説明

磁気センサ装置

【課題】消費電力を抑えつつ、磁気センサ装置内部の各構成素子が発するノイズや外来ノイズによる磁界強度の検出または解除のばらつきを抑制し、高精度な磁気読み取りを可能にする。
【解決手段】磁電変換素子に印加される磁界強度に応じて論理出力を行う磁気センサ装置で、磁電変換素子の出力を増幅した信号を入力し、比較した結果を出力する比較器と、比較器の出力信号を演算処理する論理回路で構成される。論理回路は磁界強度の変化によって論理出力に変化が生じる場合のみ、連続した複数回の論理出力の照合判定を行う。こうして、消費電力を抑えつつ、装置内部の各構成素子が発するノイズや外来ノイズによる磁界強度の検出または解除の判定ばらつきを低減することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界強度を電気信号に変換する磁気センサ装置に関し、例えば折りたたみ式携帯電話機やノートパソコン等における開閉状態検知用センサ、またはモータの回転位置検知センサなどに利用される磁気センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
折りたたみ式携帯電話機やノートパソコン等における開閉状態検知用センサとして、またモータの回転位置検知センサとして磁気センサ装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
磁気センサ装置は、磁電変換素子(例えばホール素子)によって磁界強度または磁束密度に比例した電圧を出力し、その出力電圧を増幅器で増幅し、比較器を用いて判定し、H信号かL信号の二値で出力する。磁電変換素子の出力電圧は微小であるため、磁電変換素子が持つオフセット電圧(素子オフセット電圧)や、増幅器や比較器が持つオフセット電圧(入力オフセット電圧)、または変換装置内のノイズが問題となる。素子オフセット電圧は、主に磁電変換素子がパッケージから受ける応力等により発生する。入力オフセット電圧は、主に増幅器の入力回路を構成する素子の特性ばらつき等により発生する。ノイズは、主に回路を構成する単体トランジスタが持つフリッカ雑音、単体トランジスタや抵抗素子が持つ熱雑音により発生する。
【0004】
上述の磁電変換素子や増幅器が持つオフセット電圧の影響を低減するため、図4に示した磁気センサ装置が考案されている。
【0005】
従来の磁気センサ装置は、ホール素子1と、ホール素子1の第一検出状態と第二検出状態とを切り替えるスイッチ切替回路2と、スイッチ切替回路2の二つの出力端子の電圧差(V1−V2)を増幅する差動増幅器3と、差動増幅器3の一方の出力端子が一端に接続される容量C1と、差動増幅器3の他方の出力端子と容量C1の他端との間に接続されるスイッチS1と、比較器4と、D型フリップフロップD1とを有する構成となっている。ここで、第一検出状態は、端子AとCから電源電圧を入力し、端子BとDから検出電圧を出力する。また、第二検出状態は、端子BとDから電源電圧を入力し、端子AとCから検出電圧を出力する。
【0006】
磁電変換素子の差動出力電圧をVh、差動増幅器の増幅率をG、差動増幅器の入力オフセット電圧をVoaとする。第一検出状態では、スイッチS1がONし、容量C1にVc1=V3−V4=G(Vh1+Voa)が充電される。続いて第二検出状態では、スイッチS1がOFFし、Vc2=V3−V4=G(−Vh2+Voa)が出力される。ここで、V5−V6=V3−Vc1−V4=Vc2−Vc1=−G(Vh1+Vh2)となり、入力オフセット電圧の影響が相殺される。また、磁電変換素子の検出電圧Vh1とVh2は、一般に同相の有効信号成分と逆相の素子オフセット成分とを持つため、上述の出力電圧は素子オフセット成分の影響も取り除かれる。そして、比較器において印加される磁界強度と基準電圧との比較を行い、比較出力結果がラッチされる。基準電圧は、図4の場合は磁電変換素子における同相電圧であり、回路追加で任意に設定可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−337147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の磁気センサ装置では、センサ装置内部の各構成素子が発するノイズ(フリッカ雑音、熱雑音)や外来ノイズによる影響を完全に抑えることができず、検出または解除時の磁界強度にばらつきが生じるという課題があった。特に差動増幅器3の入力端子部で発生するノイズは増幅されるため主要因となっていた。
【0009】
