラベン 0.3
(13)香料 適量
(14)イオン交換水 残余
(製法)
少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解し、A相とする。さらに前記A相とは別に、残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。またさらに前記A相および前記水相とは別に、他の成分(1)〜(5)および(9)〜(13)を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。次いで、水相に油相を加え予備乳化を行い、さらにA相を加えホモミキサーで均一乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却して乳液を調製した。
【0087】
〔実施例5〕乳液
以下に示す処方で乳液を調製した。
(処方)
(1)マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
(2)密ロウ 2.0
(3)ラノリン 20.0
(4)流動パラフィン 10.0
(5)スクワラン 5.0
(6)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
(7)ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
(8)プロピレングリコール 7.0
(9)Boesenbergia regalis全草水抽出物 0.1
(10)Lepisanthes fruticosa枝70%1,3−ブタンジオール抽出物 0.1
(11)Aquilaria crassna葉30%エタノール抽出物 0.1
(12)亜硫酸水素ナトリウム 0.01
(13)エチルパラベン 0.3
(14)香料 適量
(15)イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。さらに前記水相とは別に、他の成分(1)〜(7)および(9)〜(14)を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。次いで、油相をかきまぜながらこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却して乳液を調製した。
【0088】
〔実施例6〕ゼリー
以下に示す処方でゼリーを調製した。
(処方)
(1)95%エチルアルコール 10.0 質量%
(2)ジプロピレングリコール 15.0
(3)ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテル 2.0
(4)カルボキシビニルポリマー 1.0
(5)苛性ソーダ 0.15
(6)L−アルギニン 0.1
(7)Boesenbergia regalis全草50%エタノール水溶液抽出物 0.1
(8)2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 0.05
(9)エチレンジアミンテトラアセテート・3ナトリウム・2水 0.05
(10)メチルパラベン 0.2
(11)香料 適量
(12)イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解し水相とする。次いで、95%エチルアルコールに植物抽出物(7)、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。さらに、苛性ソーダおよびL−アルギニンを除くその他の成分を加えた後、苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘し、ゼリーを調製した。
【0089】
〔実施例7〕美容液
以下に示す処方で美容液を調製した。
(処方)
<A相>
(1)エチルアルコール(95%) 10.0 質量%
(2)ポリオキシエチレン(20モル)オクチルドデカノール 1.0
(3)パントテニールエチルエーテル 0.1
(4)Boesenbergia regalis全草エタノール抽出物 0.01
(5)Aquilaria crassna枝30%1,3−ブタンジオール抽出物 0.1
(6)メチルパラベン 0.15
<B相>
(7)水酸化カリウム 0.1
<C相>
(8)グリセリン 5.0
(9)ジプロピレングリコール 10.0
(10)亜硫酸水素ナトリウム 0.03
(11)カルボキシビニルポリマー 0.2
(12)精製水 残余
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を行い美容液を調製した。
【0090】
〔実施例8〕パック
以下に示す処方でパックを調製した。
(処方)
<A相>
(1)ジプロピレングリコール 5.0 質量%
(2)ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 5.0
<B相>
(3)Boesenbergia regalis全草エタノール抽出物 0.05
(4)Lepisanthes fruticosa枝アセトン抽出物 0.05
(5)オリーブ油 5.0
(6)酢酸トコフェロール 0.2
(7)エチルパラベン 0.2
(8)香料 0.2
<C相>
(9)亜硫酸水素ナトリウム 0.03
(10)ポリビニルアルコール 13.0
(ケン化度90、重合度2,000)
(11)エタノール 7.0
(12)精製水 残余
(製法)
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加えたのち充填を行いパックを調製した。
【0091】
〔実施例9〕固形ファンデーション
以下に示す処方で固形ファンデーションを調製した。
(処方)
(1)タルク 43.1 質量%
(2)カオリン 15.0
(3)セリサイト 10.0
(4)亜鉛華 7.0
(5)二酸化チタン 3.8
(6)黄色酸化鉄 2.9
(7)黒色酸化鉄 0.2
(8)スクワラン 8.0
(9)イソステアリン酸 4.0
(10)モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
(11)オクタン酸イソセチル 2.0
(12)Cinnamomum ilicioides枝70%エタノール抽出物 0.01
(13)Fagraea fragrans枝30%エタノール抽出物 0.01
(14)防腐剤 適量
(15)香料 適量
(製法)
(1)〜(7)の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これに(8)〜(11)の油性成分および(12)〜(15)を加え良く混練した後、容器に充填、成型し固形ファンデーションを調製した。
【0092】
〔実施例10〕乳化型ファンデーション(クリームタイプ)
以下に示す処方で乳化型ファンデーション(クリームタイプ)を調製した。
(処方)
<粉体部>
(1)二酸化チタン 10.3 質量%
(2)セリサイト 5.4
(3)カオリン 3.0
(4)黄色酸化鉄 0.8
(5)ベンガラ 0.3
(6)黒色酸化鉄 0.2
<油相>
(7)デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
(8)流動パラフィン 4.5
(9)ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
<水相>
(10)精製水 50.0
(11)1,3−ブタンジオール 4.5
(12)Boesenbergia regalis全草エタノール抽出物 0.01
(13)Cinnamomum ilicioides枝50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.01
(14)Aquilaria crassna枝50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.05
(15)ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
(16)防腐剤 適量
<香料>
(17)香料 適量
(製法)
