説明

研削装置におけるワーク保持装置および軸受軌道輪の製造方法

【課題】研削時の研削力によってズレ動きが生じたり、変形が生じたりすることなくワークを安定よく保持することができるようにした研削装置におけるワーク保持装置を提供することである。
【解決手段】主軸1の先端にマグネットチャック2を介してドライブプレート3を取付け、そのドライブプレート3に形成された円筒部4の先端のワーク吸着面5によりワークWを吸着支持する。円筒部4の内側にピンブロック7を周方向に間隔をおいて設け、それぞれのピンブロック7に形成されたピン孔11に保持ピン12を出没自在に組込む。保持ピン12の下方に形成された加圧室11bに圧縮エアを供給して保持ピン12を上方に移動させ、ピン孔11から外方に突出する保持ピン12の先端部をワークWの内径面の端部に形成された面取りcに当接させて、ワークWの内径部を保持し、その保持状態でワークWの内径面あるいは外径面の研削加工を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸受軌道輪等の円筒状のワークの外径面や内径面を研削する研削装置のワーク保持装置および軸受軌道輪の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主軸およびその主軸の先端に取り付けられたマグネットチャックを有する研削装置を用いての研削方法には、上記マグネットチャックでワークを吸着支持して研削を行なう直接支持研削方法と、特許文献1に記載されているように、上記マグネットチャックにドライブプレートを取付け、そのドライブプレートでワークを吸着し、そのワークの外周を複数のシューで支持して研削を行なうシュー支持研削方法とが存在する。
【0003】
ここで、マグネットチャックの吸着力によりワークを保持して研削を行なう直接支持研削方法においては、ワークが大物の場合、その吸着面積が大きく、研削力に充分に打ち勝つ大きさの吸着力でもってワークを安定よく吸着支持することができるが、小物ワークの場合、吸着面積が小さいため、ワークを安定よく吸着支持することができず、加工時の研削力によりズレ動きが生じて回転中心にズレが生じ、ワークを高精度に研削加工することができない場合が生じる。このため、小物ワークの研削には、普通、シュー支持研削方法が採用される。
【0004】
図7は、シュー支持研削方法を実施する従来の研削装置の概略を示し、主軸21の先端に取付けられたマグネットチャック22にドライブプレート23を取付け、そのドライブプレート23に吸着支持されたワークWの外周を複数のシュー24で支持し、その支持状態を保持して回転するワークWの内径面に研削砥石Gを押し付けて、ワークWの内径面を研削するようにしている。
【0005】
ここで、ワークWの外径面が複数のシュー24で支持される安定した回転状態が得られるようにするため、ワークWの中心Oを主軸の回転中心Oに対してオフセットしている。同図に示すδはオフセット量を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−299741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、複数のシュー24によってワークWの外周を支持する上記従来の研削装置においては、シュー24との接触によってワークWの外径面に擦り傷が発生して品質を低下させ、また、ワークWが薄肉の場合には、研削力によりワークWに変形が生じて、真円度の悪化を招き、仕上げ寸法にバラツキが発生するという問題がある。
【0008】
この発明の課題は、研削時の研削力によってズレ動きが生じたり、変形が生じたりすることなくワークを安定よく保持することができるようにした研削装置におけるワーク保持装置および軸受軌道輪の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明に係る研削装置におけるワーク保持装置おいては、回転駆動される主軸の先端にマグネットチャックを介してドライブプレートを取付け、そのドライブプレートに形成された円筒部の先端面がワーク吸着面とされ、そのワーク吸着面により吸着支持された円筒状のワークの外径面または内径面に研削砥石を押し付けて研削加工を行なうようにした研削装置におけるワーク保持装置において、前記円筒部の内側と外側のいずれか一方の側に複数のピンブロックを周方向に間隔をおいて設け、それぞれのピンブロックには、ワーク吸着面に吸着支持されるワークとの対向面で開口するピン孔を形成し、そのピン孔内に組込まれて先端部がピン孔の開口端から出没自在とされ、突出時にワークの内径面端部または外径面端部に形成された面取りに係合してワークを内径側または外径側から保持する保持ピンを設け、その保持ピンを出没させる加圧移動手段を設けた構成を採用したのである。
