説明

真空処理装置

【課題】異常や誤動作、故障からの復旧をより短時間で行え、稼働率の低下を抑制できる真空処理装置を提供する。
【解決手段】真空容器内の処理室の内側に配置された半導体ウエハ等の試料をこの処理室内で処理する真空処理装置において、複数の制御対象の機器と、それらの機器の少なくとも1つと接続された入出力基板とを有した制御ユニットであって、他の制御ユニットと接続されてこれと制御のための信号を送受信するコネクタ部を複数備えて、デイジーチェーン接続が可能な複数の制御ユニットを備え、根元側の制御ユニット又はコントローラが末端側の制御ユニットの動作記録を記憶する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理室を有して、各処理室内で半導体ウエハ等の試料を処理する真空処理装置に係り、特に、装置が着脱可能な複数のモジュールを備え、各モジュールを構成する機器と通信可能に接続された入出力装置を有し、これら入出力装置と通信して各モジュールの動作を調節する真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような着脱可能な複数のモジュールを備えた真空処理装置の例としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。本従来技術では、処理室を含むモジュール、試料を搬送するモジュール等の複数のモジュールが着脱可能に連結されて構成されている。
【0003】
通常、このような従来技術では、モジュールの各々に配置された機器の動作は各々のモジュール毎にその動作や機能が制御される。この制御のための指令信号を発信するコントローラと制御される機器とは、これらの間のインターフェースとしての入出力基板を介して通信可能に接続されている。また、各機器に配置されたセンサからの信号も、インターフェースを介してモジュールのコントローラに送信され、この信号に基づいて形成された指令がコントローラから各機器に対して発信されてフィードバック制御が行われる。
【0004】
また、半導体デバイスの製造では、通常、クリーンルーム等の建屋内に複数の真空処理装置を並べて多数のウエハを並行して処理して製造効率を向上させることが行われる。このような複数の真空処理装置を動作させる際には、各処理装置の障害や誤動作及びこれらの原因をより早く検出して装置を清浄な状態に戻すことが求められる。
【0005】
このような課題に対して、特許文献2では、各処理装置同士を、通信手段を用いて接続するネットワークで連絡するともにこのネットワークに接続されたホストコンピュータを備えてホストコンピュータと複数の処理装置とからなるネットワークの階層を構成している。さらにネットワークに各処理装置やそのモジュールに配置されこれらの動作状態や処理の状態を検出するセンサからの出力をプロセスデータとして記録する装置を接続しておき、記録されたプロセスデータを用いて上記誤動作、エラーや処理装置の劣化を詳細、早期に発見できるようにするものが開示されている。
【0006】
さらには、制御の対象となる各モジュールの動作について、所定の基準に基づいて診断した結果をデータとして記憶しておき障害や誤動作が生じた際に記憶された診断のデータを用いて原因を解析するものが知られている。このような従来の技術としては、特許文献3が知られている。特許文献3は、特許文献2と同様に、各モジュールが通信手段で接続されてネットワーク上で階層を構成するものであって、所定のモジュールに自己モジュールを診断する自己診断部とその診断結果を記録する記憶装置とともに要求した他のモジュールの診断結果を記録する記憶装置を備えて、モジュールに誤動作や異常が生じた際には自モジュールの診断結果だけでなく他のモジュールの診断結果も用いて異常や故障の解析を行うことで、早期に原因の除去、問題の解決を行うものが開示されている。
【特許文献1】特開2003−59999号公報
【特許文献2】特開平11−74170号公報
【特許文献3】特開平9−330280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術では、以下の点について考慮が不十分であるため、問題が生じていた。すなわち、特許文献1では着脱可能な各モジュール毎にその動作を制御するための構成については考慮されていない。
また、特許文献2,3に記載の技術は、共に、ネットワークの階層上で制御の対象となる各装置あるいはモジュールの機器の異常を検出できるためには、その異常を検知するセンサ或いはそのセンサの出力の信号を受信する手段或いは通信手段で接続されたネットワーク上の他の機器に送信する手段が正常に動作していることが前提である。
【0008】
このため、ネットワークの階層の上位に位置する制御装置や診断・解析手段が下層からの異常を示す信号を検知した場合には、信号の受信または送信の手段の異常か、制御対象の機器の異常かを判断できず、異常の箇所を誤って判断する虞が有った。
【0009】
特に、信号の受信、送信のための手段が複数の制御対象の機器と通信手段を介して接続されている場合には、異常の信号を検知後は、受信、送信手段及び接続された機器の複数の箇所で異常の有無を確認する必要が有り、異常の原因とその復旧の対策の決定に正常な判断を行うことが阻害され、復旧の効率が損なわれ、稼働率が低下してしまうという問題が生じていた。このような問題点について、上記従来の技術では考慮されていなかった。
【0010】
本発明の目的は、異常や誤動作、故障からの復旧をより短時間で行え、稼働率の低下を抑制できる真空処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の真空処理装置は、各モジュールに属する機器及びインターフェースが、他の機器もしくはインターフェース及びモジュールコントローラと接続可能にされ、これらの間で通信の送受信が可能にされている。
【0012】
更に、各機器及びインターフェースはデイジーチェーン接続可能であり、末端側の機器もしくはインターフェースからの信号は、根元側の機器もしくはインターフェースを介してモジュールコントローラに送達されて、その機器及びインターフェースを識別可能にされている。
【0013】
本発明の真空処理装置は、このような構成に加えて、モジュールコントローラにおいて、つながれた機器もしくはインターフェースに異常が検出された際に、異常の生じた機器もしくはインターフェースを容易に特定させる構成を備えたものである。
【0014】
