説明

硬貨識別装置

【課題】装置全体の小型化を図りながら、部品点数の削減によるコストの低減化を図ることができる硬貨識別装置を提供すること。
【解決手段】投入された硬貨(C)が通過する硬貨通路(1)の近傍に配置され、硬貨通路を通過する硬貨の識別を行う硬貨識別装置において、硬貨通路に磁界を生じさせる環状励磁コイル11と、環状励磁コイル11の内部に配設され、かつ硬貨通路を硬貨が通過するときの磁界変化を検出する第1検出コイル13及び第2検出コイル14と、第1検出コイル13及び第2検出コイル14のそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の和により、硬貨の厚みを検出する材厚検出部313と、第1検出コイル13の検出した磁界変化に応じた信号により硬貨の材質を検出する材質検出部312と、第1検出コイル13及び第2検出コイル14のそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の差により硬貨の凹凸を検出する凹凸検出部314とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨識別装置に関し、より詳細には、所定の硬貨通路を通過する硬貨の厚み(材厚)、材質及び凹凸を検出することにより該硬貨の識別を行う硬貨識別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、投入された硬貨が通過する硬貨通路の近傍に配置され、該硬貨通路を通過する硬貨の識別を行う硬貨識別装置として種々のものが知られている。このような硬貨識別装置として、一例を示すと、硬貨通路に沿って材質検出ユニット、凹凸検出ユニットが配設されてなるものである。
【0003】
材質検出ユニットは、硬貨通路を通過する硬貨の材質を検出するものであり、硬貨通路の所定域に磁場を生じさせる材質検出用励磁コイルと、該所定域を通過する硬貨により材質検出用励磁コイルにより生じさせた磁場の変化を検出する材質検出コイルとを備えている。
【0004】
凹凸検出ユニットは、硬貨通路を通過する硬貨の凹凸(模様)を検出するものであり、例えば材質検出用ユニットよりも下方側の硬貨通路の所定域に磁場を生じさせる凹凸検出用励磁コイルと、該所定域を通過する硬貨により凹凸検出用励磁コイルにより生じさせた磁場の変化を検出する凹凸検出コイルとを備えている。
【0005】
そして、このような材質検出ユニット及び凹凸検出ユニットのそれぞれにより得られる信号により硬貨の識別を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−365266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した特許文献1に提案されている硬貨識別装置においては、検出ユニット毎に励磁コイル及び検出コイルを備えており、各ユニットにおいて異なる周波数の磁界を生じさせていたために、相互の磁気的干渉を低減させる必要があった。そのため、検出ユニット間の相互距離を十分に確保する必要があり、硬貨識別装置全体の大型化を招来していた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、装置全体の小型化を図りながら、部品点数の削減によるコストの低減化を図ることができる硬貨識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る硬貨識別装置は、投入された硬貨が通過する硬貨通路の近傍に配置され、該硬貨通路を通過する硬貨の識別を行う硬貨識別装置において、前記硬貨通路に磁界を生じさせる環状の励磁コイルと、前記励磁コイルの内部に配設され、かつ前記硬貨通路を硬貨が通過するときの磁界変化を検出する第1検出コイル及び第2検出コイルと、前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルのそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の和、並びに前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルのいずれかが検出した磁界変化に応じた信号のいずれか一方により、前記硬貨の厚みを検出する材厚検出手段と、そのいずれか他方により前記硬貨の材質を検出する材質検出手段と、前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルのそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の差により前記硬貨の凹凸を検出する凹凸検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る硬