説明

皮膚外用剤

【課題】イソフラボンを含み、コラーゲン産生促進作用、メラニン産生抑制作用、皮膚ターンオーバー促進作用の各作用があり、安全性を有しかつ皮膚刺激性のないプロポリスの抽出物を含有する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】マメ科ツルサイカチ属に分類されるダルベルギア・エカストフィラム(Dalbergia ecastophyllum(L)Taub.)を起源植物とし、イソフラボンを含むプロポリスの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。皮膚外用剤は、化粧品であることを特徴とする皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢、紫外線暴露、ストレス等により生ずるシワ、タルミ等の皮膚症状を予防・改善するプロポリスの抽出物を含有する新規な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プロポリスは、ミツバチが植物から集めた花粉、樹液等の諸物質に自らの分泌物を混合して産生され、ミツバチの巣房を構成する素材の一つとして知られる樹脂状物質で、その主要成分として、フラボノイド、ミネラル、アミノ酸、ビタミン、ミツロウ、芳香油、有機酸等を含み、起源植物によりポプラ系プロポリスとユーカリ系プロポリスに大別される。プロポリスに含まれる成分は、起源植物の種類により異なるとされるが、いずれもフラボノイドの生理作用により免疫賦活作用、抗酸化作用、アンチエイジング作用、消炎作用、抗腫瘍作用、抗菌作用、抗ウイルス作用、鎮痛作用等があるとされる。従来より、プロポリスの抽出物に関する提案があり、フラボノイド含有量の高められた水溶性プロポリス粉末(特許文献1参照)やフラボノイドの含有量を保有しつつ、脂質等の高分子不溶物の量を低減させたプロポリス剤(特許文献2参照)がある。
【0003】
ところで、加齢、紫外線暴露、ストレス等によるシワ、タルミ、皮膚の角化等の皮膚症状を引き起こす機序は、例えば紫外線による繊維芽細胞の遺伝子の損傷による機能低下やコラーゲンやエラスチン等の繊維性タンパク質を切断する酵素MMPsのmRNAwを亢進させ、その結果起きるマトリックス繊維の減少や分解によることが解明されている。また、シミ、ソバカスの発生は、紫外線刺激により色素細胞のメラニン合成の亢進、細胞数の増加が起き、角化細胞が積極的にメラノソームを取り込むことによる色素班の色調が濃くなり、老化による皮膚ターンオーバーの恒常性不良と相まって起こる。このような皮膚症状に有効な皮膚外用剤の研究は各方面で精力的に行われ、効果的な素材が数多く報告されている。例えば動物起源の抽出物であったり、植物中の成分や微生物由来の成分等多岐に亘り、近年ではコエンザイムQ10が注目されている。また、プロポリスの抽出物を含有する化粧料の提案もあり、プロポリス含有組成物を配合する化粧料(特許文献3参照)やプロポリス抽出物及びフェノキシエタノールを含有する化粧料(特許文献4参照)がある。更に、フラボノイドの一種のイソフラボンは、女性ホルモン様の作用を有し、皮膚、骨、血管、前立腺等に分布するエストロゲン受容体の内のβ型受容体(ERβ)に強く結合する性質を有し、皮膚においてチロシナーゼ阻害作用、メラニン生成抑制、コラーゲン繊維やヒアルロン酸の生成の促進によるシワ、キメ改善作用の他、皮膚への反復塗布により皮脂腺サイズを減少させることが解明されている。
【特許文献1】特開平10−179057号公報(請求項4、〔0017〕表)
【特許文献2】特開平8−214798号公報(請求項3、〔0034〕表2)
【特許文献3】特開平9−67243号公報(請求項1、〔0004〕、〔0012〕)
【特許文献4】特開平11−302147号公報(請求項1、〔0003〕、〔0024〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載されるプロポリスに含まれるフラボノイドは、いずれもフラボノイドの一種のフラボノール又はフラボンに関するものであり、これまでにイソフラボンを含むプロポリスの抽出物は知られていない。特許文献3に記載される化粧料は、ふけの防止、発毛等に有用な化粧料に関し、特許文献3に記載の化粧料は十分な防腐効果と安全性のある化粧料に関し、これまでにシワ、タルミ、皮膚の角化、シミ、ソバカス等の皮膚症状に効果のあるプロポリスの抽出物を含有する皮膚外用剤は知られていない。また、従来のプロポリスの抽出物は、皮膚刺激があり、外用にし難いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、イソフラボンを含み、コラーゲン産生促進作用、メラニン産生抑制作用、皮膚ターンオーバー促進作用の各作用があり、安全性を有しかつ皮膚刺激性のないプロポリスの抽出物を含有する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、イソフラボンの生理活性に着目し、ダルベルギア・エカストフィラム(Dalbergia ecastophyllum(L)Taub.)を起源植物とするプロポリスを探索した結果、本発明を完成した。すなわち、請求項1に記載の発明は、マメ科ツルサイカチ属に分類されるダルベルギア・エカストフィラム(Dalbergia ecastophyllum(L)Taub.)を起源植物とし、イソフラボンを含むプロポリスの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤を要旨とする。この発明において、抽出物をエタノールと水との混合溶媒により抽出してもよい。