より詳細には、本発明の真空処理装置は、真空容器内の処理室の内側に配置された試料を処理する真空処理装置であって、複数の制御対象機器と、前記複数の制御対象機器の少なくとも1つと接続された入出力基板とを有する制御ユニットが、他の制御ユニットと接続されて、前記制御ユニットとの間で制御のための信号を送受信する複数のコネクタ部を備えており、前記複数のコネクタ部により、前記制御ユニットの入出力基板は、各々が前記他の制御ユニットまたは前記複数の入出力基板のうちの2つに接続するデイジーチェーン接続が可能であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図面を参照して、以下説明する。
【実施例】
【0016】
図1乃至図6を用いて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の実施例に係る真空処理装置の全体の構成の概略を示す上面図である。
【0017】
図1に示す本実施例に係る真空処理装置100は、大きく分けて、搬送モジュール101とプロセスモジュール110とを備えている。搬送モジュール101は試料の搬送を行うモジュールであり、大気圧下で試料の搬送を行う大気搬送部103と、大気圧から減圧された圧力下で試料の搬送を行う真空搬送部102からなる。プロセスモジュール110は真空圧下で試料の処理等を行う複数のモジュール110−1〜110−4である。
【0018】
各モジュールは、モジュールコントローラ113−1〜113−4に通信手段を介して通信可能に接続されており、これらからの指令信号を受信してその動作や機能が調節される。また、モジュールコントローラ113−0〜113−4は演算器を含む主制御装置111と通信手段である信号線115を介して接続されて、さらに主制御装置111は同様に演算器及び記憶装置を含む計算機であるホスト112と信号線115によって接続されている。
【0019】
大気搬送部103は、内部に大気側搬送ロボット109を備えた略直方体形状の筐体106を有し、この筐体106の前面側(図上右側)に取付けられ、処理用又はクリーニング用の試料が収納されているカセットがその上に載せられる複数のカセット台107−1〜107−3を備えている。
【0020】
真空搬送部102は、平面形状が略多角形状(本実施例では5角形状)の真空搬送容器104と、真空搬送容器104と大気搬送部103との間に配置され試料を大気側と真空側との間でやりとりする2つのロック室105を備えている。この真空搬送部102は減圧されて高い真空度の圧力に維持可能である。
【0021】
真空搬送容器104内の搬送室には、真空下で試料をロック室105とプロセスモジュール110内の処理室との間で搬送する真空搬送ロボット108がその中央に配置されている。この真空搬送ロボット108のアーム上に試料が載せられて、プロセスモジュール110の処理室内に配置された試料台上と何れかのロック室105内の試料台との間で搬入、搬出が行われる。これらプロセスモジュール110、ロック室105と真空搬送容器104内の搬送室との間は、各々気密に閉塞、開放可能なバルブにより連通する通路が開閉される。
【0022】
カセット台107の何れか上に載せられたカセット内に収納された複数の半導体試料等の試料は、真空処理装置100の動作を調節する主制御装置111が判断し、または、真空処理装置100が設置される製造ラインのホスト112等からの指令を受けて、その処理が開始される。
【0023】
ロック室105では、搬送された試料を収納した状態でバルブが閉塞されて密封され、所定の圧力まで減圧される。その後、真空搬送容器104内の搬送室に面した側のバルブが開放されてロック室105内と搬送室内とが連通され、真空搬送ロボット108のアームがロック室105内に伸張して、内部の試料を搬出する。真空搬送ロボット108上のアームに載せられた試料は、カセットから取り出される際に予め定められたプロセスモジュール110の何れか内の真空にされた処理室内に搬入される。
【0024】
試料が何れかのプロセスモジュール110内の処理室に搬送された後、この処理室内と搬送室との間を開放、遮蔽するバルブが閉じられて処理室が封止される。この後、処理室内に処理用のガスが導入されプラズマが処理室内に形成されて試料が処理される。
【0025】
試料の処理が終了したことが検出されると、前記バルブが開放されて真空搬送ロボット108により、処理室内に搬入された場合と逆にロック室105へ向けて搬出される。ロック室105の何れかに試料が搬送されると、このロック室105内と搬送室とを連通する通路を開閉するバルブが閉じられて内部が密封され、ロック室105内の圧力が大気圧まで上昇させられる。
【0026】
この後、筐体106内側のバルブが開放されてロック室105内と筐体106内の大気搬送室とが連通され、大気側搬送ロボット109によりロック室105から元のカセットに試料が搬送され、カセット内の元の位置に戻される。
【0027】
図2は、図1に示す本実施例に係る真空処理装置の動作に要する信号の送受信の構成を模式的に示すブロック図である。この図では、本実施例の真空処理装置100の動作や機能の調節のための信号を授受する部分とその接続の態様が示されており、本実施例の運転や動作が調節されるブロックの相関が模式的に示されている。
【0028】
本実施例では、上記計算機であるホスト112と、演算器を含む主制御装置111と、各モジュールコントローラ113−0〜113−4と、入出力基板201−0〜201−4とが通信手段及びその通信可能な有線、無線の少なくともいずれかを含む接続の経路である信号線115及び信号線202により接続されたネットワークによる階層が構成されている。ホスト112と主制御装置111とモジュールコントローラ113−0〜113−4は信号線115で接続され、モジュールコントローラ113−0〜113−4と入出力基板201−0〜201−4は信号線202で接続されている。
【0029】
さらに、主制御装置111とこれに接続された搬送モジュール101並びに各モジュール110−1〜110−4に配置されて動作を調節するモジュールコントローラ113−0〜113−4とこれに接続された複数の入出力基板201−0〜201−4は本実施例の真空処理装置100の制御ユニット200を構成して信号線115により制御ユニット200と通信可能に構成された計算機であるホスト112とでネットワーク上の各々上下の階層を構成している。
【0030】
また、制御ユニット200では、主制御装置111と各モジュールのモジュールコントローラ113−0〜113−4とが信号線115を介して上下の階層をなすネットワークを構成している。また、モジュール101,110−1〜110−4の各々の内部においては、モジュール各々のコントローラ113−0〜113−4及びこれと信号線202を介して通信可能に接続された複数の入出力基板201−0〜201−4とが、信号線202によるネットワーク上で上下の階層を構成している。
【0031】
