説明

石膏廃材再生原料化装置

【課題】紙が付着している石膏廃材であっても、紙が混入せず且つ規格粒径以下(高精度)の細粒石膏に加工できるとともに、良品(再生原料)への加工量を多くできるようにした石膏廃材再生原料化装置を提供する。
【解決手段】破砕機1と、第1圧砕機3と、搬送装置4と、紙片分離機5と、粒径分別機6と、第2圧砕機7と、リターン通路9とを備え、粒径分別機6において再生原料として分別された規格粒径以下の細粒石膏Aのみを順次再生原料容器67に回収するとともに、粒径分別機6で分別された粗粒石膏を第2圧砕機7で再度圧砕した後、リターン通路9で原料として戻すようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、石膏廃材(廃石膏ボード)を再利用可能な再生原料に処理するための石膏廃材再生原料化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建造物を解体すると石膏廃材(主として廃石膏ボード)が多量に発生するが、この石膏廃材は、小さく(粒径が3mm以下の細粒石膏に)破砕して再生原料として再利用することができる。
【0003】
ところで、建材として使用されている石膏ボードには、全面に紙が貼着されており、廃石膏ボードを再生原料化するには、再生原料となる細粒石膏中から紙を排除する必要がある。尚、建造物から解体した石膏廃材には紙が貼着されているほかに、石膏廃材に混じって木片や金属やプラスチック等の異物が混入していることが多い。
【0004】
図8には、解体した石膏廃材(廃石膏ボード)を再生原料となる細粒石膏に加工するための一般的な工程を示している。
【0005】
図8に示す一般的な石膏廃材の再生原料化工程では、まず、解体現場から搬入した大塊状の石膏廃材A0中に混入している異物を手選別で除去し、その異物を除去した石膏廃材A0を破砕機で所定大きさ(例えば1辺が50mm程度の大きさ)の塊状石膏廃材A1に粗分割する(S1)。このとき、石膏廃材A0に貼着されている紙も分断されるが、その紙片は殆どが塊状石膏廃材A1に付着したままである。
【0006】
次に、粗分割した紙付着塊状石膏廃材A1を搬送コンベアで搬送し(S2)、該搬送コンベアの適所において紙付着塊状石膏廃材A1中に混入している鉄成分(鉄屑)を磁選機で除去する(S3)。
【0007】
続いて、紙付着塊状石膏廃材A1を搬送コンベアの終端部から紙分離機に投入して、該紙分離機で塊状石膏廃材A1に付着している紙片を剥離させるとともに、その剥離させた紙片を除去する(S4)。この紙分離機は、一般に紙が付着している石膏廃材を揉みほぐすことによって石膏廃材から紙片を剥離させた後、その剥離させた紙片を風圧等により除去するものである。
【0008】
次に、紙除去工程(S4)を経た紙除去塊状石膏廃材A2は、圧砕機で規格粒径以下(例えば3mm以下の粒径)に圧砕されて(S5)、再生原料となる細粒石膏Aに加工される。尚、圧砕機は、左右一対の圧砕ローラを有し、該両圧砕ローラ間に塊状石膏廃材A2を通過させることによって規格粒径以下の細粒石膏に押し潰すものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記した一般的な石膏廃材の再生原料化工程(図8)において、細粒化工程S5では、塊状石膏廃材A2が圧砕機の圧砕ローラで細粒石膏に圧砕されるが、塊状石膏廃材A2が両圧砕ローラ間を通過する際にその全量が確実に規格粒径以下まで圧砕できるとは限らない。例えば、塊状石膏廃材A2中に圧砕できない硬質の大径異物が混入している場合には、その大径異物の近くを同時に通過する石膏廃材が両圧砕ローラ間で潰されないので、規格粒径より大きい粒径の粗粒石膏が再生原料(細粒石膏)中に混入することになる。
【0010】
このように、規格粒径より大きい粗粒石膏が再生原料(細粒石膏)中に混入していると、加工された再生原料の品質が低劣となる(再生原料としての商品価値が低くなる)という問題がある。
【0011】
又、図8の圧砕工程S5を経た後の再生原料の粒径を厳格に分別しようとすると(規格粒径以下のものだけを良品とする場合)、規格粒径を超えた粗粒石膏が多量に排除されることになり、良品としての加工量が非常に少なくなる(無駄になる石膏成分が多くなる)という問題があった。
【0012】
さらに、上記した一般的な石膏廃材の再生原料化工程(図8)において、紙片除去工程S4で使用される紙分離機は、紙片付きの塊状石膏廃材A1を揉みほぐすことによって紙片を剥離させるものであるが、剥離すべき紙片は石膏廃材に強固に貼着されているので、その紙片除去効率は低いものであり、かなり多量の紙片が石膏廃材に付着したままで次工程(圧砕工程S5)に送られることになる。従って、圧砕工程S5では、塊状石膏廃材A2にかなりの量の紙片が付着したままで細粒化される関係で、加工された細粒石膏A中にはかなりの量の屑紙が混入しており、このままでは品質の低劣な細粒石膏(再生原料)となってしまう。尚、このように細粒化された再生原料中に屑紙が混入していると、良品である細粒石膏中に粉状のもの(非常に軽量である)も含まれている関係で、風圧で屑紙のみを吹き飛ばして除去することができず、屑紙の除去処理が非常にむずかしくなる。
【0013】
そこで、本願発明は、石膏廃材(廃石膏ボード)を規格粒径以下の細粒石膏(品質の良好な再生原料)のみを回収でき、且つその細粒石膏への加工量(歩留まり)を多くし得るるようにするとともに、紙が貼着されている石膏廃材であっても紙混入率を極めて少なくできる(純度を高める)ようにした石膏廃材再生原料化装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0015】
ところで、解体建造物から搬出される石膏廃材(廃石膏ボード)を再生原料化するためには、石膏成分以外の不純物を除去するとともに、石膏廃材を再生原料となる規格粒径(3mm)以下まで細粒化させる必要がある。そこで、本願発明は、解体建造物からでる石膏廃材を再生原料として高純度に且つ高精度に加工するための石膏廃材再生原料化装置を対象にしたものである。