【0010】
上記の構成からなる研削装置のワーク保持装置において、ワーク吸着面で円筒状のワークを吸着支持する状態で加圧移動手段の作動により保持ピンをピン孔の開口端から突出する方向に移動させると、ピンブロックが円筒部の内側に配置されたワーク保持装置では、保持ピンの先端部がワークの内径面端部に形成された加工不要部としての面取りに押し当たって、その面取りに係合する。一方、ピンブロックが円筒部の外側に設けられたワーク保持装置では、保持ピンの先端部がワークの外径面端部に形成された加工不要部としての面取りに係合し、その面取りに対する保持ピンの係合およびドライブプレートがワークを吸着する吸着力によって、ワークは保持されることになる。
【0011】
このように、ドライブプレートによって一端面が吸着支持されたワークは複数の保持ピンによって内径面または外径面の端部が保持されるため、ワークを極めて安定よく保持することができ、外径面あるいは内径面の研削時の研削力によって径方向にズレ動くようなことがなく、また、薄肉のワークであっても研削力によってワークが変形するという不都合の発生はなく、外径面および内径面を同軸度を保って極めて高精度に研削することができる。
【0012】
ここで、保持ピンの先端部にテーパ部あるいは球面部を設けておくと、ワークの面取りに対する保持ピンの係合力を高めることができ、ワークをより安定よく保持することができる。
【0013】
また、ピンブロックをドライブプレートの半径方向に位置調整自在とすると、内径または外径の異なるワークでも安定よく支持することができる。
【0014】
さらに、円筒部の外径を外径研削されるワークの外径より加工取代分以上の小径とし、また、円筒部の内径を内径研削されるワークの内径より加工取代分以上の大径とすることにより、研削砥石によってワーク吸着面の外径縁あるいは内径縁が研削されるという不都合の発生を未然に防止することができる。
【0015】
この発明に係る研削装置のワーク保持装置において、保持ピンを出没させる加圧移動手段として、ピン孔内に組込まれて保持ピンをピン孔内に没入する方向に向けて付勢するスプリングと、保持ピンの下方に形成された加圧室に対する圧力流体の供給とによる構成のものを採用することができる。
【0016】
ここで、上記加圧移動手段によって突出される保持ピンの突出量は研削砥石と干渉することのない大きさとしておく。
【0017】
この発明に係る軸受軌道輪の製造方法においては、回転駆動される主軸の先端にマグネットチャックを介してドライブプレートを取付け、そのドライブプレートに形成された円筒部の先端面で軸受軌道輪を吸着し、その軸受軌道輪の内径面または外径面に研削砥石を押し付けて研削加工する軸受軌道輪の製造方法において、前記円筒部の内側と外側のいずれか一方の側に複数の保持ピンを周方向に間隔をおいて設け、その複数の保持ピンのそれぞれを加圧移動手段により前記吸着支持された軸受軌道輪に向けて突き出し、軸受軌道輪の内径面端部または外径面端部に形成された面取りに対する保持ピンの先端部の係合により軸受軌道輪を前記主軸と同軸上に位置決めする状態で研削加工を行うようにした構成を採用したのである。
【0018】
ここで、円筒部の外径は、外径研削される軸受軌道輪の外径に対して、研削取代分以上の小径とし、また、円筒部の内径は、内径研削される軸受軌道輪の内径に対して、研削取代分以上の大径として研削砥石により研削されないようにしておく。
【発明の効果】
【0019】
この発明においては、上記のように、ドライブプレートのワーク吸着面に吸着支持されたワークの内径面の端部または外径面の端部を周方向に間隔をおいて設けられた複数の保持ピンで保持するようにしたので、ワークの径方向へのズレ動きや薄肉ワークの変形を抑制することができ、ワークの外径面および内径面を同軸度を保って極めて高精度に研削することができる。
【0020】
また、複数のシューによってワークを支持する構成であると、前述のように、シューとの接触によりワーク外径面に擦り傷が発生することになるが、複数の保持ピンによってワークの内径面または外径面の端部を保持するため、擦り傷が生じるようなことがなく、品質を低下させるようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る研削装置におけるワーク保持装置の実施の形態を示す平面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図2の一部分を拡大して示す断面図