本実施例では、信号線115及び信号線202は同様の通信用のケーブル、例えば、イーサーネットケーブルで接続されるが、信号線115における通信は、これにより接続されたホスト112、主制御装置111及びモジュールコントローラ113−0〜113−4は特定の通信用の規則(例えば、TCP/IP)に則って信号の送受信が行われる。また、信号線202は、本実施例は、信号線202とは異なる通信用の規則により信号の送受信が行われる。
【0032】
なお、本実施例では、信号線115,202はTCP/IPによる通信が行われるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、信号線の両端の機器同士が信号の送受信を安定して行えるネットワークプロトコルのいずれも用いられる。
【0033】
ホスト112は、真空処理装置100が設置されたクリーンルーム等の建屋内の半導体デバイスの製造ラインを管理するための演算器とメモリやハードディスク等の記憶装置とを備えて構成される計算機であり、真空処理装置と遠隔した箇所に配置されている。
【0034】
本実施例では、ホスト112が特定の箇所に記録されたプログラムや使用者に入力される指令に応じて、建屋全体や建屋に設置された複数の真空処理装置の動作、各処理装置の処理の順序、時間、各処理装置へ搬送される処理対象の試料であるウエハの種類、搬送の順序、時間を調節する。この目的の為に、ホスト112は各真空処理装置の動作を調節する制御器(制御ユニット)と通信手段により通信可能に接続されている。
【0035】
主制御装置111は、真空処理装置100の各部の動作、機能を調節するものであり、メモリやハードディスク等の記憶装置と半導体製のデジタルプロセッサ等の演算器と真空処理装置100を構成する各モジュールやセンサ或いはホスト112と通信可能に接続された通信インターフェースとを一つのユニットとして備えた装置となっている。
【0036】
また、主制御装置111は使用者が真空処理装置100を操作するための指令入力を受信する機能も備えており、このために液晶ディスプレイ等の指令入力や真空処理装置100のセンサからの検知結果等動作の状態データを表示する手段と、キーボード、マウス等の指令の入力手段とを備えている。
【0037】
真空処理装置100は、主制御装置111がホスト112から通信手段である通信線115を介して受信した各試料のロットや試料毎の処理の指令や処理の条件やデータもしくは使用者から入力された指令を所定の信号として受信する。処理の条件としては、例としてモジュールを構成する処理室内の圧力、供給されるガスの種類、組成、処理室内でプラズマを形成するため供給される電界、磁界の強度や分布、処理を行う試料の識別、枚数、膜の種類、時間が挙げられる。
【0038】
主制御装置111は、記憶手段に記録されたプログラムに応じて、演算器が受信した上記指令やデータに基づき、真空処理装置100の各モジュールにその動作や機能を調節する指令を発信するともに、各モジュールの動作の状態を示すデータに関する信号を受信する。このような信号には各モジュールに配置されて動作の状態を検知するセンサからの出力に係る信号が含まれている。
【0039】
主制御装置111の演算器は、プログラムに応じて、試料の搬送、位置合わせ、処理の開始及び停止とこれらに要する各モジュールの動作の開始、停止の指令に係る信号を形成して通信用のインターフェースから各モジュールコントローラ113−0〜113−4に通信手段を介して発信するとともに、処理用のモジュールであるプロセスモジュール110−1〜110−4、試料の搬送用のモジュールである搬送モジュール101に上記受信した指令や条件のデータのうち各々に必要な所定のデータを送信する。
【0040】
また、各モジュールから受信した動作の状態(例えば、処理中に検知したプラズマの発光のデータや処理の終点)を示すデータに関する信号に基づいて、所定のプログラムに応じて各モジュールの状態を検出し、必要と判断された処理の状態のデータや処理の開始、終了をホスト112へ発信する。或いは、検出した処理の状態に応じてこれをフィードバックすべくプラズマ形成用の電界、磁界の条件やガスの供給等の動作の状態を変更、調節する指令の信号を各モジュールに発信する。
【0041】
より具体的には、ホスト112の指令により試料である半導体ウエハを内部に収納したカセットの真空処理装置100への搬送が行われて、カセット台107上にカセットが載せられて筐体106に装着された後、カセット内の試料の処理の開始が指令されるか、もしくは使用者が主制御装置111を操作することで処理の開始が指令される。
【0042】
主制御装置111は、演算器がプログラムを記憶装置から読み出し、受信した上記指令に基づいて搬送モジュール101のモジュールコントローラ114へ試料の搬送を指令する信号及び試料を処理する対象のプロセスモジュール110−1〜110−4のいずれかを通知して搬送先の箇所を指定する信号を発信する。さらに、試料を処理するプロセスモジュール110−1〜110−4のいずれかのモジュールコントローラ113−1〜113−4のいずれかに処理の条件、例えばエッチング条件に係るデータを送信する。
【0043】
搬送を指令された搬送モジュール101のモジュールコントローラ114はカセット台107上のカセット内の試料の前記大気搬送部103及び真空搬送部102の動作の調節を行って、プロセスモジュール110−1乃至4とカセット台107上の所定のカセットとの間の試料の搬送を制御する。
【0044】
真空搬送部102を構成する真空搬送容器104内の真空搬送ロボット108の動作によりロック室105から、或いはプロセスモジュール110−1〜110−4の何れか一つの処理室内部から、搬送先に指定されたプロセスモジュール110−1〜110−4の別の何れか一つの処理室内部に試料が搬入されて内部の試料台上に載せられた後、対応するモジュールコントローラ113−1〜113−4の何れかは主制御装置111から受信したエッチングの条件及びデータに係る指令信号に基づいて、所定のプログラムに従ってそのモジュールに配置された入出力基板201にこれと接続された各機器の動作を調節するため指令あるいはデータに関する信号を送信する。
【0045】
モジュールコントローラ113−0〜113−4は、後述の通り、演算器とRAMやフラッシュメモリ或いはハードディスク等の記憶装置と通信線115及び202の各々と接続されて通信可能な通信用のインターフェースとを備えた一つのユニットとして動作する装置である。
【0046】
モジュールコントローラ113−0〜113−4が主制御装置111からの指令やデータに係る信号を受信すると、この信号に応じて記憶装置に記録された所定のプログラムに基づいて演算器が制御対象となる機器の動作を調節するための指令信号やデータを算出し、これを通信インターフェースに接続された少なくとも1つの入出力基板201に発信する。入出力基板201は受信したこのような信号を電圧値に変換し、制御対象である各機器に送信する。