【0016】
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の石膏廃材再生原料化装置は、紙が付着している大塊状の解体石膏廃材を所定大きさの塊状に粗分割する破砕機と、該破砕機で粗分割された塊状石膏廃材を再生原料となる規格粒径以下まで圧砕し得る第1圧砕機と、該第1圧砕機で圧砕した第1次圧砕石膏を次工程側に搬送する搬送装置と、該搬送装置で搬送された第1次圧砕石膏から紙片を分離させる紙片分離機と、該紙片分離機で紙片を分離させた残りの圧砕石膏を再生原料となる規格粒径以下の細粒石膏とそれより大粒の粗粒石膏とに分別する粒径分別機と、該粒径分別機で分別された粗粒石膏を再度小さく圧砕する第2圧砕機と、該第2圧砕機で圧砕された第2次圧砕石膏を搬送装置に戻すリターン通路とを備えているとともに、粒径分別機において再生原料として分別された細粒石膏のみを順次再生原料容器に回収するようにしたものである。
【0017】
この請求項1の再生原料化装置の各構成部分について、機能とともにさらに詳しく説明する。
【0018】
破砕機は、不特定な大きさの石膏廃材(廃石膏ボード)を第1圧砕機に投入する前に、一辺が例えば50mm程度以下の大きさ(この大きさは特に限定するものではない)に揃えるためのものである。尚、この破砕機は、大塊状の石膏廃材を所定大きさ(一辺が50mm程度以下)の塊状に粗分割した際に、石膏廃材に貼着されている紙も分断するが、分断された小片状の紙は塊状石膏廃材に貼着されたままである。
【0019】
破砕機で粗分割された塊状石膏廃材は、搬送コンベアで第1圧砕機まで搬送することが好ましいが、この請求項1では、搬送コンベアなしで破砕機の出口から塊状石膏廃材を直接第1圧砕機に投入するようにしてもよい。
【0020】
第1圧砕機は、左右一対の圧砕ローラを有し、該両圧砕ローラ間に塊状石膏廃材を通すことによって規格粒径(約3mm)以下の細粒石膏に圧砕するものである。この両圧砕ローラによる圧砕作用は、塊状石膏廃材を細粒状に砕くことができるものであるが、塊状石膏廃材に貼着されていた紙に対しては分断作用が小さいものであり、石膏廃材が粉々に圧砕されても紙の大部分は元の大きさ(一辺が50mm程度)のままである。又、圧砕された細粒石膏(粉々になっている)は、その殆どが紙から分離するようになる。
【0021】
尚、この第1圧砕機の両圧砕ローラは、所定圧力(石膏廃材を押し潰し得る圧力)で圧接しているが、該両圧砕ローラ間に大径の硬質異物が入ると、該硬質異物によって両圧砕ローラ間の間隔が押し広げられて該硬質異物がそのまま通過するようになっている。そして、両圧砕ローラ間の間隔が押し広げられた瞬間には、石膏廃材が規格粒径より大粒の状態で通過することがある。
【0022】
搬送装置は、第1圧砕機で圧砕された第1次圧砕石膏(紙片混じり)を紙片分離機まで搬送させるものであるが、第1圧砕機の設置高さより紙片分離機の設置高さが高い場合は、搬送装置として垂直コンベア(請求項5で採用)を使用するとよい。
【0023】
紙片分離機は、紙片混じりの第1次圧砕石膏中の紙片を石膏成分(圧砕石膏)から分離させるものである。この紙片分離機としては、第1圧砕機で圧砕された圧砕石膏の通過を許容する一方で紙片の通過を阻止するようなメッシュ(例えば10mm程度のパンチング穴や網目)のフイルターを使用したものを採用できる。そして、この紙片分離機に投入された紙片混じりの第1次圧砕石膏は、該フイルター上を通過中にメッシュ(10mm)より小さい粒径のもの(主として圧砕石膏)だけがフイルターを通って落下し、紙片はフイルター上に残ることによって該紙片を圧砕石膏から分離させることができる。フイルター上に残った紙片は、順次紙片分離機から排除される。尚、微小に分断された紙片は、フイルター部分を移動時にそのメッシュを通過して圧砕粒石膏に混入することが考えられるが、その量は微々たるものである。
【0024】
紙片分離機で紙片を除去した残りの第1次圧砕石膏は、次工程の粒径分別機に投入される。この粒径分別機は、先の第1圧砕機において規格粒径(3mm)以下まで圧砕できなかった粗粒石膏を再生原料となる細粒石膏から分離するものであり、この粒径分別機としては例えば振動ふるい機を使用することができる。この粒径分別機(振動ふるい機)のふるい網のメッシュは、規格粒径(3mm)以下の細粒石膏だけ通過させ得るものであり、分別された細粒石膏と粗粒石膏とは別の出口から排出される。
【0025】
そして、この粒径分別機で規格粒径以下のものとして分別された細粒石膏は、順次再生原料容器に回収される一方、規格粒径を超えるものとして分別された粗粒石膏は次工程の第2圧砕機に送られる。
【0026】
この第2圧砕機は、上記の第1圧砕機と同様に左右一対の圧砕ローラを有したものを採用することができる。この第2圧砕機に投入される粗粒石膏の量は、粒径分別機において規格粒径を超えるものだけなので少量であり、硬質異物以外は確実に規格粒径以下に圧砕できる。尚、この第2圧砕機でも硬質の異物はそのまま通過する。
【0027】
この第2圧砕機で圧砕された第2次圧砕石膏(細粒石膏が殆どである)は、リターン通路を通して上記の搬送装置に戻される。そして、搬送装置に戻された第2次圧砕石膏は、該搬送装置により紙片分離機を経て粒径分別機に再投入され、そこで規格粒径以下の細粒石膏(良品)が順次再生原料容器に回収される。尚、第2次圧砕石膏中に粗粒の硬質異物がある場合には、該粗粒硬質異物は何度も循環するが、ある程度の量の粗粒硬質異物が溜まった時点で後述する請求項4の構成によりまとめて排除することができる。
【0028】
この請求項1の石膏廃材再生原料化装置では、紙片分離機で圧砕石膏中の紙片を除去し、粒径分別機で規格粒径以下の細粒石膏(良品)のみを分別して回収するので、規格粒径を超えた粗粒石膏が良品中に混入することがない。又、規格粒径を超えた粗粒石膏は、粒径分別機で排除されて第2圧砕機で圧砕された後(細粒石膏となる)、リターン通路を通して再度粒径分別機に投入されて、良品側に回収されるようになっている。
【0029】
