説明

直動機構

【課題】公知のボール式直動機構よりも高い剛性を発揮できる直動機構を提供する。
【解決手段】本直動機構は、円柱状の軸1と、この軸1に挿通された筒体2と、軸1と筒体2との間隙に予圧状態に介在されたボール3とを備える。そして、軸1の外周面11には多数の小穴5が設けられ、これら小穴5に転動体としてのボール3が回動可能に配置される。ボール3は、小穴5の位置に保持されて、小穴5内ではすべり接触し、筒体2の内周面21とは転がり接触するように構成される。これにより、ボール3は、小穴5に包み込まれるように面当りとなるので、ボール3と軸1との間の接触面積が大きくなり、直動機構の剛性を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸と筒体との間隙に多数の転動体が介在されて軸と筒体とを相対的に軸線方向に移動自在に組み付けられた直動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直動機構として、図9に示すように、軸101とこれに挿通する筒体102との間隙に、リテーナ107に保持したボール103を介在させて、ボール103を軸101の平滑な外周面111と筒体102の平滑な内周面121との間に転がり接触させたボール式の直動機構が知られている。この直動機構は、ボール103によって軸101と筒体102との間の摺動抵抗が低く抑えられて直動往復移動することができる。
【0003】
また、図10に示すように、ボールネジ式の直動機構として、ネジ軸201の外周面とナット202の内周面とに設けられたネジ溝205,206間にボール203を転がり接触させて、ネジ軸201とナット202との間の摺動抵抗を抑えたものがある。
【特許文献1】特公昭62−48089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ボール式直動機構(図9)は、ボール103が軸101の外周面111及び筒体102の内周面121に対してそれぞれに点当りとなって接触面積が小さいため、剛性が低いという問題があった。
また、軸121と筒体102との相対移動に伴ってボール103も移動するため、この際、ボール103が微小なスリップを起こしてリテーナ107が徐々に軸線方向へ位置ズレを起こすことがある。そのため、軸101と筒体102とに対するボール103の接触部分が減少してさらに剛性を低下させる。
【0005】
一方、上記ボールネジ式直動機構(図10)においても、ボール203は各ネジ溝205,206に対して点当りとなって接触面積が小さいため、このものも剛性が低いものである。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上記従来の直動機構よりも高い剛性を発揮できる直動機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る直動機構は、
軸とこの軸に挿通された筒体との間隙に、転動体が予圧状態に介在されて軸が筒体に対し相対的に直動自在に組み付けられた直動機構であって、
軸の外周面又は筒体の内周面に多数の小穴が設けられ、
転動体が各小穴に回動可能に配置されて小穴とこれに対向する周面との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている。
上記構成より、転動体は、小穴に嵌り込んで包み込まれるように面当りとなるので、転動体における接触面積が大きくなる。
また、転動体は、各小穴の位置に保持され位置ズレすることがない。従って、転動体の位置ズレによって軸と筒体とに対する転動体の接触部分が減少して剛性を低下させることもない。
【0008】
(2)本発明に係る直動機構は、
軸とこの軸に挿通された筒体との間隙に、転動体が予圧状態に介在されて軸が筒体に対し相対的に直動自在に組み付けられた直動機構であって、
軸の外周面又は筒体の内周面のいずれか一方には、多数の小穴が、軸線方向に直線状に整列され、且つ周方向に複数列に設けられ、
他方には、凹溝が、小穴の列に対応して軸線方向に直線状に延び、且つ周方向に複数列に設けられ、
転動体が各小穴に回動可能に配置されて小穴と凹溝との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている。
上記構成より、転動体は、小穴に嵌り込んで包み込まれるように面当りとなり、且つ、凹溝にも嵌り込んで面当りとなるので、転動体における接触面積が大きくなる。
また、転動体は、各小穴の位置に保持され位置ズレすることがない。従って、転動体の位置ズレによって軸と筒体とに対する転動体の接触部分が減少して剛性を低下させることもない。
【0009】
(3)上記凹溝の断面形状は、サーキュラーアーク形状又はゴシックアーク形状とすることができる。
凹溝をサーキュラーアーク形状とすることで、凹溝の底部にて転動体が転がり接触される。