【0047】
また、入出力基板201は、これに接続された制御対象の機器から発信される動作の状態を示す信号を信号線202を介して受信する。さらに、受信された動作の状態を示す信号を、データとして入出力基板201の記憶装置に記録するとともにこれが接続されているモジュールコントローラ113−0〜113−4のいずれか或いはこのモジュールコントローラに接続された他の入出力基板201に送信する。他の入出力基板201或いはモジュールコントローラはその内部の記憶装置内にそのデータの信号を記録する。
【0048】
図3は、図1に示す実施例のプロセスモジュールの構成を側面からの見た断面図である。特に、この図では、図1のプロセスモジュール110−1〜110−4のうち、前方側(図上カセット台107の右側)から見て真空搬送容器104の後ろ側(図上左側)の右側(図上上側)に配置されたプロセスモジュール110−3の構成を例として示しており、本実施例においては、後ろ側の2つのプロセスモジュール110−2,3は、試料の表面の膜をプラズマを用いてエッチング処理するエッチング処理モジュールとなっている。
【0049】
本図において、プロセスモジュール110−3は、真空容器を中心とする真空容器ユニット301とガスを真空容器内の処理室に供給するガス供給ユニット302と、真空容器ユニット301の処理室上方に配置され処理室内にプラズマを形成する為の電界、磁界を供給するプラズマ形成ユニット303と、真空容器ユニット301の下部に配置されて真空容器内を排気して内部の圧力を調節する排気ユニット304とを備えている。
【0050】
また、プロセスモジュール110−3には、主制御装置112と信号線115により通信可能に接続され上記のユニットを構成する複数の機器の動作を調節するための調節器であるモジュールコントローラ113−3と、このモジュールコントローラ113−3と信号線202により通信可能に接続された4つの入出力基板201a〜201dとを備えている。
【0051】
真空容器ユニット301は内部が減圧される真空容器を有しその真空容器内部に配置され内側で試料が配置されて処理される処理室314と、試料がその上に載せられて配置される試料台315と、試料台315の下方に配置されを処理室内で上下に移動させる駆動機構316とを備えている。処理室314は試料台315の上方の部分が略円筒形上の空間となっており、この円筒状の空間がその内部でプラズマが形成される放電室となっている。
【0052】
試料台315はその外径は略円筒形状を有して放電室と同心となるように配置されおり、試料台315の上部に配置され試料である円板状の半導体ウエハが載せられる載置面と半導体ウエハ及び放電室、試料台315とが同心となるように配置されている。
【0053】
真空容器ユニット301の主要部を構成する真空容器内の処理室314の試料台315下方には、真空容器と連結され処理室314内部を排気して減圧する排気ユニット304の排気ポンプ319の入口と連通する開口が配置されており、この開口を通り処理室314内に供給されたガスや形成されたプラズマ、試料との反応により生成された反応生成物が処理室314外に排出される。
【0054】
ガス供給ユニット302は、真空容器ユニット301外の例えば真空処理装置100が設置される建屋のフロアと別のフロアに配置されたガスのタンクを備えて構成されたガス供給源305と、ガス供給源305から供給されるガスの流量を一定に保つための流量制御器306と、ガス供給源305と連通されてガス供給源からのガスが通流するガス導入ライン308上に位置してその管路の開放及び遮断を行うバルブ307と、ガス導入ライン308を2系統に分流する分流器309と、分流器309によって2系統に分岐されたガスが通流して処理室314に向かうガスライン320と、ガスライン320の管路を開放及び遮断するためのバルブ310を有している。
【0055】
このユニットのこれらの機器と通信手段である信号線202で通信可能に接続された入出力基板201bには、モジュールコントローラ113−3からの指令及びデータの信号が発信される。
【0056】
入出力基板201bはこの信号を電圧の信号に変換して、ガス供給源305、流量制御器306、バルブ307、分流器309、バルブ310−1,2に対して動作を調節する指令を発信する。この指令の信号に基づいて、バルブ307,310−1,2が開放された状態で流量制御器306においてガス供給源304からのガスの流量及び分流器309が分流する分流比が設定され、第1ガス導入ライン320−1及び第2ガス導入ライン320−2を介してプロセスガスが処理室314に導入される。
【0057】
また、信号線202によりガス供給源305、流量制御器306、バルブ307、分流器309、バルブ310−1,2の動作の状態、例えば、バルブ307、310−1,2の開閉の状態や流量制御器306により調節されているガスの実際の流量、分流器309により分流された第1ガス導入ライン320−1と第2ガス導入ライン320−2との実際のガスの流量及びその比率が各々に配置されたセンサにより検知された出力が入出力基板201bに送信され、出力基板201bで変換された信号が信号線202を通してモジュールコントローラ110−3に送信される。
【0058】
真空容器ユニット301を構成する試料台315の内部に配置され試料台315上方にバイアス電位を形成するための高周波電源(図示せず)から電力が供給される金属製の電極、高周波電源と電極との間で電力量を調節する調節器(図示せず)、通電を断通するスイッチ(図示せず)及び駆動機構316はこのユニットに配置された入出力基板201aと信号線202により通信可能に接続されている。
【0059】
入出力基板201aには、モジュールコントローラ113−3からの指令及びデータの信号が、排気ユニット304用の入出力基板201dを介して接続された信号線202を通り発信され、入出力基板201aで受信される。ここで変換された電圧の信号が上記電極、調節器、スイッチ、駆動機構316に発信されることにより、これらの機器の動作、機能が調節される。
【0060】
また、これらの機器に動作の状態を示す信号が入出力基板201aに信号線202を通して送信される。例えば、試料台315の内部でその温度を検知するセンサにより検知された結果を示す出力の信号は、入出力基板201aにおいて所定の信号に変換され、信号線202を通して入出力基板202dを介してモジュールコントローラ110−3に送信される。
【0061】