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の石膏廃材再生原料化装置において、第2圧砕機とリターン通路との間に、第2圧砕機で圧砕した第2次圧砕石膏中に残っている屑紙を分離させる振動ふるい機を設けて、振動ふるい機で屑紙を除去した細粒石膏のみをリターン通路に戻すようにしている。
【0030】
前工程の粒径分別機において規格粒径を超えるものとして分別された粗粒石膏中には、少量ではあるが紙片分離機で分離されなかった屑紙(紙片分離機のフイルターを通過した一辺が10mm未満のもの)が混入していることがあり、この請求項2では、その屑紙混入粗粒石膏を第2圧砕機で圧砕した後(細粒石膏となる)、振動ふるい機で屑紙を除去するようにしている。
【0031】
第2圧砕機では、石膏成分を小さく圧砕するものの、屑紙は圧砕しても殆ど分断しないので、第2圧砕機を通過した屑紙は、前工程の紙片分離機のフイルター(メッシュが10mm)を通過したままの大きさである。
【0032】
振動ふるい機のふるい網としては、メッシュが5mm程度のものが適当である。そして、この請求項2では、該振動ふるい機によって残りの屑紙を除去した第2次圧砕石膏のみをリターン通路側に通すことができる。
【0033】
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の石膏廃材再生原料化装置において、破砕機と第1圧砕機との間に塊状石膏廃材を搬送する搬送コンベア設けているとともに、搬送コンベアの適所に塊状石膏廃材中の鉄成分を除去する磁選機を設けている。尚、以下の説明では、磁選機で除去される鉄成分を鉄屑と称する。
【0034】
ところで、解体建造物から搬出される石膏廃材中には鉄屑が混入していることが多々あるが、この請求項3では、塊状石膏廃材を第1圧砕機に投入する前に該塊状石膏廃材中に混入している鉄屑を磁選機で除去することにより、該第1圧砕機以下の各装置部分に鉄屑が送られないようにしている。
【0035】
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明は、上記請求項1から3のいずれか1項の石膏廃材再生原料化装置において、リターン通路に、該リターン通路を通る通過物をリターン通路外に導くダンパーを設けている。尚、このダンパー部分には、リターン通路から分岐する排出通路を設けており、通常はダンパーがリターン通路を開放している(排出通路が閉)が、該ダンパーを切換えることでリターン通路を通る通過物を排出通路側に導くことができるようにしている。
【0036】
ところで、本願の再生原料化装置では、規格粒径以下に圧砕できない硬質異物(例えば石粒やプラスチック屑や非鉄金属)がリターン通路を介して何度も循環するようになっているが、長期間運転していると、処理経路中を硬質異物が多量に循環するようになり、良品の処理効率が悪くなる。
【0037】
そこで、この請求項4の再生原料化装置では、定期的に(あるいは必要に応じて)ダンパーを切換えることでリターン通路を通る通過物(主として硬質異物)を排出通路から外部に排出させることができるようにしている。尚、この場合(ダンパーを排出通路開側に切換える場合)は、新しい塊状石膏廃材の供給を停止した状態で行う。
【0038】
[本願請求項5の発明]
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項の石膏廃材再生原料化装置において、搬送装置に垂直コンベアを使用する一方、垂直コンベアのケーシング下端に粒体溜まり部を設けて、粒体溜まり部の前後対向位置に第1圧砕機からの粒体通路とリターン通路とを接続させている。
【0039】
この請求項5の再生原料化装置で使用している垂直コンベアは、多数のバケットを上下に循環させる形式のものを採用しており、ケーシング下端に設けている粒体溜まり部にある粒体を順次バケットで掬い上げて次工程(紙片分離機)側に搬送し得るようになっている。
【0040】
そして、この請求項5では、ケーシング下端の粒体溜まり部に第1圧砕機からの第1次圧砕石膏とリターン通路からの圧砕石膏とを合流させるようにしている。
【発明の効果】
【0041】
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の再生原料化装置は、破砕機と、第1圧砕機と、搬送装置と、紙片分離機と、粒径分別機と、第2圧砕機と、リターン通路とを備えて、粒径分別機において再生原料として分別された細粒石膏のみを順次細粒石膏通路を通して再生原料容器に回収するようにしたものである。従って、この請求項1の再生原料化装置では、次のような効果がある。
【0042】
まず、紙が貼着されている解体石膏廃材であっても、破砕機に投入するだけで、全自動で紙を除去した純度の高い細粒石膏(再生原料)に加工できる。
【0043】
又、最終加工された細粒石膏中に規格粒径以上の粗粒のものが混入しないので、高精度の再生原料を得ることができる。
【0044】
さらに、粒径分別機で分別された規格粒径以上の粗粒石膏を第2圧砕機で再度圧砕して、その圧砕石膏をリターン通路を通して搬送装置に戻す(その後、再度粒径分別機に送る)ようにしているので、再生原料となる細粒石膏への加工量を多くできる(無駄になる石膏成分が少なくなって、歩留まり量が多くなる)。即ち、従来では、無駄になる石膏成分が全体の20%程度あったが、本願のように粒径分別機で分別した粗粒石膏を第2圧砕機で再度圧砕したものをリターン通路で搬送装置に戻して、粒径分別機で再分別するようにしたものでは、無駄になる石膏成分が全体の約2%程度にすることができる。
【0045】
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の再生原料化装置において、第2圧砕機とリターン通路との間に、第2圧砕機で圧砕した第2次圧砕石膏中に残っている屑紙を分離させる振動ふるい機を設けて、振動ふるい機で屑紙を除去した細粒石膏のみをリターン通路に戻すようにしている。
【0046】