一方、凹溝をゴシックアーク形状とすることで、凹溝の各円弧面にて転動体が転がり接触され、荷重が加わっても軸と筒体との間のガタ付きを抑えることができる。
【0010】
(4)本発明に係る直動機構は、
円柱状の軸とこの軸に挿通された筒体との間隙に、転動体となるボールが予圧状態に介在されて軸が筒体に対し相対的に回転して直動自在に組み付けられた直動機構であって、
軸の外周面又は筒体の内周面のいずれか一方には、多数の小穴が、軸線方向に螺旋状に並べて設けられ、
他方には、凹溝が、小穴に対応して軸線方向に螺旋状に設けられ、
ボールが各小穴に回動可能に配置されて小穴と凹溝との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている。
上記構成より、ボールは、小穴に嵌り込んで包み込まれるように面当りとなり、且つ、凹溝にも嵌り込んで面当りとなるので、ボールにおける接触面積が大きくなる。
【0011】
(5)上記転動体は、軸と筒体との間隙に挿通されたリテーナによって回動可能に保持されていてもよい。
これにより、軸と筒体との間の相対的なストロークが長く、転動体が筒体から露出されても、転動体が軸の小穴から脱落することを防止できる。
【0012】
(6)上記小穴は、軸の外周面に設けられ、
軸の内部に油溜め用の中心穴が設けられると共に、この中心穴と各小穴とを連通する連通路が設けられ、
中心穴と各連通路には、潤滑剤を浸み込ませる繊維質材料が充填されて、中心穴の潤滑剤が各小穴の転動体に注油されるように構成されてもよい。
上記構成より、転動体における摩擦抵抗が抑制され、転動体の回動を円滑に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、軸又は筒体に設けた多数の小穴に転動体を配置することにより、転動体における接触面積が大きくなり、その結果、直動機構の剛性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1(a)(b)に示すように、実施の形態1による直動機構は、円柱状の軸1と、この軸1に挿通された筒体2と、軸1と筒体2との間隙に予圧状態に介在されたボール(転動体)3とを備え、軸1が筒体2に対して軸線方向に相対的に直動自在に組み付けられたものである。特に、この直動機構では、軸1の外周面11に多数の小穴5が設けられ、ボール3がこれら小穴5に回動可能に配置されて軸1と筒体2との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている。ボール3は、スチール、ステンレス、セラミック等の球体が使用される。
【0015】
上記小穴5は、軸1の外周面11において、軸線方向に対して角度αに傾けた直線状に整列され、且つ周方向に複数列に配列されている。これにより、軸1の外周面11に多くの小穴5を設けて、ボール3を多く配置することができる。また、各小穴5は、隣の列の小穴5と互い違いとなるように千鳥状に配列され、これにより、多くのボール3が軸1の外周面11に均等に配列される。
【0016】
図2に示すように、軸1に設けられた各小穴5は、ボール3よりやや大き目の概略半球状を有し、ボール3の一部が嵌り込む大きさに形成されている。この小穴5の形状は、同じR(曲率半径)を有する2つの球状凹面50a,50bで形成された、いわばゴシックアーク穴となっている。そして、各球状凹面50a,50bは、ボール3に対して軸1の半径方向より約45度の角度から接触される。各球状凹面50a,50bのR(曲率半径)は、ボール3のR(曲率半径)よりも僅かに大きく設定され、例えば、ボール3が0.5Rとすると0.53R〜0.6Rの範囲に設定される。また、小穴5の深さは、ボール3が上記45度位置に接触される範囲で適宜に設定され、この実施の形態1では、ボール3の約1/3程度が埋め込まれる深さとなっている。そして、ボール3は、予圧状態で小穴5内に嵌り込むので、小穴5の各球状凹面50a,50bに対して面当りとなってすべり接触される。
【0017】
一方、筒体2の内周面21は、平滑面となっており、軸1の各小穴5に配置したボール3が点当りとなって転がり接触される。そして、軸1の小穴5底部と筒体2の内周面21との間隙は、ボール3の直径よりも僅かに狭く設定されるので、軸1に筒体2を挿通すると、各ボール3に予圧が付与される。このボール3への予圧量としては、例えば、3μm〜10μmの範囲で設定できる。
【0018】
なお、ボール3を組み込む際は、潤滑剤でボール3を小穴5に付着させるか、冶具等でボール3を小穴5に保持させる等して、筒体2を軸1に挿通させる。あるいは、後述するリテーナによってボール3を保持させて、筒体2を軸1に挿通させて組み付けてもよい。
【0019】