プラズマ形成ユニット303は、マイクロ波発生源311と、マイクロ波を導入するアンテナ312と、磁場を発生するソレノイドコイル313からなり、アンテナ312によって導入されたマイクロ波とソレノイドコイル313による磁界の作用によって、ガス供給ユニット302から導入されたガスはエネルギーを与えられ、プラズマが形成される。
【0062】
プラズマ形成ユニット303による処理室314内の電界、磁界の供給及びガス供給ユニット302による処理室内へのガスの供給により形成されたプラズマにより、試料に対してエッチング処理が行えるものとなっている。
【0063】
排気ユニット304は、前記ガスライン320を排気するための排気ライン321及び排気ライン321を遮断するためのバルブ317と、処理室314を排気するための処理室排気ライン322及び処理室排気ライン322を遮断するための処理室排気バルブ318と、排気ポンプ319からなり、排気ポンプ319及び排気バルブ317及び処理室排気バルブ318を駆動することにより、ガスライン320及び処理室314を真空状態にすることが出来る。
【0064】
本実施例では、モジュール110−3を構成する各ユニットでは、同様にこれらを構成する機器がモジュールコントローラ113−3と信号線115で接続され各々のユニットに対応して配置された入出力基板201a〜201dを介して制御信号から変換された電圧値によって動作を制御されるとともに、各機器からの動作を示す信号が各入出力基板201a〜dを介してモジュールコントローラ113−3へ送信される。
【0065】
また、入出力基板201a及び201cは各々入出力基板201d,201bに信号線202によって接続されており、これら入出力基板201b,201dとモジュールコントローラ113−3とを接続する信号線202によって入出力基板201b,201dの各々を介してモジュールコントローラ113−3と通信可能に構成されている。
【0066】
また、本実施例において、各モジュール301〜304に対応する入出力基板201a〜201dは各々1個配置されているが複数個で構成しても良い。後述するように、本実施例の入出力基板201は、各々がモジュールコントローラ113または複数の入出力基板201のうち2つに接続でき、数珠繋ぎ(デイジーチェーン)の接続を可能に構成されている。さらに、相互に繋げられた複数個のうち末端側に繋げられた入出力基板201は根元側に繋げられた入出力基板201を介してモジュールコントローラ113と指令やデータの信号、モニタ用の信号を通信可能に構成されている。
【0067】
次に、図4を用いてモジュールコントローラ113の構成について説明する。図4は、図1に示すモジュールコントローラの構成の概略を模式的に示したブロック図である。特に、本実施例では、図1に示すモジュールコントローラ110−0〜110−4の何れも同等の構成を備えており、本図ではそのうちの一つの構成の概略を示している。
【0068】
本図において、モジュールコントローラ113は、モジュール101,110−1〜110−4の何れかのモジュールの動作を調節する1つのユニットとしての制御デバイスであって、信号線115を構成するイーサーネットケーブルが接続されネットワーク上の上位の階層に位置する主制御器111と信号を送受信するためのインターフェースである接続ポート401を少なくとも1つと、この接続ポート401と通信可能に接続された演算器とメモリ等記憶手段を内部に備えた半導体デバイスであるCPU402と、これと通信可能に接続された記憶装置であるRAM(ランダムアクセスメモリ)403と、このRAM403と通信可能に接続されて相互に記録された内容を通信可能なフラッシュメモリ404とを備えて構成される。
【0069】
さらに、本実施例のモジュールコントラーラ113は、ネットワーク上の下位の階層を構成する少なくとも1つの入出力基板201と信号が送受信される信号線202が接続される通信のインターフェースである2つの接続ポート405が配置され、これらがCPU402と通信可能に接続されている。
【0070】
本実施例では、接続ポート401,405は各々1個、2個が配置されているが、本発明はこれらの個数に限られるものではなく、装置の仕様に応じて適宜選択される。また、上記の通り、接続ポート401,405にはイーサーネットケーブルが接続されて通信可能に構成されているが、通信のプロトコルとしてTCP/IPを用いることができるいずれのケーブルを使用しても良い。
【0071】
また、これらのポートはCPU402に接続されRAM403或いはフラッシュメモリ404はCPU402を介してこれらポートと通信可能であるが、CPU402を介さず直接RAM403或いはフラッシュメモリ404とこれらポートとを通信可能に接続してこれらの間で直接的に信号を送受信しても良い。
【0072】
モジュールコントローラ113が主制御装置111から試料の処理の開始を指令する信号とともに、当該処理の条件のデータを受信すると、モジュールコントローラ113は接続ポート405に接続されているネットワークの下層の制御対象の機器毎に制御信号を生成する。この信号の生成は、記憶装置であるRAM402またはフラッシュメモリ403内に予め記録されたプログラムにより受信した指令信号やデータの信号に基づいてCPU402により行われる。
【0073】
CPU402で生成された信号は、接続ポート405から機器に対応する入出力基板201に送信されると共に、機器の動作の状態を示すモニタ信号が入出力基板201を介して接続ポート405に送信される。モジュールコントローラ113ではCPU402が受信したモニタ信号を所定のプログラムに基づいて処理して各機器の動作または機能を調節するための信号の生成にフィードバックするか或いは主制御装置111へ接続ポート401を介して信号線115を用いて送信する。
【0074】
また、CPU402は、入出力基板201から受信したモニタ信号から異常を検知した場合、CPU402は所定のプログラムに基づいて異常の内容を検出し、主制御装置111に異常が検出された入出力基板201またはこれに接続された制御対象の機器、さらに異常の内容の検出結果を送信する。これを受信した主制御装置は、表示手段やアラームによって作業者に報知するとともに、入出力基板201またはモジュールコントローラ113に異常の箇所を通知する信号を発信するとともに、異常が検出された入出力基板201との通信の遮断を指令する信号を発信する。
【0075】
次に、図5を用いて入出力基板201の構成について説明する。図5は入出力基板201の構成の概略を模式的に示したブロック図である。本実施例では、モジュール101,110−1〜110−4に配置された入出力基板201のいずれも本図に示すものと同等の構成を備えている。
【0076】