【図4】保持ピンの他の例を示す断面図
【図5】軸受内輪の研削加工状態を示す断面図
【図6】深みぞ玉軸受の断面図
【図7】従来の研削装置を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1および図2に示すように、回転駆動される主軸1は縦向きの配置とされ、その上端面にはマグネットチャック2が取付けられている。また、マグネットチャック2の上面にはドライブプレート3が取付けられている。
【0023】
ドライブプレート3は円盤状をなし、その上面に形成された円筒部4の上端面がワークWを吸着支持するワーク吸着面5とされている。
【0024】
ドライブプレート3の上記円筒部4の内側に位置する上面には複数のブロック嵌合溝6が放射状に形成され、それぞれのブロック嵌合溝6にピンブロック7の下部がスライド自在に嵌合されている。
【0025】
図3に示すように、ピンブロック7は、上下に貫通する深ざぐり付きのボルト挿入孔8を内端部に有し、そのボルト挿入孔8に挿入されてドライブプレート3のねじ孔9にねじ係合されたボルト10の締め付けによってピンブロック7が固定されている。
【0026】
ボルト挿入孔8は長孔とされ、その長孔からなるボルト挿入孔8の両端部がボルト10に当接する範囲内において、ピンブロック7はブロック嵌合溝6に沿ってドライブプレート3の半径方向に位置調整自在とされている。
【0027】
ピンブロック7は、外端部に突出部7aを有し、その突出部7aに上下に貫通するピン孔11が形成されている。ピン孔11は、下部が大径の段付き孔からなり、そのピン孔11内に保持ピン12がスライド自在に組込まれている。
【0028】
保持ピン12は、上端部にテーパ部13を有し、下端部にはピン孔11の大径孔部の内径面に沿って摺動可能なピストン部14が設けられている。ピストン部14は、大径孔部をばね収容室11aと加圧室11bとに仕切り、ピストン部14の上側に形成されたばね収容室11aに保持ピン12を下向きに付勢するスプリング15が組込まれている。
【0029】
保持ピン12は、加圧室11bに対する圧縮エア等の圧力流体の供給と上記スプリング15とからなる加圧移動手段により軸方向に移動して、先端部がピン孔11の上端開口から出没するようになっている。
【0030】
圧力流体として、実施の形態では圧縮エアを採用し、その圧縮エアを加圧室11bに供給するため、マグネットチャック2には加圧室11bに連通するエア供給路16が形成されている。
【0031】
図1乃至図3に示すように、エア供給路16は、マグネットチャック2の上面に形成された環状溝16aと、マグネットチャック2の外径面で開口してその環状溝16aに連通するエア供給口16bと、上記環状溝16aに外端部が連通してマグネットチャック2の半径方向に延びる径方向溝16cと、その径方向溝16cの内端部と加圧室11bとを連通する軸方向孔16dとからなっており、上記エア供給口16bに圧縮エアを供給すると、その圧縮エアは環状溝16aから径方向溝16cに流れて軸方向孔16dから加圧室11bに流入し、保持ピン12がスプリング15の弾性に抗して上昇するようになっている。
【0032】
実施の形態で示す研削装置のワーク保持装置は上記の構造からなり、図2および図3は、深みぞ玉軸受における外側軌道輪Rの研削例を示している。
【0033】
ここで、深みぞ玉軸受は、図6に示すように、外側軌道輪Rの内径面に形成された軌道溝rと内側軌道輪Rの外径面に形成された軌道溝r間にボールBを組込み、そのボールBを保持器Xで保持した構成とされている。
【0034】
上記外側軌道輪Rの研削に際しては、ドライブプレート3のワーク吸着面5にワークとしての外側軌道輪Rをセットする。
【0035】
外側軌道輪Rのセットに際しては、図1の鎖線で示す専用の芯出し装置Aを用いてワーク吸着面5に外側軌道輪Rを吸着させるようにしてもよく、あるいは、手動にてワーク吸着面5に外側軌道輪Rを吸着させるようにしてもよい。いずれの場合も、保持ピン12がピン孔11内に没入する状態で外側軌道輪Rのセット作業を行ない、その外側軌道輪Rの中心を主軸1の中心にほぼ一致させるようにする。
【0036】