また、図3に示すように、軸1には、潤滑剤の給油構造として、軸1の中心部に比較的大きな油溜め用の中心穴4が設けられると共に、この中心穴4と各小穴5とを連通する連通路41が設けられ、そして、この中心穴4と各連通路41には、潤滑剤を浸み込ませるフエルト(繊維質材料)F1,F2が充填されている。この連通路41に充填するフエルトF2は、小穴5の底部に有するボール3と非接触の微小空間51に露出させてボール3と接触され(図2参照。)、毛管現象によって中心穴4の潤滑剤が少しずつ各ボール3に注油されるようにしている。なお、連通路41に充填するフエルトF2は、潤滑剤が小穴5内に注油されるのであれば、必ずしもボール3に接触されなくてもよい。このようにして各ボール3に潤滑剤を注油することで、ボール3における摩擦抵抗が抑制され、ボール3の回動が円滑に行われる。
【0020】
以上の構成の直動機構によれば、軸1と筒体2とが相対的に直動すると、ボール3は、軸1の各小穴5の位置に保持されて、小穴5内ではすべり状態で回動し、筒体2の内周面21上では転がる。
この際、ボール3は、軸1の小穴5に嵌り込んで球状凹面50a,50bに包み込まれるように面当りとなっているので、従来例のボール式直動機構のようなボール103と軸101の外周面111とが凸面同士の小さな点当りとなったものと比べ、ボール3と軸1との間の接触面積が大きくなるから、直動機構の剛性を格段に高くすることができる。
また、ボール3は、各小穴5の位置に保持され位置ズレすることがない。従って、ボール3の位置ズレによって軸1と筒体2とに対するボール3の接触部分が減少して剛性を低下させることもない。
【0021】
また、各ボール3は、軸1の小穴5内に埋め込まれるので、従来例のボール式直動機構と同じ外径サイズ(筒体2の外径)を保ち、径の大きいボール3を使用することができる。これにより、径の小さいボールを使用したときと比べ、ボール3の1個当りの表面積が大きくなって軸1の小穴5との接触面積が大きくなるから(小穴5も大きくなる)、さらに直動機構の剛性を高くすることができる。
さらに、この直動機構は、剛性が高くなるから、従来例よりも予圧量を小さくすることでボール3の接触部での摩耗を低減して耐久性を向上することができる。
【0022】
なお、各ボール3は、必要に応じてリテーナ(図示せず)によって回動可能に保持するようにしてもよい。このリテーナとしては、例えば、周壁にボール3を回動可能に保持する窓孔が設けられた樹脂製等の筒部材で構成される。これにより、軸1と筒体2との相対的な直動ストロークが長く、ボール3が筒体2から露出されても、軸1の小穴5からボール3が脱落することを防止できる。なお、軸1と筒体2との相対的な直動ストロークが短くボール3が筒体2から露出されない場合は、必ずしもリテーナを設ける必要はない。
【0023】
(実施の形態2)
図4(a)(b)に示すように、実施の形態2の直動機構は、軸1の外周面11における多数の小穴5が、軸線方向に直線状に整列され、且つ周方向に複数列に配列されており、一方、筒体2の内周面21には、凹溝6が、軸1の小穴5の列に対応して、軸線方向に直線状に延び、且つ周方向に複数列に設けられている。ボール3は、予圧状態に各小穴5と各凹溝6との間に配置されて軸1と筒体2との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている。なお、各ボール3は、必要に応じてリテーナ(図示せず)によって回動可能に保持されてもよい。
【0024】
図5に示すように、筒体2の凹溝6の断面形状は、ボール3の一部が嵌り込む円弧状のサーキュラーアーク溝となっており、この凹溝6のR(曲率半径)は、例えば、ボール3のR(曲率半径)よりも1〜5%程度大きく設定される。そして、この凹溝6の底部にボール3が広く接触される。ボール3は、予圧状態で小穴5と凹溝6との間に嵌り込むので、凹溝6に対し円弧状に面当りとなって転がり接触される。その他の構成は、上記実施の形態1と同様である。
【0025】
この実施の形態2の直動機構によれば、軸1と筒体2とは回転が規制されて相対的に直動し、ボール3は、軸1の各小穴5の位置に保持されて、小穴5内ではすべり状態で回動し、筒体2の凹溝6内では転がる。
この実施の形態2では、上記実施の形態1と同様に、ボール3は、軸1の小穴5に包み込まれるように面当りとなり、ボール3と軸1との間の接触面積が大きい。
【0026】
加えて、ボール3は、筒体2の凹溝6に対し円弧状に面当りとなっているので、ボール3と筒体2との間の接触面積も大きくなり、さらに直動機構の剛性を高くすることができる。因みに、筒体2の凹溝6のRをボール3のRよりも1〜5%程度大きくしてボール3を凹溝6に面接触させることで、上記実施の形態1のものと比べ、直動機構の剛性を数倍程度高くすることが可能となる。その他の作用効果は、上記実施の形態1と同様である。
【0027】
(実施の形態3)