本図において、入出力基板201は、信号線202が接続されてモジュールコントローラ113及び他の入出力基板201と通信可能に接続される接続のインターフェースであってスイッチ機能を持った接続ポート501を少なくとも2つ備えている。さらに、入出力基板201は、演算器とメモリ等記憶手段を内部に備えた半導体デバイスであるCPU402と、これと通信可能に接続された記憶装置であるRAM(ランダムアクセスメモリ)403と、このRAM403と通信可能に接続されて相互に記録された内容を通信可能なフラッシュメモリ404とを備えて構成される。
【0077】
さらに、本実施例のモジュールコントラーラ113は、ネットワーク上の下位の階層を構成する少なくとも1つの入出力基板201と信号が送受信される信号線202が接続される通信のインターフェースである2つの接続ポート405が配置され、これらがCPU402と通信可能に接続されている。
【0078】
本実施例では、接続ポート401,405は各々1個、2個が配置されているが、本発明はこれらの個数に限られるものではなく、装置の仕様に応じて適宜選択される。また、上記の通り、接続ポート401,405にはイーサーネットケーブルが接続されて通信可能に構成されているが、通信のプロトコルとしてTCP/IPを用いることができるいずれのケーブルを使用しても良い。
【0079】
また、これらのポートはCPU402に接続されRAM403或いはフラッシュメモリ404はCPU402を介してこれらポートと通信可能であるが、CPU402を介さず直接RAM403或いはフラッシュメモリ404とこれらポートとを通信可能に接続してこれらの間で直接的に信号を送受信しても良い。
【0080】
モジュールコントローラ113が主制御装置111から試料の処理の開始を指令する信号とともに、当該処理の条件のデータを受信すると、モジュールコントローラ113は接続ポート405に接続されているネットワークの下層の制御対象の機器毎に制御信号を生成する。この信号の生成は、記憶装置であるRAM402またはフラッシュメモリ403内に予め記録されたプログラムにより受信した指令信号やデータの信号に基づいてCPU402により行われる。
【0081】
CPU402で生成された信号は、接続ポート405から機器に対応する入出力基板201に送信されると共に、機器の動作の状態を示すモニタ信号が入出力基板201を介して接続ポート405に送信される。モジュールコントローラ113ではCPU402が受信したモニタ信号を所定のプログラムに基づいて処理して各機器の動作または機能を調節するための信号の生成にフィードバックするか或いは主制御装置111へ接続ポート401を介して信号線115を用いて送信する。
【0082】
また、CPU402は、入出力基板201から受信したモニタ信号から異常を検知した場合、CPU402は所定のプログラムに基づいて異常の内容を検出し、主制御装置111に異常が検出された入出力基板201またはこれに接続された制御対象の機器、さらに異常の内容の検出結果を送信する。
【0083】
これを受信した主制御装置は、表示手段やアラームによって作業者に報知するとともに、入出力基板201またはモジュールコントローラ113に異常の箇所を通知する信号を発信するとともに、異常が検出された入出力基板201との通信の遮断を指令する信号を発信する。
【0084】
次に、図5を用いて入出力基板201の構成について説明する。図5は入出力基板201の構成の概略を模式的に示したブロック図である。本実施例では、モジュール101,110−1〜110−4に配置された入出力基板201のいずれも本図に示すものと同等の構成を備えている。
【0085】
本図において、入出力基板201は、信号線202が接続されてモジュールコントローラ113及び他の入出力基板201と通信可能に接続される接続のインターフェースであってスイッチ機能を持った接続ポート501を少なくとも2つ備えている。
【0086】
さらに、入出力基板201は、これら接続ポート501と通信可能に接続され演算器を有する半導体デバイスであるCPU502と、CPU502と通信可能に接続された記憶装置であるRAM(ランダムアクセスメモリ)503と、RAM503と通信可能に接続されたフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ504と、CPU502と通信可能に接続された電圧値をモニタ信号に変換するためのA/Dコンバータ505及び制御信号を電圧値に変換するためのD/Aコンバータ506と、これらA/Dコンバータ505及びD/Aコンバータ506と通信可能に接続された通信インターフェース507とを備えている。通信インターフェース507は、入出力基板201と接続された制御対象の機器との間の通信のためのインターフェースである。
【0087】
CPU502は予め内部の記憶手段またはRAM503或いはメモリ504内に予め記録されているプログラムに基づく変換ルールにより、D/Aコンバータ506を用いて接続ポート501から受信した制御信号を電圧値に変換し、通信インターフェース507からこれに通信線202により接続された制御対象の機器に送信する。
【0088】
さらに、CPU502は、プログラムに基づいて、この機器から通信インターフェース507により送信された信号の電圧値をA/Dコンバータ505を用いてこの機器の動作や機能の状態を検知するモニタ用の信号に変換し、モニタ用の信号を接続ポート501からモジュールコントローラ113へ送信する。
【0089】
また、接続ポート501はCPU502に接続されRAM503或いはメモリ504はCPU502を介してこれらポートと通信可能であるが、CPU402を介さず直接RAM403或いはフラッシュメモリ404とこれらポートとを通信可能に接続してこれらの間で直接的に信号を送受信しても良い。
【0090】
次に、図6を用いてモジュール内部の制御信号の送受信及び本発明の詳細について説明する。図6は、図3に示すプロセスモジュール101,110−1〜110−4の制御信号の送受信の構成を詳細に示した図である。
【0091】
前記の通り、モジュール101、110−1〜110−4には、これらモジュールの各々を構成するユニットの動作や機能を調節するためのモジュールコントローラ113−0〜113−4と各モジュールコントローラ113−0〜113−4により動作、機能が調節される機器と接続されモジュールコントローラ113−0〜113−4と機器との間の信号の送受信を仲介する少なくとも1つの入出力基板201とが備えられている。
【0092】
例えば、プロセスモジュール110−1〜110−4各々には真空容器ユニット301、ガス導入ユニット302、プラズマ形成ユニット303、排気ユニット304が配置され、これらはモジュールコントローラ113によって動作、機能が調節される。また、モジュールの各ユニットはそれぞれ複数の制御対象の機器を有しており、これらの機器とモジュールコントローラ113との間において信号を伝達するため、入出力基板201がモジュールコントローラ113と機器との間に配置されている。このために各入出力基板201の接続ポート501は各々が接続されてスイッチ機能を備えている。
