説明

省燃費運転推奨装置

【課題】ユーザの違和感が生じることを防止できる省燃費運転推奨装置を提供すること。
【解決手段】本発明によるエコインジケータ1は、アクセル開度を検出する検出手段3bと、検出手段3bにより検出されたアクセル開度Ac又はアクセル開度Acから換算されたスロットル開度Taが省燃費領域Sから逸脱している場合にユーザに前記逸脱を通知する通知手段3aと、車両の速度を設定速度Vsに維持するようにスロットル開度Tcを制御する制御手段6を備えるとともに、制御手段6がスロットル開度Tcを制御している場合において、検出手段3bが正値のアクセル開度Acを検出したときに、アクセル開度Acから換算されたスロットル開度Taが、制御手段6の制御するスロットル開度Tcよりも小さい場合には、通知手段3aが前記通知を行わないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の車両に適用して好適な省燃費運転推奨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両には、ユーザの利便性の向上と、運転負荷の軽減を目的として、アクセルペダルを踏み続けることなく、設定された速度を維持する機能を有するクルーズコントロールシステムが搭載されることがある。このようなクルーズコントロールシステムにおいては、ユーザが設定した設定速度に基づいて、車両の速度をフィードバック制御しながら設定速度を維持するために、スロットル開度を制御することが行われている。ここで、設定車速はタッチパネルから入力されるものに限られず、設定したい車速になった時点でユーザがスイッチを操作することで、設定車速を設定することとしても良い。
【0003】
このようなクルーズコントロールシステムに併せて、ユーザの省燃費運転を推奨するために、スロットル開度又はアクセル開度の省燃費領域を設定して、アクセル開度又はスロットル開度がこの省燃費領域を逸脱した場合にその逸脱をユーザに通知する、特許文献1に記載されているようなエコインジケータが備えられる場合がある。このエコインジケータにおいては登坂走行時においては、ユーザへの通知を行わない制御が行われている。
【0004】
ここで、このようなクルーズコントロールシステムにおいては、クルーズコントロールによる車両の定速走行時において、例えば登坂走行や追い越し等の必要が生じて、ユーザがアクセルペダルを踏み込んだ場合に、そのアクセル開度から換算されたスロットル開度と、クルーズコントロールによるスロットル開度を比較して、ユーザのアクセルペダルの踏み込みによるスロットル開度の方が大きい場合に、そのスロットル開度を優先させる、いわゆるオーバーライドが行われる。
【特許文献1】特開2006−76415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなエコインジケータにおいては、登坂走行においてアクセルペダルを踏み込む必要がある場合に、アクセルペダルの踏み込み量によっては、アクセル開度により換算されるスロットル開度がクルーズコントロールによるスロットル開度に到達しない領域で、省燃費領域からの逸脱がユーザに通知されて、ユーザの違和感が生じるおそれは回避できる。
【0006】
ところが、前述したオーバーライドが行われた状況において、登坂走行の判定とクルーズコントロールのタイミングのずれに起因して、登坂走行時に省燃費運転からの逸脱がユーザに通知されてしまい、ユーザの違和感が生じるという問題が依然として生じる。加えて、登坂走行以外の要因、例えば、追い越しや、乗員重量の増加や、積載荷重の増加、向かい風等の要因により、ユーザがアクセルペダルを踏み込んでも、その踏み込み量によってはオーバーライドが行われず、ユーザの意志に反して加速しない場合でも、省燃費運転からの逸脱がユーザに通知されてしまい、ユーザの違和感が生じるという問題が依然として生じる。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、ユーザの違和感が生じることを防止できる省燃費運転推奨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明に係る省燃費運転推奨装置は、
アクセル開度を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたアクセル開度又は当該アクセル開度から換算されたスロットル開度が省燃費領域から逸脱している場合にユーザに前記逸脱を通知する通知手段と、
車両の速度を設定速度に維持するようにスロットル開度を制御する制御手段を備えるとともに、
前記制御手段がスロットル開度を制御している場合において、前記検出手段が正値のアクセル開度を検出したときに、当該アクセル開度から換算されたスロットル開度が、前記制御手段の制御するスロットル開度よりも小さい場合には、前記通知手段が前記通知を行わないことを特徴とする。