【0007】
上記の皮膚外用剤は化粧品でもよい。該化粧品は、美白料、整肌料あるいは賦活料でもよい。
【0008】
上記の皮膚外用剤は医薬部外品でもよい。
【0009】
上記の皮膚外用剤は外用医薬でもよい。該外用医薬は、皮膚ターンオーバー促進作用を有するものでもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚外用剤は、コラーゲン産生促進作用、メラニン産生抑制作用、皮膚ターンオーバー促進作用の各作用があり、しかも安全性を有しかつ皮膚刺激性がないので、美白効果、皮膚の保湿力の向上による肌のハリやみずみずしさが得られ、またシワ、タルミ、乾燥肌、肌荒れ、日焼けの予防・改善を図ることができ、化粧品、医薬部外品あるいは外用医薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の皮膚外用剤に含有されるプロポリスの抽出物は、マメ科ツルサイカチ属に分類されるダルベルギア・エカストフィラム(Dalbergia ecastophyllum(L)Taub.)を起源植物とし、該起源植物の樹液を含むプロポリスを抽出することにより得ることができる。このプロポリスは、ブラジル北東部のアラゴーアス州等に分布するダルベルギア・エカストフィラム(Dalbergia ecastophyllum(L)Taub.)の樹液をミツバチが集めて産生されるもので、プロポリスが通常褐色又は暗黄色であるのに対し赤色であるため、レッドプロポリスと通称される。本発明で抽出されるプロポリスは、ミツバチがダルベルギア・エカストフィラム(Dalbergia ecastophyllum(L)Taub.)の樹液を集めて産生したものである限り、上記のブラジル産に限定されるものではない。
【0012】
プロポリスの抽出物の製造は、上記のプロポリスの原塊を破砕して原塊粉砕物とし、これを抽出溶媒により抽出することにより行われる。抽出溶媒は、イソフラボンを抽出成分として抽出できれば特に限定はないが、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合溶媒、米油やナタネ油等の植物油、ミリスチンサンオクチルドデシル等の合成油、あるいはこれらの混合溶媒を例示できる。有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のポリオール類、これらのアルコールと水混合溶媒を用いることもできる。これらの中でも、エタノールと水との混合溶媒が好ましく、水比率は5容量%〜90容量%が好ましく、30容量%〜60容量%がより好ましい。水比率が5容量%未満になると樹脂、ロウ、有色物質、異臭物質等を溶解含有するようになり、水比率が90%容量を越えると、イソフラボンの抽出効率が低くなる。抽出溶媒は、プロポリスの原塊粉砕物の1重量部に対し、2重量部以上、7重量部以下が好ましい。2重量部未満であると抽出効率が低下し、7重量部を越えるとプロポリスのイソフラボン等の生理活性成分以外が溶出してくる可能性がある。また、抽出の際の温度は、20℃以上70℃以下が好ましい。20℃未満では抽出効率が低下し、70℃を越えると抽出溶媒中の有機溶媒が揮発し抽出効率に影響したり、活性成分の低下の可能性がある。
【0013】
次いで、上記で得たプロポリスの抽出液を遠心分離、ろ過、これらの組み合わせ等により固液分離を行うことが好ましい。プロポリスの抽出物は、抽出液としてそのままで皮膚外用剤に供することができるが、減圧や限外ろ過法等により濃縮液としてもよく、また真空凍結乾燥機やスプレードライヤーによりパウダー化することもできる。
【0014】
本発明に係るプロポリスの抽出物は、イソフラボンを含む。イソフラボンは、アグリコン型の方が配糖体型に比べて生物学的利用率が高く、この傾向は経皮吸収の場合も同様であるとの報告もあるため、プロポリスに含まれるイソフラボンはミツバチの体内での代謝を経由するためその殆どがアグリコン型になっており高い利用率が期待できる。本発明の皮膚外用剤は、イソフラボンを含むことにより、コラーゲン産生促進作用、メラニン産生抑制作用、皮膚ターンオーバー促進作用を有する。これらの作用により、美白効果や皮膚の保湿力の向上による肌のハリやみずみずしさが得られ、またシワ、タルミ、乾燥肌、肌荒れ、日焼けの予防・改善を図ることができる。したがって、本発明の皮膚外用剤は、基礎化粧品はもちろんのこと、メークアップ化粧品、頭髪用化粧品、トイレタリー製品の化粧品、浴用剤や薬用化粧品の医薬部外品として使用するできる。特に、基礎化粧品として美白料、整肌料あるいは賦活料として有用である。また、皮膚ターンオーバー促進作用があるので、例えば、火傷等の皮膚に損傷を受けた皮膚症状に用いる外用医薬として供することも可能である。
【0015】