【0093】
例えば、本図の実施例では、真空容器ユニット301では入出力基板201aが試料台315、駆動機構316と接続されている。ガス供給ユニット302では入出力基板201bがガス供給源305、流量制御器306と接続され、入主力基板201b’がバルブ307、分流器309と、入出力基板201b’’がバルブ310−1,310−2と接続されている。
【0094】
さらに、プラズマ形成ユニット303では入出力基板201cがマイクロ波発生源311、アンテナ312と接続され、入出力基板201c’がソレノイドコイル313と接続されている。排気ユニット304では、入出力基板201dがバルブ317−1,2と接続され、入出力基板201d’が処理室排気バルブ318と排気ポンプ319と接続されている。
【0095】
モジュールコントローラ113と各入出力基板201及び制御対象の機器との間は信号線202で接続されている。各ユニット内において入出力基板201が複数接続される場合は、本実施例では信号線202を介して一方と他方との入出力基板の接続ポート501同士が数珠繋ぎ(デイジーチェーン)状に接続される。
【0096】
例えば、ガス供給ユニット302では、入出力基板201bはモジュールコントローラ113と信号線202と接続されると共に別の入出力基板201b’と接続されており、入出力基板201b’はネットワーク上で入出力基板201bの下層側或いは末端側に位置する。さらに、入出力基板201b’は別の入出力基板201b’’と信号線202によりその接続ポート501同士が接続されている。入出力基板201b’’は、ガス供給ユニット302の制御用のネットワーク上で最も末端側に位置した制御の対象機器となっている。この例では、3つの入出力基板201b、201b’,201b’’が直列に接続されている。
【0097】
一方、モジュールコントローラ113にはユニットの制御用のネットワーク上で最も根元側(上層)側に位置する入出力基板201と接続しているが、図6に示すように制御するモジュールがユニットを複数備える場合には複数の入出力基板201(図3及び図6の例では4個)と接続されることになる。
【0098】
図6の実施例では、4つの入出力基板201a〜201dはモジュールコントローラ113と並列に接続されて、所謂スター型のネットワークが構成されている。このため、モジュールコントローラ113は接続されるユニットの個数を下回らない個数の接続ポート405(例えば4個)を備えて、これらの接続ポート405と入出力基板201a〜201dとの間の通信を制御するハブ機能を備えても良い。また、通信の規則としてTCP/IPを用いることのできるハブ機能を備えた装置を別途用いても良い。
【0099】
本実施例では、ホスト112から指令された試料の処理の実行に伴って各々の入出力基板201a〜201d’’及びこれに接続されたガス供給源305や排気ポンプ319等の複数機器の各々から発信される動作の状態を示すモニタ用の信号は、モジュールコントローラ113から送信された指令信号やデータとともに時間の推移に伴って変化する動作のログデータとして記録される。
【0100】
各機器の動作のログデータは、これが接続された入出力基板201の不揮発性のメモリ504内に保持されると共に、数珠繋ぎにされた同ユニット内のネットワーク上の上位側(根元側)の入出力基板201或いは他ユニットの入出力基板201内の記憶手段である不揮発性のメモリ504もしくはモジュールコントローラ113内のフラッシュメモリ404内の少なくともいずれか1箇所にログデータの複製が記録される。
【0101】
本実施例のそれぞれの入出力基板201は、数珠繋ぎされる場合に根元側或いは末端側のいずれにも繋ぎ替えることが可能に構成されており、ユニット内のネットワーク上の上下層の位置を替えて接続し直すことが出来る。例えば、入出力基板201b’は、入出力基板201bと接続している信号線202を切り離す一方で、入出力基板201b’’と入出力基板201bとを信号線202で接続することで、入出力基板201b’をネットワーク上の最も末端の位置に配置し直すことが出来る。
【0102】
このようなことを実現するため、各入出力ポート201の2つの接続ポート501は各々が接続されてスイッチ機能を備えている。また、入出力基板201は自らの入出力基板201の身元識別の為のIDを有し、メモリ503またはCPU502内の記憶手段内に記録されたプログラムは、上記IDを検出する機能及び数珠繋ぎに接続されて形成されたネットワーク上の階層における根元から末端までの間での自機の位置、少なくとも上下の順位あるいは上下の階層を構成する隣り合う入出力基板のIDを検出する機能と共に、上位(根元)の側の入出力基板201のIDを検出して所定の条件を満たす入出力基板201を選択してメモリ504内のログデータの複製の信号を送信する機能を奏するようにCPU502を動作させるものとなっている。
【0103】
このような構成を備えることで、モジュールコントローラ113または主制御装置111或いはホスト112が特定の入出力基板201の異常の発生を検出した場合に、当該入出力基板201のログデータが参照できない場合でも、ホスト112または主制御装置111に記憶された或いは別の箇所から読み込まれた自己診断用のプログラムに基づいて、これらの演算器が他の入出力基板201もしくはモジュールコントローラ113に保持された異常が検出された入出力基板201のログデータのコピーを参照して入出力基板201または制御対象の機器の異常の発生時及びその前後の動作の状態を検出でき、故障原因の特定、故障箇所の特定(例えば、入出力基板201、制御対象の機器の何れの箇所か)が容易に判定出来る。
【0104】
それぞれの入出力基板201は、演算器502が自身及び接続された制御対象の機器の動作、機能、処理のログデータを逐次自身のフラッシュメモリ504に保存すると共に、定期的にログデータをネットワーク上の上層或いは他のユニットのネットワーク上のコピー先に送信する。
【0105】
コピー先は各入出力基板201及びモジュールコントローラ113の空きメモリ容量が大きく、CPU負荷率が小さいものから演算器502が予め記録されたプログラムに基づいて選択する。他のログデータのコピーを受信した入出力基板201もしくはモジュールコントローラ113は、そのログデータを自身の記憶手段内に記録する。また、空きメモリ領域を確保のため、所定の期間が経った古いデータを削除するようにしても良い。
【0106】