水相を加熱攪拌後、十分に混合粉砕した粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、攪拌しながら香料を添加して室温まで冷却し乳化型ファンデーションを調製した。
【0093】
〔実施例11〕 クリーム
以下に示す処方でクリームを調製した。
<油相>
(1)スクワラン 15 質量%
(2)流動パラフィン 10
(3)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 5
(4)ジメチルポリシロキサン 2
(5)酢酸トコフェロール 0.05
<水相>
(6)グリセリン 10
(7)1,3−ブタンジオール 2
(8)エリスリトール 1
(9)ポリエチレングリコール1500 5
(10)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
(11)Fagraea fragrans枝30%エタノール抽出物 0.01
(12)Boesenbergia regalis全草70%エタノール抽出物 0.001
(13)Cinnamomum ilicioides枝50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.001
(14)Aquilaria crassna枝70%1,3−ブタンジオール抽出物 0.001
(15)Lepisanthes fruticosa70%エタノール抽出物 0.001
(16)パラオキシ安息香酸エステル 適量
<ポリマー類>
(17)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
(18)ポリビニルアルコール 0.1
(19)カルボキシビニルポリマー 0.2
(20)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−2) 0.1
(21)精製水 残余
<中和剤>
(22)水酸化カリウム 0.1
(製法)
水相を混合後、一部の水にあらかじめ溶解したポリマー類を加えて均一に混合した。次にこれに油相混合物を添加し、ホモミキサー処理した。少量の水に溶解した中和剤を加えながら均一に混合してクリームを調製した。
【0094】
〔実施例12〕クリーム
以下に示す処方でクリームを調製した。
<油相>
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 13 質量%
(2)ドデカメチルシクロヘキサシロキサン 12
(3)ジメチルポリシロキサン 3
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1
(5)酢酸トコフェロール 0.1
(6)ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1.5
(7)トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル 0.1
(8)香料 適量
<粉末>
(9)トリメチルシロキシケイ酸 2
(10)黄酸化鉄 適量
<水相>
(11)ポリエチレングリコール6000 5
(12)ジプロピレングリコール 5
(13)グリセリン 3
(14)エタノール 2
(15)イソプロパノール 1
(16)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(17)ポリビニルアルコール 0.1
(18)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
(19)エデト酸三ナトリウム 0.05
(20)Boesenbergia regalis全草70%エタノール抽出物 0.01
(21)Cinnamomum ilicioides枝50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.001
(22)Aquilaria crassna枝70%1,3−ブタンジオール抽出物 0.001
(23)Lepisanthes fruticosa 70%エタノール抽出物 0.001
(24)Fagraea fragrans枝30%エタノール抽出物 0.001
(25)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(26)精製水 残余
(製法)
油相をよく混合した後、粉末を加えて均一に分散させた。これにあらかじめ混合しておいた水相を添加してホモミキサー処理を行い、クリームを調製した。
【0095】
〔実施例13〕化粧水
(1)グリセリン 2 質量%
(2)1,3−ブチレングリコール 4
(3)エリスリトール 1
(4)ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(6)Boesenbergia regalis全草70%エタノール抽出物 0.01
(7)Cinnamomum ilicioides枝50%1,3−ブタンジオール抽出物 0.01
(8)Aquilaria crassna枝70%1,3−ブタンジオール抽出物 0.01
(9)クエン酸 0.02
(10)クエン酸ナトリウム 0.08
(11)フェノキシエタノール 適量
(12)N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・
DL−ピロリドンカルボン酸 0.1
(13)精製水 残余
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】抗老化試験5におけるヒアルロン酸産生促進率を示す図である。
【図2】潤いアミノ酸産生試験におけるArginase活性促進効果を示す図である。
【図3】痩身試験におけるリポプロテインリパーゼの阻害効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を配合してなることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
前記植物抽出物を、溶媒を除去した乾燥質量換算で0.00001〜0.1質量%配合することを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有してなることを特徴とする美白剤。
【請求項4】
クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有してなることを特徴とする抗老化剤。
【請求項5】
クスノキ科(Lauraceae)ニッケイ属植物のシンナモナム・イリシオイデス(Cinnamomum ilicioides)、マチン科(Loganiaceae)ファグラエア属植物のファグラエア・フラグランス(Fagraea fragrans)、ムクロジ科(Sapindaceae)レピサンセス属植物のレピサンセス・フルティコーサ(Lepisanthes fruticosa)、ショウガ科(Zingiberaceae)ボエセンベルギア属植物のボエセンベルギア・レガリス(Boesenbergia regalis)、ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae)ジンコウ属植物のアクイラリア・クラッスナ(Aquilaria crassna)、マメ科(Leguminosae)プテロカルプス属植物のプテロカルプス・インディカス(Pterocarpus indicus)から選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有してなることを特徴とする抗酸化剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−6708(P2010−6708A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164053(P2008−164053)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(507233408)ナショナル サイエンス アンド テクノロジー ディベロープメント エイジェンシー (3)
【Fターム(参考)】