従って、この請求項2の再生原料化装置では、上記請求項1の効果に加えて、振動ふるい機による更なる屑紙除去が行えるので、一層高純度の再生原料(細粒石膏)を得ることができるという効果がある。
【0047】
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の再生原料化装置において、破砕機と第1圧砕機との間に設けている搬送コンベアの適所に塊状石膏廃材中の鉄成分(鉄屑)を除去する磁選機を設けている。
【0048】
従って、この請求項3の再生原料化装置では、塊状石膏廃材が第1圧砕機に送られる前に磁選機で鉄屑を排除できるので、上記請求項1〜2の効果に加えて、第1圧砕機以下の各装置部分を鉄屑噛み込みによるトラブル(破損等)から保護できるとともに、鉄屑が混入しないので再生原料の純度が良好となるという効果がある。
【0049】
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明は、上記請求項1から3のいずれか1項の再生原料化装置において、リターン通路に、該リターン通路を通る通過物(規格粒径以下に圧砕できない硬質異物)をリターン通路外に導くダンパーを設けている。この請求項4の再生原料化装置では、定期的に(あるいは必要に応じて)ダンパーを切換えることにより、規格粒径以下に圧砕できない硬質異物(不純物)を正規の循環通路から排除できる。
【0050】
従って、この請求項4の再生原料化装置では、上記請求項1〜3の効果に加えて、硬質異物(不純物)を排除するのにダンパーの切換えだけで行えるので、その硬質異物の排除操作が簡単であるという効果がある。
【0051】
[本願請求項5の発明の効果]
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項の再生原料化装置において、搬送装置に垂直コンベアを使用する一方、垂直コンベアのケーシング下端に粒体溜まり部を設けて、粒体溜まり部の前後対向位置に第1圧砕機からの粒体通路とリターン通路とを接続させている。
【0052】
従って、この請求項5の再生原料化装置では、上記請求項1〜4の効果に加えて、リターン通路からの細粒石膏を再度粒径分別機に戻すのに搬送装置(垂直コンベア)を利用して行え、特別な還流装置(コンベア)が不要となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本願実施例に係る石膏廃材再生原料化装置の概略図である。
【図2】図1における搬送コンベアの終端部付近及び垂直コンベアの始端部付近の拡大図である。
【図3】図1における垂直コンベアの終端部付近及び紙片分離機の始端部付近の拡大図である。
【図4】図1における紙片分離機部分の拡大図である。
【図5】図1における粒径分別機部分及び第2圧砕機部分の拡大図である。
【図6】図1における振動ふるい機部分及びリターン通路部分の拡大図である。
【図7】図1の石膏廃材再生原料化装置の処理方法説明図である。
【図8】従来の一般的な石膏廃材再生原料化方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
[実施例]
以下、図1〜図7を参照して本願実施例の石膏廃材再生原料化装置を説明すると、図1にはその全体概略図を示し、図2〜図6にはそれぞれ図1の部分拡大図を示し、図7には図1の石膏廃材再生原料化装置の処理方法説明図を示している。
【0055】
ところで、建造物を解体すると石膏廃材(主として廃石膏ボード)が多量に発生するが、この石膏廃材は、小さく(粒径が3mm以下の細粒石膏に)破砕して再生原料として再利用することができる。
【0056】
又、建材として使用されている石膏ボードには、全面に紙が貼着されており、廃石膏ボードを再生原料化するには、再生原料となる細粒石膏中から紙を排除する必要がある。
【0057】
そして、図1に示す実施例の石膏廃材再生原料化装置は、上記の紙付き石膏廃材(主として廃石膏ボード)から紙を除去した再生原料(細粒石膏)に加工するためのもので、次の構成を備えている。
【0058】
即ち、この実施例の石膏廃材再生原料化装置は、
紙が付着している大塊状の解体石膏廃材A0を所定大きさの塊状に粗分割する破砕機1と、
破砕機1で粗分割された塊状石膏廃材A1を次工程(第1圧砕機3)に搬送する搬送コンベア2と、
搬送コンベア2で搬送されている塊状石膏廃材A1中に混入している鉄成分(以下、鉄屑という)を除去する磁選機21と、
搬送コンベア2の終端部から落下する塊状石膏廃材A1を再生原料Aとなる規格粒径以下まで圧砕し得る第1圧砕機3と、
第1圧砕機3で圧砕した紙片混じりの第1次圧砕石膏A2を次工程(紙片分離機5)側に搬送する搬送装置4と、
搬送装置4で搬送された紙片混じりの第1次圧砕石膏A2から紙片P1を分離させる紙片分離機5と、
紙片分離機5で紙片P1を分離させた残りの圧砕石膏A3を再生原料となる規格粒径以下の細粒石膏Aとそれより大粒の粗粒石膏A4とに分別する粒径分別機6と、
粒径分別機6で分別された粗粒石膏A4を再度小さく圧砕する第2圧砕機7と、
第2圧砕機7で圧砕された第2次圧砕石膏A5中に混入している残りの屑紙P2を除去する振動ふるい機8と、
振動ふるい機8で分別された分別済圧砕石膏A6を搬送装置4に戻すリターン通路9、
とを基本構成としているとともに、粒径分別機6において再生原料として分別された細粒石膏Aのみを順次再生原料容器67に回収するようにしたものである。
【0059】
解体現場から搬出される石膏廃材(廃石膏ボード)には紙が貼着されているほかに、石膏廃材に混じって木片や金属やプラスチック等の異物が混入していることが多い。そして、解体石膏廃材A0を破砕機1に投入する前には、予め手選別により解体石膏廃材A0から木片や金属やプラスチック等の異物を除去しておく。尚、解体石膏廃材A0は、不特定な形状でなかなりの大きさを有している。
【0060】
破砕機1は、不特定な形状で大塊状の解体石膏廃材(廃石膏ボード)A0を一辺が例えば50mm程度以下の大きさ(この大きさは特に限定するものではない)に粗分割するためのものである。尚、この破砕機1には、そのホッパー11に解体石膏廃材A0を重機で掬って投入する。