本発明の皮膚外用剤が使用できる化粧品としては、化粧水、乳液、美容液、一般クリーム、クレンジングクリーム等の洗顔料、パック、髭剃り用クリーム、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼けローション、化粧石鹸、ファンデーション、おしろい、パウダー、口紅、リップクリーム、アイライナー、アイクリーム、アイシャドウ、マスカラ、浴用化粧品、シャンプー、リンス、染毛料、頭髪用化粧品等、各種化粧品に利用可能である。その配合量は化粧品組成物中、0.001〜100質量%(原液)含むことができるが好ましくは0.01〜10質量%である。
【0016】
本発明の皮膚外用剤には、通常、化粧品、医薬部外品、医薬の皮膚外用剤において使用されている基剤、薬剤、あるいは添加剤の中から用途に適したものを特に限定なく任意に配合して製造することができる。例えば、コラーゲン、コラーゲン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、エラスチン、エラスチン加水分解物、ラクトフェリン、ケラチン、ケラチン加水分解物、カゼイン、アルブミン、ローヤルゼリー由来タンパク加水分解物等の蛋白質及び蛋白質の加水分解物を例示できる。以下、その他に配合できる基剤、薬剤、添加剤等を例示する。
【0017】
ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、グアーガム、アルギン酸及びその塩、ペクチン、コンドロイチン硫酸及びその塩、水溶性キチン、キトサン誘導体及びその塩、デオキシリボ核酸、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然高分子及びそれらの誘導体。
【0018】
甘草エキス、アロエエキス、カモミラエキス、シソエキス等の植物抽出物。酵母エキス等の微生物由来物。海藻末や海藻エキス。プラセンタエキス等の動物由来物。カルボキシビニルポリマー及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース及びその塩等の酸性ポリマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースポリビニルメチルエーテル等の中性ポリマー。
【0019】
カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、カチオン化グアーガム等のカチオン性ポリマー。エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類。パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、アントラニエール酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤。
【0020】
ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、リン酸L−アスコルビルマグネシウム及びその誘導体、ビタミンD群、酢酸d−α−トコフェノール、ビタミンE群、葉酸類、β−カロチン、γ−オリザノール、ニコチン酸、パントテン酸類、ビオチン類、フェルラ酸等のビタミン類。
【0021】
グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズレン及びその誘導体、アラントイン等の抗炎症剤。ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアセレテン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、パラヒドロキシアニソール、没食子プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール等の抗酸化剤。
【0022】
パラ安息香酸メチル、パラ安息香酸エチル、パラ安息香酸プロピル、パラ安息香酸ブチル等のパラ安息香酸エステル類、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、フェノキシエタノール、安息香酸等の防腐剤。
【0023】
エデト酸、エデト酸二ナトリウム等のエデト酸及びその塩類、フィチン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸等の金属イオン封鎖剤。
【0024】
グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類。L−アスパラギン酸、DL−アラニン、L−アルギニン、L−システイン、L−グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸類及びその塩。
【0025】
マルチトール、ソルビトール、キシロビオース、N−アセチル−D−グルコサミン、蜂蜜等の糖類。クエン酸、乳酸、α−ヒドロキシ酢酸、ピロリドンカルボン酸等の有機酸類及びその塩類。
【0026】
アンモニア水、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基類。流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類。