【0009】
なお、前記省燃費領域とは、エンジンや変速機等の車両特性及び車両の走行抵抗により、車両の速度及びスロットル開度又はアクセル開度に応じて定まる領域である。
【0010】
ここで、前記アクセル開度とは例えば、アクセルペダルの回転軸の回転角度であり、ユーザのアクセルペダルの踏み込み量に比例する値であって、ユーザの加速意志の強さを示すパラメータである。
【0011】
また、前記スロットル開度とは、エンジンを構成する吸気装置に設けられて、エンジンのシリンダに供給される空気量を制御してエンジンの出力を制御するスロットルバルブの開度である。
【0012】
加えて、通常は前記アクセル開度と前記スロットル開度の関係を示す特性曲線においては、前記アクセル開度に対して前記スロットル開度は、特に前記アクセル開度が小さい領域において、アクセルペダル踏み込み時の急激な車両の飛び出しを防止する観点から傾きを小さく設定している。この特性曲線を用いて前記アクセル開度から前記スロットル開度を換算する。
【0013】
また、前記検出手段が正値のアクセル開度を検出した場合とは、ユーザが加速意志を有してアクセルペダルを踏み込んだ場合を示す。また、当該アクセル開度から換算されたスロットル開度が、前記制御手段の制御するスロットル開度よりも小さい場合とは、ユーザのアクセルペダルの踏み込みによる前記アクセル開度から換算されたスロットル開度が、前記制御手段の制御するスロットル開度よりも小さい場合である。つまり、アクセルペダルの踏み込みによる前記アクセル開度から換算されたスロットル開度を、前記制御手段の制御するスロットル開度に優先させる、いわゆるオーバーライドが行われない。
【0014】
ここで、前記制御手段とは、典型的にはクルーズコントロールを制御するクルーズコントロールECUを示し、前記通知手段及び前記検出手段とは、典型的にはエンジンを制御するエンジンECUを示す。
【0015】
また、前記省燃費領域からの前記検出手段により検出されたアクセル開度又は当該アクセル開度から換算されたスロットル開度の逸脱を通知する前記通知手段は、典型的には、逸脱しない場合に点灯し、逸脱している場合に消灯するランプを用いることにより構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの違和感が生じることを防止できる省燃費運転推奨装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明に係わるエコインジケータの一実施形態を示す模式図であり、図2は本発明に係わるエコインジケータの一実施形態の制御に用いられる模式マップ図であり、図3は本発明に係わるエコインジケータの一実施形態の制御に用いられる模式マップ図である。
【0019】
このエコインジケータ1は、アクセルペダルセンサ2と、エンジンECU3(Electronic Control Unit)と、スロットルバルブアクチュエータ4と、車速センサ5と、クルーズコントロールECU6(Electronic Control Unit)と、タッチパネル7と、ランプ8を備えて構成される。エンジンECU3はCAN(Controller Area Network)等の通信規格によりクルーズコントロールECU6に接続される。エコインジケータ1は省燃費運転推奨装置を構成する。
【0020】
アクセルペダルセンサ2は、図示しないアクセルペダルの回転軸に設けられる回転角センサであり、回転軸の角度すなわちアクセルペダルの踏み込み量を検出して、エンジンECU3にその検出結果を出力するものである。
【0021】
エンジンECU3は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものである。また、エンジンECU3は、ランプ8の滅灯によりユーザに低燃費領域からの逸脱を通知する通知手段3aと、アクセルペダルセンサ2によりアクセル開度Acを検出する検出手段3bと、スロットルバルブアクチュエータ4を制御するバルブ制御手段3cとを備える。
【0022】
スロットルバルブアクチュエータ4は、図示しないエンジンを構成する吸気装置に設けられて、エンジンのシリンダに供給される空気量を制御してエンジンの出力を制御するスロットルバルブを駆動して、スロットル開度を制御するとともに、エンジンの出力を制御するものである。
【0023】
車速センサ5は、車両の車輪に設けられて、車速の回転速度から車速を検出するものであり、検出した車速をクルーズコントロールECU6に出力するものである。
【0024】
クルーズコントロールECU6も例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、エンジンECU3ひいてはスロットルバルブアクチュエータ4を制御する制御手段を構成するものである。
【0025】