本発明は、以上のような課題を解決するために考案されたものであり、磁界検出の動作を複数回繰り返し、それら判定結果の照合を行うことでノイズによる影響を抑制し磁界強度を高精度に検出または解除する磁気センサ装置を提供することである。さらに、前回の検出状態から変化があったときのみ前記複数回照合を行う構成とし、不要な消費電力を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来のこのような問題点を解決するために、本発明の磁気センサ装置は以下のような構成とした。
【0011】
磁電変換素子に印加される磁界強度に応じて論理出力を行う磁気センサ装置で、磁電変換素子の出力を増幅した信号を入力し、比較した結果を出力する比較器と、比較器の出力信号を演算処理する論理回路で構成される。論理回路は磁界強度の変化によって論理出力に変化が生じる場合のみ、連続した複数回の論理出力の照合判定を行う。
【発明の効果】
【0012】
本発明の磁気センサ装置によれば、消費電力を抑えつつ、装置内部の各構成素子が発するノイズや外来ノイズによる磁界強度の検出または解除の判定ばらつきを低減することが出来る。また、高精度な磁界強度の検出または解除を低消費電流で可能とする磁気センサ装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の磁気センサ装置を示す回路図である。
【図2】本実施形態の磁気センサ装置のタイミングチャートである。
【図3】本実施形態の磁気センサ装置の応用例のタイミングチャートである。
【図4】従来の磁気センサ装置の回路図である。
【図5】セレクタ回路の一例を示す回路図である。
【図6】差動増幅器の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の磁気センサ装置は、折りたたみ式携帯電話機やノートパソコン等における開閉状態検知センサや、モータの回転位置検知センサなど、磁界強度の状態を検知するセンサとして幅広く利用されている。以下の実施形態では、磁電変換素子を用いた磁気センサ装置について説明するが、本発明の変換装置は磁界強度に応じて電圧出力を行う磁電変換素子の代わりに、加速度や圧力などに応じて同様に電圧出力がなされる変換素子を用いることもできる。
【0015】
図1は、本実施形態の磁気センサ装置の回路図である。本実施形態の磁気センサ装置は、磁電変換素子であるホール素子1と、スイッチ切替回路2と、差動増幅器3と、比較器4と、ON/OFF回路5と、D型フリップフロップD1、D2、D3と、XOR回路X1、X2と、セレクタ回路SL1、SL2と、AND回路AN1と、OR回路OR1と、容量C1と、スイッチS1と、出力端子VOUTと、ON/OFF信号源φE1、φE2で構成されている。ホール素子1は、第一端子対A―Cと第二端子対B―Dとを有する。スイッチ切替回路2は、ホール素子1の各端子A、B、C及びDと接続される4つの入力端子と、第一出力端子及び第二出力端子を有する。差動増幅器3は、第一入端子及び第二入力端子と、第一出力端子及び第二出力端子とを有する。セレクタ回路SL1、SL2は、入力端子Aと入力端子Bとセレクト端子φSと出力を有する。
【0016】
差動増幅器3は、第一の出力端子が容量C1の一端に接続され、第二の出力端子がスイッチS1の一端に接続される。比較器4は、第一の入力が容量C1の他端及びスイッチS1の他端に接続され、第二の入力が差動増幅器3の第二出力端子に接続され、出力がD型フリップフロップD1とD型フリップフロップD2に接続される。XOR回路X1は、第一の入力がD型フリップフロップD1の出力に接続され、第二の入力がD型フリップフロップD2の出力に接続され、出力がセレクタ回路SL1のセレクト端子φSに接続される。XOR回路X2は、第一の入力がD型フリップフロップD1の出力とセレクタ回路SL1の入力端子Aに接続され、第二の入力がセレクタ回路SL1の入力端子Bとセレクタ回路SL2の入力端子AとD型フリップフロップD3の出力と出力端子VOUTに接続され、出力がセレクタ回路SL2のセレクト端子φSとAND回路AN1の第一の入力に接続される。セレクタ回路SL2は、入力端子Bがセレクタ回路SL1の出力端子に接続され、出力端子がD型フリップフロップD3の入力に接続される。AND回路AN1は、第二の入力がON/OFF信号源φE2に接続され、出力がOR回路OR1の第一の入力に接続される。OR回路OR1は、第二の入力がON/OFF信号源φE1に接続され、出力がON/OFF回路5に接続される。ON/OFF回路5は、スイッチ切替回路2、差動増幅器3、比較器4にφEN信号を出力する。
【0017】