【0061】
この破砕機1では、大塊状(不特定形状)の石膏廃材を所定大きさ(一辺が50mm程度以下)の塊状に粗分割し、その際に石膏廃材に貼着されている紙も分断するが、分断された小片状の紙は塊状石膏廃材A1に貼着されたままである。そして、破砕機1で粗分割された塊状石膏廃材A1は、投入コンベア(スクリューコンベア)12で順次所定量ずつ搬送コンベア2の始端部上に投入される。
【0062】
搬送コンベア2にはコンベアベルトが使用されている。この搬送コンベア2の適所には、該搬送コンベア2によって搬送される塊状石膏廃材A1中の鉄成分(鉄屑)を除去するための磁選機21を設けている。
【0063】
この磁選機21は、実施例では図2に拡大図示するように、搬送コンベア2の終端側ローラ部分に設けている。そして、搬送コンベア2で搬送される塊状石膏廃材A1中に鉄屑があると、搬送コンベア(コンベアベルト)終端部において該鉄屑Fを磁選機21で磁気吸着させることで、正常な塊状石膏廃材A1から分離するようになっている。そして、正常な塊状石膏廃材A1から分離された鉄屑Fは、鉄屑通路22を通して鉄屑容器23内に貯留される。尚、この磁選機21は、搬送コンベア(コンベアベルト)2の上面走行部分に設けたものでもよい。
【0064】
搬送コンベア2の終端部下方には、該コンベア終端部から順次落下してくる塊状石膏廃材A1を小さく圧砕するための第1圧砕機3(図2に拡大図示している)が設けられている。この第1圧砕機3は、ケーシング内に左右一対の圧砕ローラ31,31を有し、該両圧砕ローラ31,31間に塊状石膏廃材A1を通すことによって規格粒径(約3mm)以下の細粒石膏A2に圧砕するものである。この両圧砕ローラ31,31による圧砕作用は、塊状石膏廃材A1を細粒状に砕くことができるものであるが、塊状石膏廃材A1に貼着されていた紙に対しては分断作用が小さいものである。従って、石膏廃材が粉々に圧砕されても紙の大部分は元の大きさ(一辺が50mm程度)のままであるが、圧砕された細粒石膏(粉々になっている)は、その殆どが紙から分離するようになる。
【0065】
尚、この第1圧砕機3の両圧砕ローラ31,31は、所定圧力(石膏廃材を押し潰し得る圧力)で圧接しているが、該両圧砕ローラ31,31間に大粒の硬質異物が入ると、該大粒硬質異物によって両圧砕ローラ31,31間の間隔が押し広げられて該大粒硬質異物がそのまま通過するようになっている。そして、両圧砕ローラ31,31間の間隔が押し広げられた瞬間には、石膏廃材が規格粒径より大粒の状態で通過することがある。
【0066】
搬送装置4は、第1圧砕機3で圧砕された紙片混じりの第1次圧砕石膏A2を次工程の紙片分離機5まで搬送させるものであるが、この実施例では搬送装置4として垂直コンベア41を使用している。尚、この搬送装置4(垂直コンベア41)は、図2及び図3に拡大図示している。
【0067】
垂直コンベア41は、縦長のケーシング42内に、上下に循環するチエン43に多数のバケット44,44・・を取付けたものを収容して構成されている。ケーシング42の下部は粒体溜まり部42aとなるもので、該粒体溜まり部42aには第1圧砕機3からの第1次圧砕石膏A2が粒体通路32を通って順次落下・貯留される。
【0068】
チエン43は矢印方向に循環するものであり、各バケット44,44・・が最下部において順次右回り(矢印R)方向に移動するようになっている。そして、粒体溜まり部42aに貯留された第1次圧砕石膏A2は、各バケット44,44・・で順次掬い上げられて上方に搬送される。
【0069】
ケーシング42の上部には、紙片分離機5の始端部に連続する連通路45が設けられている。そして、各バケット44,44・・で上方に搬送された第1次圧砕石膏A2は、垂直コンベア41の上端部において順次連通路45に放出された後、紙片分離機5の始端部に供給される。
【0070】
紙片分離機5は、紙片混じりの第1次圧砕石膏A2を紙片P1と圧砕石膏A3に分離させるためのものである。そして、この紙片分離機5は、底部にフイルター52を有した横長ケーシング51と、横長ケーシング51内に投入された紙片混じりの第1次圧砕石膏A2を順次後送するための移送棒53を有している。
【0071】
横長ケーシング51の始端部51aには上記連通路45が接続されており、該横長ケーシング51の終端部51bには紙片通路55が接続されている。尚、この紙片通路55の下方には、紙片容器56が設置されている。
【0072】
フイルター52は、第1圧砕機3で圧砕された第1次圧砕石膏A2の圧砕石膏A3を通過させ得る一方で紙片P1の通過を阻止するようなメッシュ(例えば10mm程度のパンチング穴や網目)を有している。
【0073】
移送棒53は、横長ケーシング51の全長に亘る長さを有している。この移送棒53の外周には、多数の押し羽根54,54・・が取付けられている。
【0074】
この紙片分離機5は、移送棒53をモータで送り出し方向に回転させることにより、横長ケーシング51の始端部51aに投入された紙片混じりの第1次圧砕石膏A2を順次後送していく。そして、その移送中に、フイルター52のメッシュより小さい粒径の圧砕石膏A3は該フイルター52のメッシュを通して下方に落下する一方、該フイルター52のメッシュより大きい紙片P1は横長ケーシング51の終端部51bまで移送されて該ケーシング終端部51bから紙片通路55内に排出される。
【0075】
フイルター52のメッシュを通って落下する圧砕石膏A3はその殆どが石膏成分であり、しかも該圧砕石膏A3は細粒状に圧砕されているので、その殆どがフイルター52部分を通過する。
【0076】
他方、フイルター52のメッシュを通らない紙片P1は、ケーシング終端部51bから紙片通路55内に排出された後、該紙片通路55を通って紙片容器56内に貯留される。尚、微小に分断された紙片は、フイルター52部分を移動時にそのメッシュを通過して圧砕石膏A3中に混入することが考えられるが、その量は微々たるものである。
【0077】