貨識別装置は、上述した請求項1において、前記励磁コイルの径外域に配設され、前記硬貨通路に磁界を生じさせる外側励磁コイルと、前記硬貨通路を硬貨が通過するときの前記外側励磁コイルのインピーダンス変化に応じた信号により該硬貨の外径を検出する外径検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る硬貨識別装置は、上述した請求項2において、前記外側励磁コイルは、楕円形状をなすことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る硬貨識別装置は、上述した請求項1において、前記硬貨通路を硬貨が通過するときの前記励磁コイルのインピーダンス変化に応じた信号により該硬貨の外径を検出する外径検出手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の硬貨識別装置によれば、硬貨通路に磁界を生じさせる環状の励磁コイルの内部に配設された第1検出コイル及び第2検出コイルが硬貨通路を硬貨が通過するときの磁界変化を検出し、材厚検出手段が、第1検出コイル及び第2検出コイルのそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の和、並びに第1検出コイル及び第2検出コイルのいずれかが検出した磁界変化に応じた信号のいずれか一方により、硬貨の厚みを検出し、材質検出手段が、そのいずれか他方により硬貨の材質を検出し、凹凸検出手段が、第1検出コイル及び第2検出コイルのそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の差により硬貨の凹凸を検出するので、励磁コイル及び検出コイルを検出項目毎に別個に設ける必要なく、共通化させることができる。しかも材質、厚み及び凹凸の検出には共通の周波数で行うことができ、検出項目毎の磁気的干渉を考慮する必要がない。従って、励磁コイル及び検出コイルの共通化、並びに磁気的干渉を考慮する必要がないので、装置全体の小型化を図ることができ、部品点数の削減によるコストの低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の硬貨識別装置の回路構成を模式的に示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示した磁気センサ部の配置及び構成を模式的に示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示した磁気センサ部を拡大して示す拡大模式図である。
【図4】図4は、図3に示した第1検出コイル及び第2検出コイルをA方向から見た場合を示す説明図である。
【図5】図5は、硬貨が硬貨通路を通過した場合における第1検出コイル及び第2検出コイルの出力電圧の変化を時間の関数として示したものであり、50円硬貨が通過した場合を示す図表である。
【図6】図6は、硬貨が硬貨通路を通過した場合における第1検出コイル及び第2検出コイルの出力電圧の変化を時間の関数として示したものであり、500円硬貨が通過した場合を示す図表である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態である磁気センサ部の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る硬貨識別装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の硬貨識別装置の回路構成を模式的に示す模式図である。ここで例示する硬貨識別装置は、磁気センサ部10及び制御部30を備えて構成してある。
【0017】
磁気センサ部10は、図2に示すように、図示せぬ投入口より投入された硬貨が通過する硬貨通路1の近傍、すなわち硬貨通路1の一側に配設してあり、環状励磁コイル11、外側励磁コイル12、第1検出コイル13及び第2検出コイル14を有している。尚、図2には、図1に示した回路構成を構成する磁気センサ部10について示してあるが、硬貨通路1を挟んで当該磁気センサ部10に対して同様の構成を有する磁気センサ部が対向する態様で配設されていてもよい。
【0018】
環状励磁コイル11は、図2及び図3に示すように環状をなしており、発振回路21から与えられる発振周波数に応じて硬貨通路1に磁界を生じさせるものである。
【0019】
外側励磁コイル12は、環状励磁コイル11の径外域において該環状励磁コイル11を囲繞する態様で楕円形状をなしている。この外側励磁コイル12は、図2に示すように、硬貨通路1を通過する種々の硬貨Cの周縁部の一部に対向可能な態様で配置してある。
【0020】