【0027】
オリーブ油、ヤシ油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油等の油脂類。ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類。
【0028】
ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類。ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、トリオクタン酸グリセリン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル等のエステル類。レシチン及びその誘導体等のリン脂質類。
【0029】
ウシ骨髄脂やウシ脳脂質等の動植物由来脂質。ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸塩。
【0030】
ポリオキシエチレン(2EO)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(なお、EOはエチレンオキサイドでEOの前の数値はエチレンオキサイドの付加モル数を示す。)、ポリオキシエチレン(3EO)アルキル(炭素数11〜15のいずれか又は2種以上の混合物)エーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキル硫酸塩。
【0031】
ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸塩。
【0032】
ポリオキシエチレン(3EO)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩。
【0033】
ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ラウロイルメチル-L-グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸-L-グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸-L-グルタミン酸トリエタノールアミン。ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩、エーテル硫酸アルカンスルホン酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ウンデシノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オクチルフェノキシジエントキシエチルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸アミノスルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(炭素鎖12〜15)エーテルリン酸(8〜10EO)、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤。
【0034】
塩化ステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤。
【0035】
2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチル−DL−ピロリドンカルボン酸塩等の両性界面活性剤。
【0036】
ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14)エーテル(7EO)、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール・ラノリン(40EO)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル等のノニオン性界面活性剤。
【0037】
イソステアリン酸ジエタノールアミド、ウンデシレン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、牛脂脂肪酸モノエタノールアミド、硬化牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸エタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸エタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラノリン脂肪酸ジエタノールアミド等の増粘剤。
【0038】
鎖状又は環状メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンポリエチレングリコール共重合体、ジメチルポリシロキサンポリプロピレン共重合体、アミノ変性シリコンオイル、第四級アンモニウム変性シリコンオイル等のシリコンオイル。チオグリコール酸及びその塩。システアミン及びその塩。過酸化水素、過硫酸塩、過ほう酸塩、過酸化尿素等の過酸化物。臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム等の臭素酸塩。