又、第1次圧砕石膏A2中にフイルター52のメッシュ(10mm程度)より大きい異物が混入されている場合は、その大粒異物も紙片P1とともにケーシング終端部51bから紙片通路55内に排出される(紙片容器56に貯留される)。
【0078】
フイルター52部分から下方に落下した圧砕石膏A3は、該フイルター52の下方に設置している収集コンベア(スクリューコンベア)57によって粒径分別機6の投入通路58上に集められて、該投入通路58内に落下する。尚、収集コンベア57は左右のスクリュー羽根が逆向きに取付けられていて、フイルター52部分から落下してくる圧砕石膏A3を中央側(投入通路58上)に集め得るようになっている。
【0079】
投入通路58内に落下した圧砕石膏A3は、粒径分別機6に投入される。この粒径分別機6は、先の第1圧砕機3において規格粒径(3mm)以下まで圧砕できなかった粗粒石膏A4を再生原料となる細粒石膏Aから分離するもので、この実施例では振動ふるい機を使用している。
【0080】
この粒径分別機(振動ふるい機)6は、そのケーシング61内をふるい網62で上室63と下室64に区画しているとともに、図示しない振動モータでケーシング61ごと上下に振動させ得るようになっている。
【0081】
ふるい網62のメッシュは3mm程度で、規格粒径(3mm)以下の細粒石膏(再生原料となる)Aだけふるい網62を通過させ得るようになっている。上室63には粗粒通路65が接続されている一方、下室64には細粒通路66が接続されている。
【0082】
そして、この粒径分別機6は、ケーシング61の上室63に投入された圧砕石膏A3をふるい網62で粗粒石膏A4と細粒石膏Aとに分別して、該粗粒石膏A4を粗粒通路65に排出する一方、該細粒石膏Aを細粒通路66に排出するようになっている。尚、粒径分別機6に投入される圧砕石膏A3は、その大部分が先の第1圧砕機3で規格粒径以下に圧砕されているので、粗粒通路65側に排出される粗粒石膏A4は少量である。
【0083】
細粒通路66に排出された細粒石膏A(圧砕石膏A3の大部分の量)は、そのまま再生原料となるものであり、該細粒石膏Aは細粒通路66を通って再生原料容器67に貯留される。
【0084】
他方、規格粒径を超えるものとして分別された粗粒石膏A4は、次工程の第2圧砕機7に投入される。この第2圧砕機7は、上記の第1圧砕機3と同様に左右一対の圧砕ローラ71,71を有したものが採用されている。この第2圧砕機7に投入される粗粒石膏A4の量は、粒径分別機6において規格粒径を超えるものだけなので少量であり、該第2圧砕機7では、硬質異物以外は確実に規格粒径以下に圧砕できる。尚、この第2圧砕機7でも硬質の異物はそのまま通過する。
【0085】
この第2圧砕機7で圧砕された第2次圧砕石膏A5は、製品(良品)となる細粒石膏Aが殆どであるが、この第2次圧砕石膏A5中にはごく少量ではあるが微小な屑紙P2が混入していることがある。即ち、粒径分別機6において規格粒径を超えるものとして分別された粗粒石膏A4中には、少量ではあるが紙片分離機5で分離されなかった屑紙(一辺が10mm未満のもの)が混入していることがあるが、この屑紙は第2圧砕機7(両圧砕ローラ71,71)で圧砕しても殆ど分断されないままで第2次圧砕石膏A5に混入している。
【0086】
そして、この第2圧砕機7で圧砕された第2次圧砕石膏A5は、屑紙分離用の振動ふるい機8に投入されて、該振動ふるい機8により屑紙P2を除去するようになっている。
【0087】
この振動ふるい機8は、上記粒径分別機6と同様に、ケーシング81内をふるい網82で上室83と下室84に区画しているとともに、図示しない振動モータでケーシング81ごと上下に振動させ得るようになっている。又、上室83には屑紙通路 85が接続されている一方、下室84には粒体通路86が接続されている。
【0088】
この振動ふるい機8のふるい網82のメッシュは5mm程度であるが、上室83内に投入された第2次圧砕石膏A5中の屑紙P2は、5mmより大きいもの(10mmより小さい)が殆どであるので、該屑紙P2の殆どはふるい網82を通過することなく上室83側の屑紙通路85に排出される。屑紙通路85の下方には屑紙容器87が設置されており、屑紙通路85に排出された屑紙P2は屑紙容器87に貯留される。尚、5mmを超える異物もふるい網82を通過できないので、屑紙P2とともに屑紙容器87に貯留される。
【0089】
他方、上室83に投入された第2次圧砕石膏A5は、第2圧砕機7で圧砕されたものであるので、その硬質異物を除く殆どが規格粒径以下(3mm以下)の細粒石膏A6となっており、ふるい網82をスムーズに通過するようになる。
【0090】
振動ふるい機8のふるい網82を通過した細粒石膏A6は、下室84から粒体通路86に排出されるが、この粒体通路86の下部にはリターン通路9が接続されている。
【0091】
このリターン通路9の下部は、垂直コンベア41のケーシング72の下部にある粒体溜まり部42aに接続されていて、該リターン通路9を流下する圧砕石膏A6はそのまま粒体溜まり部42a内に戻される。このリターン通路9の粒体溜まり部42aに対する接続部分は、上記第1圧砕機3の粒体通路32が接続されている部分の前後対向位置であり、該粒体溜まり部42aには、第1圧砕機3からの第1次圧砕石膏A2とリターン通路9からの細粒石膏A6とが合流するようになる。
【0092】
そして、リターン通路9から粒体溜まり部42aに戻された圧砕石膏A6は、第1圧砕機3から供給される第1次圧砕石膏A2と合流した後、該第1次圧砕石膏A2とともに垂直コンベア41のバケット44で掬われて再度紙片分離機5に供給され、続いて紙片分離機5のフイルター52を通って粒径分別機6に落下し、該粒径分別機6での分別対象となる(石膏原料となる)。
【0093】