外側軌道輪Rの吸着支持後、保持ピン12により外側軌道輪Rの内径面端部に設けられた加工不要部としての黒皮を有する面取りcを保持し、その保持状態において主軸1の回転により外側軌道輪Rを回転し、その外側軌道輪Rの内径面に外周部の断面形状が円弧状とされた研削砥石Gを回転させた状態で押し当て、その研削砥石Gを径方向外方に移動させて外側軌道輪Rの内径面に軌道溝rを研削加工する。
【0037】
ここで、保持ピン12による外側軌道輪Rの内径面の保持に際しては、エア供給路16から加圧室11bに圧縮エアを供給する。その圧縮エアの供給により保持ピン12がスプリング15の弾性に抗して上昇し、図3に示すように、上端部に形成されたテーパ部13が外側軌道輪Rの内径面端部に予め形成された黒皮を有する面取りcに当接して外側軌道輪Rの内径面の端部を保持することになる。
【0038】
このため、ワークWはドライブプレート3のワーク吸着面5に吸着される状態で複数の保持ピン12により内径部が保持されることになり、外側軌道輪Rは極めて安定よく保持されることになる。その保持状態で研削加工が施されるため、研削力によって外側軌道輪Rが径方向にズレ動くようなことがなく、また、薄肉の外側軌道輪Rであっても研削力によって外側軌道輪Rが変形するということがない。このため、変形の影響による真円度の悪化や仕上がり寸法のバラツキが抑制され、外側軌道輪Rは外径面および内径面の同軸度を保って極めて精度よく研削加工されることになる。
【0039】
ここで、外側軌道輪Rの外径面の研削に際しては、図3の鎖線で示す円筒形の研削砥石Gを用い、その研削砥石Gを外側軌道輪Rの外径面に押し当てて、その外径面を研削する。その外径研削において、ワーク吸着面5の円形外周縁の直径φがワークWの外径Dから加工取代分を減算した値より大きい場合には、研削砥石Gがワーク吸着面5の外周縁を研削することになるため、円筒部4の外径φは外側軌道輪Rの外径Dより加工取代分以上の小径としておくようにする。
【0040】
なお、外側軌道輪Rの内径面の研削に際しても、円筒状の研削砥石Gを用いて内径面の研削を行なうようにする。その内径研削において、ワーク吸着面5の円形内周縁の直径φが外側軌道輪Rの内径Dから加工取代分を加算した値より小さい場合には、研削砥石Gがワーク吸着面5の内周縁を研削することになるため、円筒部4の内径φは外側軌道輪Rの内径Dより加工取代分以上の大径としておくようにする。
【0041】
図3においては、保持ピン12の先端部にテーパ部13を設けたが、図4に示すように、保持ピン12の先端部に球面部17を設けるようにしてもよい。
【0042】
上記のように、保持ピン12の先端部にテーパ部13を設け、あるいは、球面部17を設けると、外側軌道輪Rの面取りcに対する保持ピン12の係合力を高めることができ、外側軌道輪Rをより安定よく保持することができる。また、面取りcに対するテーパ部13や球面部17の当接により外側軌道輪Rに調心作用が付与されるため、ドライブプレート3に吸着支持された外側軌道輪Rと主軸1の軸心間にズレがある場合、その位置ズレが修正されることになり、外側軌道輪Rを主軸1と同軸上に確実に配置することができる。
【0043】
また、保持ピン12の位置は、外側軌道輪Rを主軸1の中心に芯出しした後に黒皮を有する面取りcに倣うため、一旦外側軌道輪Rを取り外した後、修理等により再度外側軌道輪Rをチャックさせた場合も同一場所に芯出しすることが可能であり、内径と外径の同軸度を高精度で維持することができる。
【0044】
図5は、研削装置の他の実施の形態を示す。この実施の形態では、円筒部4の外側にピンブロック7を設けるようにしている。
【0045】
ここで、ピンブロック7はドライブプレート3の上面に形成されたブロック嵌合溝6に沿って半径方向に位置調整自在とされ、ボルト10の締め付けによって調整位置で固定されるようになっている。
【0046】
図5に示す研削装置を用いて図6に示す深みぞ玉軸受の内側軌道輪Rを研削する場合は、ワーク吸着面5で内側軌道輪Rを吸着し、加圧室11bに対する圧縮エアの供給により複数の保持ピン12を突出させ、その保持ピン12の先端部のテーパ部13を内側軌道輪Rの外径面端部に形成された黒皮を有する面取りcに当接させて内側軌道輪Rを位置決めする。
【0047】
その位置決め後、円筒状研削砥石Gで内径面を研削し、外周部が断面円弧状とされた研削砥石Gで外径面に軌道溝bを研削する。その研削時、内側軌道輪Rの外径面端部に形成された黒皮を有する面取りcが複数の保持ピン12により保持されているため、内側軌道輪Rが径方向にズレ動くようなことがなく、また、薄肉の内側軌道輪Rであっても研削力によって内側軌道輪Rが変形するということがない。このため、内側軌道輪Rは外径面および内径面の同軸度を保って極めて精度よく研削加工される。