この外側励磁コイル12は、環状励磁コイル11と同様に、発振回路21から与えられる発振周波数に応じて硬貨通路1に磁界を生じさせるものである。より詳細には、外側励磁コイル12は、環状励磁コイル11と同じ周波数(例えば20kHz程度)の磁界を硬貨通路1に生じさせるものである。
【0021】
このような外側励磁コイル12により硬貨通路1を硬貨Cが通過したことによるインピーダンスの変化は、外側励磁コイル用検出回路22でアナログ信号として出力され、AD変換器25を通じて該信号がデジタル信号に変換されて制御部30に与えられる。
【0022】
第1検出コイル13は、図4に示すように、環状励磁コイル11の径内側に設けられたコの字型の鉄芯2の一方のロッド部2aに巻回されて配設してある。この鉄芯2は、例えばパーマロイ、珪素鋼板、鉄等を剪断加工した板状の断片を単数枚や複数枚を積層して構成したもの、あるいはフェライト等を焼結させて構成したものである。尚、ここで例示した鉄芯2はコの字型を有するものであったが、本発明ではこれに限定されないことはいうまでもない。
【0023】
この第1検出コイル13は、硬貨通路1を硬貨Cが通過するときの環状励磁コイル11により形成された磁界の変化を検出するものである。このような第1検出コイル13により硬貨通路1を硬貨Cが通過したことによるインピーダンスの変化は、第1検出コイル用検出回路23でアナログ信号として出力され、AD変換器25を通じて該信号がデジタル信号に変換されて制御部30に与えられる。
【0024】
第2検出コイル14は、上記鉄芯2の他方のロッド部2bに巻回されて配設してあり、第1検出コイル13よりも硬貨通路1の下流側に位置している。この第2検出コイル14は、硬貨通路1を硬貨Cが通過するときの環状励磁コイル11により形成された磁界の変化を検出するものである。このような第2検出コイル14により硬貨通路1を硬貨Cが通過したことによるインピーダンスの変化は、第2検出コイル用検出回路24でアナログ信号として出力され、AD変換器25を通じて該信号がデジタル信号に変換されて制御部30に与えられる。
【0025】
制御部30は、例えばCPUであり、図示せぬメモリに予め記憶されたプログラムやデータに基づいて種々の演算や判定を行うものであり、本実施の形態において特徴的な構成要素として、検出部31及び判定部32を備えて構成してある。
【0026】
検出部31は、硬貨通路1を通過する硬貨Cの4つの要素を検出するものであり、外径検出部311、材質検出部312、材厚検出部313及び凹凸検出部314を備えている。
【0027】
外径検出部311は、硬貨Cの外径を検出するものである。この外径検出部311では、外側励磁コイル用検出回路22から与えられたデジタル変換済の信号を入力し、入力した信号と、予めメモリ等に記憶された外径用閾値とを比較して、当該硬貨Cの外径が50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨のいずれの大きさに相当するものであるかを検出するものである。
【0028】
材質検出部312は、硬貨Cの材質を検出するものである。この材質検出部312は、第1検出コイル用検出回路23から与えられたデジタル変換済の信号を入力し、入力した信号と、予めメモリ等に記憶された材質用閾値とを比較して、当該硬貨Cが50円硬貨及び100円硬貨の材質である「白銅」に相当するものか、500円硬貨の材質である「ニッケル黄銅」に相当するものか、10円硬貨の材質である「青銅」に相当するものであるかを検出するものである。
【0029】
材厚検出部313は、硬貨Cの厚み(材厚)を検出するものである。この材厚検出部313は、第1検出コイル用検出回路23及び第2検出コイル用検出回路24のそれぞれから与えられたデジタル変換済の信号を入力してこれらの変化電圧の和を算出し、算出した変化電圧の和と、予めメモリ等に記録された材厚用閾値とを比較して、当該硬貨Cの厚みが50円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨のいずれの大きさに相当するものであるかを検出するものである。ここで変化電圧とは、硬貨Cがある状態とない状態との差の電圧のことである。
【0030】
凹凸検出部314は、硬貨Cの表面の凹凸を検出するものである。この凹凸検出部314は、第1検出コイル用検出回路23及び第2検出コイル用検出回路24のそれぞれから与えられたデジタル変換済の信号を入力してこれらの変化電圧の差を時間の関数として算出し、これにより該硬貨Cの表面の凹凸の有無を検出するものである。
【0031】
この凹凸検出部314による硬貨Cの表面における凹凸の有無の検出について具体例を示して説明する。
【0032】
図5及び図6は、それぞれ硬貨が硬貨通路を通過した場合における第1検出コイル及び第2検出コイルの出力電圧の変化を時間の関数として示したものであり、図5は50円硬貨が通過した場合、図6は500円硬貨が通過した場合を示す図表である。
【0033】