ところで、処理すべき石膏廃材中には、粒径分別機6のふるい網62(メッシュが3mm)を通過できず且つ振動ふるい機8のふるい網82(メッシュが5mm)を通過する大きさ(3mm超で5mm以下)の硬質異物(例えば石粒やプラスチック屑や非鉄金属)が混入していることがある。そして、このような大きさ(3mm以上で5mm以下)の硬質異物は、第1圧砕機3及び第2圧砕機7で小さく圧砕できないので、垂直コンベア41→紙片分離機5のフイルター52→粒径分別機6のふるい網62→第2圧砕機7→振動ふるい機8のふるい網82→リターン通路9→垂直コンベア41の粒体溜まり部42aという経路を何度も循環することになる。従って、長期間運転していると、上記循環経路中に上記硬質異物の量が増えていくので、その分、良品(石膏成分)の処理能力が低下するようになる。
【0094】
そこで、この実施例の石膏廃材再生原料化装置では、リターン通路9に、該リターン通路9を通る通過物(この場合、主として硬質異物)をリターン通路9外に導くダンパー91を設けている。このダンパー91の設置部分には、リターン通路9から分岐する排出通路92を設けており、通常はダンパー91がリターン通路9を開放している(排出通路92が閉)が、該ダンパーを切換える(符号91′の状態)ことでリターン通路9を通る通過物A6を符号A6′で示すように排出通路92側に導くことができるようにしている。尚、排出通路92側に導いた異物(主として硬質異物)A6′は、異物容器93に収容される。
【0095】
このダンパー91は、手動レバーや伸縮シリンダで切換作動させ得るものである。そして、上記循環経路中の硬質異物A6′を外部に排除するには、破砕機1及び搬送コンベア2を停止させて搬送装置4(垂直コンベア41)への原料の供給を中断させた状態で(このときダンパー91はリターン通路開側に維持させておく)、垂直コンベア41、紙片分離機5、粒径分別機6、第2圧砕機7、及び振動ふるい機8を一定時間作動させて、上記循環経路中の原料から石膏成分(再生原料A)を回収した後(残りは殆どが硬質異物となる)、ダンパー91を鎖線図示(図6の符号91′)するようにリターン通路閉側(排出通路92開放側)に切換える。すると、振動ふるい機8の粒体通路86からリターン通路9側に排出される硬質異物(通過物)A6′がダンパー91′により排出通路92を通って外部(異物容器93)に排出される。そして、排出通路92から硬質異物A6′の排出が終わった後、ダンパー91′を元の側に切換える(排出通路92が閉でリターン通路9を開にする)と、通常の運転を再開させることができる。
【0096】
この実施例(図1〜図6)の石膏廃材再生原料化装置の作動方法について、図7を併用して説明する。
【0097】
まず、解体現場から搬出された大塊状の石膏廃材A0は、図1に示す破砕機1のホッパー11に投入し、そこで該石膏廃材A0が所定大きさ(一辺が50mm程度の大きさ)の塊状に粗分割する(図7のS1)。この工程S1で大塊状石膏廃材A0が粗分割されると紙付着塊状石膏廃材A1となる。
【0098】
次に、該紙付着塊状石膏廃材A1は、投入コンベア12(図1)により搬送コンベア2の始端部に投入され、該搬送コンベア2で搬送される(図7のS2)。そして、該紙付着塊状石膏廃材A1中に鉄屑が混入していると、搬送コンベア2の終端部において磁選機21で該鉄屑Fを除去する(図7のS3)。この除去された鉄屑Fは、鉄屑通路22を通って鉄屑容器23内に貯留される。
【0099】
搬送コンベア2の終端部から落下した塊状石膏廃材A1は、第1圧砕機3の両圧砕ローラ31,31(図2)で規格粒径(3mm)以下に圧砕される(図7のS4)。このとき、塊状石膏廃材A1は第1次圧砕石膏A2となるが、この第1次圧砕石膏A2は、石膏成分の大部分が細粒状(再生原料となる粒径)に圧砕されているが、一部の石膏成分は規格粒径(3mm)より大粒の状態(粗粒石膏)で通過することがある。又、この第1圧砕機3では、塊状石膏廃材A1に貼着されていた紙は殆ど分断されないので、石膏成分が分離した紙片状態で混入している(図7の紙片混入細粒石膏A2となる)。そして、第1圧砕機3を通過した第1次圧砕石膏A2は、粒体通路32を通って垂直コンベア41の粒体溜まり部42aに貯留される。
【0100】
粒体溜まり部42aに貯留された第1次圧砕石膏A2は、垂直コンベア41のバケット44が最下部を通過する(図2の矢印R)際に、該バケット44で掬い上げられて上方に搬送される(図7のS5)。そして、第1次圧砕石膏A2入りのバケット44が垂直コンベア41の上端部を通過する際に、図3に示すようにバケット44内の第1次圧砕石膏A2が連通路45に放出される。連通路45に放出された第1次圧砕石膏A2は、順次紙片分離機5(横長ケーシング51)の始端部51aに投入される。
【0101】
紙片分離機5の始端部51aに投入された第1次圧砕石膏(紙片混入細粒石膏)A2は、図4に示すように移送棒53により横長ケーシング51内をその終端部51b側に移送されるが、そのとき石膏成分は細粒状(圧砕石膏A3)となっているのでフイルター52のメッシュ部分(10mm)部分を通って落下する一方、紙片P1はフイルター52のメッシュより大きいのでそのまま横長ケーシング51の終端部51bまで移送されて、紙片通路55を通って紙片容器56内に収容される(図7のS6、S7)。
【0102】
紙片分離機5のフイルター52を通って落下した圧砕石膏A3は、収集コンベア57で投入通路58部分に集められて、該投入通路58を通って粒径分別機6(上室63内)に投入される(図5参照)。尚、粒径分別機6に投入される圧砕石膏A3は、その殆どが先の第1圧砕機3で規格粒径(3mm)以下の細粒石膏に圧砕されているが、該圧砕石膏A3中には少量ではあるが規格粒径より大粒(3mm〜10mm)の粗粒石膏も混入していることがある。
【0103】
粒径分別機6では、図5に示すように、上室63内に投入された圧砕石膏A3中の規格粒径(3mm)以下の細粒石膏Aのみがふるい網62を通って下室64内に落下する一方、該ふるい網62を通過できない粗粒石膏A4は上室63から粗粒通路65側に排出される(図7のS8)。そして、下室64内に落下した細粒石膏Aは、該下室64から細粒通路66を通って再生原料容器67に収容される(図7のS9)。この再生原料容器67に収容される細粒石膏Aは、規格粒径(3mm)以下の粒径のものだけであり、従って粗粒石膏(及び異物)が混じっていない高精度の再生原料となる。
【0104】