任意の入出力基板201又はこれに接続された制御対象の機器の異常等の発生が検出された場合、モジュールコントローラ113は、全入出力基板に対して異常の発生に係る入出力基板201のID及びネットワーク上の位置を送信して通知し当該入出力基板201のログデータのコピーを停止するように指令する信号を発信する。
【0107】
その後、主制御装置111からの要求により、モジュールコントローラ113は異常の発生に係る当該入出力基板201のログデータを収集する。当該入出力基板201と通信が可能な場合はその入出力基板201自身のログデータを参照し、通信が不可能な場合には他の入出力基板もしくはモジュールコントローラ113内にコピーされた当該入出力基板201のログデータを参照し、主制御装置111またはホスト112にログデータを送信する。
【0108】
主制御装置111またはホスト112は読み込んだプログラムに基づいた自己診断の動作を行い異常の発生した箇所や判定した原因を、主制御装置111の表示装置上で表示する。また、自己診断用のプログラムを各入出力基板201やモジュールコントローラ113内部の記憶手段内に予め記憶させておき、ホスト112または主制御装置111からの指令に基づいてCPU402またはCPU502がこのプログラムを読み込んで自己診断した結果をネットワーク上の上層に位置する主制御装置111またはホスト112に送信するようにしても良い。この場合には、自己診断の動作によってモジュールの他のユニットや他のモジュールの動作や機能が損なわれることが抑制される。
【0109】
以上の通り、実施例によれば、真空処理装置の異常が検出された場合にも入出力基板201またはこれに接続された制御対象の機器の動作状態がチェックでき、異常箇所、異常原因の特定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は本発明の実施例における装置の構成を示した図である。
【図2】図2は本発明の実施例における装置の通信の構成を示した図である。
【図3】図3は本発明の実施例におけるプロセスモジュールの断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例におけるモジュールコントローラの概略を示すブロック図である。
【図5】図5は本発明の実施例における入出力基板の構成の概略を示すブロック図である。
【図6】図6は本発明の実施例におけるプロセスモジュールの通信の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
100 真空処理装置
101 搬送モジュール
102 真空搬送部
103 大気搬送部
104 真空搬送容器
105 ロック室
106 大気搬送容器
107 カセット台
108 真空搬送ロボット
109 大気搬送ロボット
110 プロセスモジュール
111 主制御装置
112 ホスト
113 モジュールコントローラ
115 信号線1
201 入出力基板
202 信号線2
301 真空容器ユニット
302 ガス供給ユニット
303 プラズマ形成ユニット
304 排気ユニット
305 ガス供給源
306 流量制御器
307 ガス遮断バルブ
308 ガス導入ライン
309 分流器
310−1 ガス導入バルブ1
310−2 ガス導入バルブ2
311 マイクロ波発生源
312 アンテナ
313 ソレノイドコイル
314 処理室
315 試料台
316 試料台駆動機構
317−1 ガスライン排気バルブ1
317−2 ガスライン排気バルブ2
318 処理室排気バルブ
319 排気ポンプ
320−1 ガス導入ライン1
320−2 ガス導入ライン2
321−1 ガス排気ライン1
321−2 ガス排気ライン2
322 処理室排気ライン
401 接続ポート
402 CPU
403 RAM
404 フラッシュメモリ
405 接続ポート
501 接続ポート
502 CPU
503 RAM
504 フラッシュメモリ
505 D/Aコンバータ
506 A/Dコンバータ
507 制御機器とのインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内の処理室の内側に配置された試料を処理する真空処理装置において、複数の制御対象機器と、前記複数の制御対象機器の少なくとも1つと接続された入出力基板とを有する制御ユニットが、他の制御ユニットと接続されて、前記制御ユニットとの間で制御のための信号を送受信する複数のコネクタ部を備えており、前記複数のコネクタ部により、前記制御ユニットの入出力基板は、各々が前記他の制御ユニットまたは前記複数の入出力基板のうちの2つに接続するデイジーチェーン接続が可能であることを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空処理装置であって、前記制御ユニットの1つと接続され、前記制御ユニットと信号を送受信するコントローラを有した少なくとも1つのモジュールと、前記コントローラと接続され、このモジュールを制御する信号を送受信するインターフェースと、を備えていることを特徴とする真空処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の真空処理装置であって、前記モジュールがデイジーチェーン接続された複数の制御ユニットを有し、前記複数の制御ユニットの内、根元側の制御ユニット又はコントローラが末端側の制御ユニットの動作記録を記憶する手段を備えていることを特徴とする真空処理装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の真空処理装置であって、前記モジュールの前記コントローラは各々に制御ユニットが接続された接続手段を有し、一方の制御ユニット又は前記一方の制御ユニットとデイジーチェーン接続された別の制御ユニットは、他方の制御ユニット又は前記他方の制御ユニットとデイジーチェーン接続された更に別の制御ユニットの動作記録を記憶する手段を備えていることを特徴とする真空処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の真空処理装置であって、前記コントローラが前記コントローラと接続された制御ユニットの異常を検出した際に、前記記憶手段に記憶された動作の記録に基づいて異常の箇所を表示する手段を備えていることを特徴とする真空処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−141105(P2010−141105A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315632(P2008−315632)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】