タッチパネル7は、ユーザがクルーズコントロールECU6に対して所望する設定速度を入力する入力装置であり、車両室内の運転席近傍に設けられるものである。
【0026】
ランプ8は、例えば車両の速度計やタコメータが設置されるフロントパネルに設けられる緑色のランプである。ランプ8は、アクセルペダル2により検出したアクセル開度Acに対応するスロットル開度Taが図3に示すような省燃費領域Sから逸脱している場合には、後述するようにスロットル開度Taがスロットル開度Tcより小さい場合を除き、エンジンECU3の通知手段3aの指令に基づいて滅灯する。加えて、ランプ8は、スロットル開度Taが省燃費領域Sの範囲内にある場合にはECU3の通知手段3aの指令に基づいて点灯する。
【0027】
エンジンECU3の検知手段3bは、アクセルペダルセンサ2によりアクセルペダルセンサ2によりアクセル開度Acを検出して、さらに、エンジンECU3の通知手段3aは、エンジンECU3内部に記憶された、図2に示すような、アクセル開度Acとスロットル開度Taの特性曲線に基づいて、対応するスロットル開度Taを換算する。
【0028】
その後、エンジンECU3の通知手段3aは、このスロットル開度Taをエンジンや変速機等の特性及び車両の走行抵抗により求められる、図3に示すような、車速Vとスロットル開度により定まる省燃費領域Sと比較して、スロットル開度Taがこの省燃費領域Sから逸脱している場合には、後述するようにスロットル開度Taがスロットル開度Tcより小さい場合を除き、ユーザにランプ8を滅灯することによりこの逸脱を通知する。
【0029】
クルーズコントロールECU6は、タッチパネル7によりユーザが入力した設定速度Vsと、車速センサ5により検出した車速Vとを比較して、車速Vが設定速度Vsより小さい場合には、大きなスロットル開度TcをエンジンECU3に対して指令値として出力する。また、クルーズコントロールECU6は、車速Vが設定速度Vsより大きい場合には、小さいスロットル開度TcをエンジンECU3に対して指令値として出力する。
【0030】
エンジンECU3のバルブ制御手段3cは、エンジンECU3の検知手段3bがアクセルペダルセンサ2により検出したアクセル開度Acから、図2に示したアクセル開度Acとスロットル開度Taの特性曲線に基づいて換算されたスロットル開度Taと、クルーズコントロールECU6から指令値として入力されたスロットル開度Tcとを比較して、スロットル開度Taとスロットル開度Tcのいずれか大きい方を選択して、そのいずれか大きい方のスロットル開度となるようにスロットルバルブアクチュエータ4を制御する。
【0031】
つまり、スロットル開度Taよりもスロットル開度Tcの方が大きい場合には、ECU3のバルブ制御手段3cはスロットル開度Tcを指令値として、クルーズコントロールECU6の指令に基づいてスロットルバルブアクチュエータ4を制御する。同様に、スロットル開度Taがスロットル開度Tc以上である場合には、エンジンECU3のバルブ制御手段3cはスロットル開度Taを指令値としてスロットルバルブアクチュエータ4を制御し、いわゆるオーバーライドが実行される。
【0032】
さらに、エンジンECU3の通知手段3aは、スロットル開度Taとスロットル開度Tcの大小関係に基づいて、以下のようにランプ8を点滅灯制御する。すなわち、スロットル開度Taがスロットル開度Tcより小さい場合には、ランプ8を常時点灯とし、スロットル開度Taが前述した省燃費領域Sを逸脱していても、その逸脱をユーザに通知しない。
【0033】
また、エンジンECU3の通知手段3aは、スロットル開度Taがスロットル開度Tc以上である場合であって、スロットル開度Taが前述した図3に示す省燃費領域Sを逸脱している場合には、ランプ8を滅灯とし、その逸脱をユーザに通知し、スロットル開度Taが前述した省燃費領域Sの範囲内であれば、ランプ8を点灯とする。
【0034】
以下、本実施例のエコインジケータ1の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図4は、本発明によるエコインジケータ1のエンジンECU3及びクルーズコントロールECU6の制御内容を示すフローチャートである。
【0035】
S1において、ユーザがタッチパネル7の操作により設定速度Vsを入力すると、クルーズコントロールECU6はその設定速度Vsを検出し、S2において、クルーズコントロールECU6は車速センサ5により車速Vを検出する。
【0036】
つづいてS3において、クルーズコントロールECU6は、設定速度Vsと車速Vがイコールとなるようにスロットル開度Tcを指令値として、エンジンECU3に出力し、エンジンECU3のバルブ制御手段3cはその指令値に基づいてスロットルバルブアクチュエータ4をフィードバック制御する。
【0037】
つづいて、S4において、エンジンECU3の検知手段3bは、アクセルペダルセンサ2によりユーザがマニュアルによりアクセルペダルを踏み込むことにより入力される、アクセル開度Acを検出する。