【0039】
その他、pH調整剤、着色料、香料、安定化剤、清涼剤、血流促進剤、角質溶解剤、収斂剤、創傷治療剤、増泡剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、抗アレルギー剤、細胞賦活剤と共に配合することもできる。
【実施例】
【0040】
次いで、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕(プロポリスの抽出物の製造)
プロポリスの原塊100gを粗砕し、エタノール:精製水1:1の混液600mlに浸漬し、還流冷却器を付した三角フラスコ中で約1時間加熱還流抽出した。冷却後、高速遠心分離機を用いて固液分離し上澄液を回収した。更に0.45μmのメンブランフィルターを用いて上澄液をろ過し澄明な抽出液(抽出物)を得た。乾燥パウダーは、抽出液を真空凍結乾燥機を用いて製した。
【0042】
〔実施例2〕(プロポリスの抽出物中のイソフラボンの定量)
実施例1で得られたプロポリスの抽出物2mlを採りメタノールで50mlにメスアップした。次いで、これを0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、HPLCにて定量を行った。
HPLCの操作条件等は、下記及び表1に示した。また、HPLCの結果を表2及び図1に示した。なお、表2はプロポリスの抽出物100g当たりのイソフラボンの量を示す。
〈HPLC操作条件〉
カラム:Develosil ODS-HG-5(4.6×250mm、5μm)
流速:1mL/min
分析時間:45min
注入量:10μL
検出器:Jasco UV-2075 Plus
UV:268nm
ポンプ:Jasco PU-2089 Plus
カラムオーブン:Jasco Co-2060 Plus
移動相条件:表1によるグラジェント
A:メタノール:水:酢酸=30:70:1(v/v/g)
B:メタノール:水:酢酸=90:10:1(v/v/g)
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
表2及び図1より明らかなように、プロポリスの抽出物はイソフラボンのフォルモノネチン、ビオカニンAが含まれていた。
【0046】
〔実施例3〕(プロポリスの抽出物の急性経口投与毒性試験)
上記で得られたプロポリスの抽出物を、Sprague Dawley (Sam:TacN SDBR) 系雌雄ラットに単回急性経口投与して、その毒性を観察すると共に概略の致死量を検討を行った。被験物質の投与量は2000ml/kgの1用量とし、対照群には2000ml/kgの注射用水を投与した。
【0047】
上記の結果、被験物質投与群及び対照群の名群雌雄全例には観察期間を通じて死亡例は無く、一般状態の変化も認められなかった。また両群とも全例に順調な体重増加が認められた。生存動物の計画剖検では、被験物質投与群及び対照群の名群雌雄全例に異状は認められなかった。この結果から、プロポリスの抽出物のラットにおける単回経口投与毒性試験において、被験物質によると考えられる毒性徴候は観察されず、概略の致死量は雌雄ともに2000ml/kg以上で、プロポリスの抽出物は安全性が高いものと判断された。
【0048】
〔実施例4〕(プロポリスの抽出物の皮膚一次刺激試験)
体重2.8kg前後(20週令)の雌性日本白色家兎3羽を用い、試験前日に背部皮膚を正中線を挟んで12x12cmの面積で動物用バリカンにてせん毛した。兎を固定し、一ヶ所当たり0.03mlの割合で2x2cmの四角にプロポリスの抽出物を滴下した。判定は、適用後24、48、72時間に一次刺激性の評点法により、紅班及び浮腫を指標として行った。
【0049】
上記の結果、プロポリスの抽出物の適用後24、48、72時間に亘る判定の結果、何らの紅班も浮腫も認められなかった。したがって、プロポリスの抽出物の皮膚一次刺激試験は陰性であると判断された。
【0050】
〔実施例5〕(プロポリスの抽出物のコラーゲン産生促進作用の検討)
ヒト正常繊維芽細胞W1-38を用いてELISA法により、プロポリスの抽出物のコラーゲン産生作用を検討した。
【0051】
10%FBS添加DMEM培地に懸濁させたW1-38細胞をコンフルエントになるまで(48時間)培養した。培地を捨てPBSにて3回洗浄した細胞に、予めプロポリスの抽出物の凍結乾燥パウダーを所定濃度添加したDMEM培地(FBS無添加)を加えて48時間培養し、培地中に分布したコラーゲン量をTAKARA Procollagenn typeIC-Peptide(PIP)EIA Kit(タカラバイオ株式会社)を用いて測定した。なお、コントロールは、プロポリスの抽出物の乾燥パウダー無添加区とした。結果は図2に示した。
【0052】
図2では、コントロール区と比べてプロポリスの抽出物の添加区ではコラーゲン産生量が多く、その濃度に比例してコラーゲン産生量は増加していた。プロポリスの抽出物が1000ppm濃度においては、対コントロール比で200%を超える値となった。したがって、プロポリスの抽出物が繊維芽細胞のコラーゲン産生を促進することが明らかとなった。
【0053】
〔実施例6〕(プロポリスの抽出物のメラニン生成抑制作用の検討)