他方、ふるい網62を通過できない残りの粗粒石膏A4は、上室63から粗粒通路65を通って第2圧砕機7に供給される(図5参照)。この第2圧砕機7側に供給される粗粒石膏A4は、ふるい網62のメッシュ(3mm)を通過できなかった少量である。尚、該粗粒石膏A4中にはごく少量ではあるが屑紙や硬質異物が混入していることがある。
【0105】
第2圧砕機7では、粗粒通路65から供給された細粒石膏A4を両圧砕ローラ71,71で再度圧砕する(図7のS10)。このとき、第2圧砕機7に供給される細粒石膏A4は少量であるので、該細粒石膏A4中の石膏成分は確実に規格粒径以下に圧砕される。尚、この第2圧砕機7で圧砕された第2次圧砕石膏A5中には、ごく少量であるが屑紙が混入していることがある。
【0106】
第2圧砕機7で再度圧砕された第2次圧砕石膏A5は、振動ふるい機8(図6参照)に供給されて、そこで屑紙P2が分離される(図7のS11)。尚、この振動ふるい機8のふるい網82のメッシュは5mmであり、該メッシュより大きい屑紙P2は上室83の屑紙通路85を通って屑紙容器87に貯留される(図7のS12)。他方、第2次圧砕石膏A5の石膏成分(圧砕石膏A6)は、ふるい網82のメッシュより小さいので該ふるい網82を通って下室84内に落下した後、粒体通路86を通ってリターン通路9に供給され、該リターン通路9中を流下する(図7のS13)。
【0107】
リターン通路9のダンパー91は、通常はリターン通路開側に位置しており、該リターン通路9に供給された残留物(圧砕石膏A6)は垂直コンベア41の粒体溜まり部42aに戻される(図7のS14)。そして、粒体溜まり部42aに戻された残留物(圧砕石膏A6)は、該粒体溜まり部42aにおいて第1圧砕機3から供給された第1次圧砕石膏A2と合流し、再度原料として利用される(図7のS5以下の各工程に供給される)。
【0108】
又、長期間運転していると、上記のように、外部に排出されない硬質異物の量が増えることがあるが、その場合はリターン通路9にあるダンパー91をリターン通路閉側に切換えることで、該硬質異物を矢印A6′で示すように外部に排出することができる。
【0109】
従って、この実施例の石膏廃材再生原料化装置は、上記した本願請求項1〜5の各効果を達成できるものである。
【符号の説明】
【0110】
1は破砕機、2は搬送コンベア、3は第1圧砕機、4は搬送装置、5は紙片分離機、6は粒径分別機、7は第2圧砕機、8は振動ふるい機、9はリターン通路、21は磁選機、41は垂直コンベア、42aは粒体溜まり部、67は再生原料容器、91はダンパー、Aは細粒石膏(再生原料)、A1は塊状石膏廃材、A2は第1次圧砕石膏、A3は圧砕石膏、A4は粗粒石膏、A5は第2次圧砕石膏、A6は圧砕石膏、A6′は硬質異物、P1は紙片、P2は屑紙、Fは鉄屑である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙が付着している大塊状の解体石膏廃材(A0)を所定大きさの塊状に粗分割する破砕機(1)と、該破砕機(1)で粗分割された塊状石膏廃材(A1)を再生原料となる規格粒径以下まで圧砕し得る第1圧砕機(3)と、該第1圧砕機(3)で圧砕した第1次圧砕石膏(A2)を次工程側に搬送する搬送装置(4)と、該搬送装置(4)で搬送された第1次圧砕石膏(A2)から紙片(P1)を分離させる紙片分離機(5)と、該紙片分離機(5)で紙片(P1)を分離させた残りの圧砕石膏(A3)を再生原料となる規格粒径以下の細粒石膏(A)とそれより大粒の粗粒石膏(A4)とに分別する粒径分別機(6)と、該粒径分別機(6)で分別された粗粒石膏(A4)を再度小さく圧砕する第2圧砕機(7)と、該第2圧砕機(7)で圧砕された第2次圧砕石膏(A5)を前記搬送装置(4)に戻すリターン通路(9)とを備えているとともに、前記粒径分別機(6)において再生原料として分別された細粒石膏(A)のみを順次再生原料容器(67)に回収するようにしていることを特徴とする石膏廃材再生原料化装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第2圧砕機(7)と前記リターン通路(9)との間に、該第2圧砕機(7)で圧砕した第2次圧砕石膏(A5)中に残っている屑紙(P2)を分離させる振動ふるい機(8)を設けて、該振動ふるい機(8)で屑紙(P2)を除去した細粒石膏(A6)のみをリターン通路(9)に戻すようにしていることを特徴とする石膏廃材再生原料化装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記破砕機(1)と前記第1圧砕機(3)との間に塊状石膏廃材(A1)を搬送する搬送コンベア(2)設けているとともに、該搬送コンベア(2)の適所に塊状石膏廃材(A1)中の鉄屑(F)を除去する磁選機(21)を設けていることを特徴とする石膏廃材再生原料化装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、前記リターン通路(9)に、該リターン通路(9)を通る通過物をリターン通路(9)外に導くダンパー(91)を設けていることを特徴とする石膏廃材再生原料化装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、前記搬送装置(4)に垂直コンベア(41)を使用する一方、該垂直コンベア(41)のケーシング下端に粒体溜まり部(42a)を設けて、該粒体溜まり部(42a)の前後対向位置に前記第1細粒機(3)からの粒体通路(32)と前記リターン通路(9)とを接続させていることを特徴とする石膏廃材再生原料化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−35239(P2012−35239A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180458(P2010−180458)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000156422)鎌長製衡株式会社 (11)
【Fターム(参考)】