図5において、(イ)は第1検出コイル13と第2検出コイル14との変化電圧の差を示している。この(イ)において、a及びbは、50円硬貨の周縁部のエッジを検出したものであり、cは、50円硬貨の中央部に形成された孔を検出したものである。
【0034】
図6において、(ロ)は第1検出コイル13と第2検出コイル14との変化電圧の差を示している。この(ロ)において、a及びbは、500円硬貨の周縁部のエッジを検出したものである。ところで、500円硬貨には50円硬貨のように中央部に孔が形成されていないから、図5に示すようなcの部分が検出されない。
【0035】
このことから、第1検出コイル13と第2検出コイル14との変化電圧の差により硬貨Cの表面の凹凸を良好に検出することができることが明らかである。
【0036】
判定部32は、検出部31による各検出結果を入力して硬貨Cの種別及び真贋を判定するものである。ここでは具体的な判定手法について詳細には述べないが、判定部32は、硬貨通路1を硬貨Cが通過することにより、外径検出部311により50円硬貨の外径に相当する大きさを有するものと検出され、材質検出部312により白銅に相当するものと検出され、材厚検出部313により50円硬貨の厚みに相当するものと検出され、更に凹凸検出部314により図5に示すような凹凸(a部分、b部分及びc部分)を検出された場合には、当該硬貨Cは50円硬貨であると判定する。その一方、4つの検出要素のうち1つでも50円硬貨に相当しない検出がなされた場合、具体的には、凹凸検出部314により図5に示すような凹凸(c部分)が検出されない場合には、当該硬貨Cは偽と判定する。
【0037】
かかる判定部32により識別及び真贋の判定がなされると、制御部30は、図示せぬ硬貨振分用ソレノイドや硬貨カウンターを駆動させ、偽と判定した硬貨Cの返却、真として識別された硬貨Cの収納を行うことになる。
【0038】
以上説明したような本実施の形態である硬貨識別装置においては、第1検出コイル13及び第2検出コイル14が環状励磁コイル11の内部、すなわち径内側に配設してあり、第1検出コイル13により検出された硬貨Cの通過によるインピーダンス変化の信号に基づき材質検出部312で該硬貨Cの材質を検出し、第1検出コイル13及び第2検出コイル14のそれぞれにより検出されたインピーダンス変化の信号の和、すなわち変化電圧の和に基づき材厚検出部313で該硬貨Cの厚みを検出し、第1検出コイル13及び第2検出コイル14のそれぞれにより検出されたインピーダンス変化の信号の差、すなわち変化電圧の差に基づき凹凸検出部314で該硬貨Cの表面の凹凸を検出しているので、励磁コイル11,12及び検出コイル13,14を検出項目毎に別個に設ける必要なく、共通化させることができる。しかも材質、厚み及び凹凸の検出には共通の周波数(例えば20kHz程度)で行うことができ、検出項目毎の磁気的干渉を考慮する必要がない。
【0039】
そのため本実施の形態である硬貨識別装置によれば、励磁コイル11,12及び検出コイル13,14の共通化、並びに磁気的干渉を考慮する必要がないので、装置全体の小型化を図ることができ、部品点数の削減によるコストの低減化を図ることができる。
【0040】
また、上記硬貨識別装置によれば、環状励磁コイル11の径外域に外側励磁コイル12を配置し、当該外側励磁コイル12により検出された硬貨Cの通過によるインピーダンス変化の信号に基づき外径検出部311で該硬貨Cの外径を検出するので、装置全体の小型化を図りながら、通過する硬貨Cの外径、材質、厚み及び凹凸を良好に検出することが可能である。しかも、外側励磁コイル12は、環状励磁コイル11と共通の発振回路21に発振周波数が与えられて磁界を発生させるので、外側励磁コイル12と環状励磁コイル11との間での磁気的干渉を考慮する必要もない。
【0041】
以上本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0042】
上述した実施の形態における硬貨識別装置は、環状励磁コイル11と外側励磁コイル12との2つの励磁コイルを用いており、第1検出コイル13及び第2検出コイル14による磁界変化の検出は、環状励磁コイル11により生じさせた磁界により行われていたが、本発明においては、図7に示すように、外側励磁コイル12のみを用いた磁気センサ部10′を備えるものであってもよい。ここで、図7は本発明の実施の形態である磁気センサ部の変形例を示すものである。尚、上述した実施の形態における磁気センサ部10の構成と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。このような磁気センサ部10′においては、第1検出コイル13及び第2検出コイル14による磁界変化の検出は、外側励磁コイル12により生じさせた磁界により行われる。つまり、かかる磁気センサ部10′では、外側励磁コイル12に環状励磁コイルの機能を与えて一元化させている。