【0038】
さらに、S5において、エンジンECU3の検知手段3bは、アクセル開度Acが正値であるかを判定し、正値である場合には、ユーザがマニュアルによりアクセルペダルを踏み込んだとみなして、S6にすすみ、正値でない場合には、ユーザがマニュアルによりアクセルペダルを踏んでいないとみなして制御を終了する。
【0039】
加えて、S6において、エンジンECU3の検知手段3bは、アクセル開度Acから、図2に示したマップを用いて、対応するスロットル開度Taを換算する。
【0040】
続いて、S7において、エンジンECU3の通知手段3aは、このスロットル開度Taと、S3においてクルーズコントロールECU6から指令値として検出したスロットル開度Tcとの大小判定を行う。すなわち、スロットル開度Taがスロットル開度Tc以上である場合にはS8にすすみ、スロットル開度Taがスロットル開度Tcよりも小さい場合にはS12にすすむ。
【0041】
S8において、エンジンECU3のバルブ制御手段3cは、S3に引き続き、設定速度Vsが車速Vと等しくなるように、クルーズコントロールECU6からのスロットル開度Tcを指令値として、スロットルバルブアクチュエータ4をフィードバック制御して、さらにS9にすすむ。
【0042】
S9において、エンジンECU3の通知手段3aは、スロットル開度Taが図3に示した省燃費領域Sを逸脱しているかどうかを判定し、逸脱している場合にはS10にすすみ、S10においてランプ8を滅灯してユーザにこの逸脱を通知する。
【0043】
さらに、S9において、エンジンECU3の通知手段3aは、スロットル開度Taが図3に示した省燃費領域Sを逸脱していないと判定する場合には、S11にすすんで、ランプ8を点灯する。
【0044】
S7において、スロットル開度Taがスロットル開度Tcよりも小さいと判定される場合には、S12にすすむが、S12において、エンジンECU3のバルブ制御手段3cは、スロットル開度Taを優先して指令値としてスロットルバルブアクチュエータ4を制御して、オーバーライドを実行する。
【0045】
その後、S13において、エンジンECU3の通知手段3aは、スロットル開度Taが図3に示した省燃費領域Sを逸脱しているかどうかにかかわらず、ランプ8を点灯して、スロットル開度Taが省燃費領域Sを逸脱しても、その逸脱の通知をユーザに行わない。
【0046】
以上述べた本実施例によれば以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、図3に示したマップにおいて、スロットル開度Taが省燃費領域Sよりも上に位置して、スロットル開度Tcよりも下に位置する場合においては、従来技術においては、スロットル開度Taが省燃費領域Sを逸脱していることから、ランプ8が滅灯されてユーザに対して逸脱の通知が行われてしまうことを防止することができる。
【0047】
つまり、クルーズコントロールECU6によるスロットル開度Tcでは加速度が不足すると判断される状況において、アクセルペダルをユーザが意図的に踏み込んでオーバーライドをしようと意図している段階において、マニュアルによるスロットル開度Taが省燃費領域Sより上で、スロットル開度Tcに至っていない段階で、省燃費領域Sから逸脱したという理由でランプ8が滅灯されて、ユーザが違和感を覚えることを回避することができる。
【0048】
これにより、従来技術において問題となった、前述したオーバーライドにおいて、登坂走行の判定とクルーズコントロールのタイミングのずれに起因して、登坂走行時に省燃費運転からの逸脱がユーザに通知されてしまい、ユーザの違和感が生じるという問題をも解消することができる。
【0049】
加えて、登坂走行以外の要因、例えば、追い越しや、乗員重量の増加や、積載荷重の増加、向かい風等の要因により、ユーザがアクセルペダルを踏み込んでも、その踏み込み量によるスロットル開度TaがクルーズコントロールECU6によるスロットル開度Tcよりも小さいことにより、オーバーライドが行われず、ユーザの意志に反して加速しない場合でも、省燃費領域Sからの逸脱がランプ8の滅灯によりユーザに通知されてしまい、ユーザの違和感が生じるという問題も回避することができる。
【0050】
また、クルーズコントロールECU6によるクルーズコントロール中に、ユーザにより図示しないブレーキペダルの踏み込み、又は、キャンセルスイッチの操作が行われた後、これも図示しないリジュームスイッチによりクルーズコントロールECU6によるクルーズコントロールの復帰が行われた場合にも、復帰前のクルーズコントロールにおけるスロットル開度Tcが省燃費領域Sから逸脱していれば、やはりランプ8が滅灯されて、ユーザが違和感を覚えることになる。
【0051】