図6(a)(b)に示すように、実施の形態3の直動機構は、上記実施の形態2において、筒体2の内周面21に設けた凹溝6の断面形状を、同じR(曲率半径)を有する2つの円弧面60a,60bで形成されたゴシックアーク溝としたものである。各円弧面60a,60bのR(曲率半径)は、ボール3のR(曲率半径)よりも僅かに大きく設定され、例えば、ボール3が0.5Rに対して0.51R〜0.55Rの範囲に設定される。そして、各円弧面60a,60bは、ボール3に対して軸1の半径方向より約45度の角度で接触される。ボール3は、予圧状態で小穴5と凹溝6との間に嵌り込むので、凹溝6に対し円弧状に面当りとなって転がり接触される。その他の構成は、上記実施の形態2と同様である。
【0028】
この実施の形態3の直動機構によれば、軸1と筒体2とは回転が規制されて相対的に直動し、ボール3は、軸1の各小穴5の位置に保持されて、小穴5内ではすべり状態で回動し、筒体2の凹溝6内では転がる。
この実施の形態3では、上記実施の形態2と同様に、ボール3と軸1の小穴5及び筒体2の凹溝6との間の接触面積が大きくなるから、直動機構としての剛性が格段に高くなる。
【0029】
そして、直動に際し、軸1と筒体2との間に回転力(ねじれ)が作用しない場合は、ボール3と小穴5及び凹溝6との間で、軸1の半径方向と平行位置で負荷が受け止められる。従って、ガタ付くことなく高精度に直動することができる。
一方、軸1と筒体2との間に回転力(ねじれ)が作用する場合は、ボール3と小穴5及び凹溝6との間で、軸1の半径方向に対し45度位置で負荷が受け止められる。これにより、スプライン荷重に対してガタ付くことなく、高精度にトルク伝達することも可能となる。
【0030】
ところで、既存のすべり案内式のスプライン軸受機構では、スプライン溝を研削したものでも僅かにガタがあり、高度に直動精度が要求されるものには不向きである。また、既存のボールスプライン軸受機構では、ボール3を循環させるための構造が複雑で高価となる。
これに対して、実施の形態3の直動機構では、上述のとおり、スプライン荷重に対してもガタ付きがなく、しかも簡単な構造で高剛性が発揮され、高精度に直動及びトルク伝達できるスプライン軸受機構が得られる。その他の作用効果、上記実施の形態1と同様である。
【0031】
(実施の形態4)
図7(a)(b)に示すように、この実施の形態4の直動機構は、ボールネジ式の直動機構を構成するものであって、軸1の外周面11には、多数の小穴5が、軸線方向に螺旋状に配列され、一方、筒体2の内周面21には、凹溝6が、軸1の小穴5に対応して軸線方向に螺旋状に設けられている。そして、ボール3は、リテーナ7によって保持され、各小穴5と各凹溝6との間に予圧状態に介在されて軸1と筒体2との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている。なお、軸1と筒体2との相対的なストロークが短く、ボール3が筒体2から露出されない場合には、上記リテーナ7は、設けなくてもよい。
【0032】
図8に示すように、筒体2の内周面21に設ける凹溝6の断面形状は、同じR(曲率半径)を有する2つの円弧面60a,60bで形成されたゴシックアーク溝となっており、各円弧面60a,60bは、軸1の小穴5の各球状凹面50a,50bと対面されている。そして、ボール3は、各円弧面60a,60bに対して約45度の角度で転がり接触され、各球状凹面50a,50bに対して約45度の角度ですべり接触される。その他の構成は、上記実施の形態1,3と同様である。
【0033】
この実施の形態4の直動機構によれば、ボールネジとして例えば軸1が回転されて筒体2が直動すると、ボール3は、軸1の各小穴5の位置に保持され、小穴5内ではすべり状態で回動し、筒体2の凹溝6内では転がる。
この際、ボール3は、予圧が付与され軸1の小穴5に嵌り込んで包み込まれるように面当りとなってボール3と軸1との間の接触面積が大幅に大きくなるから、従来のボールネジ(図10)のように、ボール203が、軸201のネジ溝205に対して点当りで転がり接触されるものと比べ、直動機構の剛性を格段に高くすることができる。
【0034】
また、ボール3と軸1の小穴5及び筒体2の凹溝6とは約45度の角度で接触されている。従って、軸1の直動に際し軸1と筒体2との間に作用するスラスト力に対して、ボール3と軸1の小穴5及び筒体2の凹溝6との間で45度位置に負荷が受け止められる。これにより、スラスト荷重に対してガタ付くことなく高剛性が発揮され、高精度に直動可能なボールネジ機構が得られる。その他の作用効果は、上記実施の形態1と同様である。
【0035】
以上のとおり、本発明は、上記各実施の形態として示されるが、これら実施の形態のみに限定されず、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上記小穴5は、筒体2の内周面21に設けるようにしてもよい。この場合、実施の形態2〜4では、凹溝6を軸1の外周面11に設けることとなる。