図5に、セレクタ回路SL1及びSL2の回路図の一例を示す。セレクタ回路は、トランスミッションゲートTM1を構成するPMOSトランジスタ501およびNMOSトランジスタ502と、トランスミッションゲートTM2を構成するPMOSトランジスタ503およびNMOSトランジスタ504と、インバータI1、I2で構成される。接続に関しては、セレクト端子φSはインバータI1の入力に接続され、インバータI1の出力はインバータI2の入力とNMOSトランジスタ502のゲートとPMOSトランジスタ503のゲートに接続される。インバータI2の出力は、PMOSトランジスタ501のゲートとNMOSトランジスタ504のゲートに接続される。PMOSトランジスタ501は、ドレインは入力端子A及びNMOSトランジスタ502のドレインに接続され、ソースは出力端子及びNMOSトランジスタ502のソースに接続される。PMOSトランジスタ503は、ドレインは入力端子B及びNMOSトランジスタ504のドレインに接続され、ソースは出力端子及びNMOSトランジスタ502のソースに接続される。二つのトランスミッションゲートTM1及びTM2のON/OFFをセレクト端子φSからのH/L入力信号により制御することで、入力端子Aか入力端子Bのどちらか一方の信号を出力端子へ伝える役割を果たす。
【0018】
図6に、差動増幅器3の回路図の一例を示す。差動増幅器3は、インスツルメンテーションアンプ構成とするのが一般的である。差動増幅器3は、差動増幅器11、12と、抵抗R11、R12、R13を備える。接続に関しては、差動増幅器11は、非反転入力端子が第一の入力端子に接続され、反転入力端子が抵抗R11と抵抗R12の接続点に接続され、出力が第一の出力端子と抵抗R11のもう一方に接続される。差動増幅器12は、非反転入力端子が第二の入力端子に接続され、反転入力端子が抵抗R13と抵抗R12の接続点に接続され、出力が第二の出力端子と抵抗R13のもう一方に接続される。差動増幅器3は、このようなインスツルメンテーションアンプ構成とすることにより、差動入力における同相ノイズの影響を抑制することが可能となる。
【0019】
スイッチ切替回路2は、ホール素子1の第一端子対A―Cに電源電圧を入力し、第二端子対B―Dから検出電圧を出力する第一検出状態と、第二端子対B―Dに電源電圧を入力し、第一端子対A―Cから検出電圧を出力する第二検出状態とを切り替える機能を有する。
【0020】
次に、本実施形態の磁気センサ装置の動作について説明する。図2は、本実施形態の磁気センサ装置における制御信号等のタイミングチャートである。ここで、φDmは第mのD型フリップフロップDmに入力されるラッチ用のクロック信号を示す。また、特記ない限りD型フリップフロップはL信号からH信号への立ち上がり時に入力データのラッチを行うこととする。
【0021】
検出動作の一周期Tは、上述のスイッチ切替回路2の動作によって、第一検出状態T1と第二検出状態T2とに分かれている。また、スイッチS1の開閉によってサンプルフェーズF1と比較フェーズF2とに分かれている。サンプルフェーズF1は、ホール素子1、差動増幅器3のオフセット成分を容量C1に記憶する。比較フェーズF2は、磁界強度に応じて決まる電圧と検出電圧レベルとの比較を行う。ここで、磁電変換素子の差動出力電圧をVh、差動増幅器の増幅率をG、差動増幅器の入力オフセット電圧をVoaとする。
【0022】
サンプルフェーズF1では、ホール素子1は第一検出状態T1になり、スイッチS1はONする。S1がONすることで、容量C1に
Vc1=(V3−V4)=G(Vh1+Voa)・・・(1)
が充電される。続いて比較フェーズF2(第二検出状態T2)では、スイッチS1がOFFし、
Vc2=(V3−V4)=G(−Vh2+Voa)・・・(2)
が出力される。ここで、
V5−V6=V3−Vc1−V4=Vc2−Vc1=−G(Vh1+Vh2)・・・(3)
となり、入力オフセット電圧の影響が相殺される。また、磁電変換素子の検出電圧Vh1とVh2は、一般に同相の有効信号成分と逆相の素子オフセット成分とを持つため、上述の出力電圧は素子オフセット成分の影響も取り除かれる。
【0023】
そして、比較フェーズF2では、式(3)で表される印加磁界強度の検出電圧成分が比較器4において基準電圧と比較され、信号V7(H信号(VDD)またはL信号(GND))が出力される。
ここで、本実施例の場合の基準電圧とは磁電変換素子における同相電圧である。また、基準電圧は、回路を追加することで任意に設定可能である。
【0024】
比較器4の出力する信号V7は、以下で詳述する論理回路に入力される。比較器4の出力する信号V7は、二つのD型フリップフロップD1及びD2により、別々のタイミングで二回ラッチされる。二回目のラッチは連続した再検出動作の中、すなわち一回目のラッチの一検出周期T後に行われる。そして、それら二つの出力が接続されるXOR回路X1により、それら二つ出力値が同じになったときのみセレクタ回路SL1を通して、比較器の出力信号がセレクタ回路SL2へと入力される。逆にD型フリップフロップD1及びD2の二出力の値が異なれば、D型フリップフロップD3に保持されていた前検出時における出力結果がそのままセレクタ回路SL2へと入力される。つまり、Tという時間をおいて同じ検出(解除)状態が継続していない限り、検出または解除の判定はされないということになり、瞬間的なノイズの影響による誤検出、誤解除を防ぐことができる。