ところが、従来技術ではここでユーザがアクセルペダルを踏み込んでもランプ8の滅灯は解消されず、さらにユーザが違和感を覚える要因となっていたが、本実施例においてはこのような場合にユーザがアクセルペダルを踏み込むことにより、ランプ8が滅灯されないため第一の違和感を覚えた後、ユーザが採り得るアクションが増えることになり、このアクセルペダルの踏み込みによりランプ8の滅灯を防止して、ユーザが第二の違和感を覚えることを回避することができる。
【0052】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0053】
上述した実施例において、ランプ8を滅灯することにより、ユーザに対してスロットル開度Taが省燃費領域Sを逸脱したことを通知しているのは、この情報は省燃費運転を推奨するためのものであって、ユーザに対して強い警告を与えるものではないため、点灯から滅灯への切換によって通知することにとどめるためである。
【0054】
このため、スロットル開度Taが省燃費領域Sの範囲内にある場合に、ランプ8を滅灯とし、スロットル開度Taが省燃費領域Sから逸脱した場合に、ランプ8を点灯することももちろん可能である。また、ユーザに対してスロットル開度Taが省燃費領域Sを逸脱したことを通知する手段はもちろんランプ8の点滅灯によるものに限られるものではなく、音声によるガイダンスや、テキスト表示等により代用することも可能である。
【0055】
さらに、本実施例においては、クルーズコントロールECU6により制御されるのはエンジンECU3のみとし、エンジンの加速のみを制御したが、より発展的な形態としては、先行車との車間距離を検出する車間距離検出センサを備え、ブレーキ制御及びシフト制御をも行うために、ブレーキECU及び変速機ECUに対しても指令を出力する形態のものとしてももちろん良い。
【0056】
また、本実施例において図2において示した、アクセル開度Acとスロットル開度Ta相互間の特性は例示的なものであり、もちろん他の形態のものを使用することも可能である。また、図3において示した車速Vとスロットル開度Ta又はTcにより定まる省燃費領域Sについても例示的なものであり、他の形態のものを使用することももちろん可能である。
【0057】
さらに、上述した実施例においては、図4に示したように、スロットル開度TaがクルーズコントロールECU6によるスロットル開度Tcよりも小さい場合において、スロットル開度Taが省燃費領域Sを逸脱しているかどうかを判定していないが、この判定を行った上で、スロットル開度Taが省燃費領域Sを逸脱しているかどうかにかかわらずに、ランプ8を点灯して、ユーザに対して省燃費領域Sからのスロットル開度Taの逸脱を通知しない構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、車両用の省燃費運転推奨装置に関するものであり、潜り込み後の衝突が発生した場合でも、乗員を衝突から適切に保護することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る省燃費運転推奨装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】本発明に係わるエコインジケータの一実施形態の制御に用いられる模式マップ図である。
【図3】本発明に係わるエコインジケータの一実施形態の制御に用いられる模式マップ図である。
【図4】本発明に係る省燃費運転推奨装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 省燃費運転推奨装置
2 アクセルペダルセンサ
3 エンジンECU
3a 通知手段
3b 検知手段
3c バルブ制御手段
4 スロットルバルブアクチュエータ
5 車速センサ
6 クルーズコントロールECU
7 タッチパネル
8 ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル開度を検出する検出手段と、前記検出手段により検出されたアクセル開度又は当該アクセル開度から換算されたスロットル開度が省燃費領域から逸脱している場合にユーザに前記逸脱を通知する通知手段と、車両の速度を設定速度に維持するようにスロットル開度を制御する制御手段を備えるとともに、前記制御手段がスロットル開度を制御している場合において、前記検出手段が正値のアクセル開度を検出したときに、当該アクセル開度から換算されたスロットル開度が、前記制御手段の制御するスロットル開度よりも小さい場合には、前記通知手段が前記通知を行わないことを特徴とする省燃費運転推奨装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−189149(P2008−189149A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25801(P2007−25801)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】