また、上記小穴5は、ボール3のRよりも僅かに大きいRを有する、いわばサーキュラーアーク穴としてもよい。
また、実施の形態1〜3では、ボール3に代えて、各種のローラ(円柱状、太鼓状、鼓状などのローラ)を用いてもよい。この場合、小穴5や凹溝6は、ローラの形状と合わせる必要がある。
また、本直動機構は、例えば、半導体製造装置の昇降機、金型ダイセット、ロボットアーム、テーブル搬送装置などの各種機械設備の直動機構に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1による直動機構の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1の直動機構において、ボールを配置する小穴を示す拡大断面図である。
【図3】実施の形態1の直動機構における給油構造を示す断面図である。
【図4】実施の形態2による直動機構の構成を示す断面図である。
【図5】実施の形態2の直動機構において、ボールを配置する小穴及び凹溝を示す拡大断面図である。
【図6】実施の形態3の直動機構において、ボールを配置する小穴及び凹溝を示す拡大断面図である。
【図7】実施の形態4による直動機構の構成を示す断面図である。
【図8】実施の形態4の直動機構において、ボールを配置する小穴及び凹溝を示す拡大断面図である。
【図9】従来のボール式直動機構の構成を示す断面図である。
【図10】従来のボールネジ式直動機構の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 軸
2 筒体
3 ボール(転動体)
4 中心穴
5 小穴
6,6X 凹溝
7 リテーナ
11 外周面
21 内周面
41 連通孔
50a,50b 球状凹面
60a,60b 円弧面
F1,F2 フエルト(繊維質材料)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸とこの軸に挿通された筒体との間隙に、転動体が予圧状態に介在されて軸が筒体に対し相対的に直動自在に組み付けられた直動機構であって、
軸の外周面又は筒体の内周面に多数の小穴が設けられ、
転動体が各小穴に回動可能に配置されて小穴とこれに対向する周面との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている直動機構。
【請求項2】
軸とこの軸に挿通された筒体との間隙に、転動体が予圧状態に介在されて軸が筒体に対し相対的に直動自在に組み付けられた直動機構であって、
軸の外周面又は筒体の内周面のいずれか一方には、多数の小穴が、軸線方向に直線状に整列され、且つ周方向に複数列に設けられ、
他方には、凹溝が、小穴の列に対応して軸線方向に直線状に延び、且つ周方向に複数列に設けられ、
転動体が各小穴に回動可能に配置されて小穴と凹溝との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている直動機構。
【請求項3】
請求項2に記載の直動機構において、
上記凹溝の断面形状は、サーキュラーアーク形状又はゴシックアーク形状とする直動機構。
【請求項4】
円柱状の軸とこの軸に挿通された筒体との間隙に、転動体となるボールが予圧状態に介在されて軸が筒体に対し相対的に回転して直動自在に組み付けられた直動機構であって、
軸の外周面又は筒体の内周面のいずれか一方には、多数の小穴が、軸線方向に螺旋状に並べて設けられ、
他方には、凹溝が、小穴に対応して軸線方向に螺旋状に設けられ、
ボールが各小穴に回動可能に配置されて小穴と凹溝との間ですべり接触及び転がり接触するように構成されている直動機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の直動機構において、
上記転動体は、軸と筒体との間隙に挿通されたリテーナによって回動可能に保持されている直動機構。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の直動機構において、
上記小穴は、軸の外周面に設けられ、
軸の内部に油溜め用の中心穴が設けられると共に、この中心穴と各小穴とを連通する連通路が設けられ、
中心穴と各連通路には、潤滑剤を浸み込ませる繊維質材料が充填されて、中心穴の潤滑剤が各小穴の転動体に注油されるように構成されている直動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−286323(P2008−286323A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132646(P2007−132646)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】