【0025】
続いて、D型フリップフロップD3に保持されていた前検出時における出力結果とD型フリップフロップD1の出力が接続されるXOR回路X2により、それら二つ出力値が異なるときのみセレクタ回路SL2を通して、セレクタ回路SL1の出力信号がD型フリップフロップD3へと入力され、最終的にφD3のタイミングでラッチされる。逆にXOR回路X2に入力される二つ出力値が同じであれば、D型フリップフロップD3に保持されていた前検出時における出力結果がそのままD型フリップフロップD3へ入力されラッチされる。また、XOR回路X2の出力とON/OFF信号φE2がAND回路AN1に入力されており、XOR回路X2に入力される二つ出力値が異なる場合のみON/OFF信号φE2がAND回路AN1を介してOR回路OR1へと入力される。そして、OR回路OR1にてON/OFF信号φE1とON/OFF信号φE2が合わさり、φEN信号として出力される。一方、XOR回路X2に入力される二つ出力値が同じである場合は、AND回路AN1の出力がL信号に固定されるため、ON/OFF信号φE1がそのままφEN信号としてOR回路OR1から出力される。
【0026】
つまり、一回目のラッチ結果と前検出結果が異なれば、二回目の判定が行われ、一回目と二回目の結果の照合により、検出結果が決定する。この場合、二検出周期分(2T)の電力が消費されることになる。逆に一回目のラッチ結果と前検出結果が同じであれば、二回目の判定を行わず、差動増幅器等の信号処理を行う回路の電流も止めることになる。この場合、一検出周期T分の消費電力を削減できる。なお、一回目のラッチ結果と前検出結果が異なった場合でも、一回目のラッチ結果と二回目のラッチ結果とが異なる場合は一回目の判定が無効となるため、検出結果VOUTは変化しないが二検出周期分(2T)の電力が消費されることになる。
【0027】
以上により、センサ装置内部あるいは外部からのノイズによって磁界強度の検出または解除の判定結果に生じるバラツキを抑制し、かつ消費電力を必要最低限に抑制することが可能となる。
【0028】
また、図3に示すように、両極検知用途においても本発明を応用することが可能である。ここで両極検知とは、S極またはN極いずれかの極性で検出または解除の判定がなされた場合に出力論理が反転するものである。本発明においてはたとえば、S極で検出または解除の判定がなされた場合、通常のS極、N極両判定後に再度S極判定を行い、二度の判定結果が同一であれば、出力論理が反転する。この場合、二度目のN極判定は行わない。逆に、N極で検出または解除の判定がなされた場合も同様に、通常のS極、N極の両判定後に再度N極判定を行い、二度の判定結果が同一であれば、出力論理が反転する。この場合、二度目のS極判定は行わない。このように、検出あるいは解除の判定をされた時に判定された極性側のみ再判定を行うことで、高精度の磁界強度の検出、かつ消費電力の抑制を実現することができる。
【0029】
なお、本実施形態において、比較器4の出力が接続されるD型フリップフロップを二つとして説明したが、D型フリップフロップは三つ以上でも構わない。その場合、それら出力全ての値が揃わない限り、前検出結果を保持することになる。このように並列に接続されるD型フリップフロップの数を増やせば増やすほど、ノイズの影響力をより抑えることが可能となる。
【0030】
また、本実施形態にて示した磁気センサ装置では、ホール素子1から比較回路4までの回路を図1のような構成として説明したが、この回路構成に限定されるものではない。たとえば、比較回路4にて比較される基準電圧として、別途設けた基準電圧回路から任意の電圧を与えられる構成であっても良い。
【0031】
さらには、本発明における磁気センサ装置は、交番検知(たとえばモータの回転検知)用途に使用することもできる。交番検知は一方(例えばS極)の極性のみの検知を行う状態から、その一方の極性が検知されると他方(N極)の極性のみの検知を行う状態に切り換わる磁気センサ装置である。
【0032】
また、図2のタイミングチャートにおいて、検出周期Tと検出周期Tの間にあるスタンバイ期間を設けない駆動方法とした場合でも、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0033】
1 ホール素子
2 スイッチ切替回路