【0048】
ここで、内側軌道輪Rの内径面の研削に際し、円筒状研削砥石Gがワーク吸着面5の内周縁を研削することがないように、円筒部4の内径は内側軌道輪Rの内径より加工取代分以上の大径としておくようにする。
【0049】
実施の形態では、主軸1を縦向きとしたが、横向きとしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
W ワーク
研削砥石
研削砥石
c 面取り
1 主軸
2 マグネットチャック
3 ドライブプレート
4 円筒部
5 ワーク吸着面
7 ピンブロック
11 ピン孔
11b 加圧室
12 保持ピン
13 テーパ部
15 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される主軸の先端にマグネットチャックを介してドライブプレートを取付け、そのドライブプレートに形成された円筒部の先端面がワーク吸着面とされ、そのワーク吸着面により吸着支持された円筒状のワークの外径面または内径面に研削砥石を押し付けて研削加工を行なうようにした研削装置におけるワーク保持装置において、
前記円筒部の内側と外側のいずれか一方の側に複数のピンブロックを周方向に間隔をおいて設け、それぞれのピンブロックには、ワーク吸着面に吸着支持されるワークとの対向面で開口するピン孔を形成し、そのピン孔内に組込まれて先端部がピン孔の開口端から出没自在とされ、突出時にワークの内径面端部または外径面端部に形成された面取りに係合してワークを内径側または外径側から保持する保持ピンを設け、その保持ピンを出没させる加圧移動手段を設けたことを特徴とする研削装置におけるワーク保持装置。
【請求項2】
前記保持ピンが、テーパ部を先端部に有してなる請求項1に記載の研削装置におけるワーク保持装置。
【請求項3】
前記保持ピンが、球面部を先端部に有してなる請求項1に記載の研削装置におけるワーク保持装置。
【請求項4】
前記ピンブロックが、ドライブプレートの半径方向に位置調整自在とされた請求項1乃至3のいずれかの項に記載の研削装置におけるワーク保持装置。
【請求項5】
前記円筒部の外径が、外径研削されるワークの外径より加工取代分以上の小径とされた請求項1乃至4のいずれかの項に記載の研削装置におけるワーク保持装置。
【請求項6】
前記円筒部の内径が、内径研削されるワークの内径より加工取代分以上の大径とされた請求項1乃至4のいずれかの項に記載の研削装置におけるワーク保持装置。
【請求項7】
前記加圧移動手段が、前記ピン孔内に組込まれて保持ピンをピン孔内に没入する方向に向けて付勢するスプリングと、保持ピンの下方に形成された加圧室に対する圧力流体の供給とによる請求項1乃至6のいずれかの項に記載の研削装置におけるワーク保持装置。
【請求項8】
回転駆動される主軸の先端にマグネットチャックを介してドライブプレートを取付け、そのドライブプレートに形成された円筒部の先端面で軸受軌道輪を吸着し、その軸受軌道輪の内径面または外径面に研削砥石を押し付けて研削加工する軸受軌道輪の製造方法において、
前記円筒部の内側と外側のいずれか一方の側に複数の保持ピンを周方向に間隔をおいて設け、その複数の保持ピンのそれぞれを加圧移動手段により前記吸着支持された軸受軌道輪に向けて突き出し、軸受軌道輪の内径面端部または外径面端部に形成された面取りに対する保持ピンの先端部の係合により軸受軌道輪を前記主軸と同軸上に位置決めする状態で研削加工を行うようにした軸受軌道輪の製造方法。
【請求項9】
前記円筒部の外径が、外径研削される軸受軌道輪の外径に対して、研削取代分以上の小径とされた請求項8に記載の軸受軌道輪の製造方法。
【請求項10】
前記円筒部の内径が、内径研削される軸受軌道輪の内径に対して、研削取代分以上の大径とされた請求項8に記載の軸受軌道輪の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−61566(P2012−61566A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208248(P2010−208248)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】