【0043】
このような構成によっても、励磁コイル12及び検出コイル13,14の共通化、並びに磁気的干渉を考慮する必要がないので、装置全体の小型化を図ることができ、部品点数の削減によるコストの低減化を図ることができる。
【0044】
また、上述した実施の形態である硬貨識別装置では、材質検出部312が第1検出コイル用検出回路23から与えられたデジタル変換済の信号に基づき硬貨Cの材質を検出していたが、本発明においては、材質検出部312は、第2検出コイル用検出回路24から与えられたデジタル変換済の信号に基づき硬貨Cの材質を検出してもよいし、第1検出コイル用検出回路23及び第2検出コイル用検出回路24のそれぞれから与えられたデジタル変換済の信号を入力してこれらの変化電圧の和を算出し、算出した変化電圧の和に基づき硬貨Cの材質を検出してもよい。
【0045】
また、上述した実施の形態である硬貨識別装置では、材厚検出部313が第1検出コイル用検出回路23及び第2検出コイル用検出回路24のそれぞれから与えられたデジタル変換済の信号を入力してこれらの変化電圧の和を算出し、算出した変化電圧の和に基づき硬貨Cの厚みを検出していたが、本発明においては、材厚検出部313は、第1検出コイル用検出回路23から与えられたデジタル変換済の信号に基づき硬貨Cの厚みを検出してもよいし、第2検出コイル用検出回路24から与えられたデジタル変換済の信号に基づき硬貨Cの厚みを検出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明に係る硬貨識別装置は、硬貨通路を通過する硬貨の材質、厚み及び凹凸を検出するのに有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 硬貨通路
2 鉄芯
10 磁気センサ部
11 環状励磁コイル
12 外側励磁コイル
13 第1検出コイル
14 第2検出コイル
21 発振回路
22 外側励磁コイル用検出回路
23 第1検出コイル用検出回路
24 第2検出コイル用検出回路
25 AD変換器
30 制御部
31 検出部
311 外径検出部
312 材質検出部
313 材厚検出部
314 凹凸検出部
32 判定部
C 硬貨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された硬貨が通過する硬貨通路の近傍に配置され、該硬貨通路を通過する硬貨の識別を行う硬貨識別装置において、
前記硬貨通路に磁界を生じさせる環状の励磁コイルと、
前記励磁コイルの内部に配設され、かつ前記硬貨通路を硬貨が通過するときの磁界変化を検出する第1検出コイル及び第2検出コイルと、
前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルのそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の和、並びに前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルのいずれかが検出した磁界変化に応じた信号のいずれか一方により、前記硬貨の厚みを検出する材厚検出手段と、
そのいずれか他方により前記硬貨の材質を検出する材質検出手段と、
前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルのそれぞれが検出した磁界変化に応じた信号の差により前記硬貨の凹凸を検出する凹凸検出手段と
を備えたことを特徴とする硬貨識別装置。
【請求項2】
前記励磁コイルの径外域に配設され、前記硬貨通路に磁界を生じさせる外側励磁コイルと、
前記硬貨通路を硬貨が通過するときの前記外側励磁コイルのインピーダンス変化に応じた信号により該硬貨の外径を検出する外径検出手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の硬貨識別装置。
【請求項3】
前記外側励磁コイルは、楕円形状をなすことを特徴とする請求項2に記載の硬貨識別装置。
【請求項4】
前記硬貨通路を硬貨が通過するときの前記励磁コイルのインピーダンス変化に応じた信号により該硬貨の外径を検出する外径検出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の硬貨識別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−218155(P2010−218155A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63346(P2009−63346)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】