B16 melanoma 4A5細胞にプロポリスの抽出物を所定量添加した培地で7日間に亘って培養を行った。培養後の細胞を遠心分離し、細胞ペレットの状態を遠沈管底部より観察した。結果は、図3に示した。
【0054】
図3より明らかなように、プロポリスの抽出物は濃度依存的に細胞の黒色化を抑制した。したがって、プロポリスの抽出物にはメラニン生成抑制作用があり、美白効果があることが判明した。
【0055】
〔実施例7〕(プロポリスの抽出物の皮膚ターンオーバー促進作用(新陳代謝促進効果)の検討)
蛍光試薬ダンシルクロライドを含んだワセリンを24時間に亘って上腕部にクローズドパッチした後、被験部にプロポリスの抽出物の原液を一日2回塗布しダンシルクロライドの蛍光輝度の消失度を観察した。
【0056】
上記の結果、無処理区に比較してプロポリスの抽出物の塗布部では残存するダンシルクロライドによる輝度が低く、プロポリスの抽出物を塗布することにより皮膚ターンオーバーが促進され、肌荒れ、肌の乾燥、シミ、クスミ等を軽減させることが可能であることが判明した。
【0057】
〔実施例8〕(化粧水の調製及び官能試験)
下記の表3に示す処方による組成物を80℃で攪拌後室温に冷却し、化粧水を調製し実施品とした。得られた化粧水はいずれも安定なものであった。また、プロポリスの抽出物を添加しないこと以外は表3と同様に化粧水を調整しこれを比較品とした。この化粧水について、専門パネラー5名による官能試験を行った。評価は下記の項目について5段階の評点評価を実施した。表4に5名のパネラーの評点の平均を示した。
(1)肌のしっとり感
1.かさつく
2.ややかさつく
3.普通
4.ややしっとりする
5.しっとりする
(2)肌の滑らかさ
1.ざらつく
2.ややざらつく
3.普通
4.やや滑らか
5.滑らか
(3)肌のべたつき
1.べたつく
2.ややべたつく
3.普通
4.ややさっぱり
5.さっぱり
【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
表4から、実施品は比較品に比し、保湿性と皮膚平滑性が得られることが判明した。
【0061】
〔実施例9〕(ローションの調製及び官能試験)
下記の表5に示す処方により、精製水に(4)、(7)、(8)、(9)及び(10)を加えて加熱溶解し、別に(1)、(2)、(3)、(5)、(6)、(11)を70℃に加温して混合した。この油相を先に調整した水層に加えてホモミキサーをもちいて乳化した後、脱気、冷却してローションを調製し、実施品とした。また、プロポリスの抽出物を添加しないこと以外は表5と同様にローションを調整しこれを比較品とした。
【0062】
【表5】

【0063】
パネラーの評価は、実施品が比較品に比し、よりしっとり感が感じられるローションであるとの評価であった。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】プロポリスの抽出物のHPLCクロマトグラムである。
【図2】プロポリスの抽出物のコラーゲン産生をコントロールに対する比(%)で示したグラフである。
【図3】細胞ペレットの状態を遠沈管底部より観察した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マメ科ツルサイカチ属に分類されるダルベルギア・エカストフィラム(Dalbergia ecastophyllum(L)Taub.)を起源植物とし、イソフラボンを含むプロポリスの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
抽出物がエタノールと水との混合溶媒により抽出されるものであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
皮膚外用剤が化粧品であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
化粧品が美白料であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
化粧品が整肌料であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
化粧品が賦活料であることを特徴とする請求項3に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
皮膚外用剤が医薬部外品であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
皮膚外用剤が外用医薬であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
皮膚ターンオーバー促進作用を有する外用医薬であることを特徴とする請求項8に記載の皮膚外用剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−260721(P2008−260721A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105132(P2007−105132)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(504443352)有限会社ミールジャパン (6)
【Fターム(参考)】