3 差動増幅器
4 比較器
5 ON/OFF回路
11、12 差動増幅器
AN1 AND回路
OR1 OR回路
X1、X2 XOR回路
D1、D2、D3 D型フリップフロップ
SL1、SL2 セレクタ回路
TM1、TM2 トランスミッションゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁電変換素子に印加される磁界強度に応じて論理出力を行う磁気センサ装置であって、
前記磁電変換素子の出力を増幅した信号を入力し、比較した結果を出力する比較器と、
前記比較器の出力信号を演算処理する論理回路と、を備え、
前記論理回路は、前記磁界強度の変化によって前記論理出力に変化が生じる場合のみ、連続した複数回の論理出力の照合判定を行うことを特徴とする磁気センサ装置。
【請求項2】
前記論理回路は、
前記比較器の出力端子が各々入力端子に接続される第一のD型フリップフロップ及び第二のD型フリップフロップと、
前記第一のD型フリップフロップの出力端子と前記第二のD型フリップフロップの出力端子が入力端子に接続される第一のXOR回路と、
前記第一のD型フリップフロップの出力端子と第三のD型フリップフロップの出力端子が入力端子に接続される第二のXOR回路と、
前記第一のD型フリップフロップの出力端子と前記第三のD型フリップフロップの出力端子が入力端子に接続され、前記第一のXOR回路の出力に応じて入力信号を選択的に出力する第一のセレクタ回路と、
前記第三のD型フリップフロップの出力端子と前記第一のセレクタ回路の出力端子が入力端子に接続され、前記第二のXOR回路の出力に応じて入力信号を前記第三のD型フリップフロップへ選択的に出力する第二のセレクタ回路と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ装置。
【請求項3】
前記磁気センサ装置は、
前記磁電変換素子と、
前記磁電変換素子の第一検出状態と第二検出状態とを切り替えるスイッチ切替回路と、
前記スイッチ切替回路の二つの出力端子の電圧差を増幅する差動増幅器と、
一方の端子が前記差動増幅器の出力端子に接続され、オフセットを保持する容量と、
前記容量の他方の端子に接続されたスイッチと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ装置。
【請求項4】
前記磁気センサ装置は、
前記第二のXOR回路の出力端子と第二のON/OFF信号源が入力端子に接続されるAND回路と、
前記AND回路の出力端子と第一のON/OFF信号源が入力端子に接続されるOR回路と、
前記OR回路の出力信号に応じて各々前記スイッチ切替回路、前記差動増幅器、前記比較器への電流供給の制御を行うON/OFF回路と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ装置。
【請求項5】
前記セレクタ回路は、
第一の入力端子に接続された第一のトランスミッションゲートと、
第二の入力端子に接続された第二のトランスミッションゲートと、を備え、
セレクト端子の入力信号によって前記第一のトランスミッションゲートと前記第二のトランスミッションゲートの出力を切替えて出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ装置。
【請求項6】
前記スイッチ切替回路は、
前記磁電変換素子の第一端子対に電源電圧を入力し、第二端子対から検出電圧を出力する第一検出状態と、
前記磁電変換素子の前記第二端子対に電源電圧を入力し、前記第一端子対から検出電圧を出力する第二検出状態と、
を切り替える機能を有することを特徴とする請求項3または4に記載の磁気センサ装置。
【請求項7】
前記第一検出状態において前記容量にオフセットを保持するサンプルフェーズと、
前記第二検出状態において前記オフセットを相殺しながら印加される磁界強度と基準電圧との比較を行う比較フェーズと、
によって前記磁電変換素子に印加される磁界強度に応じて論理出力を行うことを特徴とする請求項6に記載の磁気センサ装置。
【請求項8】
前記論理回路は、S極、N極いずれか一方の前記磁界強度の変化によって前記論理出力に変化が生じる場合に、前記磁界強度の変化が生じる極性のみ連続した複数回の論理出力の照合判定を行うことを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−74415(P2013−74415A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211221(P2011−211221)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】